説明

積層装置、積層装置に用いられる加圧膜体および積層方法

【課題】サイクル時間の短縮、エネルギー消費の低下および、不良品発生の回避を通じて経済的な製造が保証される積層装置技術の提供。
【解決手段】載置盤4と発熱体51らなる加熱手段5とを装備した部材積層物を収容可能な少なくとも1つの積層チャンバ3が備えられており、積層チャンバ3内において載置盤4の上方には載置盤4に対して相対可動すると共に下側チャンバ空間31を上側チャンバ空間32から分離する可撓性加圧膜体2が気密に張設されて、下側チャンバ空間31が密閉ならびに排気、通気可能である。発熱体51が加圧膜体2と一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層されるべき部材を重ね合わせた部材積層物、特に太陽電池モジュールまたは合せ板ガラスを押圧と熱との組み合わせ作用によって積層するための積層装置に関する。このような積層装置は載置盤と加熱手段とを装備した1つ以上の部材積層物を収容可能な少なくとも1つの積層チャンバを備えている。積層チャンバ内において載置盤の上方には載置盤に対して相対可動すると共に下側チャンバ部分を上側チャンバ部分から分離する可撓性加圧膜体が気密に張設され、前記部材積層物を収容した少なくとも前記下側チャンバ部分が密閉ならびに排気、通気可能である。積層に必要とされる熱は加熱手段の少なくとも1つの発熱体によって前記部材積層物に付与される。さらに本発明は、そのような積層装置に用いられる加圧膜体、ならびに積層方法にも関している。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの積層装置として、実質的に、部材積層物の被積層個別部材が上下に重ねられて圧縮される1つ以上の膜成形プレスと、個別部材の結合に所要の熱を部材にもたらす少なくとも1つの加熱手段とから構成されているものが知られている(例えば特許文献1参照)。この積層装置では、積層プロセスに所要の押圧は弾性可撓性材料、例えばシリコンゴムからなる加圧膜体を経て部材積層物に与えられる。さらに、加圧膜体は密閉可能な積層チャンバの内部空間を、載置盤および部材積層物を備えた下側チャンバ空間と加圧膜体上部の上側チャンバ空間とに分離する。加圧膜体の所要押圧はこれら双方のチャンバ空間間の圧力勾配によってつくり出され、その際、部材積層物とは反対側の上側チャンバ空間の相対的に高い圧力によって加圧膜体は部材積層物に押付けられる。そのため通例、下側チャンバ空間には低圧が作り出され、他方、上側チャンバ空間には大気圧が通気されるかまたは補助的に高圧が付与されてもよい。
【0003】
各部材の結合に所要の熱は、普通、電気発熱体または熱媒案内路からなる加熱手段によって部材積層物に与えられる。この場合、加熱手段は実際にはほとんどの場合、載置盤に組み込まれている。しかしながら、結合さるべき部材積層物層は載置面よりも被積層部材の表面に近接していることが多い。そのため、冒頭に述べたタイプの積層装置の場合、加熱手段の接触面と積層されるべき層との間の間隔がかなり大きいために、多くのエネルギー量が必要であり、また、加熱ならびに最終的な冷却にも比較的長時間が必要である。加えてさらに、加熱ならびに冷却さるべき大きな質量は温度制御に対する反応がかなり鈍く、それゆえ、経済的なサイクル時間を実現すると同時に不良品発生率の抑制を意図するプロセス制御の最適化は困難である。
【0004】
これを解決するために、部材積層物の加熱さるべき表面近傍層に膜を通じて熱が伝達されるようにした積層装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、加熱手段は柔軟な加熱マットで形成され、前記加熱マットは加圧膜体上方の上側チャンバ空間内に位置して、膜が押圧状態にあっても膜上に余裕をもって載せられている。ただし、これによって、積層されるべき部材の端縁および周縁領域での熱伝達の悪化あるいは部材表面形状が複雑な場合の熱伝達の悪化が生じる。
【0005】
これに対して、一般的な加熱手段に対する付加技術として加圧膜体が部材積層物に押圧された後、加圧膜体の表面が剛性熱盤に接触させられるようにした多機能膜プレスも開示されている(例えば、特許文献3参照)。ただし、この装置では、そのために上側熱盤を下降させるためのさらに別の昇降装置が必要である。加えてさらに、所要の付加的な工程ならびに、加熱手段と加圧膜体との接触の一時的解除のために必要とされるエネルギー及び時間はかなりのものである。さらに、上側剛性加熱盤には、加圧膜体が部材積層物の表面に押付けられる際に加圧膜体によって形成される表面に対応した正確な雌型が形成されていなければならない。
【0006】
【特許文献1】国際公開特許第94/19106号
【特許文献2】ドイツ特許公開後方第4112607号明細書
【特許文献3】国際公開特許第98/38033号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、部材積層物の加熱に際しての上記の短所が回避される、サイクル時間の短縮、エネルギー消費の低下および、プロセス制御の改善による不良品発生の回避を通じて経済的な製造が保証される積層装置、そのための加圧膜体および、部材積層物を積層するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、部材、特に太陽電池モジュール、または合せ板ガラスを押圧と熱との組み合わせ作用によって積層するための、本発明による積層装置では、載置盤とそれぞれ少なくとも1つの発熱体からなる少なくとも1つの加熱手段とを装備した1つ以上の部材積層物を収容可能な少なくとも1つの積層チャンバが備えられており、前記積層チャンバ内において前記載置盤の上方には前記載置盤に対して相対可動すると共に下側チャンバ空間を上側チャンバ空間から分離する少なくとも1つの弾性または可撓性あるいはその両方の特性を有する加圧膜体が気密に張設され、少なくとも前記下側チャンバ空間が密閉ならびに排気、通気可能であり、さらに前記少なくとも1つの発熱体が前記加圧膜体と一体に形成されている。
【0009】
この構成では、少なくとも部分領域に一体化された発熱体を備えた加熱式加圧膜体を備えることで、発熱体の熱が必要とされる箇所で、つまり加圧膜体の下側の部材積層物の積層されるべき表面近傍層で発生するという利点を有する。その際、熱の伝達経路は非常に短く、この経路で生じる熱損失はごく僅かである。したがって、積層されるべき層の加熱は従来に比べて急速かつ効果的に行なわれる。それゆえ、載置盤側から部材積層物を加熱するということは不必要となる。載置盤側の加熱は、例えばマシンベッドとの温度差をできるだけ小さく保ち、部材積層物の深層または相対的に低温の載置盤への熱の急速な流出を防止すべく、一定の基礎熱量を保持させておくために利用されるだけで十分である。
