説明

立体視画像表示装置及び立体視画像表示プログラム

【課題】画面上で入力可能なオブジェクトがどれであるかをユーザに気付かせるようにする。
【解決手段】画像を立体視可能に表示するディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトの画像を、当該操作オブジェクトのアニメーション画像データにより、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視ディスプレイを利用した立体視画像表示装置及び立体視ディスプレイを備えるコンピュータを立体視画像表示装置として機能させるための立体視画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元データを取扱うコンピュータの表示デバイスとして、立体視ディスプレイは既に知られている。例えば特許文献1は、レンチキュラレンズを用いた立体視ディスプレイ装置を開示する。
【0003】
この種の立体視ディスプレイを利用してオブジェクトを立体表示させる技術は、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2は、立体視ディスプレイの画面に表示されたアイコンにマウスポインタが重ねられると、アイコンを通常状態よりも飛び出させ、マウスがクリックされると、アイコンを通常状態よりも引っ込ませる技術を開示する。この技術により、立体視ディスプレイの画面上でアイコンを操作に応じて動的に立体表示させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータ機器において、コマンドやデータの入力デバイスとして、キーボード以外にマウス等のポインティングデバイスやタッチスクリーン等のパネルセンサがあり、これらのデバイスも広く活用されている。上記ポインティングデバイスやパネルセンサは、ディスプレイの画面に表示される画像に対して直接入力を行う。このため、画面上で入力可能なオブジェクトがどれであるかをユーザに知らせることができたならば、ユーザの操作性が大幅に向上すると考えられる。
【0005】
しかしながら、例えば特許文献2に記載の技術では、オブジェクトにマウスポイントを重ねるまでは、当該オブジェクトの立体画像は静止しているため、画面上で入力可能なオブジェクトがどれであるかをユーザに知り得ない。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、画面上で入力可能なオブジェクトがどれであるかをユーザに知らせることができ、ユーザの操作性が大幅に向上し得る立体視画像表示装置及びコンピュータを当該立体視画像表示装置として機能させるためのプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の立体視画像表示装置は、画像を立体視可能に表示するディスプレイと、表示画面に配置される操作オブジェクト毎にアニメーション画像データを記憶する記憶手段と、ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトの画像を、記憶手段で記憶される当該操作オブジェクトのアニメーション画像データにより、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる制御手段とを備えたものである。
【0008】
本発明の立体視画像表示プログラムは、画像を立体視可能に表示するディスプレイを備えたコンピュータに、表示画面に配置される操作オブジェクト毎にアニメーション画像データを記憶する記憶手段にアクセスする機能と、ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトの画像を、記憶手段で記憶される当該操作オブジェクトのアニメーション画像データにより、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
かかる手段を講じた本発明によれば、画面上で入力可能なオブジェクトがどれであるかをユーザに知らせることができ、ユーザの操作性が大幅に向上し得る効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるコンピュータ端末の要部構成を示すブロック図
【図2】同実施形態のコンピュータ端末に実装されるGUI時計アプリケーションプログラムのデータ構造を示す模式図。
【図3】同実施形態のコンピュータ端末に実装される設定ファイルのデータ構造を示す模式図。
【図4】同実施形態において、コンピュータ端末のディスプレイに表示されるメイン画面の一例を示す平面図。
【図5】同実施形態において、コンピュータ端末のディスプレイに表示される設定画面の一例を示す平面図。
