空気入りタイヤの製造方法
【課題】ユニフォミティ及び耐久性に優れる空気入りタイヤ2の製造方法の提供。
【解決手段】このタイヤ2の製造方法は、ドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーで実施される。この製造方法は、第一コードを含む第一リボンが第一ヘッドから送り出され、ベルト12の第一端36aより軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルト12に積層され、第二コードを含む第二リボンが第二ヘッドから送り出され、このベルト12の第二端36bより軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルト12に積層される工程、ベルト12の第一端36aにおいて第一リボンが周方向に巻回され、このベルト12の第二端36bにおいて第二リボンが周方向に巻回される工程及びタイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される工程を含む。
【解決手段】このタイヤ2の製造方法は、ドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーで実施される。この製造方法は、第一コードを含む第一リボンが第一ヘッドから送り出され、ベルト12の第一端36aより軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルト12に積層され、第二コードを含む第二リボンが第二ヘッドから送り出され、このベルト12の第二端36bより軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルト12に積層される工程、ベルト12の第一端36aにおいて第一リボンが周方向に巻回され、このベルト12の第二端36bにおいて第二リボンが周方向に巻回される工程及びタイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのベルトは、通常はバンドで覆われる。バンドは、コードを含んでいる。コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンドは、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドは、ベルトを拘束する。これにより、ベルトのリフティングが抑制される。
【0003】
バンドは、リボンが螺旋状に巻回されることにより形成される。リボンは、コードとトッピングゴムとからなる。バンドを有するタイヤ及びその製造方法について、様々な検討がなされている。この検討例が、特開平2−67123号公報、特開2006−176078公報、特開2009−51417公報、特開2002−178415公報及び特開2006−255989公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−67123号公報
【特許文献2】特開2006−176078公報
【特許文献3】特開2009−51417公報
【特許文献4】特開2002−178415公報
【特許文献5】特開2006−255989公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リボンを2本用いて、バンドが形成されることがある。この場合、一方のリボンは赤道面からベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回される。他方のリボンは、赤道面からベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回される。
【0006】
リボンの先端をベルトに載せると、ドラムが回転される。これにより、リボンの巻回しが開始される。開始後ドラムが3/4周回転するまでは、リボンは赤道面に沿って巻回される。その後、このリボンは螺旋状に巻回される。この製造方法では、このバンドの赤道面の部分に、リボンの存在していない隙間部分が形成されてしまう。この隙間部分に起因して生じる凹凸は、タイヤのユニフォミティを阻害してしまう。
【0007】
この製造方法では、リボンの巻き回しはベルトの端において止められる。リボンの終端は、ベルトの端の部分に位置している。このバンドでは、このベルトの端の部分を十分に拘束することができない。この製造方法により得られるタイヤの耐久性は、十分なものではない。
【0008】
本発明の目的は、ユニフォミティ及び耐久性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、実施される。
この製造方法は、
(1)上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程、
(2)第一コードを含む第一リボンが上記第一ヘッドから送り出され、上記ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層され、第二コードを含む第二リボンが上記第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層される工程、
(3)上記ベルトの第一端に向かって上記第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第一リボンが螺旋状に巻回され、このベルトの第二端に向かって上記第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第二リボンが螺旋状に巻回される工程、
(4)上記ベルトの第一端において上記第一リボンが周方向に巻回され、このベルトの第二端において上記第二リボンが周方向に巻回される工程、
(5)上記第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第一リボンが螺旋状にさらに巻回され、上記第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第二リボンが螺旋状にさらに巻回される工程
及び
(6)タイヤの赤道面に相当する位置において、上記第一リボンと上記第二リボンとが交差して巻回される工程
を含む。
【0010】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記ベルトに積層された上記第一リボンの先端からこのベルトの第一端までの軸方向距離は30mm以上50mm以下である。このベルトに積層された上記第二リボンの先端からこのベルトの第二端までの軸方向距離は、30mm以上50mm以下である。
【0011】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボン及び上記第二リボンの周方向への巻回しにおける、上記ドラムの回転角は180°以上360°以下である。
【0012】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一コードの初期モジュラスは上記第二コードの初期モジュラスよりも大きい。
【0013】
好ましくは、この製造方法で得られた空気入りタイヤが車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、上記ベルトの第一端は内側に位置し、このベルトの第二端は外側に位置する。
【0014】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボンの幅は10mm以上11mm以下である。上記第二リボンの幅は、10mm以上11mm以下である。
【0015】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボンは9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される。上記第二リボンは、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される。
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてこのカーカスと積層されるベルトと、このベルトとこのトレッドとの間に位置してこのベルトを覆うバンドとを備えている。このバンドは、第一リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第一エレメントと、第二リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第二エレメントとから構成されている。軸方向において、上記第一エレメントの端は上記ベルトの第一端よりも内側に位置している。この第一エレメントは、このベルトの第一端において折り返されている。軸方向において、上記第二エレメントの端は上記ベルトの第二端よりも内側に位置している。この第二エレメントは、このベルトの第二端において折り返されている。赤道面において、この第一エレメントとこの第二エレメントとは交差している。上記第一リボンは、第一コードを含んでいる。上記第一エレメントにおいて、この第一コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。上記第二リボンは、第二コードを含んでいる。上記第二エレメントにおいて、この第二コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る製造方法によれば、ユニフォミティ及び耐久性に優れる空気入りタイヤが得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤが示された断面図である。
【図2】図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
【図3】図3は、図1のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。
【図4】図4は、図1のタイヤのバンドの形成に用いられる第一リボンの一部が示された断面斜視図である。
【図5】図5は、図1のタイヤのバンドの形成に用いられる第二リボンの一部が示された断面斜視図である。
【図6】図6は、図1のタイヤの製造状況が模式的に示された平面図である。
【図7】図7は、図6の正面図である。
【図8】図8は、図6とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図9】図9は、図8とは別の製造状況が模式的に示された正面図である。
【図10】図10は、図9の背面図である。
【図11】図11は、図9及び図10とは別の製造状況が示された平面図である。
【図12】図12は、図11とは別の製造状況が示された平面図である。
【図13】図13は、図12とは別の製造状況が示された平面図である。
【図14】図14は、図13とは別の製造状況が示された平面図である。
【図15】図15は、バンドの一部をなす第一エレメントの形成状況が示された断面図である。
【図16】図16は、バンドの他の一部をなす第一エレメントの形成状況が示された断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤが示された断面図である。
【図18】図18は、図17のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
【図19】図19は、図17のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0020】
図1に示された空気入りタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、ウィング16、クリンチ18、インナーライナー20及びチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。
【0021】
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外面は、トレッド面24をなしている。このトレッド面24は、路面と接地する。トレッド面24には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。このトレッド面24に、溝26が刻まれなくてもよい。
【0022】
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
【0023】
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア28と、このコア28から半径方向外向きに延びるエイペックス30とを備えている。コア28は、リング状である。コア28は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア28にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス30は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス30は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0024】
カーカス10は、カーカスプライ32からなる。カーカスプライ32は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ32は、コア28の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0025】
図示されていないが、カーカスプライ32は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス10が採用されてもよい。
【0026】
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、トレッド4の半径方向内側においてカーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層34a及び外側層34bからなる。このタイヤ2では、内側層34aは外側層34bよりも幅広である。軸方向において、この内側層34aの端36は外側層34bの端38よりも外側に位置している。この内側層34aの端36は、ベルト12の端でもある。なお、この内側層34aが外側層34bよりも幅狭とされてもよい。この場合、外側層34bの端38がベルト12の端とされる。
【0027】
図示されていないが、内側層34a及び外側層34bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層34aのコードの傾斜方向は、外側層34bのコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
【0028】
本明細書では、紙面において左側に位置するベルト12の端36aは第一端と称される。この第一端36aが位置する、このタイヤ2の赤道面から左側の部分は、第一サイドS1と称される。右側に位置するベルト12の端36bは、第二端と称される。この第二端36bが位置する、このタイヤ2の赤道面から右側の部分は、第二サイドS2と称される。このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一サイドS1が内側に位置し、第二サイドS2が外側に位置する。
【0029】
図2には、このタイヤ2の第一サイドS1におけるバンド14がベルト12とともに示されている。図3には、このタイヤ2の第二サイドS2におけるバンド14がベルト12ともに示されている。
【0030】
バンド14は、トレッド4とバンド14との間に位置している。バンド14は、ベルト12を覆っている。図示されているように、このバンド14の端40は軸方向においてベルト12の端36よりも外側に位置している。
【0031】
このタイヤ2では、バンド14は、第一エレメント42及び第二エレメント44から構成されている。図示されていないが、第一エレメント42は第一コードとトッピングゴムとからなる。第二エレメント44は、第二コードとトッピングゴムとからなる。
【0032】
このタイヤ2の第一サイドS1において、第一エレメント42はベルト12の半径方向外側に積層されている。第一エレメント42の第一端46aは、ベルト12の第一端36aよりも軸方向内側に位置している。この第一エレメント42は、このベルト12の第一端36aの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第一エレメント42には、軸方向において、赤道面からベルト12の第一端36aに向かって延在する第一本体48aと、この第一本体48aから内向きに延在する第一折返し部50とが形成されている。このタイヤ2では、第一エレメント42は第一本体48a及び第一折返し部50を備えている。
【0033】
第一エレメント42は、第二サイドS2において、第二エレメント44の半径方向外側に積層されている。この第一エレメント42は、前述の、第一本体48a及び第一折返し部50以外に、軸方向において、赤道面からベルト12の第二端36bに向かって延在する第一本体48bをさらに備えている。このタイヤ2の第一エレメント42は、第一本体48a、第一折返し部50及び第一本体48bから構成されている。
【0034】
このタイヤ2の第二サイドS2において、第二エレメント44はベルト12の半径方向外側に積層されている。第二エレメント44の第一端52aは、ベルト12の第二端36bよりも軸方向内側に位置している。この第二エレメント44は、このベルト12の第二端36bの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第二エレメント44には、軸方向において、赤道面からベルト12の第二端36bに向かって延在する第二本体54aと、この第二本体54aから内向きに延在する第二折返し部56とが形成されている。このタイヤ2では、第二エレメント44は第二本体54a及び第二折返し部56を備えている。
【0035】
第二エレメント44は、第一サイドS1において、第一エレメント42の半径方向外側に積層されている。この第二エレメント44は、前述の、第二本体54a及び第二折返し部56以外に、軸方向において、赤道面からベルト12の第一端36aに向かって延在する第二本体54bをさらに備えている。このタイヤ2の第二エレメント44は、第二本体54a、第二折返し部56及び第二本体54bから構成されている。
【0036】
このタイヤ2の第一サイドS1では、第二エレメント44の第二端52bは軸方向において第一エレメント42の第一端46aと略同等の位置にある。このタイヤ2では、そのバンド14の第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向外側の部分においては、第一折返し部50及び第一本体48aが半径方向に重複している。このバンド14の第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向内側の部分においては、第一本体48a及び第二本体54bが半径方向に重複している。
【0037】
このタイヤ2の第二サイドS2では、第一エレメント42の第二端46bは軸方向において第一エレメント42の第一端46aと略同等の位置にある。このタイヤ2では、そのバンド14の第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向外側の部分においては、第二折返し部56及び第二本体54aが半径方向に重複している。このバンド14の第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向内側の部分においては、第二本体54a及び第一本体48bが半径方向に重複している。
【0038】
このタイヤ2では、バンド14の、第一エレメント42の第一端46aと第二エレメント44の第一端52aとの間の部分はセンター部Cと称される。このバンド14の、第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向外側の部分は、第一エッジ部E1と称される。このバンド14の、第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向外側の部分は、第二エッジ部E2と称される。このバンド14は、センター部C、第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有している。
【0039】
図示されているように、センター部Cは2層からなる。このセンター部Cは、第一エレメント42の第一本体48a及び第一本体48b並びに第二エレメント44の第二本体54a及び第二本体54bから構成されている。このセンター部Cにおいては、第一エレメント42の第一本体48aの半径方向外側に第二エレメント44の第二本体54bが積層され、第二エレメント44の第二本体54aの半径方向外側に第一エレメント42の第一本体48bが積層されている。このタイヤ2では、赤道面において、第一エレメント42と第二エレメント44とが交差している。このタイヤ2では、特に、第一エレメント42に含まれる第一コードに、第二エレメント44に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合において、この交差がこのセンター部Cの軸方向における剛性の均整化に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、片膨れが効果的に防止されている。コニシティが適切に維持されるので、このタイヤ2によれば、車両流れが効果的に防止されうる。
【0040】
図示されているように、第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2はそれぞれ2層からなる。第一エッジ部E1は、第一本体48a及び第一折返し部50から構成されている。換言すれば、この第一エッジ部E1は第一エレメント42から構成されている。第二エッジ部E2は、第二本体54a及び第二折返し部56から構成されている。換言すれば、この第二エッジ部E2は第二エレメント44から構成されている。
