積層型電子部品の製造方法
【課題】 積層体作成工程に要する工数を減少して製造コストの低減を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS2を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS2に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS2が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS2の2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねる。
【解決手段】 上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS2を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS2に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS2が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS2の2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサ等の積層型電子部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層コンデンサ等の積層型電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える。
【0003】
図1は従前の積層体の一例を示す。この積層体LP1は、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層した後に、各シートの位置決めマーク(Mx,My)が4側面それぞれで露出するように積層体の4側面を部分的に切除することによって作成されている。
【0004】
この積層体LP1に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定するときには、相対する2側面それぞれに存する2つの位置決めマークMxをカメラで撮像して画像処理によりマークMxの中心間を複数に等分するY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、他の2側面それぞれに存する2つの位置決めマークMyをカメラで撮像して画像処理によりマークMyの中心間を複数に等分するX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0005】
図2は従前の積層体の他の例を示す。この積層体LP2は、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層した後に、各シートの位置決めマーク(Mx,My)の上部が上面外周部の4辺それぞれで露出するように積層体の上面に4本の溝GRを♯状に形成することによって作成されている。ここでの位置決めマークはシートに形成された部品対応の導体で代用することもできる。
【0006】
この積層体LP2に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定するときには、相対する2本の溝それぞれに存する2つの位置決めマークMxをカメラで撮像して画像処理によりマークMxの中心間を複数に等分するY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、他の2本の溝それぞれに存する2つの位置決めマークMyをカメラで撮像して画像処理によりマークMyの中心間を複数に等分するX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【特許文献1】特開平8−78272号公報
【特許文献2】特開2000−173881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示した積層体LP1にあっては所期の位置決めマーク(Mx,My)を露出させるために積層体の4側面を部分的に切除する工数が積層体作成工程で必要となり、一方、図2に示した積層体LP2にあっては所期の位置決めマーク(Mx,My)を露出させるために積層体の上面に溝GRを形成する工数が積層体作成工程で必要となる。
【0008】
つまり、図1に示した積層体LP1にあっては側面切除に係る工数を無くすことができれば、一方、図2に示した積層体LP2にあっては溝形成に係る工数を無くすことができれば、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、積層体作成工程に要する工数を減少して製造コストの低減を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える積層型電子部品の製造方法であって、前記の積層体作成工程は、矩形状の第1のセラミックグリーンシートと、部品対応の導体が複数形成され、且つ、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状の第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることによって行われる、ことをその特徴とする。
【0011】
この積層型電子部品の製造方法によれば、第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが露出した積層体を作成することができる。つまり、前記の積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層体作成工程に要する工数を減少して製造コストの低減を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供できる。
【0013】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図3〜図10は本発明を積層コンデンサに適用した第1実施形態を示す。
【0015】
まず、積層体LA1(図10参照)を作成する際に用いられる第1,第2セラミックグリーンシートGS1,GS2について説明する。
【0016】
図3は第1セラミックグリーンシートGS1(以下単に第1グリーンシートGS1と言う)の上面図である。この第1グリーンシートGS1は、帯状キャリアフィルムの表面にBaTiO3 等の誘電体粉末を含むセラミックスラリーを所定の厚さで塗工し乾燥して帯状グリーンシートを作成した後、帯状グリーンシートを所定の縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。
【0017】
図4は第2セラミックグリーンシートGS2(以下単に第2グリーンシートGS2と言う)の上面図である。この第2グリーンシートGS2は、第1グリーンシートGS1を得る際に用いた帯状グリーンシートと同様の帯状グリーンシートの表面の幅方向中央部分にNi等の卑金属粉末を含む導体ペーストを所定の形状及び配列で印刷し乾燥して複数の導体(内部電極層)IELと複数の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を形成した後、これらが含まれるように帯状グリーンシートを第1グリーンシートGS1と同じ縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。勿論、この第2グリーンシートGS2は、第1グリーンシートGS1に複数の導体IELと複数の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を形成することで得ることもできる。
【0018】
導体IELはY方向長さ>X方向長さの矩形状を成しており、図面ではY方向に5個の導体IELが間隔をおいて並ぶ列を構成し、この列がX方向に間隔をおいて18個並ぶように形成されている。また、複数の導体IELの配列は完全な行列ではなく、偶数列目は奇数列目に対して〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれている。
【0019】
また、位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4は導体IELに類似した矩形状を成し、図面では上面外周部の4辺それぞれに4個ずつ形成されている。位置決めマークMx1〜Mx4はY方向で相対する2辺に対称に設けられ、位置決めマークMy1〜My4はX方向で相対する2辺に対称に設けられている。
【0020】
Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線は、最も左の列の左端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線は、左から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx3,Mx3の中心を結ぶ線は、右から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx4,Mx4の中心を結ぶ線は、最も右の列の右端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。因みに、本第1実施形態では、位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線と位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線とのX方向の距離Sx1が後述するX方向のずらし距離となっている。
【0021】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線は、偶数列目の上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線は、偶数列目の上から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy3,My3の中心を結ぶ線は、奇数列目の下から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy4,My4の中心を結ぶ線は、奇数列目の下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。因みに、本第1実施形態では、位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線と位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線とのY方向の距離Sy1が後述するY方向のずらし距離となっている。
【0022】
次に、前記の第1グリーンシートGS1及び第2グリーンシートGS2を用いて積層体LA1(図10参照)を作成する工程について説明する。
【0023】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS1,GS2をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS1,GS2を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0024】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を台板の表面に載置する。
【0025】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0026】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0027】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを基準位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図5参照)。図5から分かるように、XYテーブルは基準位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第1グリーンシートGS1の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS2は最上位の第1グリーンシートGS1に対して−X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0028】
続いて、2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、2枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を1枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図5の位置から−X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動させ、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第2グリーンシートGS2を1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図6参照)。図6から分かるように、XYテーブルは図5の位置から−X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動し、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動しているため、1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS2は1枚目の第2グリーンシートGS2に対して+X方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0029】
図4を引用して先に説明したように、X方向のずらし距離Sx1は位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線と位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線とのX方向の距離に相当し、Y方向のずらし距離Sy1は位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線と位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線とのY方向の距離に相当するため、1枚目の第2グリーンシートGS2の導体IEL(図7の破線参照)とその表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS2の導体IEL(図7の実線参照)とは、単位寸法の積層チップ(図7の符号US参照)を得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0030】
続いて、3枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像認識装置で認識する。そして、3枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を2枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図6の位置から+X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて3枚目の第2グリーンシートGS2を2枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図8参照)。図8から分かるように、XYテーブルは図6の位置から+X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動しているため、2枚目の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された3枚目の第2グリーンシートGS2は2枚目の第2グリーンシートGS2に対して−X方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0031】