【図6】同実施形態において、GUI時計アプリケーションプログラムに含まれるアニメーション画像データの構造を示す模式図。
【図7】同実施形態において、アニメーション立体視画像を表示させるための原理説明に用いる図。
【図8】同実施形態において、GUI時計アプリケーションプログラムに含まれる時計表示プログラムに基づきコンピュータ端末のCPUが実行する制御手順を示す流れ図。
【図9】図8におけるアニメーション画像表示処理の具体的手順を示す流れ図。
【図10】アニメーション画像表示処理の他の実施形態を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための一形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、GUI(Graphical User Interface)時計アプリケーションプログラム(以下、時計APLと略称する)を実装したコンピュータ端末に本発明を適用した場合である。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、レンチキュラ式立体視ディスプレイ上で既存の静止画を連続描写することによって、操作オブジェクトの画像をアニメーション立体視画像として表示させる場合である。
【0013】
図1は、本実施形態におけるコンピュータ端末1の要部構成を示すブロック図である。当該端末1は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を搭載している。そして、このCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介して、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、時計部15、通信インターフェース16、HDD(Hard Disk Drive)装置17、ディスプレイインターフェース18、入力機器インターフェース19等を接続している。
【0014】
ディスプレイインターフェース18は、画像を立体視可能に表示するディスプレイとして、レンチキュラ式の立体視ディスプレイ20を接続している。入力機器インターフェース19は、ディスプレイの表示画面に配置されるボタン画像、アイコン、チェックボックス等の操作オブジェクトを操作する入力機器として、マウス21を接続している。なお、本発明において、ディスプレイは、レンチキュラ式の立体視ディスプレイ20に限定されるものではない。画像を立体視可能に表示できるものであればよい。入力機器は、マウスに限定されるものではない。例えばタッチパネルのように、ディスプレイ上の操作オブジェクトを操作できるものであればよい。
【0015】
かかる構成のコンピュータ端末1は、本発明の立体視画像表示装置として機能させるために、HDD装置17に、時計APL30と設定ファイル40とを記憶している。なお、時計APL30と設定ファイル40を記憶する記憶手段は、HDD装置17に限定されるものではない。例えば、USB(Universal Serial Bus)に接続される外付メモリやメモリカード等であってもよい。
【0016】
時計APL22は、図2に示すように、時計表示プログラムデータ31、メイン画面データ32、設定画面データ33、時計背景画像データ34、時計針画像データ35、時報音データ36、設定ボタンアニメーション画像データ37、OKボタンアニメーション画像データ38、及び、キャンセルボタンアニメーション画像データ39で構成している。
【0017】
設定ファイル40は、図3に示すように、時報音フラグFを保存する。時報音フラグFは、時報音を鳴らすか否かを設定する情報である。コンピュータ端末1は、時報音を鳴らす場合に時報音フラグFを“1”にセットし、鳴らさない場合に時報音フラグFを“0”にリセットする。
【0018】
時計APL30の制御により立体視ディスプレイ20に表示されるメイン画面50と設定画面60の一例を図4と図5に示す。
【0019】
メイン画面50は、時計部15で計時される時刻を表わす時計画像51を表示する。また、GUIコンポーネントとして、設定画面60を開くための設定ボタン52を表示する。時計画像51は、長針及び短針を示す時計針画像51aと、長針及び短針以外を示す時計背景画像51bとからなる。このようなメイン画面50は、時計APL30に組み込まれているメイン画面データ32、時計背景画像データ34及び時計針画像データ35によって実現している。
【0020】
設定画面60は、時報を鳴らすか否かを設定するためのチェックボックス61を表示する。また、GUIコンポーネントとして、チェックボックス61の設定を保存するためのOKボタン62と、チェックボックス61の設定をキャンセルするためのキャンセルボタン63とを表示する。コンピュータ端末1は、チェックボックス61にチェックが入ると時報を鳴らし、チェックが外されると時報を鳴らさない。このような設定画面60は、時計APL30に組み込まれている設定画面データ33によって実現している。
