説明

穿孔装置

【課題】 従来の穿孔装置では、案内ロッドを先行孔内に挿入する作業が困難である。
【解決手段】 操縦機2に連結される基台4と、基台に前後移動可能に設けられた削岩機5と、基台の前部に設けられた支持部7と、支持部に連結されて前方に突出する案内ロッド6と、案内ロッドと削岩機のドリル部3とを互いに連結する連結部材8とを備え、連結部材が、ドリル部を案内ロッドの軸線に沿った方向に前後にスライド可能とした穿孔装置において、支持部7が、基台4の前部に取り付けられる基台側支持部13と、案内ロッドの後部に取り付けられる案内ロッド取付体14と、基台側支持部と案内ロッド取付体とを互いに連結する連結装置15とにより形成され、連結装置15により案内ロッド6が可動な状態に維持されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の孔を連続させた溝を形成可能な穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地山の岩盤に複数の孔を一定間隔隔てて連続させて形成でき、複数の孔を連続させた溝を形成可能な穿孔装置が知られている。この穿孔装置を図6に基づいて説明する。尚、図6の右側を「前」、左側を「後」と定義して説明する。穿孔装置1Pは、図外の操縦機のアームに連結されるガイドセルと呼ばれる基台17Pと、基台17Pに前後移動可能に設けられた削岩機2Pと、基台17Pの前部に設けられた支持部13Pと、支持部13Pに連結されて前方に突出する案内ロッド11Pと、削岩機2Pのドリル部3Pが案内ロッド11Pの軸線に沿った方向にスライド可能となるようドリル部3Pの穿孔ロッド14Pと案内ロッド11Pとを互いに連結するリニアガイドと呼ばれる連結部材15Pとを備える。削岩機2Pは、ドリル部3Pとドリル部3Pを駆動する図外の駆動装置とを備える。ドリル部3Pは、駆動装置により回転する回転軸14dと回転軸14dの前端に回転軸14dと一緒に回転するように連結された穿孔ロッド14Pとを備える。穿孔ロッド14Pは、前端に穿孔ビットと呼ばれる切削部14bを備える。案内ロッド11Pは、後端部が支持部13Pに連結固定され前端には先鋭なキャップ12Pを備える。連結部材15Pは、穿孔ロッド14Pに連結された連結部15bと案内ロッド11Pの筒内をスライドするスライド部材15aとこれら連結部15bとスライド部材15aとを連結する連結板15cとで構成される。連結部材15Pの連結板15cの前端には、岩盤破砕用の硬質部材であるチップと呼ばれる切削刃部16Pが設けられる。支持部13Pの前面には規制部材18Pが取付けられる。ドリル部3Pは支持部13Pに形成された孔19Pを貫通し、前後に移動可能である。基台17Pの前端に連結される支持部13Pは、基台17Pの延長方向に対して上方に垂直に延長する鋼板のような剛体よりなる。
穿孔装置1Pによる穿孔作業を説明する。まず、削岩機2Pの駆動装置を駆動してドリル部3Pの前端の切削部14bで岩盤を削って図外の先行孔を形成する。次に支持部13Pに案内ロッド11Pを取り付ける。そして、操縦機によってアームを制御して案内ロッド11Pを先行孔内に挿入する。その後、削岩機2Pの駆動装置を駆動してドリル部3Pの切削部14bと連結部材15Pの切削刃部16Pとで岩盤を削ることで、先行孔と一定の間隔を隔てた図外の後行孔が切削部14bにより形成され、先行孔と後行孔とを一定の間隔で連結する図外の連結孔が切削刃部16Pにより形成される。以後、孔を穿孔する際に当該孔を穿孔する前に形成した孔を先行孔として利用していって複数の孔を形成していくことで、複数の孔を数珠繋ぎのように連続させた連続削孔と呼ばれる孔溝、すなわち、複数の孔の周囲が連結孔により互いに連結された溝を形成できる。
