説明

立軸渦巻ポンプ

【課題】板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で所定形状に成形し、成形した鋼板を複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により、ポンプケーシングのボリュートの少なくとも一部とボリュートに接続された吐出管とを成形した立軸渦巻ポンプを提供する。
【解決手段】垂直配管4と、垂直配管4内を貫通する主軸7と、主軸7によって回転駆動される羽根車6と、羽根車6を収容するポンプケーシング2と、ポンプケーシング2と垂直配管4とを接続する流路を構成する吐出管3とを備えた立軸渦巻ポンプであって、板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板と板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板とを複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により、ポンプケーシング2のボリュートの少なくとも一部と、ボリュートに接続される吐出管3を成形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプケーシング内に収容された羽根車を回転駆動する主軸が垂直配管を貫通するように構成され、羽根車から吐出された流体をポンプケーシングのボリュートおよびボリュートに接続された吐出管を介して垂直配管に導くようにした立軸渦巻ポンプに係り、特に板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で所定形状に成形し、成形した鋼材を複数接合することにより目的の形状を得る製缶により、ポンプケーシングのボリュートの少なくとも一部とボリュートに接続された吐出管とを成形した立軸渦巻ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
取水ピット等の吸込水槽やピットバレルに羽根車を回転駆動する主軸と配管を垂下させ、羽根車や吸込口を含むポンプ本体を取扱液内に浸漬させて取扱液を揚液する立軸ポンプがある。この立軸ポンプの一種として、ポンプケーシング内に収容された羽根車を回転駆動する主軸が垂直配管を貫通するように構成され、羽根車から吐出された流体をポンプケーシングのボリュートおよびボリュートに接続された吐出管を介して垂直配管に導くようにした立軸渦巻ポンプがある。この立軸渦巻ポンプは、羽根車の周りに渦巻形の円周方向の流路を形成するボリュートを備え、更にボリュートから垂直方向に取扱液の方向を変えて垂直配管に接続する吐出管を備えているため、形状が極めて複雑になる。そのため、ボリュートを備えたポンプケーシング(ボリュートケーシング)と吐出管と垂直配管の一部とを鋳造により一体成形することが行われている。
【0003】
図35は、ポンプケーシングと吐出管と垂直配管とを鋳造により一体成形した吐出管一体型ポンプケーシングユニットを示す斜視図である。図35に示すように、吐出管一体型ポンプケーシングユニット101は、ボリュートを備えたポンプケーシング102と、ポンプケーシング102の左右から上方に延設された対をなす吐出管103,103と、吐出管103,103の上端部が接続される垂直配管104とから構成されている。図35に示す例においては、ポンプケーシング102はダブルボリュートケーシング(二重渦巻ケーシング)から構成されているため、ダブルボリュートには対をなす吐出管103,103が接続されている。
【0004】
図35に示すように、ポンプケーシング102は、内周側が開口した概略円環状のケーシング本体に半径方向外側に渦巻状に拡がった2つのボリュートが形成されており、多数の曲面を有した複雑な形状をしている。また、吐出管103は、下端が渦巻状のボリュートの端部に接続され、上端が円筒状の垂直配管104に接続される配管であり、多数の曲面を有した複雑な形状をしている。このように、各部材が複雑な形状をなし、隣接する部材の接続部では複雑な形状の曲面同士が接続されることになるため、鋳造により一体成形することにより吐出管一体型ポンプケーシングユニット101を製作していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−83232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、鋳造は複雑な形状が作りやすいとはいえ、図35に示す吐出管一体型ポンプケーシングユニット101のように複雑な形状になると、製作精度が低下してしまうという問題点があり、また多種多様な鋳型用木型を製作する必要があるため製作に長時間を要し、製造台数が少ないものにあっては製造コストが上昇するという問題点もある。
【0007】
また、鋳造による一体成形では、鋳造の形状上の制約から、肉厚を必要以上に厚くしなければならず、資源が無駄になるばかりでなく、重量が増える分、材料コストが上昇してしまうという問題点がある。そして、ポンプの総重量が大きなものとなり、それだけポンプ設置部の強度を高める必要があり、また据え付け設置などの際の取り扱いにも多大な労力を要するという問題点がある。また、ポンプ総重量が大きいと固有振動数が小さくなるため、ポンプの運転に伴う加振力によって共振を起こしてしまう可能性が上がるという問題点がある。
【0008】
