説明

立体感強調化粧料

【課題】 立体感強調効果に優れ、使用時の伸び広がりと化粧膜の均一性に優れる立体感強調化粧料を提供するものである。
【解決手段】 次の成分(A)〜(B);
(A)薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体
(B)屈折率が1.3〜1.8である球状粉体
を配合することを特徴とする立体感強調化粧料。また、前記成分(A)の複合粉体における、着色層が酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛から選ばれる二種以上であることを特徴とする前記立体感強調化粧料。そして、前記成分(A)の複合粉体における、光散乱層が無水ケイ酸、酸化アルミニウムから選ばれる一種以上であることを特徴とする前記立体感強調化粧料。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、顔の目鼻立ちの凹凸をはっきり見せる化粧料に関するものであり、薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体と、屈折率が1.3〜1.8である球状粉体とを配合する立体感強調化粧料に関するものである。より詳細には、立体感強調効果に優れ、使用時の伸び広がりと化粧膜の均一性に優れる立体感強調化粧料に関するものである。
【0002】
立体感強調化粧料は、顔の輪郭や目鼻立ち等の凹凸をはっきり見せる化粧料であり、鼻筋等の凸部にハイライト効果を付与し、頬や顎等にシャドウ効果を付与することにより、顔の立体感を強調するものである。従来の化粧料に、このような立体感を付与する技術としては、レーザー光により測定した表面粗さが算術平均粗さRa0.55μm以下の粉体を配合する技術(例えば、特許文献1参照。)、平均粒径1〜50nmの微粒子酸化鉄を有色の干渉光を発する板状粉体上に被覆してなる着色顔料を配合する技術(例えば、特許文献2参照。)等が提案されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−63239号公報(第1頁−第7頁)
【特許文献2】特開2004−123682号公報(第1項−第12項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1記載の技術は、レーザー光により測定した表面粗さが算術平均粗さRa0.55μm以下の粉体を肌上に均一に配向させなければ立体感を強調させることは困難であり、立体感強調化粧料としては満足できる水準にはなかった。また、前記特許文献2記載の技術も、平均粒径1〜50nmの微粒子酸化鉄を有色の干渉光を発する板状粉体上に被覆してなる着色顔料を肌上に均一に配向させなければ立体感を強調させることは困難であり、立体感強調化粧料としては満足できる水準にはなかった。
【0005】
このため、立体感強調効果に優れ、使用時の伸び広がりと化粧膜の均一性に優れる立体感強調化粧料の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体と、屈折率が1.3〜1.8である球状粉体とを併用することにより、前記課題を解決できる立体感強調化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(B);
(A)薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体
(B)屈折率が1.3〜1.8である球状粉体
を配合することを特徴とする立体感強調化粧料を提供するものである。
【0008】
また、前記成分(A)の複合粉体における、着色層が酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛から選ばれる二種以上であることを特徴とする前記立体感強調化粧料を提供するものである。
【0009】
そして、前記成分(A)の複合粉体における、光散乱層が無水ケイ酸、酸化アルミニウムから選ばれる一種以上であることを特徴とする前記何れかの立体感強調化粧料を提供するものである。
【0010】
更に、前記成分(A)の粉体を1〜50質量%配合することを特徴とする前記何れかの立体感強調化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の立体感強調化粧料は、顔の目鼻立ちの凹凸をはっきり見せる立体感強調効果に優れ、使用時の伸び広がりと化粧膜の均一性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いられる成分(A)は、薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体であり、本発明において立体感を強調させる成分である。前記薄片状基材は、通常化粧料に用いられる薄片状粉体であれば、特に制限されるものではないが、例えば、雲母、セリサイト、合成雲母、合成セリサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、劈開タルク、板状無水ケイ酸、板状ガラス、板状酸化アルミニウム、板状カオリン、板状窒化硼素、板状オキシ塩化ビスマス等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。尚、成分(A)の薄片状基材の平均粒径(レーザー回折式粒度分布測定により得られる値、以下は単に「平均粒径」と略す。)は、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。平均粒径がこの範囲内であると、不自然な光沢が抑えられ、伸び広がりが良好な複合粉体を得ることができる。尚、前記薄片状基材のアスペクト比は、伸び広がりの観点より、30以上が好ましい。