【0010】
場合によっては、つまり部材厚さがそれほど大きくない部材積層物の積層に用いられるような積層装置では、載置盤をまったく加熱せず、載置盤の載置面をマシンベッドから断熱された載置面として形成すると好適である。これにより、単に部材積層物と加圧膜体が加熱されるだけとなることから、要求される熱伝達量はさらに減少することになり、また積層作業サイクル時間もさらに短縮することが可能となる。
【0011】
また、積層作業サイクルの繰り返し時に必要となる冷却工程も、その時間をより短くすることが可能となる。なぜなら、部材積層物の積層されるべき層の下側に位置するかなり大きな質量部分が所要の積層温度に達成するのにそれほど熱を付与する必要はなく、この質量部分を積層されるべき層の両側に一様な温度分布が作り出されることを保証する一定の温度値に維持するだけでよいからである。その結果、過熱の危険も低下して、不良品の発生も抑制される。
【0012】
さらに別の大きな利点は、本発明の特徴構成により、積層作業サイクルの繰り返し時に加熱・冷却さるべき質量部分が小さくなるため、より敏感な、したがってより正確な温度制御が可能となり、これが高信頼度の温度制御の実現に寄与することになる。その結果、積層作業サイクル時間の短縮にもかかわらず品質保証が向上する。
【0013】
さらに、押圧と熱との組み合わせ作用によって部材を積層もしくは貼合せるために積層装置に用いられる、本発明による加圧膜体は、上記目的を達成するため、前記積層装置のチャンバ内で下側チャンバ空間を上側チャンバ空間から気密に分離するために使用されるとともに、少なくとも1つの発熱体が一体的に組み込まれている。
【0014】
上述した構成をもつ、本発明による加圧膜体は発熱体と一体構成であるので発熱体と加圧膜体との間の干渉もなく、その交換は容易である。従って、製造現場における膜体交換に要する装置停止時間は短くなる。同時に、本発明による加圧膜体は既存の積層装置にもあるいは、例えば家具製造から公知のその他の膜体プレスにも追加的に装備し得る点でも利点を持つ。
【0015】
その際、特に、電気抵抗発熱体を備えた加圧膜体では、この発熱体の基本部分が加圧膜体に一体化されており、その発熱体へ給電するための電気ケーブルを積層装置から容易に気密式に取り出すことができるので、既存の積層装置へのこの加圧膜体の追加装備がさらに容易となる。また、上側チャンバ空間がカバーなしで形成され、実質的に大気圧に曝露されている場合には、この加熱式加圧膜体の追加装備は極めて容易に行うことができる。熱伝達にかかわる温度条件の変化とサイクル時間の短縮化とに対してプロセス制御を適合させるために多少のコストが必要となるにすぎない。
【0016】
さらに、上記目的を達成するために、本発明により提案される、部材積層物、特に太陽電池モジュールまたは合せ板ガラスを積層装置内で押圧と熱との組み合わせ作用によって積層するための積層方法では、積層されるべき部材からなる部材積層物にこの部材積層物の前記加圧膜体に対向する側の面に熱が付与されるが、この前記熱は前記加圧膜体と一体に形成された少なくとも1つの発熱体によって発生したものである。もちろん、この積層方法が適用される積層装置では、その積層チャンバ内において載置盤の上方に前記載置盤に対して相対可動すると共に下側チャンバ空間を上側チャンバ空間から分離する少なくとも1つの弾性または可撓性あるいはその両方の特性を有する加圧膜体が気密に張設されており、少なくとも下側チャンバ空間が密閉ならびに排気、通気可能とされている。
【0017】
積層されるべき層は、ほとんどの場合、部材積層物の中央に配置されているのではなく、表面近傍に配置されているため、部材積層物の加圧膜体に対向する側からのみ熱が付与されるのが特に有利である。その際、加圧膜体の反対側の部材積層物の面にもたらされるべき熱量は僅かでよい。従って、部材積層物から部材積層物の加圧膜体とは反対側の面に流出する熱流出が、例えば載置盤の断熱手段によって阻止もしくは少なくとも相当程度減少させられれば、熱量消費をさらにいっそう減少させることができる。
【0018】
本発明による加圧膜体に関し、例えば、発熱体は加圧膜体内に埋め込まれ、接着または加硫処理によって接合される。これにより、加圧膜体が同時に発熱体ないしは発熱体を構成するヒータ線の機械的ならびに電気的保護を保証するという利点が得られる。ただし、加圧膜体が薄い場合には、発熱体を加圧膜体の面上に接着または加硫処理によって接合してもよい。1つの積層装置において、または1つの加圧膜体において、記膜体内および膜体上に発熱体を配置させる構成を組み合わせて用いることも可能である。
【0019】
積層押圧プロセスの間、加圧膜体はその機能からして、積層されるべき前記部材積層物の表面形状および厚さに応じた弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形にさらされる。その際、加圧膜体と一体に形成された発熱体は弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を共にするかまたはそれを吸収し得るように形成されていなければならない。そのため、発熱体ないしはヒータ線は適切な方法で蛇行状または渦巻き状または螺旋状またはそれらの組み合わせによって布設されるが、その際、膜体の主伸長方向がヒータ線の布設方向(または発熱体延び方向)の基準方向となる。
【0020】
さらに、発熱体としてのヒータ線の機械荷重容量を強化するため、ヒータ線は適切な方法でその長手方向に、例えば管状または螺旋状に布設されるとよい。これによって、高い柔軟性または可撓性と共に、例えば伸長とそれから生ずる横ひずみの形の弾性変形を吸収する高吸収能も生ずる。こうして形成されたそれ自体が弾性または可撓性あるいはその両方の特性を有するヒータ線を直線状またはジグザグ状に布設することができる。
【0021】
上述した特徴構成によって達成可能な発熱体の変形能力を超える変形が加圧膜体に要求されるような使用形態では、この加圧膜体の変形が少なくとも発熱体の領域では制限されるように、何らかの適切な寸法形状を施したり、付加的な変形制限手段を設けたりするとよい。その際、加圧膜体は弾性または可撓性あるいは両方の特性の低いコア領域と弾性または可撓性あるいは両方の特性の高い周縁領域とによって形成されると好都合である。その場合、相対的には高い剛性となるコア領域は加圧膜体の一体化された発熱体によって熱を付与する領域と一致する。