【0041】
前述したように、第一エレメント42には第一コードが含まれ、第二エレメント44には第二コードが含まれている。したがって、第一エレメント42に含まれる第一コードに、第二エレメント44に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合、バンド14は、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有することができる。この観点から、この第一コード及び第二コードには、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用するのが好ましい。このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、ベルト12の第一端36aの位置する第一サイドS1が内側に位置し、このベルト12の第二端36bが位置する第二サイドS2が外側に位置する。したがって、このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一エッジ部E1は内側に位置し、第二エッジ部E2は外側に位置する。耐久性に優れるタイヤ2が得られるという観点から、第一エッジ部E1は第二エッジ部E2の剛性よりも高い剛性を有しているのが好ましい。この観点から、第一コードは第二コードの初期モジュラスよりも高い初期モジュラスを有しているのが好ましい。耐久性向上の観点から、第二コードの初期モジュラスに対する第一コードの初期モジュラスの比は、1.1以上が好ましい。剛性の均整化の観点から、この比は5以下が好ましい。
【0042】
本明細書では、第一コード及び第二コードの初期モジュラスは、JIS L 1017の化学繊維タイヤコード試験方法に準拠して求めたコードの「荷重−伸び」曲線における原点での傾きを意味している。
【0043】
このタイヤ2では、第一エレメント42は第一リボン58を用いて形成される。この第一リボン58が、図4に示されている。第一リボン58は、複数の第一コード60とトッピングゴム62とからなる。図示されているように、この第一リボン58には10本の第一コード60が含まれている。各第一コード60は、第一リボン58の長さ方向に延在している。後述するが、第一エレメント42は第一リボン58を実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第一エレメント42において第一コード60は、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0044】
このタイヤ2では、第二エレメント44は第二リボン64を用いて形成される。この第二リボン64が、図5に示されている。第二リボン64は、複数の第二コード66とトッピングゴム68とからなる。図示されているように、この第二リボン64には10本の第二コード66が含まれている。各第二コード66は、第二リボン64の長さ方向に延在している。後述するが、第二エレメント44は第二リボン64を実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第二エレメント44において第二コード66は、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0045】
このタイヤ2では、第一コード60及び第二コード66が赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。本発明では、赤道面に対してなす角度の絶対値が5.0°以下である方向は、「実質的な周方向」とされる。
【0046】
このタイヤ2では、バンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンド14は、タイヤ2の半径方向の剛性に寄与しうる。このタイヤ2では、走行時に作用する遠心力の影響が抑制されている。
【0047】
このタイヤ2では、第一コード60及び第二コード66は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。第一コード60及び第二コード66には、単一の有機繊維で構成されたコードが用いられてもよいし、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたコードが用いられてもよい。
【0048】
アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね17cN/dtex程度である。前述したように、第一コード60及び第二コード66には、単一の有機繊維で構成されたコードが用いられてもよいし、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたコードが用いられてもよい。したがって、第一コード60及び第二コード66に採用されるコードの初期モジュラスは、17cN/dtex以上76cN/dtex以下の範囲にあるのが好ましい。
【0049】
前述したように、この製造方法では、第一コード60及び第二コード66に、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用することにより、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有するバンド14が得られる。
【0050】
前述したように、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね17cN/dtex程度である。言い換えれば、アラミド繊維からなるコードは、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。アラミド繊維からなるコードは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。したがって、第一コード60と第二コード66との組み合わせとしては、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コード66にアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレートからなるコードを採用するのが好ましい。
【0051】
前述したように、この製造方法では、第一コード60に第二コード66の初期モジュラスよりも大きな初期モジュラスを有するコードを採用することにより、耐久性に優れるタイヤ2が得られる。
【0052】
前述したように、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね17cN/dtex程度である。言い換えれば、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。したがって、第一コード60と第二コード66との組み合わせとしては、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。特に好ましい組み合わせは、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用することである。
【0053】
このタイヤ2では、第一コード60の構成は、特に、制限されない。第一コード60にアラミド繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コード60の構成としては、1100dtex/2、940dtex/2及び1100dtex/940dtexが好ましい。タイヤ2の耐久性向上の観点から、この第一コード60の構成としては、1100dtex/940dtexが特に好ましい。この第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コード60の構成としては、1500dtex/2が好ましい。本明細書では、この第一コード60の構成は、JIS L 1017−5.2項「コード構造の表示方法」に準拠して表される。後述する、第二コード66の構成も同様である。
【0054】
このタイヤ2では、第二コード66の構成は、特に、制限されない。第二コード66にナイロン繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コード66の構成としては、1400dtex/2が好ましい。この第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コード66の構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0055】
このタイヤ2は、次のようにして製造される。複数の第一コード60がトッピングゴム62とともに押し出され、第一リボン58が得られる。複数の第二コード66がトッピングゴム68とともに押し出され、第二リボン64が得られる。第一リボン58及び第二リボン64は、フォーマー(図示されず)に供給される。
【0056】
図4において、両矢印RW1は第一リボン58の幅を表している。この製造方法では、加工性に優れ、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうるという観点から、第一リボン58の幅RW1は9.8mm以上が好ましく、11.0mm以下が好ましい。
【0057】
図5において、両矢印RW2は第二リボン64の幅を表している。この製造方法では、加工性に優れ、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうるという観点から、第二リボン64の幅RW2は9.8mm以上が好ましく、11.0mm以下が好ましい。
【0058】
フォーマーは、円筒状のドラム、第一ヘッド及び第二ヘッドを備えている。このフォーマーでは、カーカスプライ32がドラムに巻回され筒状とされる。この筒状のカーカスプライ32に第一シートが巻回され、ベルト12の一部をなす内側層34aが形成される。この内側層34aに第二シートが巻回され、ベルト12の他の一部をなす外側層34bが形成される。これにより、ベルト12が得られる。
【0059】
フォーマーでは、第一ヘッドは第一リボン58を送り出す。第一ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドは、第一リボン58を送り出しつつ、軸方向に移動しうる。このフォーマーでは、第二ヘッドは第二リボン64を送り出す。第二ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドは、第二リボン64を送り出しつつ、軸方向に移動しうる。
【0060】
この製造方法では、第一ヘッドから送り出された第一リボン58はベルト12に積層される。第二ヘッドから送り出された第二リボン64は、ベルト12に積層される。
【0061】
図6に示されているのは、第一リボン58及び第二リボン64の積層状況である。この図6において、上下方向がタイヤ2の軸方向に相当する。左右方向が、このタイヤ2の周方向に相当する。この紙面において下側が、タイヤ2の第一サイドS1側に相当する。この紙面において上側が、タイヤ2の第二サイドS2側に相当する。図6中、符号Fで示されているのがフォーマーである。符号Dで示されているのが、このフォーマーFに設けられたドラムである。
【0062】
この製造方法では、第一リボン58の先端70は、ベルト12の第一端36aより軸方向内側において、このベルト12に積層される。第二リボン64の先端72は、このベルト12の第二端36bより軸方向内側において、このベルト12に積層される。
【0063】
図6において、両矢印W1は第一リボン58の先端70からベルト12の第一端36aまでの軸方向距離を表している。本明細書では、この距離W1は第一リボン58の先端70における軸方向内縁74からベルト12の第一端36aまでの軸方向距離で示される。
【0064】
この製造方法では、距離W1はバンド14の一部をなす第一エッジ部E1の軸方向幅に影響する。第一エッジ部E1がベルト12の第一端36aの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離W1は30mm以上が好ましい。バンド14の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離W1は50mm以下が好ましい。
【0065】
図6において、両矢印W2は第二リボン64の先端72からベルト12の第二端36bまでの軸方向距離を表している。本明細書では、この距離W2は第二リボン64の先端72における軸方向内縁76からベルト12の第二端36bまでの軸方向距離で示される。
【0066】
この製造方法では、距離W2はバンド14の他の一部をなす第二エッジ部E2の軸方向幅に影響する。第二エッジ部E2がベルト12の第二端36bの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離W2は30mm以上が好ましい。バンド14の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離W2は50mm以下が好ましい。
【0067】
図6に示されているように、この製造方法では、第一リボン58の先端70と第二リボン64の先端72とは、ドラムDの周方向において、異なる位置に配置されている。
【0068】
図7には、図6の正面図が示されている。この図7において、紙面に垂直な方向がタイヤ2の軸方向に相当する。この紙面において表側が、このタイヤ2の第一サイドS1側に相当する。図7中、符号Poで示されているのがドラムDの回転軸である。このフォーマーFでは、ドラムDは、この回転軸Poを中心に、矢印Aで示された方向に回転する。この回転方向Aが、このドラムDの正転方向である。生産性向上の観点から、このドラムDの回転速度は180m/min以上が好ましく、200m/min以上がより好ましい。高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、この回転速度は250m/min以下が好ましく、240m/min以下がより好ましい。なお、この回転速度は、第一リボン58及び第二リボン64の貼付速度に相当する。
【0069】
図7において、符号R1で示されているのは第一押さえローラーである。この第一押さえローラーR1は、ベルト12に積層された第一リボン58をベルト12に押し付ける。これにより、第一リボン58がベルト12に貼り付けられる。符号R2で示されているのは、第二押さえローラーである。この第二押さえローラーR2は、ベルト12に積層された第二リボン64をベルト12に押し付ける。これにより、第二リボン64がベルト12に貼り付けられる。なお、図中、符号H1で示されているのが第一ヘッドであり、符号H2で示されているのが第二ヘッドである。
【0070】
図7において、符号P1は第一リボン58の先端70の位置に相当するドラムDの周面上の位置を表している。この製造方法では、ドラムDの回転により、第一ヘッドH1から送り出された第一リボン58がベルト12上に巻回され、第一リボン58が貼り付けられる。したがって、図7に示された第一リボン58の先端70の位置はこの第一リボン58の貼付の開始位置でもある。この図7には、この開始位置に相当するドラムDの周面上の位置が符号Paで示されている。
【0071】
図7において、符号P2は第二リボン64の先端72の位置に相当するドラムDの周面上の位置を表している。この製造方法では、ドラムDの回転により、第二ヘッドH2から送り出された第一リボン58がベルト12上に巻回され、第二リボン64が貼り付けられる。したがって、図7に示された第二リボン64の先端72の位置はこの第二リボン64の貼付の開始位置でもある。この図7には、この開始位置に相当するドラムDの周面上の位置が符号Pbで示されている。
【0072】
図示されているように、第一リボン58の貼付開始位置Paは、ドラムDの回転方向において、第二リボン64の貼付開始位置Pbよりも前方に位置している。この製造方法では、第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付は、周方向において異なる位置から開始されている。なお、第一リボン58の貼付開始位置Paを、ドラムDの回転方向において、第二リボン64の貼付開始位置Pbよりも後方に配置させて、この第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付が開始されてもよい。この第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付が、周方向において同等の位置から開始されてもよい。
【0073】
図7において、角度αはこのドラムDの中心Poと開始位置Paとを結ぶ線分とこの中心Poと開始位置Pbとの線分とが挟む、中心角を表している。この中心角αは、開始位置Paに対する開始位置Pbの相対位置を表している。高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、この中心角αは17°以上が好ましく、22°以上がより好ましい。この中心角αは、30°以下が好ましく、27°以下がより好ましい。
【0074】
この製造方法では、ドラムDが1回転するたびに、押さえローラーR1の直下を、位置P1及び位置P2が順に通過する。このドラムDが1回転するたびに、押さえローラーR2の直下を、位置P2及び位置P1が順に通過する。
【0075】
この製造方法では、その先端70がベルト12に積層された第一リボン58は、ベルト12の第一端36aに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。その先端72がベルト12に積層された第二リボン64は、ベルト12の第二端36bに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。
【0076】
図8には、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分に到達し、第二リボン64がこのベルト12の第二端36bの部分に到達している状況が示されている。図示されていないが、この製造方法では、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分に到達したとき、先端70の位置P1は開始位置Paに一致している。第二リボン64がこのベルト12の第二端36bの部分に到達したとき、先端72の位置P2は開始位置Pbに一致している。
【0077】
この製造方法では、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分を覆うと、第一ヘッドH1の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト12の第一端36aにおいて、第一リボン58が周方向に巻回される。この製造方法では、この第一リボン58の周方向への巻回しは開始位置Paにおいて開始される。
【0078】
図9には、第一リボン58が周方向に巻回されている状況が示されている。この図9においては、ドラムDは図8の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。図中、角度β1は、開始位置Paで開始された第一リボン58の周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角を表している。この回転角β1は、このドラムDの中心Poと開始位置Paとを結ぶ線分とこの中心Poと位置P1との線分とが挟む、中心角により示される。
【0079】
この製造方法では、第一リボン58の周方向への巻回しはベルト12の第一端36aにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ2が得られうるという観点から、回転角β1は180°以上が好ましい。ベルト12の第一端36aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β1は360°以下が好ましい。
【0080】
この製造方法では、第二リボン64がベルト12の第二端36bの部分を覆うと、第二ヘッドH2の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト12の第二端36bにおいて、第二リボン64が周方向に巻回される。この製造方法では、この第二リボン64の周方向への巻回しは開始位置Pbにおいて開始される。
【0081】
図10には、第二リボン64が周方向に巻回されている状況が示されている。この図10は、図9の背面図である。この図10においては、ドラムDは図8の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。図中、角度β2は、開始位置Pbで開始された第一リボン58の周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角を表している。この回転角β2は、このドラムDの中心Poと開始位置Pbとを結ぶ線分とこの中心Poと位置P2との線分とが挟む、中心角により示される。なお、この製造方法では、この回転角β2は前述の回転角β1と同等である。
【0082】
この製造方法では、第二リボン64の周方向への巻回しはベルト12の第二端36bにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ2が得られうるという観点から、回転角β2は180°以上が好ましい。ベルト12の第二端36bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β2は360°以下が好ましい。
【0083】
