説明

空間情報統合データベース生成装置及び空間情報統合データベース生成プログラム

【課題】屋内外において画像情報と撮影対象位置情報とを関連付けることができる空間情報統合データベース生成装置及び空間情報統合データベース生成プログラムを提供する。
【解決手段】撮影装置10が所定の距離の撮影間隔毎に撮影した画像情報を画像受付部38が受け付ける。進行方向取得部40は、予め取得した較正情報と画像情報とに基づき、車両の進行方向を取得する。データベース生成部42は、画像情報の撮影位置情報と空間コードの設定地点とが一致するか否かを判定し、一致する場合に、当該画像情報と空間コードとを関連付ける。また、一致しない場合には、撮影位置割り振り部44が画像情報を空間コードの設定地点間に割り振る処理を行い、データベース生成部42が割り振られた画像情報を、該当する空間コードの間の位置に関連付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間情報統合データベース生成装置及び空間情報統合データベース生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路上の各地点の画像を撮影し、この画像を使用して道路管理や自動車の運行管理等が行われている。この場合、例えば自動車等の車両にカメラを搭載し、当該車両から道路及びその周囲の画像を撮影していた。撮影された画像には、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)等により取得した撮影位置情報を関連づけておき、地図上で所望の位置を指定すると、対応する画像が再生される構成等が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、実写画像データと現実空間の位置とを簡易な操作で対応づけ可能とする画像記録装置とその方法が開示されている。また、下記特許文献2には、各種空間を撮影した映像データと位置時間データとを時間をもとに対応付けしておき、この映像データを撮影位置に対応させて検索し、再生し、編集することができる映像収集装置、映像検索装置および映像収集検索システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−258740号公報
【特許文献2】特開2001−290820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、操作者が実写画像データを見ながら現実空間の位置に対応付けるので、実写画像データの探索、確認等の煩雑な作業が必要となっていた。また、上記特許文献2では、GPSにより映像データの撮影位置を取得するので、屋外のみが対象となっており、屋内の画像を撮影し、地図上の位置と対応付けることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、屋内外において画像情報と撮影対象位置情報とを関連付けることができる空間情報統合データベース生成装置及び空間情報統合データベース生成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の空間情報統合データベース生成装置は、車両に搭載され、前記車両の周囲を所定の距離の撮影間隔で撮影する撮影手段と、予め取得した較正情報と前記撮影手段が撮影した画像情報とに基づき、前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段と、前記画像情報と撮影対象位置情報とを、前記車両の進行方向と前記撮影間隔とに基づいて関連付けた空間情報統合データベースを生成するデータベース生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記撮影対象位置情報が、社会的に意味のある場所を識別するために一意に設定された空間コード及び前記空間コード間の連結関係を表すグラフデータであることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の空間情報統合データベース生成装置が、さらに前記空間コードの設定地点と前記撮影間隔とに基づいて、前記空間コード設定地点間に画像情報を割り振る撮影位置割り振り手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記較正情報が、所定のターゲットが設けられたターゲット空間内において前記車両の位置の変動と、前記撮影手段が撮影した画像中における前記ターゲットの位置の変動との関係に基づいて決定されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記車両が曲線上を進行している場合に、前