説明

立体画像表示装置、表示装置が立体画像を表示するための方法、および、表示装置に立体画像を表示させるためのプログラム

【課題】姿勢に応じて良好な立体画像が表示される立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】立体画像表示措置10が実行する処理は、スリット表示判定部105は、スリット1000に紐づけられているスリット表示判定領域1001と、観察者1200についての観察者基準線1201を検出するステップ(S1210)と、スリット表示判定領域1001と、観察者基準線1201とを重ね合わせるステップ(S1220)と、観察者基準線1302がスリット表示判定領域1301を構成する長方形の辺のある特定範囲と交わっているか否かを確認するステップと、確認の結果に応じて、スリット1000を表示部に表示させるステップ(S1230)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の表示制御に関し、より特定的には、複数の視点に対応した複数の画像を、立体表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観察者が視差を有する一組の画像を立体視することにより、立体感のある画像を見ることができる立体画像表示方法が知られている。
【0003】
たとえば、特開平7−92936号公報(特許文献1)は、観察者がより良い立体画像を観察できるようにするために、表示画面のスリットを柔軟に制御する技術を開示している。特開平7−92936号公報に開示された技術によると、スリット位置が横移動されるので、観察者がより良い立体画像を観察できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−92936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立体画像を表示するための装置として、たとえば、据置型のテレビ、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等が挙げられる。このうち、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータのような携帯可能な端末は、その姿勢によっては、3次元の画像として表示される立体画像が、その観察者である端末のユーザに良好に視認できない場合がある。
【0006】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より良い立体画像が観察できるように立体画像を表示可能な立体画像表示装置を提供することである。
【0007】
他の目的は、表示装置がよりよい立体画像を表示するための立体画像表示方法を提供することである。
【0008】
さらに他の目的は、より良い立体画像が表示されるように立体画像表示装置を制御するためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態にしたがうと、複数の画像から構成される立体画像を表示するための立体画像表示装置が提供される。この立体画像表示装置は、画像の表示を行うための画像表示部と、画像表示部を観察している観察者の顔位置を検出するための顔位置検出部と、画像表示部の表示領域の前面において視差バリアを形成するための形成手段と、立体画像表示装置の動作を制御するための制御手段とを備える。制御手段は、形成手段によって形成される視差バリアの方向と、顔位置検出部によって検出される顔位置とに基づいて、形成手段による視差バリアの形成を制御する。
【0010】
好ましくは、形成手段は、画像表示部の表示領域の前面においてスリットを表示するためのスリット表示部を含む。
【0011】
好ましくは、スリット表示部は、表示領域の長手方向に平行な方向と、長手方向に垂直な方向との間で、スリットの表示方向を切り替える。
【0012】
好ましくは、スリット表示部は、スリットの表示と非表示とを切り替えるように構成されている。
【0013】
好ましくは、画像表示部は、形成手段における視差バリアの状態と同期して、画像表示部に表示する画像を変えるように構成されている。
【0014】
好ましくは、立体画像表示装置は、当該立体画像表示装置の慣性情報を検出するための慣性情報検出部をさらに備える。制御手段は、慣性情報に基づいて、形成手段による視差バリアの形成を制御する。
【0015】
他の実施の形態にしたがうと、表示装置が立体画像を表示するための方法が提供される。この方法は、表示装置のモニタを観察している観察者の顔位置を検出するステップと、検出された顔位置と、モニタにおいて形成可能な視差バリアの方向とに基づいて、視差バリアを形成するか否かを判断するステップと、判断するステップにおける判断の結果に応じて、モニタに視差バリアを形成するステップと、画像を表示するステップとを含む。
【0016】