【特許文献1】特開2002−327589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した穿孔装置1Pの案内ロッド11Pを先行孔内に挿入する作業において、岩盤に形成された先行孔の進行(延長)方向とアームにより前進する案内ロッド11Pの進行方向とが一致していない場合は、操縦機のアームを操縦して案内ロッド11Pの前端を先行孔に挿入した後に案内ロッド11Pを先行孔内に押し込もうとしても案内ロッド11Pの前端が先行孔の内壁に衝突してそれ以上前に進まなくなり、案内ロッド11Pを先行孔内に挿入することができない。よって、案内ロッド11Pの前端を先行孔に挿入した後にアームを操縦して案内ロッド11Pの位置や進行角度を微調整することによって案内ロッド11Pを先行孔内に挿入したり、あるいは、事前に、アームを操縦して案内ロッド11Pの位置や進行角度を微調整することによって案内ロッド11Pの進行方向を先行孔の進行方向に一致させてから案内ロッド11Pを先行孔内に挿入する必要がある。しかしながら、アームの駆動は油圧駆動であり、アームの細かい動きや角度の調整を行うことは難しい。従って、岩盤に形成された先行孔の進行方向とアームにより前進する案内ロッド11Pの進行方向とが一致していない場合は、アームを操縦して案内ロッド11Pの位置や進行角度を微調整することが難しく、上述した穿孔装置1Pでは、案内ロッド11Pを先行孔内に挿入する作業が困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明に係る穿孔装置は、操縦機に連結される基台と、基台に前後移動可能に設けられた削岩機と、基台の前部に設けられた支持部と、支持部に連結されて前方に突出する案内ロッドと、案内ロッドと削岩機のドリル部とを互いに連結する連結部材とを備え、連結部材が、ドリル部を案内ロッドの軸線に沿った方向に前後にスライド可能とした穿孔装置において、支持部が、基台の前部に取り付けられる基台側支持部と、案内ロッドの後部に取り付けられる案内ロッド取付体と、基台側支持部と案内ロッド取付体とを互いに連結する連結装置とにより形成され、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたことを特徴とする。連結装置が、案内ロッド取付体に取り付けられる上取付部と基台側支持部に取り付けられる下取付部とを備えた弾性部材により形成され、上取付部と案内ロッド取付体とが互いに連結され、下取付部と基台側支持部とが互いに連結されたことで、弾性部材の弾性により案内ロッドが可動な状態に維持されたことや、弾性部材がコイルばねであることや、弾性部材が板ばねであることや、連結装置が、基台側支持部と案内ロッド取付体とを互いに連結する板材と弾性部材とで形成され、板材と案内ロッド取付体との間あるいは板材と基台側支持部との間の少なくとも一方の間に弾性部材を挟んで介在させた状態で、板材と案内ロッド取付体とが互いに連結され、かつ、板材と基台側支持部とが互いに連結されたことで、弾性部材の弾性により案内ロッドが可動な状態に維持されたことや、操縦機に連結される基台と、基台に前後移動可能に設けられた削岩機と、基台の前部に設けられた支持部と、支持部に連結されて前方に突出する案内ロッドと、案内ロッドと削岩機のドリル部とを互いに連結する連結部材とを備え、連結部材が、ドリル部を案内ロッドの軸線に沿った方向に前後にスライド可能とした穿孔装置において、案内ロッドの後部と支持部とを互いに連結する連結装置を備え、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の穿孔装置によれば、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたので、岩盤に形成された先行孔の進行方向とアームにより前進する案内ロッドの進行方向とが一致していない場合において、操縦機のアームを操縦して案内ロッドの前端を先行孔内に挿入した後に穿孔装置を前進させると、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、案内ロッドが動き、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。連結装置の弾性部材の弾性により案内ロッドが可動な状態に維持されたことで、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、弾性部材の弾性で案内ロッドが動き、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。弾性部材がコイルばねであることで、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、弾性部材の弾性で、案内ロッドが案内ロッドの進行方向を変えるように動いたり、案内ロッドに沿った方向と直交する方向に動くことにより、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。