【0021】
コンピュータ端末1は、メイン画面50及び設定画面60の操作オブジェクトである設定ボタン52、OKボタン62及びキャンセルボタン63の各画像をアニメーション立体視画像として表示させる。各ボタン52、62、63のアニメーション立体視画像は、設定ボタンアニメーション画像データ37、OKボタンアニメーション画像データ38及びキャンセルボタンアニメーション画像データ39によって実現している。各アニメーション画像データ37,38,39は、それぞれ対応するボタン52,62,63の画像に重畳されるアニメーション立体視画像のデータを指す。
【0022】
各アニメーション画像データ37,38,39は、図6に示すように、左目用のオブジェクト画像データ(左目用画像)と右目用のオブジェクト画像データ(右目用画像)とを1セットとし、セット毎にずらし量Dが異なるものを3セット記憶する。図6において、各オブジェクト画像データの末尾に付される番号は、同一番号のオブジェクト画像データ同士がセットであることを意味する。ずらし量Dの末尾に付される番号は、同一番号の左目用オブジェクト画像データと右目用オブジェクト画像データとのずらし量Dであることを意味する。ずらし量Dは、左目用オブジェクト画像データにより表示される左目用画像と、右目用オブジェクト画像データにより表示される右目用画像とのずれの量である。ずらし量D2は、ずらし量D1より大きく、ずらし量D3より小さい。すなわち[D1<D2<D3]の関係を有する。
【0023】
コンピュータ端末1は、左右の視点にそれぞれ対応した左右のオブジェクト画像データのずらし量Dを周期的または非周期的に変化させることで、立体視ディスプレイ20に、操作オブジェクト(設定ボタン52、OKボタン62、キャンセルボタン63)の画像を、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる。
【0024】
アニメーション立体視画像を表示させるための原理を、図7を用いて説明する。図7において、ボタン画像71は、左目用の画像である。ボタン画像72は、右目用の画像である。ボタン画像73は、レンチキュラレンズ板74を介してユーザが見るアニメーション立体視画像である。なお、実際には、レンチキュラレンズ板74を介してボタン画像73を立体視可能に表示させるために、左目用ボタン画像71と右目用ボタン画像72は、それぞれ縦に帯状に分割され、さらに分割された左目用ボタン画像71と右目用ボタン画像72とを交互に並べるように配置されている。
【0025】
レンチキュラレンズ板74の板面と平行な方向をX軸と仮定する。このX軸上において、左目用ボタン画像71の左端の座標Xlとし、右目用ボタン画像72の左端の座標Xrとしたとき、左目用ボタン画像71と右目用ボタン画像72とのずらし量Dは、次の(1)式で表わされる。
【0026】
D=(Xl−Xr)/2 …(1)
すなわち、ずらし量Dは、座標Xlと座標Xrとの中点の座標Xcから座標Xrまでの距離、あるいは同座標Xcから座標Xlまでの距離となる。そして、この中点座標Xcの位置が、レンチキュラレンズ板74を介して立体視ディスプレイ20の画面に立体視可能に表示されるボタン画像73の左端となる。
【0027】
ユーザが立体視ディスプレイ20に表示されるボタン画像73を見た際に、網膜上に映る右目からの像と左目からの像とには、ずれが生じる。このずれの量を視差量と呼ぶ。レンチキュラ式の立体視ディスプレイ20は、ずらし量Dが大きいほど、視差量が大きくなる。そして、視差量が大きいほど、ボタン画像73の飛び出し量が大きい。
【0028】
したがって、各アニメーション画像データ37,38,39において、番号“1”が末尾に付されたオブジェクト画像データにより表示されるボタン画像は、飛び出し量が最も小さい。これに対し、番号“3”が末尾に付されたオブジェクト画像データにより表示されるボタン画像は、飛び出し量が最も大きい。番号“2”が末尾に付されたオブジェクト画像データにより表示されるボタン画像は、飛び出し量が最大と最小の間となる。
【0029】
コンピュータ端末1は、ボタン画像の飛び出し量を動的に変化させるために、各セットのオブジェクト画像データを周期的または非周期的に選択して表示させる。ただし、ずらし量が最小のオブジェクト画像データの次にずらし量が最大のオブジェクト画像データを選択しない。同様に、ずらし量が最大のオブジェクト画像データの次にずらし量が最小のオブジェクト画像データを選択しない。そうすることにより、設定ボタン52、OKボタン62及びキャンセルボタン63の各ボタン画像が、アニメーション立体視画像として表示される。
【0030】