さらに他の実施の形態にしたがうと、表示装置に立体画像を表示させるためのプログラムが提供される。プログラムは、表示装置に、表示装置のモニタを観察している観察者の顔位置を検出するステップと、検出された顔位置と、モニタにおいて形成可能な視差バリアの方向とに基づいて、視差バリアを形成するか否かを判断するステップと、判断するステップにおける判断の結果に応じて、モニタに視差バリアを形成するステップと、画像を表示するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0017】
ある局面によると、より良い立体画像が観察可能となる。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】立体画像表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】左目用画像と右目用画像とに対する画像処理を説明するための図である。
【図3】観察者が立体画像を観察している様子を説明するための図である。
【図4】スリット300の表示例を表わす図である。
【図5】左目用画像と右目用画像に対する画像処理を示す説明図である。
【図6】観察者が立体画像表示装置10を観察している様子を示す説明図である。
【図7】カメラの撮影画像を示す説明図である。
【図8】立体画像表示装置10の画像表示部102の表示面がXY平面上に存在している状態を表わす図である。
【図9】当該XY平面を用いて観察者基準線の導出の具体例を表わす図である。
【図10】立体画像表示装置10の表示領域に形成されるスリットを明示的に表わした図(その1)である。
【図11】立体画像表示装置10の表示領域に形成されるスリットを明示的に表わした図(その2)である。
【図12】画像表示部102の短辺方向と平行であるスリット1000を表示するかどうかを判定する処理の流れを表わす図である。
【図13】観察者基準線とスリット表示判定領域との位置関係を表わす図である。
【図14】当該処理の流れを表わす図である。
【図15】立体画像表示装置10を45°ずつ回転させた状態の推移を表わす図である。
【図16】立体画像表示装置10が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【図17】本変形例に係る立体画像表示装置1700の構成の概略を表わすブロック図である。
【図18】立体画像表示装置1700が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る立体画像表示装置10の構成について説明する。図1は、立体画像表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。立体画像表示装置10は、一例として、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、テレビジョン受信装置、その他の情報処理端末として実現されるが、これらに限られない。立体画像表示装置10は、2次元画像を表示可能であり、かつ、視差バリアを形成することにより3次元画像を表示可能な情報処理端末として実現される。
【0021】
図1に示されるように、立体画像表示装置10は、中央演算処理部100と、画像データ記憶部101と、画像表示部102と、スリット表示部103と、顔位置検出部104と、スリット表示判定部105と、プログラム記憶部106とを備える。
【0022】
中央演算処理部100は、立体画像表示装置10に格納されているプログラムを実行することにより、立体画像表示装置10の各部の動作を制御する。ある局面において、中央演算処理部100は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)その他の演算処理装置等に相当し、立体画像表示装置10を構成する各部を制御し、または、データを加工し、もしくは演算する。
【0023】
画像データ記憶部101は、画像データを保持する。画像データ記憶部101は、立体画像を表示するために加工をする前の画像データ(たとえば、図2に示される左目用画像200、右目用画像201)を格納し、また、立体画像を表示するために加工した後の画像データ(たとえば、図2の画像202)などを格納する。ある局面において、画像データ記憶部101は、作業用メモリ領域を提供するための揮発性メモリや、データを永続的に保持するための不揮発性メモリとして実現される。
【0024】
画像表示部102は、画像データ記憶部101に保存されているデータに基づいて画像を表示する。画像表示部102は、ある局面において、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)パネル装置等として実現される。
【0025】
