説明

積層体

【課題】ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレンから成る基材とシーラント層との間に強固なラミネート強度を有し、揮発性成分や揮発性成分を含む各種強浸透性内容物を収容する包装材料に利用して揮発性成分が作用しても基材とシーラント層間のラミネート強度が低下せず、しかも、高いヒートシール強度を有する積層材料を提供すること。
【解決手段】基材2の上に、接着層3、ポリオレフィン系押し出し樹脂又はオレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂からなるオレフィン系押し出し樹脂層4、及びシーラント層5がこの順序で設けられていて、接着層3がポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかから成るポリオールと、イソシアネート化合物からなる硬化剤とを、0:100〜20:80の割合で含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレンのいずれかからなる基材にシーラント層を設けた積層体に関し、さらに詳しくは、揮発性成分や揮発性成分を含む各種強浸透性内容物を収容する包装材料に利用して、高いヒートシール強度とラミネート強度を有し、しかも、これら揮発性成分が作用しても前記シール強度やラミネート強度が低下しない積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や医薬品などを包装する包装材料として、例えば、紙層/ポリエチレン層/アルミ箔層/ポリエステル層/シーラント層のような各層が積層されてなる積層体が広く用いられてきた。この積層体のポリエステル層とシーラント層との貼り合わせは、通常はポリエステルフィルムからなるポリエステル層に二液硬化型ポリウレタン系などのアンカーコート剤を塗布してから、シーラント層を押出ラミネートすることにより行っていた。そして、このような積層体は適度のラミネート強度やガスバリア性などを有しており、食品や医薬品などを包装するための包装材料として広く使用されている。
【0003】
しかしながら、包装材料により包装される内容物には、酸、アルカリ性物質、香料、界面活性剤、高沸点有機溶剤などを含有するものが多くあり、これらの内容物を包装すると、接着層を構成する接着剤に悪影響を及ぼし、積層体におけるラミネート強度の低下を招いたり剥離が生じることがあった。
【0004】
このような状況に対応するため、ラミネート加工に使用される接着剤の改良が種々行われており、アルカリ性の高い内容物に対する耐性を向上させ、さらには各種プラスチックフィルムに対する接着力を向上させた接着剤などが種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、包装する内容物が食酢・オイルなど液体調味料、浴用剤(アルコール含有)や湿布薬などの場合、これらには香料や酸などの強い浸透性を示す揮発性物質が含まれているので、前述したような構成の積層体や上記アンカーコート剤を使用して得られる積層体を包装材料として使用し、これらの内容物を包装した時、揮発性物質の強い浸透力によって、ポリエステルフィルムからなるポリエステル層とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下し、その結果デラミネーション(剥離)を引き起こすという問題があった。
【0006】
上記積層体に用いられる接着層としては二液硬化型ポリウレタン系が多く使用されているが、ポリエステルポリオールなどのポリオールとイソシアネート化合物からなる硬化剤の通常の配合割合は、例えば95:5、90:10のようにポリオールの方を多くして使用されている。しかし、通常の配合割合で得られた二液硬化型ポリウレタン系接着層に上記強浸透性内容物が悪影響を及ぼし、ポリオール成分の膨潤や分子量低下を招き、その接着層の凝集力が低下するために基材とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下するものと考えられる。
【特許文献1】特開平10―130615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とすると
ころは、基材とシーラント層との間に強固なラミネート強度を有し、揮発性成分や揮発性成分を含む各種強浸透性内容物を収容する包装材料に利用して、しかも、これら揮発性成分が作用しても基材とシーラント層間のラミネート強度が低下しない積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ところで、本発明者の検討によれば、従来使用されてきた二液硬化型ウレタン系接着剤の代わりに、
ポリオールに比較してイソシアネート化合物を多く配合した接着剤を使用すると、基材とシーラント層とのラミネート強度が大きく、しかも前記揮発性成分による劣化が生じ難いことを発見した。この場合、ポリオールの含有量は0であっても良く、多くても、せいぜい、ポリオールとイソシアネートとの割合が15:85となる量である(特願2004−129397号明細書、特願2005−487号明細書参照)。
【0009】
しかしながら、これら接着剤を使用しても、シーラント層同士をヒートシールしたシール面の強度は必ずしも高くならず、このため、このヒートシール面から剥離して破袋することがあった。
【0010】