上述したように、鋳造により一体成形された吐出管一体型ポンプケーシングユニットには種々の問題点があるため、本発明者らは、特許文献1で記載されているように、立軸軸流ポンプや立軸斜流ポンプで採用されているポンプケーシングを鋼板で製作する手法を吐出管一体型ポンプケーシングユニットに適用することを着想したものである。
しかしながら、立軸軸流ポンプや立軸斜流ポンプにおいては、ポンプケーシングが略円筒状又は胴部が膨らんだバレル(樽)状等の単純な形状であり、プレス成形用の金型を必要とするのはガイドベーン程度であるため、ポンプケーシングを鋼板で製作しても加工精度を保つことができるとともに製作コストも抑えることができるものである。
【0009】
これに対して、図35に示すような吐出管一体型ポンプケーシングユニットを用いた立軸渦巻ポンプは、ケーシングの各部分が複雑な形状を有するため、それら各部分に対応する大量の金型を用意しなければならない。その上、このようなポンプは大量生産品ではなく受注生産となるため、仕様によって設計を最適化する必要がある。そのため、吐出管一体型ポンプケーシングユニットは、一品ごとに異なった形状・寸法になる場合もあり、それらにあわせて金型を用意することは非常に困難である。その一方、金型を用いずに一枚の鋼板から幾何学的に複雑な曲面を持つような形状に加工精度を落とさずに成形するのは困難となる。
【0010】
そこで、本発明者らは、図35に示すような吐出管一体型ポンプケーシングユニットの主要構成部材について、金型の使用のいかんに拘らず製作できるように、板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で幾何学的に単純な形状に成形し、単純な形状に成形された鋼板を複数接合することにより目的の形状を得る製缶により成形するという課題を見出したものである。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で所定形状に成形し、成形した鋼板を複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により、ポンプケーシングのボリュートの少なくとも一部とボリュートに接続された吐出管とを成形した立軸渦巻ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明は、垂直配管と、前記垂直配管内を貫通する駆動軸と、前記駆動軸によって回転駆動される羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、前記ポンプケーシングと前記垂直配管とを接続する流路を構成する吐出管とを備えた立軸渦巻ポンプであって、板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板と板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板とを複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により、前記ポンプケーシングのボリュートの少なくとも一部と、前記ボリュートに接続される吐出管を成形したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、立軸渦巻ポンプのボリュートの少なくとも一部と、ボリュートと垂直配管とを接続する吐出管とを、板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板と板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板とを複数接合することにより目的の形状を得る製缶により、成形するものである。板状の鋼材には、ステンレス鋼板、炭素鋼板等を用い、鋼板の接合は、アーク溶接をはじめとする溶融溶接法により行う。この場合、板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板と、板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板とを用いる。板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板は、略四角形状や環状等の単純な形状の平板からなり、この切り出された平板には、例えば、バリ取り等の加工を適宜行ってもよい。板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板は、所定形状の曲面を有した曲板からなる。曲げ加工には、鋼板の両側部を円筒状のローラで支持し、押し付け板等の押圧部材を用いて鋼板に上方から圧力を加えて鋼板を所定形状に曲げる曲げ加工が好適に用いられる。