以後も、第2グリーンシートGS2が所定枚数(図面では偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0032】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を最上位(偶数枚目)の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図6の位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動させて基準位置に復帰させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を最上位の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図9参照)。図9から分かるように、XYテーブルは図6の位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された1枚目の第1グリーンシートGS1は最上位の第2グリーンシートGS2に対して−X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0033】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0034】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0035】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図10に示す積層体LA1を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0036】
この積層体LA1における第2グリーンシートGS2の使用枚数は偶数枚であるので、図10に示すように該積層体LA1を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲には最上位の第2グリーンシートGS2の図中下辺及び右辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出し、且つ、上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中上辺及び左辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出している。
【0037】
また、複数の第2グリーンシートGS2のうち、奇数枚目の第2グリーンシートGS2と偶数枚目の第2グリーンシートGS2とはX方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれているので、最上位の第2グリーンシートGS2の図中下辺に存する位置決めマークMx1,Mx3は上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中上辺に存する位置決めマークMx2,Mx4とY方向でそれぞれ正対し、且つ、最上位の第2グリーンシートGS2の図中右辺に存する位置決めマークMy1,My3は上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中左辺に存する位置決めマークMy2,My4とX方向でそれぞれ正対している。
【0038】
次に、前記の積層体LA1に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図10を参照して説明する。
【0039】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA1から露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0040】
最初に、積層体LA1を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0041】
続いて、積層体LA1の周囲に露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラで撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。
【0042】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx3)の中心間を15等分する計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My3)の中心間を7等分する計8本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0043】
計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0044】
また、計8本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3)の中心間を5等分する6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0045】
積層体LA1に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0046】
そして、分断後の積層チップをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0047】
このように、第1実施形態によれば、第1グリーンシートGS1と第2グリーンシートGS2とを、下側の複数の第1グリーンシートGS1,複数の第2グリーンシートGS2,上側の複数の第1グリーンシートGS1の積層順序となるように、且つ、最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が露出した積層体LA1を作成することができる。
【0048】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0049】
また、前記の積層体作成工程では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS2を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS2に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS2が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS2の2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0050】
さらに、前記の積層体作成工程では、第2グリーンシートGS2を積み重ねるときのずらしの距離及び方向を定めるためのX方向のずらし距離Sx1とY方向のずらし距離Sy1を第2グリーンシートGS2の導体IELの形成配列に応じて予め決めているので、単位寸法の積層チップを得る上で導体IELが適正な位置関係で向き合うように第2グリーンシートGS2を積層することができる。
【0051】
尚、前述の第1実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有するものを第2グリーンシートGS2として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2グリーンシートGS2として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
また、前述の第1実施形態では、第1,第2グリーンシートGS1,GS2を積み重ねるときに利用されるX方向のずらし距離Sx1とY方向のずらし距離Sy1を図4に例示したが、各ずらし距離Sx1,Sy1は、第2グリーンシートGS2を交互にずらして積み重ねる際に導体IELが適正な位置関係で向き合う条件を満足すれば適宜変更しても構わない。
【0053】
[第2実施形態]
図11〜図17は本発明を積層コンデンサに適用した第2実施形態を示す。
【0054】
まず、積層体LA2(図17参照)を作成する際に用いられる第1,第2セラミックグリーンシートGS1,GS3について説明する。尚、第1セラミックグリーンシートGS1は第1実施形態で説明した第1グリーンシートGS1と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0055】
図11は第2セラミックグリーンシートGS3(以下単に第2グリーンシートGS3と言う)の上面図である。この第2グリーンシートGS3は、第1グリーンシートGS1を得る際に用いた帯状グリーンシートと同様の帯状グリーンシートの表面の幅方向中央部分にNi等の卑金属粉末を含む導体ペーストを所定の形状及び配列で印刷して複数の導体(内部電極層)IELと複数の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を形成した後、これらが含まれるように帯状グリーンシートを第1グリーンシートGS1と同じ縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。勿論、この第3グリーンシートGS3は、第1グリーンシートGS1に複数の導体IELと複数の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を形成することでも得ることができる。
【0056】
導体IELはY方向長さ>X方向長さの矩形状を成しており、図面ではY方向に5個の導体IELが間隔をおいて並ぶ列を成し、この列がX方向に間隔をおいて18個並ぶように形成されている。また、複数の導体IELの配列は完全な行列であり、第1実施形態の第2グリーンシートGS2のような列間のずれはない。
【0057】
また、位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8は導体IELに類似した矩形状を成し、図面では上面外周部の4辺それぞれに4個ずつ形成されている。位置決めマークMx5〜Mx8はY方向で相対する2辺に対称に設けられ、位置決めマークMy5〜My8はX方向で相対する2辺に対称に設けられている。
【0058】
Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線は、最も左の列の左端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線は、左から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx7,Mx7の中心を結ぶ線は、右から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx8,Mx8の中心を結ぶ線は、最も右の列の右端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。因みに、本第2実施形態では、位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線と位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線とのX方向の距離Sx2が後述するX方向のずらし距離となっている。
【0059】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線は、上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線は、上から2行目と3行目の中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy7,My7の中心を結ぶ線は、下から2行目と3行目の中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy8,My8の中心を結ぶ線は、下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。因みに、本第2実施形態では、位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線と位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線とのY方向の距離Sy2が後述するY方向のずらし距離となっている。
【0060】
次に、前記の第1グリーンシートGS1及び第2グリーンシートGS3を用いて積層体LA2(図17参照)を作成する工程について説明する。
【0061】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS1,GS3をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS1,GS3を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0062】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を台板の表面に載置する。
【0063】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0064】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0065】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを基準位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS3を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図12参照)。図12から分かるように、XYテーブルは基準位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第1グリーンシートGS1の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS3は最上位の第1グリーンシートGS1に対して−X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0066】
続いて、2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。そして、2枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を1枚目の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図12の位置から−X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動させ、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第2グリーンシートGS3を1枚目の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図13参照)。図13から分かるように、XYテーブルは図12の位置から−X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動し、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動しているため、1枚目の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS3は1枚目の第2グリーンシートGS3に対して+X方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0067】