【0013】
成分(A)の着色層は、屈折率が2以上の粉体の層であり、このような粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、四三酸化鉄、酸化第一鉄、酸化第二鉄、オキシ水酸化鉄、水酸化第二鉄、酸化鉄・酸化チタン焼結物、鉄ドープ酸化チタン、低次酸化チタン、チタン酸リチウムコバルト、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、マンガンバイオレット等の無機粉体、有機タール色素、天然色素等の有機粉体等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体の中より、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛を選択すると、立体感強調効果がより良好となるので好ましい。
【0014】
次に、成分(A)の光散乱層は、屈折率が1.3〜1.8の粉体の層であり、このような粉体としては、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、フッ化マグネシウム等の無機粉体、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリウレタン等の有機粉体等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体の中より、無水ケイ酸、酸化アルミニウムを選択すると、光散乱効果がより良好となるので好ましい。更に、成分(A)の光散乱層が最外層となる場合には、表面に微小な凹凸を形成するように積層されることが好ましい。表面に微小な凹凸を形成することにより、光の散乱を促進し、粉体表面での反射を抑制することにより、ギラギラとした不自然な光沢を低下させることができる。
【0015】
成分(A)の複合粉体は、薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体であるが、具体的には、(1)薄片状基材に第一の着色層を被覆し、次いで光散乱層を被覆し、更に第二の着色層を積層被覆した複合粉体、(2)薄片状基材に第一の着色層を被覆し、次いで第二の着色層を被覆し、更に光散乱層を積層被覆した複合粉体等が挙げられる。
【0016】
成分(A)の複合粉体における、薄片状基材上に被覆する各着色層は、5〜200nmの厚みを有することが好ましい。そして、薄片状基材100質量部に対して、各着色層は5〜50質量部被覆することが好ましい。
【0017】
成分(A)の複合粉体における、薄片状基材上に被覆する光散乱層は、10〜100nmの厚みを有することが好ましい。そして、薄片状基材100質量部に対して、光散乱層は3〜20質量部被覆することが好ましい。
【0018】
成分(A)の複合粉体は、少なくとも二種以上の着色層を有しているため、見る角度により色が変化する、いわゆる、フリップフロップ、カラーフロップ等と称される顔料である。また、成分(A)の複合粉体は、JIS Z 8729(色の表示方法−L*** 表色系及びL*** 表色系)5.3に規定されるab色相角habの最大値と最小値の差(hMAX−hMIN)が10°〜180°(但し、この値が180°を超える場合には、360°−(hMAX−hMIN)が10°〜180°)であり、かつ、JIS Z 8729の4.に規定される明度L*の最大値と最小値の比が1.0〜2.0であることが好ましい。
【0019】
前記ab色相角habおよび明度L* は、白色の紙に貼った平滑性の高い透明両面テープの粘着面に複合粉体を塗布したものを試料とし、三次元変角分光光度計(村上色彩技術研究所製、GCMS−4)を用いて、入射角45゜で受光角を−80゜〜80゜まで変化させ、5゜間隔で測定する。本発明では、このときのhabの最大値hMAX と最小値hMIN の差hMAX −hMIN を求めて評価した。また、明度L* の最大値L* MAX と最小値L* MIN の比L* MAX /L* MIN を求めて評価した。habの最大値hMAX と最小値hMIN の差hMAX −hMIN は、大きい程見る角度による色の変化が大きく、また、比L* MAX /L* MIN は、小さい程光沢が低いことを意味する。
【0020】
このような成分(A)の複合粉体は、市販品として、例えば、「RELIEF COLOR RED」、「RELIEF COLOR YELLOW」、「RELIEF COLOR BLUE」、「RELIEF COLOR BEIGE」(以上、何れも触媒化成工業社製)等が挙げられる。
【0021】
尚、成分(A)の複合粉体は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0022】
