説明

積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート及び積層セラミックシートの切断加工方法

【課題】常温や高温雰囲気下での切断加工時で十分な粘着性を発揮でき、剥離時には加熱によって容易に剥離可能な積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートを提供する。
【解決手段】積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に熱膨張性粘着層が形成された構成を有し、積層セラミックシート切断時に仮固定用として用いられ、前記熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であるとともに、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃〜30℃である。前記熱膨張性粘着層を形成する粘着剤のベースポリマーは、アクリル系ポリマーが好適である。熱膨張性粘着層を形成する粘着剤は、さらに、架橋剤を含有していることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート、及び該熱剥離型粘着シートを用いた積層セラミックシートの切断加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子部品への要求は、部品自体の小型化や精密化であり、例えば、セラミックコンデンサではいわゆる「0603」や、いわゆる「0402」に代表される小型化や数百層を大きく超える高積層化による高容量化が顕著となってきている。特にセラミックコンデンサ等のセラミックの焼成前シート(グリーンシート)の積層分野では、小型化や精密化で、加工時の精度が要求されるようになってきた。
【0003】
例えば、セラミックコンデンサの製造工程の一例に挙げると、(1)グリーンシートへの電極印刷工程、(2)積層工程、(3)加圧工程(加圧プレス工程)、(4)切断工程、(5)焼成工程の工程があり、積層工程(2)と加圧工程(3)とは、所定回数繰り返された後、切断工程(4)に移る製造工程が挙げられる。
【0004】
このような工程において、求められる精度としては、例えば、グリーンシートへの電極印刷工程(1)では、電極印刷の精度などが挙げられ、積層工程(2)では、電極位置の精度などが挙げられ、加圧工程(3)では、加圧によりグリーンシートが変形し、電極位置にズレが生じることによる電極位置のズレ防止精度などが挙げられ、切断工程(4)では、切断による精度などが挙げられる。これらの工程中で、一つでも精度が悪いと、製品が不良となり、生産性が低下してしまう。この内、グリーンシートへの電極印刷工程(1)、積層工程(2)、および切断工程(4)に関しては、機械的な精度が要求されることから、装置の改良、精度の向上で対応が可能である。
【0005】
これらの工程のうち、特に切断工程(4)では、熱剥離型粘着シートを利用する方法が広く普及しており、熱剥離型粘着シートを利用することで、切断工程(4)時は、しっかりと固定でき、また、切断工程(4)後は、加熱により粘着力が低下するため、切断済みセラミックコンデンサを簡単に熱剥離型粘着シートから剥離させることができる。(例えば、特許文献1〜特許文献5参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭50−13878号公報
【特許文献2】特公昭51−24534号公報
【特許文献3】特開昭56−61468号公報
【特許文献4】特開昭56−61469号公報
【特許文献5】特開昭60−252681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、切断加工時、特に押切切断加工時は、切断精度向上を目的に高温雰囲気下でグリーンシートを軟らかくして切断しており、このような高温雰囲気下では、粘着力が室温での粘着力に比べ大幅に低くなる傾向があるため、従来の熱剥離型粘着シートでは切断時の粘着性不足による、いわゆる「チップ飛び」などでの歩留り低下が問題となっている。また、チップ飛びを防止するため粘着性が高くなるように設計した場合は、逆に加熱後のチップ剥離性が悪くなるという問題が発生し、加工時のチップ飛び抑制と、加工後の加熱剥離性との両立が課題となっている。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、常温ではもちろん、高温雰囲気下での切断加工時においても十分な粘着性を発揮することができ、しかも剥離させる際には、加熱によって容易に剥離させることができる積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート、及び該熱剥離型粘着シートを用いた積層セラミックシートの切断加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、熱剥離型粘着シートにおける熱膨張性粘着層の粘着剤のベースポリマーのゲル分率を特定の値にするとともに、熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)を特定の値にすると、常温ではもちろん、高温雰囲気下での切断加工時においても十分な粘着性を発揮することができ、しかも剥離させる際には、加熱によって容易に剥離させることができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に熱膨張性粘着層が形成された構成を有し、積層セラミックシート切断時に仮固定用として用いられる熱剥離型粘着シートであって、前記熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であるとともに、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃〜30℃であることを特徴とする積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートである。
【0011】
このように、本発明の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートは、下記の(1)、(2)の構成又は特性を有しているので、粘着性と加熱剥離性とをバランス良く両立しており、積層セラミックシートの押切切断加工時の高温雰囲気下においても、良好な粘着性を発揮して加工された切断片(チップ)を有効に保持することができ、加工時のチップ飛びを有効に抑制又は防止することが可能である。また、切断加工後に剥離させる際には、優れた加熱剥離性を発揮して容易に剥離させることができ、被着体への汚染を効果的に抑制又は防止することが可能である。
【0012】
(1)熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上である
(2)熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)が−40℃〜30℃である
本発明では、前記熱膨張性粘着層を形成する粘着剤のベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを好適に用いることができる。また、熱膨張性粘着層を形成する粘着剤は、さらに、架橋剤を含有していることが好ましい。
【0013】
前記熱膨張性粘着層としては、23℃でポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm)に貼着させた後に23℃の雰囲気下で30分間放置した際の23℃における粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min;ポリエチレンテレフタレートフィルムを熱剥離型粘着シートから剥離させた時の最大荷重)が2N/20mm幅〜20N/20mm幅であり、且つ23℃でポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm)に貼着させた後に80℃の雰囲気下で30分間放置した際の80℃における粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min;ポリエチレンテレフタレートフィルムを熱剥離型粘着シートから剥離させた時の最大荷重)が1N/20mm幅〜15N/20mm幅であることが好適である。
【0014】
また、本発明は、加熱剥離型粘着シートを用いて積層セラミックシートを切断により加工する方法であって、