曲げ加工により成形された曲面は、円筒面、円錐面などの単純な形状の曲面であり、この曲面は、伸縮することなしに平面に展開することができる可展面からなる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記ボリュートの少なくとも一部は、前記ボリュートの下面を規定する下平板と、前記ボリュートの上面を規定する上平板と、前記ボリュートの側面を規定する側板とが接合されて形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ボリュートの一部を上下の平板と、ボリュート外周面を規定するうず巻状に成形された側板とで構成したので、ボリュートの構造が単純になり、製作が容易になる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記下平板、前記上平板、および前記側板で形成された部分の流路断面積は、前記側板の半径方向位置のみによって決定されることを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートの一部を上下の平板と、ボリュート外周面を規定する側板とで構成したので、側板の半径方向位置だけでボリュートの流路断面積を決定できるため、設計が簡易となる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記下平板と前記上平板の板厚は、前記側板の板厚よりも厚いことを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートを構成する上下の平板の板厚を厚くしたので、流体圧に耐える十分な強度を確保できると共に、ボリュートの外周面を規定する側板が薄くてすむため、その分ポンプケーシングの重量を減らすことができる。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記ボリュートの側面は、うず巻状に成形された2枚の前記側板を180°の回転対称の位置に配置することにより形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、うず巻状に成形された同一形状の2枚の側板を180°の回転対称の位置に配置するだけで、ダブルボリュートを形成することができるため、ダブルボリュートの製作が極めて容易になる。また同様に、3枚の側板を120°の回転対称の位置に配置することにより3重ボリュートを形成することができ、4枚の側板を90°の回転対称の位置に配置することにより4重ボリュートを形成することができるため、ボリュートの製作が極めて容易になる。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記上平板の流れ方向終端に接合され、前記下平板に対向しつつ垂直方向に流路断面積を広げる鋼板が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートの下平板に対向して垂直方向に流路断面積を広げる鋼板を設けたので、ポンプの最大外径を大きくすることなく、流体の圧力回復区間を設けることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記下平板の内径側には円形の下リングが接合されていることを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートを構成する下平板の内径側に肉厚の円形の下リングを接合したため、下リングにより強度を保てると共に、下リングを利用して吸込ベルマウスなどをボルトにより締結することができるようになり、メンテナンス時に吸込ベルマウスなどを取り外すことができる。
本発明の好ましい態様は、前記下リングには、下吸込ベルマウスと下ライナリング部とが支持されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の好ましい態様は、前記上平板の内径側には円形の上リングが接合されていることを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートを構成する上平板の内径側に肉厚の円形の上リングを接合したため、上リングにより強度を保てると共に、上リングを利用して吸込ベルマウスなどをボルトにより締結することができるようになり、メンテナンス時に吸込ベルマウスなどを取り外すことができる。
本発明の好ましい態様は、前記立軸渦巻ポンプは両吸込渦巻ポンプであって、前記上リングには、上吸込ベルマウスと上ライナリング部とが支持されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の好ましい態様は、前記立軸渦巻ポンプは片吸込渦巻ポンプであって、前記上リングには、前記駆動軸が貫通する軸貫通部が設けられるか、もしくは主軸保護管と上ライナリング部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、渦巻ポンプのボリュートを構成する上平板の内径側に肉厚の円形の上リングを接合したため、上リングにより強度を保てると共に、上リングを利用して駆動軸(主軸)が貫通する軸貫通部を設けることもできるし、主軸保護管と上ライナリング部を設けることもできる。
【0022】
本発明の好ましい態様は、前記板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板は平板であり、前記板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板は曲板であり、該曲板を形成するための曲げ加工用の線が直線であり且つ互いに交わらないことを特徴とする。
本発明によれば、複数の平板と複数の曲板とを接合して、ボリュートの少なくとも一部とボリュートと垂直配管とを接続する吐出管とを製作することができる。この場合、曲板を形成するための曲げ加工用の線は直線であり且つ互いに交わらないように規定されている。したがって、曲げ加工によって成形された曲面は、直線が運動してできる曲面からなり、すなわち可展面からなる。