弾性部材が板ばねであることで、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、弾性部材の弾性で、案内ロッドが案内ロッドの進行方向を変えるように動いたり、案内ロッドに沿った方向と直交する方向に動くことにより、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。連結装置が、板材と案内ロッド取付体との間あるいは板材と基台側支持部との間の少なくとも一方の間に弾性部材を挟んで介在させた状態で、板材と案内ロッド取付体とが互いに連結され、かつ、板材と基台側支持部とが互いに連結された構成としたことで、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、弾性部材の弾性で、案内ロッドが案内ロッドの進行方向を変えるように動くことにより、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。案内ロッドの後部と支持部とを互いに連結する連結装置を備え、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたので、案内ロッドと先行孔との衝突によって案内ロッドに加わる力により、案内ロッドが動き、案内ロッドを先行孔内に容易に挿入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1〜図3は本発明の最良の形態を示し、図1は穿孔装置を示し、図2は穿孔装置を分解して示し、図3は穿孔装置の動作を示す。尚、図1における案内ガイドの位置する側を「前」、駆動装置の位置する側を「後」と定義して説明する。
【0007】
図1を参照し、本形態の穿孔装置1を説明する。穿孔装置1は、操縦機2のアーム2aに取付けられる。操縦機2は、例えばドリルジャンボウと呼ばれる機械である。穿孔装置1は、基台4と削岩機5と案内ロッド6と支持部7とリニアガイドと呼ばれる連結部材8とを備える。基台4は、上面にガイドレール4aを備える。ガイドレール4aには、削岩機5の駆動装置9が前後方向に移動可能に搭載される。削岩機5は、駆動装置9とドリル部3とを備える。ドリル部3は、回転軸10と穿孔ロッド11とを備える。駆動装置9は、図外のモータによる回転駆動源及び油圧機構による前後駆動源を備える。駆動装置9の回転駆動源には、回転軸10が回転可能に連結される。穿孔ロッド11は、回転軸10の前端に連結されて回転軸10の回転力で回転する。穿孔ロッド11は前端に穿孔ビットと呼ばれる切削部41を備える。切削部41の前面には切削刃42を備える。駆動装置9に連結された図外の前後移動機構を操縦機2で操縦して駆動装置9の筐体を前後に移動させることで削岩機5の前後位置を調整できる。削岩機5による穿孔時には、駆動装置9を駆動させて回転駆動源により回転軸を回転させるとともに前後駆動源により駆動装置9の筐体を前後に振動させて穿孔ロッド11に回転力と打撃力とを加えることで穿孔ロッド11の切削部41が地山の岩盤などの穿孔対象物を切削するので穿孔対象物に孔を形成できる。連結部材8は、穿孔ロッド11と案内ロッド6とを互いに連結するとともに、穿孔ロッド11と案内ロッド6との間の距離を一定に保ちながら穿孔ロッド11を案内ロッド6の軸線Gに沿う方向にスライド可能とするものである。支持部7は、基台側支持部13と案内ロッド取付体14と連結装置15とを備え、基台4の前端に連結固定された鋼板のような板よりなる基台側支持部13と基台側支持部13の上方に配置された鋼板のような板よりなる案内ロッド取付体14とが左右2つの連結装置15;15により互いに連結されて構成される。削岩機5のドリル部3は、案内ロッド取付体14に形成された孔16を前後に貫通し前後に移動可能である。案内ロッド6は、案内ロッド6の後部が案内ロッド取付体14に連結固定されて案内ロッド取付体14の前方に延長する。基台側支持部13の前面には規制部材18が取付けられる。穿孔装置1の基台4と操縦機2のアーム2aとが互いに連結され、操縦機2のアーム2aは、図外の油圧機構により駆動する。よって、操縦者が操縦機2を操縦してアーム2aの動きを制御することで、穿孔装置1の前端の案内ロッド6の位置や角度を調整し、案内ロッド6を先行孔内に挿入する際の案内ロッド6の位置決め作業を行う。