この製造方法では、第一リボン58の周方向への巻回しが完了すると、第一ヘッドH1を軸方向内向きに移動させつつ、この第一リボン58は螺旋状にさらに巻回される。第二リボン64の周方向への巻回しが完了すると、第二ヘッドH2を軸方向内向きに移動させつつ、この第二リボン64は螺旋状にさらに巻回される。この巻回しの状況が、図11に示されている。そして、図12に示されているように、タイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボン58と第二リボン64とが交差して巻回される。
【0084】
図13に示されているように、この製造方法では、ベルト12の第二端36bに向かって第一ヘッドH1を軸方向にさらに移動ささせつつ、第一リボン58は螺旋状にさらに巻回される。ベルト12の第一端36aに向かって第二ヘッドH2を軸方向にさらに移動させつつ、第二リボン64は螺旋状にさらに巻回される。
【0085】
図14に示されているように、この製造方法では、第二リボン64の先端72の近傍において、第一リボン58の終端78を開始位置Paと軸方向に一致させて、第一リボン58の巻回しが完了する。第一リボン58の先端70の近傍において、第二リボン64の終端80を開始位置Pbと軸方向に一致させて、第二リボン64の巻回しが完了する。これにより、赤道面において第一エレメント42及び第二エレメント44が交差したバンド14が得られる。トレッド4等の部材がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0086】
図示されているように、タイヤ2の第一サイドS1側に相当する部分においては、第二リボン64の終端80の部分が第一リボン58の先端70の部分と半径方向において重複している。ドラムDの回転及び前述の中心角αが調整されて、この第二リボン64の終端80を第一リボン58の先端70から離間させて、この第二リボン64の巻回しが完了されてもよい。図中、両矢印D1は、第一リボン58の先端70から第二リボン64の終端80までの周方向に沿った長さを表している。過剰な重複によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD1は150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。過剰な離間によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD1は−150mm以上が好ましく、−100mm以上がより好ましい。
【0087】
図示されているように、タイヤ2の第二サイドS2側に相当する部分においては、第一リボン58の終端78は、第二リボン64の先端72から離間している。ドラムDの回転及び前述の中心角αが調整されて、この第一リボン58の終端78の部分を第二リボン64の先端72の部分と半径方向において重複させて、この第一リボン58の巻回しが完了されてもよい。図中、両矢印D2は、第二リボン64の先端72から第一リボン58の終端78までの周方向に沿った長さを表している。過剰な離間によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD2は−150mm以上が好ましく、−100mm以上がより好ましい。過剰な重複によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD2は150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。
【0088】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。
【0089】
前述したように、この製造方法では、タイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボン58と第二リボン64とが交差して巻回される。これにより、第一リボン58の断面及び第二リボン64の断面が軸方向に隙間なく配列される。この製造方法では、従来のタイヤ2のように、このバンド14の赤道面の部分に、第一リボン58及び第二リボン64が存在していない隙間部分は形成されない。この隙間部分の形成に起因した凹凸の形成が防止されているので、この製造方法により得られるタイヤ2はユニフォミティに優れる。
【0090】
図15に示されているのは、形成途中にあるこのバンド14の一部をなす第一エレメント42の断面である。前述したように、この製造方法では、第一エレメント42は、第一リボン58を螺旋状に巻回すことにより形成される。このため、この第一エレメント42の断面においては第一リボン58の断面82が隙間無く配置されている。図15中、実線L1aは一の断面82aの幅方向における中心線を表している。実線L1bはこの一の断面82aの隣に位置する他の断面82bの幅方向における中心線を表している。両矢印LP1は、中心線L1aと中心線L1bとの間の距離を表している。この距離LP1は、第一リボン58の巻回しにおけるピッチである。このピッチP1は、第一リボン58の送り量とも称される。
【0091】
この製造方法では、加工性の観点から、ピッチLP1は9.8mm以上が好ましい。適切な剛性を有する第一エレメント42が得られるという観点から、このピッチLP1は11.0mm以下が好ましい。
【0092】
図16に示されているのは、形成途中にあるこのバンド14の他の一部をなす第二エレメント44の断面である。前述したように、この製造方法では、第二エレメント44は、第二リボン64を螺旋状に巻回すことにより形成される。このため、この第二エレメント44の断面においては第二リボン64の断面84が隙間無く配置されている。図16中、実線L2aは一の断面84aの幅方向における中心線を表している。実線L2bはこの一の断面84aの隣に位置する他の断面84bの幅方向における中心線を表している。両矢印LP2は、中心線L2aと中心線L2bとの間の距離を表している。この距離LP2は、第二リボン64の巻回しにおけるピッチである。このピッチLP2は、第二リボン64の送り量とも称される。
【0093】
この製造方法では、加工性の観点から、ピッチLP2は9.8mm以上が好ましい。適切な剛性を有する第二エレメント44が得られるという観点から、このピッチLP2は11.0mm以下が好ましい。
【0094】
本発明では、タイヤ2及び後述するタイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
【0095】
図17には、本発明の他の実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤ86の断面が示されている。このタイヤ86は、図17中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ86の赤道面を表す。この図17において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ86は、トレッド88、サイドウォール90、ビード92、カーカス94、ベルト96、バンド98、ウィング100、クリンチ102、インナーライナー104及びチェーファー106を備えている。このタイヤ86のバンド98以外は、図1に示されたタイヤ2と同等の構成を有している。
【0096】
バンド98は、トレッド88とバンド98との間に位置している。バンド98は、ベルト96を覆っている。図示されているように、このバンド98の端108は軸方向においてベルト96の端110よりも外側に位置している。
【0097】
このタイヤ86では、バンド98は、第一エレメント112及び第二エレメント114から構成されている。図示されていないが、第一エレメント112は第一コードとトッピングゴムとからなる。第二エレメント114は、第二コードとトッピングゴムとからなる。
【0098】
図18には、このタイヤ86の第一サイドS1におけるバンド98がベルト96とともに示されている。図19には、このタイヤ86の第二サイドS2におけるバンド98がベルト96ともに示されている。
【0099】
このタイヤ86の第一サイドS1において、第一エレメント112はベルト96の半径方向外側に積層されている。第一エレメント112の第一端116aは、ベルト96の第一端110aよりも軸方向内側に位置している。この第一エレメント112は、このベルト96の第一端110aの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第一エレメント112には、軸方向において、赤道面からベルト96の第一端110aに向かって延在する第一本体118aと、この第一本体118aから内向きに延在する第一折返し部120とが形成されている。このタイヤ86では、第一エレメント112は第一本体118a及び第一折返し部120を備えている。
【0100】
第一エレメント112は、第二サイドS2において、第二エレメント114の半径方向外側に積層されている。この第一エレメント112は、前述の、第一折返し部120及び第一本体118a以外に、軸方向において、赤道面からベルト96の第二端110bに向かって延在する第一本体118bをさらに備えている。このタイヤ86の第一エレメント112は、第一本体118a、第一折返し部120及び第一本体118bから構成されている。
【0101】
このタイヤ86の第二サイドS2において、第二エレメント114はベルト96の半径方向外側に積層されている。第二エレメント114の第一端122aは、ベルト96の第二端110bよりも軸方向内側に位置している。この第二エレメント114は、このベルト96の第二端110bの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第二エレメント114には、軸方向において、赤道面からベルト96の第二端110bに向かって延在する第二本体124aと、この第二本体124aから内向きに延在する第二折返し部126とが形成されている。このタイヤ86では、第二エレメント114は第二本体124a及び第二折返し部126を備えている。
【0102】
第二エレメント114は、第一サイドS1において、第一エレメント112の半径方向外側に積層されている。この第二エレメント114は、前述の、第二本体124a及び第二折返し部126以外に、軸方向において、赤道面からベルト96の第一端110aに向かって延在する第二本体124bをさらに備えている。このタイヤ86の第二エレメント114は、第二本体124a、第二折返し部126及び第二本体124bから構成されている。
【0103】
このタイヤ86の第一サイドS1では、第二エレメント114の第二端122bは第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側に位置している。この第二エレメント114の第二端122bは、ベルト96の第一端110aの近傍に位置している。このタイヤ86では、そのバンド98の第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側の部分においては、第一折返し部120、第一本体118a及び第二本体124bが半径方向に重複している。このバンド98の第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向内側の部分においては、第一本体118a及び第二本体124bが半径方向に重複している。
【0104】
このタイヤ86の第二サイドS2では、第一エレメント112の第二端116bは第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側に位置している。この第一エレメント112の第二端116bは、ベルト96の第二端110bの近傍に位置している。このタイヤ86では、そのバンド98の第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側の部分においては、第二折返し部126、第二本体124a及び第一本体118bが半径方向に重複している。このバンド98の第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向内側の部分においては、第二本体124a及び第一本体118bが半径方向に重複している。
【0105】
このタイヤ86では、バンド98の、第一エレメント112の第一端116aと第二エレメント114の第一端122aとの間の部分はセンター部Cと称される。このセンター部Cは、2層構造を有している。このバンド98の、第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側の部分は、第一エッジ部E1と称される。この第一エッジ部E1は、3層構造を有している。このバンド98の、第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側の部分は、第二エッジ部E2と称される。この第二エッジ部E2は、3層構造を有している。このバンド98は、2層構造を有するセンター部Cと、それぞれが3層構造を有する一対のエッジ部Eとから構成されている。このバンド98は、2以上の層で構成されている。
【0106】
このタイヤ86では、センター部Cは、第一エレメント112の第一本体118a及び第一本体118b並びに第二エレメント114の第二本体124a及び第二本体124bから構成されている。このセンター部Cにおいては、第一エレメント112の第一本体118aの半径方向外側に第二エレメント114の第二本体124bが積層され、第二エレメント114の第二本体124aの半径方向外側に第一エレメント112の第一本体118bが積層されている。このタイヤ86では、赤道面において、第一エレメント112と第二エレメント114とが交差している。このタイヤ86では、特に、第一エレメント112に含まれる第一コードに、第二エレメント114に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合において、この交差がこのセンター部Cの軸方向における剛性の均整化に効果的に寄与しうる。このタイヤ86では、片膨れが効果的に防止されている。コニシティが適切に維持されるので、このタイヤ86によれば、車両流れが効果的に防止されうる。
【0107】
このタイヤ86では、第一エッジ部E1は、第一エレメント112の第一本体118a及び第一折返し部120並びに第二エレメント114の第二本体124bから構成されている。第二エッジ部E2は、第二エレメント114の第二本体124a及び第二折返し部126並びに第一エレメント112の第二本体124bから構成されている。
【0108】
前述したように、第一エレメント112には第一コードが含まれ、第二エレメント114には第二コードが含まれている。したがって、第一エレメント112に含まれる第一コードに、第二エレメント114に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合、バンド98は、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有することができる。この観点から、この第一コード及び第二コードには、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用するのが好ましい。このタイヤ86が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、ベルト96の第一端110aの位置する第一サイドS1が内側に位置し、このベルト96の第二端110bが位置する第二サイドS2が外側に位置する。したがって、このタイヤ86が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一エッジ部E1は内側に位置し、第二エッジ部E2は外側に位置する。耐久性に優れるタイヤ86が得られるという観点から、第一エッジ部E1は第二エッジ部E2の剛性よりも高い剛性を有しているのが好ましい。この観点から、第一コードは第二コードの初期モジュラスよりも高い初期モジュラスを有しているのが好ましい。耐久性向上の観点から、第二コードの初期モジュラスに対する第一コードの初期モジュラスの比は、1.1以上が好ましい。剛性の均整化の観点から、この比は5以下が好ましい。
【0109】
このタイヤ86では、第一エレメント112は第一リボンを用いて形成される。図示されていないが、この第一リボンは、複数の第一コードとトッピングゴムとからなる。この第一リボンは、図4に示された第一リボン58と同等である。後述するが、第一エレメント112は第一リボンを実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第一エレメント112において第一コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0110】
このタイヤ86では、第二エレメント114は第二リボンを用いて形成される。図示されていないが、この第二リボンは、複数の第二コードとトッピングゴムとからなる。この第二リボンは、図5に示された第二リボン64と同等である。後述するが、第二エレメント114は第二リボンを実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第二エレメント114において第二コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0111】
このタイヤ86では、第一コード及び第二コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。本発明では、赤道面に対してなす角度の絶対値が5.0°以下である方向は、「実質的な周方向」とされる。
【0112】
このタイヤ86では、バンド98は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンド98は、タイヤ86の半径方向の剛性に寄与しうる。このタイヤ86では、走行時に作用する遠心力の影響が抑制されている。
【0113】
このタイヤ86では、第一コード及び第二コードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0114】
前述したように、この製造方法では、第一コード及び第二コードに、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用することにより、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有するバンド98が得られる。この観点から、第一コードと第二コードとの組み合わせとしては、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コードにアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。
【0115】
前述したように、この製造方法では、第一コードに第二コードの初期モジュラスよりも大きな初期モジュラスを有するコードを採用することにより、耐久性に優れるタイヤ86が得られる。この観点から、第一コードと第二コードとの組み合わせとしては、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。特に好ましい組み合わせは、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用することである。
【0116】
このタイヤ86では、第一コードの構成は、特に、制限されない。第一コードにアラミド繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コードの構成としては、1100dtex/2、940dtex/2及び1100dtex/940dtexが好ましい。タイヤ86の耐久性向上の観点から、この第一コードの構成としては、1100dtex/940dtexが特に好ましい。この第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コードの構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0117】
このタイヤ86では、第二コードの構成は、特に、制限されない。第二コードにナイロン繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コードの構成としては、1400dtex/2が好ましい。この第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コードの構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0118】
このタイヤ86は、図1に示されたタイヤ2と同様にして製造される。複数の第一コードがトッピングゴムとともに押し出され、第一リボンが得られる。複数の第二コードがトッピングゴムとともに押し出され、第二リボンが得られる。第一リボン及び第二リボンは、フォーマーF(図示されず)に供給される。
【0119】
このフォーマーFでは、カーカスプライ128がドラムDに巻回され筒状とされる。この筒状のカーカスプライ128に第一シートが巻回され、ベルト96の一部をなす内側層130aが形成される。この内側層130aに第二シートが巻回され、ベルト96の他の一部をなす外側層130bが形成される。これにより、ベルト96が得られる。
【0120】
フォーマーFでは、第一ヘッドH1は第一リボンを送り出す。第一ヘッドH1は、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドH1は、第一リボンを送り出しつつ、軸方向に移動しうる。第二ヘッドH2は、第二リボンを送り出す。第二ヘッドH2は、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドH2は、第二リボンを送り出しつつ、軸方向に移動しうる。
【0121】