前記の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートに積層セラミックシートを貼り合わせる工程
積層セラミックシートに切断加工処理を施す工程
を具備することを特徴とする積層セラミックシートの切断加工方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートによれば、常温ではもちろん、高温雰囲気下での切断加工時においても十分な粘着性を発揮することができ、しかも剥離させる際には、加熱によって容易に剥離させることができる。そのため、本発明の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートを用いると、積層セラミックシートの切断加工時には、チップ剥がれを抑制又は防止して歩留まりの低下を抑制又は防止することができるとともに、切断加工後には、被着体表面の汚染を抑制又は防止して加熱により容易に剥離させることができるので、チップ状の切断済みセラミックコンデンサを優れた生産性で製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の熱剥離型粘着シートの一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。図1は、本発明の熱剥離型粘着シートの一例を示す断面模式図である。図1において、1は熱剥離型粘着シート、2は基材、3はゴム状有機弾性層、4は熱膨張性粘着層、5はセパレータである。但し、説明に不要な部分は省略し、また、説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0018】
図1で示される熱剥離型粘着シート1は、基材2と、該基材2の一方の面に形成されたゴム状有機弾性層3と、該ゴム状有機弾性層3上に形成された熱膨張性粘着層4と、さらに、該熱膨張性粘着層4上に形成されたセパレータ5とで構成されている。なお、本発明の熱剥離型粘着シートには、図1で示されるように、任意でゴム状有機弾性層を設けることができる。また、本発明の熱剥離型粘着シートは、基材の片面に熱膨張性粘着層が設けられていてもよく、基材の両面に、熱膨張性粘着層が設けられていてもよい。なお、熱剥離型粘着シートにおいて、熱膨張性粘着層が基材の片面のみに設けられている場合、基材の他方の面には、熱膨張性を有していない通常の粘着剤層(非熱膨張性粘着層)が設けられていてもよい。
【0019】
[基材]
基材(支持基材)は熱膨張性粘着層等の支持母体として用いることができる。基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、熱膨張性粘着層の加熱処理温度で溶融しない耐熱性に優れるものが、加熱後の取扱性等の点より好ましい。本発明では、基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチック材における素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体等のエチレンをモノマー成分とする共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリ塩化ビニリデン;ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);セルロース系樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂などが挙げられる。また基材の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーも用いることができる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
なお、基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。
【0021】
基材の厚さは、特に制限されず強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1μm〜1000μm)、好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは3μm〜300μm、特に5μm〜250μm程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態又は積層された形態のいずれ形態を有していてもよい。
【0022】
基材の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0023】
なお、基材には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤など)が含まれていてもよい。
【0024】
[熱膨張性粘着層]
熱膨張性粘着層は、少なくとも、粘着性を付与するための粘着剤と、熱膨張性を付与するための発泡剤とを含有している。本発明では、熱膨張性粘着層は、下記の(1)、(2)の構成又は特性を有していることが重要である。このように、熱膨張性粘着層のゲル分率と、熱膨張性粘着層を形成する粘着剤のガラス転移温度とを調整することにより、熱膨張性粘着層の粘着性と加熱剥離性とをコントロールすることができる。
【0025】
(1)ゲル分率が50重量%以上である
(2)熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)が−40℃〜30℃である
(ゲル分率)
熱膨張性粘着層のゲル分率は、50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上(更に好ましくは80重量%以上)である。熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であると、被着体より剥離させる際に、加熱によって容易に剥離させることができる。すなわち、熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であると、加熱させて剥離させる際に、熱剥離型粘着シート上に被着体が残存せず、加熱だけによる剥離(自然剥離)を有効に行うことができる。具体的には、熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であると、熱膨張性粘着層に加熱処理を施した後、熱剥離型粘着シートを、空中で上下が反対になるように裏返しにする(熱膨張性粘着層上の切断加工されたチップが下方向に向くようにする)だけで、切断加工されたチップを剥離させることができる。しかも、被着体(又は切断加工されたチップ)の表面への汚染も抑制又は防止することができる。
【0026】
本発明では、熱膨張性粘着層のゲル分率は、以下の測定方法により測定することができる。
【0027】
<ゲル分率の測定方法>
熱膨張性粘着層(熱膨張のための加熱処理は行っていない)から約0.1gをサンプリングして精秤し(試料の重量)、該サンプルをメッシュ状シートで包んだ後、約50mlのトルエン中に室温で1週間浸漬させた。その後、溶剤不溶分(メッシュ状シートの内容物)をトルエンから取り出し、130℃で約2時間乾燥させ、乾燥後の溶剤不溶分を秤量し(浸漬・乾燥後の重量)、下記式(a)よりゲル分率(重量%)を算出する。
【0028】
ゲル分率(重量%)=[(浸漬・乾燥後の重量)/(試料の重量)]×100 (a)
なお、熱膨張性粘着層のゲル分率は、熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤のベースポリマーの組成、粘着剤に添加する架橋剤の種類や含有量、粘着付与剤の種類や含有量などを調節することによりコントロールすることができる。
【0029】
(ガラス転移温度)
本発明では、前述のように、熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)が−40℃〜30℃(好ましくは−30℃〜25℃、更に好ましくは−20℃〜20℃、特に好ましくは−15℃〜15℃)である。該熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃〜30℃であると、高温でも被着体に対して高い粘着性を示し、積層セラミックシートの切断加工時のチップ飛びを有効に抑制又は防止することができるとともに、被着体に対する初期タック性が良好であり、被着体への貼付け作業性が高く、被着体を効果的に保持させることができる。また、加熱させて剥離させる際には、熱剥離型粘着シート上に被着体が残存せず、加熱だけによる剥離(自然剥離)を有効に行うことができる。
