説明

立体画像表示装置

【課題】従来の立体画像表示装置の対象物を表示する際の精細度は十分ではない。
【解決手段】立体画像表示装置は、それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第1の2次元プロジェクタアレイ1と、それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第2の2次元プロジェクタアレイ2と、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光を透過し、第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光を反射するハーフミラー3とを有し、第1の2次元プロジェクタアレイ1と第2の2次元プロジェクタアレイ2とは、それぞれの画像光を発する側の面が実質的に直交するように配置され、ハーフミラー3は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の画像光を発する側の面と第2の2次元プロジェクタアレイ2の画像光を発する側の面とがなす角を実質的に二等分する位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を立体的に表示する立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼鏡等を用いず裸眼で映像を立体的に鑑賞することができる装置として、複数のプロジェクタを有する立体画像表示装置が用いられる。各プロジェクタは、投射レンズを有しており、投射レンズ相互が重ならないように水平方向に一次元に配置されるか、又は、二次元状に並列的に配置される。本明細書では、「二次元状に並列的に配置」を「変形二次元配置」と記載する場合もある。複数のプロジェクタが変形二次元配置されたプロジェクタアレイ(以下、「2次元プロジェクタアレイ」と記載する。)を用いる場合、スクリーンの側には、各プロジェクタの垂直方向の位置の違いをキャンセルする垂直拡散板を配置する。
【0003】
2次元プロジェクタアレイの水平方向におけるプロジェクタ相互の間隔は、複数のプロジェクタが一次元に配置されたプロジェクタアレイ(以下、「1次元プロジェクタアレイ」と記載する。)のプロジェクタ相互の間隔より短い。そのため、2次元プロジェクタアレイを用いると、1次元プロジェクタアレイを用いるより、対象物を高精細に表示することができる(例えば、特許文献1及び非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−309975号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】中沼寛、「指向性画像を高密度に表示する自然な三次元ディスプレイの開発」、社団法人電気学会、三次元画像コンファレンス2004、2004年、電気学会会誌
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、2次元プロジェクタアレイでは、投射レンズの大きさにより隣り合うプロジェクタ相互の距離が決まるので、決められた範囲でのプロジェクタの設置台数は制限される。そのため、2次元プロジェクタアレイを単に用いるだけでは、対象物を表示する際の精細度は十分ではない。
【0007】
本発明は、対象物を従来より精細に立体的に表示する立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の立体画像表示装置は、それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第1の2次元プロジェクタアレイと、それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第2の2次元プロジェクタアレイと、前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光を透過し、前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光を反射して、前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光及び前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光を合成する画像光合成部と、を備え、前記第1の2次元プロジェクタアレイと、前記第2の2次元プロジェクタアレイとは、それぞれの画像光を発する側の面が実質的に直交するように配置され、前記画像光合成部は、前記第1の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面と前記第2の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面とがなす角を実質的に二等分する位置に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、対象物を従来より精細に立体的に表示する立体画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態の立体画像表示装置の光学系の概観を示す図である。
【図2】2次元プロジェクタアレイの投射レンズ側から見た際の複数の投射レンズそれぞれの位置関係を示す模式図である。
【図3】本実施の形態の立体画像表示装置を構成する第1の2次元プロジェクタアレイ、第2の2次元プロジェクタアレイ、及び、ハーフミラーの位置関係を説明するための図である。