図示されていないが、この製造方法では、第一リボンの先端は、ベルト96の第一端110aより軸方向内側において、このベルト96に積層される。第二リボンの先端は、このベルト96の第二端110bより軸方向内側において、このベルト96に積層される。
【0122】
この製造方法では、第一リボンの先端からベルト96の第一端110aまでの軸方向距離はバンド98の一部をなす第一エッジ部E1の軸方向幅に影響する。第一エッジ部E1がベルト96の第一端110aの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離は30mm以上が好ましい。バンド98の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離は50mm以下が好ましい。なお、この距離は、前述の距離W1に相当する。
【0123】
この製造方法では、第二リボンの先端からベルト96の第二端110bまでの軸方向距離はバンド98の他の一部をなす第二エッジ部E2の軸方向幅に影響する。第二エッジ部E2がベルト96の第二端110bの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離は30mm以上が好ましい。バンド98の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離は50mm以下が好ましい。なお、この距離は、前述の距離W2に相当する。
【0124】
図示されていないが、この製造方法では、第一押さえローラーR1が、ベルト96に積層された第一リボンをベルト96に押し付ける。これにより、第一リボンがベルト96に貼り付けられる。第二押さえローラーR2が、ベルト96に積層された第二リボンをベルト96に押し付ける。これにより、第二リボンがベルト96に貼り付けられる。
【0125】
この製造方法では、ドラムDの回転により、第一ヘッドH1から送り出された第一リボンがベルト96上に巻回され、第一リボンが貼り付けられる。したがって、ベルト96に貼付られた第一リボンの先端位置はこの第一リボンの貼付の開始位置である。この製造方法では、このドラムDの回転により、第二ヘッドH2から送り出された第二リボンがベルト96上に巻回され、第二リボンが貼り付けられる。したがって、ベルト96に貼付られた第二リボンの先端位置はこの第二リボンの貼付の開始位置である。この製造方法では、第一リボン及び第二リボンのベルト96への貼付は、周方向において異なる位置から開始される。前述したように、このタイヤ86は、図1に示されたタイヤ2と同様にして製造される。したがって、第一リボンの貼付の開始位置に対する第二リボンの貼付の開始位置の相対位置を表す中心角αは、22°以上が好ましく、30°以下が好ましい。これにより、高品質なタイヤ86が安定に生産されうる。
【0126】
図示されていないが、この製造方法では、その先端がベルト96に積層された第一リボンは、ベルト96の第一端110aに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。その先端がベルト96に積層された第二リボンは、ベルト96の第二端110bに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。
【0127】
この製造方法では、第一リボンがベルト96の第一端110aの部分を覆うと、第一ヘッドH1の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト96の第一端110aにおいて、第一リボンが周方向に巻回される。
【0128】
この製造方法では、第一リボンの周方向への巻回しはベルト96の第一端110aにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ86が得られうるという観点から、第一リボンの周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角β1は180°以上が好ましい。ベルト96の第一端110aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β1は360°以下が好ましい。
【0129】
この製造方法では、第二リボンがベルト96の第二端110bの部分を覆うと、第二ヘッドH2の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト96の第二端110bにおいて、第二リボンが周方向に巻回される。
【0130】
この製造方法では、第二リボンの周方向への巻回しはベルト96の第二端110bにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ86が得られうるという観点から、第二リボンの周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角β2は180°以上が好ましい。ベルト96の第二端110bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β2は360°以下が好ましい。
【0131】
この製造方法では、第一リボンの周方向への巻回しが完了すると、第一ヘッドH1を軸方向内向きに移動ささせつつ、この第一リボンは螺旋状にさらに巻回される。第二リボンの周方向への巻回しが完了すると、第二ヘッドH2を軸方向内向きに移動させつつ、この第二リボンは螺旋状にさらに巻回される。タイヤ86の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される。
【0132】
この製造方法では、赤道面において、第一リボンと第二リボンとが交差された後も、ベルト96の第二端110bに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動ささせつつ、第一リボンは螺旋状にさらに巻回される。ベルト96の第一端110aに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、第二リボンは螺旋状にさらに巻回される。この製造方法では、第一リボンの終端をベルト96の一部をなす外側層130bの第二端132bの近傍に積層させて、第一リボンの巻回しが完了する。第二リボンの終端をこの外側層130bの第一端132aの近傍に積層させて、第二リボンの巻回しが完了する。これにより、赤道面において第一エレメント112及び第二エレメント114が交差したバンド98が得られる。トレッド88等の部材がさらに組み合わされ、ローカバーが得られる。
【0133】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ86が得られる。
【0134】
前述したように、この製造方法では、タイヤ86の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される。これにより、第一リボンの断面及び第二リボンの断面が軸方向に隙間なく配列される。この製造方法では、従来のタイヤのように、このバンド98の赤道面の部分に、第一リボン及び第二リボンが存在していない隙間部分は形成されない。この隙間部分の形成に起因した凹凸の形成が防止されているので、この製造方法により得られるタイヤ86はユニフォミティに優れる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0136】
[実施例1]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「245/40ZR18 97Y FK452」である。この製作に際しては、円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。第一コードを含む第一リボンが第一ヘッドから送り出され、ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層された。第一リボンの先端からベルトの第一端までの軸方向距離W1は、40mmとされた。第二コードを含む第二リボンが第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層された。第二リボンの先端からベルトの第二端までの軸方向距離W2は、40mmとされた。第一リボンの貼付の開始位置に対する第二リボンの貼付の開始位置の相対位置を表す中心角αは、26°とされた。
【0137】
ベルトの第一端に向かって第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、第一リボンが螺旋状に巻回された。このベルトの第二端に向かって第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、第二リボンが螺旋状に巻回された。巻回しにおけるドラムの回転速度は、250m/minとされた。
【0138】
ベルトの第一端において、第一リボンが周方向に巻回された。第一リボンの周方向の巻回しにおける、中心角β1は、180°とされた。そして、第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつ、第一リボンが螺旋状にさらに巻回された。このベルトの第二端において、第二リボンが周方向に巻回された。第二リボンの周方向の巻回しにおける、中心角β2は、180°とされた。そして、第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつ、第二リボンが螺旋状にさらに巻回された。さらに、タイヤの赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回された。このことが、表中、交差の欄において、「Y」で示されている。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、第一リボン及び第二リボンの存在していない隙間部分は形成されていない。
【0139】
この実施例1では、第一リボンからなる第一エレメントはベルトの第一端において折り返されている。第二リボンからなる第二エレメントは、ベルトの第二端において折り返されている。このことが、表中、折返しの欄において、「Y」で示されている。
【0140】
第一コードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。この第一コードの初期モジュラスM1は、76.3cN/dtexであった。第一リボンには、この第一コードが10本含まれている。第一リボンの幅RW1は、10.6mmとされた。第一リボンのピッチLP1は、10.3mmとされた。第二コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。この第二コードの初期モジュラスM2は、16.7cN/dtexであった。したがって、この第二コードの初期モジュラスM2に対する第一コードの初期モジュラスM2の比は、4.6であった。第二リボンには、この第二コードが10本含まれている。第二リボンの幅RW2は、10.7mmとされた。第二リボンのピッチLP2は、10.3mmとされた。
【0141】
[実施例2]
実施例1と同様の製造方法で、図17に示された構造を備えたタイヤを製作した。
【0142】
[実施例3−8]
第一コード及び第二コードを変えて初期モジュラス比(M1/M2)を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。表2中、「PEN」はポリエチレンナフタレート繊維を表している。このポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、49.3cN/dtexであった。
【0143】
[実施例9−12]
距離W1及び距離W2を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0144】
[実施例13−17]
ドラムの回転速度を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0145】
[実施例18−22]
中心角αを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0146】
[実施例23−27]
回転角β1及び回転角β2を下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0147】
[比較例1]
比較例1では、第一リボン及び第二リボンそれぞれの先端は、赤道面においてベルトに積層された。第一リボン及び第二リボンの巻回しが開始されてからドラムが3/4周回転するまでは、第一リボン及び第二リボンは赤道面に沿って周方向に巻回された。その後、第一リボンはベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第一端において、巻回しが止められた。第二リボンは、ベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第二端において、巻回しが止められた。この比較例1は、従来の製造方法である。なお、第一リボンには、実施例1の第一リボンと同等のリボンが用いられた。第二リボンには、実施例1の第二リボンと同等のリボンが用いられた。この比較例1で製造されたタイヤでは、バンドを構成するエレメントはベルトの端において折返されていない。このことが、表中、折返しの欄において、「N」で示されている。赤道面において、第一リボンからなるエレメントと第二リボンからなるエレメントとは交差していない。このことが、表中、交差の欄において、「N」で示されている。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分が形成されている。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0148】
[比較例2]
比較例2では、第一ヘッドのみを用いて、リボンがベルトの第一端からその第二端に向かって巻回された。したがって、このリボンからなるバンドには、図1に示されたタイヤのバンドのように、エレメントの交差は形成されていない。このリボンには、実施例1の第一リボンと同等のリボンが用いられた。この比較例2で製造されたタイヤでは、バンドを構成するエレメントはベルトの端において折返されていない。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分は形成されていない。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0149】
[比較例3]
比較例3では、第一リボン及び第二リボンそれぞれの先端は、赤道面においてベルトに積層された。第一リボンはベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第一端において、第一ヘッドの移動が反転され、この第一リボンは赤道面に向かって螺旋状にさらに巻回された。この巻回しは、赤道面において止められた。この比較例3では、第一リボンからなる第一エレメントは、ベルトの第一端において折り返されている。第二リボンはベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第二端において、第二ヘッドの移動が反転され、この第二リボンは赤道面に向かって螺旋状にさらに巻回された。この巻回しは、赤道面において止められた。この比較例3では、第二リボンからなる第二エレメントは、ベルトの第二端において折り返されている。この比較例3では、赤道面において、第一リボンからなるエレメントと第二リボンからなるエレメントとは交差していない。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分が形成されている。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0150】
[高速耐久性]
ECE30規格に準拠し、更に第一サイドS1側が高荷重となるようにキャンバー角を3°付けた条件で、高速耐久性について、評価を行った。試作タイヤに損傷が生じた速度V(km/h)を得た。この結果が、下記表1から表6に示されている。速度が高いほど、高速耐久性に優れていることを表している。表中、「G」は損傷が確認されなかった場合を、「NG」は損傷が確認された場合を表している。
【0151】
[ユニフォミティ]
「JASO C607:2000」に規定されたユニフォミティ試験の条件に準拠して、ラジアル・フォース・バリエーション(RFV)、RFVの一次成分(RH1)、ラジアル・ラン・アウト(RRO)、コニシティ(CON)及びバネ率を測定した。20本のタイヤを測定した結果の平均値が、下記の表1から表6に示されている。CON以外については、この数値が小さいほど、評価が高い。CONについては、その数値の絶対値が小さいほど、評価が高い。
【0152】
[生産性]
タイヤの生産に要する時間を計測した。その結果が、下記の表1から表6に、実施例15を0とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、評価が高い。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
表1から表6に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0160】
以上説明された方法は、種々のタイヤの製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0161】
2、86・・・タイヤ
4、88・・・トレッド
6、90・・・サイドウォール
8、92・・・ビード
10、94・・・カーカス
12、96・・・ベルト
14、98・・・バンド
36a、110a・・・第一端
36b、110b・・・第二端
42、112・・・第一エレメント
44、114・・・第二エレメント
48a、48b、118a、118b・・・第一本体
50、120・・・第一折返し部
54a、54b、124a、124b・・・第二本体
56、126・・・第二折返し部
58・・・第一リボン
60・・・第一コード
62・・・トッピングゴム
64・・・第二リボン
66・・・第二コード
68・・・トッピングゴム
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのベルトは、通常はバンドで覆われる。バンドは、コードを含んでいる。コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンドは、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドは、ベルトを拘束する。これにより、ベルトのリフティングが抑制される。
【0003】
バンドは、リボンが螺旋状に巻回されることにより形成される。リボンは、コードとトッピングゴムとからなる。バンドを有するタイヤ及びその製造方法について、様々な検討がなされている。この検討例が、特開平2−67123号公報、特開2006−176078公報、特開2009−51417公報、特開2002−178415公報及び特開2006−255989公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−67123号公報
【特許文献2】特開2006−176078公報
【特許文献3】特開2009−51417公報
【特許文献4】特開2002−178415公報
【特許文献5】特開2006−255989公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リボンを2本用いて、バンドが形成されることがある。この場合、一方のリボンは赤道面からベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回される。他方のリボンは、赤道面からベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回される。
【0006】
リボンの先端をベルトに載せると、ドラムが回転される。これにより、リボンの巻回しが開始される。開始後ドラムが3/4周回転するまでは、リボンは赤道面に沿って巻回される。その後、このリボンは螺旋状に巻回される。この製造方法では、このバンドの赤道面の部分に、リボンの存在していない隙間部分が形成されてしまう。この隙間部分に起因して生じる凹凸は、タイヤのユニフォミティを阻害してしまう。
【0007】
この製造方法では、リボンの巻き回しはベルトの端において止められる。リボンの終端は、ベルトの端の部分に位置している。このバンドでは、このベルトの端の部分を十分に拘束することができない。この製造方法により得られるタイヤの耐久性は、十分なものではない。
【0008】
本発明の目的は、ユニフォミティ及び耐久性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、実施される。
この製造方法は、
(1)上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程、
(2)第一コードを含む第一リボンが上記第一ヘッドから送り出され、上記ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層され、第二コードを含む第二リボンが上記第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層される工程、
(3)上記ベルトの第一端に向かって上記第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第一リボンが螺旋状に巻回され、このベルトの第二端に向かって上記第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第二リボンが螺旋状に巻回される工程、
(4)上記ベルトの第一端において上記第一リボンが周方向に巻回され、このベルトの第二端において上記第二リボンが周方向に巻回される工程、