図11を引用して先に説明したように、X方向のずらし距離Sx2は位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線と位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線とのX方向の距離に相当し、Y方向のずらし距離Sy2は位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線と位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線とのY方向の距離に相当するため、1枚目の第2グリーンシートGS3の導体IEL(図14の破線参照)とその表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS3の導体IEL(図14の実線参照)とは、単位寸法の積層チップ(図14の符号US参照)を得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0068】
続いて、3枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像認識装置で認識する。そして、3枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を2枚目の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図13の位置から+X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて3枚目の第2グリーンシートGS3を2枚目の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図15参照)。図15から分かるように、XYテーブルは図13の位置から+X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動しているため、2枚目の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された3枚目の第2グリーンシートGS3は2枚目の第2グリーンシートGS3に対して−X方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0069】
以後も、第2グリーンシートGS3が所定枚数(図面では偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0070】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を最上位(偶数枚目)の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図13の位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動させて基準位置に復帰させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を最上位の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図16参照)。図16から分かるように、XYテーブルは図13の位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された1枚目の第1グリーンシートGS1は最上位の第2グリーンシートGS3に対して−X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0071】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0072】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0073】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図17に示す積層体LA2を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0074】
この積層体LA2における第2グリーンシートGS3の使用枚数は偶数枚であるので、図10に示すように該積層体LA2を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲には最上位の第2グリーンシートGS3の図中下辺及び右辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8及びMy5〜My8の一部が露出し、且つ、上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中上辺及び左辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8及びMy5〜My8の一部が露出している。
【0075】
また、複数の第2グリーンシートGS3のうち、奇数枚目の第2グリーンシートGS3と偶数枚目の第2グリーンシートGS3とはX方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれているので、最上位の第2グリーンシートGS3の図中下辺に存する位置決めマークMx5,Mx7は上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中上辺に存する位置決めマークMx6,Mx8とY方向でそれぞれ正対し、且つ、最上位の第2グリーンシートGS3の図中右辺に存する位置決めマークMy5,My7は上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中左辺に存する位置決めマークMy6,My8とX方向でそれぞれ正対している。
【0076】
次に、前記の積層体LA2に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図17を参照して説明する。
【0077】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA2から露出している位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0078】
最初に、積層体LA2を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0079】
続いて、積層体LA2の周囲に露出している位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラで撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。
【0080】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx8(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx7)の中心間を15等分する計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy6,My8(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy5,My7)の中心間を5等分する計6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0081】
計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx7(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx7)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx7,Mx8(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx6)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0082】
また、計6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy6,My7(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy6,My7)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy7,My8(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx6)の中心間を3等分する4本のX方向の分断ラインLx(4本のうちの1本は前記3本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0083】
積層体LA2に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0084】
そして、分断後の積層チップLCをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0085】
このように、第2実施形態によれば、第1グリーンシートGS1と第2グリーンシートGS3とを、下側の複数の第1グリーンシートGS1,複数の第2グリーンシートGS3,上側の複数の第1グリーンシートGS1の積層順序となるように、且つ、最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が露出した積層体LA2を作成することができる。
【0086】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
つまり、前記の積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0088】
また、前記の積層体作成工程では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS3を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS3に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS3が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS3の2辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0089】
さらに、前記の積層体作成工程では、第2グリーンシートGS3を積み重ねるときのずらしの距離及び方向を定めるためのX方向のずらし距離Sx2とY方向のずらし距離Sy2を第2グリーンシートGS3の導体IELの形成配列に応じて予め決めているので、単位寸法の積層チップを得る上で導体IELが適正な位置関係で向き合うように第2グリーンシートGS3を積層することができる。
【0090】
尚、前述の第2実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を有するものを第2グリーンシートGS3として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2グリーンシートGS3として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
また、前述の第2実施形態では、第1,第2グリーンシートGS1,GS3を積み重ねるときに利用されるX方向のずらし距離Sx2とY方向のずらし距離Sy2を図11に例示したが、各ずらし距離Sx2,Sy2は、第2グリーンシートGS3を交互にずらして積み重ねる際に導体IELが適正な位置関係で向き合う条件を満足すれば適宜変更しても構わない。
[第3実施形態]
図18〜図23は本発明を積層コンデンサに適用した第3実施形態を示す。
【0092】
まず、積層体LA3(図23参照)を作成する際に用いられる第1,第2,第3セラミックグリーンシートGS4,GS2,GS5について説明する。尚、第2セラミックグリーンシートGS2は第1実施形態で説明した第2グリーンシートGS2と同じであるので、ここでの説明を省略する。また、本第3実施形態における第2,第3セラミックグリーンシートGS2,GS5は、請求範囲における「導体の形成配列が異なる2種類の第2のセラミックグリーンシート」に相当する。
【0093】
図18は第1セラミックグリーンシートGS4(以下単に第1グリーンシートGS4と言う)の上面図である。この第1グリーンシートGS4は、帯状キャリアフィルムの表面にBaTiO3 等の誘電体粉末を含むセラミックスラリーを所定の厚さで塗工し乾燥して帯状グリーンシートを作成した後、帯状グリーンシートを所定の縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。この第1グリーンシートGS4のサイズ(縦横寸法)は第2,第3セラミックグリーンシートGS2,GS5よりも小さい。
【0094】
図19は第3グリーンシートGS5(以下単に第3グリーンシートGS5と言う)の上面図である。この第3グリーンシートGS5が図4に示した第2グリーンシートGS2と異なるところは導体IELの形成配列が異なる点にあり、他の構成は第2グリーンシートGS2と同じであるため同一符号を用いその説明を省略する。
【0095】
即ち、第2グリーンシートGS2(図4参照)は複数の導体IELの偶数列目が奇数列目よりも〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれているが、この第3グリーンシートGS5は複数の導体IELの奇数列目が偶数列目よりも〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれている。
【0096】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線は、奇数列目の上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線は、奇数列目の上から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy3,My3の中心を結ぶ線は、偶数列目の下から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy4,My4の中心を結ぶ線は、偶数列目の下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。
【0097】
次に、前記の第1グリーンシートGS4,第2グリーンシートGS2及び第3グリーンシートGS5を用いて積層体LA3(図23参照)を作成する工程について説明する。
【0098】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS4,GS2,GS5をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2,第3グリーンシートGS2,GS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS4,GS2,GS5を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0099】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS4を構成する1枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS4を台板の表面に載置する。
【0100】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS4上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4の表面に載置して仮圧着を行う。
【0101】