【図4】第1の2次元プロジェクタアレイを構成する複数のプロジェクタの投射レンズそれぞれがハーフミラーに仮想的に投影されるとともに、第2の2次元プロジェクタアレイを構成する複数のプロジェクタの投射レンズそれぞれがハーフミラーに仮想的に投影された状態を示す図である。
【図5】本実施の形態の立体画像表示装置の色調整系を示す図である。
【図6】図5の調整情報生成回路の構成図である。
【図7】図5の色調整回路の構成図である。
【図8】調整情報を生成する際の色調整系の動作の主要部の各ステップを示すフローチャートである。
【図9】画像信号の色の値を調整する際の色調整系の動作の各ステップを示すフローチャートである。
【図10】第1の変形例の立体画像表示装置の光学系を示す図である。
【図11】第2の変形例の立体画像表示装置の光学系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
【0012】
(光学系)
先ず、本実施の形態の立体画像表示装置の光学系を説明する。図1は、本実施の形態の立体画像表示装置の光学系の概観を示す図である。本実施の形態の立体画像表示装置は、対象物を立体的に表示する装置であって、図1に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2と、ハーフミラー3とを有する。ここで、図1では各構成部材の概要が一目で判断できるよう、各構成部材を異なった視点から観察した場合について示している。
【0013】
第1の2次元プロジェクタアレイ1は、画像光を発するプロジェクタ11が複数個集められたものである。各プロジェクタ11は、投射レンズ12を有する。第1の2次元プロジェクタアレイ1の詳細は、図2を用いて後述する。第2の2次元プロジェクタアレイ2は、第1の2次元プロジェクタアレイ1と同じ構成のプロジェクタアレイであって、画像光を発するプロジェクタ21が複数個集められたものである。各プロジェクタ21は、投射レンズ22を有する。
【0014】
ハーフミラー3は、画像光合成部であり入射光の一部を反射し、一部を透過させる平板状の光学素子である。具体的には、ハーフミラー3は、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光を透過させ、第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光を反射する。図1には、スクリーン4も表示されている。スクリーン4には、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光と第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光とが投射される。第1の2次元プロジェクタアレイ1、第2の2次元プロジェクタアレイ2、ハーフミラー3、及び、スクリーン4の位置関係は、図3を用いて後述する。
【0015】
図2は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の投射レンズ12側から見た際の複数の投射レンズ12それぞれの位置関係を示す模式図である。具体的には、図2は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の投射レンズ12が設けられている側(以下、「画像光を発する側」と記載する。)の面を示している。第1の2次元プロジェクタアレイ1は、複数の投射レンズ12を有しており、図2における円は、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数の投射レンズ12それぞれを示している。また、図2における円内の「×」は、その円の中心、つまりその円に対応する投射レンズ12の中心を示している。
【0016】
第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11それぞれは、二次元状に並列的に配置されている。すなわち、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11それぞれは、変形二次元配置されている。更に言うと、各プロジェクタ11の投射レンズ12の中心は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の底面と平行な水平方向を示すX軸において実質的に等間隔に位置する。図2では、その間隔は“Q”と表示されている。
【0017】
図3は、本実施の形態の立体画像表示装置を構成する第1の2次元プロジェクタアレイ1、第2の2次元プロジェクタアレイ2、及び、ハーフミラー3の位置関係を説明するための図である。更に言うと、図3は、本実施の形態の立体画像表示装置を上面から見た場合の図である。
【0018】
図3に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2とは、それぞれの画像光を発する側Aの面の中心線がいずれかの点で交差し、かつそれぞれの画像光を発する側Aが実質的に直交するように配置される。「実質的に直交」とは、80度から100度を意味する。ハーフミラー3は、ハーフミラー3の中心線と第1の2次元プロジェクタアレイ1の画像光を発する側Aの面の中心線とがいずれかの点で交差し、かつ第1の2次元プロジェクタアレイ1の画像光を発する側A及び第2の2次元プロジェクタアレイ2の画像光を発する側Aがなす角を実質的に二等分するように配置される。「実質的に二等分」とは、40度から50度を意味する。
【0019】
また、第1の2次元プロジェクタアレイ1の中心とハーフミラー3の中心との距離と、第2の2次元プロジェクタアレイ2の中心とハーフミラー3の中心との距離とが実質的に等しくなるように、第1の2次元プロジェクタアレイ1、第2の2次元プロジェクタアレイ2、及び、ハーフミラー3は、配置される。