【0030】
本発明では、熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)は、以下の測定方法により測定することができる。
【0031】
<ガラス転移温度の測定方法>
熱剥離型粘着シート同士を貼り合わせ(熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層を他の熱剥離型粘着シートの基材に貼り合わせる)、熱膨張性粘着層の総厚が2mm厚みとなるようなものを作製し、これを直径7.9mmのポンチで円盤状に打ち抜いて、サンプル(試料)を作製する。このサンプル(直径7.9mmで厚さが2mm以上の円盤状サンプル)を、ステンレススチール製の直径8mmのパラレルプレート(ティエーインスツルメンツ社製;型式:708.0157)で挟み込み、粘弾性スペクトロメーター(Rheometric Scientific社製;製品名「ARES」)を用いて、チャック圧:100g重、周波数:1Hzでせん断歪を与えながら、温度領域:−70℃〜150℃、昇温速度:5℃/minで、且つせん断モードで粘弾性を測定し、損失正接(tanδ)の極大値温度を求め、該損失正接の極大値温度をガラス転移温度(Tg)とする。
【0032】
なお、熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)は、熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤のベースポリマー又は該ベースポリマーを調製するためのモノマー成分の種類、熱膨張性粘着層中に含まれる各成分(粘着付与剤、発泡剤)の種類や含有量などによりコントロールすることができる。
【0033】
(粘着剤)
熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤としては、熱膨張性粘着層を形成した際のゲル分率とガラス転移温度が所定の値となるような粘着剤を用いることが重要であり、加熱時に発泡剤(熱膨張性微小球など)の発泡及び/又は膨張を可及的に拘束しないようなものを好適に用いることができる。具体的には、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、これらの粘着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリ−プ特性改良型粘着剤などの公知の粘着剤(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭61−174857号公報、特開昭63−17981号公報、特開昭56−13040号公報等参照)の中から、前記特性を有する粘着剤を適宜選択して用いることができる。また、粘着剤としては、放射線硬化型粘着剤(又はエネルギー線硬化型粘着剤)を用いることもできる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、粘着剤が2種以上の粘着剤により構成されている場合は、もちろん、2種以上の粘着剤により構成された粘着剤が、前記特性を有していることが重要である。
【0034】
本発明では、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤を好適に用いることができ、特にアクリル系粘着剤が好適である。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が挙げられる。
【0035】
前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適である。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の何れであっても良い。
【0036】
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分(共重合性単量体成分)に対応する単位を含んでいてもよい。このような共重合性単量体成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、N−ビニルカプロラクタムなどの窒素含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子などを有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。これらの共重合性単量体成分は1種又は2種以上使用できる。
【0037】
(発泡剤)
熱膨張性粘着層において用いられている発泡剤としては、特に制限されないが、熱膨張性微小球を好適に用いることができる。発泡剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。熱膨張性微小球としては、公知の熱膨張性微小球から適宜選択することができる。熱膨張性微小球としては、マイクロカプセル化されている発泡剤を好適に用いることができる。このような熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球などが挙げられる。前記殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法などにより製造できる。
【0038】
なお、熱膨張性微小球には、例えば、松本油脂製薬株式会社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー」のシリーズ(例えば、商品名「マツモトマイクロスフェアーF30」、同「マツモトマイクロスフェアーF301D」、同「マツモトマイクロスフェアーF50D」、同「マツモトマイクロスフェアーF501D」、同「マツモトマイクロスフェアーF80SD」、同「マツモトマイクロスフェアーF80VSD」など)の他、エクスパンセル社製の商品名「051DU」、同「053DU」、同「551DU」、同「551−20DU」、同「551−80DU」などの市販品を使用することができる。
【0039】
本発明では、発泡剤としては、熱膨張性微小球以外の発泡剤も用いることもできる。このような発泡剤としては、種々の無機系発泡剤や有機系発泡剤などの各種発泡剤を適宜選択して使用することができる。無機系発泡剤の代表的な例としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化ホウ素ナトリウム、各種アジド類などが挙げられる。また、有機系発泡剤の代表的な例としては、例えば、水;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどの塩フッ化アルカン系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジン系化合物;p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物;5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物;N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´−ジメチル−N,N´−ジニトロソテレフタルアミドなどのN−ニトロソ系化合物などが挙げられる。
【0040】
本発明では、発泡剤としては、発泡開始温度(熱膨張開始温度)(T0)が80℃〜210℃の範囲のものを好適に用いることができ、好ましくは90℃〜200℃(より好ましくは95℃〜200℃、特に好ましくは100℃〜170℃)の発泡開始温度を有するものである。発泡剤の発泡開始温度が80℃〜210℃であると、積層セラミックシートの製造時や使用時の熱により発泡剤が発泡してしまうことを防止することができるとともに、基材などに過度の耐熱性を必要としないため、取り扱い性、生産性やコスト面が好適である。
【0041】