以後も、第1グリーンシートGS4が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS4は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0102】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図20参照)。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、最上位の第1グリーンシートGS4の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS2の中心は最上位の第1グリーンシートGS4の中心とほぼ一致した状態となる。
【0103】
続いて、1枚目の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第3グリーンシートGS5を吸着ヘッドで保持し、該第3グリーンシートGS5を1枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第3グリーンシートGS5を1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図21参照)。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるが、先のマーク認識によって載置する位置を補正する必要があるときには、搬送動作の過程でXYテーブルの位置を補正しておく。
【0104】
図21を引用して先に説明したように、第3グリーンシートGS5は第2グリーンシートGS2と導体IELの形成配列が異なるため、1枚目の第2グリーンシートGS2の導体IELとその表面に仮圧着された1枚目の第3グリーンシートGS5の導体IELとは、単位寸法の積層チップを得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0105】
以後も、第2,第3グリーンシートGS2,GS5が交互に所定枚数(偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0106】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS4を構成する1枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4を最上位(偶数枚目)の第3グリーンシートGS5上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS4を最上位の第3グリーンシートGS5の表面に載置して仮圧着を行う(図22参照)。
【0107】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4の表面に載置して仮圧着を行う。
【0108】
以後も、第1グリーンシートGS4が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS4は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0109】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図23に示す積層体LA3を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0110】
この積層体LA3における第2,第3グリーンシートGS2,GS5の合計使用枚数は偶数枚であるので、図23に示すように該積層体LA3を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲には最上位の第3グリーンシートGS5の4辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出している。
【0111】
次に、前記の積層体LA3に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図23を参照して説明する。
【0112】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA3から露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0113】
最初に、積層体LA3を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0114】
続いて、積層体LA3の周囲に露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラで撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。
【0115】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx4)の中心間を18等分する計19本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy1,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My4)の中心間を9等分する計10本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0116】
計19本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)と図中上辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)とをXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0117】
また、計10本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3)の中心間を5等分する6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)と図中左辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0118】
積層体LA1に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0119】
そして、分断後の積層チップをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0120】
このように、第3実施形態によれば、第1グリーンシートGS4と第2グリーンシートGS2と第3グリーンシートGS5とを、下側の複数の第1グリーンシートGS4,複数の第2,第3グリーンシートGS2,GS5,上側の複数の第1グリーンシートGS4の積層順序となるように、且つ、最上位の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲に最上位の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が露出した積層体LA3を作成することができる。
【0121】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0122】
また、前記の積層体作成工程では、第2,第3グリーンシートGS2,GS5よりもサイズが小さなものを第1グリーンシートGS4として用いると共に、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が異なる2種類の第2,第3グリーンシートGS2,GS5を用い、2種類の第2,第3グリーンシートGS2,GS5をずらさずに交互に積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS4を、最上位の第3グリーンシートGS5の全ての位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0123】
尚、前述の第3実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有するものを第2,第3グリーンシートGS2,GS5として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2,第3グリーンシートGS2,GS5として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
以上、第1〜第3実施形態では本発明を積層コンデンサに適用した例を示したが、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを製造工程として備える積層型電子部品であれば、積層コンデンサに限らず、積層インダクタ,積層バリスタ,積層サーミスタ等の他の積層型電子部品にも適用して前記同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】従前の積層体の一例を示す斜視図である。
【図2】従前の積層体の他の例を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る第1グリーンシートの上面図である。
【図4】第1実施形態に係る第2グリーンシートの上面図である。
【図5】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図6】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図7】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図8】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図9】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図10】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【図11】第2実施形態に係る第2セラミックグリーンシートの上面図である。
【図12】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図13】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図14】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図15】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図16】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図17】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【図18】第3実施形態に係る第1セラミックグリーンシートの上面図である。
【図19】第3実施形態に係る第3セラミックグリーンシートの上面図である。
【図20】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図21】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図22】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図23】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【符号の説明】
【0126】
GS1,GS4…第1グリーンシート、GS2,GS3…第2グリーンシート、GS5…第3グリーンシート、Mx1〜Mx4,My1〜My4,Mx5〜Mx8,My5〜My8…位置決めマーク、Sx1,Sx2…X方向のずらし距離、Sy1,Sy2…Y方向のずらし距離、LA1,LA2,LA3…積層体、Lx,Ly…分断ライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサ等の積層型電子部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層コンデンサ等の積層型電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える。
【0003】
図1は従前の積層体の一例を示す。この積層体LP1は、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層した後に、各シートの位置決めマーク(Mx,My)が4側面それぞれで露出するように積層体の4側面を部分的に切除することによって作成されている。
【0004】
この積層体LP1に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定するときには、相対する2側面それぞれに存する2つの位置決めマークMxをカメラで撮像して画像処理によりマークMxの中心間を複数に等分するY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、他の2側面それぞれに存する2つの位置決めマークMyをカメラで撮像して画像処理によりマークMyの中心間を複数に等分するX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0005】
図2は従前の積層体の他の例を示す。この積層体LP2は、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層した後に、各シートの位置決めマーク(Mx,My)の上部が上面外周部の4辺それぞれで露出するように積層体の上面に4本の溝GRを♯状に形成することによって作成されている。ここでの位置決めマークはシートに形成された部品対応の導体で代用することもできる。
【0006】
この積層体LP2に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定するときには、相対する2本の溝それぞれに存する2つの位置決めマークMxをカメラで撮像して画像処理によりマークMxの中心間を複数に等分するY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、他の2本の溝それぞれに存する2つの位置決めマークMyをカメラで撮像して画像処理によりマークMyの中心間を複数に等分するX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【特許文献1】特開平8−78272号公報
【特許文献2】特開2000−173881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示した積層体LP1にあっては所期の位置決めマーク(Mx,My)を露出させるために積層体の4側面を部分的に切除する工数が積層体作成工程で必要となり、一方、図2に示した積層体LP2にあっては所期の位置決めマーク(Mx,My)を露出させるために積層体の上面に溝GRを形成する工数が積層体作成工程で必要となる。
【0008】
つまり、図1に示した積層体LP1にあっては側面切除に係る工数を無くすことができれば、一方、図2に示した積層体LP2にあっては溝形成に係る工数を無くすことができれば、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、積層体作成工程に要する工数を減少して製造コストの低減を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える積層型電子部品の製造方法であって、前記の積層体作成工程は、矩形状の第1のセラミックグリーンシートと、部品対応の導体が複数形成され、且つ、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状の第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることによって行われる、ことをその特徴とする。
【0011】