【0022】
このコア領域の剛性増強は加圧膜体が少なくとも発熱体の領域においてその他の領域に比較して厚肉に形成することにより最も容易に実現することができる。その際、加圧膜体の材料厚さは発熱体の周縁領域からその他の領域に至る移行領域において連続的に減少してゆくのが好ましい。ただし、加圧膜体を発熱体の領域において多層式に形成する構成を採用してもより。
【0023】
さらに、少なくとも加圧膜体の加熱コア領域面全体にわたって前述した変形を制限する付加的な手段を加圧膜体内または加圧膜体周りに設けるといった構成を説明する。この変形制限手段は、例えば加圧膜体内または加圧膜体周辺部に配置された板、シート、ネット、格子などとして形成することができる。これにより、加圧膜体に要求される歪みと伸びはより高い弾性または可撓性あるいはそれら両方の特性を有するその周縁領域に集中することになる。この付加的な変形制限手段が優れた熱伝導率を有する材料から作られていれば、この加圧膜体の加熱面内に均等な熱分布が迅速に達成されるという副次的な利点も得られる。したがって、純粋に熱エネルギー的に必要とされる熱量から電熱体の数を決定すればよく、均等な熱分布を得るために多めの電熱体を用意することで無駄な熱エネルギーを消費するといった問題は抑制される。
【0024】
結果的には、この付加的な変形制限手段によって発熱体のヒータ線のような発熱体にかかる機械的負荷が減少させられるだけでなく、ヒータ線と加圧膜体材料との間の機械的結合時の応力の低減が達成され、これが本発明による加圧膜体の耐久寿命に好適な影響をもたらす。
【0025】
加圧膜体と一体に形成される発熱体は面抵抗ヒータもしくは線抵抗ヒータなどの電気抵抗ヒータとして形成することができ、その際、そのヒータ線は好ましくは渦巻き状、螺旋状または蛇行状で加圧膜体に組み込まれる。
【0026】
もちろん、誘導または渦電流によって熱を発生させる発熱体を採用することも可能であり、その場合、発熱体の伝熱体は好ましくは面状体、例えばシートとして形成されているかまたは粒子として前記加圧膜体内に面状に封入されるかまたは加圧膜体周りに面状に被着される。そのため、加圧膜体において、例えば領域ごとに誘導活性粒子をドープすることができる。こうして形成された加圧膜体はさらに、非接触によって熱エネルギーを発生させうるという利点を有し、これにより、保守点検時や修理時に迅速な交換が容易になる。
【0027】
さらには、加圧膜体に埋め込まれるかまたは刻設されることにより加圧膜体周りに形成された熱交換用の案内路に適切な熱媒体を流すことによって加圧膜体を加熱することも可能である。加圧膜体に熱交換用の案内路が組み込まれている場合には、この案内路が加圧膜体自体と同様な弾性または可撓性あるいは両方の特性を有する材料、例えばシリコンホースで形成されていれば特に好適である。
【0028】
この種の熱交換用案内路には、熱媒体としての熱媒液流に代えて、ヒータ線を通すことも可能である。この場合、ヒータ線は熱媒液流とまったく同様に加圧膜体に固定されないが、ただし、案内路の壁面はいずれの場合にも加圧膜体と直接一体に形成されており、これは前述したようなヒータ線が加圧膜体と直接一体に形成されている形態と同様である。この種の案内路に挿入されたヒータ線は熱媒液流と同様に場所的にこの案内路に拘束されていることから、この種の発熱体は加圧膜体と少なくとも間接的に一体に形成されているといえる。この場合、押圧プロセスに際して加圧膜体にかかる機械的負荷はヒータ線に直接には伝えられず、主として案内路を形成する壁面に作用する。ヒータ線は、そのため、好ましくは僅かな遊びをもって案内路に挿入される。案内路は前述したヒータ線の布設パターンに準拠して布設すると好都合である。
【0029】
加圧膜体と発熱体の耐用性および寿命は上記構成によって相当程度向上させることができる。加えてさらに、案内路を備えたこの種の加圧膜体は、膜が張設されている場合にもヒータ線に障害が生ずるとそれを容易に交換することができるという利点を有する。膜全体が交換されなければならない場合には、欠陥を生じた膜から記ヒータ線を損壊なく引き出して、再使用することが可能である。こうして、使用済み加圧膜体の廃棄処分に際しても材料分別が容易となるという利点も得られる。
【0030】
発熱体の制御に必要となる温度測定センサは、好ましくは発熱体自体と同様に加圧膜体に組み込まれるかまたは加圧膜体と一体に結合される。それにより、測定値の検出は温度測定対象となる積層されるべき層の直近で行われる。また、測定センサは同時に加圧膜体により機械的、電気的に保護される。測定センサの故障発生時にオプショナルに機能させることのできる予備の測定センサも共に組み込んでおくことが可能である。これは測定センサのコストが積層装置の稼動停止コストまたは加圧膜体交換コストに比較して些細である点からして有利となるからである。
【0031】
また、加圧膜体と一体化された発熱体の外部、例えば部材積層物下側の載置盤の表面に温度測定センサを設ける構成を採用することも可能である。このような温度監視によって、より優れた、かつ、より確実な温度フィードバックをプロセス制御に与えることができる。
【0032】
複式膜体(複数重ねの膜体)を採用している公知の積層装置にも本発明による加圧膜体を問題なく適用することが可能である。1枚または2枚の膜体を本発明による1枚または2枚の加熱式加圧膜体に交換するという改良も同じく実施可能である。2枚の加熱式加圧膜体を備えた形態においては、双方の加圧膜体のヒータ線をオプショナルに相互接続することが可能であり、これによって、さらなるプロセス最適化を実現することができる。加圧膜体を3枚またはそれ以上の膜体からなる多重膜として形成することも可能である。
【0033】
さらに、複式膜体を構成する2枚の非加熱膜体の間に、少なくとも1つの発熱体が一体に結合された加熱式の第3の膜体を挟設することも構成も可能である。このような形態において、複式膜体を構成する2枚の膜体の間の中間空間は公知の方法で少なくとも押圧プロセスの間排気されることにより、この複式膜体を構成する2枚の非加熱膜体と中間空間に配された加熱式の膜体とは共同して加圧膜体を構成することになる。
【0034】
本発明の積層装置のさらに別の好適な態様では、加圧膜体を構成する隣接したそれぞれ2枚の膜体の間の中間空間にこの中間空間内の圧力を測定するための圧力測定ユニットが接続されている。この圧力測定ユニットを介し、容易かつ高い信頼度で、加圧膜体の状態に関する情報を得ることができる。
【0035】
さらに、前記中間空間内の圧力を測定するための圧力測定ユニットには、積層装置の操作員によって認知可能な圧力表示装置が接続されるとよい。これにより、中間空間内の圧力変化によって示される加圧膜体の損傷は速やかに認識され、必要な対策を開始もしくは報知することが可能である。
【0036】
あるいは、中間空間内の圧力を測定するための圧力測定ユニットには、中間空間内に所定の限界値を上回るかまたは下回る圧力が生ずると警告を報知することのできる評価ユニットが接続されてもよい。これにより、評価ユニットが損傷発生を確認して警告報知する機能を引き受けるため、操作員の負担は軽減される。
【0037】
このような中間空間内の圧力を測定するためのさまざまなタイプの圧力測定ユニットの導入によって、2枚の膜体の一方、とりわけ、積層処理を施される部材と接触させられる、特別な荷重を受ける側の膜体の漏れが高い信頼度で確認される可能性がでてくる。さらに上述したように、このような積層装置の稼動は、例えば、多層加圧膜体を構成する膜体のうち、部材と接触させられる側の膜体の漏れが確認される場合にも、多層加圧膜体を構成する少なくとも1枚のさらに別の膜体によって加圧膜体に必要とされる気密性がなお全体として保持されるため、そのまま工程を続行することが可能である。こうした場合、次の機会、特に積層装置の次の定期保守時に、検知された気密不良の膜体を新しい膜体と交換する対策が取られさえすれば十分である。中間空間内の圧力を測定するための圧力測定ユニットは、積層装置の操作員が裸眼で認知する前に、膜の漏れを早期に検知する。これによって積層装置の高信頼度の稼動が保証され、不良品の発生がほぼ排除される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の一連の実施形態を説明する。図1が示しているように、積層装置1は、加圧膜体2によって下側チャンバ空間31と上側チャンバ空間32とに気密に分離される積層チャンバ3を形成している。下側チャンバ空間31内には、積層プロセスのために部材積層物9が載置される載置盤4が配設されている。
【0039】
下側チャンバ空間31は一方でチャンバハウジング33により、他方で加圧膜体2によって気密に外部との境界を形成しているため、部材積層物9は下側チャンバ空間31内において加圧膜体2の下方に位置している。押圧を行うため、下側チャンバ空間31には低圧形成ないし完全な排気が実施される。加圧膜体2の下側の下側チャンバ空間31と加圧膜体2の上側の上側チャンバ空間32との間の圧力勾配によって、膜2は下方に押付けられて、部材積層物9ならびに載置盤4の表面に押圧される。ここでは、上側チャンバ空間32内の圧力は大気圧と同じでよいので、気密式の上側チャンバハウジング34は不要とされる。ただし、押圧の調節を改善するため、上側チャンバハウジング34と加圧膜体2によって形成される上側チャンバ空間32も密閉可能とし、積層工程中に双方のチャンバ空間31,32をそれぞれ排気または通気あるいはその両方が可能となるように構成することにより、押圧プロセスの間の上側チャンバ空間32内の気圧を軽度の低圧から軽度の高圧まで適正に可変調整できる。
【0040】
積層されるべき層の結合に必要とされる熱は少なくとも1つの加熱手段5によって発生させられ、加熱手段5を構成する少なくとも1つの発熱体51を通じて部材積層物9に付与される。この実施形態において、発熱体51は加圧膜体2の部材積層物9とは反対側の面に接着または加硫処理によって表面接合されている。付加的な発熱体54は通例、載置盤4に配設されているが、ただしこの発熱体は積層プロセスに要求される総熱量を積層されるべき層に下側から部材積層物9を通して伝達する役割はなく、単に個々の積層プロセスにおいて部材積層物9の下側面に要求される温度を維持するために必要とされるにすぎず、しかもその温度は部材積層物9の上側面からもたらされる温度より低くてよい。
【0041】
図2から理解できるように加熱式加圧膜体2は、加熱コア領域21と、当該コア領域21とチャンバハウジング33,34による加圧膜体張設支持部との間に位置することになる周縁領域22とからなっている。加圧膜体2の加熱コア領域21は膜体と一体に結合された発熱体51によって形成され、ここで、発熱体51は加圧膜体2に流し込みまたは接着によって結合されている。加圧膜体2と一体に結合された発熱体51には、押圧プロセスに際して膜体内に生ずる歪みを吸収するのに適切な方法で布設されたヒータ線511が設けられている。
【0042】
さらに、ヒータ線511は、その機械負荷耐性を強化するため、その長手方向に、適切な方法で例えば管状または螺旋状に布設される。発熱体51,52には、好ましくは同じく加圧膜体2と一体に構成された、それぞれ少なくとも1つの温度測定センサ513が設けられている。第1の測定センサ513が故障した場合に機能し得る予備の温度測定センサ514は、そうした故障発生時に加圧膜体2全体が交換されなければならない事態を防止する。
【0043】
図3は、発熱面全体にわたって分布された、好ましくは個別制御またはグループ制御可能な複数の発熱体51,52を備えた加圧膜体2の実施形態例を示している。そのため、発熱体51,52には、図2で示したような、少なくとも1つの温度測定センサ513と予備の温度測定センサ514とが設けられる。
【0044】
発熱体51の下側には、加圧膜体2の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を制限するための薄板またはシート6が取付けられている。この場合、押圧プロセスに必須の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形は加圧膜体2のうち、より大きな伸縮性を有する周縁領域22に肩代わりさせるため、加熱コア領域21の可撓性は部材積層物9が有するものと同程度であればよい。図4にはそうした膜の断面が表されている。
【0045】
図5は、加熱コア領域21の変形制限が、伸縮可能領域22に比較して厚くなった加圧膜体2の厚み形状によって実現させている加圧膜体2を示しており、この場合、材料厚さは移行領域23において連続的に増大している。
【0046】
図6には、発熱体51が加熱コア領域21に接着または加硫処理によって接合されたヒータ線511によって形成される、特に割安な加熱式加圧膜体2が示されている。
【0047】
図7は、同じく個別制御またはグループ制御可能な、重ね合わせて配置された複数の発熱体を有する加圧膜体2のシステムを示している。
【0048】
図8は、2枚の加圧膜体25および26(そのうち一方には発熱体51が一体に組み込まれている)の形の複式膜を有した積層装置の一実施例を示している。
【0049】
