空気調和機の室外機
【課題】大きな熱交換面積を比較的容易に得ることができると共に、液化された冷媒の流速を低下させず、効率的に過冷却を促進できる高性能な空気調和機の室外機を提供する。
【解決手段】室外機10は、平面形状略矩形の筐体10aの背面に背面吸気口12が形成され、一方の側面には側面吸気口12aが形成され、正面には排気口11が形成されている。背面吸気口12と側面吸気口12aの内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続する。背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、この複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成される。
【解決手段】室外機10は、平面形状略矩形の筐体10aの背面に背面吸気口12が形成され、一方の側面には側面吸気口12aが形成され、正面には排気口11が形成されている。背面吸気口12と側面吸気口12aの内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続する。背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、この複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機にはセパレート型と呼ばれるものがある。それは室外機と室内機により構成され、室外機は圧縮機、四方弁、膨張弁、室外側熱交換器、室外側送風機などを含み、室内機は室内側熱交換器、室内側送風機などを含む。室外側熱交換器は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。室内側熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0003】
冷凍サイクルとしてヒートポンプサイクルを用いるセパレート型空気調和機の基本的構成を図10に示す。ヒートポンプサイクル1は、圧縮機2、四方弁3、室外側の熱交換器4、減圧膨張装置5、及び室内側の熱交換器6をループ状に接続したものである。圧縮機2、四方弁3、熱交換器4、及び減圧膨張装置5は室外機の筐体に収容され、熱交換器6は室内機の筐体に収容される。熱交換器4には室外側の送風機7が組み合わせられ、熱交換器6には室内側の送風機8が組み合わせられる。送風機7は多くの場合プロペラファンで構成され、送風機8は多くの場合クロスフローファンで構成される。
【0004】
図10は暖房運転時の状態を示す。この時は、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は室内側の熱交換器6に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器6を出た冷媒は減圧膨張装置5から室外側の熱交換器4に入ってそこで膨張し、室外空気から熱を取り込んだ後、圧縮機2に戻る。室内側の送風機8によって生成された気流が熱交換器6からの放熱を促進し、室外側の送風機7によって生成された気流が熱交換器4の吸熱を促進する。
【0005】
図11は冷房運転時あるいは除霜運転時の状態を示す。この時は暖房運転時と冷媒の流れが逆になる。すなわち、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は室外側の熱交換器4に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器4を出た冷媒は減圧膨張装置5から室内側の熱交換器6に入ってそこで膨張し、室内空気から熱を取り込んだ後、圧縮機2に戻る。室外側の送風機7によって生成された気流が熱交換器4からの放熱を促進し、室内側の送風機8によって生成された気流が熱交換器6の吸熱を促進する。
【0006】
上記のようなセパレート型空気調和機の室外機は、全体形状としては直方体であり、平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体内に、各種機能部品を収容しているのが通例である。従来の室外機の構成例を図12に示す。
【0007】
図12の室外機10は平面形状略矩形の板金製筐体10aを備え、筐体10aの長辺側を正面10F及び背面10Bとし、短辺側を左側面10L及び右側面10Rとしている。正面10Fには排気口11が形成され、背面10Bには背面吸気口12が形成される。排気口11は複数の水平なスリット状開口の集合からなり、背面吸気口12は格子状の開口からなる。正面10F、背面10B、左側面10L、右側面10Rの4面の板金部材に図示しない天板と底板が加わって六面体形状の筐体10aが形成される。
【0008】
筐体10aの内部には、背面吸気口12のすぐ内側に室外側の熱交換器4が配置される。熱交換器4と室外空気との間で強制的に熱交換を行わせるため、熱交換器4と排気口11の間に室外側の送風機7が配置される。送風機7は電動機7aにプロペラファン7bを組み合わせたものである。送風効率向上のため、筐体10aの正面10Fの内面にはプロペラファン7bを囲むベルマウス13が取り付けられる。筐体10aの右側面10Rの内側の空間は背面吸気口12から排気口11へと流れる空気流から隔壁14で隔離されており、ここに圧縮機2が収容されている。
【0009】
熱交換器4としては、フィンアンドチューブタイプ、パラレルフロータイプ、サーペンタインタイプといった種類のものが用いられる。フィンアンドチューブタイプは、多数の平行するフィンを1本のチューブが蛇行しつつ貫通する形のものである。パラレルフロータイプは、2本のヘッダパイプの間に複数の偏平チューブを配置して偏平チューブ内部の冷媒通路をヘッダパイプの内部に連通させるとともに、偏平チューブ間にコルゲートフィン等のフィンを配置したものである。サーペンタインタイプは、2本のヘッダパイプの間に偏平チューブを配置するところまではパラレルフロータイプと同じであるが、偏平チューブの数が1本であり、この1本の偏平チューブを蛇行させ、蛇行する偏平チューブの間にコルゲートフィン等のフィンを配置したものである。
【0010】
図12の構成例では筐体10aの背面側のみに熱交換器4が存在するが、熱交換面積を大きくとるため、筐体10aの側面側にも熱交換器を配置することがある。そのようにした構成例を図13に示す。図13の構成例では左側面10Lに側面吸気口12aを形成し、そのすぐ内側に側面側熱交換器4aを配置している。「側面側熱交換器」との対比のため、熱交換器4を以後「背面側熱交換器」と呼称する。
【0011】
背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aを同一面に並べて描いたのが図14である。背面側熱交換器4はパラレルフローのダウンフロータイプである。背面側熱交換器4は、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22の間に垂直な偏平チューブ23を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23同士の間にコルゲートフィン24を配置したものである。偏平チューブ23はアルミニウム等熱伝導の良い金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路が形成されている。偏平チューブ23は押出成型方向を垂直にする形で配置されるので、冷媒通路の冷媒流通方向も垂直になる。冷媒通路の一構成例では、断面形状及び断面面積の等しいものが図14の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ23はハーモニカのような断面を呈する。各冷媒通路は上部ヘッダパイプ21及び下部ヘッダパイプ22の内部に連通する。
【0012】
上部ヘッダパイプ21及び下部ヘッダパイプ22と偏平チューブ23、及び偏平チューブ23とコルゲートフィン24はそれぞれロウ付けまたは溶着により固定される。偏平チューブ23の他、上部ヘッダパイプ21、下部ヘッダパイプ22、及びコルゲートフィン24もアルミニウム等熱伝導の良い金属からなる。
【0013】
側面側熱交換器4aも背面側熱交換器4と同じくパラレルフローのダウンフロータイプであるが、背面側熱交換器4よりも横幅が狭い。側面側熱交換器4aは、上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aを互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aの間に垂直な偏平チューブ23aを所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a同士の間にコルゲートフィン24aを配置したものである。偏平チューブ23aはアルミニウム等熱伝導の良い金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路が形成されている。偏平チューブ23aは押出成型方向を垂直にする形で配置されるので、冷媒通路の冷媒流通方向も垂直になる。冷媒通路の一構成例では、断面形状及び断面面積の等しいものが図14の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ23aはハーモニカのような断面を呈する。各冷媒通路は上部ヘッダパイプ21a及び下部ヘッダパイプ22aの内部に連通する。
【0014】
上部ヘッダパイプ21a及び下部ヘッダパイプ22aと偏平チューブ23a、及び偏平チューブ23aとコルゲートフィン24aはそれぞれロウ付けまたは溶着により固定される。偏平チューブ23aの他、上部ヘッダパイプ21a、下部ヘッダパイプ22a、及びコルゲートフィン24aもアルミニウム等熱伝導の良い金属からなる。
【0015】
側面側熱交換器4aの偏平チューブ23aの本数は、背面側熱交換器4の偏平チューブ23の本数より少ない。そのため、偏平チューブ23aの冷媒通路面積の総和である側面側熱交換器4aの冷媒流路断面積は背面側熱交換器4に比べて小さくなる。
【0016】
背面側熱交換器4の上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22には、同じ側の一端に冷媒配管25、26が接続される。上部ヘッダパイプ21の他端は冷媒配管25aを通じて側面側熱交換器4aの上部ヘッダパイプ21aの一端に接続され、下部ヘッダパイプ22の他端は冷媒配管26aを通じて側面側熱交換器4aの下部ヘッダパイプ22aの一端に接続される。上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aの他端は行き止まりになっている。背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aは並列接続の関係にある。
【0017】
冷媒配管25、26は、背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの両方に冷媒を送り込み、また背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの両方から冷媒を受け取るものである。冷房運転時には冷媒配管25から少なくとも一部がガス状となった高温高圧の冷媒が流入する。その冷媒は背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散し、凝縮して液状になる。暖房運転時には冷媒配管26から冷媒が流入し、背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの冷媒通路を上昇するうちに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。
【0018】
送風機7を運転すると背面吸気口12と側面吸気口12aから室外空気が流入する。背面吸気口12から流入した室外空気は背面側熱交換器4との間で熱交換を行い、側面吸気口12aから流入した室外空気は側面側熱交換器4aとの間で熱交換を行った後、送風機7に吸い込まれ、排気口11から排出される。
【0019】
上記の背面側熱交換器と側面側熱交換器の組み合わせのように、2面の熱交換器を直角に配置した熱交換器の例を特許文献1から特許文献3に見ることができる。
【0020】
特許文献1に記載された熱交換器は、パラレルフローのサイドフロータイプの熱交換器を、偏平チューブを折り曲げて直角にし、コンパクト化を図っている。
【0021】
特許文献2に記載された熱交換器は、パラレルフローのダウンフロータイプの熱交換器を、ヘッダパイプを折り曲げて直角にしている。
【0022】
特許文献3に記載された熱交換器は、パラレルフローのダウンフロータイプの熱交換器を2個、一方は幅の広い主コア、他方は幅の狭い従コアとして、互いに直角に配置している。主コアと従コアにおける冷媒の流れ方は、図13における背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aへの冷媒の流れ方と同じである。
