説明

立体表示装置

【課題】無偏光の表示装置を用いて液晶シャッタ眼鏡の偏光板を透過させることにより偏光光に変換すると、透過率が低く、立体視を行う場合に映像が顕著に暗くなる。またシャッタ機構を表示装置の前面に配置すると、スイッチ機構が大型化し、製造コストが高くなる。また、シャッタ眼鏡が開となっていない期間の発光については、立体視として視認されないため、無駄な消費電力が発生する。
【解決手段】偏光光が出射される液晶ディスプレイの表面に1/4波長板を配置して左右画像を交互表示し、左右画像を観察する立体視用のシャッタ眼鏡として、1/4波長板と液晶セルを用いた構成の円偏光フィルタ眼鏡を用いるか、光学軸を切換え可能な1/4波長板と偏光板を用いた構成の円偏光フィルタ眼鏡を用いて、表示部からの円偏光の左右画像を観察する。また、立体視として視認される期間にのみ液晶ディスプレイのバックライトの発光を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置を用いた時分割2眼立体視に適した立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用の表示装置として、フラットパネルディスプレイの普及が進み、パネルの解像度もフルHD(High Definition:高解像度)になるなど高画質化して、立体表示しても許容される画質レベルになってきている。また、映像を記録・再生する装置もDVD規格からBD(ブルーレイディスク)規格への移行が進みつつあり、2眼方式の立体視に用いる高解像度の映像を記録できる程度まで大容量化も進んでいる。これらを背景に立体表示に対応した放送が開始され、表示装置も市販され始めている。
【0003】
しかし、立体映像ソースとしては、BDに記録された映画などソースからの普及が予想されている。映画の視聴については、部屋の視聴環境も暗くしての視聴が想定される。一方、現状の一般放送における2次元表示においては、リビングなどの明るい環境下での視聴が主な用途となるため、明るい表示が必要である。
【0004】
立体表示の方式としては、色々な方法が存在しており、現在、日本BS放送(BS11デジタル)で立体映像が放送されているが、立体表示の方式としては、観察位置の制限が無く、解像度の低下も無い時分割2眼立体視の方式が表示性能面で優れている。
【0005】
時分割2眼立体視の方式は、表示装置側で左右の目に観察させる画像を交互に表示させ、その画像の切換えに同期して開閉するシャッタ機構を有するシャッタ眼鏡を通して、観察者は左目には左目用の画像を、右目には右目用の画像を観察することで立体視を行う方式である。映像の切換えとシャッタ眼鏡のシャッタの開閉の同期手段としては、表示装置側に赤外線同期信号を発生するエミッタを取り付け、シャッタ眼鏡側でこの信号を受信して同期をとる方式が一般的である。
【0006】
現在放送されている日本BS放送の立体映像に対応したテレビは、例えば、特許文献1に記載される様に液晶ディスプレイの表面に行単位で偏光方向を変える偏光軸制御板を設けた構造で、前記偏光軸制御板を通過した行単位に偏光方向の異なる光を出射する(図4参照)。これらの偏光方向の異なる光を選択的に透過する偏光眼鏡を通して、左目と右目に個別の映像を視認させることで立体視を行うものである。
【0007】
この方式では、液晶ディスプレイ11の奇数行401と偶数行402の夫々に左目用と右目用の画像を交互に表示する。液晶ディスプレイの表面には偏光軸制御板410があり、前記液晶ディスプレイの奇数行401と偶数行402に対応した位置に偏光軸制御パターン411と412が貼り合わされ、夫々を透過した光は、421と422の様に逆方向の円偏光となる。これらの光を円偏光フィルタ眼鏡により、右目用と左目用の光として視認する。
【0008】
時分割2眼立体視の方式が、観察位置の制限が無く、解像度の低下も無いため、表示性能面で優れている。時分割2眼立体視の方式については、シャッタ機構を眼鏡に持たせる場合と、表示装置と眼鏡との間に設ける方式が存在している。
【0009】
特許文献2、3には、後者の方式の記載があり、表示装置の前面に配置された液晶セルによるスイッチングが行われている。液晶セルの配置位置としては、表示装置の前面に貼り付けるか、表示装置の前面側で、貼り付けずに自立させる場合も考えられている。
【0010】
特許文献4、5には、液晶光学スイッチ手段(液晶シャッタ)を偏光眼鏡の側、あるいは、画像表示装置の前面に用いる構成の記述があり、また、偏光切替機構(図示せず。)を設けて、左眼画像および右眼画像のいずれか一方を直線偏光とし、他方を円偏光(楕円偏光)とすることができることが記述されている。
【0011】
また、最近では、表示装置にPDP(プラズマディスプレイパネル)を用いて、液晶シャッタ眼鏡を用いた方式も展示会などで発表されたり,市販されたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−170557号公報