この積層型電子部品の製造方法によれば、第1のセラミックグリーンシートと第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが露出した積層体を作成することができる。つまり、前記の積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層体作成工程に要する工数を減少して製造コストの低減を図ることができる積層型電子部品の製造方法を提供できる。
【0013】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図3〜図10は本発明を積層コンデンサに適用した第1実施形態を示す。
【0015】
まず、積層体LA1(図10参照)を作成する際に用いられる第1,第2セラミックグリーンシートGS1,GS2について説明する。
【0016】
図3は第1セラミックグリーンシートGS1(以下単に第1グリーンシートGS1と言う)の上面図である。この第1グリーンシートGS1は、帯状キャリアフィルムの表面にBaTiO3 等の誘電体粉末を含むセラミックスラリーを所定の厚さで塗工し乾燥して帯状グリーンシートを作成した後、帯状グリーンシートを所定の縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。
【0017】
図4は第2セラミックグリーンシートGS2(以下単に第2グリーンシートGS2と言う)の上面図である。この第2グリーンシートGS2は、第1グリーンシートGS1を得る際に用いた帯状グリーンシートと同様の帯状グリーンシートの表面の幅方向中央部分にNi等の卑金属粉末を含む導体ペーストを所定の形状及び配列で印刷し乾燥して複数の導体(内部電極層)IELと複数の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を形成した後、これらが含まれるように帯状グリーンシートを第1グリーンシートGS1と同じ縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。勿論、この第2グリーンシートGS2は、第1グリーンシートGS1に複数の導体IELと複数の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を形成することで得ることもできる。
【0018】
導体IELはY方向長さ>X方向長さの矩形状を成しており、図面ではY方向に5個の導体IELが間隔をおいて並ぶ列を構成し、この列がX方向に間隔をおいて18個並ぶように形成されている。また、複数の導体IELの配列は完全な行列ではなく、偶数列目は奇数列目に対して〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれている。
【0019】
また、位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4は導体IELに類似した矩形状を成し、図面では上面外周部の4辺それぞれに4個ずつ形成されている。位置決めマークMx1〜Mx4はY方向で相対する2辺に対称に設けられ、位置決めマークMy1〜My4はX方向で相対する2辺に対称に設けられている。
【0020】
Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線は、最も左の列の左端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線は、左から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx3,Mx3の中心を結ぶ線は、右から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx4,Mx4の中心を結ぶ線は、最も右の列の右端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。因みに、本第1実施形態では、位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線と位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線とのX方向の距離Sx1が後述するX方向のずらし距離となっている。
【0021】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線は、偶数列目の上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線は、偶数列目の上から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy3,My3の中心を結ぶ線は、奇数列目の下から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy4,My4の中心を結ぶ線は、奇数列目の下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。因みに、本第1実施形態では、位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線と位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線とのY方向の距離Sy1が後述するY方向のずらし距離となっている。
【0022】
次に、前記の第1グリーンシートGS1及び第2グリーンシートGS2を用いて積層体LA1(図10参照)を作成する工程について説明する。
【0023】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS1,GS2をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS1,GS2を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0024】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を台板の表面に載置する。
【0025】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0026】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0027】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを基準位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図5参照)。図5から分かるように、XYテーブルは基準位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第1グリーンシートGS1の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS2は最上位の第1グリーンシートGS1に対して−X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0028】
続いて、2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、2枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を1枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図5の位置から−X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動させ、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第2グリーンシートGS2を1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図6参照)。図6から分かるように、XYテーブルは図5の位置から−X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動し、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動しているため、1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS2は1枚目の第2グリーンシートGS2に対して+X方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0029】
図4を引用して先に説明したように、X方向のずらし距離Sx1は位置決めマークMx1,Mx1の中心を結ぶ線と位置決めマークMx2,Mx2の中心を結ぶ線とのX方向の距離に相当し、Y方向のずらし距離Sy1は位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線と位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線とのY方向の距離に相当するため、1枚目の第2グリーンシートGS2の導体IEL(図7の破線参照)とその表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS2の導体IEL(図7の実線参照)とは、単位寸法の積層チップ(図7の符号US参照)を得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0030】
続いて、3枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像認識装置で認識する。そして、3枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を2枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図6の位置から+X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて3枚目の第2グリーンシートGS2を2枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図8参照)。図8から分かるように、XYテーブルは図6の位置から+X方向に〔Sx1〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1〕に合致する距離移動しているため、2枚目の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された3枚目の第2グリーンシートGS2は2枚目の第2グリーンシートGS2に対して−X方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0031】
以後も、第2グリーンシートGS2が所定枚数(図面では偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0032】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を最上位(偶数枚目)の第2グリーンシートGS2上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図6の位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動させて基準位置に復帰させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を最上位の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図9参照)。図9から分かるように、XYテーブルは図6の位置から+X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第2グリーンシートGS2の表面に仮圧着された1枚目の第1グリーンシートGS1は最上位の第2グリーンシートGS2に対して−X方向に〔Sx1/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy1/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0033】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0034】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0035】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図10に示す積層体LA1を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0036】
この積層体LA1における第2グリーンシートGS2の使用枚数は偶数枚であるので、図10に示すように該積層体LA1を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲には最上位の第2グリーンシートGS2の図中下辺及び右辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出し、且つ、上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中上辺及び左辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出している。
【0037】
また、複数の第2グリーンシートGS2のうち、奇数枚目の第2グリーンシートGS2と偶数枚目の第2グリーンシートGS2とはX方向に〔Sx1〕に合致する距離ずれ、且つ、Y方向に〔Sy1〕に合致する距離ずれているので、最上位の第2グリーンシートGS2の図中下辺に存する位置決めマークMx1,Mx3は上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中上辺に存する位置決めマークMx2,Mx4とY方向でそれぞれ正対し、且つ、最上位の第2グリーンシートGS2の図中右辺に存する位置決めマークMy1,My3は上から2枚目の第2グリーンシートGS2の図中左辺に存する位置決めマークMy2,My4とX方向でそれぞれ正対している。
【0038】
次に、前記の積層体LA1に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図10を参照して説明する。
【0039】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA1から露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0040】
最初に、積層体LA1を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0041】
続いて、積層体LA1の周囲に露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラで撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。
【0042】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx3)の中心間を15等分する計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My3)の中心間を7等分する計8本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0043】
計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0044】
また、計8本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3)の中心間を5等分する6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0045】
積層体LA1に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0046】