記撮影手段による撮影枚数を、直線上を進行している場合よりも多くすることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記車両が電動カートであることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の空間情報統合データベース生成プログラムは、コンピュータに、車両に搭載された撮影手段により、前記車両の周囲を所定の距離の撮影間隔で撮影した画像情報を受け付ける画像受付手段、予め取得した較正情報と前記画像受付手段が受け付けた画像情報とに基づき、前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段、前記画像情報と撮影対象位置情報とを、前記車両の進行方向と前記撮影間隔とに基づいて関連付けた空間情報統合データベースを生成するデータベース生成手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項3及び請求項6、請求項7の発明によれば、屋内外において画像情報と撮影対象位置情報とを関連付けることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、較正情報に基づいて車両の進行方向を取得でき、GPSを使用しなくても画像情報と撮影対象位置情報とを関連付けることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、車両が曲線上を進行している場合に、データ量の不足を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図2】撮影装置を搭載する車両の例を示す図である。
【図3】図1に示された情報処理装置を構成するコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【図4】本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置の一実施形態の機能ブロック図である。
【図5】進行方向取得部が使用する較正情報を取得する処理の説明図である。
【図6】進行方向取得部による車両の進行方向を取得する処理の説明図である。
【図7】進行方向取得部による車両の進行方向を取得する処理の説明図である。
【図8】データベース生成部が空間情報統合データベースを生成するために、画像情報と当該画像情報を撮影した対象の位置に関する撮影対象位置情報とを関連付ける処理の説明図である。
【図9】本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置の動作例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
【0019】
図1には、本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置のハードウェア構成の例が示される。図1において、空間情報統合データベース生成装置は、撮影装置10、座標発生装置12、走行距離測定装置14、撮影情報入力装置16及び情報処理装置18を含んで構成されている。
【0020】
撮影装置10は、適宜な車両に搭載され、車両の周囲の画像を所定の距離の撮影間隔で撮影する装置であり、デジタルカメラ、ビデオカメラ等で構成される。また、撮影装置10は、車両の進行方向前方側、後方側、両側方側または全方向の撮影ができるような構成とすることができる。車両の進行方向前方側、後方側を撮影するには、例えば、車両の前方側または後方側にカメラを設置する方法等がある。車両の両側方側を撮影するには、例えば、車両の両側面にカメラを設置する方法等がある。また、全方向の撮影のためには、全方位カメラを使用する方法等がある。上記撮影間隔としての所定の距離は、後述する走行距離測定装置14により測定する。
【0021】
座標発生装置12は、GPS受信機等により構成され、撮影装置10が撮影した位置の地理座標を発生する。なお、本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置は、屋内で取得した画像も扱うため、撮影対象位置情報として後述する空間コード等を使用するので、GPS受信機で構成された座標発生装置12は必須の構成ではなく、省略してもよい。
【0022】
走行距離測定装置14は、適宜な距離計により構成され、撮影装置10を搭載した車両の走行距離を測定する。この距離計の型式は特に限定されないが、例えば空間フィルター法等の非接触型距離計や車輪の回転数から走行距離を測定する距離計等を使用することができる。
【0023】