【0023】
本発明の好ましい態様は、前記曲板は、円筒面又は円錐面、または円筒面又は円錐面の一部、または円筒面と円錐面の組合せで構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、曲板が単純な形状であるため、曲げ加工が容易となる。
【0024】
本発明の好ましい態様は、前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は、下端部が前記側板の上端に接合可能なように側板の部分に対応した曲面を有し、他の端部が前記吐出管の内周側部を構成する他の鋼板に接合可能なように他の鋼板の部分に対応した面を有していることを特徴とする。
本発明によれば、吐出管の内周側部の下端にある鋼板の下端部は、うず巻状に成形された側板と同一曲率の円弧状の曲面を有しており、側板と段差なく平滑な面になるように接合可能になっている。そして、前記鋼板の他の端部は、前記吐出管の内周側部を構成する他の鋼板に接合可能なように他の鋼板の部分に対応した面を有している。
【0025】
本発明の好ましい態様は、前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は円錐面の一部で構成され、該鋼板の下端部は接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあり、他の端部は同一平面上にあることを特徴とする。
本発明によれば、前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板の下端部は、うず巻状の側板と段差なく平滑な面になるように接合可能であり、前記鋼板の他の端部は、平板と段差なく平滑な面になるように接合可能である。
【0026】
本発明の好ましい態様は、前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は円筒面の一部で構成され、該鋼板の下端部は接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあり、他の端部も接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあることを特徴とする。
本発明によれば、前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は、下端部から上端部までが同一曲率の円弧状の円筒面になっている。
【0027】
本発明の好ましい態様は、前記垂直配管の下端部は、下端が閉止された円筒形で構成され、前記吐出管は、前記垂直配管の下端部の円筒の側面および/または底面に接続されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記垂直配管の下端部は、下方に向けて径が小さくなる逆円錐形で構成され、前記吐出管は、前記垂直配管の下端部の逆円錐面に接続されることを特徴とする。
【0028】
本発明の好ましい態様は、前記吐出管内に整流板を取り付けたことを特徴とする。
本発明によれば、ポンプケーシングのボリュートの出口部と吐出管の直管部とを接続するエルボ状の曲がり管路に整流板を設置することにより、エルボ状の曲がり管路、特に、曲がり管路の入口部を整流板により上下に二分することにより、曲がり管路の入口部において管路の上部を流れる流体が必要以上に大きな円弧を描いて管路の下部に向かって流れることがなく、流れの剥離を防止することができる。
【0029】
本発明の好ましい態様は、前記ボリュートの流路は、略四角形の断面を有することを特徴とする。
本発明によれば、ボリュートの流路を単純な形状にすることができ、ボリュートの製作が容易になり、また流路設計の簡素化を図ることができる。
【0030】
本発明の好ましい態様は、前記吐出管は、ポンプケーシングのボリュートの内側面に接続される内周側部と、ポンプケーシングのボリュートの外側面に接続される外周側部と、内周側部と外周側部とを接続する両側部とから構成され、前記吐出管の流路は、略四角形の断面を有することを特徴とする。
本発明によれば、吐出管の流路を単純な形状にすることができ、吐出管の製作が容易になり、また流路設計の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)渦巻ポンプのボリュートの少なくとも一部とボリュートと垂直配管とを接続する吐出管とを製缶により成形することにより、鋳造による製造に較べてポンプを軽量化できるとともに製作コストを低減することができる。
(2)渦巻ポンプのボリュートの少なくとも一部とボリュートと垂直配管とを接続する吐出管とを、板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で幾何学的に単純な形状に成形し、単純な形状に成形された鋼板を複数接合することにより目的の形状を得る製缶により成形するようにしたので、各鋼板の形状を単純化できるため、各鋼板の製作が容易になり、かつ金型を用いなくても高い精度で製作することができる。
(3)渦巻ポンプのボリュートの一部を上下の平板と、ボリュート外周面を規定する側板とで構成したので、構造が単純となり、製作が容易となる。また、側板の半径方向位置だけでボリュートの流路断面積を決定できるため、設計が簡易となる。