スリット表示部103は、画像表示部102の表示領域に、視差バリアとしてスリットを形成する。たとえば、スリット表示部103は、中央演算処理部100やスリット表示判定部105などからの要求により、スリットの形成(すなわち表示)と非形成(すなわち非表示)とを切り替える。たとえば、図4に示されるように、スリット表示部103は、スリットを表示していない表示画面400と、画面の短辺方向と平行にスリットを表示している表示画面401と、画面の長辺方向と平行にスリットを表示している表示画面402との間で、スリット表示と非表示とを切り替える。なお、スリットの表示とは、スリットが形成されるものの、立体画像表示装置10の使用者のような通常の人間には視認できない状態である。
【0026】
顔位置検出部104は、画像表示部102を見ている観察者の顔の位置を検出する。ある局面において、顔位置検出部104は、カメラを含む。カメラは、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラ等によって実現される。顔位置検出部104は、たとえば、観察者の顔を撮影できるカメラを用いて、顔の位置を検出する。顔の位置の検出処理は後述する。顔位置検出部104で検出された情報は、スリット表示判定部105の処理に使用される。
【0027】
スリット表示判定部105は、顔位置検出部104からの情報に基づいて、スリット表示部103にスリットを表示するか否かを判断する。
【0028】
プログラム記憶部106は、中央演算処理部100によって実行されるプログラムを格納している。ある局面において、プログラム記憶部106は、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリ、若しくは、ROM(Read Only Memory)またはフラッシュメモリその他の不揮発性メモリとして実現される。プログラム記憶部106は、立体画像表示装置10に組み込まれていても良く、あるいは、立体画像表示装置10から着脱可能であってもよい。
【0029】
なお、中央演算部100と、顔位置検出部104と、スリット表示判定部105とは、ある局面において一つのプロセッサとして構成されてもよく、他の局面において、各処理を実行する回路として構成されてもよい。
【0030】
[パララックスバリア方式について]
ここで、図2〜図5を参照して、パララックスバリア方式について説明する。図2は、左目用画像と右目用画像とに対する画像処理を説明するための図である。図2に示されるように、左目用画像200と右目用画像201は、画像の短辺方向に短冊状に分解される。一例として、ある局面に従う立体画像表示装置10において、立体画像表示装置10の中央演算処理部100その他のプロセッサは、左目用画像200と右目用画像201とを、それぞれ交互に並べることにより、一枚の画像202を、当該表示装置が有するディスプレイ装置に表示する。画像202を表示する立体画像表示装置10には、画像を分解した方向と同方向の短冊状のスリットがある。たとえば、ある局面において、立体画像表示装置10は、スリット表示部103を用いて短冊状のスリットを形成することができる。
【0031】
図3は、観察者が立体画像を観察している様子を説明するための図である。図3に示されるように、立体画像表示装置10の画像表示部102に表示される画像202は、スリット300を通して観察者に視認される。観察者は、スリット300を介して、短冊状に配置された左目用画像を観察者の左目301で視認し、右目用画像を右目302で視認するので、立体画像を観察することができる。
【0032】
また、スリット300は、電気的に制御することができる。たとえば、プロセッサが駆動信号を切り替えることにより、スリット300の表示と非表示とを切り替えることができ、また、スリット300を表示する方向を切り替えることができる。
【0033】
[画像処理]
図4および図5を参照して、スリット300の表示と非表示との切り替え、および、スリット300の表示方向について説明する。図4は、スリット300の表示例を表わす図である。図5は、左目用画像と右目用画像に対する画像処理を示す説明図である。ディスプレイ装置の表示領域が矩形である場合、電気的に制御可能なスリット300は、その表示方向として、当該表示領域の短辺方向に対して平行にまたは垂直に、表示することができる。
【0034】
表示画面400は、スリット300を表示していない状態の表示領域における画面である。立体画像表示装置10は、電気的な制御により、表示画面401または402を形成することができる。表示画面401は、スリット300の方向が表示画面400の短辺方向に対して平行になるようにスリット300を表示している。表示画面402は、スリット300の方向が表示画面400の短辺方向に対して垂直になるようにスリット300を表示している。また、他の局面において、立体画像表示装置10は、スリット300を表示している状態で、表示画面401から表示画面402へ、もしくはその逆への切り替えも可能である。
【0035】