撮影情報入力装置16は、適宜な押し釦等のスイッチ及びキー等を備えており、車両の運転者が車両の走行前または走行中等に上記スイッチ及びキー等により撮影情報を入力する。この撮影情報には、例えば後述する空間コードが設定された位置、走路がカーブしている地点、上記撮影装置10の撮影間隔(撮影ピッチ)、撮影場所の屋内外の区別、撮影時の天候、撮影者その他の情報を含めることができる。また、撮影情報は、後述する情報処理装置18に渡される。
【0024】
情報処理装置18は、コンピュータにより構成され、空間情報統合データベースを生成するために必要な各種処理を実行する。処理内容については後述する。
【0025】
図2には、撮影装置10を搭載する車両の例が示される。図2において、車両100は電動カートにより構成され、撮影装置10としてのカメラ102a、102b、GPS受信機104、撮影情報入力装置16としての操作パネル106、情報処理装置18等を収納する収納ボックス108が搭載されている。また、カメラ102aとGPS受信機104とは、例えば支柱109上に設置されるのが好適である。なお、カメラ102aは全方位カメラ、カメラ102bは前方側を撮影するカメラを例示しているが、これらに限定されない。また、カメラの台数も2台に限定されず、1台または3台以上としてもよい。また、本実施形態では、走行距離測定装置14が後輪の付近に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0026】
本実施形態にかかる車両100は電動カートにより構成されているので、ガソリンエンジンにより駆動される車両とは異なり、屋外のみならず屋内も走行可能となる。このため、屋内外の画像を撮影することができる。
【0027】
図3には、図1に示された情報処理装置18を構成するコンピュータのハードウェア構成の例が示される。図3において、情報処理装置18は、中央処理装置(例えばマイクロプロセッサ等のCPUを使用することができる)20、ランダムアクセスメモリ(RAM)22、読み出し専用メモリ(ROM)24、入力装置26、表示装置28、通信装置30及び記憶装置32を含んで構成されており、これらの構成要素は、バス34により互いに接続されている。また、入力装置26、表示装置28、通信装置30及び記憶装置32は、それぞれ各入出力インターフェース36を介してバス34に接続されている。
【0028】
CPU20は、RAM22またはROM24に格納されている制御プログラムに基づいて、後述する各部の動作を制御する。RAM22は主としてCPU20の作業領域として機能し、ROM24にはBIOS等の制御プログラムその他のCPU20が使用するデータが格納されている。
【0029】
また、入力装置26は、キーボード、ポインティングデバイス等により構成され、使用者が動作指示等を入力するために使用する。
【0030】
また、表示装置28は、液晶ディスプレイ等により構成され、地図情報、撮影装置10が撮影した画像情報等を表示する。
【0031】
また、通信装置30は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポート、ネットワークポートその他の適宜なインターフェースにより構成され、CPU20がネットワーク等の通信手段を介して外部の装置とデータをやり取りするために使用する。
【0032】
また、記憶装置32は、ハードディスク等の磁気記憶装置であり、後述する処理に必要となる種々のデータを記憶する。なお、記憶装置32としては、ハードディスクの代わりに、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。
【0033】
なお、情報処理装置18は、必ずしも上記車両100に搭載する必要はなく、上記記憶装置32または通信装置30を介して撮影装置10、座標発生装置12、走行距離測定装置14、撮影情報入力装置16から必要な情報を取得する構成としてもよい。
【0034】
図4には、本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置の一実施形態の機能ブロック図が示される。図4において、空間情報統合データベース生成装置200は、撮影装置10、画像受付部38、進行方向取得部40、データベース生成部42及び撮影位置割り振り部44を含んで構成されており、これらの機能は、撮影装置10を除いて例えばCPU20とCPU20の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
【0035】
画像受付部38は、撮影装置10が所定の距離の撮影間隔毎に撮影した車両100の周囲の画像を画像情報として受け付ける。また、撮影装置10が撮影を行う位置は、上記撮影間隔により決まり、例えば適宜な基準点からの距離として表すことができる。この基準点からの距離を撮影位置情報とし、上記受け付けた画像情報とともに記憶装置32に記憶させ、データベース生成部42に渡される。この基準点は、例えば後述する空間コードの設置地点とすることができる。