本発明は、このような事情によってなされたもので、基材とシーラント層との高いラミネート強度を維持したまま、さらにそのヒートシール強度を改善した積層材料を提供することを目的とするものである。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、ポリエステル、ポリアミドまたはポリオレフィンのいずれかからなる基材の上に、接着層、ポリオレフィン樹脂又はオレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂からなり、溶融状態で押し出し製膜されたオレフィン系樹脂層、及びシーラント層がこの順序で設けられていて、接着層がポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかから成るポリオールと、イソシアネート化合物とを、重量比で0:100〜20:80の割合で含有することを特徴とする積層体である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の積層体において、前記シーラント層が直鎖低密度ポリエチレンから成ることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の積層体において、前記接着層の厚みが1μm以下であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体において、前記基材が、含水率0.5%以上のポリアミドからなることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体において、前記基材の少なくとも接着層側の面に易接着処理層として、ポリエステル系樹脂またはポリウレタン系樹脂をコーティングしてなることを特徴とする。
【0016】
次に、請求項6に記載の発明は、その用途を特定したもので、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体において、香料・薬効成分を含む強浸透性内容物の包装材料を用途とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の積層体は、ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレンのいずれかからなる基材と接着層と、ポリオレフィン系押し出し樹脂層及び複合シーラント層の少なくとも
四層により構成され、しかもその接着層が強浸透性内容物の影響を受けず、非常に薄くて緻密な層からなるため、基材に対して優れたラミネート強度を示す。しかも、接着層とシーラント層との間にポリオレフィン系押し出し樹脂層を有し、これらポリオレフィン系押し出し樹脂層とシーラント層とが実質的に厚肉のヒートシール層として働くため、製袋の際に高いヒートシール強度を得ることが可能である。このため、例えば湿布薬や浴用剤などの各種強浸透性内容物を保存する包装材料として用いても、経時的に破袋することがなく、長期間の利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして詳細に説明する。図1は本発明に係る積層体の概略の断面構成を示している。
【0019】
この積層体1は、基材2上に、接着層3、オレフィン系押し出し樹脂層4、最内層シーラント層5がこの順序で積層されてなるものである。
【0020】
本発明の積層体を構成する基材2は、ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレンのいずれかからなるものである。さらに具体的には、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムまたはポリプロピレンフィルムのいずれかからなるものである。
【0021】
ポリエステルフィルムにはノーマルタイプ、共重合タイプ、易接着タイプなど、ポリプロピレンフィルムには未静防タイプ、静防タイプなど、様々なタイプのものがあるが、それらの一方の面に易接着処理層としてコロナ処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、フレーム処理や、ポリエステル系樹脂またはポリウレタン系樹脂コーティングなどの表面処理がなされていてその上に接着層が安定的に形成できるようになっていれば、いずれのタイプのフィルムでも基材として使用可能である。また、その厚みに関しても特に限定されるものではない。
【0022】
他方、基材がポリアミドフィルムの場合は、ノーマルタイプのポリアミドフィルムであっても、そのフィルムに水分を一定量含有していることから、表面処理を施すことなく、前記接着剤がポリアミドフィルム表面上で反応し、密着する。密着性の発現速度の点から、使用される基材の含水率が0.5%以上あることが望ましい。また、含水率が高すぎるときには、フィルムの平滑性に影響する。通常ポリアミドでは1%前後の含水率であり、この状態であれば接着剤塗布後、押し出し樹脂層及びシーラント層を張合わせ、50℃、3日以上のエージングで十分なラミネート強度が得られる。
【0023】
接着層3はポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールからなるポリオールとイソシアネート化合物を重量比で0:100〜20:80の割合で混合した層からなる。この割合が、例えば90:10のように、ポリオールがリッチな接着層を形成すると、強浸透性内容物が悪影響を及ぼし、ポリオール成分の膨潤や分子量低下を招き、その接着層の凝集力が低下するために基材とシーラント層間のラミネート強度が経時的に低下する。十分なラミネート強度を得ると共に、その経時劣化を防止するため、ポリオールとイソシアネート化合物との割合は、0:100〜20:80であることが必要である。その割合が0:100〜5:95の場合には、高いラミネート強度が得られる。
【0024】
このポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのほかにこれらをベースとしたポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオールなどが使用できる。
【0025】
イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6
−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素添加体などの各種ジイソシアネート系モノマーが具体的に挙げられる。また、これらのジイソシアネートモノマーを、トリメチロールプロパンやグリセロールなどの3官能の活性水素含有化合物と反応させたアダクトタイプ、水と反応させたビューレットタイプ、イソシアネート基の自己重合を利用したトリマー(イソシアヌレート)タイプなど3官能性の誘導体やそれ以上の多官能性の誘導体を用いても構わない。
【0026】