なお、発泡剤の発泡開始温度(T0)は、熱膨張性粘着層を加熱処理により、熱膨張性粘着層による接着力を加熱前の粘着力の10%以下に低下させることができる最低の加熱処理温度のことを意味している。従って、前記発泡開始温度は、発泡剤(熱膨張性微小球など)を含有する熱膨張性粘着層による接着力(粘着力)を加熱前の接着力の10%以下に低下させることができる最低の加熱処理温度を測定することにより、求めることができる。具体的には、熱剥離型粘着シートの発泡剤(熱膨張性微小球など)が含まれている熱膨張性粘着層の表面に、幅が20mmで且つ厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[商品名「ルミラーS10#25」(東レ社製);「PETフィルム」と称する場合がある]を、ハンドローラで気泡が混入しないように貼り合わせて、試験片を作製する。この試験片を、PETフィルムを貼り合わせてから30分後に、PETフィルムを180°の剥離角度で引き剥がして、その際の粘着力(測定温度:23℃、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°)を測定し、該粘着力を「初期粘着力」とする。また、前記方法にて作製した試験片を、各温度(加熱処理温度)に設定された熱循環式乾燥機に1分間入れて、熱循環式乾燥機から取り出した後、23℃に2時間放置させ、その後、PETフィルムを180°の剥離角度で引き剥がして、その際の粘着力(測定温度:23℃、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°)を測定し、該粘着力を「加熱処理後の粘着力」とする。そして、加熱処理後の粘着力が、初期粘着力の10%以下になる最低の加熱処理温度を発泡開始温度(T0)とする。
【0042】
なお、本発明では、発泡剤としては、加熱処理により、熱膨張性粘着層の接着力を効率よく且つ安定して低下させるため、体積膨張率が5倍以上(なかでも7倍以上、特に10倍以上)となるまで破裂しない適度な強度を有するものが好ましい。
【0043】
発泡剤(熱膨張性微小球など)の配合量は、熱膨張性粘着層の膨張倍率や接着力の低下性などに応じて適宜設定することができる。発泡剤の配合量としては、一般には熱膨張性粘着層を形成するベースポリマー100重量部に対して、例えば1重量部〜150重量部(好ましくは10重量部〜130重量部、さらに好ましくは25重量部〜100重量部)である。
【0044】
なお、発泡剤として熱膨張性微小球を用いた場合、該熱膨張性微小球の粒径(平均粒子径)としては、熱膨張性粘着層の厚みなどに応じて適宜選択することができる。熱膨張性微小球の平均粒子径としては、例えば、100μm以下(好ましくは80μm以下、さらに好ましくは1μm〜50μm、特に1μm〜30μm)の範囲から選択することができる。なお、熱膨張性微小球の粒径の調整は、熱膨張性微小球の生成過程で行われていてもよく、生成後、分級などの手段により行われてもよい。熱膨張性微小球としては、粒径が揃えられていることが好ましい。
【0045】
本発明では、熱膨張性粘着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、粘着付与剤、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤など)が含まれていても良い。
【0046】
粘着付与剤としては、特に制限されず、例えば、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤の他、炭化水素系粘着付与剤、ケトン系粘着付与剤、ポリアミド系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤などの公知の粘着付与剤から適宜選択して用いることができる。粘着付与剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
本発明では、架橋剤を用いることにより、熱膨張性粘着層のゲル分率を有効に調整することができる。このような架橋剤としては、特に制限されず、公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が好適である。架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、架橋剤の使用量は、特に制限されず、熱膨張性粘着層のゲル分率などにより適宜選択することができる。
【0048】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。また、前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0049】
なお、本発明では、架橋剤を用いる代わりに、あるいは、架橋剤を用いるとともに、電子線や紫外線などの照射により架橋処理を施すことも可能である。
【0050】
熱膨張性粘着層は、例えば、粘着剤(感圧接着剤)と、発泡剤(熱膨張性微小球など)と、必要に応じて溶媒やその他の添加剤などとを混合して、シート状の層に形成する慣用の方法を利用し形成することができる。具体的には、例えば、粘着剤、発泡剤(熱膨張性微小球など)、および必要に応じて溶媒やその他の添加剤を含む混合物を、基材やゴム状有機弾性層上に塗布する方法、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記混合物を塗布して熱膨張性粘着層を形成し、これを基材又はゴム状有機弾性層上に転写(移着)する方法などにより、熱膨張性粘着層を形成することができる。
【0051】
熱膨張性粘着層の厚さは、特に制限されず、接着力の低減性などにより適宜に選択することができ、例えば、5μm〜300μm(好ましくは5μm〜80μm、さらに好ましくは15μm〜50μm)程度である。但し、発泡剤として熱膨張性微小球が用いられている場合、熱膨張性粘着層の厚さは、含まれている熱膨張性微小球の最大粒径よりも厚いことが重要である。熱膨張性粘着層の厚さが5μm以上であると、熱膨張性微小球等の発泡剤の凹凸による表面平滑性の低下を防止することができ、加熱前(未発泡状態)の接着性を有効に発揮することができるとともに、加熱処理による熱膨張性粘着層の変形度を大きくすることができ、接着力を円滑に低下させることができる。しかも、熱膨張性粘着層の厚さが300μm以下であると、小型電子部品切断時における熱膨張性粘着層の変形を防止することができ、良好な切断精度を発揮させることができるとともに、加熱処理による膨張乃至発泡後では、熱膨張性粘着層の凝集破壊を防止することができ、被着物への糊残りを効果的に防止することができる。熱膨張性粘着層は単層、複層の何れであってもよい。
【0052】
なお、熱膨張性粘着層中の発泡剤を発泡させる方法としては、公知の加熱発泡方法から適宜選択して採用することができる。具体的には、発泡剤を発泡させるための加熱処理としては、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機、近赤外線ランプ、エアードライヤーなどの適宜な加熱手段を利用して行うことができる。加熱処理時の加熱温度は、熱膨張性粘着層中の発泡剤(熱膨張性微小球など)の発泡開始温度(熱膨張開始温度)以上であればよいが、加熱処理の条件は、発泡剤(熱膨張性微小球など)の種類等による接着面積の減少性、基材等の耐熱性、加熱方法(熱容量、加熱手段等)などにより適宜設定できる。一般的な加熱処理条件としては、温度100℃〜250℃で、1秒間〜90秒間(ホットプレートなど)または5分間〜15分間(熱風乾燥機など)である。なお、加熱処理は使用目的に応じて適宜な段階で行うことができる。また、加熱処理時の熱源としては、赤外線ランプや加熱水を用いることができる場合もある。
【0053】
[ゴム状有機弾性層]
図1では、熱剥離型粘着シートの変形性の付与や加熱後の剥離性の向上などの点より、基材と熱膨張性粘着層との間にゴム状有機弾性層が設けられているが、ゴム状有機弾性層は、必要に応じて設けられる層であり、必ずしも設けられていなくてもよい。このように、ゴム状有機弾性層を設けることにより、熱剥離型粘着シートを被着体に接着させる際に、前記熱剥離型粘着シートの表面(熱膨張性粘着層の表面)を被着体の表面形状に良好に追従させて、接着面積を大きくすることができ、また、前記熱剥離型粘着シートを被着体から加熱剥離させる際に、熱膨張性粘着層の加熱膨張を高度に(精度よく)コントロールし、熱膨張性粘着層を厚さ方向へ優先的に且つ均一に膨張させることができる。すなわち、ゴム状有機弾性層は、熱剥離型粘着シートを被着体に接着させる際にその表面が被着体の表面形状に追従して大きい接着面積を提供する働きと、熱剥離型粘着シートより被着体を剥離するために熱膨張性粘着層を加熱して発泡及び/又は膨張させる際に熱剥離型粘着シートの面方向における発泡及び/又は膨張の拘束を少なくして熱膨張性粘着層が三次元的構造変化することによるウネリ構造形成を助長する働きをすることができる。
【0054】
