説明

空気調和機

【課題】空気調和機の室外機上に設けられた電装箱内のプリント基板上に設けた貫通穴よりはんだ付け時にはんだ上がりを防止するためのテープ貼り或は冶具着脱作業を削減してコスト低減を図る。
【解決手段】プリント基板1とそのプリント基板1から浮かして搭載するモジュール2の間に、固定スペーサ4を挟んで搭載し、かつ前記固定スペーサ4に設けたはんだ上がり防止突起部6にて貫通穴B12を塞ぎ、放熱板3とビスA9にて固定することで、はんだ上がりを防ぎ、貫通穴B12へのテープ貼付け或は冶具着脱作業を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールを搭載しているプリント基板において、プリント基板上に設けられている貫通穴を塞ぐようにするとともにモジュール高さを自由に固定することを実現するため固定スペーサを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気調和機は、プリント基板上にプリント基板から浮かして搭載するモジュ−ルを設置する時、プリント基板とモジュ−ルの間に、その双方を固定しさらにビスによって固定される部材(固定スペ−サ)を設けた構造となっている(例えば、特許文献1参照)。さらに、前記プリント基板上に貫通穴を設け、電装部品B(以下パワー素子)を前記放熱板と前記プリント基板とに挟み込むのではなく前記放熱板とのみビスにて固定させる構造となっている。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の空気調和機の室外機に取付けた固定スペ−サを示しかつ従来の空気調和機のパワー素子の放熱板取付構造を示すものである。図3に示すように、プリント基板100上に放熱板200とモジュ−ル300が実装され、前記プリント基板100と前記モジュ−ル300の間に挟んで固定スペ−サ400を設け、さらに前記プリント基板100、前記モジュ−ル300、前記固定スペ−サ400には、貫通穴を設け、さらに前記放熱板200にはビス穴があいておりビス500にて固定されている。図3はそれぞれを固定した状態を示すものである。
【0004】
この際前記放熱板200上に電装部品(パワー素子)800を搭載し、ビス700にて固定した後に前記プリント基板100に実装するまたは、前記プリント基板100に前記放熱板200と前記モジュール300と前記固定スペーサ400を搭載した後に貫通穴600よりビス700にて前記パワー素子800を固定するものである。また、前記モジュール200及び前記パワー素子800のリード部900は、はんだにて前記プリント基板100に固定されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−111250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、パワー素子を固定するビスを締めるため及び緩めるための貫通穴よりはんだが上がり、他の電子部品リード部に付着することを防止するため貫通穴にテープ貼付けを行なうかまたは、冶具を用いて貫通穴を塞ぐとともに、はんだ付け後に冶具の取り外しを行うことによりコスト及び作業時間が増大するという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貫通穴を固定スペーサに設けた突起部を用いて貫通穴を塞ぐことによってはんだが上がりによる電子部品リード部に付着することを防止することでテープ貼付けや冶具を用いて貫通穴を塞ぐことなくはんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、プリント基板上にプリント
基板から浮かして搭載するモジュールを設置する時、プリント基板とモジュールの間に、その双方を固定しさらにビスによって固定される固定スペーサを設けかつ、前記固定スペーサに前記貫通穴を塞ぐために突起部を設けるものである。
【0009】
これによって、貫通穴にテープ貼付けを行なうかまたは、冶具を用いて貫通穴を塞ぐとともに、はんだ付け後に冶具の取り外しを行うことなくはんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、プリント基板上にプリント基板から浮かして搭載するモジュールでかつプリント基板上に設けられている貫通穴よりのはんだ上がりを塞ぐのにおいて、貫通穴にテープ貼付けを行なうかまたは、冶具を用いて貫通穴を塞ぐとともに、はんだ付け後に冶具の取り外しを行うことなく、はんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)本発明の実施の形態1におけるプリント基板構成の側面図(b)同、固定スペーサの上面図(c)同、固定スペースの側面図
【図2】本発明の実施の形態1における空気調和機の室外機概略図
【図3】(a)従来におけるプリント基板構成の側面図(b)同、固定スペーサの上面図(c)同、パワー素子の取付構造の平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の空気調和機は、プリント基板上にプリント基板から浮かして搭載するモジュールを設置する時、プリント基板とモジュールの間に、その双方を固定しさらにビスによって固定される固定スペーサを設けかつ、前記固定スペーサに前記貫通穴を塞ぐために突起部を設けることで貫通穴を塞ぐことによってはんだが上がりによる電子部品リード部に付着することを防止することでテープ貼付けや冶具を用いて貫通穴を塞ぐことなくはんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することが実現できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機のプリント基板構成の側面図である。
【0015】