【0008】
図2の穿孔装置1の分解斜視図を参照し、穿孔装置1の構造を詳細に説明する。連結装置15は、弾性部材としての鋼製のコイルばね20と上取付部21と下取付部22とを備え、鋼製の円柱体のような上取付部21と鋼製の円柱体のような下取付部22とが鋼製のコイルばね20により互いに連結された構成である。すなわち、コイルばね20の上端が上取付部21に連結され、コイルばね20の下端が下取付部22に連結された構成である。連結装置15の上取付部21は、固定具23により案内ロッド取付体14に固定され、下取付部22は、固定具23により基台側支持部13に固定される。固定具23は、鋼棒のような棒をU字形状に形成して両端に図外のねじ部を形成したものである。基台側支持部13及び案内ロッド取付体14の左右には、板の前後に貫通して固定具23のU字の両端を挿通するための左右一対の孔24;24が形成される。左右一対の孔24;24は、基台側支持部13及び案内ロッド取付体14の左右において上下に形成される。基台側支持部13の前面における左右一対の孔24;24の間に連結装置15の下取付部22を配置し、基台側支持部13の前方から固定具23のU字の両端を左右一対の孔24;24に通して固定具23のU字の内側で下取付部22を基台側支持部13に押し付けた状態で、基台側支持部13の後方に突出した固定具23のU字の両端のねじ部に図外のナットを取り付けて締結することにより、下取付部22と基台側支持部13とが連結固定される。案内ロッド取付体14の前面における左右一対の孔24;24の間に上取付部21を配置し、案内ロッド取付体14の前方から固定具23のU字の両端を左右一対の孔24;24に通して固定具23のU字の内側で上取付部21を案内ロッド取付体14に押し付けた状態で、案内ロッド取付体14の後方に突出した固定具23のU字の両端のねじ部に図外のナットを取り付けて締結することにより、上取付部21と基台側支持部13とが連結固定される。以上のように連結装置15を上取付部21と下取付部22とを備えたコイルばね20により形成したことで、案内ロッド取付体14と基台側支持部13とを連結装置15により容易に連結でき、支持部7を容易に形成できる。
【0009】
案内ロッド取付体14の中央には、上部開放で板の前後に貫通する案内ロッド6の位置決め設置用の孔25が形成される。孔25の下方には、削岩機5のドリル部3を前後に移動可能に貫通させる孔16が形成される。孔25と孔16とは、連絡孔26により上下に連続している。案内ロッド6は、円筒状パイプ28の前端に円錐形状の先鋭なキャップ部材29が着脱可能に取り付けられたものである。案内ロッド6の前端にキャップ部材29を備えることで、案内ロッド6の前端の先行孔への挿入を容易にしている。円筒状パイプ28は、円筒パイプの外周において円筒パイプの軸線に沿う方向に一直線状の開口溝30が形成されたものである。案内ロッド6の後部が取付板31に取り付けられる。取付板31の中央には、下部開放で板の前後に貫通する嵌合孔32が形成される。案内ロッド6の後部が、取付板31の嵌合孔32に嵌め込まれて、案内ロッド6の開口溝30と嵌合孔32の開口部33との位置が合わされた状態で、案内ロッド6の後端部の周囲と取付板31の後面とが溶接のような連結手段で連結されることで、案内ロッド6と取付板31とが互いに連結される。案内ロッド6が取り付けられた取付板31は、案内ロッド取付体14に連結固定される。つまり、案内ロッド6の後部を設置用の孔25内に位置させ、案内ロッド取付体14の後面に取付板31の前面を当てて開口部33と連絡孔26との位置を前後で一致させて案内ロッド取付体14と取付板31とをボルト34,ナット35のような固定具36(図1参照)で連結することで、案内ロッド6が案内ロッド取付体14に着脱可能に取り付けられる。設置用の孔25を上部開放としたため、案内ロッド6を孔25の上方から取り付けることができ、案内ロッド取付体14に対する案内ロッド6の着脱作業を容易とできる。
【0010】