ゴム状有機弾性層は、熱膨張性粘着層の基材側の面に、熱膨張性粘着層に重畳させた形態で設けることが好ましい。なお、ゴム状有機弾性層は、基材と熱膨張性粘着層との間以外にも設けることができる。ゴム状有機弾性層は、基材の片面又は両面に介在させることができる。
【0055】
ゴム状有機弾性層は、例えば、ASTM D−2240に基づくD型シュアーD型硬度が、50以下、特に40以下の天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することが好ましい。前記合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル系などの合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂などが挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルなどのように本質的には硬質系ポリマーであっても、可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせによりゴム弾性が発現しうる。このような組成物も、前記ゴム状有機弾性層の構成材料として使用できる。また、熱膨張性粘着層を構成する粘着剤等の粘着性物質などもゴム状有機弾性層の構成材料として用いることができる。
【0056】
ゴム状有機弾性層は、例えば、前記天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂などのゴム状有機弾性層形成材を含むコーティング液を基材上に塗布する方式(コーティング法)、前記ゴム状有機弾性層形成材からなるフィルム、又は予め1層以上の熱膨張性粘着層上に前記ゴム状有機弾性層形成材からなる層を形成した積層フィルムを基材と接着する方式(ドライラミネート法)、基材の構成材料を含む樹脂組成物と前記ゴム状有機弾性層形成材を含む樹脂組成物とを共押出しする方式(共押出し法)などの形成方法により形成することができる。
【0057】
ゴム状有機弾性層の厚さは、例えば、5μm〜300μm、好ましくは20μm〜150μm程度である。ゴム状有機弾性層の厚さが5μm〜300μmであると、加熱発泡後の3次元的構造変化を効果的に形成することができ、剥離性を有効に発揮させることができる。ゴム状有機弾性層は単層であってもよく、2以上の層で構成してもよい。
【0058】
なお、ゴム状有機弾性層は、天然ゴムや合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂を主成分とする粘着性物質で形成されていてもよく、また、かかる成分を主体とする発泡フィルム等で形成されていてもよい。発泡は、慣用の方法、例えば、機械的な攪拌による方法、反応生成ガスを利用する方法、発泡剤を使用する方法、可溶性物質を除去する方法、スプレーによる方法、シンタクチックフォームを形成する方法、焼結法などにより行うことができる。
【0059】
[他の層]
本発明の熱剥離型粘着シートとしては、基材の少なくとも一方の面に、熱膨張性粘着層が形成されていればよく、例えば、基材の片面に熱膨張性粘着層が形成された形態の熱剥離型粘着シート、基材の両面に熱膨張性粘着層が形成された形態の熱剥離型粘着シート、基材の一方の面に熱膨張性粘着層が形成され且つ他方の面に非熱膨張性粘着層(熱膨張性を有していない粘着層)が形成された形態の熱剥離型粘着シートなどが挙げられる。なお、基材の両面に熱膨張性粘着層が形成されている場合、少なくとも一方の熱膨張性粘着層が、前記特性を有していればよい。また、本発明の熱剥離型粘着シートでは、基材と熱膨張性粘着層の間に1層又は2層以上の中間層(ゴム状有機弾性層など)を有していてもよい。
【0060】
(非熱膨張性粘着層)
非熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、上記熱膨張性粘着層において用いられる粘着剤として例示された粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤など)等の公知乃至慣用の粘着剤を用いることができる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、該非熱膨張性粘着層のゲル分率は、特に制限されない。また、非熱膨張性粘着層のガラス転移温度も、特に制限されない。また、非熱膨張性粘着層を形成するための粘着剤には、例えば、粘着付与剤、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤などの公知乃至慣用の添加剤が配合されていてもよい。
【0061】
非熱膨張性粘着層の厚さとしては、例えば、300μm以下(例えば、1μm〜300μm、好ましくは5μm〜100μm)であってもよい。なお、非熱膨張性粘着層の形成方法としては、前記熱膨張性粘着層と同様の方法(例えば、基材上に塗布する方法、セパレータ上に塗布して粘着層を形成した後、これを基材上に転写する方法など)を利用することができる。なお、非熱膨張性粘着層は単層、複層の何れであってもよい。
【0062】
(中間層)
また、本発明の熱剥離型粘着シートでは、前述のように、基材と熱膨張性粘着層との間に中間層を有していてもよい。このような中間層としては、剥離性の付与を目的とした剥離剤のコーティング層や、密着力の向上を目的とした下塗り剤のコーティング層などが挙げられる。なお、剥離剤のコーティング層や下塗り剤のコーティング層以外の中間層としては、例えば、良好な変形性の付与を目的とした層、被着体への接着面積の増大を目的とした層、接着力の向上を目的とした層、被着体の表面形状に良好に追従させることを目的とした層、加熱による接着力低減の処理性の向上を目的とした層、加熱後の被着体よりの剥離性の向上を目的とした層などが挙げられる。前記ゴム状有機弾性層も中間層の1種である。
【0063】
本発明の熱剥離型粘着シートは、両面が接着面となっている両面接着シートの形態を有していてもよいが、片面のみが接着面となっている接着シートの形態を有していることが好ましい。従って、熱剥離型粘着シートは、基材の片面に、熱膨張性粘着層が形成されている形態の熱剥離型粘着シートであることが好適である。
【0064】
また、熱剥離型粘着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。例えば、ロール状に巻回された形態を有している場合、熱膨張性粘着層を、セパレータにより保護した状態でロール状に巻回して、すなわち、基材と、前記基材の一方の面に形成された熱膨張性粘着層と、該熱膨張性粘着層上に形成されたセパレータとで構成された状態でロール状に巻回して、ロール状に巻回された状態又は形態の熱剥離型粘着シートとして作製することができる。なお、ロール状に巻回された状態又は形態の熱剥離型粘着シートとしては、基材と、前記基材の一方の面に形成された熱膨張性粘着層と、前記基材の他方の面に形成された剥離処理層(背面処理層)とで構成されていてもよい。
【0065】
このように、本発明の熱剥離型粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。
【0066】
本発明の熱剥離型粘着シートは、熱膨張性粘着層が、常温ではもちろん、高温雰囲気下での切断加工時においても十分な粘着性を発揮することができる粘着力を有している。熱膨張性粘着層の粘着力としては、例えば、23℃における粘着力(剥離角度:180℃、引張速度:300mm/min)が2N/20mm幅以上(2N/20mm幅〜20N/20mm幅)であることが好ましく、更に好ましくは4N/20mm幅以上(4N/20mm幅〜20N/20mm幅)である。
【0067】
また、熱膨張性粘着層は、80℃における粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min)が1N/20mm幅以上(1N/20mm幅〜15N/20mm幅)であることが好ましく、更に好ましくは3N/20mm幅以上(3N/20mm幅〜15N/20mm幅)である。
【0068】
熱膨張性粘着層の粘着力(測定温度:23℃、80℃)は、以下の測定方法により測定することができる。
【0069】
<23℃における粘着力の測定方法>