図8に示した態様において、加圧膜体2を構成する隣接した2枚の膜体25と26との間の中間空間35には中間空間35内の圧力を測定するための圧力測定ユニット28が接続されている。この圧力測定ユニット28による圧力測定を通じて加圧膜体2の気密性に関する情報を得ることができる。この場合、圧力測定ユニット28には積層装置の操作員によって認知可能な圧力表示装置が付属している。変形例としてまたはオプションとして、圧力測定ユニット28には、中間空間35内に所定の限界値を上回るかまたは下回る圧力が生ずると警告を報知することのできる評価ユニットを組み込むと好適である。
【0050】
図9は、原則として非加熱式でよい2枚の加圧膜体25,26を含んでいる複式膜を示している。この場合、さらにもう1枚の膜体27の形で発熱体51が双方の加圧膜体25,26の間の中間空間35に挟設されている。加熱式の膜体27が挟設された中間空間35は持続的にまたは少なくとも押圧プロセスの間排気されるため、双方の加圧膜体25,26は互いに密接して、圧縮された加熱式の膜体27と一体化して1枚の共通の加圧膜体2を形成する。この好適な実施形態は既存の積層装置に追加する形態として特に適している。
【0051】
図10は、部材積層物9を積層するための熱が加圧膜体2からのみ部材積層物9に付与される積層装置1の実施形態の1つを示している。部材積層物9の下側面に接触する載置盤4は絶縁体41を備えているため、部材積層物9から載置盤4への熱流出は生じないかまたは僅かに生ずるにすぎない。
【0052】
この場合、絶縁体41に代えて、部材積層物9の下側面の温度を測定するだけでなく、プロセスの経過にともなう必要性に応じてその温度を能動的に低下または上昇させることができる熱素子42を備えることも可能である。
【0053】
以下に本発明による積層装置、加圧膜体、積層方法の好適実施形態を列挙しておく。
(1)加圧膜体2の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すため、少なくとも1つの発熱体51,52,53はそれ自体が十分な弾性または可撓性あるいは両方の特性を有するように形成されている。
(2)加圧膜体2の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すため、少なくとも1つの発熱体51,52,53は加圧膜体2と共に弾性または可撓性あるいは両方の特性を有する構造を形成する。
(3)加圧膜体2につき、少なくとも1つの発熱体51,52,53の領域に、加圧膜体2の変形を制限するための変形制限手段6が設けられている。
(4)加圧膜体2は一体化された発熱体51,52,53の領域においてその他の領域に比較して肉厚にされた材料厚さを有する。
(5)加圧膜体2の材料厚さは発熱体51,52,53の周縁領域からその他の領域に至る移行領域において連続的に減少している。
(6)加圧膜体2の変形制限手段6は加圧膜体2内および/または加圧膜体2周りに配設された付加的な面状または網状または格子状構成体として形成されている。
(7)発熱体51,52,53のヒータ線511は加圧膜体の面に対して渦巻き状または螺旋状または蛇行状に布設されている。
(8)ヒータ線511はその長手方向に螺旋状に布設されている。
(9)ヒータ線511はその長手方向に管状に布設されている。
(10)複数の発熱体51,52,53が前記加圧膜体の面全体にわたって分布されている。
(11)複数の発熱体51,52,53が複数の層をなして前記加圧膜体の面全体にわたって分布されている。
(12)発熱体51,52,53が複数備えられるとともに、それらが個別制御またはグループ制御される。
(13)発熱体51,52,53毎に1つ以上の温度測定センサ513が割り当てられている。
(14)発熱体51,52,53毎に、オプショナルに機能させることのできる少なくとも1つの予備の温度測定センサ514が割り当てられている。
(15)温度測定センサ513,514は同じく前記加圧膜体2と一体に形成されている。
(16)温度測定センサ513,514は前記部材積層物9の前記加圧膜体2とは反対側の面に直接またはその近傍に配置されている。
(17)載置盤4は部材積層物9に対して熱絶縁されるように構成されている。
(18)発熱体51,52,53は加圧膜体2内に流し込み、接着または加硫処理によって接合されているか、または加圧膜体2周りに接着または加硫処理によって接合されているか、あるいはその両方によって接合されている。
(19)発熱体51,52,53は加圧膜体2内に埋め込まれるかまたは刻設された案内路内に余裕をもって挿入されたヒータ線の形で形成されている。
(20)複数の発熱体51,52,53が同一のまたは異なった結合方式で加圧膜体2と一体に形成されている。
(21)発熱体51,52,53は電気抵抗ヒータとして形成されていることを特徴とする。
(22)発熱体51,52,53は誘導または渦電流による発熱構造体として形成されている。
(23)発熱体51,52,53は熱媒液の流路構造体一例として案内路として形成されている。
(24)同一のまたは異なった加熱作用方式の複数の発熱体51,52,53が加圧膜体と一体に形成されている。
(25)加圧膜体2は重なり合った2枚の膜体25,26からなる複式膜としてかまたは重なり合った2枚以上の膜体からなる多重膜として形成され、重なり合った膜のうち少なくとも1枚は前記少なくとも1つの発熱体51,52,53組み込んでいる。
(26)重なり合った膜25,26のそれぞれは同一に形成されている。
(27)2枚の隣接した膜25,26の間の中間空間35にこの中間空間35の排気または通気あるいはその両方を実施するための流通手段が接続されている。
(28)加圧膜体2を構成する隣接したそれぞれ2枚の膜体25,26の間の中間空間35に中間空間35内の圧力を測定するための圧力測定ユニット28が接続されている。
(29)圧力測定ユニット28には、操作員によって認知可能な圧力表示装置が付属している。
(30)中間空間35内の圧力を測定するための圧力測定ユニット28には、中間空間35内に所定の限界値を上回るかまたは下回る圧力が生ずると警告を報知することのできる評価ユニットが付属している。
(31)発熱体を含まない2枚の膜体25,26が備えられ、2枚の膜体25,26の間の中間空間35に少なくとも1つの発熱体を組み入れた膜体27が配置され、少なくとも押圧プロセスに際して膜体25,26の間の中間空間35が排気されることで、3枚の膜体25,26,27は共同して加圧膜体2を形成する。
(32)積層物9にさらにこの部材積層物の前記加圧膜体2とは反対側の面にも熱が付与される。
(33)積層物9からの熱流出は前記部材積層物の前記加圧膜体2とは反対側の面に対向して配設された断熱手段によって阻止または減少させられる。