【0023】
熱交換器の熱交換面積を増大するため、複数の熱交換器を気流方向に整列させ、複数列にして配置することもある。特許文献4にはパラレルフロータイプの熱交換器を複数列で配置した構成が記載されている。特許文献5には複数の帯板状チューブエレメントを厚さ方向に積層した構成が記載されている。
【特許文献1】特開2008−45862号公報
【特許文献2】特開2005−90806号公報
【特許文献3】特開平10−160382号公報
【特許文献4】特開2002−13840号公報
【特許文献5】特開2001−108392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
室外機の筐体内スペースを有効活用するため、筐体の側面側にも熱交換器を配置する場合、特許文献1や特許文献2に記載のもののように熱交換器を曲げ加工して側面側熱交換器を形成するのは、一歩間違えると偏平チューブやヘッダパイプが破れる危険性があり、加工が難しい。また、サイドフロータイプの熱交換器は排水性が悪く、蒸発器としては使用困難である。特許文献3に記載のもののように独立した2個の熱交換器を直角に配置する構成では、特許文献1や特許文献2に記載のものが抱えているような問題は少ない。但し特許文献3記載の構成の場合、背面側熱交換器の偏平チューブと側面側熱交換器の偏平チューブは並列関係にあり、背面側熱交換器だけの場合に比べ熱交換面積が拡大されたとは言うものの、冷媒流路断面積は大きいままで一定しており、冷媒が気体から徐々に液化して比容積が小さくなって行くにつれ冷媒の流速が低下し、これが熱伝達率の低下をもたらし、その結果、熱交換器全体の性能が低下することがある。このように、単に熱交換面積を拡大したというだけでは、冷媒を効率的に過冷却することに結びつくものではなく、熱交換面積の拡大に見合う性能向上を実現するには至らなかった。
【0025】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、大きな熱交換面積を比較的容易に得ることができるとともに、液化された冷媒の流速を低下させず、効率的に過冷却を促進できる高性能な空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために本発明は、平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体の中に、圧縮機、熱交換器、及び送風機を収容する空気調和機の室外機において、前記筐体には、背面と一方の側面に背面吸気口と側面吸気口を、正面に排気口を、それぞれ形成し、前記排気口の内側には当該排気口を通じて筐体内の空気を排出する送風機を配置し、前記背面吸気口と側面吸気口の内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続されているとともに、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されることを特徴としている。
【0027】
側面側熱交換器の流路面積は背面側熱交換器の流路面積に比べ必然的に小さくなる。これらの熱交換器を凝縮器として用いる場合、ガス状態の冷媒は相対的に流路面積の大きい背面側熱交換器を通る間に速やかに凝縮せしめられ、凝縮した液状冷媒は、背面側熱交換器よりも流路面積の小さい側面側熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされるから、過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口から吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。
【0028】
さらに、背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されるものとしたから、背面側熱交換器または側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機としての熱交換能力を高めることができる。
【0029】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、凝縮時、冷媒が風下側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出し、次いで隣接の風上側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出する冷媒回路が構成されていることが好ましい。
【0030】
このような構成にすれば、凝縮した冷媒が重力に逆らうことなく下の方へ流れるという形を無理なく作り出すことができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0031】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士が一体化されていることが好ましい。
【0032】
このような構成にすれば、熱交換器の構造を堅牢化することができる。
【0033】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、前記背面側熱交換器から前記側面側熱交換器を経る冷媒回路において、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小であることが好ましい。
【0034】
このような構成にすれば、凝縮した液状冷媒は、順次冷媒流路断面積が小さくなって行く複数の熱交換器を通る間に過冷却状態とされるから、冷媒流速の低下を抑制でき、過冷却化を効率的に進めることができる。
【0035】
上記構成の空気調和機の室外機において、前記背面側熱交換器と前記側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置することが好ましい。
【0036】
このような構成にすれば、蒸発器として使用する際に、側面側熱交換器を通過し気化が進んだ気液二相の冷媒を、気体と液体に分離し、液体が背面側熱交換器を通過するものとすることにより、冷媒の分流が改善され、熱交換効率を高めることができる。
【0037】
上記構成の空気調和機の室外機において、前記背面側熱交換器は前記筐体の底板との間に所定の間隙を置いて配置されるものであり、凝縮時に前記側面側熱交換器から流出した冷媒が流れる冷媒配管は、前記間隙を通り抜ける気流を横切る形で配置されていることが好ましい。
【0038】
このような構成にすれば、背面側熱交換器と筐体底板との間隙を通り抜ける気流と、凝縮時に側面側熱交換器から流出した冷媒との間で熱交換を行うことができるので、さらに過冷却を促進することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、背面側熱交換器に加え側面側熱交換器を設けることにより、室外機の筐体内スペースを有効活用し熱交換面積を拡大した上で、凝縮時にはガス状態の冷媒が相対的に流路面積の大きい背面側熱交換器で速やかに凝縮せしめられてから相対的に流路面積の小さい側面側熱交換器に入るようにしたから、側面側熱交換器で冷媒流速を低下させず過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口から吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。そして背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されるものとしたから、背面側熱交換器または側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機としての熱交換能力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下本発明の第1実施形態を図1から図3に基づき説明する。図1は空気調和機の室外機の概略構成を示す模型的水平断面図、図2は熱交換器の展開図、図3は図2と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。なお実施形態の構造は多くの部分が図13及び図14に示す従来構造と共通する。そこで、説明の重複を避けるため、図13及び図14の従来構造と共通する構成要素には図13及び図14で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0041】
実施形態の背面側熱交換器と側面側熱交換器は、従来構造と同じくパラレルフローのダウンフロータイプである。但し背面側熱交換器と側面側熱交換器は従来構造のように並列にではなく直列に接続される。そして背面側熱交換器と側面側熱交換器は、それぞれ、気流方向に整列する2個ずつの熱交換器により構成される。すなわち背面側熱交換器は風下側に位置する第1背面側熱交換器4−1と風上側に位置する第2背面側熱交換器4−2により構成され、側面側熱交換器は風下側に位置する第1側面側熱交換器4a−1と風上側に位置する第2側面側熱交換器4a−2により構成される。そしてこれら計4個の熱交換器は図2に示す構造を備え、図2に示すように相互間の冷媒回路が構成される。大まかに言えば、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は直列接続の関係にあり、第2側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2も直列接続の関係にある。
【0042】
第1背面側熱交換器4−1は図13の背面側熱交換器4と基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21−1と下部ヘッダパイプ22−1を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21−1と下部ヘッダパイプ22−1の間に垂直な偏平チューブ23−1を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23−1同士の間にコルゲートフィン24−1を配置したものである。上部ヘッダパイプ21−1には冷媒配管25が接続される。冷媒配管25は1本のパイプが途中で2本に分かれ、上部ヘッダパイプ21−1の両端に1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22−1に対してはその両端に冷媒配管27が1本ずつ接続されている。
【0043】
第1背面側熱交換器4−1を蒸発器として使用する際には、下部ヘッダパイプ22−1から冷媒が流入し上部ヘッダパイプ21−1から冷媒が流出する冷媒回路の構成となる。この場合、下部ヘッダパイプ22−1の一端からのみ冷媒が流入し、その冷媒が上部ヘッダパイプ21−1の一端からのみ流出する構成であると、偏平チューブ23−1の本数が多い場合や、運転条件によっては、各偏平チューブ23−1を流れる冷媒量にかなりの差が生じる。いわゆる「分流」が悪い状態となる。本実施形態の構成のように下部ヘッダパイプ22−1の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21−1の両端から冷媒が流出する構成とすれば、分流が改善される。
【0044】
第2背面側熱交換器4−2も図13の背面側熱交換器4と基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21−2と下部ヘッダパイプ22−2を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21−2と下部ヘッダパイプ22−2の間に垂直な偏平チューブ23−2を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23−2同士の間にコルゲートフィン24−2を配置したものである。上部ヘッダパイプ21−2の両端に冷媒配管27が1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22−2に対してはその両端に冷媒配管28が1本ずつ接続される。第2背面側熱交換器4−2を蒸発器として使用する場合、第1背面側熱交換器4−1と同様、下部ヘッダパイプ22−2の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21−2の両端から冷媒が流出する構成なので、分流が改善される。
【0045】