穿孔ロッド11は、連結部材保持体40と切削部41とを備える。連結部材保持体40は、回転軸10の前端に連結される。切削部41は、連結部材保持体40の前端に着脱可能に取り付けられるので、交換が容易である。切削部41の前面には、クロムモリブデン鋼やタングステン鋼などの超硬物質で形成された切削刃42を備える。連結部材保持体40は、前軸45と後軸46とで形成される。前軸45は、切削部41の後部に着脱可能に連結される。後軸46は、前軸45の後部に着脱可能に連結される。後軸46は、後部に設けられた径の大きい大径軸部47と大径軸部47の前部に設けられた径の小さい小径軸部48とを備える。
【0011】
連結部材8は、筒体50とスライド体51と連結板27とを備え、筒体50とスライド体51とが連結板27で互いに連結される。連結板27の前端には、クロムモリブデン鋼やタングステン鋼などの超硬物質で形成されたチップと呼ばれる切削刃部53が設けられる。切削刃部53の前部は先鋭に形成される。切削刃部53の前部の刃先角度は110°程度に設定される。切削刃部53は連結板27の前端に溶接などの接合手段で取り付けられる。切削刃部53は、案内ロッド6と穿孔ロッド11の切削部41との間の岩盤を削岩できるように、少なくとも、案内ロッド6の下端と穿孔ロッド11の切削部41の上端に相当する位置とに跨るように設けられる。
【0012】
穿孔装置1による穿孔作業を説明する。最初の先行孔を形成する際には、案内ロッド6と連結部材8は取り外されている。つまり、穿孔ロッド11の後軸46の小径軸部48に連結部材8が取付けられていない状態で小径軸部48の前部と前軸45の後部とが連結される。この形態でドリル部3の穿孔ロッド11を案内ロッド取付体14の孔16を経由させて前方に進め、駆動装置9でドリル部3を駆動して切削部41で岩盤を切削して先行孔を形成する。
【0013】
先行孔を形成した後に、ドリル部3を案内ロッド取付体14より後方に移動してから、上述したように案内ロッド6を案内ロッド取付体14に取付ける。そして、穿孔ロッド11の後軸46から前軸45を取り外し、後軸46の小径軸部48を連結部材8の筒体50の孔52の一端から他端に挿入して、他端に突出した小径軸部48の前部と前軸45の後部とを連結する。これにより、連結部材8の筒体50が小径軸部48に保持され、かつ、前軸45の後端と大径軸部47の前端とで筒体50の前後移動が規制されて、連結部材8が小径軸部48により前軸45の後端と大径軸部47の前端との間に保持される。即ち、連結部材8の筒体50は、穿孔ロッド11が回転しても回転しない状態に保持される。小径軸部48の前部と前軸45の後部との着脱可能な連結手段としては、小径軸部48の前部に形成された雄ねじ部49と前軸45の後部に形成されたねじ孔49aとのねじ結合や、前軸45の後部に形成された図外の嵌合孔に小径軸部48の前部を嵌め込んで嵌合孔の外周面に形成された図外のねじ孔にねじをねじ込んで小径軸部48の前部を締結することによるねじ結合などである。以上のように、小径軸部48を連結部材8の筒体50の孔52に通して前軸45の後部に連結するだけで穿孔ロッド11に連結部材8を取り付けることができ、穿孔ロッド11に対する連結部材8の着脱作業を容易とできる。そして、ドリル部3を前進させ、穿孔ロッド11の連結部材保持体40に保持された連結部材8のスライド体51を、取付板31の後方から案内ロッド6の筒孔により形成されたスライドレール55内に挿入することで、案内ロッド6に連結部材8を取り付けることができ、案内ロッド6に対する連結部材8の着脱作業を容易とできる。取付板31の開口部33と案内ロッド取付体14の連絡孔26と案内ロッド6の開口溝30の横幅は、連結部材8の連結板27の板幅より長く形成され、連結板27が通過できる。したがって、ドリル部3を孔16を経由させて前方に進行させると、連結部材8のスライド体51がスライドレール55内を前方に進みドリル部が案内ロッド6に沿って前方に進む。これにより、ドリル部3は、案内ロッド6に対して一定の距離を保ちながら、案内ロッド6の軸線に沿った方向に移動可能となる。すなわち、連結部材8によりドリル部3が案内ロッド6と一定の距離を維持しながら案内ロッド6に沿って前後に移動可能となる。
【0014】