【0020】
図3には、スクリーン4も表示されている。スクリーン4は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の画像光を発する側Aと対向するとともに、第2の2次元プロジェクタアレイ2の画像光を発する側Aと実質的に直交するように配置される。「実質的に直交」とは、80度から100度を意味する。第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光は、ハーフミラー3を透過してスクリーン4に向かい、第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光は、ハーフミラー3によって反射されてスクリーン4に向かう。
【0021】
次に、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11それぞれと、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数のプロジェクタ21それぞれとの位置関係を、図4を用いて説明する。図4は、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11の投射レンズ12それぞれがハーフミラー3に仮想的に投影されるとともに、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数のプロジェクタ21の投射レンズ22それぞれがハーフミラー3に仮想的に投影された状態を示す図である。
【0022】
図4において、実線の円は、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11の投射レンズ12それぞれを示しており、破線の円は、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数のプロジェクタ21の投射レンズ22それぞれを示している。また、実線の円内の「×」は、その円に対応するプロジェクタ11の投射レンズ12の中心(光軸中心)を示しており、破線の円内の「×」は、その円に対応するプロジェクタ21の投射レンズ22の中心(光軸中心)を示している。
【0023】
図4に示すように、ハーフミラー3に仮想的に投影された状態において、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数の投射レンズ12それぞれの中心(光軸中心)と、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数の投射レンズ22それぞれの中心(光軸中心)とが、水平方向を示すX軸において実質的に等間隔に位置するように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と第2の2次元プロジェクタアレイ2とは配置される。
【0024】
換言すると、第1の2次元プロジェクタアレイ1と第2の2次元プロジェクタアレイ2とは、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光と第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光とが投射されるスクリーン4の水平方向において、全てのプロジェクタ11,21からの画像光の中心相互の間隔が実質的に等間隔になるように、配置される。つまり、全てのプロジェクタ11,21は、それぞれの光軸中心の間隔が実質的に等間隔となるよう配置されている。
【0025】
すなわち、本実施の形態の立体画像表示装置の水平方向におけるプロジェクタの投射レンズの中心相互の間隔は、第1の2次元プロジェクタアレイ1を一つ用いた場合の水平方向におけるプロジェクタ11の投射レンズ12の中心相互の間隔の1/2である。
【0026】
つまり、図4に示す、本実施の形態の立体画像表示装置の水平方向におけるプロジェクタの投射レンズの中心相互の間隔Pは、図2に示す、第1の2次元プロジェクタアレイ1を一つ用いた場合の水平方向におけるプロジェクタの投射レンズの中心相互の間隔Qの1/2である。
【0027】
更に言うと、本実施の形態の立体画像表示装置では、第1の2次元プロジェクタアレイ1を一つ用いた場合に対して、水平方向におけるプロジェクタの密度が2倍になっている。これにより、本実施の形態の立体画像表示装置は、従来に比較してより高精細に対象物を表示することができる。
【0028】
ところで、図4を用いて説明したように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と第2の2次元プロジェクタアレイ2とを、水平方向において、全ての投射レンズの中心相互の間隔が実質的に等間隔になるように配置する方法として、例えば以下の方法を用いる。
【0029】
先ず、第1の2次元プロジェクタアレイ1の中心部に位置する隣接する2個のプロジェクタ11を発光させる。次に、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数のプロジェクタ21のうちの、スクリーン4において、2個のプロジェクタ11からの画像光の中点に位置すべき画像光を発するプロジェクタ21を選択し、発光させる。
【0030】
そして、スクリーン4において、2個のプロジェクタ11からの画像光の中点に選択したプロジェクタ21からの画像光が位置するように、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2の一方又は双方を移動させる。これにより、図4を用いて説明したように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と第2の2次元プロジェクタアレイ2とを、水平方向において、全ての投射レンズの中心相互の間隔が実質的に等間隔になるように配置することができる。