この接着層3は、例えば前述の割合でポリオールとイソシアネート化合物を混合した混合物を溶剤に溶解させ、その固形分割合を5wt%以下、好ましくは0.05〜0.1wt%以下の割合で含むよう調製して塗工液とし、その塗工液を基材2上に塗工して設ければよい。この接着層3は薄層であることが好ましく、具体的にはその乾燥時の厚みが1μm以下の薄層となるように設ければよい。1μm以上では、溶媒を飛ばすための乾燥に時間がかかることや、接着層の反応に時間がかかるため、強浸透性内容物耐性の発現が遅くなるという問題が生じる。更に、硬化収縮が大きくなり、浮きなどが発生することもありえる。
【0027】
ここで、用いられる塗工方式は、グラビア方式、マイクログラビア方式、スロットダイ方式、リバースコート方式などが上げられる。粘度やレベリングにあわせて選択し、可能な限り平滑に塗布すべきである。
【0028】
また、接着層3上に設けられるオレフィン系押し出し樹脂層4は、接着層3とシーラント層5との間に介在し、シーラント層5の肉厚を補完して、そのヒートシール強度を向上させるものである。このようなオレフィン系押し出し樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、又はオレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂から成る。ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ホモ・ブロック・ランダムの各ポリプロピレン樹脂;エチレン−αオレフィン共重合体などのエチレン系共重合ポリオレフィン樹脂;プロピレン−αオレフィン共重合体などのプロピレン系共重合ポリオレフィン樹脂が使用できる。また、オレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂としては、エチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体;エチレン−アクリル酸メチル,エチレン−アクリル酸エチルやエチレン−メタクリル酸メチル,エチレン−メタクリル酸エチルなどのエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物;そのカルボン酸部位をナトリウムイオンや亜鉛イオンで架橋したエチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物;エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体,エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸など,三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン;エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。これらオレフィン系樹脂を2種以上ブレンドしたブレンド樹脂を使用しても良い。これらのオレフィン系樹脂には、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、各種フィラーなど)を添加しても構わない。
【0029】
ポリオレフィン系押し出し樹脂層4は、これらポリオレフィン系樹脂を、シーラント層5を構成するシーラントフィルム上に、溶融状態で押し出し製膜して形成することができる。
【0030】
シーラント層5は、積層体を包装袋に製袋する際に、互いに重ね合わされ、熱によりヒートシールされるもので、ヒートシール強度の高いものが望ましい。シーラント層5に適用されるシーラントフィルムとしては、例えば、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルムなどが利用できる。中でも、直鎖低密度ポリエチレ
ンフィルムが好ましく利用できる。
【0031】
以上、本発明に係る積層体について説明したが、本発明の積層体は上記のような構成のものに限定されるものではなく、包装材料としての用途を考慮し、包装材料として要求される剛性や耐久性などを向上する目的で、他の層を介在させた構成であってもよい。具体例としては、AL、AL蒸着やガラス蒸着、アルミナ蒸着層を本発明構成の基材側上部に積層や蒸着すれば、バリアー性が付与できる。
【0032】
また、このような構成の積層体は、例えば次のようにして製造できる。
【0033】
すなわち製造方法の一つとして、基材のコロナ処理などの表面処理がなされている面に、ポリオールとイソシアネート化合物を含む前記塗工液を押出ラミネートの塗工部において塗工して接着層を設けた後、この接着層上に、ポリオレフィン系樹脂を一般的な250〜330℃の溶融状態で押し出して積層し、このポリオレフィン系押し出し樹脂が固化する前にシーラントフィルムを積層することにより、積層体を得る方法が例示できる。押し出されたポリオレフィン系押し出し樹脂の前記接着層と接する面にオゾン処理を施した後、このポリオレフィン系押し出し樹脂を接着層に積層することもできる。なお、ポリオレフィン系押し出し樹脂が直鎖低密度ポリエチレンから構成される場合には、オゾン処理の後接着層に積層することが望ましい。
【0034】
また他の製造方法としては、基材の一方の面にインラインでコロナ処理を施した直後に、ポリオールとイソシアネート化合物の混合物を含む前記塗工液を塗工して接着層を形成させる。他方、Tダイから押し出されるポリオレフィン系押し出し樹脂の両面に前記接着層付基材とシーラント層とを積層することにより、積層体を得る方法が挙げられる。なお、この場合にも、押し出されたポリオレフィン系押し出し樹脂の前記接着層と接する面にオゾン処理を施した後、前記接着層付基材とシーラント層とを積層することができる。
【0035】
以上のような製造方法によれば、各種基材とシーラント層とのラミネート強度が良好で、かつ揮発性物質や揮発性物質を含む各種強浸透性内容物が作用してもそれらの基材とシーラント層とのラミネート強度が低下せず、しかも高いヒートシール強度を有する積層体を作製することができる。以下、本発明の実施例を述べる。
【実施例】
【0036】
<実施例1>