本発明の立体感強調化粧料における成分(A)の配合量は、特に限定されるものではないが、1〜50質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましく、10〜30%がより好ましい。配合量がこの範囲内であると、使用時の伸び広がり、化粧膜の均一性、立体感強調効果がより良好な化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明に用いられる成分(B)は、通常の化粧料に使用される屈折率1.3〜1.8の球状粉体であり、本発明おいて使用時の伸び広がりを良好にし、成分(A)の複合粉体を肌上に均一に配向させるための成分である。このような球状粉体としては、例えば、無水ケイ酸、ナイロンパウダ−、ポリエチレンパウダ−、ポリスチレンパウダ−、ポリアクリル酸アルキルパウダ−、シリコーンパウダー、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。尚、これら成分(B)は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。尚、成分(B)の平均粒径は1〜30μmが好ましい。
【0024】
このような成分(B)は、市販品として、屈折率約1.38のメチルシロキサン網状重合体(シリコーンパウダー)であるトレフィルE−505C、トレフィル701C(何れも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、屈折率約1.39のトリメチルシルセスキオキサン(シリコーンパウダー)であるトスパールシリーズ(東芝シリコーン社製)、屈折率約1.39の架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体(シリコーンパウダー)であるKSP−100、KSP−101、KSP−102(何れも、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0025】
本発明の立体感強調化粧料における成分(B)の配合量は、特に限定されるものではないが、1〜20%が好ましく、5〜10%がより好ましい。配合量がこの範囲内であると、使用時の伸び広がり、化粧膜の均一性、立体感強調効果がより良好な化粧料を得ることができる。
【0026】
本発明の立体感強調化粧料には、上記必須成分の他に、通常化粧料に含有される成分として、油剤、成分(A)及び(B)以外の粉体、界面活性剤、水溶性高分子、水、アルコール、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、紫外線吸収剤、保湿剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0027】
本発明に配合可能な油剤としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリイソブチレン、ポリブテン、セレシンワックス、オゾケライトワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル,ジイソステアリン酸ポリグリセリル,トリイソステアリン酸ジグリセリル,トリベヘン酸グリセリル,2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシ変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0028】
本発明に配合可能な成分(A)及び(B)以外の粉体としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0029】
本発明に配合可能な界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば何れのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の油中水型メーキャップ化粧料には、乳化剤として、界面活性剤を配合することが好ましい。このような界面活性剤は、通常の化粧料に用いられる界面活性剤であれば何れのものでもよく、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を適宜用いることができる。アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を適宜用いることができる。カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を適宜用いることができる。両性界面活性剤としては、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0030】
本発明の立体感強調化粧料の剤型としては、粉体剤型、水中油型乳化剤型、油中水型乳化剤型、油性剤型、溶剤型等が挙げられる。また、形態としては、粉末状、粉末固形状、油性固形状、クリーム状、ゲル状、液状、ムース状、スプレー状等を挙げられる。そして、本発明の立体感強調化粧料は、ファンデーション、コンシーラー、白粉、アイシャドウ、頬紅、化粧下地等のメーキャップ化粧料や、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料等の何れにも適用可能である。これらの中でも、粉末状、粉末固形状、油性固形状のメ−キャップ化粧料が好適である。
【実施例】
【0031】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0032】
実施例1〜12及び比較例1〜2:固形粉末状ファンデ−ション
下記表1〜3に示す処方の固形粉末状ファンデ−ションを以下に示す製造方法により調製し、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価し、結果を併せて表1〜3に示した。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
(製造方法)
A:成分(1)〜(11)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均