上述のように、連結部材8により案内ロッド6に対してドリル部3を前後にスライド可能に取付けた後に、操縦機2の運転者が操縦によってアーム2aの動きを制御して穿孔装置1の位置を調整し、案内ロッド6を先行孔内に挿入する作業を行う。本形態の穿孔装置1によれば、連結装置15のコイルばね20の弾性により案内ロッド6が可動な状態に維持されているので、案内ロッド6と先行孔との衝突によって案内ロッド6に加わる力により、案内ロッド6が案内ロッド6の進行方向を変えるように動いたり、案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動くことが可能である。従って、例えば図3のように、地山の岩盤57に形成された先行孔58の進行方向とアーム2aにより前進する案内ロッド6の進行方向とが一致していないような場合において、案内ロッド6の前端を先行孔58内に挿入した後に、アーム2aを操縦して穿孔装置1を前方に進めると、先行孔58と案内ロッド6との衝突によって案内ロッド6に加わる力により、案内ロッド取付体14が案内ロッド6からの力で基台側支持部13に対して矢印Fに示すように動き、案内ロッド6が進行方向を変えながら先行孔58内を前進するので、案内ロッド6を先行孔58内に容易に挿入することができる。つまり、先行孔58の進行方向とアーム2aにより前進する案内ロッド6の進行方向とが一致していないような場合に、アーム2aによる困難な案内ロッド6の位置や角度の細かい制御を行わずとも、案内ロッド6の前端を先行孔内に挿入した後にアーム2aを操縦して穿孔装置1を前方に進めることにより案内ロッド6を先行孔58内に容易に挿入することができるので、案内ロッド6を先行孔58内に挿入する作業を容易とできる。
【0015】
案内ロッド6を先行孔58内に挿入した後、規制部材18の前端を岩盤57に突付けてから、ドリル部3の前端の切削部41を岩盤57まで移動した後に削岩機5を駆動することにより、削岩機5の前端の切削部41が、先行孔58の下方の岩盤57を切削し、先行孔58と一定の間隔を隔てて連続する図外の後行孔を穿孔する。この際、先行孔58と後行孔との間は連結部材8の切削刃部53で削岩されることによって、先行孔58と後行孔との間を繋ぐ連結孔が形成される。以後、孔を穿孔する際に当該孔を穿孔する前に形成した孔を先行孔として利用していって複数の孔を形成していくことで、複数の孔を数珠繋ぎのように連続させた連続削孔と呼ばれる孔溝、すなわち、複数の孔の周囲が連結孔により互いに連結された溝を形成でき、この溝を岩盤57の破砕に利用することで、例えば、横坑を掘削する。
【0016】
尚、本発明の穿孔装置1は、基台側支持部13と案内ロッド取付体14とを互いに連結する連結装置により案内ロッド6が可動な状態に維持された構成、あるいは、案内ロッド6の後部と支持部とを互いに連結する連結装置により案内ロッド6が可動な状態に維持された構成であればよい。
【0017】
例えば、案内ロッド取付体14に取り付けられる上取付部と基台側支持部13に取り付けられる下取付部とを備えた弾性部材により連結装置を形成し、弾性部材の弾性により案内ロッド6が可動な状態に維持された構成としてもよい。この弾性部材としては、上述したコイルばね20や図外の板ばねなどを用いればよい。
【0018】
また、図4に示すように、案内ロッド取付体14と基台側支持部13とを互いに連結する鋼板のような板材60と、弾性部材として硬質ゴムシートのような弾性シート61と、ボルト63;ナット64のような固定具62と、を用い、板材60と案内ロッド取付体14との間、及び、板材60と基台側支持部13との間に弾性シート61を挟んで介在させた状態で、板材60と案内ロッド取付体14とを互いに固定具62で連結し、かつ、板材60と基台側支持部13とを互いに固定具62で連結することで連結装置15を構成してもよい。以上の構成によれば、最良の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、上述したコイルばねや板ばねのような弾性部材を用いる場合に比べて経済的に有利となる。また、板材60と案内ロッド取付体14との間あるいは板材60と基台側支持部13との間の少なくとも一方の間に弾性シート61を挟んで介在させた状態で、板材60と案内ロッド取付体14とを互いに固定具62で連結し、かつ、板材60と基台側支持部13とを互いに固定具62で連結することで連結装置15を構成してもよい。弾性部材として板ばねを用いる連結装置は、図4の弾性シート61及び板材60の代わりに板ばねを用いて、当該板ばねと案内ロッド取付体14とを互いに固定具62で連結し、かつ、当該板ばねと基台側支持部13とを互いに固定具62で連結することで実現できる。図4の板材60の代わりに板ばねを用いて板ばねと弾性シート61とを併用しても良い。尚、コイルばね20を用いた連結装置、弾性シート61と板材60を用いた連結装置、板ばねを用いた連結装置のうちの2つ以上を組み合わせることで、案内ロッド取付体14と基台側支持部13とを互いに連結する連結装置を構成しても良い。