【0036】
進行方向取得部40は、予め取得した較正情報と撮影装置10が撮影した画像情報とに基づき、車両100の進行方向を取得する。較正情報及び進行方向の取得処理は後述する。取得した進行方向に関する情報は、記憶装置32に記憶され、データベース生成部42に渡される。
【0037】
データベース生成部42は、画像情報と当該画像情報の撮影対象の位置に関する撮影対象位置情報とを関連付けた空間情報統合データベースを生成し、記憶装置32に記憶させる。この撮影対象位置情報は、社会的に意味のある場所を識別するために一意に設定された空間コード及び空間コード間の連結関係を表すグラフデータとすることができる。ここで、上記空間コードは、例えば建物毎、オフィスビルや商業施設の1フロアまたは1ブロック毎、工場や倉庫の1区画毎、部屋、棚などの単位毎等に設定することができる。また、グラフデータが有する連結関係には、隣の空間コードの識別情報(ID等)、隣の空間コードとの距離等の情報が含まれる。空間コードとグラフデータとは、予め関連付けられており、これらの空間コードとグラフデータとに関する情報は、記憶装置32に記憶しておくのが好適である。また、空間コードが設定されている地点では、車両100の運転者が撮影情報入力装置16から空間コード設定地点である旨の撮影情報を入力するのが好適である。あるいは、撮影情報入力装置16に適宜な通信機能を持たせ、空間コードの設定地点に空間コードである旨の信号を送信する送信機を設けておいて、撮影情報入力装置16がこの送信機と通信することにより空間コードの設定地点を認識する構成としてもよい。この通信には、例えばICタグ(RFID(Radio Frequency IDentification))等の近距離無線通信技術を使用することができる。これにより、車両100が上記基準点から走行した距離と空間コードとを対応付けることができる。また、撮影情報入力装置16から入力され、あるいは認識された空間コードは、予め空間コードに関連付けられているグラフデータとともに撮影情報として記憶装置32に記憶される。データベース生成部42は、この撮影情報と画像情報とを記憶装置32から読み出し、画像情報に含まれる撮影位置情報としての基準点からの距離情報に基づいて、当該画像情報と空間コードとを関連付ける。この場合、空間コード設定地点に一致する位置で撮影された画像情報が無い場合には、上記撮影位置情報に基づいて空間コード設定地点に最も近い位置で撮影された画像情報あるいはその画像情報の識別情報をデータベース生成部42が選択し、空間コードと関連付けてもよい。画像情報と空間コードとを関連付ける際には、車両100の進行方向も使用されるが、この点については後述する図8において説明する。なお、上記空間コードは、地図情報と関連づけてもよい。この場合には、屋外の画像情報が対象であるので、座標発生装置12が発生した撮影位置の地理座標を使用して空間コードと関連付けることが可能である。これにより、画像の撮影位置を地図上で把握することができる。
【0038】
撮影位置割り振り部44は、空間コードの設定地点と撮影間隔とに基づいて、上記空間コード設定地点間に画像情報を割り振る。すなわち、空間コードの設定地点は、上述したように、撮影情報入力装置16から入力された撮影情報によりデータベース生成部42が把握するが、空間コードが設定された2地点間で撮影された画像情報は当該空間コードの間の位置に割り振る必要がある。このため、撮影位置割り振り部44は、上記空間コード設定地点間で撮影された画像情報を空間コード設定地点間に割り振る。
【0039】
図5には、進行方向取得部40が使用する較正情報を取得する処理の説明図が示される。図5では、車両100がターゲット空間110内に設置されており、ターゲット空間110には、予め位置を計測してある複数のターゲット112が設置されている。ターゲット112の位置は、例えばトータルステーション等の位置測定装置により測定しておく。
【0040】
較正情報を取得する際には、ターゲット空間110内に設置された車両100の設置位置を変えながらカメラ102a等により上記ターゲット112の全部または一部を撮影する。図5の例では、車両100の設置位置1(設置1と表記)でターゲット112を撮影した後、順次設置位置2(設置2)、設置位置3(設置3)に車両100を移動し、それぞれの設置位置においてターゲット112を撮影する。これにより、車両100の移動方向及び移動距離に応じて、カメラ102a等により撮影したカメラから所定距離離れた画像中のターゲット112の位置の変化方向及び移動距離、回転角度等の変化量を求めることができる。このカメラから所定距離離れた画像中のターゲット112の位置の変化方向及び変化量が較正情報である。