一分散する。
B:成分(12)〜(15)を60℃に加熱し、混合する。
C:Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、B及び成分(16)を添
加し、均一分散する。
D:Cをパルベライザーで粉砕する。
E:Dを金皿に充填し、圧縮成形し、固形粉末状ファンデ−ションを得た。
【0037】
(評価方法:「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」)
化粧品評価専門パネル20名に前記実施例及び比較例の固形粉末状ファンデ−ションをスポンジを用いて使用してもらい、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」について、各自が以下の基準に従って5段階評価し、ファンデーション毎に評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
(評点の平均点) :(判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0038】
表1〜3の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜12の固形粉末状ファンデ−ションは、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。一方、成分(A)の複合粉体を配合していない、比較例1の固形粉末状ファンデ−ションは、化粧膜の均一性が良好でなく、立体感強調効果に劣っていた。また、成分(B)の球状粉体を配合していない比較例2の固形粉末状ファンデ−ションは、使用時の伸び広がりに劣り、化粧膜の均一性も良好ではなかった。
【0039】
実施例13:固形粉末状白粉
(成分) (%)
1.ジメチルポリシロキサン(3%)処理雲母 残量
2.ジメチルポリシロキサン(3%)処理タルク 60
3.パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩(5%)
処理雲母チタン 5
4.成分(A)の複合粉体(注2) 10
5.群青 0.2
6.ベンガラ 0.1
7.防腐剤 0.1
8.球状多孔質シリカ(屈折率1.30、平均粒径約5μm) 5
9.ポリエチレンワックス粉末(平均粒径約3μm) 1
10.香料 0.1
【0040】
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一
分散する。
B:Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、成分(10)を添加し、均
一分散する。
C:Bをパルベライザーで粉砕する。
D:Cを金皿に充填し、圧縮成形し、固形粉末状白粉を得た。
本発明品である実施例13の固形粉末状白粉は、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
【0041】
実施例14:油中水型クリーム状ファンデーション
(成分) (%)
1.酸化チタン 8
2.酸化亜鉛 5
3.微粒子酸化チタン(平均粒子径約0.04μm) 5
4.微粒子酸化亜鉛(平均粒子径約0.07μm) 5
5.ベンガラ 0.3
6.黄色酸化鉄 1.6
7.黒色酸化鉄 0.2
8.成分(A)の複合粉体(注6) 5
9.球状無水ケイ酸(屈折率1.30、平均粒径約12μm) 5
10.球状ポリエチレンパウダー
(屈折率1.31、平均粒子径10μm) 3
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 20
12.ジメチルポリシロキサン(6Pa・s) 5
13.2―エチルヘキサン酸セチル 5
14.有機変性ベントナイト 1
15.ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(注7) 1.5
16.精製水 残量
17.アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウウム 0.1
18.エタノール 10
19.グリセリン 1
20.香料 0.2
※注6:RELIEF COLOR BLUE(触媒化成工業社製)
※注7:KF−6017(信越化学工業社製)
【0042】
(製造方法)
A:成分(11)〜(15)を均一混合した後、成分(1)〜(10)
を加え、均一混合分散する。
B:Aに成分(16)〜(20)を添加し乳化する。
C:Bを脱泡後、容器に充填して油中水型クリーム状ファンデーション
を得た。
本発明品である実施例14の油中水型クリーム状ファンデーションは、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
【0043】
実施例15:固形粉末状ファンデ−ション
(成分) (%)
1.雲母 30
2.タルク 残量
3.酸化チタン 7
4.酸化亜鉛 6
5.窒化硼素 5
6.スクワラン 5
7.メトキシケイ皮酸オクチル 3
8.ベンガラ 0.7
9.黄色酸化鉄 1.5
10.黒色酸化鉄 0.2
11.硫酸バリウム 2.5
12.カオリン 5
13.成分(A)の複合粉体(注1) 10
14.シリコ−ンパウダー
(屈折率1.39 平均粒径約6μm)(注8) 2
15.香料 0.05
※注8:KSP−101(信越化学工業社製)
【0044】
(製造方法)
A:成分(1)〜(14)をハイビスミックス(特殊機化工業社製)で
均一分散する。