基材として、厚みが15μmの両面コロナ処理のポリアミドフィルム(含水率0.5%以上)を使用した。他方、ポリオールを含有せず、トリレンジイソシアネートのアダクトタイプを固形分割合が1wt%になるように塗工液を調製した。そして、前記ポリアミドフィルムのコロナ処理面に、前記塗工液を塗工して接着層を形成した。そして、押し出し機から低密度ポリエチレンを溶融状態で押し出して前記接着層上に積層し、同時にシーラント層として直鎖低密度ポリエチレンフィルム(厚み40μm)を前記押し出し樹脂上に貼り合わせて、実施例1に係る積層体を得た。なお、接着層の乾燥後の厚みは0.1μmであった。また、前記押し出し樹脂の厚みは25μm、押し出し加工速度は80m/minであった。
【0037】
<実施例2>
接着層として、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=5:95となるよう混合した塗工液を使用した。その他は実施例1と同様の方法で実施例2に係る積層体を得た。
【0038】
<実施例3>
接着層として、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=10:90となるよう混合した塗工液を使用した。その他は実施例1と同様の方法で実施例3に係る積層体を得た。
【0039】
<実施例4>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが15μmの共重合タイプの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。他方、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=5:95となるよう混合して塗工液を調製した。そして、前記ポリアミドフィルムのコロナ処理面にインラインコロナ処理を施した直後に、前記塗工液を塗布して接着層を形成した。その他は、実施例1と同様の方法で、実施例4に係る積層体を得た。
【0040】
<実施例5>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが15μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。他方、ポリオールとしてポリエーテルポリオール、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=5:95となるよう混合した塗工液を調製した。そして、前記ポリアミドフィルムのコロナ処理面に、前記塗工液を塗工して接着層を形成した。そして、押し出し機からランダムポリプロピレンを溶融状態で押し出して前記接着層上に積層し、同時にシーラント層として直鎖低密度ポリエチレンフィルム(厚み40μm)を前記押し出し樹脂に貼り合わせて、実施例5に係る積層体を得た。なお、接着層の乾燥後の厚み、押し出し樹脂の厚み、押し出し加工速度は、いずれも、実施例1と同様である。
【0041】
<実施例6>
基材として、一方の面にポリウレタン系樹脂コートを施した厚みが12μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。接着層として、ポリオールとしてアクリルポリオール、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=5:95となるよう混合した塗工液を使用した。その他は実施例1と同様の方法で実施例6に係る積層体を得た。
【0042】
<実施例7>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが20μmの未静防タイプの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。接着層として、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=5:95となるよう混合した塗工液を使用した。この他は実施例1と同様の方法で実施例7に係る積層体を得た。
【0043】
<実施例8>
基材として、厚みが15μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。接着層として、ポリオールを含有せず、キシリレンジイソシアネートのアダクトタイプを含有する塗布液を使用した。この他は実施例1と同様の方法で実施例8に係る積層体を得た。
【0044】
<実施例9>
基材として、厚みが15μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用し
た。接着層として、ポリオールを含有せず、キシリレンジイソシアネートのアダクトタイプを含有する塗工液を使用した。シーラント層にエチレン−メタクリル酸共重合体を使用した以外は実施例1と同様の方法で実施例9に係る積層体を得た。
【0045】
<実施例10>
基材として、厚みが15μmの両面コロナ処理のポリアミドフィルム(含水率0.5%以上)を使用した。他方、ポリオールを含有せず、キシリレンジイソシアネートのアダクトタイプを含有する塗工液を調製した。そして、前記ポリアミドフィルムのコロナ処理面に、前記塗工液を塗工して接着層を形成した。そして、押し出し機から直鎖低密度ポリエチレンを溶融状態で押し出し、その接着層側にオゾン処理を施した後、前記接着層上に積層し、同時にシーラント層として直鎖低密度ポリエチレンフィルム(厚み40μm)を前記押し出し樹脂上に貼り合わせて、実施例10に係る積層体を得た。なお、接着層の乾燥後の厚み、押し出し樹脂の厚み、押し出し加工速度は、いずれも、実施例1と同様である。
【0046】
<比較例1>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが12μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。接着層として、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートのアダクトタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=75:25となるよう混合した塗工液を使用した。ポリオレフィン系樹脂を使用せず、前記接着層上に、直接、シーラント層を積層して比較例1に係る積層体を得た。なお、シーラント層としては低密度ポリエチレンを使用し、この低密度ポリエチレンを、前記接着層上に溶融状態で押し出すことにより積層した。なお、その押し出し加工速度は80m/minである。