(5)上記第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第一リボンが螺旋状にさらに巻回され、上記第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第二リボンが螺旋状にさらに巻回される工程
及び
(6)タイヤの赤道面に相当する位置において、上記第一リボンと上記第二リボンとが交差して巻回される工程
を含む。
【0010】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記ベルトに積層された上記第一リボンの先端からこのベルトの第一端までの軸方向距離は30mm以上50mm以下である。このベルトに積層された上記第二リボンの先端からこのベルトの第二端までの軸方向距離は、30mm以上50mm以下である。
【0011】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボン及び上記第二リボンの周方向への巻回しにおける、上記ドラムの回転角は180°以上360°以下である。
【0012】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一コードの初期モジュラスは上記第二コードの初期モジュラスよりも大きい。
【0013】
好ましくは、この製造方法で得られた空気入りタイヤが車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、上記ベルトの第一端は内側に位置し、このベルトの第二端は外側に位置する。
【0014】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボンの幅は10mm以上11mm以下である。上記第二リボンの幅は、10mm以上11mm以下である。
【0015】
好ましくは、この空気入りタイヤの製造方法では、上記第一リボンは9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される。上記第二リボンは、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される。
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてこのカーカスと積層されるベルトと、このベルトとこのトレッドとの間に位置してこのベルトを覆うバンドとを備えている。このバンドは、第一リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第一エレメントと、第二リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第二エレメントとから構成されている。軸方向において、上記第一エレメントの端は上記ベルトの第一端よりも内側に位置している。この第一エレメントは、このベルトの第一端において折り返されている。軸方向において、上記第二エレメントの端は上記ベルトの第二端よりも内側に位置している。この第二エレメントは、このベルトの第二端において折り返されている。赤道面において、この第一エレメントとこの第二エレメントとは交差している。上記第一リボンは、第一コードを含んでいる。上記第一エレメントにおいて、この第一コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。上記第二リボンは、第二コードを含んでいる。上記第二エレメントにおいて、この第二コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る製造方法によれば、ユニフォミティ及び耐久性に優れる空気入りタイヤが得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤが示された断面図である。
【図2】図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
【図3】図3は、図1のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。
【図4】図4は、図1のタイヤのバンドの形成に用いられる第一リボンの一部が示された断面斜視図である。
【図5】図5は、図1のタイヤのバンドの形成に用いられる第二リボンの一部が示された断面斜視図である。
【図6】図6は、図1のタイヤの製造状況が模式的に示された平面図である。
【図7】図7は、図6の正面図である。
【図8】図8は、図6とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図9】図9は、図8とは別の製造状況が模式的に示された正面図である。
【図10】図10は、図9の背面図である。
【図11】図11は、図9及び図10とは別の製造状況が示された平面図である。
【図12】図12は、図11とは別の製造状況が示された平面図である。
【図13】図13は、図12とは別の製造状況が示された平面図である。
【図14】図14は、図13とは別の製造状況が示された平面図である。
【図15】図15は、バンドの一部をなす第一エレメントの形成状況が示された断面図である。
【図16】図16は、バンドの他の一部をなす第一エレメントの形成状況が示された断面図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤが示された断面図である。
【図18】図18は、図17のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
【図19】図19は、図17のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0020】
図1に示された空気入りタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、ウィング16、クリンチ18、インナーライナー20及びチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。
【0021】
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外面は、トレッド面24をなしている。このトレッド面24は、路面と接地する。トレッド面24には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。このトレッド面24に、溝26が刻まれなくてもよい。
【0022】
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
【0023】
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア28と、このコア28から半径方向外向きに延びるエイペックス30とを備えている。コア28は、リング状である。コア28は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア28にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス30は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス30は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0024】
カーカス10は、カーカスプライ32からなる。カーカスプライ32は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ32は、コア28の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0025】
図示されていないが、カーカスプライ32は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス10が採用されてもよい。
【0026】
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、トレッド4の半径方向内側においてカーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層34a及び外側層34bからなる。このタイヤ2では、内側層34aは外側層34bよりも幅広である。軸方向において、この内側層34aの端36は外側層34bの端38よりも外側に位置している。この内側層34aの端36は、ベルト12の端でもある。なお、この内側層34aが外側層34bよりも幅狭とされてもよい。この場合、外側層34bの端38がベルト12の端とされる。
【0027】
図示されていないが、内側層34a及び外側層34bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層34aのコードの傾斜方向は、外側層34bのコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
【0028】
本明細書では、紙面において左側に位置するベルト12の端36aは第一端と称される。この第一端36aが位置する、このタイヤ2の赤道面から左側の部分は、第一サイドS1と称される。右側に位置するベルト12の端36bは、第二端と称される。この第二端36bが位置する、このタイヤ2の赤道面から右側の部分は、第二サイドS2と称される。このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一サイドS1が内側に位置し、第二サイドS2が外側に位置する。
【0029】
図2には、このタイヤ2の第一サイドS1におけるバンド14がベルト12とともに示されている。図3には、このタイヤ2の第二サイドS2におけるバンド14がベルト12ともに示されている。
【0030】
バンド14は、トレッド4とバンド14との間に位置している。バンド14は、ベルト12を覆っている。図示されているように、このバンド14の端40は軸方向においてベルト12の端36よりも外側に位置している。
【0031】
このタイヤ2では、バンド14は、第一エレメント42及び第二エレメント44から構成されている。図示されていないが、第一エレメント42は第一コードとトッピングゴムとからなる。第二エレメント44は、第二コードとトッピングゴムとからなる。
【0032】
このタイヤ2の第一サイドS1において、第一エレメント42はベルト12の半径方向外側に積層されている。第一エレメント42の第一端46aは、ベルト12の第一端36aよりも軸方向内側に位置している。この第一エレメント42は、このベルト12の第一端36aの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第一エレメント42には、軸方向において、赤道面からベルト12の第一端36aに向かって延在する第一本体48aと、この第一本体48aから内向きに延在する第一折返し部50とが形成されている。このタイヤ2では、第一エレメント42は第一本体48a及び第一折返し部50を備えている。
【0033】
第一エレメント42は、第二サイドS2において、第二エレメント44の半径方向外側に積層されている。この第一エレメント42は、前述の、第一本体48a及び第一折返し部50以外に、軸方向において、赤道面からベルト12の第二端36bに向かって延在する第一本体48bをさらに備えている。このタイヤ2の第一エレメント42は、第一本体48a、第一折返し部50及び第一本体48bから構成されている。
【0034】
このタイヤ2の第二サイドS2において、第二エレメント44はベルト12の半径方向外側に積層されている。第二エレメント44の第一端52aは、ベルト12の第二端36bよりも軸方向内側に位置している。この第二エレメント44は、このベルト12の第二端36bの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第二エレメント44には、軸方向において、赤道面からベルト12の第二端36bに向かって延在する第二本体54aと、この第二本体54aから内向きに延在する第二折返し部56とが形成されている。このタイヤ2では、第二エレメント44は第二本体54a及び第二折返し部56を備えている。
【0035】
第二エレメント44は、第一サイドS1において、第一エレメント42の半径方向外側に積層されている。この第二エレメント44は、前述の、第二本体54a及び第二折返し部56以外に、軸方向において、赤道面からベルト12の第一端36aに向かって延在する第二本体54bをさらに備えている。このタイヤ2の第二エレメント44は、第二本体54a、第二折返し部56及び第二本体54bから構成されている。
【0036】
このタイヤ2の第一サイドS1では、第二エレメント44の第二端52bは軸方向において第一エレメント42の第一端46aと略同等の位置にある。このタイヤ2では、そのバンド14の第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向外側の部分においては、第一折返し部50及び第一本体48aが半径方向に重複している。このバンド14の第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向内側の部分においては、第一本体48a及び第二本体54bが半径方向に重複している。
【0037】
このタイヤ2の第二サイドS2では、第一エレメント42の第二端46bは軸方向において第一エレメント42の第一端46aと略同等の位置にある。このタイヤ2では、そのバンド14の第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向外側の部分においては、第二折返し部56及び第二本体54aが半径方向に重複している。このバンド14の第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向内側の部分においては、第二本体54a及び第一本体48bが半径方向に重複している。
【0038】
このタイヤ2では、バンド14の、第一エレメント42の第一端46aと第二エレメント44の第一端52aとの間の部分はセンター部Cと称される。このバンド14の、第一エレメント42の第一端46aよりも軸方向外側の部分は、第一エッジ部E1と称される。このバンド14の、第二エレメント44の第一端52aよりも軸方向外側の部分は、第二エッジ部E2と称される。このバンド14は、センター部C、第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有している。
【0039】
図示されているように、センター部Cは2層からなる。このセンター部Cは、第一エレメント42の第一本体48a及び第一本体48b並びに第二エレメント44の第二本体54a及び第二本体54bから構成されている。このセンター部Cにおいては、第一エレメント42の第一本体48aの半径方向外側に第二エレメント44の第二本体54bが積層され、第二エレメント44の第二本体54aの半径方向外側に第一エレメント42の第一本体48bが積層されている。このタイヤ2では、赤道面において、第一エレメント42と第二エレメント44とが交差している。このタイヤ2では、特に、第一エレメント42に含まれる第一コードに、第二エレメント44に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合において、この交差がこのセンター部Cの軸方向における剛性の均整化に効果的に寄与しうる。このタイヤ2では、片膨れが効果的に防止されている。コニシティが適切に維持されるので、このタイヤ2によれば、車両流れが効果的に防止されうる。
【0040】
図示されているように、第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2はそれぞれ2層からなる。第一エッジ部E1は、第一本体48a及び第一折返し部50から構成されている。換言すれば、この第一エッジ部E1は第一エレメント42から構成されている。第二エッジ部E2は、第二本体54a及び第二折返し部56から構成されている。換言すれば、この第二エッジ部E2は第二エレメント44から構成されている。
【0041】
前述したように、第一エレメント42には第一コードが含まれ、第二エレメント44には第二コードが含まれている。したがって、第一エレメント42に含まれる第一コードに、第二エレメント44に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合、バンド14は、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有することができる。この観点から、この第一コード及び第二コードには、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用するのが好ましい。このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、ベルト12の第一端36aの位置する第一サイドS1が内側に位置し、このベルト12の第二端36bが位置する第二サイドS2が外側に位置する。したがって、このタイヤ2が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一エッジ部E1は内側に位置し、第二エッジ部E2は外側に位置する。耐久性に優れるタイヤ2が得られるという観点から、第一エッジ部E1は第二エッジ部E2の剛性よりも高い剛性を有しているのが好ましい。この観点から、第一コードは第二コードの初期モジュラスよりも高い初期モジュラスを有しているのが好ましい。耐久性向上の観点から、第二コードの初期モジュラスに対する第一コードの初期モジュラスの比は、1.1以上が好ましい。剛性の均整化の観点から、この比は5以下が好ましい。
【0042】
本明細書では、第一コード及び第二コードの初期モジュラスは、JIS L 1017の化学繊維タイヤコード試験方法に準拠して求めたコードの「荷重−伸び」曲線における原点での傾きを意味している。
【0043】
このタイヤ2では、第一エレメント42は第一リボン58を用いて形成される。この第一リボン58が、図4に示されている。第一リボン58は、複数の第一コード60とトッピングゴム62とからなる。図示されているように、この第一リボン58には10本の第一コード60が含まれている。各第一コード60は、第一リボン58の長さ方向に延在している。後述するが、第一エレメント42は第一リボン58を実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第一エレメント42において第一コード60は、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0044】
このタイヤ2では、第二エレメント44は第二リボン64を用いて形成される。この第二リボン64が、図5に示されている。第二リボン64は、複数の第二コード66とトッピングゴム68とからなる。図示されているように、この第二リボン64には10本の第二コード66が含まれている。各第二コード66は、第二リボン64の長さ方向に延在している。後述するが、第二エレメント44は第二リボン64を実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第二エレメント44において第二コード66は、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0045】
このタイヤ2では、第一コード60及び第二コード66が赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。本発明では、赤道面に対してなす角度の絶対値が5.0°以下である方向は、「実質的な周方向」とされる。
【0046】
このタイヤ2では、バンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンド14は、タイヤ2の半径方向の剛性に寄与しうる。このタイヤ2では、走行時に作用する遠心力の影響が抑制されている。
【0047】
このタイヤ2では、第一コード60及び第二コード66は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。第一コード60及び第二コード66には、単一の有機繊維で構成されたコードが用いられてもよいし、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたコードが用いられてもよい。
【0048】
アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、その撚り数等によって変化するが、概ね17cN/dtex程度である。前述したように、第一コード60及び第二コード66には、単一の有機繊維で構成されたコードが用いられてもよいし、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたコードが用いられてもよい。したがって、第一コード60及び第二コード66に採用されるコードの初期モジュラスは、17cN/dtex以上76cN/dtex以下の範囲にあるのが好ましい。
【0049】
前述したように、この製造方法では、第一コード60及び第二コード66に、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用することにより、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有するバンド14が得られる。
【0050】