(34)付与を制御するために測定さるべき温度値は部材積層物9の載置盤4に対向する側の面の直接の近傍で検出される。
【0054】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による積層装置の断面を模式的示す模式図
【図2】加熱式加圧膜体の斜視図
【図3】複数の発熱体と変形制限体とを備えた加熱式加圧膜体の斜視図
【図4】図3による加圧膜体の断面図
【図5】発熱体領域の材料厚さを厚くした加圧膜体の断面図。
【図6】発熱体が表面に一体に形成された加圧膜体を示す模式図
【図7】表面に複数の発熱体が重ねて配置された加圧膜体を示す模式図
【図8】一方の膜体には発熱体が一体に組み込まれている、2枚の膜体からなる加圧膜体を示す模式図
【図9】加熱式の膜体を介在させた2枚の非加熱式膜体からなる加圧膜体を示す模式図
【図10】断熱式載置盤を備えた積層装置の断面を示す模式図
【符号の説明】
【0056】
1 :積層装置
2 :加圧膜体
3 :積層チャンバ
4 :載置盤
5 :加熱手段
9 :部材積層物
31 :下側チャンバ空間
32 :上側チャンバ空間
51,52,53:発熱体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材を押圧と熱との組み合わせ作用によって積層するための積層装置(1)において、載置盤(4)とそれぞれ少なくとも1つの発熱体(51,52,53)からなる少なくとも1つの加熱手段(5)とを装備した1つ以上の部材積層物を収容可能な少なくとも1つの積層チャンバ(3)が備えられており、前記積層チャンバ(3)内において前記載置盤(4)の上方には前記載置盤(4)に対して相対可動すると共に下側チャンバ空間(31)を上側チャンバ空間(32)から分離する少なくとも1つの弾性または可撓性あるいはその両方の特性を有する加圧膜体(2)が気密に張設されて、少なくとも前記下側チャンバ空間(31)が密閉ならびに排気、通気可能であり、
前記少なくとも1つの発熱体(51,52,53)が前記加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする積層装置。
【請求項2】
前記加圧膜体(2)の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すため、前記少なくとも1つの発熱体(51,52,53)はそれ自体が十分な弾性または可撓性あるいは両方の特性を有するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記加圧膜体(2)の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すため、前記少なくとも1つの発熱体(51,52,53)は前記加圧膜体(2)と共に弾性または可撓性あるいは両方の特性を有する構造を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層装置。
【請求項4】
前記加圧膜体(2)に、前記一体化された少なくとも1つの発熱体(51,52,53)の領域に、前記加圧膜体(2)の前記変形を制限するための変形制限手段(6)が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の積層装置。
【請求項5】
前記加圧膜体(2)は少なくとも前記一体化された発熱体(51,52,53)の領域においてその他の領域に比較して肉厚にされた材料厚さを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項6】
前記加圧膜体(2)の前記材料厚さは前記一体化された発熱体(51,52,53)の周縁領域からその他の領域に至る移行領域において連続的に減少してゆくことを特徴とする請求項5に記載の積層装置。
【請求項7】
前記加圧膜体(2)の前記変形制限手段(6)は前記加圧膜体(2)内または前記加圧膜体(2)周りあるいはその両方に配設された付加的な面状または網状または格子状構成体として形成されていることを特徴とする請求項4に記載の積層装置。
【請求項8】
前記発熱体(51,52,53)のヒータ線(511)は前記加圧膜体の面に対して渦巻き状または螺旋状または蛇行状に布設されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項9】
前記ヒータ線(511)はその長手方向に螺旋状に布設されていることを特徴とする請求項8に記載の積層装置。
【請求項10】
前記ヒータ線(511)はその長手方向に管状に布設されていることを特徴とする請求項8に記載の積層装置。
【請求項11】
複数の発熱体(51,52,53)が前記加圧膜体の面全体にわたって分布されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項12】
複数の発熱体(51,52,53)が複数の層をなして前記加圧膜体の面全体にわたって分布されていることを特徴とする請求項11に記載の積層装置。
【請求項13】
前記発熱体(51,52,53)が複数備えられるとともに、それらが個別制御またはグループ制御されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項14】
前記発熱体(51,52,53)毎に1つ以上の温度測定センサ(513)が割り当てられていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項15】
前記発熱体(51,52,53)毎に、オプショナルに機能させることのできる少なくとも1つの予備の温度測定センサ(514)が割り当てられていることを特徴とする請求項14に記載の積層装置。
【請求項16】
前記温度測定センサ(513,514)は同じく前記加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の積層装置。
【請求項17】
前記温度測定センサ(513,514)は前記部材積層物(9)の前記加圧膜体(2)とは反対側の面に直接またはその近傍に配置されていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の積層装置。
【請求項18】
前記載置盤(4)は前記部材積層物(9)に対して熱絶縁されるように構成されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項19】