熱剥離型粘着シートを幅:20mm、長さ:140mmのサイズに切断し、熱膨張性粘着層上に、被着体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ルミラーS−10」東レ社製;厚さ:25μm、幅:20mm)を、JIS Z 0237に準じて貼り合わせた後(具体的には、温度:23±2℃および湿度:65±5%RHの雰囲気下で、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせる)、23℃に設定された恒温槽付き引張試験機にセットし、30分間放置する。放置後、23℃の温度下で、被着体を、剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/minの条件で、熱剥離型粘着シートから引き剥がした時の荷重を測定し、その際の最大荷重(測定初期のピークトップを除いた荷重の最大値)を求め、この最大荷重を熱膨張性粘着層の粘着力(N/20mm幅)とする。
【0070】
<80℃における粘着力の測定方法>
熱剥離型粘着シートを幅:20mm、長さ:140mmのサイズに切断し、熱膨張性粘着層上に、被着体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ルミラーS−10」東レ社製;厚さ:25μm、幅:20mm)を、JIS Z 0237に準じて貼り合わせた後(具体的には、温度:23±2℃および湿度:65±5%RHの雰囲気下で、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせる)、予め80℃に設定された恒温槽付き引張試験機にセットし、30分間放置する。放置後、80℃の雰囲気下で、被着体を、剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/minの条件で、熱剥離型粘着シートから引き剥がした時の荷重を測定し、その際の最大荷重(測定初期のピークトップを除いた荷重の最大値)を求め、この最大荷重を熱膨張性粘着層の粘着力(N/20mm幅)とする。
【0071】
[セパレータ]
本発明では、セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用できる。セパレータは熱膨張性粘着層の保護材として用いられており、熱剥離型粘着シートを被着体に貼着する際に剥がされる。セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。セパレータとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。なお、セパレータは、熱膨張性粘着層を支持するための基材として用いることも可能である。
【0072】
なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0073】
[積層セラミックシートの切断加工方法]
本発明の熱剥離型粘着シートは、積層セラミックシートの切断加工時における仮固定用として好適に用いられる。本発明の熱剥離型粘着シートを用いた積層セラミックシートの切断加工方法は、下記の工程を具備している。
【0074】
本発明の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートに積層セラミックシートを貼り合わせる工程
積層セラミックシートに切断加工処理を施す工程
具体的には、熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層上に、加工する被加工品(被着体)として積層セラミックシートを貼着しており、この際に、熱剥離型粘着シートの他方の面を支持体(台座など)に固定させることにより、積層セラミックシートを支持体(台座など)にしっかりと固定させることができる。このようにして、積層セラミックシートを熱剥離型粘着シートを介して支持体に固定させた状態で、積層セラミックシートに切断加工処理(研磨処理工程、ダイシング工程など)を施すことができる。
【0075】
なお、積層セラミックシートを、台座等の支持体に固定する際には、熱剥離型粘着シートが、熱膨張性粘着層に対して他方の側に位置する面に粘着層(他の熱膨張性粘着層、非熱膨張性粘着層など)が形成されている場合は、該粘着層を用いた固定手段を利用することができ、一方、他方の側に位置する面に粘着層が形成されていない場合は、接着剤などの各種固定手段を利用することができる。
【0076】
また、積層セラミックシートを固定するための台座(支持体)としては、特に制限されず、積層セラミックシートの切断加工の際に用いられている公知乃至慣用の台座から適宜選択して利用することができ、例えば、ステンレス板、ガラス板、ダミーウエハなどが挙げられる。台座は、積層セラミックシートの種類、積層セラミックシートの切断加工方法などに応じて適宜選択することができる。
【0077】
なお、積層セラミックシートとしては、公知の積層セラミックシートを用いることができる。積層セラミックシートとしては、例えば、一方の面に電極が印刷されているグリーンシートが、電極が印刷されている面と、電極が印刷されていない面とが交互になるように必要枚数積層された構成の積層セラミックシートなどが挙げられる。
【0078】
本発明において、熱剥離型粘着シートに積層セラミックシートを貼り合わせて固定した後、積層セラミックシートに切断加工処理を施して、例えば、部品単位のサイズのチップ状になるように切断(特に、押切加工)し、被加工体(切断後の積層セラミックシート)としてのチップ状電子部品とすることができる。なお、切断加工工程では、グリーンシートである積層セラミックシートを柔らかくして切断精度を向上させるために高温雰囲気下(本発明の熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層の熱剥離処理温度(又は発泡剤の発泡開始温度)未満の温度、例えば、60℃〜100℃)で行われることが多いが、本発明の熱剥離型粘着シートは、熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であり、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃〜30℃であるので、常温及び高温雰囲気下での凝集力及び接着力に優れており、このような高温雰囲気下においても十分な粘着力及び保持力を発現し、切断加工工程の前後を通して積層セラミックシートをしっかりと固定することができる。そのため、本発明の熱剥離型粘着シートを用いると、加工中のチップ剥がれを防止して、加工時のチップ飛びを抑制又は防止することができ、それに伴う歩留まり低下も抑制又は防止することができる。従って、本発明の熱剥離型粘着シートを用いると、高い切断精度で積層セラミックシートに切断加工処理を施し、チップ状電子部品を効果的に製造することができる。
【0079】
なお、切断終了後は、加熱剥離処理によりチップ状電子部品を容易に熱剥離型粘着シートから、糊残り等の汚染を生じさせずに、容易に剥離させることができる。具体的には、切断終了後は、熱膨張性粘着層を、発泡剤(熱膨張性微小球など)の発泡開始温度以上の温度まで加熱して熱膨張性粘着層を発泡乃至熱膨張させて、熱膨張性粘着層の接着力を消失あるいは低減させて、被加工体(切断後の積層セラミックシート)を熱膨張性粘着層から取り外すことができる。この際、熱膨張性粘着層から切断後の積層セラミックシートを剥離するための加熱処理条件は、積層セラミックシートの表面状態や発泡剤の種類等による接着面積の減少性、基材や被着体の耐熱性や加熱方法等の条件により決められるが、一般的な条件は、前述のように、100℃〜250℃、1秒間〜90秒間(ホットプレートなど)又は5分間〜15分間(熱風乾燥機など)である。なお、加熱処理は使用目的に応じて適宜な段階で行うことができる。また、加熱源としては、赤外線ランプや加熱水を用いることができる場合もある。
【0080】
なお、切断後の積層セラミックシートを適宜な方法により回収した後、引き剥がし等により熱剥離型粘着シートを台座から剥離することができる。
【0081】
このような切断加工処理後の積層セラミックシートとしてのチップ状電子部品は、電子部品の材料(積層セラミックコンデンサなど)として好適に用いられる。
【実施例】
【0082】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、各例中、部は特記がない限りいずれも重量基準である。
【0083】
(実施例1)
アクリル酸エチル−アクリル酸n−ブチル−アクリル酸(アクリル酸エチル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=20部/80部/10部)からなるポリマー:100部に、エポキシ系架橋剤(商品名「Tetrad−C」三菱ガス化学社製):1部、ロジン系粘着付与剤(商品名「タマノル361」荒川化学工業社製):5部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート1」と称する場合がある)を得た。