そして、分断後の積層チップをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0047】
このように、第1実施形態によれば、第1グリーンシートGS1と第2グリーンシートGS2とを、下側の複数の第1グリーンシートGS1,複数の第2グリーンシートGS2,上側の複数の第1グリーンシートGS1の積層順序となるように、且つ、最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が露出した積層体LA1を作成することができる。
【0048】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0049】
また、前記の積層体作成工程では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS2を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS2に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS2が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS2の2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4と上から2枚目の第2グリーンシートGS2の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0050】
さらに、前記の積層体作成工程では、第2グリーンシートGS2を積み重ねるときのずらしの距離及び方向を定めるためのX方向のずらし距離Sx1とY方向のずらし距離Sy1を第2グリーンシートGS2の導体IELの形成配列に応じて予め決めているので、単位寸法の積層チップを得る上で導体IELが適正な位置関係で向き合うように第2グリーンシートGS2を積層することができる。
【0051】
尚、前述の第1実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有するものを第2グリーンシートGS2として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2グリーンシートGS2として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
また、前述の第1実施形態では、第1,第2グリーンシートGS1,GS2を積み重ねるときに利用されるX方向のずらし距離Sx1とY方向のずらし距離Sy1を図4に例示したが、各ずらし距離Sx1,Sy1は、第2グリーンシートGS2を交互にずらして積み重ねる際に導体IELが適正な位置関係で向き合う条件を満足すれば適宜変更しても構わない。
【0053】
[第2実施形態]
図11〜図17は本発明を積層コンデンサに適用した第2実施形態を示す。
【0054】
まず、積層体LA2(図17参照)を作成する際に用いられる第1,第2セラミックグリーンシートGS1,GS3について説明する。尚、第1セラミックグリーンシートGS1は第1実施形態で説明した第1グリーンシートGS1と同じであるので、ここでの説明を省略する。
【0055】
図11は第2セラミックグリーンシートGS3(以下単に第2グリーンシートGS3と言う)の上面図である。この第2グリーンシートGS3は、第1グリーンシートGS1を得る際に用いた帯状グリーンシートと同様の帯状グリーンシートの表面の幅方向中央部分にNi等の卑金属粉末を含む導体ペーストを所定の形状及び配列で印刷して複数の導体(内部電極層)IELと複数の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を形成した後、これらが含まれるように帯状グリーンシートを第1グリーンシートGS1と同じ縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。勿論、この第3グリーンシートGS3は、第1グリーンシートGS1に複数の導体IELと複数の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を形成することでも得ることができる。
【0056】
導体IELはY方向長さ>X方向長さの矩形状を成しており、図面ではY方向に5個の導体IELが間隔をおいて並ぶ列を成し、この列がX方向に間隔をおいて18個並ぶように形成されている。また、複数の導体IELの配列は完全な行列であり、第1実施形態の第2グリーンシートGS2のような列間のずれはない。
【0057】
また、位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8は導体IELに類似した矩形状を成し、図面では上面外周部の4辺それぞれに4個ずつ形成されている。位置決めマークMx5〜Mx8はY方向で相対する2辺に対称に設けられ、位置決めマークMy5〜My8はX方向で相対する2辺に対称に設けられている。
【0058】
Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線は、最も左の列の左端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線は、左から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx7,Mx7の中心を結ぶ線は、右から3列目と4列目の中心を通る。Y方向で向き合う2個の位置決めマークMx8,Mx8の中心を結ぶ線は、最も右の列の右端に〔導体IELのX方向間隔/2〕に合致した距離を加算した位置を通る。因みに、本第2実施形態では、位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線と位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線とのX方向の距離Sx2が後述するX方向のずらし距離となっている。
【0059】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線は、上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線は、上から2行目と3行目の中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy7,My7の中心を結ぶ線は、下から2行目と3行目の中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy8,My8の中心を結ぶ線は、下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。因みに、本第2実施形態では、位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線と位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線とのY方向の距離Sy2が後述するY方向のずらし距離となっている。
【0060】
次に、前記の第1グリーンシートGS1及び第2グリーンシートGS3を用いて積層体LA2(図17参照)を作成する工程について説明する。
【0061】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS1,GS3をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS1,GS3を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0062】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を台板の表面に載置する。
【0063】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0064】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0065】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを基準位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS3を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図12参照)。図12から分かるように、XYテーブルは基準位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第1グリーンシートGS1の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS3は最上位の第1グリーンシートGS1に対して−X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0066】
続いて、2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。そして、2枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を1枚目の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図12の位置から−X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動させ、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第2グリーンシートGS3を1枚目の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図13参照)。図13から分かるように、XYテーブルは図12の位置から−X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動し、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動しているため、1枚目の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS3は1枚目の第2グリーンシートGS3に対して+X方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0067】
図11を引用して先に説明したように、X方向のずらし距離Sx2は位置決めマークMx5,Mx5の中心を結ぶ線と位置決めマークMx6,Mx6の中心を結ぶ線とのX方向の距離に相当し、Y方向のずらし距離Sy2は位置決めマークMy5,My5の中心を結ぶ線と位置決めマークMy6,My6の中心を結ぶ線とのY方向の距離に相当するため、1枚目の第2グリーンシートGS3の導体IEL(図14の破線参照)とその表面に仮圧着された2枚目の第2グリーンシートGS3の導体IEL(図14の実線参照)とは、単位寸法の積層チップ(図14の符号US参照)を得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0068】
続いて、3枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラして撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像認識装置で認識する。そして、3枚目の第2グリーンシートGS3を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS3を2枚目の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図13の位置から+X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて3枚目の第2グリーンシートGS3を2枚目の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図15参照)。図15から分かるように、XYテーブルは図13の位置から+X方向に〔Sx2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2〕に合致する距離移動しているため、2枚目の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された3枚目の第2グリーンシートGS3は2枚目の第2グリーンシートGS3に対して−X方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0069】
以後も、第2グリーンシートGS3が所定枚数(図面では偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0070】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS1を構成する1枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を最上位(偶数枚目)の第2グリーンシートGS3上に搬送する。この搬送動作の過程ではXYテーブルを図13の位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動させ、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動させて基準位置に復帰させておく。そして、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS1を最上位の第2グリーンシートGS3の表面に載置して仮圧着を行う(図16参照)。図16から分かるように、XYテーブルは図13の位置から+X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離移動し、且つ、+Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離移動しているため、最上位の第2グリーンシートGS3の表面に仮圧着された1枚目の第1グリーンシートGS1は最上位の第2グリーンシートGS3に対して−X方向に〔Sx2/2〕に合致する距離ずれ、且つ、−Y方向に〔Sy2/2〕に合致する距離ずれた状態、即ち、対角線方向に矢印に相当する距離ずれた状態となる。
【0071】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS1を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS1を1枚目の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う。
【0072】
以後も、第1グリーンシートGS1が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS1は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0073】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図17に示す積層体LA2を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0074】
この積層体LA2における第2グリーンシートGS3の使用枚数は偶数枚であるので、図10に示すように該積層体LA2を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲には最上位の第2グリーンシートGS3の図中下辺及び右辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8及びMy5〜My8の一部が露出し、且つ、上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中上辺及び左辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8及びMy5〜My8の一部が露出している。