前記発熱体(51,52,53)は前記加圧膜体(2)内に流し込み、接着または加硫処理によって接合されているか、または前記加圧膜体(2)周りに接着または加硫処理によって接合されているか、あるいはその両方によって接合されていることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項20】
前記発熱体(51,52,53)は前記加圧膜体(2)内に埋め込まれるかまたは刻設された案内路内に余裕をもって挿入されたヒータ線の形で形成されていることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項21】
複数の発熱体(51,52,53)が同一のまたは異なった結合方式で前記加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項22】
前記発熱体(51,52,53)は電気抵抗ヒータとして形成されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項23】
前記発熱体(51,52,53)は誘導または渦電流による発熱構造体として形成されていることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項24】
前記発熱体(51,52,53)は熱媒液の流路構造体として形成されていることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項25】
同一のまたは異なった加熱作用方式の複数の発熱体(51,52,53)が前記加圧膜体と一体に形成されていることを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項26】
前記加圧膜体(2)は重なり合った2枚の膜体(25,26)からなる複式膜としてかまたは重なり合った2枚以上の膜体からなる多重膜として形成され、前記重なり合った膜のうち少なくとも1枚は前記少なくとも1つの発熱体(51,52,53)組み込んでいることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項27】
前記重なり合った膜(25,26)のそれぞれは同一に形成されていることを特徴とする請求項26に記載の積層装置。
【請求項28】
2枚の隣接した膜(25,26)の間の中間空間(35)にこの中間空間(35)の排気または通気あるいはその両方を実施するための流通手段が接続されていることを特徴とする請求項26または請求項27に記載の積層装置。
【請求項29】
前記加圧膜体(2)を構成する隣接したそれぞれ2枚の膜体(25,26)の間の中間空間(35)に前記中間空間(35)内の圧力を測定するための圧力測定ユニット(28)が接続されていることを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項30】
前記圧力測定ユニット(28)には、操作員によって認知可能な圧力表示装置が付属していることを特徴とする請求項29に記載の積層装置。
【請求項31】
前記中間空間(35)内の圧力を測定するための前記圧力測定ユニット(28)には、前記中間空間(35)内に所定の限界値を上回るかまたは下回る圧力が生ずると警告を報知することのできる評価ユニットが付属していることを特徴とする請求項29または30に記載の積層装置。
【請求項32】
発熱体を含まない2枚の膜体(25,26)が備えられ、前記2枚の膜体(25,26)の間の中間空間(35)に前記少なくとも1つの発熱体を組み入れた膜体(27)が配置され、少なくとも押圧プロセスに際して前記膜体(25,26)の間の中間空間(35)が排気されることで、前記3枚の膜体(25,26,27)は共同して前記加圧膜体(2)を形成することを特徴とする請求項1から31のいずれか一項に記載の積層装置。
【請求項33】
押圧と熱との組み合わせ作用によって部材を積層もしくは貼合せるために積層装置(1)に用いられる加圧膜体であって、前記積層装置(1)のチャンバ(3)内で下側チャンバ空間(31)を上側チャンバ空間(32)から気密分離するために使用されるものにおいて、
少なくとも1つの発熱体(51,52,53)が一体的に組み込まれていることを特徴とする加圧膜体。
【請求項34】
前記発熱体(51,52,53)はこの加圧膜体(2)の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すためそれ自体が十分な弾性または可撓性あるいは両方の特性を有するように形成されていることを特徴とする請求項33に記載の加圧膜体。
【請求項35】
前記発熱体(51,52,53)はこの加圧膜体の弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を許すためこの加圧膜体と共に弾性構成体または可撓性構成体あるいは弾性可撓性構成体を形成することを特徴とする請求項33または34に記載の加圧膜体。
【請求項36】
少なくとも前記発熱体(51,52,53)の領域に、この加圧膜体(2)の前記弾性変形または屈曲変形あるいはその両方の変形を制限するための変形制限手段(6)が設けられていることを特徴とする請求項34または35に記載の加圧膜体。
【請求項37】
少なくとも前記発熱体(51,52,53)の領域においてその他の領域に比較して肉厚にされた材料厚さを有することを特徴とする請求項33から36のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項38】
前記材料厚さは前記一体化された発熱体(51,52,53)の周縁領域からその他の領域に至る移行領域において連続的に減少してゆくことを特徴とする請求項37に記載の加圧膜体。
【請求項39】
前記変形制限手段(6)はこの加圧膜体(2)の内部または周囲あるいはその両方に配設された付加的な面状または網状または格子状構成体として形成されていることを特徴とする請求項36に記載の加圧膜体。
【請求項40】
前記発熱体(51,52,53)のヒータ線(511)はこの加圧膜体の面に対して渦巻き状または螺旋状または蛇行状に布設されていることを特徴とする請求項33から39のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項41】
前記発熱体(51,52,53)のヒータ線(511)はその長手方向に螺旋状に布設されていることを特徴とする請求項33から39のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項42】