図8は、時計表示プログラムデータ31のプログラム(以下、時計表示プログラムと称する)に基づき、CPU11が処理する制御手順を示す流れ図である。時計APL30の実行が指令されると、CPU11は、時計表示プログラムを起動させる。
【0031】
時計表示プログラムが起動すると、CPU11は、ST(ステップ)1として設定ファイル40から時報音フラグFを読込む。また、CPU11は、ST2としてメイン画面データ32と時計背景画像データ34とにより、立体視ディスプレイ20にメイン画面50と時計背景画像51bとを表示させる。さらに、CPU11は、ST3としてメイン画面データ32と設定ボタンアニメーション画像データ37とにより、アニメーション立体画像の設定ボタン52を表示させる。
【0032】
次に、CPU11は、ST4として時計部15から現在の時刻データを取得する。そして、ST5としてこの現在の時刻データを表わす時計針画像51aを時計針画像データ35により作成し、時計背景画像51bに重ねて表示させる。
【0033】
次に、CPU11は、ST6として時報音フラグFをチェックする。時報音フラグFが“1”にセットされている場合(ST6のYES)、時報音を鳴らすことが設定されている。この場合、CPU11は、ST7として現在の時刻が予め設定された時報発生時刻(例えば、毎時00分)であるか否かを判断する。時報発生時刻の場合(ST7のYES)、CPU11は、ST8として時報音データ36により、図字しない音源から時報音を再生する。音源は、例えば立体視ディスプレイ20に付設されている。
【0034】
ST7にて時報発生時刻でない場合(ST7のNO)、CPU11は、ST8の処理を実行しない。ST6にて時報音フラグFが“0”にリセットされている場合(ST6のNO)、CPU11は、ST7及びST8の処理を実行しない。
【0035】
CPU11は、ST9として設定ボタン52が操作されたか否かを判断する。操作されていない場合(ST9のNO)、CPU11は、ST3の処理に戻る。したがって、メイン画面50が表示された後、設定ボタン52が操作されるまで、CPU11は、ST3〜ST9の各処理を繰返す。
【0036】
メイン画面50上のマウスポインタ(不図示)が設定ボタン52に重ねられた状態で、マウス21がクリックされると、CPU11は、設定ボタン52が操作されたとみなす(ST9のYES)。この場合、CPU11は、ST10としてメイン画面50を操作不能とするためにロックする。続いて、CPU11は、ST11として設定画面データ33に従い、立体視ディスプレイ20に設定画面60を表示させる。さらに、CPU11は、ST12として設定画面データ33とOKボタンアニメーション画像データ38とキャンセルボタンアニメーション画像データ39とにより、アニメーション立体画像のOKボタン62及びキャンセルボタン63を表示させる。
【0037】
次に、CPU11は、ST13としてチェックボックス61への入力有無を判断する。設定画面60上のマウスポインタがチェックボックス61に重ねられた状態で、マウス21がクリックされると、CPU11は、チェックボックス61への入力有りとみなす(ST13のYES)。この場合、CPU11は、ST14として時報音フラグFを変更する。すなわち、時報音フラグFが“1”にセットされていたならば“0”にリセットし、“0”にリセットされていたならば“1”にセットする。
【0038】
次に、CPU11は、ST15としてキャンセルボタン63が操作されたか否かを判断する。キャンセルボタン63が操作されていない場合(ST15のNO)、CPU11は、ST16としてOKボタン62が操作されたか否かを判断する。OKボタン62が操作されていない場合(ST16のNO)、CPU11は、ST12の処理に戻る。したがって、設定画面60が表示された後、OKボタン62またはキャンセルボタン63が操作されるまで、CPU11は、ST12〜ST16の各処理を繰返し実行する。
【0039】
設定画面60上のマウスポインタがOKボタン62に重ねられた状態で、マウス21がクリックされると、CPU11は、OKボタン62が操作されたとみなす(ST16のYES)。この場合、CPU11は、ST17として設定ファイル40の時報音フラグFを、現在の状態に更新する。
【0040】
これに対し、設定画面60上のマウスポインタがキャンセルボタン63に重ねられた状態で、マウス21がクリックされると、CPU11は、キャンセルボタン63が操作されたとみなす(ST15のYES)。この場合、CPU11は、ST17の処理を実行しない。
【0041】
ST17の処理の後、あるいはキャンセルボタン63が操作されると、CPU11は、ST18として設定画面60を閉じる。続いて、CPU11は、ST19としてメイン画面50のロック状態を解除する。しかる後、ST1に戻り、CPU11は、設定ファイル40から時報音フラグFを再度読込む。以後、CPU11は、ST2以降の処理を再度実行する。