【0031】
なお、スクリーン4の側には、垂直方向に光線を拡散し、各プロジェクタの垂直方向の位置の違いをキャンセルする垂直拡散板と、光線の進行方向を決定するフレネルレンズとが配置される。
【0032】
(色調整系)
従来の立体画像表示装置には、プロジェクタアレイとスクリーンとの間に、画像光の色を変化させる構成部は存在しない。それに対して、本実施の形態の立体画像表示装置には、図1に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2とスクリーン4との間に、画像光の色を変化させるハーフミラー3が存在する。そのため、本実施の形態の立体画像表示装置には、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2が発する画像光の色を調整するための色調整系が設けられている。
【0033】
以下に、本実施の形態の立体画像表示装置の色調整系を説明する。図5は、本実施の形態の立体画像表示装置の色調整系を示す図である。本実施の形態の立体画像表示装置は、色調整系として、図5に示すように、測色センサ50と、調整情報生成回路51と、伝達回路52と、複数の色調整回路53とを有する。図5には、第1の2次元プロジェクタアレイ1を構成する複数のプロジェクタ11、及び、第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する複数のプロジェクタ21も表示されている。
【0034】
測色センサ50は、スクリーン4に配置され、スクリーン4に投射された画像光の色を測定する。測色センサ50は、測定結果を測定信号として調整情報生成回路51に出力する。
【0035】
調整情報生成回路51には、測色センサ50によって得られた測定信号が入力する。調整情報生成回路51は、測色センサ50からの測定信号に基づいて、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する全てのプロジェクタ11,21に供給される調整信号を生成する。調整情報生成回路51は、生成した調整信号を伝達回路52に出力する。調整信号は、画像信号の色の値を調整するための情報を含んでいる。調整情報生成回路51は、複数の構成部を有している。調整情報生成回路51の構成は、図6を用いて後述する。調整情報生成回路51は、例えば、PC(Personal Computer)により実現される。伝達回路52は、調整信号を調整情報生成回路51から取得し、各色調整回路53に出力する。伝達回路52は、例えば、ハブ機能を有する通信機器により実現される。
【0036】
色調整回路53は、調整情報生成回路51によって生成された調整信号を伝達回路52を介して取得して調整信号を保持する。また、色調整回路53は、本実施の形態の立体画像表示装置の外部からの画像信号が入力し画像をスクリーン4に投影する際に、保持した調整信号に基づいて画像信号の色の値を調整する。色調整回路53は、色の値を調整した画像信号を対応するプロジェクタに出力する。色調整回路53は、複数の構成部を有している。色調整回路53の構成は、図7を用いて後述する。
【0037】
次に、調整情報生成回路51の構成について図6を用いて説明する。図6は、調整情報生成回路51の構成図である。調整情報生成回路51は、図6に示すように、調整情報生成指示部61と、選択部62と、テストパターン保持部63と、測定データ入力部64と、調整情報生成部65と、出力部66とを有する。
【0038】
調整情報生成指示部61は、ユーザから調整情報の生成指示を受け付け、調整情報生成指示信号を出力する。選択部62は、調整情報生成指示部61からの調整情報生成指示信号に基づいて、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する全部のプロジェクタから測定を行うプロジェクタを選択するためのプロジェクタ選択信号を出力部66に出力する。プロジェクタ選択信号は、選択したプロジェクタをオン状態にさせ、それ以外のプロジェクタをオフ状態にさせるものである。また、選択部62は、テストパターン保持部63によって保持されている複数のテストパターンからいずれかのテストパターンを選択するためのテストパターン選択信号を出力部66に出力する。テストパターンは後述する。
【0039】
テストパターン保持部63は、複数のテストパターンを保持する。テストパターンは、例えばホワイトバランスを合わせるためのグレー領域のテストパターン、階調補正用のグレーチャートのテストパターン、又は、色補正用としての所定色のカラーパッチを有する画像データのテストパターンである。測定データ入力部64は、測色センサ50から出力される測定信号を取得して調整情報生成部65に出力する。調整情報生成部65は、テストパターン保持部63からテストパターンを取得するとともに、測定データ入力部64からは測色信号を取得し、テストパターンと測定信号とを比較し、測定信号をテストパターンに近づけるための調整信号を生成する。調整情報生成部65は、調整信号を出力部66に出力する。出力部66は、調整情報生成部65からの調整信号と、選択部62からのプロジェクタ選択信号及びテストパターン選択信号を、伝達回路52に出力する。
【0040】
次に、色調整回路53の構成を図7を用いて説明する。図7は、色調整回路53の構成図である。色調整回路53は、図7に示すように、調整情報取得部71と、テストパターン保持部72と、調整情報保持部73と、画像信号取得部74と、調整部75と、出力部76とを有する。
【0041】