【0041】
なお、図5の例では、車両100を直線的に移動させているが、車両100の移動のさせ方はこれに限定されない。例えば車両100を様々な曲率の曲線上を移動させ、あるいは直線上の移動であっても、移動方向を種々変更して移動させる等、撮影時に車両100が走行するあらゆる状況を勘案して上記較正情報を取得しておく。
【0042】
図6(a),(b),(c)及び図7(a),(b),(c),(d)には、進行方向取得部40による車両100の進行方向を取得する処理の説明図が示される。
【0043】
図6(a),(b),(c)は、車両100が直進する場合の例である。図6(a)から(c)では、車両100が走路Rを図の矢印方向に直進しながら周囲の画像を撮影している。本例では、図2に示された前方側を撮影するカメラ102bにより撮影した画像が例示されているが、全方位カメラ102aにより撮影してもよい。進行方向の取得処理を実行する際には、上記画像中の適宜な点を特徴点として決定し、車両100の位置の移動にともなう特徴点の画像中での位置の変化方向及び変化量を取得する。図6(a),(b),(c)の例では、特徴点αが建物の角に設定されており、丸印(○)により示されている。車両100が走行してその位置を移動すると、図6(a)、図6(b)、図6(c)の順序で特徴点αの画像中での位置が画像の手前側に移動する。進行方向取得部40は、移動の前後において同一の特徴点αを撮影し、三角測量等の方法によりカメラ102bから特徴点αまでの距離を求める。この距離と特徴点αの移動方向及び移動距離、及び予め取得しておいた較正情報とに基づき、車両100の進行方向を算出する。
【0044】
図7(a),(b),(c),(d)は、車両100が曲線上を走行する(カーブ走行する)場合の例である。図7(a)は、撮影対象となる建物の水平断面図であり、車両100はこの建物の周囲を、矢印で示されるように、反時計方向に回りながらカメラ102bにより順次撮影を行う。本実施形態でも、画像中に特徴点βが設定され、図7(b),(c),(d)では、特徴点βが丸印(○)により示されている。車両100が建物の周囲を回りながら当該建物を撮影すると、図7(b)、図7(c)、図7(d)の順序で特徴点βの位置が画像中を回転移動し、図7(d)に示されるように、やがて建物の陰に隠れて見えなくなる。このように、車両100がカーブを走行するに従い、車両100から撮影した画像中の特徴点βも回転移動するので、進行方向取得部40は、移動の前後において同一の特徴点βを撮影し、三角測量等の方法によりカメラ102bから特徴点βまでの距離を求める。この距離と特徴点βの移動方向及び移動距離、及び予め取得しておいた較正情報とに基づき、車両100の進行方向を算出する。なお、車両が曲線上を進行している場合には、直線上を進行している場合よりも上記特徴点βが早く見えなくなる。このため、車両が曲線上を進行している場合には、直線上を進行している場合よりも撮影間隔を短くし、撮影装置10による撮影枚数を多くして、データ量を増加させておくのが好適である。また、カメラ台数を3台以上とする、あるいはカメラ102bの代わりに全方位カメラ102aを用いることにより、特徴点βの撮影漏れを防ぐことができる。
【0045】
図8には、データベース生成部42が空間情報統合データベースを生成するために、画像情報と当該画像情報を撮影した対象の位置に関する撮影対象位置情報とを関連付ける処理の説明図が示される。図8において、AからEはそれぞれ撮影対象位置情報としての空間コードの設定地点を示しており、各空間コードの設定地点を結ぶ実線は車両100の走行ルートを示している。上記空間コードは、この走行ルート上に設定されている。また、上記走行ルートは、空間コード間の連結関係を表すグラフデータの内容に含まれている。また、図8では、破線で車両100の走行軌跡が示されている。この走行軌跡は、上記進行方向取得部40が取得した車両100の進行方向及び走行距離によりデータベース生成部42が決定する。さらに、丸で囲まれた数値1から10は車両100から周囲の画像を撮影した撮影位置情報を示しており、例えば空間コードAからの距離として表すことができる。なお、各空間コードAからEの間の距離a1、a2、a3、a4等はグラフデータに規定されている。また、図8では、撮影位置情報に、その位置で撮影された画像Pも対応付けて示されている。
【0046】