【0042】
図9は、立体視ディスプレイ20にアニメーション立体視画像を表示させるためのCPU11の制御手順を示す流れ図である。図8のST3またはST12の処理に入る毎に、CPU11は、図9の手順を実行する(制御手段)。この手順を実現させるためのプログラム、いわゆる立体視画像表示プログラムは、時計表示プログラムに含まれている。
【0043】
CPU11は、ST21としてRAM14で記憶した変数nが“2”であるか否かを判断する。変数nが“2”でない場合(ST21のNO)、CPU11は、ST26として変数nを“2”に設定する。CPU11は、ST27として該当するボタンのアニメーション画像データ37,38または39から、末尾の番号が“2”の左目用オブジェクト画像データ及び右目用オブジェクト画像データを選択する。そして、これらのオブジェクト画像データに基づいて、立体視ディスプレイ20に左目用画像と右目用画像とを表示させる。
【0044】
変数nが“2”である場合(ST21のYES)、CPU11は、ST22として乱数rを発生させる(乱数発生手段)。そして、ST23として、この乱数rが“2”で割り切れるか否か、すなわち、乱数rを“2”で除算したときの余りが“0”であるか否かを判断する。
【0045】
余りが“0”の場合(ST23のYES)、CPU11は、ST25として変数nに“1”を加算する。その結果、変数nは、“3”となる。CPU11は、ST27として該当するボタンのアニメーション画像データ37,38または39から、末尾の番号が“3”の左目用オブジェクト画像データ及び右目用オブジェクト画像データを選択する。そして、これらのオブジェクト画像データに基づいて、立体視ディスプレイ20に左目用画像と右目用画像とを表示させる。
【0046】
乱数rを“2”で除算したときの余りが“0”でない場合(ST23のNO)、CPU11は、ST24として変数nから“1”を減算する。その結果、変数nは、“1”となる。CPU11は、ST27として該当するボタンのアニメーション画像データ37,38または39から、末尾の番号が“1”の左目用オブジェクト画像データ及び右目用オブジェクト画像データを選択する。そして、これらのオブジェクト画像データに基づいて、立体視ディスプレイ20に左目用画像と右目用画像とを表示させる。
【0047】
前述したように、立体視ディスプレイ20にメイン画面50が表示されている状態では、CPU11は、ST3〜ST9の処理を繰返し実行する。したがって、ST3において、図9に示す手順の処理が実行される毎に、変数nは、{“2”−“1”or“3”−“2”−“1”or “3”−“2”−…}の順に変化する。
【0048】
変数nが“1”となるか“3”となるかは、乱数rによって決まる。そして、変数nが“2”のときには、飛び出し量が中程度の設定ボタン52の立体視画像が表示され、変数nが“1”のときには、飛び出し量が中程度よりも小さい設定ボタン52の立体視画像が表示され、変数nが“3”のときには、飛び出し量が中程度よりも大きい設定ボタン52の立体視画像が表示される。その結果、ユーザの目には、飛び出し量が動的に変化する設定ボタン52のアニメーション立体視画像が映し出される。
【0049】
立体視ディスプレイ20に設定画面60が表示されている状態では、CPU11は、ST12〜ST16の処理を繰返し実行する。したがって、ST12において、図9に示す手順の処理が実行される毎に、変数nは、{“2”−“1”or“3”−“2”−“1”or “3”−“2”−…}の順に変化する。
【0050】
変数nが“1”となるか“3”となるかは、乱数rによって決まる。そして、変数nが“2”のときには、飛び出し量が中程度のOKボタン62及びキャンセルボタン63の立体視画像が表示され、変数nが“1”のときには、飛び出し量が中程度よりも小さいOKボタン62及びキャンセルボタン63の立体視画像が表示され、変数nが“3”のときには、飛び出し量が中程度よりも大きいOKボタン62及びキャンセルボタン63の立体視画像が表示される。その結果、ユーザの目には、飛び出し量が動的に変化するOKボタン62及びキャンセルボタン63のアニメーション立体視画像が映し出される。
【0051】
ここで、乱数rとして、奇数と偶数が交互に発生されるに制限すると、変数nは、{“2”−“1”−“2”−“3”−“2”−“1”−“2”−“3”−“2”…}の順に周期的に変化する。この場合、アニメーション立体視画像の飛び出し量は、{“中”−“小”−“中”−“大”−“中”−“小”−“中”−“大”−“中”…}の順に周期的に変化する。これに対し、乱数rがランダムに発生される場合には、変数nが“2”の次に“1”となるのか“3”となるのかは定かでない。したがって、アニメーション立体視画像の飛び出し量は、非周期で変化する。