第1側面側熱交換器4a−1は図14の側面側熱交換器4aと基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21a−1と下部ヘッダパイプ22a−1を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21a−1と下部ヘッダパイプ22a−1の間に垂直な偏平チューブ23a−1を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a−1同士の間にコルゲートフィン24a−1を配置したものである。上部ヘッダパイプ21a−1の両端には冷媒配管28が1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22a−1に対してはその両端に冷媒配管29が1本ずつ接続される。第1側面側熱交換器4a−1を蒸発器として使用する場合、第1背面側熱交換器4−1と同様、下部ヘッダパイプ22a−1の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21a−1の両端から冷媒が流出する構成なので、分流が改善される。
【0046】
冷媒配管27や冷媒配管28と異なり、冷媒配管29は2本に分かれたままで第2側面側熱交換器4a−2の方へ向かうということをしない。途中で1本に統合される。
【0047】
第2側面側熱交換器4a−2も図14の側面側熱交換器4aと基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21a−2と下部ヘッダパイプ22a−2を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21a−2と下部ヘッダパイプ22a−2の間に垂直な偏平チューブ23a−2を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a−2同士の間にコルゲートフィン24a−2を配置したものである。上部ヘッダパイプ21a−2の左端(図2における左端をいう。以後「左端」「右端」というときは、図2における左端または右端を意味するものとする)に、前述の通り1本に統合された冷媒配管29が接続される。下部ヘッダパイプ22a−2には、右端に冷媒配管30が接続される。
【0048】
上部ヘッダパイプ21a−2の内部には、左端から所定距離隔たった位置に隔壁31aが形成される。下部ヘッダパイプ22a−2の内部にも、左端から所定距離隔たった位置に隔壁31bが形成される。隔壁31bは隔壁31aよりもさらに右に寄った位置にあり、その結果、第2側面側熱交換器4a−2は3個の区間に区分されることになる。すなわち、左端から隔壁31aまでの第1区間4a−2Aと、隔壁31aから隔壁31bまでの第2区間4a−2Bと、隔壁31bから右端までの第3区間4a−2Cである。
【0049】
このように、冷房運転時あるいは除霜運転時(すなわち、室外側熱交換器を凝縮器として使用する場合)には冷媒配管25から第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1に少なくとも一部がガス状となった高温高圧の冷媒が流入する。冷媒は偏平チューブ23−1の冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散し、少なくとも一部は凝縮する。第1背面側熱交換器4−1を通過した冷媒は冷媒配管27を通じて第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2に流入する。冷媒は偏平チューブ23−2の冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散して凝縮し、さらに液状化が進む。
【0050】
第2背面側熱交換器4−2を通過した冷媒は冷媒配管28を通じて第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1に流入する。冷媒は偏平チューブ23a−1の冷媒通路を下降する間に再度室外空気に熱を放散する。第1側面側熱交換器4a−1を通過した冷媒は冷媒配管29を通じて第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入する。
【0051】
第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入した冷媒は、第1区間4a−2Aに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達する。冷媒はその後第2区間4a−2Bに移り、第2区間4a−2Bに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を上昇して上部ヘッダパイプ21a−2に達する。冷媒はその後第3区間4a−2Cに移り、第3区間4a−2Cに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達する。このようにして下降と上昇を繰り返す間に冷媒は室外空気に熱を放散するから、冷媒を容易に過冷却に至らせることができる。第3区間4a−2Cを下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達した冷媒は冷媒配管30を通じて流出し、室内機に送られる。
【0052】
このように、ガス状冷媒は側面側熱交換器に比べ流路面積の大きい背面側熱交換器を通る間に速やかに凝縮せしめられ、凝縮した液状冷媒は、背面側熱交換器よりも流路面積の小さい側面側熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされるから、過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口12aから吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。
【0053】
そして、背面側熱交換器は風下側の第1背面側熱交換器4−1と風上側の第2背面側熱交換器4−2を気流方向に整列させて構成した上、凝縮時に第1背面側熱交換器4−1から第2背面側熱交換器4−2へと流れる冷媒回路を形成し、側面側熱交換器は風下側の第1側面側熱交換器4a−1と風上側の第2側面側熱交換器4a−2を気流方向に整列させて構成した上、凝縮時に第1側面側熱交換器4a−1から第2側面側熱交換器4a−2へと流れる冷媒回路を形成したものであるから、背面側熱交換器と側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機10の熱交換能力を高めることができる。
【0054】
背面側熱交換器にあっては、凝縮時、風下側の第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1に冷媒が流入して下部ヘッダパイプ22−1から流出し、次いで風上側の第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2に流入して下部ヘッダパイプ22−2から流出する。側面側熱交換器にあっては、凝縮時、風下側の第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1に冷媒が流入して下部ヘッダパイプ22a−1から流出し、次いで風上側の第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入して下部ヘッダパイプ22a−2から流出する。これにより、凝縮した冷媒が下の方へ流れるという形を無理なく作り出すことができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0055】
暖房運転時には図3に示すように冷媒配管30から第2側面側熱交換器4a−2の下部ヘッダパイプ22a−2に冷媒が流入する。冷媒は第3区間4a−2Cから第2区間4a−2B、第1区間4a−2Aと流れる間に室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21a−2から冷媒配管29を通じて第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22a−1から上部ヘッダパイプ21a−1へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21a−1から冷媒配管28を通じて第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22−2から上部ヘッダパイプ21−2へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21−2から冷媒配管27を通じて第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22−1から上部ヘッダパイプ21−1へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。
【0056】
第1実施形態の構成では、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は同一形状であって冷媒流路断面積が等しく、第1側面側熱交換器4a−1は第1背面側熱交換器4−1及び第2背面側熱交換器4−2よりも冷媒流路断面積が小さく、第2側面側熱交換器4a−2は第1側面側熱交換器4a−2と外形寸法は同じであるが3区間に区切られているため第1側面側熱交換器4a−1よりも冷媒流路断面積が小さくなっている。第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2を比較すると、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小さくなっている。このため、凝縮した液状冷媒は、順次冷媒流路断面積が小さくなって行く複数の熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされることとなり、過冷却化を効率的に進めることができる。第2背面側熱交換器4−2の冷媒流路断面積を第1背面側熱交換器4−1の冷媒流路断面積よりも小さくし、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の段階から冷媒流路断面積に差をつけておいてもよい。
【0057】
第1実施形態では背面側熱交換器も側面側熱交換器も気流方向に整列する複数ずつの熱交換器により構成したが、これに限定されるものではない。背面側熱交換器と側面側熱交換器の一方のみ複数の熱交換器で構成し、他方は単一の熱交換器としてもよい。また「複数」も「2」に限定されるものではない。3個以上の熱交換器を整列させる構成であってもよい。
【0058】
続いて本発明の第2実施形態を図4及び図5に基づき説明する。図4は熱交換器の展開図、図5は図4と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。
【0059】
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは熱交換器間の冷媒回路の構成である。すなわち、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に対し、その両端に冷媒配管28が1本ずつ接続されるのでなく、中央に1本の冷媒配管28が接続されている。冷媒配管28は途中で2本に分かれ、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1の両端に1本ずつ接続される。第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1に対しても、その両端に冷媒配管29が1本ずつ接続されるのでなく、中央に1本の冷媒配管29が接続されている。
【0060】
冷房運転時あるいは除霜運転時には、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に下降した冷媒は、図4に示すように下部ヘッダパイプ22−2の中央から1本の冷媒配管28を通じて流出し、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1にその両端から入る。上部ヘッダパイプ21a−1から下部ヘッダパイプ22a−1に下降した冷媒は、下部ヘッダパイプ22a−1の中央から1本の冷媒配管29を通じて流出し、第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2にその左端から入る。
【0061】
暖房運転時には、第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2から流出する冷媒は、図5に示すように1本の冷媒配管29を通じて第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1にその中央から入る。下部ヘッダパイプ22a−1から上部ヘッダパイプ21a−1まで上昇した冷媒は、上部ヘッダパイプ21a−1の両端から1本ずつの冷媒配管28を通じて流出し、途中からは1本の冷媒配管28に統合されて、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2にその中央から入る。