調整情報取得部71は、図6の調整情報生成回路51の調整情報生成部65によって生成された調整信号を、伝達回路52を経由して取得する。また、調整情報取得部71は、図6の選択部62が出力したプロジェクタ選択信号を、伝達回路52を経由して取得する。更に、調整情報取得部71は、取得した調整信号及びプロジェクタ選択信号を調整情報保持部73に出力する。テストパターン保持部72は、図6の調整情報生成回路51のテストパターン保持部63が保持するテストパターンと同一のテストパターンを保持する。また、テストパターン保持部72は、図6の選択部62が出力したテストパターン選択信号を、伝達回路52を経由して取得する。更に、テストパターン保持部72は、取得したテストパターン選択信号に対応するテストパターン信号を出力部76に出力する。調整情報保持部73は、調整情報取得部71からの調整信号及びプロジェクタ選択信号を取得し、調整信号を保持し、プロジェクタ選択信号を出力部76に出力する。
【0042】
画像信号取得部74は、本実施の形態の立体画像表示装置の外部から画像信号を取得して調整部75に出力する。調整部75は、画像信号取得部74からの画像信号を取得するとともに、調整情報保持部73からの調整信号を取得し、調整信号に基づいて画像信号の色補正を行い、出力画像信号を生成して出力部76に出力する。出力部76は、テストパターン保持部72からのテストパターン信号と、調整情報保持部73からのプロジェクタ選択信号と、調整部75からの出力画像信号とを取得し、対応するプロジェクタに出力する。
【0043】
次に、色調整系の動作を説明する。色調整系の動作は、画像信号の色の値を調整するための調整情報を生成する動作と、画像信号の色の値を調整する動作とを含む。それらの動作を順に説明する。先ず、調整情報を生成する際の色調整系の動作を図8を用いて説明する。図8は、調整信号を生成する際の色調整系の動作の主要部の各ステップを示すフローチャートである。
【0044】
先ず、ユーザは、画像をスクリーン4に表示する前に、測色センサ50をスクリーン4に配置し、調整情報を生成させる指示を調整情報生成回路51に与える。調整情報生成回路51では、調整情報生成指示部61がユーザからの調整情報の生成指示を受け付け、調整情報生成指示信号を選択部62に出力する(S1)。選択部62は、調整情報生成指示部61からの調整情報生成指示信号に基づいて、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する全部のプロジェクタから測定を行うプロジェクタを選択する(S2)。これにより、選択されたプロジェクタの調整信号が後に生成される。
【0045】
次に、選択部62は、選択したプロジェクタをオン状態にさせ、それ以外のプロジェクタをオフ状態にさせるためのプロジェクタ選択信号を出力部66に出力する。出力部66は、そのプロジェクタ選択信号を伝達回路52に出力し、伝達回路52は、そのプロジェクタ選択信号を各色調整回路53に出力する。
【0046】
選択されたプロジェクタに対応する色調整回路53では、調整情報取得部71が、プロジェクタ選択信号を取得し、調整情報保持部73を介して出力部76に出力する。出力部76は、プロジェクタ選択信号に基づいて、オン状態にさせる指示を選択されたプロジェクタに出力する。これにより、選択されたプロジェクタは、オン状態になる。他方、選択されなかったプロジェクタに対応する色調整回路53では、調整情報取得部71が、プロジェクタ選択信号を取得し、調整情報保持部73を介して出力部76に出力する。出力部76は、プロジェクタ選択信号に基づいて、オフ状態にさせる指示を選択されなかったプロジェクタに出力する。これにより、選択されなかったプロジェクタは、オフ状態になる。
【0047】
次に、選択部62は、テストパターン保持部63によって保持されている複数のテストパターンからいずれかのテストパターンを選択する(S3)。選択部62は、選択したテストパターンを特定するテストパターン選択信号を出力部66に出力する。出力部66は、そのテストパターン選択信号を伝達回路52に出力し、伝達回路52は、テストパターン選択信号を選択されたプロジェクタに対応する色調整回路53に出力する。
【0048】
選択されたプロジェクタに対応する色調整回路53では、テストパターン保持部72が、テストパターン選択信号を取得し、そのテストパターン選択信号が特定するテストパターン信号を出力部76に出力する。出力部76は、テストパターン保持部72からのテストパターン信号を取得して選択されたプロジェクタに出力する。これにより、選択されたプロジェクタは、選択されたテストパターンを発光する。
【0049】
測色センサ50は、スクリーン4に集められた画像光の色を測定し、測定結果を測定信号として調整情報生成回路51に出力する。調整情報生成回路51では、測定データ入力部64が、測色センサ50から測定信号を取得する(S4)。調整情報生成部65は、選択されたテストパターンと、測定データ入力部64によって取得された測定信号とを比較し、測定信号を選択されたテストパターンに近づけるための調整情報を生成し、一時的に保持する(S5)。
【0050】
選択部62は、テストパターン保持部63によって保持されている全てのテストパターンについての調整情報が生成されたか否かを判断する(S6)。選択部62は、全てのテストパターンについての調整情報が生成されていないと判断した場合(S6でNo)、ステップS3に戻り、テストパターン保持部63によって保持されている全てのテストパターンのうちの未だ選択されていないいずれかのテストパターンを選択する(S3)。その後、色調整系は、ステップS6までの処理を行う。
【0051】