【0019】
また、図5に示すように、基台4の延長する方向に対して上方に垂直に延長するように基台4の前部に連結された鋼板などの剛体よりなる支持部70を備えた構成において、案内ロッド6の後部に取り付けられた取付板31と支持部70との間に弾性部材としての弾性シート71を挟んで介在させた状態で、取付板31と支持部70とをボルト73;ナット74のような固定具72で連結した構成により、案内ロッド6の後部と支持部70とを互いに連結する連結装置75を形成し、この連結装置75により、案内ロッド6が可動な状態に維持された構成を実現してもよい。すなわち、上述の案内ロッド取付体14に形成された孔25;連絡孔26;孔16に相当する構成を支持部70の上部に設け、弾性シート71を取付板31の前面に取り付けてから、この取付板31及び弾性シート71を後部に備えた案内ロッド6を、孔25に相当する図外の孔内に設置し、支持部70と弾性シート71と取付板31とに形成されたボルト貫通孔76にボルト73を挿入してボルト73の先端部のねじ部にナット74を締結することで取付板31と支持部70とを互いに連結する。以上の構成によれば、最良の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、支持部70を1つの支持板で構成できて支持部70を案内ロッド取付体14と基台側支持部13とに分割して構成する必要がなくなるので、支持部70の構成を簡単にでき、経済的に有利である。尚、図4の弾性シート61や図5の弾性シート71に代えて、弾性を有するワッシャやナットを介在させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
尚、本発明に用いる連結装置の弾性部材の弾性は、案内ロッド6を微動させることができる程度の弾性である。即ち、案内ロッド6に小さい力が加わった場合でも案内ロッド6が大きく動いてしまうような構造では、削岩機5による穿孔時に削岩機5から連結部材8を介して案内ロッド6に加わる力で案内ロッド6が動くことにより案内ロッド6も先行孔内で(あばれるように)動いてしまって削岩機5の穿孔方向が安定しなくなるからである。従って、本発明の連結装置は、案内ロッド6に力が加わっても案内ロッド6が全く動かないように連結するような構造の連結装置ではないことを意味する。
【0021】
上述した各構成において、案内ロッド6の挿通用の貫通孔や、案内ロッド取付体14と基台側支持部13とを互いに連結するボルト挿通用の貫通孔や、取付板31と支持部70とを互いに連結するボルト挿通用の貫通孔を、案内ロッド6やボルトの軸径より大きい(例えば軸径の2倍程度の)孔径の孔とし、案内ロッド6が案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動ける程度にボルト;ナットの締結度合を調整しておくようにすれば、先行孔と案内ロッド6との衝突によって案内ロッド6に加わる力により、案内ロッド6が案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動きやすくなるので、案内ロッド6を先行孔内に挿入する作業をより容易にできる。
【0022】
さらに、図4や図5の構造において弾性部材を用いない構造、すなわち、案内ロッド取付体14と基台側支持部13とを互いに板材60で直接的に連結する構造や、支持部70と取付板31とを互いに直接的に連結する構造において、案内ロッド6が案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動ける程度にボルト;ナットの締結度合を調整しておくことで、先行孔58と案内ロッド6との衝突によって案内ロッド6に加わる力により、案内ロッド6が案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動けるようにした構成の穿孔装置としてもよい。このような穿孔装置であっても、先行孔と案内ロッド6との衝突によって案内ロッド6に加わる力により、案内ロッド6が案内ロッド6に沿った方向と直交する方向に動くため、案内ロッド6を先行孔内に挿入する作業を容易にできるので、本発明の範囲である。但し、この構成の穿孔装置の場合、案内ロッド6は進行方向を変えるような動きをしないので、アーム2aによる案内ロッド6の角度の制御が多少必要となるが、図6の従来のように、案内ロッド6に力が加わっても案内ロッド6が全く動かないような穿孔装置に比べれば、案内ロッド6を先行孔内に挿入する作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の穿孔装置を示す斜視図(最良の形態)。
