説明

空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システム

【課題】複数の岸壁を有する埠頭などにおいて、各空気式防舷材の空気圧を効率的に常時監視することができるTPMS用の圧力センサーを用いた空気圧監視装置の集中管理システムを提供する。
【解決手段】岸壁1に設置された空気式防舷材2の内側に配置されたTPMS用の送信機付き圧力センサー3を複数設置し、それら圧力センサー3が所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように空気圧検知信号を受信装置5へ向けて順にくりかえし送信するように構成された複数の空気圧監視装置を、スター型のネットワークを介して監視センター9に接続する
【選択図】図4

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムに関し、更に詳しくは、空気式防舷材の空気圧を効率的に常時監視することができる空気圧監視装置の集中管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、船舶の接岸時又は接舷時における船体及び岸壁の損傷防止を目的として、空気式防舷材が岸壁の壁面又は船側に設置されている。この空気式防舷材は、ゴムなどの弾性材料からなる略俵状の中空構造体に圧縮空気を封入し、船舶の接岸又は接舷時の衝撃を空気圧により緩衝させるようにしたものである。従って、空気式防舷材には常に適正な空気圧が維持されていることが必要である。そのため特許文献1は、このような空気圧の検知を外部から簡単に確認できるように、空気式防舷材に内圧検知装置を備えるようにしている。この内圧検知装置における圧力センサーは、検知した内圧を無線信号により外部へ送信するものであるが、近年ではコスト低減を目的として、特許文献2に示すような自動車用のタイヤ空気圧監視装置(Tire Pressure Monitoring System、以下「TPMS」という。)用の送信機付き圧力センサーを転用するようになっている。
【0003】
このTPMSは、315MHz帯の周波数の電波を使用する無線設備に該当するが、混信の回避を図ることなどを目的として、無線送信においては所定の送信休止時間を設けることが法令上定められている(非特許文献1を参照)。そのため、TPMS用の圧力センサーを用いた空気圧監視装置では、空気式防舷材の空気圧を常時監視することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−46438号公報
【特許文献2】特開2007−083911号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】平成十九年総務省告示第百八十七号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、複数の岸壁を有する埠頭などにおいて各空気式防舷材の空気圧を効率的に常時監視することができるTPMS用の圧力センサーを用いた空気圧監視装置の集中管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明の空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムは、空気式防舷材の内側に設置されたタイヤ空気圧監視装置用の送信機付き圧力センサーと、前記圧力センサーから送信される空気圧検知信号を受信・解析する受信装置とを備えた複数の空気圧監視装置の集中管理システムであって前記空気圧監視装置は前記圧力センサーを複数有し、該それぞれの圧力センサーは前記空気圧検知信号及び識別信号を所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように順にくりかえし送信するとともに、複数の前記受信装置をスター型のネットワークを介して監視センターに接続したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムによれば、空気式防舷材の内側に設置されたTPMS用の送信機付き圧力センサーが空気圧検知信号及び識別信号を、所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように順にくりかえし送信するとともに、その空気圧検知信号を受信・解析する受信装置をスター型のネットワークを介して監視センターに接続したので、複数の岸壁を有する埠頭などにおいて各空気式防舷材の空気圧を効率的に常時監視することができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムに用いられる空気圧監視装置である。
【図2】空気式防舷材の断面図である。
【図3】複数の圧力センサーにおける送信パターンの一例である。
【図4】本発明の実施形態からなる空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムに用いられる空気式防舷材の空気圧監視装置を示す。
【0012】
この空気圧監視装置は、岸壁1に設置された空気式防舷材2の内側に設置されたTPMS用の送信機付き圧力センサー3(以下、単に「圧力センサー」という。)と、それら圧力センサー3から電波4で送信される空気圧検知信号を受信・解析する受信装置5とを備えている。空気式防舷材2は、図2に示すように、ゴム部材と補強部材とを積層して成形した略俵状で中空構造の防舷材本体6を有し、その両端部には空気バルブ等を有する口金7が取り付けられている。この空気式防舷材2の内側には複数の圧力センサー3が設置されている。圧力センサー3の位置は特に限定するものではないが、メンテナンスの容易化及び測定精度の点から口金7の背面又はその近傍内壁とすることが好ましい。これら圧力センサー3は、空気式防舷材2の岸壁1への設置後に、外部から無線式の起動装置により起動される。
【0013】
このような空気圧監視装置において、各圧力センサー3は、空気圧検知信号を所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように順にくりかえし送信するようになっている。例えば圧力センサー3を4台設置した場合には、図3に示すように、圧力センサー3a〜3dの空気圧の検知データを、あらかじめ定められた所定の間隔Tをおいて、送信状態が連続するように送信時刻をずらして、圧力センサー3aから圧力センサー3dへの順でくりかえし受信装置5へ向けて送信する。このようにすることで、空気式防舷材2の空気圧を途切れることなく連続して受信装置5へ送信し、空気圧を常時測定することができる。
【0014】
各圧力センサー3の送信時刻は、起動装置により各圧力センサー3a〜3dを所定の間隔Tで順に起動することにより調整することができる。なお、この所定の間隔Tは、送信休止時間Xが法令の規定(非特許文献1を参照)を満たすように設定する必要がある。
【0015】
圧力センサー3は、空気圧の検知データと共に、識別信号(ID信号)を送信するので、不具合が発生した圧力センサー3の同定が可能になる。更には、他の空気式防舷材の圧力センサーから送信された空気圧検知信号との区別も容易になるため、複数の空気式防舷材2の空気圧を同時に監視することができる。
【0016】
は、本発明の実施形態からなる空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システムを示す。上記の空気圧監視装置の受信装置5をスター型のネットワーク8を介して監視センター9に複数接続することで、船舶10が接岸する複数の岸壁1を有する埠頭などにおいて効率的に各空気式防舷材2の空気圧を監視する集中管理システムを構築することができる。更に、ネットワーク8の少なくとも一部にインターネットを利用することで、遠隔地からの監視も可能にすることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 岸壁
2 空気式防舷材
3 圧力センサー
4 電波
5 受信装置
6 防舷材本体
7 口金
8 ネットワーク
9 監視センター
10 船舶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気式防舷材の内側に設置されたタイヤ空気圧監視装置用の送信機付き圧力センサーと、前記圧力センサーから送信される空気圧検知信号を受信・解析する受信装置とを備えた複数の空気圧監視装置の集中管理システムであって
前記空気圧監視装置は前記圧力センサーを複数有し、該それぞれの圧力センサーは前記空気圧検知信号及び識別信号を所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように順にくりかえし送信するとともに、
複数の前記受信装置をスター型のネットワークを介して監視センターに接続したことを特徴とする空気式防舷材の空気圧監視装置の集中管理システム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−65352(P2013−65352A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274666(P2012−274666)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2009−15838(P2009−15838)の分割
【原出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】