前記発熱体(51,52,53)のヒータ線(511)はその長手方向に管状に布設されていることを特徴とする請求項33から41のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項43】
複数の発熱体(51,52,53)が前記加圧膜体の面全体にわたって分布していることを特徴とする請求項33から42のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項44】
複数の発熱体(51,52,53)が複数の層をなしてこの加圧膜体の面全体にわたって分布していることを特徴とする請求項33から43のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項45】
前記発熱体(51,52,53)が複数備えられるとともに、それらが個別制御またはグループ制御されることを特徴とする請求項33から44のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項46】
前記発熱体(51,52,53)毎に1つ以上の温度測定センサ(513)が割り当てられていることを特徴とする請求項33から45のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項47】
前記発熱体(51,52,53)毎に、オプショナルに機能させることのできる少なくとも1つの予備の温度測定センサ(514)が割り当てられていることを特徴とする請求項46に記載の加圧膜体。
【請求項48】
前記温度測定センサ(513,514)は同じくこの加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする請求項46または請求項47に記載の加圧膜体。
【請求項49】
前記温度測定センサ(513,514)はこの加圧膜体(2)の本体から空間的に分離させて取付け可能であることを特徴とする請求項46または請求項47に記載の加圧膜体。
【請求項50】
前記発熱体(51,52,53)は、この加圧膜体(2)への流し込み処理後、接着または加硫処理によって接合されるか、またはこの加圧膜体(2)周りに接着または加硫処理によって接合されるか、その組み合わせで組み込まれることを特徴とする請求項33から49のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項51】
前記発熱体(51,52,53)はこの加圧膜体(2)に埋め込まれるかまたは刻設された案内路内に余裕をもって挿入されたヒータ線の形で形成されていることを特徴とする請求項33から49のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項52】
複数の発熱体(51,52,53)が同一のまたは異なった結合方式でこの加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする請求項33〜51のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項53】
前記発熱体(51,52,53)は電気抵抗ヒータとして形成されていることを特徴とする請求項33から52のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項54】
前記発熱体(51,52,53)は誘導または渦電流による発熱構造体として形成されていることを特徴とする請求項33から53のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項55】
前記発熱体(51,52,53)は熱媒液の流路構造体として形成されていることを特徴とする請求項33から54のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項56】
同一のまたは異なった加熱作用方式の複数の発熱体(51,52,53)がこの加圧膜体(2)と一体に形成されていることを特徴とする請求項33から55のいずれか一項に記載の加圧膜体。
【請求項57】
部材積層物を積層装置(1)内で押圧と熱との組み合わせ作用によって積層するための積層方法であって、前記積層装置(1)は、載置盤(4)とそれぞれ少なくとも1つの発熱体(51,52,53)からなる少なくとも1つの加熱手段(5)とを装備した1つ以上の部材積層物(9)を収容可能な少なくとも1つの積層チャンバ(3)が備えられており、前記積層チャンバ(3)内において前記載置盤(4)の上方には前記載置盤に対して相対可動すると共に下側チャンバ空間(31)を上側チャンバ空間(32)から分離する少なくとも1つの弾性または可撓性あるいはその両方の特性を有する加圧膜体(2)が気密に張設されて、少なくとも前記下側チャンバ空間(31)が密閉ならびに排気、通気可能とされるものにおいて、
積層されるべき部材からなる部材積層物(9)にこの部材積層物の前記加圧膜体(2)に対向する側の面に熱が付与され、前記熱は前記加圧膜体(2)と一体に形成された少なくとも1つの発熱体(51,52,53)によって発生したものであることを特徴とする積層方法。
【請求項58】
前記部材積層物(9)にさらにこの部材積層物の前記加圧膜体(2)とは反対側の面にも熱が付与されることを特徴とする請求項57に記載の積層方法。
【請求項59】
前記部材積層物(9)からの熱流出は前記部材積層物の前記加圧膜体(2)とは反対側の面に対向して配設された断熱手段によって阻止または減少させられることを特徴とする請求項57に記載の積層方法。
【請求項60】
前記熱付与を制御するために測定さるべき温度値は前記部材積層物(9)の前記載置盤(4)に対向する側の面の直接の近傍で検出されることを特徴とする請求項57から59のいずれか一項に記載の積層方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−56802(P2009−56802A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223773(P2008−223773)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(506260928)マイアー・ヴァクウムテヒニーク・ゲー・エム・ベー・ハー (3)
【氏名又は名称原語表記】MEIER VAKUUMTECHNIK GMBH
【住所又は居所原語表記】VENNWEG 18,D−46395 BOCHOLT,BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
【Fターム(参考)】