前述したように、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね17cN/dtex程度である。言い換えれば、アラミド繊維からなるコードは、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。アラミド繊維からなるコードは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスとは異なる初期モジュラスを有している。したがって、第一コード60と第二コード66との組み合わせとしては、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コード66にアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレートからなるコードを採用するのが好ましい。
【0051】
前述したように、この製造方法では、第一コード60に第二コード66の初期モジュラスよりも大きな初期モジュラスを有するコードを採用することにより、耐久性に優れるタイヤ2が得られる。
【0052】
前述したように、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね76cN/dtex程度である。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね49cN/dtex程度である。ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスは、概ね17cN/dtex程度である。言い換えれば、アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。アラミド繊維からなるコードの初期モジュラスは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。ポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、ナイロン繊維からなるコードの初期モジュラスよりも大きい。したがって、第一コード60と第二コード66との組み合わせとしては、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。特に好ましい組み合わせは、第一コード60にアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コード66にナイロン繊維からなるコードを採用することである。
【0053】
このタイヤ2では、第一コード60の構成は、特に、制限されない。第一コード60にアラミド繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コード60の構成としては、1100dtex/2、940dtex/2及び1100dtex/940dtexが好ましい。タイヤ2の耐久性向上の観点から、この第一コード60の構成としては、1100dtex/940dtexが特に好ましい。この第一コード60にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コード60の構成としては、1500dtex/2が好ましい。本明細書では、この第一コード60の構成は、JIS L 1017−5.2項「コード構造の表示方法」に準拠して表される。後述する、第二コード66の構成も同様である。
【0054】
このタイヤ2では、第二コード66の構成は、特に、制限されない。第二コード66にナイロン繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コード66の構成としては、1400dtex/2が好ましい。この第二コード66にポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コード66の構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0055】
このタイヤ2は、次のようにして製造される。複数の第一コード60がトッピングゴム62とともに押し出され、第一リボン58が得られる。複数の第二コード66がトッピングゴム68とともに押し出され、第二リボン64が得られる。第一リボン58及び第二リボン64は、フォーマー(図示されず)に供給される。
【0056】
図4において、両矢印RW1は第一リボン58の幅を表している。この製造方法では、加工性に優れ、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうるという観点から、第一リボン58の幅RW1は9.8mm以上が好ましく、11.0mm以下が好ましい。
【0057】
図5において、両矢印RW2は第二リボン64の幅を表している。この製造方法では、加工性に優れ、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうるという観点から、第二リボン64の幅RW2は9.8mm以上が好ましく、11.0mm以下が好ましい。
【0058】
フォーマーは、円筒状のドラム、第一ヘッド及び第二ヘッドを備えている。このフォーマーでは、カーカスプライ32がドラムに巻回され筒状とされる。この筒状のカーカスプライ32に第一シートが巻回され、ベルト12の一部をなす内側層34aが形成される。この内側層34aに第二シートが巻回され、ベルト12の他の一部をなす外側層34bが形成される。これにより、ベルト12が得られる。
【0059】
フォーマーでは、第一ヘッドは第一リボン58を送り出す。第一ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドは、第一リボン58を送り出しつつ、軸方向に移動しうる。このフォーマーでは、第二ヘッドは第二リボン64を送り出す。第二ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドは、第二リボン64を送り出しつつ、軸方向に移動しうる。
【0060】
この製造方法では、第一ヘッドから送り出された第一リボン58はベルト12に積層される。第二ヘッドから送り出された第二リボン64は、ベルト12に積層される。
【0061】
図6に示されているのは、第一リボン58及び第二リボン64の積層状況である。この図6において、上下方向がタイヤ2の軸方向に相当する。左右方向が、このタイヤ2の周方向に相当する。この紙面において下側が、タイヤ2の第一サイドS1側に相当する。この紙面において上側が、タイヤ2の第二サイドS2側に相当する。図6中、符号Fで示されているのがフォーマーである。符号Dで示されているのが、このフォーマーFに設けられたドラムである。
【0062】
この製造方法では、第一リボン58の先端70は、ベルト12の第一端36aより軸方向内側において、このベルト12に積層される。第二リボン64の先端72は、このベルト12の第二端36bより軸方向内側において、このベルト12に積層される。
【0063】
図6において、両矢印W1は第一リボン58の先端70からベルト12の第一端36aまでの軸方向距離を表している。本明細書では、この距離W1は第一リボン58の先端70における軸方向内縁74からベルト12の第一端36aまでの軸方向距離で示される。
【0064】
この製造方法では、距離W1はバンド14の一部をなす第一エッジ部E1の軸方向幅に影響する。第一エッジ部E1がベルト12の第一端36aの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離W1は30mm以上が好ましい。バンド14の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離W1は50mm以下が好ましい。
【0065】
図6において、両矢印W2は第二リボン64の先端72からベルト12の第二端36bまでの軸方向距離を表している。本明細書では、この距離W2は第二リボン64の先端72における軸方向内縁76からベルト12の第二端36bまでの軸方向距離で示される。
【0066】
この製造方法では、距離W2はバンド14の他の一部をなす第二エッジ部E2の軸方向幅に影響する。第二エッジ部E2がベルト12の第二端36bの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離W2は30mm以上が好ましい。バンド14の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離W2は50mm以下が好ましい。
【0067】
図6に示されているように、この製造方法では、第一リボン58の先端70と第二リボン64の先端72とは、ドラムDの周方向において、異なる位置に配置されている。
【0068】
図7には、図6の正面図が示されている。この図7において、紙面に垂直な方向がタイヤ2の軸方向に相当する。この紙面において表側が、このタイヤ2の第一サイドS1側に相当する。図7中、符号Poで示されているのがドラムDの回転軸である。このフォーマーFでは、ドラムDは、この回転軸Poを中心に、矢印Aで示された方向に回転する。この回転方向Aが、このドラムDの正転方向である。生産性向上の観点から、このドラムDの回転速度は180m/min以上が好ましく、200m/min以上がより好ましい。高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、この回転速度は250m/min以下が好ましく、240m/min以下がより好ましい。なお、この回転速度は、第一リボン58及び第二リボン64の貼付速度に相当する。
【0069】
図7において、符号R1で示されているのは第一押さえローラーである。この第一押さえローラーR1は、ベルト12に積層された第一リボン58をベルト12に押し付ける。これにより、第一リボン58がベルト12に貼り付けられる。符号R2で示されているのは、第二押さえローラーである。この第二押さえローラーR2は、ベルト12に積層された第二リボン64をベルト12に押し付ける。これにより、第二リボン64がベルト12に貼り付けられる。なお、図中、符号H1で示されているのが第一ヘッドであり、符号H2で示されているのが第二ヘッドである。
【0070】
図7において、符号P1は第一リボン58の先端70の位置に相当するドラムDの周面上の位置を表している。この製造方法では、ドラムDの回転により、第一ヘッドH1から送り出された第一リボン58がベルト12上に巻回され、第一リボン58が貼り付けられる。したがって、図7に示された第一リボン58の先端70の位置はこの第一リボン58の貼付の開始位置でもある。この図7には、この開始位置に相当するドラムDの周面上の位置が符号Paで示されている。
【0071】
図7において、符号P2は第二リボン64の先端72の位置に相当するドラムDの周面上の位置を表している。この製造方法では、ドラムDの回転により、第二ヘッドH2から送り出された第一リボン58がベルト12上に巻回され、第二リボン64が貼り付けられる。したがって、図7に示された第二リボン64の先端72の位置はこの第二リボン64の貼付の開始位置でもある。この図7には、この開始位置に相当するドラムDの周面上の位置が符号Pbで示されている。
【0072】
図示されているように、第一リボン58の貼付開始位置Paは、ドラムDの回転方向において、第二リボン64の貼付開始位置Pbよりも前方に位置している。この製造方法では、第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付は、周方向において異なる位置から開始されている。なお、第一リボン58の貼付開始位置Paを、ドラムDの回転方向において、第二リボン64の貼付開始位置Pbよりも後方に配置させて、この第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付が開始されてもよい。この第一リボン58及び第二リボン64のベルト12への貼付が、周方向において同等の位置から開始されてもよい。
【0073】
図7において、角度αはこのドラムDの中心Poと開始位置Paとを結ぶ線分とこの中心Poと開始位置Pbとの線分とが挟む、中心角を表している。この中心角αは、開始位置Paに対する開始位置Pbの相対位置を表している。高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、この中心角αは17°以上が好ましく、22°以上がより好ましい。この中心角αは、30°以下が好ましく、27°以下がより好ましい。
【0074】
この製造方法では、ドラムDが1回転するたびに、押さえローラーR1の直下を、位置P1及び位置P2が順に通過する。このドラムDが1回転するたびに、押さえローラーR2の直下を、位置P2及び位置P1が順に通過する。
【0075】
この製造方法では、その先端70がベルト12に積層された第一リボン58は、ベルト12の第一端36aに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。その先端72がベルト12に積層された第二リボン64は、ベルト12の第二端36bに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。
【0076】
図8には、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分に到達し、第二リボン64がこのベルト12の第二端36bの部分に到達している状況が示されている。図示されていないが、この製造方法では、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分に到達したとき、先端70の位置P1は開始位置Paに一致している。第二リボン64がこのベルト12の第二端36bの部分に到達したとき、先端72の位置P2は開始位置Pbに一致している。
【0077】
この製造方法では、第一リボン58がベルト12の第一端36aの部分を覆うと、第一ヘッドH1の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト12の第一端36aにおいて、第一リボン58が周方向に巻回される。この製造方法では、この第一リボン58の周方向への巻回しは開始位置Paにおいて開始される。
【0078】
図9には、第一リボン58が周方向に巻回されている状況が示されている。この図9においては、ドラムDは図8の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。図中、角度β1は、開始位置Paで開始された第一リボン58の周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角を表している。この回転角β1は、このドラムDの中心Poと開始位置Paとを結ぶ線分とこの中心Poと位置P1との線分とが挟む、中心角により示される。
【0079】
この製造方法では、第一リボン58の周方向への巻回しはベルト12の第一端36aにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ2が得られうるという観点から、回転角β1は180°以上が好ましい。ベルト12の第一端36aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β1は360°以下が好ましい。
【0080】
この製造方法では、第二リボン64がベルト12の第二端36bの部分を覆うと、第二ヘッドH2の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト12の第二端36bにおいて、第二リボン64が周方向に巻回される。この製造方法では、この第二リボン64の周方向への巻回しは開始位置Pbにおいて開始される。
【0081】
図10には、第二リボン64が周方向に巻回されている状況が示されている。この図10は、図9の背面図である。この図10においては、ドラムDは図8の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。図中、角度β2は、開始位置Pbで開始された第一リボン58の周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角を表している。この回転角β2は、このドラムDの中心Poと開始位置Pbとを結ぶ線分とこの中心Poと位置P2との線分とが挟む、中心角により示される。なお、この製造方法では、この回転角β2は前述の回転角β1と同等である。
【0082】
この製造方法では、第二リボン64の周方向への巻回しはベルト12の第二端36bにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ2が得られうるという観点から、回転角β2は180°以上が好ましい。ベルト12の第二端36bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β2は360°以下が好ましい。
【0083】
この製造方法では、第一リボン58の周方向への巻回しが完了すると、第一ヘッドH1を軸方向内向きに移動させつつ、この第一リボン58は螺旋状にさらに巻回される。第二リボン64の周方向への巻回しが完了すると、第二ヘッドH2を軸方向内向きに移動させつつ、この第二リボン64は螺旋状にさらに巻回される。この巻回しの状況が、図11に示されている。そして、図12に示されているように、タイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボン58と第二リボン64とが交差して巻回される。
【0084】
図13に示されているように、この製造方法では、ベルト12の第二端36bに向かって第一ヘッドH1を軸方向にさらに移動ささせつつ、第一リボン58は螺旋状にさらに巻回される。ベルト12の第一端36aに向かって第二ヘッドH2を軸方向にさらに移動させつつ、第二リボン64は螺旋状にさらに巻回される。
【0085】
図14に示されているように、この製造方法では、第二リボン64の先端72の近傍において、第一リボン58の終端78を開始位置Paと軸方向に一致させて、第一リボン58の巻回しが完了する。第一リボン58の先端70の近傍において、第二リボン64の終端80を開始位置Pbと軸方向に一致させて、第二リボン64の巻回しが完了する。これにより、赤道面において第一エレメント42及び第二エレメント44が交差したバンド14が得られる。トレッド4等の部材がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0086】
図示されているように、タイヤ2の第一サイドS1側に相当する部分においては、第二リボン64の終端80の部分が第一リボン58の先端70の部分と半径方向において重複している。ドラムDの回転及び前述の中心角αが調整されて、この第二リボン64の終端80を第一リボン58の先端70から離間させて、この第二リボン64の巻回しが完了されてもよい。図中、両矢印D1は、第一リボン58の先端70から第二リボン64の終端80までの周方向に沿った長さを表している。過剰な重複によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD1は150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。過剰な離間によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD1は−150mm以上が好ましく、−100mm以上がより好ましい。
【0087】
図示されているように、タイヤ2の第二サイドS2側に相当する部分においては、第一リボン58の終端78は、第二リボン64の先端72から離間している。ドラムDの回転及び前述の中心角αが調整されて、この第一リボン58の終端78の部分を第二リボン64の先端72の部分と半径方向において重複させて、この第一リボン58の巻回しが完了されてもよい。図中、両矢印D2は、第二リボン64の先端72から第一リボン58の終端78までの周方向に沿った長さを表している。過剰な離間によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD2は−150mm以上が好ましく、−100mm以上がより好ましい。過剰な重複によるユニフォミティへの影響が防止されうるとの観点から、この長さD2は150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。
【0088】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。
【0089】
前述したように、この製造方法では、タイヤ2の赤道面に相当する位置において、第一リボン58と第二リボン64とが交差して巻回される。これにより、第一リボン58の断面及び第二リボン64の断面が軸方向に隙間なく配列される。この製造方法では、従来のタイヤ2のように、このバンド14の赤道面の部分に、第一リボン58及び第二リボン64が存在していない隙間部分は形成されない。この隙間部分の形成に起因した凹凸の形成が防止されているので、この製造方法により得られるタイヤ2はユニフォミティに優れる。
【0090】
図15に示されているのは、形成途中にあるこのバンド14の一部をなす第一エレメント42の断面である。前述したように、この製造方法では、第一エレメント42は、第一リボン58を螺旋状に巻回すことにより形成される。このため、この第一エレメント42の断面においては第一リボン58の断面82が隙間無く配置されている。図15中、実線L1aは一の断面82aの幅方向における中心線を表している。実線L1bはこの一の断面82aの隣に位置する他の断面82bの幅方向における中心線を表している。両矢印LP1は、中心線L1aと中心線L1bとの間の距離を表している。この距離LP1は、第一リボン58の巻回しにおけるピッチである。このピッチP1は、第一リボン58の送り量とも称される。
【0091】
この製造方法では、加工性の観点から、ピッチLP1は9.8mm以上が好ましい。適切な剛性を有する第一エレメント42が得られるという観点から、このピッチLP1は11.0mm以下が好ましい。
【0092】