立体画像表示装置10がスリット300を形成している場合、立体画像表示装置10は、スリット300の方向と同じ方向に短冊状に分解された左目用画像および右目用画像を表示する必要がある。このとき、表示画面401のように、スリット300が表示画面の短辺方向に対して平行になるよう表示されている場合には、立体画像表示装置10は、図2における画像202のような短冊状に分解した左目用画像200と右目用画像201とがスリット300の方向と同じ方向に並べられた画像を表示する。また、スリット300が表示画面の短辺方向に対して垂直になるように表示されている場合には、立体画像表示装置10は、図5の画像500のような短冊状に分解された左目用画像200と右目用画像201をスリット方向と同じ方向に並べられた画像を表示する。
【0036】
[顔位置検出]
図6および図7を参照して、顔位置検出部104の動作について説明する。本実施の形態では、顔位置検出部104が検出する情報として、観察者の左目と右目を結ぶ直線を検出する例を説明する。図6は、観察者が立体画像表示装置10を観察している様子を示す説明図である。図7は、カメラの撮影画像を示す説明図である。
【0037】
図6に示されるように、観察者600は、立体画像表示装置10の画像表示部102を観察している。詳しくは、観察者600は、画像表示部102と正面から対峙する形で画像表示部102を観察している。立体画像表示装置10は、画像表示部102と同じ面にカメラ603を備えている。カメラ603は、両目を含む観察者の顔を撮影することができる。
【0038】
図7を参照して、画像700は、カメラ603が観察者600を連続的に撮影しているうちの1フレーム分の画像に相当する。観察者600は、画像表示部102と正面から対峙する形で観察しているため、同様に、カメラ603とも正面から対峙している状態となる。そのため、観察者600の右目604は、画像700の右目部分701に相当し、左目605は画像700の左目部分702に相当する。なお、画像700は、観察者600に表示される必要はなく、立体画像表示装置10が有する画像データ記憶部101に記憶されるだけでもよい。
【0039】
次に、顔位置検出部104は、画像700から、右目部分701と左目部分702を結ぶ直線703を検出する。顔位置検出部104は、カメラ603の出力から得られるYUVデータやRGBデータなどの非圧縮の画像データに対して検出処理を実行する。
【0040】
他の局面において、顔位置検出部104は、検出精度を高めるために画像データを加工してから検出処理を行ってもよい。また、顔位置検出部104は、ある局面において、カメラ603から出力される全てのフレームを検出処理に用いてもよく、他の局面において、たとえば、10フレーム毎に実施するというように、特定数のフレーム毎に行ってもよい。また、検出処理の計算は、顔位置検出部104だけが検出処理に必要な計算を実行する態様に限られず、中央演算処理部100が当該計算を行なってもよい。
【0041】
また、顔位置検出部104によって検出される情報は、両目を結ぶ線だけに限られず、顔の輪郭、鼻の位置、口の位置、耳の位置など、顔の位置が特定できる情報であれば何でもよい。また、顔位置検出部104は、これら情報を複数使用して顔位置を検出してもよい。また、本実施の形態において一例として顔位置を検出する手段としてカメラを使った例が示されているが、顔位置を検出することができれば他のセンサなどを使用してもよい。
【0042】
次に、図8および図9を参照して、立体画像表示装置10による観察者基準線の導出について説明する。図8は、立体画像表示装置10の画像表示部102の表示面がXY平面上に存在している状態を表わす図である。図9は、当該XY平面を用いて観察者基準線の導出の具体例を表わす図である。ここでは、顔位置検出部104で検出された情報が観察者の右目と左目を結ぶ直線であった場合に観察者基準線を算出する方法の一例を説明する。
【0043】
顔位置検出部104は、観察者基準線を以下のようにして導出する。なお、観察者の右目と左目を結ぶ直線801は、XY平面とは交わらない位置に存在している。
【0044】
図9に示されるように、スリット表示判定部105は、観察者の右目と左目を結ぶ直線801をXY平面に投影した投影線900を算出する。たとえば、スリット表示判定部105は、観察者の右目と左目とを結ぶ直線801を作る2点の座標をそれぞれb1(Xb1,Yb1,Zb1)、b2(Xb2,Yb2,Zb2)とすると、XY平面に投影した投影線900を作る2点の座標はそれぞれc1(Xb1,Yb1,0)、c2(Xb2,Yb2,0)となる。顔位置検出部104は、この投影線900を観察者基準線とする。観察者基準線を求める処理が行なわれるタイミングは、たとえば、立体画像表示装置10の電源がONになったとき、画像を表示するアプリケーションが起動されたとき、立体画像表示装置10に対して3次元の画像を表示するべき旨の命令が与えられた時、立体表示用の画像データが不揮発メモリ領域からワーク領域に読み出されたデータに基づいて表示が行なわれる直前等であるが、これらのタイミングに限られない。
【0045】
[スリット表示判定領域]
次に、図10および図11を用いて、スリット表示判定領域について説明する。図10および図11は、立体画像表示装置10の表示領域に形成されるスリットを明示的に表わした図である。