データベース生成部42は、記憶装置32から撮影情報と画像情報とを読み出し、画像情報と、撮影情報に含まれる空間コードとを関連付ける処理を行う。本実施形態では、データベース生成部42が空間コードA〜Eのそれぞれに画像情報を関連づける。この場合、上述したように、空間コードA〜Eの設置地点の位置情報(撮影対象位置情報)と画像情報の撮影位置情報とを比較し、これらが一致する空間コードと画像情報とを関連付ける。なお、画像情報を関連付ける区間の始終点(両端点)にあたる空間コードを、使用者が入力装置26から予め入力し、指定しておくのが好適である。これにより、データベース生成部42は、関連付け処理を行う区間についての情報を予め取得することができる。また、図8に示されるように、例えば空間コードDに関するグラフデータに含まれる連結関係に分岐が存在し、空間コードDに連結する空間コードとしてEとFの二つが存在している場合もある。この場合、データベース生成部42は、進行方向取得部40が取得した車両100の進行方向を確認し、空間コードDに関するグラフデータに含まれる連結関係から、車両100の進行方向が空間コードDから空間コードEと空間コードFのいずれに向かう方向であるかを判定する。図8の例では、車両100の進行方向が矢印D1で示され、各空間コード間において隣の空間コードへの方向が矢印D2で示される。空間コードDの付近において、上記矢印D1及びD2を比較すると、車両100の進行方向が空間コードDから空間コードEへの方向と一致しているので、画像情報を空間コードFに関連付けることを排除できる。このように、データベース生成部42は、画像情報と空間コードとを、車両100の進行方向に基づいて関連付けることができる。図8の例では、撮影位置1における画像情報が空間コードAに、撮影位置3における画像情報が空間コードBに、撮影位置5における画像情報が空間コードCに、撮影位置7における画像情報が空間コードDに、撮影位置10における画像情報が空間コードEにそれぞれ関連付けられている。なお、空間コードとともに対応するグラフデータも画像情報に関連づけて、本実施形態にかかる空間情報統合データベースとする。
【0047】
また、画像情報は、各空間コードの設定地点間においても撮影される場合があり、これらの画像情報を空間コードの設定地点間の位置情報に関連づける必要がある。このため、撮影位置割り振り部44は、記憶装置32から撮影情報と画像情報とを読み出し、画像情報に含まれる撮影位置情報と撮影情報に含まれる各空間コードの設定地点の位置情報(撮影対象位置情報)とを比較し、撮影位置情報が各空間コード間に位置する画像情報を抽出する。撮影位置割り振り部44は、抽出した画像情報をどの空間コードの間に割り振るかを指示する割り振り情報を生成し、抽出した画像情報とともにデータベース生成部42に渡す。データベース生成部42では、上記割り振り情報に基づき、画像情報を該当する空間コードの間の位置に関連付けて空間情報統合データベースの内容とし、記憶装置32に記憶させる。
【0048】
更に、図8においては、車両100の走行軌跡(破線)は直線となっているが、実際には使用者の運転技術や走行環境により蛇行し、予め空間コードで定義されている撮影対象位置情報とカメラ102bにより撮影した画像から算出した撮影位置情報が正確に対応しないことが考えられる。この場合には、撮影対象位置情報と対応するとされている撮影位置情報を有する画像情報の前後に撮影された合計3枚の画像情報や撮影情報を比較し、空間コードが最も車両100に近いと考えられる(画像情報に空間コード設定地点が最も大きく撮影されている、あるいは撮影情報に含まれる空間コード設定地点からの電波強度が最も強い等)撮影画像及びその撮影位置情報を当該空間コードと対応付けてもよい。また、この時に撮影対象位置情報を元に撮影位置情報を補正し、蛇行の影響を軽減することもできる。
【0049】
図9には、本実施形態にかかる空間情報統合データベース生成装置の動作例のフローが示される。図9において、撮影装置10が所定の距離の撮影間隔毎に撮影した画像情報を画像受付部38が受け付ける(S1)。また、使用者は、画像情報と撮影対象位置情報とを関連付ける処理を行う対象区間を入力装置26から指定する(S2)。
【0050】
次に、進行方向取得部40が、車両100の進行方向を取得する(S3)。また、データベース生成部42は、S2で指定された区間内に設定された撮影対象位置情報としての空間コード及びグラフデータを取得する(S4)。
【0051】
データベース生成部42は、画像受付部38が受け付けた画像情報の撮影間隔により決まる撮影位置情報と空間コードの設定地点とが一致するか否かを判定する(S5)。S5において一致すると判定した場合には、当該画像情報と空間コードとを関連付ける(S6)。撮影位置情報は、例えば図8に示された例では、S2で指定された区間の始点である空間コードAからの距離であるので、この距離が空間コードAと他の空間コードとの距離に一致するか否かによりS5の判定を行うことができる。また、例えば画像情報の撮影タイミングと撮影情報入力装置16から空間コード設定地点である旨の入力が行われたタイミングとの時間的な差が所定の閾値以内か否かによりS5の判定を行ってもよい。