【0052】
このように、立体視ディスプレイ20に時計APL30のメイン画面50が表示されると、このメイン画面50上の設定ボタン52は、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示される。したがって、コンピュータ端末1のユーザは、メイン画面50上で操作可能なオブジェクトが設定ボタン52であることを容易に把握することができる。
【0053】
また、設定ボタン52を操作したことにより、設定画面60に切り換わると、この設定画面60上のOKボタン62とキャンセルボタン63とがアニメーション立体視画像として表示される。したがって、ユーザは、設定画面60上で操作可能なオブジェクトが、OKボタン62とキャンセルボタン63であることを容易に把握することができる。その結果、コンピュータ端末1の操作性が大幅に向上する。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、レンチキュラ式立体視ディスプレイ上で動的に生成した静止画を連続描写することによって、操作オブジェクトの画像をアニメーション立体視画像として表示させる場合である。
【0055】
第2の実施形態は、第1の実施形態と次の2点で異なる。
その1つは、各アニメーション画像データ37,38,39の構造である。第2の実施形態において、コンピュータ端末1は、各アニメーション画像データ37,38,39を、非立体視用のオブジェクト画像データとする。すなわち、設定ボタンアニメーション画像データ37は、非立体視用の設定ボタン画像データであり、OKボタンアニメーション画像データ38は、非立体視用のOKボタン画像データであり、キャンセルボタンアニメーション画像データ38は、非立体視用のキャンセルボタン画像データである。
【0056】
他の1つは、アニメーション立体視画像を表示させるためのCPU11の制御手順である。第2の実施形態における制御手順は、図10の流れ図によって示される。
【0057】
図8のST3またはST12の処理に入る毎に、CPU11は、図10の手順を実行する(制御手段)。この手順を実現させるためのプログラム、いわゆる立体視画像表示プログラムは、時計表示プログラムに含まれている。
【0058】
CPU11は、ST31として該当するボタンのアニメーション画像データ37,38または39、すなわち非立体視用のボタン画像データを取得する。そして、ST32として、取得したボタン画像データの複製を作成する。
【0059】
次に、CPU11は、ST33としてRAM14で記憶したずらし量設定値Dが、中程度の飛び出し量に相当する値D2であるか否かを判定する。設定値Dが値D2でない場合(ST33のNO)、CPU11は、ST40として設定値Dを値D2に書き換える。また、ST41として取得したボタン画像データによるボタン画像と複製したボタン画像データによるボタン画像とのずらし量が設定値D2となるように、両ボタン画像の座標Xl,Xrを設定する。
【0060】
次に、レンチキュラ式立体視ディスプレイ20に表示させた際に立体視画像となり得る画像データを生成するために、CPU11は、ST42として座標Xlが設定された一方のボタン画像のデータに対して、左目用画像としての画像処理を施す。また、座標Xrが設定された他方のボタン画像のデータに対して、右目用画像としての画像処理を施す。しかる後、CPU11は、ST43として左目用画像と右目用画像とを立体視ディスプレイ20に表示させる。
【0061】
ST33にて設定値Dが値D2である場合(ST33のYES)、CPU11は、ST34として乱数rを発生させる(乱数発生手段)。そして、ST35として、この乱数rが“2”で割り切れるか否か、すなわち、乱数rを“2”で除算したときの余りが“0”であるか否かを判断する。
【0062】
余りが“0”の場合(ST35のYES)、CPU11は、ST38としての設定値Dを、最大飛び出し量に相当するずらし量の値D3に書き換える。また、ST39として取得したボタン画像データによるボタン画像と複製したボタン画像データによるボタン画像とのずらし量が設定値D3となるように、両ボタン画像の座標Xl,Xrを設定する。
【0063】
次に、前記ST42及びST43の処理を実行する。すなわち、CPU11は、座標Xlに設定された一方のボタン画像データに対しては、左目用画像としての画像処理を施し、座標Xrに設定された他方のボタン画像データに対しては、右目用画像としての画像処理を施す。そして、左目用画像と右目用画像とを立体視ディスプレイ20に表示させる。
【0064】