【0046】
まず、スリット表示判定領域は、スリット表示部103で表示可能なスリットの方向ごとに決めておく。スリット表示領域は、スリット表示部103で表示可能なスリットの方向ごとに用意(規定)され、スリット方向とスリット表示判定領域とが関連付けられる。
【0047】
たとえば、状態(A)に示されるように、スリット1000が画像表示部102の短辺方向と平行に表示される場合、状態(B)に示されるように、画像表示部102と同じ平面上に、スリット1000の方向と直交する辺が長辺となるように長方形のスリット表示判定領域1001が予め規定される。このスリット表示判定領域1001を表わすデータは、たとえば、中央演算処理部100、画像データ記憶部101、またはプログラム記憶部106のデータ記憶領域に保存される。
【0048】
また、図11に示されるように、スリット1100が画像表示部102の長辺方向と平行に表示される場合、図10の場合と同様に、画像表示部102と同じ平面上に、スリット1100の方向と直交する辺が長辺となるように、長方形のスリット表示判定領域1101が予め規定される。このスリット表示判定領域1101を表わすデータも、たとえば、中央演算処理部100、画像データ記憶部101、またはプログラム記憶部106のデータ記憶領域に保存される。
【0049】
スリット表示判定部105は、観察者基準線とスリット表示判定領域1001またはスリット表示判定領域1101とを重ね合わせた時に、観察者基準線が当該スリット表示判定領域の特定の辺と交わっているかどうかを検出することにより、当該スリット表示判定領域に紐づけられているスリットを表示するか否かを判定する。
【0050】
そこで、図12および図13を参照して、スリット1000を表示するかどうかの判定について説明する。図12は、画像表示部102の短辺方向と平行であるスリット1000を表示するかどうかを判定する処理の流れを表わす図である。図13は、観察者基準線とスリット表示判定領域との位置関係を表わす図である。
【0051】
まず、ステップS1210において、スリット表示判定部105は、スリット1000に紐づけられているスリット表示判定領域1001と、観察者1200についての観察者基準線1201を検出する。
【0052】
ステップS1220において、スリット表示判定部105は、スリット表示判定領域1001と、観察者基準線1201とを重ね合わせる。この時、図13に示されるように、観察者基準線1302が、スリット表示判定領域1301を構成する長方形の対角線が交わる点1300を通るように位置が規定される。スリット表示判定部105は、この状態で、観察者基準線1302がスリット表示判定領域1301を構成する長方形の辺のある特定範囲と交わっているか否かを確認する。観察者基準線1302と当該特定範囲とが交わっていれば、スリット表示判定部105は、スリット表示判定領域1301に関連付けられているスリットを表示すると判定し、交わっていなければ、スリット表示判定部105は、当該スリットを表示しないと判定する。
【0053】
ステップS1230において、たとえば、図12の場合には、“長方形の辺のある特定範囲”をスリット表示判定領域1001を構成する長方形の4辺のうちの2つの短辺とすると、スリット表示判定部105は、ステップ1220において示される状態1202からスリットを表示すると判定し、スリット1000を表示部に表示させる。
【0054】
次に、図14を参照して、スリット表示判定部105が、画像表示部102の長辺方向と平行であるスリット1100を表示するかどうかを判定する処理について説明する。図14は、当該処理の流れを表わす図である。
【0055】
まず、ステップS1410にて、スリット表示判定部105は、スリット1100に紐づけられているスリット表示判定領域1101と、観察者1200の観察者基準線1201とを検出する。
【0056】
ステップS1420にて、スリット表示判定部105は、スリット表示判定領域1101と、観察者基準線1201とを重ね合わせる。ここでは、観察者基準線1201と、スリット表示判定領域1101を構成する長方形の2つの短辺とが交わっていないため、スリット表示判定部105は、スリット1100を表示しないと判断する。本実施の形態において、スリット表示判定領域1101が長方形である例が示されたが、スリット表示判定領域1101の形状は、長方形以外の形でもよい。
【0057】
ステップS1430にて、立体画像表示装置10は、スリットを表示することなく画像を表示する。したがって、この場合は、立体画像表示装置10は、2次元画像を表示するためのデータを用いて画像を表示する。
【0058】
図15を参照して、観察者が画像表示部102を観察している状態で、立体画像表示装置10を左回り方向(反時計回り)に回転させた時の処理の例を説明する。図15は、立体画像表示装置10を45°ずつ回転させた状態の推移を表わす図である。
【0059】