他方、選択部62は、全てのテストパターンについての調整情報が生成されたと判断した場合(S6でYes)、選択されたプロジェクタに関する全てのテストパターンについての調整情報を含む調整信号を出力部66に出力する。出力部66は、調整信号を伝達回路52に出力し、伝達回路52は、調整信号を選択されたプロジェクタに対応する色調整回路53に出力する(S7)。
【0052】
選択されたプロジェクタに対応する色調整回路53では、調整情報取得部71が、調整信号を取得して調整情報保持部73に出力し、調整情報保持部73は、調整情報取得部71によって取得された調整信号を保持する。
【0053】
次に、選択部62は、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2を構成する全部のプロジェクタを選択したか否かを判断する(S8)。選択部62は、全部のプロジェクタを選択していないと判断した場合(S8でNo)、ステップS2に戻り、全部のプロジェクタのうちの未だ選択されていないプロジェクタを選択する(S2)。その後、色調整系は、ステップS8までの処理を行う。
【0054】
他方、選択部62が全部のプロジェクタを選択したと判断した場合(S8でYes)、色調整系の動作は終了する。これにより、各プロジェクタに対応する色調整回路53は、調整情報保持部73により、全てのテストパターンについての調整情報を含む調整信号を保持し、後に取得する画像信号の色の値を調整することができる。
【0055】
次に、画像信号の色の値を調整する際の色調整系の動作を図9を用いて説明する。図9は、画像信号の色の値を調整する際の色調整系の動作の各ステップを示すフローチャートである。
【0056】
先ず、ユーザは、測色センサ50をスクリーン4から遠ざける。その後、各色調整回路53において、画像信号取得部74は、画像信号を取得し、調整部75に出力する(S11)。調整部75は、調整情報保持部73によって保持されている調整信号に基づいて、画像信号取得部74からの画像信号の色の値を調整し、出力部76に出力する(S12)。出力部76は、調整部75によって色の値が調整された画像信号を、対応するプロジェクタに出力する(S13)。
【0057】
これにより、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2とスクリーン4との間に、画像光の色を変化させるハーフミラー3が存在しても、第1の2次元プロジェクタアレイ1及び第2の2次元プロジェクタアレイ2は、本来の色の画像をスクリーン4に表示することができる。
【0058】
なお、色調整回路53は、対応するプロジェクタに組み込まれていてもよい。
【0059】
(光学系の変形例)
図1に示す本実施の形態の立体画像表示装置の光学系を構成するハーフミラー(画像光合成部)3は、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光を透過させ、第2の2次元プロジェクタアレイ2からの画像光を反射する偏光板に置き換えられてもよい。
【0060】
また、立体画像表示装置の光学系は、図10に示す光学系であってもよい。図10は、第1の変形例の立体画像表示装置の光学系を示す図である。第1の変形例の立体画像表示装置の光学系は、図10に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2と、第3の2次元プロジェクタアレイ5と、クロスプリズム6とを有する。図10には、スクリーン4も表示されている。
【0061】
第3の2次元プロジェクタアレイ5は、第1の2次元プロジェクタアレイ1と同じ構成のプロジェクタアレイである。クロスプリズム6は、第1の2次元プロジェクタアレイ1からの画像光を透過させ、第2の2次元プロジェクタアレイ2及び第3の2次元プロジェクタアレイ5からの画像光をスクリーン4に反射する。
【0062】
次に、第1の変形例の立体画像表示装置の光学系を構成する各構成部材が配置される状況を説明する。第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2とは、画像光を発する側相互が実質的に直交するように配置される。第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第3の2次元プロジェクタアレイ5とは、画像光を発する側相互が実質的に直交するように配置される。つまり、第2の2次元プロジェクタアレイ2と、第3の2次元プロジェクタアレイ5とは、対向する。スクリーン4は、第1の2次元プロジェクタアレイ1と対向するように配置される。
【0063】
更に、第1の2次元プロジェクタアレイ1、第2の2次元プロジェクタアレイ2、及び、第3の2次元プロジェクタアレイ5は、スクリーン4の水平方向において、全てのプロジェクタからの画像光の中心相互の間隔が実質的に等間隔になるように、配置される。
【0064】
また、立体画像表示装置の光学系は、図11に示す光学系であってもよい。図11は、第2の変形例の立体画像表示装置の光学系を示す図である。第2の変形例の立体画像表示装置の光学系は、図11に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2と、ハーフミラー3と、第3の2次元プロジェクタアレイ5と、第2のハーフミラー7とを有する。図11には、スクリーン4も表示されている。第2のハーフミラー7は、ハーフミラー3からの画像光を透過させ、第3の2次元プロジェクタアレイ5からの画像光をスクリーン4に反射する。
【0065】
次に、第2の変形例の立体画像表示装置の光学系を構成する各構成部材が配置される状況を説明する。図11に示すように、第1の2次元プロジェクタアレイ1と、第2の2次元プロジェクタアレイ2とは、画像光を発する側A相互が実質的に直交するように配置される。ハーフミラー3は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の画像光を発する側A及び第2の2次元プロジェクタアレイ2の画像光を発する側Aがなす角を実質的に二等分するように配置される。