【0062】
第2実施形態のように冷媒回路を形成することにより、冷媒回路の構成をより簡素化することができる。また、風上側の熱交換器(第2背面側熱交換器4−2、第2側面側熱交換器4a−2)と風下側の熱交換器(第1背面側熱交換器4−1、第1側面側熱交換器4a−1)との間で、暖房運転時(蒸発器として使用する場合)の冷媒の流入箇所を異ならせることにより、風上側の熱交換器と風下側の熱交換器の冷媒の分流状態を異ならせることができる。冷媒の流入箇所が同じであれば、分流状態も同じ状態または似た状態になり、冷媒が乾きやすい(気体の割合が多くなる)領域同士の重なりが生じてしまうが、流入箇所を異ならせることにより、冷媒が乾きやすい領域同士の重なりが生じにくくなり(言い換えれば、重なりの度合いが減るため、あるいは、重ならないため)、熱交換効率を向上させることができる。
【0063】
続いて本発明の第3実施形態を図6及び図7に基づき説明する。図6は熱交換器の展開図、図7は図6と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。
【0064】
第3実施形態は、背面側熱交換器と側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置することを特徴とする。図6及び図7に示す構成例では、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間に気液分離器32が配置されている。すなわち第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1の両端から1本ずつ出る冷媒配管27Aが1本に統合されて気液分離器32の一方の接続口に接続される。また第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2の両端から1本ずつ出る冷媒配管27Bが1本に統合されて気液分離器32の他方の接続口に接続される。
【0065】
暖房運転時、図7に示すように第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2を出て第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1に向かう冷媒は、その途中で気液分離器32により気体を分離される。このように蒸発器として使用する際に、側面側熱交換器を通過し気化が進んだ気液二相の冷媒を、気体と液体に分離し、液体が背面側熱交換器を通過するものとすることにより、冷媒の分流が改善され、熱交換効率を高めることができる。
【0066】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間に気液分離器32を配置したのは一つの構成例であり、これに限定されるものではない。他の場所に配置することも可能である。例えば、図4や図5における冷媒配管28に気液分離器32を配置してもよい。
【0067】
続いて本発明の第4実施形態を図8に基づき説明する。図8は熱交換器の展開図である。
【0068】
第4実施形態は、熱交換器から導出される冷媒配管の配置に工夫を加えたものである。図8の冷媒配管の接続構成は第1実施形態にならっているが、第2実施形態または第3実施形態の接続構成であってもよい。さて、図8には筐体10aが点線で示されている。15Tは筐体10aの天板であり、15Bは筐体10aの底板である。第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は、複数のスペーサー40により、底板15Bとの間に所定の間隙を置く形で底板15Bの上に支持されている(図8では第1背面側熱交換器4−1の側にのみスペーサー40が描かれている)。第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2も、複数のスペーサー40aにより、底板15Bとの間に所定の間隙を置く形で底板15Bの上に支持されている(図8では第1側面側熱交換器4a−1の側にのみスペーサー40aが描かれている)。熱交換器の素材金属がアルミニウムの場合、スペーサー40、40aは、例えば合成樹脂、ゴム等の非金属材料、またはステンレス鋼により形成する。
【0069】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2をスペーサー40で支持し、第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2をスペーサー40aで支持するのは次の理由による。すなわち第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2は熱伝導の良いアルミニウム等の金属で製作される一方、底板15Bはコストと強度の面から一般的に鋼板で製作される。第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2と底板15Bとが直接接触すると、異種金属の接触ということになり、電食が起きる。これを防ぐため、第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2と底板15Bとの間に電食を起こさない材料、例えば合成樹脂、ゴム等の非金属材料、またはステンレス鋼、を材料とするスペーサー40、40aを介在させるのである。
【0070】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2はスペーサー40により底板15Bとの間に間隙41を置いて配置され、第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2はスペーサー40aにより底板15Bとの間に間隙41aを置いて配置されていると、背面吸気口12から流入した気流の一部が間隙41を通り抜け、側面吸気口12aから流入した気流の一部が間隙41aを通り抜けるという現象が生じる。間隙41に着目した場合、そこを通り抜ける気流は下部ヘッダパイプ22−1、22−2を通る冷媒との間で熱交換を行うだけであり、第1背面側熱交換器4−1及び第2背面側熱交換器4−2の熱交換にあまり寄与しない。
【0071】
そこで、凝縮時に第2側面側熱交換器4a―2から流出した冷媒が流れる冷媒配管、すなわち冷媒配管30を、間隙41を通り抜ける気流を横切る形で配置する。図8では、冷媒配管30の位置が、間隙41の奥行き方向に関しては風下寄りで、正面10Fの側から第1背面側熱交換器4−1を望む視点では間隙41を横切ることとなる位置に設定されている。これにより、間隙41を通り抜ける気流と冷媒配管30を通る冷媒との間で熱交換が行われることになり、凝縮時における冷媒の過冷却を促進することができる。
【0072】
冷媒配管30は、間隙41を通り抜ける気流を横切るだけでなく、下部ヘッダパイプ22a−2との接続箇所を工夫することにより、間隙41aを通り抜ける気流も横切らせることができる。これにより、冷媒の過冷却が一層促進される。
【0073】
冷媒配管30と第1背面側熱交換器4−1の位置関係は、第1背面側熱交換器4−1が風上側で冷媒配管30が風下側でも、冷媒配管30が風上側で第1背面側熱交換器4−1が風下側でも、どちらでもよい。間隙41の内部、すなわち第1背面側熱交換器4−1の真下を冷媒配管30が通っていてもよい。第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間、第2背面側熱交換器4−2の真下、第2背面側熱交換器4−2の風上側といった位置に冷媒配管30を通すこともできる。いずれの位置関係においても間隙41を横切る形で冷媒配管30が配置されており、間隙41を通り抜ける気流と冷媒配管30を通る冷媒との間で熱交換が行われ、凝縮時における冷媒の過冷却を促進することができる。冷媒配管30と第1側面側熱交換器4a−1及び第2側面側熱交換器4a−2との位置関係もこれと同様である。
【0074】
上記第1から第4までのいずれの実施形態についても言えることであるが、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士を一体化することにより、構造の堅牢化を図ることができる。
【0075】
図9に、第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1と第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2を一体化した構造例を示す。この例では、断面長円形のパイプ21の中央を垂直な隔壁21Pで仕切り、上部ヘッダパイプ21−1と上部ヘッダパイプ21−2に区画している。第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1と第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2の組み合わせ、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1と第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2の組み合わせ、及び第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1と第2側面側熱交換器4a−2の下部ヘッダパイプ22a−2の組み合わせにも図9の構造を適用できることは言うまでもない。
【0076】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は筐体内の背面側と側面側に熱交換器を配置する空気調和機の室外機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の概略構成を示す模型的水平断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図3】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図4】本発明の第2実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図5】本発明の第2実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図6】本発明の第3実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図7】本発明の第3実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図8】本発明の第4実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図9】ヘッダパイプ同士を一体化した例を示す熱交換器の部分断面図
【図10】セパレート型空気調和機の基本構成図
【図11】セパレート型空気調和機の基本構成図であって、図10と異なる状態を示すもの
【図12】従来の空気調和機室外機の構成例を示す模型的水平断面図
【図13】従来の空気調和機室外機の他の構成例を示す模型的水平断面図
【図14】図13の空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【符号の説明】
【0079】
1 ヒートポンプサイクル
2 圧縮機
4−1 第1背面側熱交換器
4−2 第2背面側熱交換器
4a−1 第1側面側熱交換器
4a−2 第2側面側熱交換器
7 送風機
10 室外機
10a 筐体
11 排気口
12 背面吸気口
12a 側面吸気口
15T 天板
15B 底板
21−1、21−2、21a−1、21a−2 上部ヘッダパイプ
22−1、22−2、22a−1、22a−2 下部ヘッダパイプ
23−1、23−2、23a−1、23a−2 偏平チューブ
24−1、24−2、24a−1、24a−2 コルゲートフィン
30 冷媒配管
41 間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機にはセパレート型と呼ばれるものがある。それは室外機と室内機により構成され、室外機は圧縮機、四方弁、膨張弁、室外側熱交換器、室外側送風機などを含み、室内機は室内側熱交換器、室内側送風機などを含む。室外側熱交換器は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。室内側熱交換器は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0003】
冷凍サイクルとしてヒートポンプサイクルを用いるセパレート型空気調和機の基本的構成を図10に示す。ヒートポンプサイクル1は、圧縮機2、四方弁3、室外側の熱交換器4、減圧膨張装置5、及び室内側の熱交換器6をループ状に接続したものである。圧縮機2、四方弁3、熱交換器4、及び減圧膨張装置5は室外機の筐体に収容され、熱交換器6は室内機の筐体に収容される。熱交換器4には室外側の送風機7が組み合わせられ、熱交換器6には室内側の送風機8が組み合わせられる。送風機7は多くの場合プロペラファンで構成され、送風機8は多くの場合クロスフローファンで構成される。