(4)渦巻ポンプのボリュートを構成する上下の平板の板厚を厚くしたので、流体圧に耐える十分な強度を確保できると共に、ボリュートの外周面を規定する側板が薄くてすむため、その分ポンプケーシングの重量を減らすことができる。
(5)渦巻ポンプのボリュートの下平板に対向して垂直方向に流路断面積を広げる鋼板を設けたので、ポンプの最大外径を大きくすることなく、流体の圧力回復区間を設けることができる。
(6)渦巻ポンプのボリュートを構成する上下の平板の少なくとも一方の内径側に肉厚のリングを接合したため、リングにより強度を保てると共に、リングを利用して吸込ベルマウスなどをボルトにより締結することができるようになり、メンテナンス時に吸込ベルマウスなどを取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の立軸渦巻ポンプの実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図2は、吐出管一体型ポンプケーシングユニットと吐出管一体型ポンプケーシングユニット内に収容された羽根車と吐出管一体型ポンプケーシングユニットの周辺機器の詳細を示す断面図である。
【図3】図3は吐出管一体型ポンプケーシングユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図4】図4は吐出管一体型ポンプケーシングユニットの平面図である。
【図5】図5は図4のV−V線断面図である。
【図6】図6は吐出管一体型ポンプケーシングユニットの側面図である。
【図7】図7は、板取りされた板Nを示す平面図である。
【図8】図8は、板取りされた板Mを示す平面図である。
【図9】図9は、板取りされた板Aを示す平面図である。
【図10】図10は、板Mとともにボリュートの上面を形成するための板Jを示す平面図である。
【図11】図11は、下平板と側板との関係を示す平面図である。
【図12】図12は、上平板と側板との関係を示す平面図である。
【図13】図13は、図11に示す上平板と側板とを接合して一体化したものに、更に板Jを接合した状態を示す斜視図である。
【図14】図14は、板取図に基づいて板取りされた板Fを示す平面図である。
【図15】図15は、板取図に基づいて板取りされた板Gを示す平面図である。
【図16】図16は、板取図に基づいて板取りされた板Eを示す平面図である。
【図17】図17は、図3の要部拡大図であり、板F,板G,板Eを接合することにより形成された吐出管の内周側部およびポンプケーシングの一部を示す斜視図である。
【図18】図18は、板取図に基づいて板取りされた板Bを示す平面図である。
【図19】図19は、板取図に基づいて板取りされた板Cを示す平面図である。
【図20】図20は、板取図に基づいて板取りされた板Dを示す平面図である。
【図21】図21は、図3の要部拡大図であり、板B,板C,板Dを接合することにより形成された外周側部およびポンプケーシングの一部を示す斜視図である。
【図22】図22は、板取図に基づいて板取りされた板Kを示す平面図である。
【図23】図23は、板取図に基づいて板取りされた板Lを示す平面図である。
【図24】図24は、図3の要部拡大図であり、板K,板Lを接合することにより形成された側部およびポンプケーシングの一部を示す斜視図である。
【図25】図25は、板取図に基づいて板取りされた板Hを示す平面図である。
【図26】図26は、板取図に基づいて板取りされた板Iを示す平面図である。
【図27】図27は、図3の要部拡大図であり、板H,板Iを接合することにより形成された側部、板B,板C,板Dを接合することにより形成された外周側部およびポンプケーシングの一部を示す斜視図である。
【図28】図28は、図4のXXVIII-XXVIII線断面図であり、吐出管の下部のみを示す図である。
【図29】図29は、板取図に基づいて板取りされた板Pを示す平面図である。
【図30】図30は、板取図に基づいて板取りされた板Oを示す平面図である。
【図31】図31は、図3の要部拡大図であり、円筒状に成形された板Pと平板状の板Oとを接合することにより形成された垂直配管の一部と吐出管との接合部を示す斜視図である。
【図32】図32は、上述の工程を経て製造された吐出管一体型ポンプケーシングユニットに羽根車を配置した状態を示す図であり、図2のXXXII-XXXII線断面図である。
【図33】図33は、図3乃至図6に示す吐出管一体型ポンプケーシングユニットの吐出管内に整流板を設けるとともにポンプケーシングおよび吐出管の外面にリブを設けた実施形態を示す斜視図である。
【図34】図34は、本発明の立軸渦巻ポンプの他の実施形態を示す図であり、立軸の片吸込渦巻ポンプの要部を示す模式的縦断面図である。