【0052】
一方、S5において一致しないと判定した場合には、撮影位置割り振り部44が画像情報を空間コードの設定地点間に割り振る処理を行う(S7)。割り振られた画像情報は、データベース生成部42が該当する空間コードの間の位置に関連付ける(S6)。
【0053】
次に、データベース生成部42は、対象区間における全ての画像情報の処理が終了したか否かを判定し(S8)、全ての画像情報の処理が終了した場合には処理を停止する。また、全ての画像情報の処理が終了していない場合には、S3からの処理を繰り返す。
【0054】
上述した、図9の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 撮影装置、12 座標発生装置、14 走行距離測定装置、16 撮影情報入力装置、18 情報処理装置、20 CPU、22 RAM、24 ROM、26 入力装置、28 表示装置、30 通信装置、32 記憶装置、34 バス、36 入出力インターフェース、38 画像受付部、40 進行方向取得部、42 データベース生成部、44 撮影位置割り振り部、100 車両、102a、102b カメラ、104 GPS受信機、106 操作パネル、108 収納ボックス、109 支柱、110 ターゲット空間、112 ターゲット、200 空間情報統合データベース生成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の周囲を所定の距離の撮影間隔で撮影する撮影手段と、
予め取得した較正情報と前記撮影手段が撮影した画像情報とに基づき、前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段と、
前記画像情報と撮影対象位置情報とを、前記車両の進行方向と前記撮影間隔とに基づいて関連付けた空間情報統合データベースを生成するデータベース生成手段と、
を備えることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記撮影対象位置情報は、社会的に意味のある場所を識別するために一意に設定された空間コード及び前記空間コード間の連結関係を表すグラフデータであることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項3】
請求項2記載の空間情報統合データベース生成装置が、さらに前記空間コードの設定地点と前記撮影間隔とに基づいて、前記空間コード設定地点間に画像情報を割り振る撮影位置割り振り手段を備えることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記較正情報は、所定のターゲットが設けられたターゲット空間内において前記車両の位置の変動と、前記撮影手段が撮影した画像中における前記ターゲットの位置の変動との関係に基づいて決定されることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記車両が曲線上を進行している場合に、前記撮影手段による撮影枚数を、直線上を進行している場合よりも多くすることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項記載の空間情報統合データベース生成装置において、前記車両が電動カートであることを特徴とする空間情報統合データベース生成装置。
【請求項7】
コンピュータに、
車両に搭載された撮影手段により、前記車両の周囲を所定の距離の撮影間隔で撮影した画像情報を受け付ける画像受付手段、
予め取得した較正情報と前記画像受付手段が受け付けた画像情報とに基づき、前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段、
前記画像情報と撮影対象位置情報とを、前記車両の進行方向と前記撮影間隔とに基づいて関連付けた空間情報統合データベースを生成するデータベース生成手段、
として機能させることを特徴とする空間情報統合データベース生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−237100(P2010−237100A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86721(P2009−86721)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、総務省、「ユビキタス空間情報基盤技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】