ST35にて余りが“0”でない場合(ST35のNO)、CPU11は、ST36としての設定値Dを、最小飛び出し量に相当するずらし量の値D1に書き換える。また、ST37として取得したボタン画像データによるボタン画像と複製したボタン画像データによるボタン画像とのずらし量が設定値D1となるように、両ボタン画像の座標Xl,Xrを設定する。
【0065】
しかる後、前記ST42及びST43の処理を実行する。すなわち、座標Xlに設定された一方のボタン画像データに対しては、左目用画像としての画像処理を施し、座標Xrに設定された他方のボタン画像データに対しては、右目用画像としての画像処理を施す。そして、左目用画像と右目用画像とを立体視ディスプレイ20に表示させる。
【0066】
ここに、CPU11が実行するST31〜ST42の処理手順は、非立体視用画像データから、左右の視点に対応した2つの立体視用画像データを生成する生成手段を構成する。
【0067】
第2の実施形態では、ST3またはST12において、図10に示す手順の処理が実行される毎に、ずらし量設定値Dは、{“D2”−“D1”or“D3”−“D2”−“D1”or “D3”−“D2”−…}の順に変化する。
【0068】
ずらし量設定値Dが“D1”となるか“D3”となるかは、乱数rによって決まる。そして、設定値Dが“D2”のときには、飛び出し量が中程度のボタンを示す立体視画像が表示され、設定値Dが“D1”のときには、飛び出し量が中程度よりも小さいボタンの立体視画像が表示され、設定値Dが“3”のときには、飛び出し量が中程度よりも大きいボタンの立体視画像が表示される。その結果、ユーザの目には、飛び出し量が動的に変化するボタン(設定ボタン52、OKボタン62またはキャンセルボタン63)のアニメーション立体視画像が映し出される。
【0069】
したがって、第2の実施の形態のコンピュータ端末1は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、コンピュータ端末1は、アニメーション画像データ37,38,39として左目用画像のデータと右目用画像のデータとを記憶しておく必要がない。アニメーション画像データ37,38,39は、非立体視用の画像データのみである。したがって、第1の実施形態と比較して記憶容量を節約することができる。
【0070】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0071】
例えば、前記実施形態では、左右の視点に対応した2つのオブジェクト用画像データのずらし量を周期的または非周期的に変化させることで、操作オブジェクトの画像をアニメーション立体視画像として表示させた。しかし、3つ以上の視点に対応した3つ以上のオブジェクト用画像データのずらし量を周期的または非周期的に変化させることで、操作オブジェクトの画像をアニメーション立体視画像として表示させることも可能である。
【0072】
また、前記実施形態では、左右の視点にそれぞれ対応した2つのオブジェクト画像データを1セットとし、セット毎にオブジェクト画像データのずらし量が異なるものを3セット用意したが、セット数は3セットに限定されるものではない。4セット以上用意することで、より滑らかに変化するアニメーション立体視画像を表示させるようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、操作オブジェクトをボタン画像としたが、ボタン画像に限定されるものではない。例えば、チェックボックスを示す画像やアイコンを、アニメーション立体視画像として表示させることも可能である。
【0074】
また、前記実施形態では、コンピュータ端末1の内部に発明を実施する機能であるプログラムが予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークからコンピュータ端末1にダウンロードしても良いし、同様のプログラムを記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROMのようにプログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は端末内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0075】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…コンピュータ端末、11…CPU、13…ROM、14…RAM、15…時計部、16…通信インターフェース、17…HDD装置、18…ディスプレイインターフェース、19…入力機器インターフェース、20…立体視ディスプレイ、21…マウス、30…時計APL、40…設定ファイル。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開平9−133893号公報