状態1500において、観察者1200は、画像表示部102を観察している。スリット表示判定部105は、顔位置検出部104で検出されるデータから求められる観察者基準線1201と、スリット1000に紐づけられているスリット表示判定領域1001とを重ね合わせ、また、観察者基準線1201と、スリット1100に紐づけられているスリット表示判定領域1101とを重ね合わせる。スリット表示判定部105は、重ね合わせの結果から、スリット1000を表示し、かつ、スリット1100を表示しないと判定する。スリット表示部103は、その判定の結果に基づき、スリット1000のみを表示する。この際、画像表示部102に表示される画像は、観察者がスリット1000を通して画像の立体視が可能になる画像である。たとえば、本実施の形態においては、図2に示される画像202のように、画像表示部102は、スリット1000と同じ方向に並べられた画像として、短冊状に分割された左目用画像200と右目用画像201とを表示する。
【0060】
立体画像表示装置10が45°回転すると、回転後の状態は、状態1501で示される。スリット表示判定部105は、観察者基準線1201とスリット表示判定領域1001,1101との各重ね合わせの結果から、スリット1000およびスリット1100を表示しないと判定する。スリット表示部103は、その判定の結果に基づき、スリットを表示しない。この場合、観察者は、画像表示部102に表示される画像を立体画像として認識できないため、画像表示部102は、たとえば、二次元の画像として、図2の左目用画像200や右目用画像201のどちらか一方の画像を表示する。
【0061】
立体画像表示装置10がさらに45°回転すると、回転後の状態は、状態1502で示される。スリット表示判定部105は、観察者基準線1201とスリット表示判定領域1001および1101との各重ね合わせの結果から、スリット1000を表示せず、スリット1100を表示すると判定する。スリット表示部103は、その判定結果に基づき、スリット1100のみを表示する。この際、画像表示部102に表示される画像は、状態1500の場合と同様に、観察者がスリット1100を通して画像を立体画像として認識できる画像を表示する。
【0062】
図16を参照して、本実施の形態に係る立体画像表示装置10の制御構造について説明する。図16は、立体画像表示装置10が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。当該処理は、たとえば、観察者が立体画像表示装置10を操作して、3次元画像を表示するべき旨の指示を立体画像表示装置10に与えた場合に開始する。
【0063】
ステップS1610にて、中央演算処理部100は、表示の対象として指定されたデータの属性に基づいて、画像表示部102が立体画像を表示可能か否かを判定する。立体画像とは、観察者に3次元の画像として認識させるために使用される画像である。一例としては、前述のとおり、図2の画像202や図5の画像500のようにスリットを通して観察される画像、図2の左目用画像200や右目用画像201のようにスリットを通さないで観察される画像を示す。中央演算処理部100は、画像表示部102が立体画像を表示可能であると判断すると(ステップS1620にてYES)、制御をステップS1620に切り換える。そうでない場合には(ステップS1620にてNO)、中央演算処理部100は、制御を終了する。
【0064】
ステップS1620にて、顔位置検出部104は、観察者の顔位置を検出する。
ステップS1630にて、スリット表示判定部105は、スリットに紐づけられたスリット表示判定領域を検出する。
【0065】
ステップS1640にて、スリット表示判定部105は、ステップS1620およびステップS1630において得られたデータに基づいて、画像表示部102の短辺方向に平行なスリット(以下、「垂直スリット」という。)を表示可能か否かを判定する。スリット表示判定部105は、当該スリットを表示すると判定すると(ステップS1640にてYES)、制御をステップS1650に切り換える。そうでない場合(ステップS1640にてNO)、スリット表示判定部105は、制御をステップS1660に切り換える。
【0066】
ステップS1650にて、スリット表示部103は、垂直スリットを表示する。
ステップS1660にて、スリット表示判定部105は、画像表示部102の長辺方向に平行なスリット(以下、「水平スリット」という。)を表示可能か否かを判定する。スリット表示判定部105は、当該スリットを表示可能と判定すると(ステップS1660にてYES)、制御をステップS1670に切り換える。そうでない場合には(ステップS1660にてNO)、スリット表示判定部105は、制御をステップS1680に切り換える。
【0067】
ステップS1670にて、スリット表示部103は、水平スリットを表示する。
ステップS1680にて、スリット表示部103は、垂直スリットおよび水平スリットのいずれも表示しない。
【0068】