【特許文献2】特開昭62−191820号公報
【特許文献3】特開昭62−191824号公報
【特許文献4】特開平11−38361号公報
【特許文献5】特開2001−154640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載された従来技術では、液晶ディスプレイ11の奇数行401と偶数行402の夫々に左目用と右目用の画像を交互に表示し、逆方向の円偏光となる。これらの光を円偏光フィルタ眼鏡により、右目用と左目用の光として視認するので、垂直方向の解像度が1/2に低下する。
【0014】
また、垂直方向の見る角度によっては、液晶ディスプレイのガラスの厚みの影響によって、点灯画素と偏光軸制御パターンとの間にずれが生じて左右の映像がクロストークを生じる問題もある。表示装置と観察位置の間の距離が同じ場合では、画面サイズが大きくなるほど、画面上端と下端に対する見込み角度が大きくなる為、クロストーク量が増えてしまう。
【0015】
特許文献2,3に記載された従来技術では、表示装置の前面に配置された液晶セルによるスイッチングが行われているが、表示装置が大画面化している現在、この様にスイッチングを行う液晶セルも同様に大型化し、基板コストなどが高くなる問題がある。
【0016】
また、表示装置として、発明がなされた当時に一般的であったCRTなど無偏光の光を表示に用いる素子を適用した場合に、液晶シャッタを透過した際に偏光光として透過するため、透過率が低く、液晶シャッタ無しで2次元表示を行っているときの光量に比べて、約1/4の光量しか立体表示に利用できておらず、立体映像が暗いものとなる課題がある。
【0017】
シャッタ部をCRTに貼り付けた場合に、この理由から2次元表示を行う場合にも元のCRTの光量の約1/2と暗くなる課題がある。シャッタ部をCRTに貼り付けていない場合でも、2次元表示において元のCRTの光量をそのまま視認するためには、液晶シャッタ部を移動させる必要があり、問題である。
【0018】
特許文献4,5に記載された従来技術でも、特許文献2,3で述べた課題の他、左右で見える画像の色合いの差が大きくなり、位相差板を用いて色補償などが必要になるという問題点がある。
【0019】
また、最近では、表示装置にPDP(プラズマディスプレイパネル)を用いて、液晶シャッタ眼鏡を用いた方式も展示会などで発表されているが、これも前述の様にPDPからの発光は無偏光光であるため、シャッタ眼鏡を介して視認される光量は2次元表示を行っている場合の約1/4となることが問題となる。
【0020】
以上のように、液晶シャッタを用いた時分割2眼立体表示装置に関して、表示装置として無偏光光のものを用いた場合に、液晶シャッタ部を透過することで偏光光となるため、透過率が低く、立体として視認される光量が2次元表示を行う際の元の表示装置の光量に対して約1/4と低くなることが課題である。また、液晶シャッタを眼鏡ではなく、表示装置の前面に配置した場合には、表示装置の大型化に伴い液晶シャッタ部分も大型化する為、液晶シャッタ基板の大型化や使用する液晶材料が増え、製造コストが高くなる問題がある。更に、2次元表示を行う場合に、元の表示装置の光量を維持する為には、この大きな液晶シャッタ部を移動させる必要があり、問題である。
【0021】
液晶シャッタとして1枚のものを用いた場合には、左右で見える画像の色合いの差が大きくなることが有り、位相差板を用いて色補償などが必要になる問題がある。
【0022】
表示装置として液晶ディスプレイを用いた場合に、アクティブマトリックス型の液晶ディスプレイでは、液晶の応答速度の影響で、シャッタ眼鏡のシャッタを開とする期間が短く、シャッタ眼鏡のシャッタを閉じている期間の発光は立体表示の視認に用いられていない発光となる。この期間の発光は、立体映像としての視認に利用されないことから、無駄な消費電力となる。
【0023】
この他、表示装置と眼鏡をかけた観察者の間の光として、直線偏光光を用いた場合には、観察者の首の傾きにより偏光眼鏡の偏光軸(透過軸)が直線偏光光の偏光軸とずれ、透過率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の立体表示装置は、時分割で左目用映像データと右目用映像データを交互に表示し観察することが可能な立体表示装置であって、液晶ディスプレイの前面に第1の1/4波長板が配置され、前記第1の1/4波長板を透過した左右の画像を交互に表示する表示部と、前記表示部の交互表示に同期して左右の切換えが可能な、第2の1/4波長板を含む透過光制御部からなるシャッタ眼鏡と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の立体表示装置の表示部は、液晶ディスプレイから発光される直線偏光された左右の画像を前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を交互に表示し、シャッタ眼鏡は、第2の1/4波長板、及び前記表示装置の交互表示に同期して開閉可能な液晶シャッタから成り、円偏光した左右の画像を前記第2の1/4波長板により直線偏光に変換したのち、前記液晶シャッタを前記表示部の交互表示に同期して開閉し、左右の画像の観察の切換えを行うことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の立体表示装置の表示部は、前記液晶ディスプレイから発光される直線偏光された左右の画像を前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を交互に表示し、シャッタ眼鏡は、前記表示部の交互表示に同期して光学軸の向きを90°変えることが可能な第2の1/4波長板、及び、偏光軸の異なる左右の偏光板から成り、前記表示部の前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を、前記第2の1/4波長板により、前記表示部の交互表示に同期して光学軸の向きを90°変更し、前記偏光軸の異なる左右の偏光板の一方のみを通過させて、左右の画像の観察の切換えを行うことを特徴とする。
【0027】
更に、本発明の立体表示装置は、立体視に用いられる、右目又は左目用画像を前記シャッタ眼鏡において透過させる期間に同期して、前記液晶ディスプレイのバックライトを点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、シャッタ部分が眼鏡側になり、表示装置前面にシャッタを構成する場合に比べ、液晶セルの基板サイズが小さく、基板材料や液晶材料のコストが低減できる。また、シャッタ部分の液晶材料として強誘電性液晶などを用いた場合にも小さい液晶セルで実現できる為、歩留まりも高く作り易い利点がある。
【0029】
また、左右で別の液晶セルを用いることができる為、左右の映像の透過状態を揃えることができる利点がある。更に、表示装置から出た光は円偏光となっているため、首の傾きによっても、直線偏光の様な偏光軸のずれは生じない利点がある。
【0030】
また、2次元表示を行う場合にも液晶ディスプレイから出射した直線偏光光は1/4波長板を透過するだけなので、1/4波長板が無い場合と同じ輝度での表示が可能となる。
【0031】
更に、液晶のバックライトの光源をブリンキングさせ、シャッタ眼鏡の閉期間である立体視に用いられない期間の発光を抑制することで、立体視で視認される輝度を維持したまま、低消費電力な駆動が可能となる。またブリンキングにより液晶表示装置の所謂ホールド表示による動画応答についても改善効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施例1の立体表示装置を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2の立体表示装置を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例3の立体表示装置の動作を説明する図である。
【図4】図4は、従来例の偏光軸制御板を用いた立体表示装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0034】
図1に本発明の第1の実施例を示す。
シャッタ眼鏡を用いた時分割2眼立体視の方式で、液晶ディスプレイ11を用い、その前面に1/4波長板5を配置している。この1/4波長板は、図中では前記液晶ディスプレイと離間して示しているが、液晶ディスプレイ表面に当接させることが望ましい。液晶ディスプレイは、図1の様にバックライト1、偏光板2、液晶素子3、偏光板4から構成され、立体映像データが入力された場合には、左右の目に対応した画像を交互に表示する。
【0035】
また、シャッタ眼鏡80は、1/4波長板(61、62)と液晶セル(71、72)を用いた構成とし、前記1/4波長板(5、61、62)の光学軸(201、203)は平行で、液晶ディスプレイを出射した光の直線偏光軸101に対して、+45°に傾いた方向とする。液晶セルは、印加電圧により、直線偏光光を透過,又は吸収する様にスイッチング可能な構成としている。ここで、液晶セル(71、72)は、それぞれ偏光板(92、94)の間に挟まれた液晶素子93からなる。
【0036】
例えば、偏光板92の透過軸が水平で、偏光板94の透過軸が垂直で、液晶素子部が、1/2波長板として透過する場合とそのまま透過する場合の2つの状態を切換える様に動作する。液晶素子部が1/2波長板として作用すれば、1/4波長板(61、62)を通過した水平方向の偏光軸103を持つ光を透過でき、液晶素子部がそのまま透過する場合には、偏光板94により水平方向の偏光軸を持つ光を吸収する。