【0004】
図10は暖房運転時の状態を示す。この時は、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は室内側の熱交換器6に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器6を出た冷媒は減圧膨張装置5から室外側の熱交換器4に入ってそこで膨張し、室外空気から熱を取り込んだ後、圧縮機2に戻る。室内側の送風機8によって生成された気流が熱交換器6からの放熱を促進し、室外側の送風機7によって生成された気流が熱交換器4の吸熱を促進する。
【0005】
図11は冷房運転時あるいは除霜運転時の状態を示す。この時は暖房運転時と冷媒の流れが逆になる。すなわち、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は室外側の熱交換器4に入ってそこで放熱し、凝縮する。熱交換器4を出た冷媒は減圧膨張装置5から室内側の熱交換器6に入ってそこで膨張し、室内空気から熱を取り込んだ後、圧縮機2に戻る。室外側の送風機7によって生成された気流が熱交換器4からの放熱を促進し、室内側の送風機8によって生成された気流が熱交換器6の吸熱を促進する。
【0006】
上記のようなセパレート型空気調和機の室外機は、全体形状としては直方体であり、平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体内に、各種機能部品を収容しているのが通例である。従来の室外機の構成例を図12に示す。
【0007】
図12の室外機10は平面形状略矩形の板金製筐体10aを備え、筐体10aの長辺側を正面10F及び背面10Bとし、短辺側を左側面10L及び右側面10Rとしている。正面10Fには排気口11が形成され、背面10Bには背面吸気口12が形成される。排気口11は複数の水平なスリット状開口の集合からなり、背面吸気口12は格子状の開口からなる。正面10F、背面10B、左側面10L、右側面10Rの4面の板金部材に図示しない天板と底板が加わって六面体形状の筐体10aが形成される。
【0008】
筐体10aの内部には、背面吸気口12のすぐ内側に室外側の熱交換器4が配置される。熱交換器4と室外空気との間で強制的に熱交換を行わせるため、熱交換器4と排気口11の間に室外側の送風機7が配置される。送風機7は電動機7aにプロペラファン7bを組み合わせたものである。送風効率向上のため、筐体10aの正面10Fの内面にはプロペラファン7bを囲むベルマウス13が取り付けられる。筐体10aの右側面10Rの内側の空間は背面吸気口12から排気口11へと流れる空気流から隔壁14で隔離されており、ここに圧縮機2が収容されている。
【0009】
熱交換器4としては、フィンアンドチューブタイプ、パラレルフロータイプ、サーペンタインタイプといった種類のものが用いられる。フィンアンドチューブタイプは、多数の平行するフィンを1本のチューブが蛇行しつつ貫通する形のものである。パラレルフロータイプは、2本のヘッダパイプの間に複数の偏平チューブを配置して偏平チューブ内部の冷媒通路をヘッダパイプの内部に連通させるとともに、偏平チューブ間にコルゲートフィン等のフィンを配置したものである。サーペンタインタイプは、2本のヘッダパイプの間に偏平チューブを配置するところまではパラレルフロータイプと同じであるが、偏平チューブの数が1本であり、この1本の偏平チューブを蛇行させ、蛇行する偏平チューブの間にコルゲートフィン等のフィンを配置したものである。
【0010】
図12の構成例では筐体10aの背面側のみに熱交換器4が存在するが、熱交換面積を大きくとるため、筐体10aの側面側にも熱交換器を配置することがある。そのようにした構成例を図13に示す。図13の構成例では左側面10Lに側面吸気口12aを形成し、そのすぐ内側に側面側熱交換器4aを配置している。「側面側熱交換器」との対比のため、熱交換器4を以後「背面側熱交換器」と呼称する。
【0011】
背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aを同一面に並べて描いたのが図14である。背面側熱交換器4はパラレルフローのダウンフロータイプである。背面側熱交換器4は、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22の間に垂直な偏平チューブ23を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23同士の間にコルゲートフィン24を配置したものである。偏平チューブ23はアルミニウム等熱伝導の良い金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路が形成されている。偏平チューブ23は押出成型方向を垂直にする形で配置されるので、冷媒通路の冷媒流通方向も垂直になる。冷媒通路の一構成例では、断面形状及び断面面積の等しいものが図14の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ23はハーモニカのような断面を呈する。各冷媒通路は上部ヘッダパイプ21及び下部ヘッダパイプ22の内部に連通する。
【0012】
上部ヘッダパイプ21及び下部ヘッダパイプ22と偏平チューブ23、及び偏平チューブ23とコルゲートフィン24はそれぞれロウ付けまたは溶着により固定される。偏平チューブ23の他、上部ヘッダパイプ21、下部ヘッダパイプ22、及びコルゲートフィン24もアルミニウム等熱伝導の良い金属からなる。
【0013】
側面側熱交換器4aも背面側熱交換器4と同じくパラレルフローのダウンフロータイプであるが、背面側熱交換器4よりも横幅が狭い。側面側熱交換器4aは、上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aを互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aの間に垂直な偏平チューブ23aを所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a同士の間にコルゲートフィン24aを配置したものである。偏平チューブ23aはアルミニウム等熱伝導の良い金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路が形成されている。偏平チューブ23aは押出成型方向を垂直にする形で配置されるので、冷媒通路の冷媒流通方向も垂直になる。冷媒通路の一構成例では、断面形状及び断面面積の等しいものが図14の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ23aはハーモニカのような断面を呈する。各冷媒通路は上部ヘッダパイプ21a及び下部ヘッダパイプ22aの内部に連通する。
【0014】
上部ヘッダパイプ21a及び下部ヘッダパイプ22aと偏平チューブ23a、及び偏平チューブ23aとコルゲートフィン24aはそれぞれロウ付けまたは溶着により固定される。偏平チューブ23aの他、上部ヘッダパイプ21a、下部ヘッダパイプ22a、及びコルゲートフィン24aもアルミニウム等熱伝導の良い金属からなる。
【0015】
側面側熱交換器4aの偏平チューブ23aの本数は、背面側熱交換器4の偏平チューブ23の本数より少ない。そのため、偏平チューブ23aの冷媒通路面積の総和である側面側熱交換器4aの冷媒流路断面積は背面側熱交換器4に比べて小さくなる。
【0016】
背面側熱交換器4の上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22には、同じ側の一端に冷媒配管25、26が接続される。上部ヘッダパイプ21の他端は冷媒配管25aを通じて側面側熱交換器4aの上部ヘッダパイプ21aの一端に接続され、下部ヘッダパイプ22の他端は冷媒配管26aを通じて側面側熱交換器4aの下部ヘッダパイプ22aの一端に接続される。上部ヘッダパイプ21aと下部ヘッダパイプ22aの他端は行き止まりになっている。背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aは並列接続の関係にある。
【0017】
冷媒配管25、26は、背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの両方に冷媒を送り込み、また背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの両方から冷媒を受け取るものである。冷房運転時には冷媒配管25から少なくとも一部がガス状となった高温高圧の冷媒が流入する。その冷媒は背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散し、凝縮して液状になる。暖房運転時には冷媒配管26から冷媒が流入し、背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aの冷媒通路を上昇するうちに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。
【0018】
送風機7を運転すると背面吸気口12と側面吸気口12aから室外空気が流入する。背面吸気口12から流入した室外空気は背面側熱交換器4との間で熱交換を行い、側面吸気口12aから流入した室外空気は側面側熱交換器4aとの間で熱交換を行った後、送風機7に吸い込まれ、排気口11から排出される。
【0019】
上記の背面側熱交換器と側面側熱交換器の組み合わせのように、2面の熱交換器を直角に配置した熱交換器の例を特許文献1から特許文献3に見ることができる。
【0020】
特許文献1に記載された熱交換器は、パラレルフローのサイドフロータイプの熱交換器を、偏平チューブを折り曲げて直角にし、コンパクト化を図っている。
【0021】
特許文献2に記載された熱交換器は、パラレルフローのダウンフロータイプの熱交換器を、ヘッダパイプを折り曲げて直角にしている。
【0022】
特許文献3に記載された熱交換器は、パラレルフローのダウンフロータイプの熱交換器を2個、一方は幅の広い主コア、他方は幅の狭い従コアとして、互いに直角に配置している。主コアと従コアにおける冷媒の流れ方は、図13における背面側熱交換器4と側面側熱交換器4aへの冷媒の流れ方と同じである。
【0023】
熱交換器の熱交換面積を増大するため、複数の熱交換器を気流方向に整列させ、複数列にして配置することもある。特許文献4にはパラレルフロータイプの熱交換器を複数列で配置した構成が記載されている。特許文献5には複数の帯板状チューブエレメントを厚さ方向に積層した構成が記載されている。
【特許文献1】特開2008−45862号公報
【特許文献2】特開2005−90806号公報
【特許文献3】特開平10−160382号公報
【特許文献4】特開2002−13840号公報
【特許文献5】特開2001−108392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
室外機の筐体内スペースを有効活用するため、筐体の側面側にも熱交換器を配置する場合、特許文献1や特許文献2に記載のもののように熱交換器を曲げ加工して側面側熱交換器を形成するのは、一歩間違えると偏平チューブやヘッダパイプが破れる危険性があり、加工が難しい。また、サイドフロータイプの熱交換器は排水性が悪く、蒸発器としては使用困難である。特許文献3に記載のもののように独立した2個の熱交換器を直角に配置する構成では、特許文献1や特許文献2に記載のものが抱えているような問題は少ない。但し特許文献3記載の構成の場合、背面側熱交換器の偏平チューブと側面側熱交換器の偏平チューブは並列関係にあり、背面側熱交換器だけの場合に比べ熱交換面積が拡大されたとは言うものの、冷媒流路断面積は大きいままで一定しており、冷媒が気体から徐々に液化して比容積が小さくなって行くにつれ冷媒の流速が低下し、これが熱伝達率の低下をもたらし、その結果、熱交換器全体の性能が低下することがある。このように、単に熱交換面積を拡大したというだけでは、冷媒を効率的に過冷却することに結びつくものではなく、熱交換面積の拡大に見合う性能向上を実現するには至らなかった。
【0025】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、大きな熱交換面積を比較的容易に得ることができるとともに、液化された冷媒の流速を低下させず、効率的に過冷却を促進できる高性能な空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために本発明は、平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体の中に、圧縮機、熱交換器、及び送風機を収容する空気調和機の室外機において、前記筐体には、背面と一方の側面に背面吸気口と側面吸気口を、正面に排気口を、それぞれ形成し、前記排気口の内側には当該排気口を通じて筐体内の空気を排出する送風機を配置し、前記背面吸気口と側面吸気口の内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続されているとともに、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されることを特徴としている。