【図35】図35は、ポンプケーシングと吐出管と垂直配管の一部とを鋳造により一体成形した吐出管一体型ポンプケーシングユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る立軸渦巻ポンプの実施形態について図1乃至図34参照して説明する。図1乃至図34において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の立軸渦巻ポンプの実施形態を示す縦断面図である。図1においては、立軸の両吸込渦巻ポンプが示されている。図1に示すように、本発明の立軸渦巻ポンプは、貯水ピット等の吸込水槽110を覆う床板111上に据付用フランジ112を介して固定されている。立軸渦巻ポンプは、吸込水槽110内に垂下する吐出管一体型ポンプケーシングユニット1と、吐出管一体型ポンプケーシングユニット1内に配設された羽根車6を備えている。吐出管一体型ポンプケーシングユニット1は、ボリュートを備えたポンプケーシング2と、ポンプケーシング2のボリュートから上方に延設された対をなす吐出管3,3と、吐出管3,3の上端部に接続された垂直配管4とを主要構成部材としている。垂直配管4の上端には、円形断面の複数の配管からなる揚水管8がフランジ接続されており、揚水管8は吐出管一体型ポンプケーシングユニット1から上方に延びている。そして、揚水管8の上端部には、吐出エルボ5が接続されている。羽根車6は両吸込遠心型の羽根車から構成されており、羽根車6を回転駆動する主軸(駆動軸)7は、垂直配管4および揚水管8内を貫通して吐出エルボ5の壁部を貫通して電動モータ等の駆動装置(図示せず)に連結されている。
【0034】
図2は、吐出管一体型ポンプケーシングユニット1と羽根車6とそれらの周辺機器の詳細を示す断面図である。図2に示すように、ポンプケーシング2は、ボリュートケーシングの下面を規定する下平板21と、ボリュートケーシングの上面を規定する上平板22と、下平板21と上平板22とを接続するとともにボリュートケーシングの2つのボリュート(ダブルボリュート)の側面を規定する2枚の側板23A,23Bとを備えている。下平板21の内径側には円環状の下リング24が接合されており、下リング24には下ライナリング部25と下吸込ベルマウス26とが支持されている。また、上平板22の内径側には円環状の上リング27が接合されており、上リング27には上ライナリング部28と上吸込ベルマウス29とが支持されている。
以下、本実施形態においてはポンプケーシングが2つのボリュート(ダブルボリュート)を備えている場合について説明するが、ボリュートはダブルボリュートに限らず、3重ボリュート、4重ボリュートでもよい。ダブルボリュートの場合は2枚の側板は180°の回転対称の位置に配置されるが、3重ボリュートの場合は3枚の側板を120°の回転対称の位置に、4重ボリュートの場合は4枚の側板を90°の回転対称の位置にそれぞれ配置することにより容易に複数のボリュートを製作することができる。
【0035】
図2に示すように、前記ポンプケーシング2の2つのボリュート(ダブルボリュート)の部分に対をなす吐出管3,3が接合されている。吐出管3,3は上方に延設されており、吐出管3,3の上端部は円筒状の垂直配管4に接合されている。吐出管3は複数の平板および曲板を接合することにより形成されており、吐出管3の内部に流路が形成されている。垂直配管4の下端は閉止板41によって閉止されており、閉止板41の中心部には、羽根車6の主軸7を回転支承するための軸受を保持する軸受ハウジング42が固定されている。垂直配管4は、フランジ43を介して揚水管8に接続されている(図1参照)。図2に示す吐出管一体型ポンプケーシングユニット1は、垂直配管4の口径すなわち吐出口径がφ600mm以上の大型のポンプに適している。すなわち、内部を溶接する際の作業スペースの確保の観点から、作業者が体を入れて作業を行うことができる大型の、特に吐出口径(垂直配管の口径)がφ600mm以上のポンプの製作に適する。
【0036】
次に、図1および図2に示す立軸渦巻ポンプにおいて用いられている吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の製造工程について図3乃至図31を参照して説明する。
図3は吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の全体構成を示す斜視図である。図4は吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の平面図であり、図5は図4のV−V線断面図である。図6は吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の側面図である。
図3乃至図6に示すように、吐出管一体型ポンプケーシングユニット1は、ダブルボリュートを備えたポンプケーシング2と、ポンプケーシング2のボリュートから上方に延設された対をなす吐出管3,3と、吐出管3,3の上端部が接続される垂直配管4とを主要構成部材としている。吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の主要構成部材は、板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で所定形状に成形し、成形した鋼板を複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により成形したものである。板状の鋼材には、ステンレス鋼板、炭素鋼板等を用い、接合は、アーク溶接をはじめとする溶融溶接法により行う。以下の説明においては、板状の鋼材を切り出す工程である板取りを経て形成された板についてアルファベットA〜Pを付して説明する。
【0037】
まず、ポンプケーシング2の製造工程について説明する。図7乃至図13は、ポンプケーシング2の主要部の製造工程を説明するための図である。