【0047】
<比較例2>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが15μmのノーマルタイプの二軸延伸ポリアミドフィルム(含水率0.5%以上)を使用した。接着層として、ポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートのアダクトタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=75:25となるよう混合した塗工液を使用した。シーラント層として、エチレン−メタクリル酸共重合体を使用した。その他は比較例1と同様の方法で、比較例2に係る積層体を得た。
【0048】
<比較例3>
基材として、一方の面にコロナ処理を施した厚みが20μmの未静防タイプの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。接着層としてポリオールとしてポリエステルポリオール、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプを、重量比でポリオール:イソシアネート化合物=75:25となるよう混合した塗工液を使用した。シーラント層としてランダムポリプロピレンを使用した。その他は比較例1と同様の方法で、比較例3に係る積層体を得た。
【0049】
以上のようにして得られた実施例1〜10、比較例1〜3のそれぞれの積層体を用いて50℃、3日間エージングを行った後にパウチを作製し、内容物として湿布薬(揮発性の強浸透性物質としてサリチル酸メチルやメントールを含有)と、浴用剤(揮発性の強浸透性物質として香料成分を含有)をそれぞれ充填、密封し、40℃の恒温室内に放置した。
【0050】
3カ月経過後にこれらのパウチを恒温室から取り出し、それぞれのパウチの各種基材とシーラント層間のラミネート強度[N/15mm]を測定し、恒温室に入れる前のパウチにおけるラミネート強度と比較した。このときのラミネート強度の測定条件は、試料幅15mmのT型剥離で、剥離速度300mm/minとした。恒温室投入前と後におけるラ
ミネート強度の測定結果をまとめて表1に示す。また、併せて、パウチ作成直後のヒートシール強度を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1からも明らかなように、実施例1〜10に係る積層体を使用して作製されたパウチの各種基材とシーラント層間におけるラミネート強度は、揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤を入れて40℃で3ヵ月間保存してもほとんど変わらず、初期のラミネート強度を十分に保っている。
【0053】
これに対して、比較例1〜3の積層体を使用して作製されたパウチでは、その初期ラミネート強度では樹脂切れを示すほど強固なラミネート強度を有しているものもあるが、揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤を入れて40℃で3ヵ月間保存した後は、ラミネート強度が1.5[N/15mm]以下に著しく低下しており、湿布薬や浴用剤などの揮発性物質を含む内容物の包装材料には使用に適さないことが判明した。
【0054】
また、ヒートシール強度の点においても、比較例1〜3の積層体を使用して作製されたパウチでは5.0〜15N/15mm程度であるのに対し、実施例1〜10に係る積層体を使用して作製されたパウチはいずれも50〜60N/15mmと高い強度を示すことが確認できた。
【0055】
そして、このため、実施例1〜10に係る積層体は、揮発性物質を含む湿布薬や浴用剤の包装袋用の材料として極めて優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る積層体の概略の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・積層体
2・・・基材
3・・・接着層
4・・・ポリオレフィン系押し出し樹脂層
5・・・シーラント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル、ポリアミドまたはポリオレフィンのいずれかからなる基材の上に、接着層、ポリオレフィン樹脂又はオレフィンと他のモノマーとの共重合樹脂からなり、溶融状態で押し出し製膜されたオレフィン系樹脂層、及びシーラント層がこの順序で設けられていて、接着層がポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかから成るポリオールと、イソシアネート化合物とを、重量比で0:100〜20:80の割合で含有することを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記シーラント層が直鎖低密度ポリエチレンから成ることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記接着層の厚みが1μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記基材が、含水率0.5%以上のポリアミドからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
前記基材の少なくとも接着層側の面に易接着処理層として、ポリエステル系樹脂またはポリウレタン系樹脂をコーティングしてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
香料・薬効成分を含む強浸透性内容物の包装材料を用途とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2007−1225(P2007−1225A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186106(P2005−186106)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】