【0084】
(実施例2)
アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸n−ブチル−アクリル酸(アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=50部/50部/5部)からなるポリマー:100部に、エポキシ系架橋剤(商品名「Tetrad−C」三菱ガス化学社製):2部、テルペンフェノール系粘着付与剤(商品名「YSポリスターU115」ヤスハラケミカル社製):10部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート2」と称する場合がある)を得た。
【0085】
(実施例3)
アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸(アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸=97部/3部)からなるポリマー:100部に、エポキシ系架橋剤(商品名「Tetrad−C」三菱ガス化学社製):0.5部、ロジン系粘着付与剤(商品名「タマノル361」荒川化学工業社製):5部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート3」と称する場合がある)を得た。
【0086】
(実施例4)
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸及び光重合開始剤を、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/光重合開始剤=30部/70部/5部/0.05部の割合で混合し、それを窒素雰囲気下で、紫外線照射により部分重合させたポリマー(このポリマーの重量平均分子量は10000以上である)のシロップ:100部に、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、トリメチロールプロパントリアクリレート:0.2部、ロジン系粘着付与剤(商品名「タマノル361」荒川化学工業社製):7部、および前記と同様の光重合開始剤:0.05部を添加混合し、該混合した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥乃至硬化後の厚さが50μmとなるように塗布し、液体窒素充填装置下で光強度5mV/cm2の高圧水銀ランプを介して、紫外線を700mj/cm2(波長:352nm)照射して光重合処理して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート4」と称する場合がある)を得た。
【0087】
(比較例1)
アクリル酸n−ブチル−アクリル酸エチル−アクリル酸(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸=30部/70部/5部)からなるポリマー:100部に、エポキシ系架橋剤(商品名「Tetrad−C」三菱ガス化学社製):1部、テルペンフェノール系粘着付与剤(商品名「YSポリスターU115」ヤスハラケミカル社製):40部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート5」と称する場合がある)を得た。
【0088】
(比較例2)
アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸2−ヒドロキシエチル(アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル=100部/3部)からなるポリマー:100部に、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン社製):0.8部、ロジン系粘着付与剤(商品名「タマノル361」荒川化学工業社製):5部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート6」と称する場合がある)を得た。
【0089】
(比較例3)
アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸(アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸=90部/7部)からなるポリマー:100部に、エポキシ系架橋剤(商品名「Tetrad−C」三菱ガス化学社製):0.3部、テルペンフェノール系粘着付与剤(商品名「YSポリスターU115」ヤスハラケミカル社製):25部、発泡剤(熱膨張性微小球;商品名「マツモトマイクロスフェアーF−501D」松本油脂製薬株式会社製;120℃発泡膨張タイプ):30部、およびトルエンを均一に混合し、溶解した塗工液を、支持基材(商品名「ルミラーS10」東レ社製;厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し乾燥して熱剥離型粘着シート(「熱剥離型粘着シート7」と称する場合がある)を得た。
【0090】
(評価)
実施例1〜4、及び比較例1〜3で作製した熱剥離型粘着シート1〜7について、熱膨張性粘着層のゲル分率、熱膨張性粘着層のガラス転移温度(Tg)、23℃における粘着力、80℃における粘着力を、下記の測定方法により測定するとともに、積層セラミックシートを貼着させて高温雰囲気下で押切切断加工を行ってチップ化した際のチップ飛び防止性と、加熱剥離性と、汚染防止性を、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
【0091】
(ゲル分率の測定方法)
各熱剥離型粘着シートにおける熱膨張性粘着層(熱膨張のための加熱処理は行っていない)から約0.1gをサンプリングして精秤し(試料の重量)、該サンプルをメッシュ状シート(テフロン(登録商標)製)で包んだ後、約50mlのトルエン中に室温で1週間浸漬させた。その後、溶剤不溶分(メッシュ状シートの内容物)をトルエンから取り出し、130℃で約2時間乾燥機に投入して乾燥させ、乾燥後の溶剤不溶分を秤量し(浸漬・乾燥後の重量)、下記式(a)よりゲル分率(重量%)を算出する。なお、該ゲル分率の測定結果は、表1の「ゲル分率(重量%)」の欄に示した。
【0092】
ゲル分率(重量%)=[(浸漬・乾燥後の重量)/(試料の重量)]×100 (a)
(ガラス転移温度の測定方法)
各実施例及び各比較例に関して、熱剥離型粘着シート同士(熱膨張のための加熱処理は行っていない)を貼り合わせ(熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層を他の熱剥離型粘着シートの基材に貼り合わせる)、熱膨張性粘着層の総厚が2mm厚みとなるようなものを作製する。これを直径7.9mmのポンチで円盤状に打ち抜いて、ガラス転移温度を測定するためのサンプル(試料)を作製する。このサンプル(直径7.9mmで厚さが2mm以上の円盤状サンプル)を、ステンレススチール製の直径8mmのパラレルプレート(ティエーインスツルメンツ社製;型式:708.0157)で挟み込み、粘弾性スペクトロメーター(Rheometric Scientific社製;製品名「ARES」)を用いて、チャック圧:100g重、周波数:1Hzでせん断歪を与えながら、温度領域:−70℃〜150℃、昇温速度:5℃/minで、且つせん断モードで粘弾性を測定し、損失正接(tanδ)の極大値温度を求め、該損失正接の極大値温度をガラス転移温度(Tg)とする。該ガラス転移温度の測定結果は、表1の「ガラス転移温度(Tg)(℃)」の欄に示した。
【0093】
(23℃における粘着力の測定方法)
各熱剥離型粘着シートを幅:20mm、長さ:140mmのサイズに切断し、熱膨張性粘着層上に、被着体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ルミラーS−10」東レ社製;厚さ:25μm、幅:20mm)を、JIS Z 0237に準じて貼り合わせた後(具体的には、温度:23±2℃および湿度:65±5%RHの雰囲気下で、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせる)、23℃に設定された恒温槽付き引張試験機(商品名「島津オートグラフAG−120kN」島津製作所社製)にセットし、30分間放置する。放置後、23℃の温度下で、被着体を、剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/minの条件で、熱剥離型粘着シートから引き剥がした時の荷重を測定し、その際の最大荷重(測定初期のピークトップを除いた荷重の最大値)を求め、この最大荷重を熱膨張性粘着層の粘着力(N/20mm幅)とする。なお、該粘着力の測定結果は、表1の「23℃粘着力(N/20mm)」の欄に示した。