【0066】
第2のハーフミラー7は、ハーフミラー3とスクリーン4との間に配置される。第2のハーフミラー7は、ハーフミラー3と実質的に平行に配置される。第3の2次元プロジェクタアレイ5は、第2の2次元プロジェクタアレイ2と実質的に平行に配置される。第3の2次元プロジェクタアレイ5の中心と第2のハーフミラー7の中心との距離は、第1の2次元プロジェクタアレイ1の中心と第2のハーフミラー7の中心との距離と実質的に等しい。
【0067】
更に、第1の2次元プロジェクタアレイ1、第2の2次元プロジェクタアレイ2、及び、第3の2次元プロジェクタアレイ5は、スクリーン4の水平方向において、全てのプロジェクタからの画像光の中心相互の間隔が実質的に等間隔になるように配置される。
【0068】
上述した第1及び第2の変形例の立体画像表示装置の光学系を用いると、従来より精細に対象物を立体的に表示することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の2次元プロジェクタアレイ、 2 第2の2次元プロジェクタアレイ、 3 ハーフミラー、 4 スクリーン、 5 第3の2次元プロジェクタアレイ、 6 クロスプリズム、 7 ハーフミラー、 11 プロジェクタ、 12 レンズ、 21 プロジェクタ、 22 レンズ、 50 測色センサ、 51 調整情報生成回路、 52 伝達回路、 53 色調整回路、 61 調整情報生成指示部、 62 選択部、 63 テストパターン保持部、 64 測定データ入力部、 65 調整情報生成部、 66 出力部、 71 調整情報取得部、 72 テストパターン保持部、 73 調整情報保持部、 74 画像信号取得部、 75 調整部、 76 出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第1の2次元プロジェクタアレイと、
それぞれ画像光を投影する複数のプロジェクタを二次元状に並列的に配置した第2の2次元プロジェクタアレイと、
前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光を透過し、前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光を反射して、前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光及び前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光を合成する画像光合成部と、
を備え、
前記第1の2次元プロジェクタアレイと、前記第2の2次元プロジェクタアレイとは、それぞれの画像光を発する側の面が実質的に直交するように配置され、
前記画像光合成部は、前記第1の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面と前記第2の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面とがなす角を実質的に二等分する位置に配置されている
立体画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光と前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光とが前記画像光合成部によって合成されスクリーンに投影された場合、いずれのプロジェクタから投影された画像光も互いに重ならないよう前記第1の2次元プロジェクタアレイと前記第2の2次元プロジェクタアレイとが配置されている
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記第1の2次元プロジェクタアレイと前記第2の2次元プロジェクタアレイとは、前記第1の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面の中心と前記画像光合成部における前記第1の2次元プロジェクタアレイからの画像光の入射面の中心との距離と、前記第2の2次元プロジェクタアレイの画像光を発する側の面の中心と前記画像光合成部における前記第2の2次元プロジェクタアレイからの画像光の入射面の中心との距離とが実質的に等しくなるように配置されている
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
更に、
テストパターンを保持するテストパターン保持部と、
前記プロジェクタが発する画像光の色の色情報を取得する光色情報取得部と、
前記光色情報取得部によって取得された前記色情報に対応する色を、前記テストパターン保持部によって保持されているテストパターンが有する色に近づけるための調整情報を生成する調整情報生成部と、
前記調整情報生成部によって生成された調整情報を保持する調整情報保持部と、
画像信号を取得する画像信号取得部と、
前記調整情報保持部によって保持された調整情報をもとに、前記画像信号取得部によって取得された画像信号の色の値を調整する調整部と、
前記調整部によって色の値が調整された画像信号を前記プロジェクタに出力する出力部と
を備える請求項1に記載の立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−107406(P2011−107406A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262168(P2009−262168)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】