【0027】
側面側熱交換器の流路面積は背面側熱交換器の流路面積に比べ必然的に小さくなる。これらの熱交換器を凝縮器として用いる場合、ガス状態の冷媒は相対的に流路面積の大きい背面側熱交換器を通る間に速やかに凝縮せしめられ、凝縮した液状冷媒は、背面側熱交換器よりも流路面積の小さい側面側熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされるから、過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口から吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。
【0028】
さらに、背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されるものとしたから、背面側熱交換器または側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機としての熱交換能力を高めることができる。
【0029】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、凝縮時、冷媒が風下側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出し、次いで隣接の風上側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出する冷媒回路が構成されていることが好ましい。
【0030】
このような構成にすれば、凝縮した冷媒が重力に逆らうことなく下の方へ流れるという形を無理なく作り出すことができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0031】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士が一体化されていることが好ましい。
【0032】
このような構成にすれば、熱交換器の構造を堅牢化することができる。
【0033】
上記構成の空気調和機の室外機にあって、前記背面側熱交換器から前記側面側熱交換器を経る冷媒回路において、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小であることが好ましい。
【0034】
このような構成にすれば、凝縮した液状冷媒は、順次冷媒流路断面積が小さくなって行く複数の熱交換器を通る間に過冷却状態とされるから、冷媒流速の低下を抑制でき、過冷却化を効率的に進めることができる。
【0035】
上記構成の空気調和機の室外機において、前記背面側熱交換器と前記側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置することが好ましい。
【0036】
このような構成にすれば、蒸発器として使用する際に、側面側熱交換器を通過し気化が進んだ気液二相の冷媒を、気体と液体に分離し、液体が背面側熱交換器を通過するものとすることにより、冷媒の分流が改善され、熱交換効率を高めることができる。
【0037】
上記構成の空気調和機の室外機において、前記背面側熱交換器は前記筐体の底板との間に所定の間隙を置いて配置されるものであり、凝縮時に前記側面側熱交換器から流出した冷媒が流れる冷媒配管は、前記間隙を通り抜ける気流を横切る形で配置されていることが好ましい。
【0038】
このような構成にすれば、背面側熱交換器と筐体底板との間隙を通り抜ける気流と、凝縮時に側面側熱交換器から流出した冷媒との間で熱交換を行うことができるので、さらに過冷却を促進することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、背面側熱交換器に加え側面側熱交換器を設けることにより、室外機の筐体内スペースを有効活用し熱交換面積を拡大した上で、凝縮時にはガス状態の冷媒が相対的に流路面積の大きい背面側熱交換器で速やかに凝縮せしめられてから相対的に流路面積の小さい側面側熱交換器に入るようにしたから、側面側熱交換器で冷媒流速を低下させず過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口から吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。そして背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されるものとしたから、背面側熱交換器または側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機としての熱交換能力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下本発明の第1実施形態を図1から図3に基づき説明する。図1は空気調和機の室外機の概略構成を示す模型的水平断面図、図2は熱交換器の展開図、図3は図2と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。なお実施形態の構造は多くの部分が図13及び図14に示す従来構造と共通する。そこで、説明の重複を避けるため、図13及び図14の従来構造と共通する構成要素には図13及び図14で用いたのと同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0041】
実施形態の背面側熱交換器と側面側熱交換器は、従来構造と同じくパラレルフローのダウンフロータイプである。但し背面側熱交換器と側面側熱交換器は従来構造のように並列にではなく直列に接続される。そして背面側熱交換器と側面側熱交換器は、それぞれ、気流方向に整列する2個ずつの熱交換器により構成される。すなわち背面側熱交換器は風下側に位置する第1背面側熱交換器4−1と風上側に位置する第2背面側熱交換器4−2により構成され、側面側熱交換器は風下側に位置する第1側面側熱交換器4a−1と風上側に位置する第2側面側熱交換器4a−2により構成される。そしてこれら計4個の熱交換器は図2に示す構造を備え、図2に示すように相互間の冷媒回路が構成される。大まかに言えば、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は直列接続の関係にあり、第2側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2も直列接続の関係にある。
【0042】
第1背面側熱交換器4−1は図13の背面側熱交換器4と基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21−1と下部ヘッダパイプ22−1を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21−1と下部ヘッダパイプ22−1の間に垂直な偏平チューブ23−1を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23−1同士の間にコルゲートフィン24−1を配置したものである。上部ヘッダパイプ21−1には冷媒配管25が接続される。冷媒配管25は1本のパイプが途中で2本に分かれ、上部ヘッダパイプ21−1の両端に1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22−1に対してはその両端に冷媒配管27が1本ずつ接続されている。
【0043】
第1背面側熱交換器4−1を蒸発器として使用する際には、下部ヘッダパイプ22−1から冷媒が流入し上部ヘッダパイプ21−1から冷媒が流出する冷媒回路の構成となる。この場合、下部ヘッダパイプ22−1の一端からのみ冷媒が流入し、その冷媒が上部ヘッダパイプ21−1の一端からのみ流出する構成であると、偏平チューブ23−1の本数が多い場合や、運転条件によっては、各偏平チューブ23−1を流れる冷媒量にかなりの差が生じる。いわゆる「分流」が悪い状態となる。本実施形態の構成のように下部ヘッダパイプ22−1の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21−1の両端から冷媒が流出する構成とすれば、分流が改善される。
【0044】
第2背面側熱交換器4−2も図13の背面側熱交換器4と基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21−2と下部ヘッダパイプ22−2を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21−2と下部ヘッダパイプ22−2の間に垂直な偏平チューブ23−2を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23−2同士の間にコルゲートフィン24−2を配置したものである。上部ヘッダパイプ21−2の両端に冷媒配管27が1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22−2に対してはその両端に冷媒配管28が1本ずつ接続される。第2背面側熱交換器4−2を蒸発器として使用する場合、第1背面側熱交換器4−1と同様、下部ヘッダパイプ22−2の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21−2の両端から冷媒が流出する構成なので、分流が改善される。
【0045】
第1側面側熱交換器4a−1は図14の側面側熱交換器4aと基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21a−1と下部ヘッダパイプ22a−1を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21a−1と下部ヘッダパイプ22a−1の間に垂直な偏平チューブ23a−1を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a−1同士の間にコルゲートフィン24a−1を配置したものである。上部ヘッダパイプ21a−1の両端には冷媒配管28が1本ずつ接続される。下部ヘッダパイプ22a−1に対してはその両端に冷媒配管29が1本ずつ接続される。第1側面側熱交換器4a−1を蒸発器として使用する場合、第1背面側熱交換器4−1と同様、下部ヘッダパイプ22a−1の両端から冷媒が流入し、上部ヘッダパイプ21a−1の両端から冷媒が流出する構成なので、分流が改善される。
【0046】
冷媒配管27や冷媒配管28と異なり、冷媒配管29は2本に分かれたままで第2側面側熱交換器4a−2の方へ向かうということをしない。途中で1本に統合される。
【0047】
第2側面側熱交換器4a−2も図14の側面側熱交換器4aと基本的に同じ構造であり、上部ヘッダパイプ21a−2と下部ヘッダパイプ22a−2を互いに間隔を置いてそれぞれ水平に、すなわち互いに平行する形で配置し、上部ヘッダパイプ21a−2と下部ヘッダパイプ22a−2の間に垂直な偏平チューブ23a−2を所定ピッチで複数配置し、隣り合う偏平チューブ23a−2同士の間にコルゲートフィン24a−2を配置したものである。上部ヘッダパイプ21a−2の左端(図2における左端をいう。以後「左端」「右端」というときは、図2における左端または右端を意味するものとする)に、前述の通り1本に統合された冷媒配管29が接続される。下部ヘッダパイプ22a−2には、右端に冷媒配管30が接続される。
【0048】
上部ヘッダパイプ21a−2の内部には、左端から所定距離隔たった位置に隔壁31aが形成される。下部ヘッダパイプ22a−2の内部にも、左端から所定距離隔たった位置に隔壁31bが形成される。隔壁31bは隔壁31aよりもさらに右に寄った位置にあり、その結果、第2側面側熱交換器4a−2は3個の区間に区分されることになる。すなわち、左端から隔壁31aまでの第1区間4a−2Aと、隔壁31aから隔壁31bまでの第2区間4a−2Bと、隔壁31bから右端までの第3区間4a−2Cである。
【0049】
このように、冷房運転時あるいは除霜運転時(すなわち、室外側熱交換器を凝縮器として使用する場合)には冷媒配管25から第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1に少なくとも一部がガス状となった高温高圧の冷媒が流入する。冷媒は偏平チューブ23−1の冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散し、少なくとも一部は凝縮する。第1背面側熱交換器4−1を通過した冷媒は冷媒配管27を通じて第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2に流入する。冷媒は偏平チューブ23−2の冷媒通路を下降する間に室外空気に熱を放散して凝縮し、さらに液状化が進む。