【0094】
(80℃における粘着力の測定方法)
各熱剥離型粘着シートを幅:20mm、長さ:140mmのサイズに切断し、熱膨張性粘着層上に、被着体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ルミラーS−10」東レ社製;厚さ:25μm、幅:20mm)を、JIS Z 0237に準じて貼り合わせた後(具体的には、温度:23±2℃および湿度:65±5%RHの雰囲気下で、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り合わせる)、予め80℃に設定された恒温槽付き引張試験機(商品名「島津オートグラフAG−1 20kN」島津製作所社製)にセットし、30分間放置する。放置後、80℃の雰囲気下で、被着体を、剥離角度:180°、剥離速度(引張速度):300mm/minの条件で、熱剥離型粘着シートから引き剥がした時の荷重を測定し、その際の最大荷重(測定初期のピークトップを除いた荷重の最大値)を求め、この最大荷重を熱膨張性粘着層の粘着力(N/20mm幅)とする。なお、該粘着力の測定結果は、表1の「80℃粘着力(N/20mm)」の欄に示した。
【0095】
(切断加工性・加熱剥離性・汚染防止性の評価方法)
各熱剥離型粘着シートの熱膨張性粘着層上に、積層セラミックシート(サイズ:100mm×100mm×厚さ2mm;表面に20μmの凹凸が形成されている;焼成前)を貼着させ(仮固定)、それをダイシングリングに装着固定して押切刃を介し、0.6mm×0.3mmのサイズのチップにフルカットし(押切加工による切断加工処理を施し)、このカットの際に、チップ剥がれの発生の有無を目視で確認する。切断加工されたチップが熱剥離型粘着シートから剥がれている個数の割合(チップ飛び率)(%)を求め、チップ飛び防止性(切断加工性)を評価する。なお、すべてのチップが熱剥離型粘着シートに貼着しており剥がれていない場合は、チップ飛び率は0%(すなわち、チップ飛び率は0%)となる。従って、チップが剥がれている割合(チップ飛び率)が小さいほど、チップ飛び防止性が良好であることを意味している。該チップ飛び防止性の評価結果は、表1の「チップ飛び防止性(%)」の欄に示した。
【0096】
さらに、前記カット後、恒温器(熱風乾燥器)(エスペック(株)製、「SPH−201」)を用いて、120℃で10分間加熱処理を施した。加熱処理後、熱剥離型粘着シートを空中で上下が反対になるように裏返しにし(チップが下になる様に)、熱剥離型粘着シートからチップを自然落下により剥離させ、加熱剥離性としてチップが剥離して残量していない割合(加熱剥離率)(%)を求める。なお、すべてのチップが剥離して熱剥離型粘着シートに残存していない場合は、加熱剥離率は100%となる。従って、チップが剥離により残量していない割合(加熱剥離率)が大きいほど、加熱剥離性が良好であることを意味している。該加熱剥離性の評価結果は、表1の「加熱剥離性(%)」の欄に示した。
【0097】
さらに、前記自然落下により熱剥離型粘着シートを剥離させたチップについて、その表面(熱剥離型粘着シートが貼着されていた面)を目視で観察して、チップ表面の汚染の度合いを目視で、下記の基準により評価し、汚染防止性を評価した。該汚染防止性の評価結果は、表1の「汚染防止性」の欄に示した。
【0098】
汚染防止性の評価基準
○:チップ表面に糊残りによる汚染がない
×:チップ表面に糊残りによる汚染がある
【0099】
【表1】

表1より、実施例1〜4に係る熱剥離型粘着シートは、チップ剥がれを生じさせずに押切切断加工を有効に施すことができ、且つ、加熱によって汚染を生じさせることなく被着体(切断加工されたチップ)を容易に剥離させることができることが確認された。
【0100】
一方、比較例1に係る熱剥離型粘着シートでは、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が30℃を超えているので、被着体に対する初期タックが得られず、被着体に貼付させることができない。また、比較例2に係る熱剥離型粘着シートでは、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃未満であるので、チップ飛び防止性が低く、チップ飛びが生じてしまい、また、加熱剥離性も低く、切断加工されたチップを加熱により容易に剥離させることができない。さらに、比較例3に係る熱剥離型粘着シートは、熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%未満であるので、チップ飛び防止性が低く、チップ飛びが生じてしまい、また、加熱剥離性が低く、切断加工されたチップを加熱により容易に剥離させることができない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の熱剥離型粘着シートは、積層セラミックシートの切断加工時における仮固定用の粘着シートとして好適に用いることができる。本発明の熱剥離型粘着シートにより、積層セラミックシートを容易に切断加工させることができ、電子部品や積層セラミックコンデンサ等を容易に製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
1 熱剥離型粘着シート
2 基材
3 ゴム状有機弾性層
4 熱膨張性粘着層
5 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の面に熱膨張性粘着層が形成された構成を有し、積層セラミックシート切断時に仮固定用として用いられる熱剥離型粘着シートであって、前記熱膨張性粘着層のゲル分率が50重量%以上であるとともに、熱膨張性粘着層のガラス転移温度が−40℃〜30℃であることを特徴とする積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート。
【請求項2】
熱膨張性粘着層を形成する粘着剤のベースポリマーが、アクリル系ポリマーである請求項1記載の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート。
【請求項3】
熱膨張性粘着層を形成する粘着剤が、さらに、架橋剤を含有している請求項1又は2記載の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート。
【請求項4】
23℃でポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm)に貼着させた後に23℃の雰囲気下で30分間放置した際の23℃における熱膨張性粘着層の粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min)が2N/20mm幅〜20N/20mm幅であり、且つ23℃でポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:25μm)に貼着させた後に80℃の雰囲気下で30分間放置した際の80℃における熱膨張性粘着層の粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min)が1N/20mm幅〜15N/20mm幅である請求項1〜3の何れかの項に記載の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シート。
【請求項5】
加熱剥離型粘着シートを用いて積層セラミックシートを切断により加工する方法であって、
請求項1〜4の何れかに記載の積層セラミックシート切断用熱剥離型粘着シートに積層セラミックシートを貼り合わせる工程
積層セラミックシートに切断加工処理を施す工程
を具備することを特徴とする積層セラミックシートの切断加工方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−229399(P2010−229399A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42353(P2010−42353)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】