【特許文献2】特開2002−092656号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を立体視可能に表示するディスプレイと、
表示画面に配置される操作オブジェクト毎にアニメーション画像データを記憶する記憶手段と、
前記ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトの画像を、前記記憶手段で記憶される当該操作オブジェクトのアニメーション画像データにより、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる制御手段と、
を具備したことを特徴とする立体視画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、複数の視点にそれぞれ対応した複数のオブジェクト画像データのずらし量を周期的または非周期的に変化させることで、前記操作オブジェクトの画像を飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させることを特徴とする請求項1記載の立体視画像表示装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、1つの操作オブジェクトのアニメーション画像データとして、複数の視点にそれぞれ対応した複数のオブジェクト画像データを1セットとし、セット毎にオブジェクト画像データのずらし量が異なるものを3セット以上記憶し、
前記制御手段は、前記ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトに対して、各セットのオブジェクト画像データを順次表示させることで、前記操作オブジェクトの画像を飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させることを特徴とする請求項2記載の立体視画像表示装置。
【請求項4】
乱数を発生する乱数発生手段、をさらに具備し、
前記制御手段は、前記乱数の値によってずらし量の大きいセットのオブジェクト画像データを表示させるか、ずらし量の小さいセットのオブジェクト画像データを表示させるかを決定し、その決定にしたがって各セットのオブジェクト画像データを選択的に表示させることで、前記操作オブジェクトの画像を飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させることを特徴とする請求項3記載の立体視画像表示装置。
【請求項5】
非立体視用画像データから複数の視点にそれぞれ対応した複数の立体視用画像データを生成する生成手段、をさらに具備し、
前記記憶手段は、1つの操作オブジェクトのアニメーション画像データとして、非立体視用のオブジェクト画像データを記憶し、
前記制御手段は、前記ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトに対して、前記生成手段によりずらし量が次第に大きくまたは小さくなる複数の立体視用画像データを生成させ、各セットのオブジェクト画像データを順次表示させることで、前記操作オブジェクトの画像を飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させることを特徴とする請求項2記載の立体視画像表示装置。
【請求項6】
乱数を発生する乱数発生手段、をさらに具備し、
前記制御手段は、前記乱数の値によってずらし量の大きいセットのオブジェクト画像データを表示させるか、ずらし量の小さいセットのオブジェクト画像データを表示させるかを決定し、その決定にしたがって各セットのオブジェクト画像データを選択的に表示させることで、前記操作オブジェクトの画像を飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させることを特徴とする請求項5記載の立体視画像表示装置。
【請求項7】
画像を立体視可能に表示するディスプレイを備えたコンピュータに、
表示画面に配置される操作オブジェクト毎にアニメーション画像データを記憶する記憶手段にアクセスする機能と、
前記ディスプレイの表示画面に配置される操作オブジェクトの画像を、前記記憶手段で記憶される当該操作オブジェクトのアニメーション画像データにより、飛び出し量が動的に変化するアニメーション立体視画像として表示させる機能と、
を実現させるための立体視画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−159040(P2011−159040A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19187(P2010−19187)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】