B:Aに成分(15)を添加し均一分散する。
C:Bの100質量部に対して、精製水100質量部を添加し、混合し
てスラリー状とする。
D:Cを金皿に充填し、48時間室温にて乾燥し、精製水を除去して、
固形粉末状ファンデーションを得た。
本発明品である実施例15の固形粉末状ファンデーションは、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
【0045】
実施例16:固形粉末状アイシャドウ
(成分) (%)
1.雲母 30
2.タルク 残量
3.成分(A)の複合粉体(注1) 15
4.ベンガラ被覆雲母チタン 5
5.無水ケイ酸・酸化チタン処理雲母(注9) 6
6.球状ナイロンパウダー
(屈折率1.42、平均粒径約10μm) 3
7.有機変性ヘクトライト 1
8.ワセリン 9
9.流動パラフィン 9
10.香料 0.1
※注9:TIMIRON SPLENDID RED (MERCK社製)
【0046】
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)をハイビスミックス(特殊機化工業社製)で
均一分散する。
B:成分(7)〜(9)を、70℃に加温しながらディスパーミキサ
ーにて均一分散する。
C:AとBを混合し、成分(10)を添加し、混合分散する。
D:Cの100質量部に対して、イソプロピルアルコ−ルを50質量部
を加え、混合し、スラリー状とする。
E:Dを樹脂皿に充填し、48時間45℃にて乾燥し、イソプロピルア
ルコールを除去して、固形粉末状アイシャドウを得た。
本発明品である実施例16の固形粉末状アイシャドウは、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
【0047】
実施例17:粉末状頬紅
(成分) (%)
1.タルク 40
2.雲母 残量
3.成分(A)の複合粉体(注2) 10
4.ベンガラ被覆雲母チタン 5
5.雲母チタン(注10) 15
6.球状無水ケイ酸(屈折率1.32、平均粒径約1μm) 3
7.ラウリン酸亜鉛 5
8.酸化鉄 0.3
9.N−ラウロイル−L−リジン 10
10.香料 0.1
※注10:FLAMENCO GOLD (エンゲルハ−ド社製)
【0048】
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)を、均一混合後、パルベライザ−にて粉砕する。
B:Cを容器に充填して、粉末状頬紅を得た。
本発明の実施品である実施例17の粉末状頬紅は、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
【0049】
実施例18:油性固形状頬紅
(成分) (%)
1.パラフィンワックス 5
2.流動パラフィン 10
3.ポリブテン 3
4.ジメチルポリシロキサン(6Pa・s) 残量
5.成分(A)の複合粉体(注6) 8.5
6.雲母 15
7.球状ポリエチレンパウダー
(屈折率1.34、平均粒径約10μm) 5
8.球状無水ケイ酸(屈折率1.31、平均粒径約15μm) 5
9.雲母チタン 5
10.黄色酸化鉄 1
11.赤色226号 0.07
12.香料 0.1
【0050】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を70℃に加熱し、混合する。
B:Aに成分(5)〜(12)を加え、均一混合する。
C:Bを脱泡後、85℃にて再溶解し、皿状容器に充填後、室温まで
冷却し油性固形状頬紅を得た。
本発明の実施品である実施例18の油性固形状頬紅は、「使用時の伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「立体感強調効果」の全ての項目に優れた立体感強調化粧料であった。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(B);
(A)薄片状基材に屈折率が2以上の着色層を少なくとも2種積層被覆した複合粉体であって、当該着色層の間又は最外層に、屈折率が1.3〜1.8である光散乱層を有する複合粉体
(B)屈折率が1.3〜1.8である球状粉体
を配合することを特徴とする立体感強調化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)の複合粉体における、着色層が酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛から選ばれる二種以上であることを特徴とする請求項1記載の立体感強調化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)の複合粉体における、光散乱層が無水ケイ酸、酸化アルミニウムから選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の立体感強調化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)の粉体を1〜50質量%配合することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載の立体感強調化粧料。

【公開番号】特開2006−248971(P2006−248971A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66765(P2005−66765)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】