図1(a)において、1はプリント基板であり、2は前記プリント基板1の部品面側に実装されたモジュールであり、3は前記モジュール2の発する熱を放熱するための放熱板である。また、4は前記モジュール2と前記プリント基板1の間に挿入された板状の固定スペーサであり、5は前記固定スペーサ4と前記プリント基板1に引っ掛けるための固定スペーサ爪である。また、6は前記固定スペーサ4の板状スペーサ部分に設けられたはんだ上がり防止突起部である。
【0016】
7は、モジュールリード部であり、前記プリント基板1にはんだにて固定されている。また、8は前記固定スペーサ4の両端に2箇所設けられた貫通穴であり、前記固定スペーサ爪5にて仮固定することで、ビス9を上方より前記貫通穴8に容易に貫通させるものである。また、10は、コーティング材で前記プリント基板1のはんだ面側パターン及び部品リード等に塗布されている。また、11は前記プリント基板1の部品面側に実装されたパワー素子であり、前記放熱板3にも熱を放熱するため固定されている。また、12は、
前期プリント基板1のはんだ面側より前記ビスB13の着脱を可能にするための貫通穴Bである。14は、パワー素子リード部であり、前記プリント基板1にはんだにて固定されている。
【0017】
図1(b)は、前記固定スペーサ4の上面図であり、図1(c)は、前記固定スペーサ4の側面図である。
【0018】
図2は、本発明に実施の形態1における空気調和機の室外機概略図である。15は、室外機本体であり、16は室外機天板、17は室外ファン、18は圧縮機である。前記室外機15の中に、前記プリント基板1が搭載されている。
【0019】
以上のように構成された前記はんだ上がり防止突起部を要する固定スペーサによる前記パワー素子部上方の貫通穴よりのはんだ上がり防止について、以下その動作、作用を説明する。
【0020】
図1において最初に、プリント基板1に設けられている穴に前記固定スペーサ爪5を挿入することにより、前記固定スペーサ4を仮固定し、その上に前記モジュール2を実装し、さらにその上に前記放熱板3を積み重ねる構造となる。さらに前記プリント基板1及び前記モジュール2には貫通穴があいており、前記放熱板3にはビス穴があいており、前記固定スペース4にも貫通穴8が設けられおり、前記ビス9にて貫通穴を通して、前記プリント基板1と前記放熱板3を固定する。また、前記モジュール2のモジュールリード部7は、前記プリント基板1にはんだにて固定する。また前記放熱板3に前期パワー素子11が前記ビスB13にて固定されている構造となり、前期プリント基板1に前記ビス13に対向する位置に前記貫通穴B12が設けられており、この時前記固定スペーサ4に設けられたはんだ上がり防止突起部6は、前記貫通穴B12を塞ぐ構造とする。また、前記パワー素子11のパワー素子リード部14は、前記プリント基板1にはんだにて固定する。
【0021】
次に、パワー素子と放熱板とを固定するビスと対抗する位置にある貫通穴より侵入するはんだ防止の流れについて説明すると、前記固定スペーサ4に設けられているはんだ上がり防止突起部6を、プリント基板1に設けられた貫通穴12に挿入すると共に、前記モジュール2と前記放熱板3と前記プリント基板1にビスで固定することにより、前記貫通穴Bと前記はんだ上がり防止突起部6を密着固定する構造となる。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては、プリント基板上にプリント基板から浮かして搭載するモジュールを設置する時、プリント基板とモジュールの間に、その双方を固定しさらにビスによって固定される固定スペーサを設けかつ、前記固定スペーサに前記貫通穴を塞ぐために突起部を設けることで貫通穴を塞ぐことによってはんだが上がりによる電子部品リード部に付着することを防止することでテープ貼付けや冶具を用いて貫通穴を塞ぐことなくはんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明の空気調和機は、プリント基板上にプリント基板から浮かして搭載するモジュールを設置する時、プリント基板とモジュールの間に、その双方を固定しさらにビスによって固定される固定スペーサを設けかつ、前記固定スペーサに前記貫通穴を塞ぐために突起部を設けることで貫通穴を塞ぐことによってはんだが上がりによる電子部品リード部に付着することを防止することでテープ貼付けや冶具を用いて貫通穴を塞ぐことなくはんだ上がりを防止し、コスト及び作業時間を低減することが可能となるので、空気調和機以外の電子機器においても、プリント基板の形状に関係なく、貫通穴を塞ぐことによってはんだが上がりによる電子部品リード部に付着することを防止する用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 プリント基板
2 モジュール
3 放熱板
4 固定スペーサ
5 固定スペーサ爪
6 はんだ上がり防止突起部
7 モジュールリード部
8 貫通穴A
9 ビスA
10 コーティング材
11 パワー素子
12 貫通穴B
13 ビスB
14 パワー素子リード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、前記プリント基板上に搭載する電装部品(以下モジュール)と、前記モジュールの発する熱を放熱するための金属(以下放熱板)と前記モジュールとをビスにて固定し、前記プリント基板と前記モジュールの間に挟んでかつ爪で前記プリント基板と固定され、さらに、前記プリント基板と前記モジュールを任意の高さに固定でき、かつ前記プリント基板上に設けられている貫通穴を塞ぐように固定する突起部を設けた固定スペーサを用いたことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−119316(P2011−119316A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273075(P2009−273075)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】