ステップS1690にて、画像表示部102は、スリットの表示状態に応じた画像を表示する。仮に、スリットが表示されていない場合には、画像表示部102は、予め規定された規則にしたがって特定される二次元用の画像を表示する。
【0069】
[実施例の効果]
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る立体画像表示装置10によると、観察者の両目と立体画像表示装置10との位置関係を検出し、当該位置関係に応じて、視差バリアとしてのスリットの表示/非表示(形成/非形成)を制御する。このようにすると、立体画像表示装置10の姿勢に応じて3次元の画像が表示され、または、2次元の画像が表示される。そのため、立体画像表示装置10の画像表示モードが3次元に設定されている場合であっても、観察者が視認しやすい画像が表示される。
【0070】
<<変形例>>
図17を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。図17は、本変形例に係る立体画像表示装置1700の構成の概略を表わすブロック図である。立体画像表示装置1700は、慣性情報を検出する機能をさらに備える点で、前述の立体画像表示装置10と異なる。
【0071】
すなわち、立体画像表示装置1700は、図1に示される構成に加えて、慣性情報検出部1710をさらに備える。慣性情報検出部1710は、観察者が立体画像表示装置1700を傾けたり、回転させたり、移動させたりした際に、立体画像表示装置1700の動き情報を検知する。例えば、立体画像表示装置1700は、加速度センサ、角速度センサ、傾きセンサなどとして実現される。
【0072】
慣性情報検出部1710からの動き情報の使用例について説明する。先に述べたように、スリット表示判定部105は、スリットの表示および非表示を制御する。スリット表示判定部105は、この制御に伴う処理を、常時行う必要はない。たとえば、観察者や立体画像表示装置10に動きがあり、観察者と立体画像表示装置1700の位置関係が変化する場合にのみ行えばよい。
【0073】
たとえば、顔位置検出部104は、カメラなどを使って観察者の顔の位置情報を検出する。カメラを常時撮影状態にしておくと消費電流が多くなるため、立体画像表示装置10の電池残量の減りが早くなる。そこで、本変形例に係る立体画像表示装置1700は、慣性情報検出部1710からの動き情報に基づいて、立体画像表示装置1700に動きがあったどうかを検知し、動きがあった場合のみ、立体画像表示装置1700の各部は動作を行うようにすればよい。動きがあったかどうかの判断として、たとえば、中央演算処理部100は、慣性情報検出部1710からの動き情報を数値化し、この数値がある閾値を超えた時に、立体画像表示装置1700に動きがあったと判断する。立体画像表示装置に動きがあった場合は、中央演算処理部100は、顔位置検出部104またはスリット表示判定部105を動作させて、スリット表示制御を実行する。一方、立体画像表示装置1700の動きがなかった場合は、中央演算処理部100は、顔位置検出部104またはスリット表示判定部105などを動作させず、スリット表示制御のための処理を実行しない。慣性情報検出部1710からの動き情報の検出処理は、たとえば100ミリ秒毎に1回行うというように、ある特定の時間毎に行ってもよい。
【0074】
[制御構造]
次に、図18を参照して、本変形例に係る立体画像表示装置1700の制御構造について説明する。図18は、立体画像表示装置1700が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。
【0075】
ステップS1610にて、中央演算処理部100は、表示の対象として指定されたデータの属性に基づいて、画像表示部102が立体画像を表示可能か否かを判定する。中央演算処理部100は、画像表示部102が立体画像を表示可能であると判断すると(ステップS1620にてYES)、制御をステップS1810に切り換える。そうでない場合には(ステップS1620にてNO)、中央演算処理部100は、制御を終了する。
【0076】
ステップS1810にて、慣性情報検出部1710は、立体画像表示装置1700の動き情報を検出する。動き情報は、中央演算処理部100に送られる。
【0077】
ステップS1820にて、中央演算処理部100は、動き情報に基づいて、立体画像表示装置1700に動きがあったか否かを判断する。中央演算処理部100は、動きがあったと判断すると(ステップS1820にてYES)、制御をステップS1620に切り換える。そうでない場合には(ステップS1820にてNO)、中央演算処理部100は、制御をステップS1810に戻す。
【0078】
[変形例の効果]
以上のようにして、本変形例に係る立体画像表示装置1700は、その動きが検出された場合に、ステップS1620以降の処理を実行する。したがって、たとえば、観察者の顔検出のためにカメラを常時待機させる必要がなくなるため、立体画像表示装置1700の電池の消費が抑制される。
【0079】