【0037】
図1では、液晶ディスプレイを出射した直線偏光光の偏光軸101が垂直方向とし、これに対して+45°の光学軸201を持つ1/4波長板5を通過する。前記1/4波長板を通過した光は円偏光となり、シャッタ眼鏡の左右の1/4波長板(61、62)を通過する。これらの1/4波長板の光学軸203が平行である為、透過後の光も平行な偏光軸103を持つ直線偏光光となる。また、液晶セルは、直線偏光光を透過,又は吸収する様にスイッチングすることで直線偏光の光を交互に透過できる駆動として、このときの液晶セルの偏光軸(透過軸)は、前記1/4波長板を透過した光の偏光軸103に平行となっている。
【0038】
この場合、液晶セルは左右で交互に,水平方向に偏光軸103を持つ直線偏光光を透過,又は吸収する様に切換えを行うことで、右目用の光は右目にのみ入射し、左目用の光は左目のみに入射する。観察者側から見た偏光軸と1/4波長板の光学軸の関係は、図1中に示した様な関係になっている。液晶ディスプレイで左右の目に対応した画像の表示を切り替えるタイミングと同期してシャッタ眼鏡をスイッチングする。スイッチングは、液晶の応答時間などを考慮し、任意の時間調整を行い、切り替えることが可能である。
【0039】
映像の切換えとシャッタ眼鏡のシャッタの開閉の同期手段としては、表示装置側に赤外線同期信号を発生するエミッタを取り付け、シャッタ眼鏡側でこの信号を受信して同期をとる方式が一般的である。
【0040】
立体として視認されない期間の発光については、無駄な消費電力となるため、バックライトの光源をシャッタ眼鏡の開閉に同期してブリンキングさせることで、消費電力を低減することができる。
【0041】
本実施例ではシャッタ眼鏡側の1/4波長板の光学軸が右目と左目で平行となる構成として説明したが、両者の光学軸が90°異なる方向であってその後段の液晶セルの左右の偏光軸(透過軸)が直交する様に配置し,切換えを行っても良い。
【0042】
また、本例では、液晶セル(71、72)は、それぞれ偏光板(92、94)の間に挟まれた液晶素子93からなるとしたが、偏光板92が無い構成でも構わない。
【実施例2】
【0043】
図2に本発明の第2の実施例を示す。
表示装置側の構成は第1の実施例と同じ液晶ディスプレイ11とその前面に1/4波長板5を配置した構成とし、シャッタ眼鏡の構成が異なる。
【0044】
シャッタ眼鏡側は、表示装置の左右の目に対応した画像の交互表示に同期して光学軸の向きを90°変えることが可能な1/4波長板と、直線偏光板を用いた構成としている。左右の1/4波長板の光学軸が互いに垂直となる様に切り替えを行う。これらの1/4波長板を透過した光は直線偏光となり、その偏光軸は、左右で垂直の関係を保ち、時間的にも交互に90°切り替わる。その後段の偏光板の光学軸を左右で平行となる様に配置し、右目用、若しくは左目用の映像の光を交互に、映像に対応した右目、若しくは左目に視認させる様に光学軸を一致させておく。
【0045】
図2に示した例では、右目用の光が眼鏡側の1/4波長板(61、62)を通過後に右目側の光は水平方向の偏光軸を持った直線偏光光になり、左目側の光は垂直方向の偏光軸を持った直線偏光光になる為、水平方向に偏光軸(透過軸)を持つ偏光板(81、82)のうち、右目用の偏光板81側だけを通過し、左目用の偏光板82側は通過せず、右目のみに視認される。
【0046】
同様に左目用の光は、眼鏡側の1/4波長板(61、62)を通過後に右目側の光は垂直方向の偏光軸を持った直線偏光光になり、左目側の光は水平方向の偏光軸を持った直線偏光光になる為、水平方向に偏光軸(透過軸)を持つ偏光板(81、82)のうち、左目用の偏光板82側だけを通過し、右目用の偏光板81側は通過せず、左目のみに視認される。
【0047】
本実施例では、シャッタ眼鏡の1/4波長板の光学軸が互いに垂直となる様に切換えを行う構成として説明したが、両者が平行となる様に切換えを行う構成であって、その後段の偏光板の光学軸を左右で垂直となる様に配置し、右目用、若しくは左目用の映像の光を交互に、映像に対応した右目、若しくは左目に視認させる様に光学軸を一致させておいても良い。
【実施例3】
【0048】
図3に、本発明の第3の実施例を示す。図3はシャッタ眼鏡の開閉タイミングと液晶装置の駆動・表示タイミングとバックライト(B.L.)の発光タイミングの関係を示したものである。表示装置、及びシャッタ眼鏡の構成は第1の実施例、又は第2の実施例と同じ構成とし、表示装置のバックライトの点灯タイミングが異なる。
【0049】
アクティブマトリックス型の液晶表示装置では、通常の2次元表示では、走査ラインに線順次でデータを書き込んだ後、310液晶セルの応答時間があり、311、312の期間一定輝度でホールドして表示を行う。よって、2次元表示の場合は、310+311の期間と310+312の期間、ディスプレイが表示を行っている。また、バックライトは常に点灯されている。