【図2】本発明の穿孔装置を示す分解斜視図(最良の形態)。
【図3】本発明の穿孔装置の動作説明図(最良の形態)。
【図4】本発明の他の穿孔装置を示す図。
【図5】本発明の他の穿孔装置を示す図。
【図6】従来の穿孔装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 穿孔装置、2 操縦機、3 ドリル部、4 基台、5 削岩機、
6 案内ロッド、7;70 支持部、8 連結部材、13 基台側支持部、
14 案内ロッド取付体、15;75 連結装置、20 コイルばね(弾性部材)、
21 上取付部、22 下取付部、60 板材、61 弾性シート(弾性部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦機に連結される基台と、基台に前後移動可能に設けられた削岩機と、基台の前部に設けられた支持部と、支持部に連結されて前方に突出する案内ロッドと、案内ロッドと削岩機のドリル部とを互いに連結する連結部材とを備え、連結部材が、ドリル部を案内ロッドの軸線に沿った方向に前後にスライド可能とした穿孔装置において、支持部が、基台の前部に取り付けられる基台側支持部と、案内ロッドの後部に取り付けられる案内ロッド取付体と、基台側支持部と案内ロッド取付体とを互いに連結する連結装置とにより形成され、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたことを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
連結装置が、案内ロッド取付体に取り付けられる上取付部と基台側支持部に取り付けられる下取付部とを備えた弾性部材により形成され、上取付部と案内ロッド取付体とが互いに連結され、下取付部と基台側支持部とが互いに連結されたことで、弾性部材の弾性により案内ロッドが可動な状態に維持されたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
弾性部材がコイルばねであることを特徴とする請求項2に記載の穿孔装置。
【請求項4】
弾性部材が板ばねであることを特徴とする請求項2に記載の穿孔装置。
【請求項5】
連結装置が、基台側支持部と案内ロッド取付体とを互いに連結する板材と弾性部材とで形成され、板材と案内ロッド取付体との間あるいは板材と基台側支持部との間の少なくとも一方の間に弾性部材を挟んで介在させた状態で、板材と案内ロッド取付体とが互いに連結され、かつ、板材と基台側支持部とが互いに連結されたことで、弾性部材の弾性により案内ロッドが可動な状態に維持されたことを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項6】
操縦機に連結される基台と、基台に前後移動可能に設けられた削岩機と、基台の前部に設けられた支持部と、支持部に連結されて前方に突出する案内ロッドと、案内ロッドと削岩機のドリル部とを互いに連結する連結部材とを備え、連結部材が、ドリル部を案内ロッドの軸線に沿った方向に前後にスライド可能とした穿孔装置において、案内ロッドの後部と支持部とを互いに連結する連結装置を備え、連結装置により案内ロッドが可動な状態に維持されたことを特徴とする穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−328784(P2006−328784A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153460(P2005−153460)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(505195292)古河ロックドリル株式会社 (4)
【Fターム(参考)】