図16に示されているのは、形成途中にあるこのバンド14の他の一部をなす第二エレメント44の断面である。前述したように、この製造方法では、第二エレメント44は、第二リボン64を螺旋状に巻回すことにより形成される。このため、この第二エレメント44の断面においては第二リボン64の断面84が隙間無く配置されている。図16中、実線L2aは一の断面84aの幅方向における中心線を表している。実線L2bはこの一の断面84aの隣に位置する他の断面84bの幅方向における中心線を表している。両矢印LP2は、中心線L2aと中心線L2bとの間の距離を表している。この距離LP2は、第二リボン64の巻回しにおけるピッチである。このピッチLP2は、第二リボン64の送り量とも称される。
【0093】
この製造方法では、加工性の観点から、ピッチLP2は9.8mm以上が好ましい。適切な剛性を有する第二エレメント44が得られるという観点から、このピッチLP2は11.0mm以下が好ましい。
【0094】
本発明では、タイヤ2及び後述するタイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
【0095】
図17には、本発明の他の実施形態に係る製造方法により得られた空気入りタイヤ86の断面が示されている。このタイヤ86は、図17中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ86の赤道面を表す。この図17において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ86は、トレッド88、サイドウォール90、ビード92、カーカス94、ベルト96、バンド98、ウィング100、クリンチ102、インナーライナー104及びチェーファー106を備えている。このタイヤ86のバンド98以外は、図1に示されたタイヤ2と同等の構成を有している。
【0096】
バンド98は、トレッド88とバンド98との間に位置している。バンド98は、ベルト96を覆っている。図示されているように、このバンド98の端108は軸方向においてベルト96の端110よりも外側に位置している。
【0097】
このタイヤ86では、バンド98は、第一エレメント112及び第二エレメント114から構成されている。図示されていないが、第一エレメント112は第一コードとトッピングゴムとからなる。第二エレメント114は、第二コードとトッピングゴムとからなる。
【0098】
図18には、このタイヤ86の第一サイドS1におけるバンド98がベルト96とともに示されている。図19には、このタイヤ86の第二サイドS2におけるバンド98がベルト96ともに示されている。
【0099】
このタイヤ86の第一サイドS1において、第一エレメント112はベルト96の半径方向外側に積層されている。第一エレメント112の第一端116aは、ベルト96の第一端110aよりも軸方向内側に位置している。この第一エレメント112は、このベルト96の第一端110aの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第一エレメント112には、軸方向において、赤道面からベルト96の第一端110aに向かって延在する第一本体118aと、この第一本体118aから内向きに延在する第一折返し部120とが形成されている。このタイヤ86では、第一エレメント112は第一本体118a及び第一折返し部120を備えている。
【0100】
第一エレメント112は、第二サイドS2において、第二エレメント114の半径方向外側に積層されている。この第一エレメント112は、前述の、第一折返し部120及び第一本体118a以外に、軸方向において、赤道面からベルト96の第二端110bに向かって延在する第一本体118bをさらに備えている。このタイヤ86の第一エレメント112は、第一本体118a、第一折返し部120及び第一本体118bから構成されている。
【0101】
このタイヤ86の第二サイドS2において、第二エレメント114はベルト96の半径方向外側に積層されている。第二エレメント114の第一端122aは、ベルト96の第二端110bよりも軸方向内側に位置している。この第二エレメント114は、このベルト96の第二端110bの近傍において半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この折返しにより、この第二エレメント114には、軸方向において、赤道面からベルト96の第二端110bに向かって延在する第二本体124aと、この第二本体124aから内向きに延在する第二折返し部126とが形成されている。このタイヤ86では、第二エレメント114は第二本体124a及び第二折返し部126を備えている。
【0102】
第二エレメント114は、第一サイドS1において、第一エレメント112の半径方向外側に積層されている。この第二エレメント114は、前述の、第二本体124a及び第二折返し部126以外に、軸方向において、赤道面からベルト96の第一端110aに向かって延在する第二本体124bをさらに備えている。このタイヤ86の第二エレメント114は、第二本体124a、第二折返し部126及び第二本体124bから構成されている。
【0103】
このタイヤ86の第一サイドS1では、第二エレメント114の第二端122bは第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側に位置している。この第二エレメント114の第二端122bは、ベルト96の第一端110aの近傍に位置している。このタイヤ86では、そのバンド98の第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側の部分においては、第一折返し部120、第一本体118a及び第二本体124bが半径方向に重複している。このバンド98の第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向内側の部分においては、第一本体118a及び第二本体124bが半径方向に重複している。
【0104】
このタイヤ86の第二サイドS2では、第一エレメント112の第二端116bは第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側に位置している。この第一エレメント112の第二端116bは、ベルト96の第二端110bの近傍に位置している。このタイヤ86では、そのバンド98の第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側の部分においては、第二折返し部126、第二本体124a及び第一本体118bが半径方向に重複している。このバンド98の第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向内側の部分においては、第二本体124a及び第一本体118bが半径方向に重複している。
【0105】
このタイヤ86では、バンド98の、第一エレメント112の第一端116aと第二エレメント114の第一端122aとの間の部分はセンター部Cと称される。このセンター部Cは、2層構造を有している。このバンド98の、第一エレメント112の第一端116aよりも軸方向外側の部分は、第一エッジ部E1と称される。この第一エッジ部E1は、3層構造を有している。このバンド98の、第二エレメント114の第一端122aよりも軸方向外側の部分は、第二エッジ部E2と称される。この第二エッジ部E2は、3層構造を有している。このバンド98は、2層構造を有するセンター部Cと、それぞれが3層構造を有する一対のエッジ部Eとから構成されている。このバンド98は、2以上の層で構成されている。
【0106】
このタイヤ86では、センター部Cは、第一エレメント112の第一本体118a及び第一本体118b並びに第二エレメント114の第二本体124a及び第二本体124bから構成されている。このセンター部Cにおいては、第一エレメント112の第一本体118aの半径方向外側に第二エレメント114の第二本体124bが積層され、第二エレメント114の第二本体124aの半径方向外側に第一エレメント112の第一本体118bが積層されている。このタイヤ86では、赤道面において、第一エレメント112と第二エレメント114とが交差している。このタイヤ86では、特に、第一エレメント112に含まれる第一コードに、第二エレメント114に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合において、この交差がこのセンター部Cの軸方向における剛性の均整化に効果的に寄与しうる。このタイヤ86では、片膨れが効果的に防止されている。コニシティが適切に維持されるので、このタイヤ86によれば、車両流れが効果的に防止されうる。
【0107】
このタイヤ86では、第一エッジ部E1は、第一エレメント112の第一本体118a及び第一折返し部120並びに第二エレメント114の第二本体124bから構成されている。第二エッジ部E2は、第二エレメント114の第二本体124a及び第二折返し部126並びに第一エレメント112の第二本体124bから構成されている。
【0108】
前述したように、第一エレメント112には第一コードが含まれ、第二エレメント114には第二コードが含まれている。したがって、第一エレメント112に含まれる第一コードに、第二エレメント114に含まれる第二コードと異なるコードを採用した場合、バンド98は、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有することができる。この観点から、この第一コード及び第二コードには、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用するのが好ましい。このタイヤ86が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、ベルト96の第一端110aの位置する第一サイドS1が内側に位置し、このベルト96の第二端110bが位置する第二サイドS2が外側に位置する。したがって、このタイヤ86が車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、第一エッジ部E1は内側に位置し、第二エッジ部E2は外側に位置する。耐久性に優れるタイヤ86が得られるという観点から、第一エッジ部E1は第二エッジ部E2の剛性よりも高い剛性を有しているのが好ましい。この観点から、第一コードは第二コードの初期モジュラスよりも高い初期モジュラスを有しているのが好ましい。耐久性向上の観点から、第二コードの初期モジュラスに対する第一コードの初期モジュラスの比は、1.1以上が好ましい。剛性の均整化の観点から、この比は5以下が好ましい。
【0109】
このタイヤ86では、第一エレメント112は第一リボンを用いて形成される。図示されていないが、この第一リボンは、複数の第一コードとトッピングゴムとからなる。この第一リボンは、図4に示された第一リボン58と同等である。後述するが、第一エレメント112は第一リボンを実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第一エレメント112において第一コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0110】
このタイヤ86では、第二エレメント114は第二リボンを用いて形成される。図示されていないが、この第二リボンは、複数の第二コードとトッピングゴムとからなる。この第二リボンは、図5に示された第二リボン64と同等である。後述するが、第二エレメント114は第二リボンを実質的に周方向に延在させつつ、螺旋状に巻回して形成される。したがって、第二エレメント114において第二コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。
【0111】
このタイヤ86では、第一コード及び第二コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は5°以下、特には2°以下である。本発明では、赤道面に対してなす角度の絶対値が5.0°以下である方向は、「実質的な周方向」とされる。
【0112】
このタイヤ86では、バンド98は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンド98は、タイヤ86の半径方向の剛性に寄与しうる。このタイヤ86では、走行時に作用する遠心力の影響が抑制されている。
【0113】
このタイヤ86では、第一コード及び第二コードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0114】
前述したように、この製造方法では、第一コード及び第二コードに、それぞれが異なる初期モジュラスを有するコードを採用することにより、それそれが異なる特性を有する第一エッジ部E1及び第二エッジ部E2を有するバンド98が得られる。この観点から、第一コードと第二コードとの組み合わせとしては、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コードにアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにアラミド繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにナイロン繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。
【0115】
前述したように、この製造方法では、第一コードに第二コードの初期モジュラスよりも大きな初期モジュラスを有するコードを採用することにより、耐久性に優れるタイヤ86が得られる。この観点から、第一コードと第二コードとの組み合わせとしては、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用するのが好ましい。第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用するのが好ましい。特に好ましい組み合わせは、第一コードにアラミド繊維からなるコードを採用し、第二コードにナイロン繊維からなるコードを採用することである。
【0116】
このタイヤ86では、第一コードの構成は、特に、制限されない。第一コードにアラミド繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コードの構成としては、1100dtex/2、940dtex/2及び1100dtex/940dtexが好ましい。タイヤ86の耐久性向上の観点から、この第一コードの構成としては、1100dtex/940dtexが特に好ましい。この第一コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第一コードの構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0117】
このタイヤ86では、第二コードの構成は、特に、制限されない。第二コードにナイロン繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コードの構成としては、1400dtex/2が好ましい。この第二コードにポリエチレンナフタレート繊維からなるコードが採用される場合においては、この第二コードの構成としては、1500dtex/2が好ましい。
【0118】
このタイヤ86は、図1に示されたタイヤ2と同様にして製造される。複数の第一コードがトッピングゴムとともに押し出され、第一リボンが得られる。複数の第二コードがトッピングゴムとともに押し出され、第二リボンが得られる。第一リボン及び第二リボンは、フォーマーF(図示されず)に供給される。
【0119】
このフォーマーFでは、カーカスプライ128がドラムDに巻回され筒状とされる。この筒状のカーカスプライ128に第一シートが巻回され、ベルト96の一部をなす内側層130aが形成される。この内側層130aに第二シートが巻回され、ベルト96の他の一部をなす外側層130bが形成される。これにより、ベルト96が得られる。
【0120】
フォーマーFでは、第一ヘッドH1は第一リボンを送り出す。第一ヘッドH1は、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドH1は、第一リボンを送り出しつつ、軸方向に移動しうる。第二ヘッドH2は、第二リボンを送り出す。第二ヘッドH2は、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドH2は、第二リボンを送り出しつつ、軸方向に移動しうる。
【0121】
図示されていないが、この製造方法では、第一リボンの先端は、ベルト96の第一端110aより軸方向内側において、このベルト96に積層される。第二リボンの先端は、このベルト96の第二端110bより軸方向内側において、このベルト96に積層される。
【0122】
この製造方法では、第一リボンの先端からベルト96の第一端110aまでの軸方向距離はバンド98の一部をなす第一エッジ部E1の軸方向幅に影響する。第一エッジ部E1がベルト96の第一端110aの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離は30mm以上が好ましい。バンド98の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離は50mm以下が好ましい。なお、この距離は、前述の距離W1に相当する。
【0123】
この製造方法では、第二リボンの先端からベルト96の第二端110bまでの軸方向距離はバンド98の他の一部をなす第二エッジ部E2の軸方向幅に影響する。第二エッジ部E2がベルト96の第二端110bの部分を十分に拘束しうるという観点から、この距離は30mm以上が好ましい。バンド98の剛性バランスが適切に維持されうるという観点から、この距離は50mm以下が好ましい。なお、この距離は、前述の距離W2に相当する。
【0124】
図示されていないが、この製造方法では、第一押さえローラーR1が、ベルト96に積層された第一リボンをベルト96に押し付ける。これにより、第一リボンがベルト96に貼り付けられる。第二押さえローラーR2が、ベルト96に積層された第二リボンをベルト96に押し付ける。これにより、第二リボンがベルト96に貼り付けられる。
【0125】
この製造方法では、ドラムDの回転により、第一ヘッドH1から送り出された第一リボンがベルト96上に巻回され、第一リボンが貼り付けられる。したがって、ベルト96に貼付られた第一リボンの先端位置はこの第一リボンの貼付の開始位置である。この製造方法では、このドラムDの回転により、第二ヘッドH2から送り出された第二リボンがベルト96上に巻回され、第二リボンが貼り付けられる。したがって、ベルト96に貼付られた第二リボンの先端位置はこの第二リボンの貼付の開始位置である。この製造方法では、第一リボン及び第二リボンのベルト96への貼付は、周方向において異なる位置から開始される。前述したように、このタイヤ86は、図1に示されたタイヤ2と同様にして製造される。したがって、第一リボンの貼付の開始位置に対する第二リボンの貼付の開始位置の相対位置を表す中心角αは、22°以上が好ましく、30°以下が好ましい。これにより、高品質なタイヤ86が安定に生産されうる。
【0126】
図示されていないが、この製造方法では、その先端がベルト96に積層された第一リボンは、ベルト96の第一端110aに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。その先端がベルト96に積層された第二リボンは、ベルト96の第二端110bに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、螺旋状に巻回される。
【0127】
この製造方法では、第一リボンがベルト96の第一端110aの部分を覆うと、第一ヘッドH1の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト96の第一端110aにおいて、第一リボンが周方向に巻回される。
【0128】
この製造方法では、第一リボンの周方向への巻回しはベルト96の第一端110aにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ86が得られうるという観点から、第一リボンの周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角β1は180°以上が好ましい。ベルト96の第一端110aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β1は360°以下が好ましい。
【0129】
この製造方法では、第二リボンがベルト96の第二端110bの部分を覆うと、第二ヘッドH2の移動が停止される。ドラムDの回転は停止されないので、このベルト96の第二端110bにおいて、第二リボンが周方向に巻回される。
【0130】
この製造方法では、第二リボンの周方向への巻回しはベルト96の第二端110bにおけるリフティングを抑制しうる。耐久性に優れるタイヤ86が得られうるという観点から、第二リボンの周方向への巻回しにおける、ドラムDの回転角β2は180°以上が好ましい。ベルト96の第二端110bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角β2は360°以下が好ましい。
【0131】
この製造方法では、第一リボンの周方向への巻回しが完了すると、第一ヘッドH1を軸方向内向きに移動ささせつつ、この第一リボンは螺旋状にさらに巻回される。第二リボンの周方向への巻回しが完了すると、第二ヘッドH2を軸方向内向きに移動させつつ、この第二リボンは螺旋状にさらに巻回される。タイヤ86の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される。
【0132】