【0075】
また、複数の第2グリーンシートGS3のうち、奇数枚目の第2グリーンシートGS3と偶数枚目の第2グリーンシートGS3とはX方向に〔Sx2〕に合致する距離ずれ、且つ、Y方向に〔Sy2〕に合致する距離ずれているので、最上位の第2グリーンシートGS3の図中下辺に存する位置決めマークMx5,Mx7は上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中上辺に存する位置決めマークMx6,Mx8とY方向でそれぞれ正対し、且つ、最上位の第2グリーンシートGS3の図中右辺に存する位置決めマークMy5,My7は上から2枚目の第2グリーンシートGS3の図中左辺に存する位置決めマークMy6,My8とX方向でそれぞれ正対している。
【0076】
次に、前記の積層体LA2に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図17を参照して説明する。
【0077】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA2から露出している位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0078】
最初に、積層体LA2を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0079】
続いて、積層体LA2の周囲に露出している位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8をカメラで撮像して各位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8の位置を画像処理装置で認識する。
【0080】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx8(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx7)の中心間を15等分する計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy6,My8(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy5,My7)の中心間を5等分する計6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0081】
計16本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx7(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx6,Mx7)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx7,Mx8(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx6)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0082】
また、計6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy6,My7(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy6,My7)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy7,My8(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMx5,Mx6)の中心間を3等分する4本のX方向の分断ラインLx(4本のうちの1本は前記3本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0083】
積層体LA2に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0084】
そして、分断後の積層チップLCをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0085】
このように、第2実施形態によれば、第1グリーンシートGS1と第2グリーンシートGS3とを、下側の複数の第1グリーンシートGS1,複数の第2グリーンシートGS3,上側の複数の第1グリーンシートGS1の積層順序となるように、且つ、最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS1の周囲に最上位と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が露出した積層体LA2を作成することができる。
【0086】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
つまり、前記の積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0088】
また、前記の積層体作成工程では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を有し、且つ、導体IELの形成配列が等しい1種類の第2グリーンシートGS3を用い、奇数枚目の第2グリーンシートGS3に対して偶数枚目の第2グリーンシートGS3が対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS1を、最上位の第2グリーンシートGS3の2辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8と上から2枚目の第2グリーンシートGS3の前記とは異なる2辺に存する位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0089】
さらに、前記の積層体作成工程では、第2グリーンシートGS3を積み重ねるときのずらしの距離及び方向を定めるためのX方向のずらし距離Sx2とY方向のずらし距離Sy2を第2グリーンシートGS3の導体IELの形成配列に応じて予め決めているので、単位寸法の積層チップを得る上で導体IELが適正な位置関係で向き合うように第2グリーンシートGS3を積層することができる。
【0090】
尚、前述の第2実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx5〜Mx8,My5〜My8を有するものを第2グリーンシートGS3として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2グリーンシートGS3として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
また、前述の第2実施形態では、第1,第2グリーンシートGS1,GS3を積み重ねるときに利用されるX方向のずらし距離Sx2とY方向のずらし距離Sy2を図11に例示したが、各ずらし距離Sx2,Sy2は、第2グリーンシートGS3を交互にずらして積み重ねる際に導体IELが適正な位置関係で向き合う条件を満足すれば適宜変更しても構わない。
[第3実施形態]
図18〜図23は本発明を積層コンデンサに適用した第3実施形態を示す。
【0092】
まず、積層体LA3(図23参照)を作成する際に用いられる第1,第2,第3セラミックグリーンシートGS4,GS2,GS5について説明する。尚、第2セラミックグリーンシートGS2は第1実施形態で説明した第2グリーンシートGS2と同じであるので、ここでの説明を省略する。また、本第3実施形態における第2,第3セラミックグリーンシートGS2,GS5は、請求範囲における「導体の形成配列が異なる2種類の第2のセラミックグリーンシート」に相当する。
【0093】
図18は第1セラミックグリーンシートGS4(以下単に第1グリーンシートGS4と言う)の上面図である。この第1グリーンシートGS4は、帯状キャリアフィルムの表面にBaTiO3 等の誘電体粉末を含むセラミックスラリーを所定の厚さで塗工し乾燥して帯状グリーンシートを作成した後、帯状グリーンシートを所定の縦横寸法で矩形状に抜き取ったものである。この第1グリーンシートGS4のサイズ(縦横寸法)は第2,第3セラミックグリーンシートGS2,GS5よりも小さい。
【0094】
図19は第3グリーンシートGS5(以下単に第3グリーンシートGS5と言う)の上面図である。この第3グリーンシートGS5が図4に示した第2グリーンシートGS2と異なるところは導体IELの形成配列が異なる点にあり、他の構成は第2グリーンシートGS2と同じであるため同一符号を用いその説明を省略する。
【0095】
即ち、第2グリーンシートGS2(図4参照)は複数の導体IELの偶数列目が奇数列目よりも〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれているが、この第3グリーンシートGS5は複数の導体IELの奇数列目が偶数列目よりも〔{導体IELのY方向長さ+導体IELのY方向間隔}/2〕に合致した距離だけ−Y方向にずれている。
【0096】
X方向で向き合う2個の位置決めマークMy1,My1の中心を結ぶ線は、奇数列目の上から1行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy2,My2の中心を結ぶ線は、奇数列目の上から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy3,My3の中心を結ぶ線は、偶数列目の下から2行目の導体IELのY方向中心を通る。X方向で向き合う2個の位置決めマークMy4,My4の中心を結ぶ線は、偶数列目の下から1行目の導体IELのY方向中心を通る。
【0097】
次に、前記の第1グリーンシートGS4,第2グリーンシートGS2及び第3グリーンシートGS5を用いて積層体LA3(図23参照)を作成する工程について説明する。
【0098】
図示を省略したが、この積層体作成工程では、積層用のXYテーブルと、各グリーンシートGS4,GS2,GS5をXYテーブル上に搬送して積み重ね及び仮圧着を行うヒータ内蔵の吸着ヘッドと、搬送前の第2,第3グリーンシートGS2,GS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。吸着ヘッドが各グリーンシートGS4,GS2,GS5を保持する際の両者の位置関係は同じであり、吸着ヘッドが積み重ね及び仮圧着を行う際の上下移動位置は予め定められている。
【0099】
最初に、下側の複数の第1グリーンシートGS4を構成する1枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4をXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS4を台板の表面に載置する。
【0100】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートを1枚目の第1グリーンシートGS4上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4の表面に載置して仮圧着を行う。
【0101】
以後も、第1グリーンシートGS4が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS4は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0102】
続いて、1枚目の第2グリーンシートGS2の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第2グリーンシートGS2を吸着ヘッドで保持し、該第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第2グリーンシートGS2を最上位の第1グリーンシートGS1の表面に載置して仮圧着を行う(図20参照)。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、最上位の第1グリーンシートGS4の表面に仮圧着された1枚目の第2グリーンシートGS2の中心は最上位の第1グリーンシートGS4の中心とほぼ一致した状態となる。
【0103】
続いて、1枚目の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラして撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。そして、1枚目の第3グリーンシートGS5を吸着ヘッドで保持し、該第3グリーンシートGS5を1枚目の第2グリーンシートGS2上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第3グリーンシートGS5を1枚目の第2グリーンシートGS2の表面に載置して仮圧着を行う(図21参照)。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるが、先のマーク認識によって載置する位置を補正する必要があるときには、搬送動作の過程でXYテーブルの位置を補正しておく。
【0104】
図21を引用して先に説明したように、第3グリーンシートGS5は第2グリーンシートGS2と導体IELの形成配列が異なるため、1枚目の第2グリーンシートGS2の導体IELとその表面に仮圧着された1枚目の第3グリーンシートGS5の導体IELとは、単位寸法の積層チップを得る上で適正な位置関係で向き合う。
【0105】
以後も、第2,第3グリーンシートGS2,GS5が交互に所定枚数(偶数枚数)積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。
【0106】
続いて、上側の複数の第1グリーンシートGS4を構成する1枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4を最上位(偶数枚目)の第3グリーンシートGS5上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて1枚目の第1グリーンシートGS4を最上位の第3グリーンシートGS5の表面に載置して仮圧着を行う(図22参照)。
【0107】
続いて、2枚目の第1グリーンシートGS4を吸着ヘッドで保持し、該第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4上に搬送し、吸着ヘッドを降下させて2枚目の第1グリーンシートGS4を1枚目の第1グリーンシートGS4の表面に載置して仮圧着を行う。
【0108】
以後も、第1グリーンシートGS4が所定枚数積み重ねられるまでこの作業を繰り返す。同作業時にはXYテーブルはその中心が予め定められた基準位置にあるため、所定枚数の第1グリーンシートGS4は上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられる。
【0109】
この後は、仮圧着で得られた積層体をXYテーブルから取り出し、これを機械プレスまたは静水圧プレスにより本圧着を行って図23に示す積層体LA3を作成する。本圧着前の積層体は全てのシートが上下方向でほぼ一致した状態で積み重ねられたものではないため、機械プレスで本圧着を行うよりも静水圧プレスで本圧着を行ったほうが適切なプレス処理を行える。
【0110】
この積層体LA3における第2,第3グリーンシートGS2,GS5の合計使用枚数は偶数枚であるので、図23に示すように該積層体LA3を上から見た状態では、上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲には最上位の第3グリーンシートGS5の4辺に存する位置決めマークMx1〜Mx4及びMy1〜My4の一部が露出している。
【0111】
次に、前記の積層体LA3に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程について図23を参照して説明する。