【0050】
第2背面側熱交換器4−2を通過した冷媒は冷媒配管28を通じて第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1に流入する。冷媒は偏平チューブ23a−1の冷媒通路を下降する間に再度室外空気に熱を放散する。第1側面側熱交換器4a−1を通過した冷媒は冷媒配管29を通じて第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入する。
【0051】
第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入した冷媒は、第1区間4a−2Aに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達する。冷媒はその後第2区間4a−2Bに移り、第2区間4a−2Bに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を上昇して上部ヘッダパイプ21a−2に達する。冷媒はその後第3区間4a−2Cに移り、第3区間4a−2Cに含まれる偏平チューブ23a−2の冷媒通路を下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達する。このようにして下降と上昇を繰り返す間に冷媒は室外空気に熱を放散するから、冷媒を容易に過冷却に至らせることができる。第3区間4a−2Cを下降して下部ヘッダパイプ22a−2に達した冷媒は冷媒配管30を通じて流出し、室内機に送られる。
【0052】
このように、ガス状冷媒は側面側熱交換器に比べ流路面積の大きい背面側熱交換器を通る間に速やかに凝縮せしめられ、凝縮した液状冷媒は、背面側熱交換器よりも流路面積の小さい側面側熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされるから、過冷却化を効率的に進めることができる。また側面側熱交換器は側面吸気口12aから吸い込まれた外部空気で冷却されるので、側面側熱交換器の冷却空気を十分に確保でき、過冷却を十分に促進させることができる。
【0053】
そして、背面側熱交換器は風下側の第1背面側熱交換器4−1と風上側の第2背面側熱交換器4−2を気流方向に整列させて構成した上、凝縮時に第1背面側熱交換器4−1から第2背面側熱交換器4−2へと流れる冷媒回路を形成し、側面側熱交換器は風下側の第1側面側熱交換器4a−1と風上側の第2側面側熱交換器4a−2を気流方向に整列させて構成した上、凝縮時に第1側面側熱交換器4a−1から第2側面側熱交換器4a−2へと流れる冷媒回路を形成したものであるから、背面側熱交換器と側面側熱交換器の熱交換面積を増大し、室外機10の熱交換能力を高めることができる。
【0054】
背面側熱交換器にあっては、凝縮時、風下側の第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1に冷媒が流入して下部ヘッダパイプ22−1から流出し、次いで風上側の第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2に流入して下部ヘッダパイプ22−2から流出する。側面側熱交換器にあっては、凝縮時、風下側の第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1に冷媒が流入して下部ヘッダパイプ22a−1から流出し、次いで風上側の第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2に流入して下部ヘッダパイプ22a−2から流出する。これにより、凝縮した冷媒が下の方へ流れるという形を無理なく作り出すことができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0055】
暖房運転時には図3に示すように冷媒配管30から第2側面側熱交換器4a−2の下部ヘッダパイプ22a−2に冷媒が流入する。冷媒は第3区間4a−2Cから第2区間4a−2B、第1区間4a−2Aと流れる間に室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21a−2から冷媒配管29を通じて第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22a−1から上部ヘッダパイプ21a−1へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21a−1から冷媒配管28を通じて第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22−2から上部ヘッダパイプ21−2へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。冷媒は上部ヘッダパイプ21−2から冷媒配管27を通じて第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1に流入する。冷媒は下部ヘッダパイプ22−1から上部ヘッダパイプ21−1へと上昇する間にさらに室外空気から熱を取り込んで蒸発する。
【0056】
第1実施形態の構成では、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は同一形状であって冷媒流路断面積が等しく、第1側面側熱交換器4a−1は第1背面側熱交換器4−1及び第2背面側熱交換器4−2よりも冷媒流路断面積が小さく、第2側面側熱交換器4a−2は第1側面側熱交換器4a−2と外形寸法は同じであるが3区間に区切られているため第1側面側熱交換器4a−1よりも冷媒流路断面積が小さくなっている。第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2を比較すると、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小さくなっている。このため、凝縮した液状冷媒は、順次冷媒流路断面積が小さくなって行く複数の熱交換器を通る間に冷媒流速を低下させず過冷却状態とされることとなり、過冷却化を効率的に進めることができる。第2背面側熱交換器4−2の冷媒流路断面積を第1背面側熱交換器4−1の冷媒流路断面積よりも小さくし、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の段階から冷媒流路断面積に差をつけておいてもよい。
【0057】
第1実施形態では背面側熱交換器も側面側熱交換器も気流方向に整列する複数ずつの熱交換器により構成したが、これに限定されるものではない。背面側熱交換器と側面側熱交換器の一方のみ複数の熱交換器で構成し、他方は単一の熱交換器としてもよい。また「複数」も「2」に限定されるものではない。3個以上の熱交換器を整列させる構成であってもよい。
【0058】
続いて本発明の第2実施形態を図4及び図5に基づき説明する。図4は熱交換器の展開図、図5は図4と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。
【0059】
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは熱交換器間の冷媒回路の構成である。すなわち、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に対し、その両端に冷媒配管28が1本ずつ接続されるのでなく、中央に1本の冷媒配管28が接続されている。冷媒配管28は途中で2本に分かれ、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1の両端に1本ずつ接続される。第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1に対しても、その両端に冷媒配管29が1本ずつ接続されるのでなく、中央に1本の冷媒配管29が接続されている。
【0060】
冷房運転時あるいは除霜運転時には、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2に下降した冷媒は、図4に示すように下部ヘッダパイプ22−2の中央から1本の冷媒配管28を通じて流出し、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1にその両端から入る。上部ヘッダパイプ21a−1から下部ヘッダパイプ22a−1に下降した冷媒は、下部ヘッダパイプ22a−1の中央から1本の冷媒配管29を通じて流出し、第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2にその左端から入る。
【0061】
暖房運転時には、第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2から流出する冷媒は、図5に示すように1本の冷媒配管29を通じて第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1にその中央から入る。下部ヘッダパイプ22a−1から上部ヘッダパイプ21a−1まで上昇した冷媒は、上部ヘッダパイプ21a−1の両端から1本ずつの冷媒配管28を通じて流出し、途中からは1本の冷媒配管28に統合されて、第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2にその中央から入る。
【0062】
第2実施形態のように冷媒回路を形成することにより、冷媒回路の構成をより簡素化することができる。また、風上側の熱交換器(第2背面側熱交換器4−2、第2側面側熱交換器4a−2)と風下側の熱交換器(第1背面側熱交換器4−1、第1側面側熱交換器4a−1)との間で、暖房運転時(蒸発器として使用する場合)の冷媒の流入箇所を異ならせることにより、風上側の熱交換器と風下側の熱交換器の冷媒の分流状態を異ならせることができる。冷媒の流入箇所が同じであれば、分流状態も同じ状態または似た状態になり、冷媒が乾きやすい(気体の割合が多くなる)領域同士の重なりが生じてしまうが、流入箇所を異ならせることにより、冷媒が乾きやすい領域同士の重なりが生じにくくなり(言い換えれば、重なりの度合いが減るため、あるいは、重ならないため)、熱交換効率を向上させることができる。
【0063】
続いて本発明の第3実施形態を図6及び図7に基づき説明する。図6は熱交換器の展開図、図7は図6と異なる運転モードを示す熱交換器の展開図である。
【0064】
第3実施形態は、背面側熱交換器と側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置することを特徴とする。図6及び図7に示す構成例では、第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間に気液分離器32が配置されている。すなわち第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1の両端から1本ずつ出る冷媒配管27Aが1本に統合されて気液分離器32の一方の接続口に接続される。また第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2の両端から1本ずつ出る冷媒配管27Bが1本に統合されて気液分離器32の他方の接続口に接続される。
【0065】
暖房運転時、図7に示すように第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2を出て第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1に向かう冷媒は、その途中で気液分離器32により気体を分離される。このように蒸発器として使用する際に、側面側熱交換器を通過し気化が進んだ気液二相の冷媒を、気体と液体に分離し、液体が背面側熱交換器を通過するものとすることにより、冷媒の分流が改善され、熱交換効率を高めることができる。
【0066】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間に気液分離器32を配置したのは一つの構成例であり、これに限定されるものではない。他の場所に配置することも可能である。例えば、図4や図5における冷媒配管28に気液分離器32を配置してもよい。
【0067】
続いて本発明の第4実施形態を図8に基づき説明する。図8は熱交換器の展開図である。
【0068】