本発明の実施の形態に係る立体画像表示装置10,1700に係る技術思想は、各処理ステップによって実現される。したがって、当該技術思想は、各処理ステップを実行するプログラムをプロセッサに実行させることによっても実現されるので、プログラムを格納するメモリと当該プログラムを実行するプロセッサとによって実現され得る。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、携帯電話機、スマートフォン、電子書籍リーダ、タブレット型コンピュータ、PDA、携帯型テレビジョン受信装置そのたの携帯可能な情報処理端末であって、視差バリアを形成することにより二次元の画像または三次元の画像を表示可能な情報処理端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10,1700 立体画像表示装置、100 中央演算処理部、101 画像データ記憶部、102 画像表示部、103 スリット表示部、104 顔位置検出部、105 スリット表示判定部、106 プログラム記憶部、200 左目用画像、201 右目用画像、202,500,700 画像、300,1000,1100 スリット、301,605 左目、302,604 右目、400,401,402 表示画面、600,1200 観察者、603 カメラ、701 右目部分、702 左目部分、703,801 直線、900 投影線、1001,1101,1301 スリット表示判定領域、1201,1302 観察者基準線、1710 慣性情報検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像から構成される立体画像を表示するための立体画像表示装置であって、
画像の表示を行うための画像表示部と、
前記画像表示部を観察している観察者の顔位置を検出するための顔位置検出部と、
前記画像表示部の表示領域の前面において視差バリアを形成するための形成手段と、
前記立体画像表示装置の動作を制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記形成手段によって形成される視差バリアの方向と、前記顔位置検出部によって検出される顔位置とに基づいて、前記形成手段による視差バリアの形成を制御する、立体画像表示装置。
【請求項2】
前記形成手段は、前記画像表示部の表示領域の前面においてスリットを表示するためのスリット表示部を含む、請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記スリット表示部は、前記表示領域の長手方向に平行な方向と、前記長手方向に垂直な方向との間で、スリットの表示方向を切り替える、請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記スリット表示部は、スリットの表示と非表示とを切り替えるように構成されている、請求項1または請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記画像表示部は、前記形成手段における視差バリアの状態と同期して、前記画像表示部に表示する画像を変えるように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
立体画像表示装置の慣性情報を検出するための慣性情報検出部をさらに備え、
前記制御手段は、前記慣性情報に基づいて、前記形成手段による視差バリアの形成を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
表示装置が立体画像を表示するための方法であって、
前記表示装置のモニタを観察している観察者の顔位置を検出するステップと、
検出された前記顔位置と、前記モニタにおいて形成可能な視差バリアの方向とに基づいて、視差バリアを形成するか否かを判断するステップと、
前記判断するステップにおける判断の結果に応じて、前記モニタに視差バリアを形成するステップと、
画像を表示するステップとを含む、方法。
【請求項8】
表示装置に立体画像を表示させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記表示装置に、
前記表示装置のモニタを観察している観察者の顔位置を検出するステップと、
検出された前記顔位置と、前記モニタにおいて形成可能な視差バリアの方向とに基づいて、視差バリアを形成するか否かを判断するステップと、
前記判断するステップにおける判断の結果に応じて、前記モニタに視差バリアを形成するステップと、
画像を表示するステップとを実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−37215(P2013−37215A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173717(P2011−173717)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】