【0112】
図示を省略したが、この分断ライン設定工程では、切断用のXYテーブルと、積層体LA3から露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を上から撮像するカメラと、カメラで得た画像データに基づく画像処理によって各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を認識すると共に分断ラインを設定するコンピュータ構成の画像処理装置とを利用する。
【0113】
最初に、積層体LA3を吸着ヘッド等を用いてXYテーブルの表面にセットされた台板上に搬送して載置する。
【0114】
続いて、積層体LA3の周囲に露出している位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4をカメラで撮像して各位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4の位置を画像処理装置で認識する。
【0115】
続いて、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx4)の中心間を18等分する計19本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定すると共に、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy1,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My4)の中心間を9等分する計10本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する。
【0116】
計19本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定する方法には、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx2,Mx3)の中心間を12等分する13本のY方向の分断ラインLyをXY座標系で設定し、且つ、図中上辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx1,Mx2)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)と図中上辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4(または図中下辺に存する2つの位置決めマークMx3,Mx4)の中心間を3等分する4本のY方向の分断ラインLy(4本のうちの1本は前記13本の分断ラインLyの1本と重なる)とをXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0117】
また、計10本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定する方法には、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy2,My3)の中心間を5等分する6本のX方向の分断ラインLxをXY座標系で設定し、且つ、図中左辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy1,My2)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)と図中左辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4(または図中右辺に存する2つの位置決めマークMy3,My4)の中心間を2等分する3本のX方向の分断ラインLx(3本のうちの1本は前記6本の分断ラインLxの1本と重なる)をXY座標系で設定する方法を採用してもよい。
【0118】
積層体LA1に分断ラインLx,Lyを設定した後は、適当な分断装置、例えば、回転ブレードを有する切断装置,昇降ブレードを有する切断装置,ワイヤーカットソーを有する切断装置等を利用して、各分断ラインLx,Lyに沿った分断を行って単位寸法の積層チップを得る。この積層チップは直方体形状を成し、長さ方向の両端面には内部導体IELの端縁が交互に露出する。
【0119】
そして、分断後の積層チップをその材料に応じた条件下で焼成し、焼成後の積層チップの長さ方向両端面及びその周囲側面にCu等の卑金属粉末を含む導体ペーストをディップ法等の手法によって塗布しこれを焼き付けて1対の外部電極を形成し、必要に応じて各外部電極の表面にメッキ処理によってNi,Cu,Sn等の金属膜を形成する。
【0120】
このように、第3実施形態によれば、第1グリーンシートGS4と第2グリーンシートGS2と第3グリーンシートGS5とを、下側の複数の第1グリーンシートGS4,複数の第2,第3グリーンシートGS2,GS5,上側の複数の第1グリーンシートGS4の積層順序となるように、且つ、最上位の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲に露出するように積み重ねることにより、上側の複数の第1グリーンシートGS4の周囲に最上位の第3グリーンシートGS5の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が露出した積層体LA3を作成することができる。
【0121】
つまり、この積層体作成工程にはマーク露出のために従前の側面切除に係る工数や溝形成に係る工数が不要であることから、積層体作成工程を少ない工数で効率的に実施して製造コストの低減を図ることができる。
【0122】
また、前記の積層体作成工程では、第2,第3グリーンシートGS2,GS5よりもサイズが小さなものを第1グリーンシートGS4として用いると共に、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有し、且つ、導体IELの形成配列が異なる2種類の第2,第3グリーンシートGS2,GS5を用い、2種類の第2,第3グリーンシートGS2,GS5をずらさずに交互に積み重ねると共に、上側の複数の第1グリーンシートGS4を、最上位の第3グリーンシートGS5の全ての位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4が上から見て露出する位置に積み重ねているので、前記のマーク露出を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0123】
尚、前述の第3実施形態では、上面外周部の4辺それぞれに4個の位置決めマークMx1〜Mx4,My1〜My4を有するものを第2,第3グリーンシートGS2,GS5として用いたが、上面外周部の4辺それぞれに5個以上、或いは、2個または3個の位置決めマークを有するものを第2,第3グリーンシートGS2,GS5として用いても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
以上、第1〜第3実施形態では本発明を積層コンデンサに適用した例を示したが、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを製造工程として備える積層型電子部品であれば、積層コンデンサに限らず、積層インダクタ,積層バリスタ,積層サーミスタ等の他の積層型電子部品にも適用して前記同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】従前の積層体の一例を示す斜視図である。
【図2】従前の積層体の他の例を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る第1グリーンシートの上面図である。
【図4】第1実施形態に係る第2グリーンシートの上面図である。
【図5】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図6】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図7】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図8】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図9】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図10】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【図11】第2実施形態に係る第2セラミックグリーンシートの上面図である。
【図12】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図13】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図14】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図15】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図16】第1グリーンシート及び第2グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図17】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【図18】第3実施形態に係る第1セラミックグリーンシートの上面図である。
【図19】第3実施形態に係る第3セラミックグリーンシートの上面図である。
【図20】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図21】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図22】第1グリーンシート,第2グリーンシート及び第3グリーンシートを用いて積層体を作成する工程の説明図である。
【図23】積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程の説明図である。
【符号の説明】
【0126】
GS1,GS4…第1グリーンシート、GS2,GS3…第2グリーンシート、GS5…第3グリーンシート、Mx1〜Mx4,My1〜My4,Mx5〜Mx8,My5〜My8…位置決めマーク、Sx1,Sx2…X方向のずらし距離、Sy1,Sy2…Y方向のずらし距離、LA1,LA2,LA3…積層体、Lx,Ly…分断ライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える積層型電子部品の製造方法であって、
前記の積層体作成工程は、矩形状の第1のセラミックグリーンシートと、部品対応の導体が複数形成され、且つ、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状の第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることによって行われる、
ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
第2のセラミックグリーンシートとして上面外周部の4辺それぞれに2個以上の位置決めマークを有し、且つ、導体の形成配列が等しい1種類のものを用い、
前記の積層体作成工程では、
複数の第2のセラミックグリーンシートを、奇数枚目の第2のセラミックグリーンシートに対して偶数枚目の第2のセラミックグリーンシートが対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、
上側の複数の第1のセラミックグリーンシートを、最上位の第2のセラミックグリーンシートの2辺に存する位置決めマークと上から2枚目の第2のセラミックグリーンシートの前記とは異なる2辺に存する位置決めマークが上から見て露出する位置に積み重ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
ずらしの距離及び方向は、第2のセラミックグリーンシートの導体の形成配列に応じて予め決められている、
ことを特徴とする請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
第1のセラミックグリーンシートとして第2のセラミックグリーンシートよりもサイズが小さなものを用い、
第2のセラミックグリーンシートとして上面外周部の4辺それぞれに2個以上の位置決めマークを有し、且つ、導体の形成配列が異なる2種類のものを用い、
前記の積層体作成工程では、
2種類の第2のセラミックグリーンシートをずらさずに交互に積み重ねると共に、
上側の複数の第1のセラミックグリーンシートを、最上位の第2のセラミックグリーンシートの全ての位置決めマークが上から見て露出する位置に積み重ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項1】
複数のセラミックグリーンシートを積み重ねて積層体を作成する工程と、積層体が有する位置決めマークに基づいて該積層体に単位寸法の積層チップを得るための分断ラインを設定する工程とを備える積層型電子部品の製造方法であって、
前記の積層体作成工程は、矩形状の第1のセラミックグリーンシートと、部品対応の導体が複数形成され、且つ、上面外周部に位置決めマークが形成された矩形状の第2のセラミックグリーンシートとを、下側の複数の第1のセラミックグリーンシート,複数の第2のセラミックグリーンシート,上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの積層順序となるように、且つ、少なくとも最上位の第2のセラミックグリーンシートの位置決めマークが上側の複数の第1のセラミックグリーンシートの周囲に露出するように積み重ねることによって行われる、
ことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
第2のセラミックグリーンシートとして上面外周部の4辺それぞれに2個以上の位置決めマークを有し、且つ、導体の形成配列が等しい1種類のものを用い、
前記の積層体作成工程では、
複数の第2のセラミックグリーンシートを、奇数枚目の第2のセラミックグリーンシートに対して偶数枚目の第2のセラミックグリーンシートが対角線方向に所定距離ずれるように積み重ねると共に、
上側の複数の第1のセラミックグリーンシートを、最上位の第2のセラミックグリーンシートの2辺に存する位置決めマークと上から2枚目の第2のセラミックグリーンシートの前記とは異なる2辺に存する位置決めマークが上から見て露出する位置に積み重ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
ずらしの距離及び方向は、第2のセラミックグリーンシートの導体の形成配列に応じて予め決められている、
ことを特徴とする請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
第1のセラミックグリーンシートとして第2のセラミックグリーンシートよりもサイズが小さなものを用い、
第2のセラミックグリーンシートとして上面外周部の4辺それぞれに2個以上の位置決めマークを有し、且つ、導体の形成配列が異なる2種類のものを用い、
前記の積層体作成工程では、
2種類の第2のセラミックグリーンシートをずらさずに交互に積み重ねると共に、
上側の複数の第1のセラミックグリーンシートを、最上位の第2のセラミックグリーンシートの全ての位置決めマークが上から見て露出する位置に積み重ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−5595(P2007−5595A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184597(P2005−184597)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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