【0050】
ここで、立体表示を行う場合には、シャッタ眼鏡が光を透過させる期間(303、304)だけしか、立体視として視認されないので、シャッタ眼鏡のシャッタが開となる期間(303、304)のみバックライトを点灯(320)させるシーケンスとする。これにより、立体視として視認される期間の輝度を維持しつつ、立体視として視認されない期間のバックライトでの消費電力を抑制することができる。必要に応じて、バックライト点灯期間(320)の発光強度を高めるなど調整することも可能である。
【0051】
なお、上記各実施例では、画像の表示期間を1/60sと記載し、左右の画像の表示期間を1/120sと記載しているが、この期間は代表例であり、左右の目による視認時のちらつき等を考慮したり,映像ソースの表示周期に応じてその長さを変更したりすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 バックライト
2、4 偏光板
3 液晶素子
5 1/4波長板
11 液晶ディスプレイ
61、62 1/4波長板
71、72 液晶セル
80 偏光シャッタ眼鏡
81、82 直線偏光板
92、94 偏光板
93 液晶素子
101、102、103 偏光軸
104、105 透過軸
201、202、203 光学軸
301、302 立体視で用いられる発光期間
303 左目用シャッタ開期間
304 右目用シャッタ開期間
310 液晶セルの応答期間
311、312 液晶セルが一定輝度でホールドされる発光期間
320 バックライトブリンキングでバックライトが発光する期間
401 液晶ディスプレイの奇数行目
402 液晶ディスプレイの偶数行目
410 偏光軸制御板
411 液晶ディスプレイの奇数行目に対応した偏光軸制御パターン
412 液晶ディスプレイの偶数行目に対応した偏光軸制御パターン
421 偏光軸制御パターン411部から出射される円偏光光の回転方向
422 偏光軸制御パターン412部から出射される円偏光光の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割で左目用映像データと右目用映像データを交互に表示し観察することが可能な立体表示装置であって、
液晶ディスプレイの前面に第1の1/4波長板が配置され、前記第1の1/4波長板を透過した左右の画像を交互に表示する表示部と、
前記表示部の交互表示に同期して左右の切換えが可能な、第2の1/4波長板を含む透過光制御部からなるシャッタ眼鏡と、を備えていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記表示部は、前記液晶ディスプレイから発光される直線偏光された左右の画像を前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を交互に表示し、
前記シャッタ眼鏡は、前記第2の1/4波長板、及び前記表示装置の交互表示に同期して開閉可能な液晶シャッタから成り、前記円偏光した左右の画像を前記第2の1/4波長板により直線偏光に変換したのち、前記液晶シャッタを前記表示部の交互表示に同期して開閉し、左右の画像の観察の切換えを行うことを特徴とする立体表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記表示部は、前記液晶ディスプレイから発光される直線偏光された左右の画像を前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を交互に表示し、
前記シャッタ眼鏡は、前記表示部の交互表示に同期して光学軸の向きを90°変えることが可能な第2の1/4波長板、及び、左右の偏光板から成り、前記表示部の前記第1の1/4波長板により円偏光に変換した左右の画像を、前記第2の1/4波長板により、前記表示部の交互表示に同期して光学軸の向きを90°変更し、前記左右の偏光板の一方のみを通過させて、左右の画像の観察の切換えを行うことを特徴とする立体表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の立体表示装置において、
立体視に用いられる、右目又は左目用画像を前記シャッタ眼鏡において透過させる期間に同期して、前記液晶ディスプレイのバックライトを点灯させることを特徴とする立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−243705(P2010−243705A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91033(P2009−91033)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】