第4実施形態は、熱交換器から導出される冷媒配管の配置に工夫を加えたものである。図8の冷媒配管の接続構成は第1実施形態にならっているが、第2実施形態または第3実施形態の接続構成であってもよい。さて、図8には筐体10aが点線で示されている。15Tは筐体10aの天板であり、15Bは筐体10aの底板である。第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2は、複数のスペーサー40により、底板15Bとの間に所定の間隙を置く形で底板15Bの上に支持されている(図8では第1背面側熱交換器4−1の側にのみスペーサー40が描かれている)。第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2も、複数のスペーサー40aにより、底板15Bとの間に所定の間隙を置く形で底板15Bの上に支持されている(図8では第1側面側熱交換器4a−1の側にのみスペーサー40aが描かれている)。熱交換器の素材金属がアルミニウムの場合、スペーサー40、40aは、例えば合成樹脂、ゴム等の非金属材料、またはステンレス鋼により形成する。
【0069】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2をスペーサー40で支持し、第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2をスペーサー40aで支持するのは次の理由による。すなわち第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2は熱伝導の良いアルミニウム等の金属で製作される一方、底板15Bはコストと強度の面から一般的に鋼板で製作される。第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2と底板15Bとが直接接触すると、異種金属の接触ということになり、電食が起きる。これを防ぐため、第1背面側熱交換器4−1、第2背面側熱交換器4−2、第1側面側熱交換器4a−1、及び第2側面側熱交換器4a−2と底板15Bとの間に電食を起こさない材料、例えば合成樹脂、ゴム等の非金属材料、またはステンレス鋼、を材料とするスペーサー40、40aを介在させるのである。
【0070】
第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2はスペーサー40により底板15Bとの間に間隙41を置いて配置され、第1側面側熱交換器4a−1と第2側面側熱交換器4a−2はスペーサー40aにより底板15Bとの間に間隙41aを置いて配置されていると、背面吸気口12から流入した気流の一部が間隙41を通り抜け、側面吸気口12aから流入した気流の一部が間隙41aを通り抜けるという現象が生じる。間隙41に着目した場合、そこを通り抜ける気流は下部ヘッダパイプ22−1、22−2を通る冷媒との間で熱交換を行うだけであり、第1背面側熱交換器4−1及び第2背面側熱交換器4−2の熱交換にあまり寄与しない。
【0071】
そこで、凝縮時に第2側面側熱交換器4a―2から流出した冷媒が流れる冷媒配管、すなわち冷媒配管30を、間隙41を通り抜ける気流を横切る形で配置する。図8では、冷媒配管30の位置が、間隙41の奥行き方向に関しては風下寄りで、正面10Fの側から第1背面側熱交換器4−1を望む視点では間隙41を横切ることとなる位置に設定されている。これにより、間隙41を通り抜ける気流と冷媒配管30を通る冷媒との間で熱交換が行われることになり、凝縮時における冷媒の過冷却を促進することができる。
【0072】
冷媒配管30は、間隙41を通り抜ける気流を横切るだけでなく、下部ヘッダパイプ22a−2との接続箇所を工夫することにより、間隙41aを通り抜ける気流も横切らせることができる。これにより、冷媒の過冷却が一層促進される。
【0073】
冷媒配管30と第1背面側熱交換器4−1の位置関係は、第1背面側熱交換器4−1が風上側で冷媒配管30が風下側でも、冷媒配管30が風上側で第1背面側熱交換器4−1が風下側でも、どちらでもよい。間隙41の内部、すなわち第1背面側熱交換器4−1の真下を冷媒配管30が通っていてもよい。第1背面側熱交換器4−1と第2背面側熱交換器4−2の間、第2背面側熱交換器4−2の真下、第2背面側熱交換器4−2の風上側といった位置に冷媒配管30を通すこともできる。いずれの位置関係においても間隙41を横切る形で冷媒配管30が配置されており、間隙41を通り抜ける気流と冷媒配管30を通る冷媒との間で熱交換が行われ、凝縮時における冷媒の過冷却を促進することができる。冷媒配管30と第1側面側熱交換器4a−1及び第2側面側熱交換器4a−2との位置関係もこれと同様である。
【0074】
上記第1から第4までのいずれの実施形態についても言えることであるが、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士を一体化することにより、構造の堅牢化を図ることができる。
【0075】
図9に、第1背面側熱交換器4−1の上部ヘッダパイプ21−1と第2背面側熱交換器4−2の上部ヘッダパイプ21−2を一体化した構造例を示す。この例では、断面長円形のパイプ21の中央を垂直な隔壁21Pで仕切り、上部ヘッダパイプ21−1と上部ヘッダパイプ21−2に区画している。第1背面側熱交換器4−1の下部ヘッダパイプ22−1と第2背面側熱交換器4−2の下部ヘッダパイプ22−2の組み合わせ、第1側面側熱交換器4a−1の上部ヘッダパイプ21a−1と第2側面側熱交換器4a−2の上部ヘッダパイプ21a−2の組み合わせ、及び第1側面側熱交換器4a−1の下部ヘッダパイプ22a−1と第2側面側熱交換器4a−2の下部ヘッダパイプ22a−2の組み合わせにも図9の構造を適用できることは言うまでもない。
【0076】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は筐体内の背面側と側面側に熱交換器を配置する空気調和機の室外機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の概略構成を示す模型的水平断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図3】本発明の第1実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図4】本発明の第2実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図5】本発明の第2実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図6】本発明の第3実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図7】本発明の第3実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図で、図1と異なる運転モードを示すもの。
【図8】本発明の第4実施形態に係る空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【図9】ヘッダパイプ同士を一体化した例を示す熱交換器の部分断面図
【図10】セパレート型空気調和機の基本構成図
【図11】セパレート型空気調和機の基本構成図であって、図10と異なる状態を示すもの
【図12】従来の空気調和機室外機の構成例を示す模型的水平断面図
【図13】従来の空気調和機室外機の他の構成例を示す模型的水平断面図
【図14】図13の空気調和機室外機の熱交換器の展開図
【符号の説明】
【0079】
1 ヒートポンプサイクル
2 圧縮機
4−1 第1背面側熱交換器
4−2 第2背面側熱交換器
4a−1 第1側面側熱交換器
4a−2 第2側面側熱交換器
7 送風機
10 室外機
10a 筐体
11 排気口
12 背面吸気口
12a 側面吸気口
15T 天板
15B 底板
21−1、21−2、21a−1、21a−2 上部ヘッダパイプ
22−1、22−2、22a−1、22a−2 下部ヘッダパイプ
23−1、23−2、23a−1、23a−2 偏平チューブ
24−1、24−2、24a−1、24a−2 コルゲートフィン
30 冷媒配管
41 間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体の中に、圧縮機、熱交換器、及び送風機を収容する空気調和機の室外機において、
前記筐体には、背面と一方の側面に背面吸気口と側面吸気口を、正面に排気口を、それぞれ形成し、前記排気口の内側には当該排気口を通じて筐体内の空気を排出する送風機を配置し、前記背面吸気口と側面吸気口の内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続されているとともに、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、凝縮時、冷媒が風下側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出し、次いで隣接の風上側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出する冷媒回路が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
前記背面側熱交換器から前記側面側熱交換器を経る冷媒回路において、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項5】
前記背面側熱交換器と前記側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項6】
前記背面側熱交換器は前記筐体の底板との間に所定の間隙を置いて配置されるものであり、凝縮時に前記側面側熱交換器から流出した冷媒が流れる冷媒配管は、前記間隙を通り抜ける気流を横切る形で配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項1】
平面形状略矩形で、長辺側が正面及び背面、短辺側が左右両側面となった筐体の中に、圧縮機、熱交換器、及び送風機を収容する空気調和機の室外機において、
前記筐体には、背面と一方の側面に背面吸気口と側面吸気口を、正面に排気口を、それぞれ形成し、前記排気口の内側には当該排気口を通じて筐体内の空気を排出する送風機を配置し、前記背面吸気口と側面吸気口の内側にはいずれもパラレルフローのダウンフロータイプである背面側熱交換器と側面側熱交換器を配置し、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器は、凝縮時には背面側熱交換器の偏平チューブを通った冷媒が側面側熱交換器に送られるように接続されているとともに、前記背面側熱交換器と側面側熱交換器の少なくとも一方は気流方向に整列する複数の熱交換器により構成され、前記複数の熱交換器の間には、凝縮時に風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと流れる冷媒回路が形成されることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、凝縮時、冷媒が風下側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出し、次いで隣接の風上側熱交換器の上部ヘッダパイプに流入して当該熱交換器の下部ヘッダパイプから流出する冷媒回路が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
気流方向に整列する複数の熱交換器により構成される前記背面側熱交換器または前記側面側熱交換器において、隣接する風下側熱交換器と風上側熱交換器の上部ヘッダパイプ同士または下部ヘッダパイプ同士が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
前記背面側熱交換器から前記側面側熱交換器を経る冷媒回路において、凝縮時の冷媒流れの下流側に位置する熱交換器ほど冷媒流路断面積が小であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項5】
前記背面側熱交換器と前記側面側熱交換器を経由する冷媒回路の途中に気液分離器を配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項6】
前記背面側熱交換器は前記筐体の底板との間に所定の間隙を置いて配置されるものであり、凝縮時に前記側面側熱交換器から流出した冷媒が流れる冷媒配管は、前記間隙を通り抜ける気流を横切る形で配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−107103(P2010−107103A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279099(P2008−279099)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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