この製造方法では、赤道面において、第一リボンと第二リボンとが交差された後も、ベルト96の第二端110bに向かって第一ヘッドH1を軸方向に移動ささせつつ、第一リボンは螺旋状にさらに巻回される。ベルト96の第一端110aに向かって第二ヘッドH2を軸方向に移動させつつ、第二リボンは螺旋状にさらに巻回される。この製造方法では、第一リボンの終端をベルト96の一部をなす外側層130bの第二端132bの近傍に積層させて、第一リボンの巻回しが完了する。第二リボンの終端をこの外側層130bの第一端132aの近傍に積層させて、第二リボンの巻回しが完了する。これにより、赤道面において第一エレメント112及び第二エレメント114が交差したバンド98が得られる。トレッド88等の部材がさらに組み合わされ、ローカバーが得られる。
【0133】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ86が得られる。
【0134】
前述したように、この製造方法では、タイヤ86の赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回される。これにより、第一リボンの断面及び第二リボンの断面が軸方向に隙間なく配列される。この製造方法では、従来のタイヤのように、このバンド98の赤道面の部分に、第一リボン及び第二リボンが存在していない隙間部分は形成されない。この隙間部分の形成に起因した凹凸の形成が防止されているので、この製造方法により得られるタイヤ86はユニフォミティに優れる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0136】
[実施例1]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「245/40ZR18 97Y FK452」である。この製作に際しては、円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。第一コードを含む第一リボンが第一ヘッドから送り出され、ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層された。第一リボンの先端からベルトの第一端までの軸方向距離W1は、40mmとされた。第二コードを含む第二リボンが第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層された。第二リボンの先端からベルトの第二端までの軸方向距離W2は、40mmとされた。第一リボンの貼付の開始位置に対する第二リボンの貼付の開始位置の相対位置を表す中心角αは、26°とされた。
【0137】
ベルトの第一端に向かって第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、第一リボンが螺旋状に巻回された。このベルトの第二端に向かって第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、第二リボンが螺旋状に巻回された。巻回しにおけるドラムの回転速度は、250m/minとされた。
【0138】
ベルトの第一端において、第一リボンが周方向に巻回された。第一リボンの周方向の巻回しにおける、中心角β1は、180°とされた。そして、第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつ、第一リボンが螺旋状にさらに巻回された。このベルトの第二端において、第二リボンが周方向に巻回された。第二リボンの周方向の巻回しにおける、中心角β2は、180°とされた。そして、第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつ、第二リボンが螺旋状にさらに巻回された。さらに、タイヤの赤道面に相当する位置において、第一リボンと第二リボンとが交差して巻回された。このことが、表中、交差の欄において、「Y」で示されている。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、第一リボン及び第二リボンの存在していない隙間部分は形成されていない。
【0139】
この実施例1では、第一リボンからなる第一エレメントはベルトの第一端において折り返されている。第二リボンからなる第二エレメントは、ベルトの第二端において折り返されている。このことが、表中、折返しの欄において、「Y」で示されている。
【0140】
第一コードには、アラミド繊維からなるコードが用いられた。この第一コードの初期モジュラスM1は、76.3cN/dtexであった。第一リボンには、この第一コードが10本含まれている。第一リボンの幅RW1は、10.6mmとされた。第一リボンのピッチLP1は、10.3mmとされた。第二コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。この第二コードの初期モジュラスM2は、16.7cN/dtexであった。したがって、この第二コードの初期モジュラスM2に対する第一コードの初期モジュラスM2の比は、4.6であった。第二リボンには、この第二コードが10本含まれている。第二リボンの幅RW2は、10.7mmとされた。第二リボンのピッチLP2は、10.3mmとされた。
【0141】
[実施例2]
実施例1と同様の製造方法で、図17に示された構造を備えたタイヤを製作した。
【0142】
[実施例3−8]
第一コード及び第二コードを変えて初期モジュラス比(M1/M2)を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。表2中、「PEN」はポリエチレンナフタレート繊維を表している。このポリエチレンナフタレート繊維からなるコードの初期モジュラスは、49.3cN/dtexであった。
【0143】
[実施例9−12]
距離W1及び距離W2を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0144】
[実施例13−17]
ドラムの回転速度を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0145】
[実施例18−22]
中心角αを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0146】
[実施例23−27]
回転角β1及び回転角β2を下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0147】
[比較例1]
比較例1では、第一リボン及び第二リボンそれぞれの先端は、赤道面においてベルトに積層された。第一リボン及び第二リボンの巻回しが開始されてからドラムが3/4周回転するまでは、第一リボン及び第二リボンは赤道面に沿って周方向に巻回された。その後、第一リボンはベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第一端において、巻回しが止められた。第二リボンは、ベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第二端において、巻回しが止められた。この比較例1は、従来の製造方法である。なお、第一リボンには、実施例1の第一リボンと同等のリボンが用いられた。第二リボンには、実施例1の第二リボンと同等のリボンが用いられた。この比較例1で製造されたタイヤでは、バンドを構成するエレメントはベルトの端において折返されていない。このことが、表中、折返しの欄において、「N」で示されている。赤道面において、第一リボンからなるエレメントと第二リボンからなるエレメントとは交差していない。このことが、表中、交差の欄において、「N」で示されている。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分が形成されている。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0148】
[比較例2]
比較例2では、第一ヘッドのみを用いて、リボンがベルトの第一端からその第二端に向かって巻回された。したがって、このリボンからなるバンドには、図1に示されたタイヤのバンドのように、エレメントの交差は形成されていない。このリボンには、実施例1の第一リボンと同等のリボンが用いられた。この比較例2で製造されたタイヤでは、バンドを構成するエレメントはベルトの端において折返されていない。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分は形成されていない。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0149】
[比較例3]
比較例3では、第一リボン及び第二リボンそれぞれの先端は、赤道面においてベルトに積層された。第一リボンはベルトの第一端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第一端において、第一ヘッドの移動が反転され、この第一リボンは赤道面に向かって螺旋状にさらに巻回された。この巻回しは、赤道面において止められた。この比較例3では、第一リボンからなる第一エレメントは、ベルトの第一端において折り返されている。第二リボンはベルトの第二端に向かって螺旋状に巻回された。このベルトの第二端において、第二ヘッドの移動が反転され、この第二リボンは赤道面に向かって螺旋状にさらに巻回された。この巻回しは、赤道面において止められた。この比較例3では、第二リボンからなる第二エレメントは、ベルトの第二端において折り返されている。この比較例3では、赤道面において、第一リボンからなるエレメントと第二リボンからなるエレメントとは交差していない。このタイヤのバンドの赤道面の部分には、リボンの存在していない隙間部分が形成されている。なお、このタイヤのバンド以外の構成は、図1に示されたタイヤと同等とされている。
【0150】
[高速耐久性]
ECE30規格に準拠し、更に第一サイドS1側が高荷重となるようにキャンバー角を3°付けた条件で、高速耐久性について、評価を行った。試作タイヤに損傷が生じた速度V(km/h)を得た。この結果が、下記表1から表6に示されている。速度が高いほど、高速耐久性に優れていることを表している。表中、「G」は損傷が確認されなかった場合を、「NG」は損傷が確認された場合を表している。
【0151】
[ユニフォミティ]
「JASO C607:2000」に規定されたユニフォミティ試験の条件に準拠して、ラジアル・フォース・バリエーション(RFV)、RFVの一次成分(RH1)、ラジアル・ラン・アウト(RRO)、コニシティ(CON)及びバネ率を測定した。20本のタイヤを測定した結果の平均値が、下記の表1から表6に示されている。CON以外については、この数値が小さいほど、評価が高い。CONについては、その数値の絶対値が小さいほど、評価が高い。
【0152】
[生産性]
タイヤの生産に要する時間を計測した。その結果が、下記の表1から表6に、実施例15を0とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、評価が高い。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
表1から表6に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0160】
以上説明された方法は、種々のタイヤの製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0161】
2、86・・・タイヤ
4、88・・・トレッド
6、90・・・サイドウォール
8、92・・・ビード
10、94・・・カーカス
12、96・・・ベルト
14、98・・・バンド
36a、110a・・・第一端
36b、110b・・・第二端
42、112・・・第一エレメント
44、114・・・第二エレメント
48a、48b、118a、118b・・・第一本体
50、120・・・第一折返し部
54a、54b、124a、124b・・・第二本体
56、126・・・第二折返し部
58・・・第一リボン
60・・・第一コード
62・・・トッピングゴム
64・・・第二リボン
66・・・第二コード
68・・・トッピングゴム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、
上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程と、
第一コードを含む第一リボンが上記第一ヘッドから送り出され、上記ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層され、第二コードを含む第二リボンが上記第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層される工程と、
上記ベルトの第一端に向かって上記第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第一リボンが螺旋状に巻回され、このベルトの第二端に向かって上記第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第二リボンが螺旋状に巻回される工程と、
上記ベルトの第一端において上記第一リボンが周方向に巻回され、このベルトの第二端において上記第二リボンが周方向に巻回される工程と、
上記第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第一リボンが螺旋状にさらに巻回され、上記第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第二リボンが螺旋状にさらに巻回される工程と、
タイヤの赤道面に相当する位置において、上記第一リボンと上記第二リボンとが交差して巻回される工程と
を含む、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
上記ベルトに積層された上記第一リボンの先端からこのベルトの第一端までの軸方向距離が、30mm以上50mm以下であり、
このベルトに積層された上記第二リボンの先端からこのベルトの第二端までの軸方向距離が、30mm以上50mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
上記第一リボン及び上記第二リボンの周方向への巻回しにおける、上記ドラムの回転角が180°以上360°以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
上記第一コードの初期モジュラスが、上記第二コードの初期モジュラスよりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
この空気入りタイヤが車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、上記ベルトの第一端が内側に位置し、このベルトの第二端が外側に位置する、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
上記第一リボンの幅が、10mm以上11mm以下であり、
上記第二リボンの幅が、10mm以上11mm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
上記第一リボンが、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回され、
上記第二リボンが、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてこのカーカスと積層されるベルトと、このベルトとこのトレッドとの間に位置してこのベルトを覆うバンドとを備えており、
このバンドが、第一リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第一エレメントと、第二リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第二エレメントとから構成されており、
軸方向において、上記第一エレメントの端が上記ベルトの第一端よりも内側に位置しており、
この第一エレメントが、このベルトの第一端において折り返されており、
軸方向において、上記第二エレメントの端が上記ベルトの第二端よりも内側に位置しており、
この第二エレメントが、このベルトの第二端において折り返されており、
赤道面において、この第一エレメントとこの第二エレメントとが交差しており、
上記第一リボンが、第一コードを含んでおり、
上記第一エレメントにおいて、この第一コードが実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれており、
上記第二リボンが、第二コードを含んでおり、
上記第二エレメントにおいて、この第二コードが実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている、空気入りタイヤ。
【請求項1】
円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、
上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程と、
第一コードを含む第一リボンが上記第一ヘッドから送り出され、上記ベルトの第一端より軸方向内側においてこの第一リボンの先端がこのベルトに積層され、第二コードを含む第二リボンが上記第二ヘッドから送り出され、このベルトの第二端より軸方向内側においてこの第二リボンの先端がこのベルトに積層される工程と、
上記ベルトの第一端に向かって上記第一ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第一リボンが螺旋状に巻回され、このベルトの第二端に向かって上記第二ヘッドを軸方向に移動させつつ、上記第二リボンが螺旋状に巻回される工程と、
上記ベルトの第一端において上記第一リボンが周方向に巻回され、このベルトの第二端において上記第二リボンが周方向に巻回される工程と、
上記第一ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第一リボンが螺旋状にさらに巻回され、上記第二ヘッドを軸方向内向きに移動させつつこの第二リボンが螺旋状にさらに巻回される工程と、
タイヤの赤道面に相当する位置において、上記第一リボンと上記第二リボンとが交差して巻回される工程と
を含む、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
上記ベルトに積層された上記第一リボンの先端からこのベルトの第一端までの軸方向距離が、30mm以上50mm以下であり、
このベルトに積層された上記第二リボンの先端からこのベルトの第二端までの軸方向距離が、30mm以上50mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
上記第一リボン及び上記第二リボンの周方向への巻回しにおける、上記ドラムの回転角が180°以上360°以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
上記第一コードの初期モジュラスが、上記第二コードの初期モジュラスよりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
この空気入りタイヤが車両に装着されたとき、この車両の幅方向において、上記ベルトの第一端が内側に位置し、このベルトの第二端が外側に位置する、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
上記第一リボンの幅が、10mm以上11mm以下であり、
上記第二リボンの幅が、10mm以上11mm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
上記第一リボンが、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回され、
上記第二リボンが、9.8mm以上11.0mm以下のピッチで螺旋状に巻回される、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてこのカーカスと積層されるベルトと、このベルトとこのトレッドとの間に位置してこのベルトを覆うバンドとを備えており、
このバンドが、第一リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第一エレメントと、第二リボンを螺旋状に巻回すことにより形成された第二エレメントとから構成されており、
軸方向において、上記第一エレメントの端が上記ベルトの第一端よりも内側に位置しており、
この第一エレメントが、このベルトの第一端において折り返されており、
軸方向において、上記第二エレメントの端が上記ベルトの第二端よりも内側に位置しており、
この第二エレメントが、このベルトの第二端において折り返されており、
赤道面において、この第一エレメントとこの第二エレメントとが交差しており、
上記第一リボンが、第一コードを含んでおり、
上記第一エレメントにおいて、この第一コードが実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれており、
上記第二リボンが、第二コードを含んでおり、
上記第二エレメントにおいて、この第二コードが実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている、空気入りタイヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−39761(P2013−39761A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178811(P2011−178811)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
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