図7は、板取図に基づいて板取りされた板Nを示す平面図である。厚さt1の平板状の鋼材から図7に示す形状の板Nを切り出す。切り出された板Nは、曲げ加工等はしないでそのまま使用されて下平板21を形成する。なお、切り出された板をそのまま使用するとは、バリ取り等の加工が必要な場合には適宜行ってもよいが、形状を変更するような加工は行わないことを意味する。以下の説明においても同様である。ポンプケーシング2はダブルボリュートケーシングであるため、板Nはうず巻状に半径方向外方に拡がっていく2つの外周縁Na,Nbを備えている。2つのうず巻状外周縁Na,Nbの接続部は、直線状の接続部Nc,Ncになっている。また、板Nの中心部には円形孔が形成されており、円形の内周縁Ndに円環状の下リング24(図2および図5参照)が接合されるようになっている。
【0038】
図8は、板取図に基づいて板取りされた板Mを示す平面図である。厚さt1の平板状の鋼材から図8に示す形状の板Mを切り出す。切り出された板Mは、曲げ加工等はしないでそのまま使用されて上平板22を形成する。板Mはうず巻状に半径方向外方に拡がっていく2つの外周縁Ma,Mbを備えている。2つのうず巻状外周縁Ma,Mbの接続部は、直線状の接続部Mc,Mcになっている。2つのうず巻状外周縁Ma,Mbは、互いの接合部Mc,Mcに向かう途中の所定箇所で、板Aの厚み(t2)分だけ半径方向外方にせり出した段差部Me,Meを有しており、2つのうず巻状外周縁Ma,Mbは、段差部Me,Meから再びうず巻状に半径方向外方に拡がり、接続部Mc,Mcに接続している。また、板Mの中心部には円形孔が形成されており、円形の内周縁Mdに円環状の上リング27(図2および図5参照)が接合されるようになっている。
【0039】
図9は、板取図に基づいて板取りされた板Aを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図9に示す形状の板Aを2枚切り出す。切り出された2枚の板Aは、曲げ加工を行ってうず巻状に成形し、2つのボリュート(ダブルボリュート)の側面を規定する2枚の側板23A,23Bを形成する。板Aの下端Aaに板Nが接合され、板Aの上部側にある2つの平坦部Ab,Acのうち一方の平坦部Abに板Mが接合されるようになっている。また、2つの平坦部Ab,Acの間の段差部Agは、板Mの段差部Meに当接するようになっている。板Aは、上部に傾斜部Ad,Aeを有している。また、平坦部Acと傾斜部Aeとの間に、上方に突出した突出部Afが形成されている。板M,Nの厚さt1は、板Aの厚さt2よりも厚く設定されている。
【0040】
図10は、板Mとともにボリュートの上面を形成するための板を示す図であり、板取図に基づいて板取りされた板Jを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図10に示す形状の板Jを2枚切り出す。切り出された2枚の板Jは、曲げ加工等はしないでそのまま使用されてボリュートの上面を形成する。
【0041】
図11は、下平板21と側板23A,23Bとの関係を示す平面図である。図11に示すように、板Aからうず巻状に成形された2枚の側板23A,23Bの下端は、板Nからなる下平板21に接合される。うず巻状に成形された2枚の側板23A,23Bは、板Nの中心Oに対して回転対称になっており、2つの側板23A,23Bのうち一方を180°回転させると他方に重なるようになっている。うず巻状の2枚の側板23A,23Bの中心Oからの半径rは、r1<r2<r3<r4のように次第に大きくなっている。うず巻の形状は、半径rとうず巻の始端からの角度θとを用いた極座標(r,θ)でr=f(θ)と表すことができる。板Nからなる下平板21と側板23A,23Bとを接合する際には、側板23A,23Bの外周面と板Nのうず巻状外周縁Na,Nbとが一致するように重ねて接合する。側板23Aは板Nのうず巻状外周縁Naに沿って延び、側板23Aの内側端部23Aieは側板23Bの外側端部23Boeの半径方向内方まで延びている。側板23Bは板Nのうず巻状外周縁Nbに沿って延び、側板23Bの内側端部23Bieは側板23Aの外側端部23Aoeの半径方向内方まで延びている。
【0042】
図12は、上平板22と側板23A,23Bとの関係を示す平面図である。図12においては、上平板22と側板23A,23Bとの関係を明瞭に図示するために下平板21の一部を仮想線で示している。図12に示すように、板Mからなる上平板22は、板Aからなる2枚の側板23A,23Bと接合される。すなわち、板Aの平坦部Abは板Mの外周縁Maの下面に当接し、板Aの段差部Agは板Mの段差部Meに当接し、これら当接部において板Aと板Mとは接合される。また、板Aの平坦部Ac,突出部Af,傾斜部Aeは、板Mの外周縁Maの外側に位置し、板Mの外周縁Maの外面は板Aの内周面に当接し、この当接部において板Aと板Mとは接合される。さらに、板Aの傾斜部Adは、板Mの外側に露出する。
【0043】
図13は、下平板21と側板23A,23Bと上平板22とを接合して一体化したものに板Jを接合する場合を示す斜視図であり、図13(a)は板Jを接合する前の状態を示し、図13(b)は板Jを接合した状態を示す。
図13(a)に示すように、下平板21と側板23A,23Bと上平板22とを接合して一体化することにより、ダブルボリュートの一部が形成される。上平板22、側板23A,23B、および下平板21により形成される流路は、略四角形の断面を有し、側板23A,23Bはうず巻状に半径rが拡大していくため、流路断面積は流体の流れ方向に次第に大きくなっていく。この流路断面積は、側板23A,23Bの半径方向位置のみによって決定される。
【0044】
図13(a)に示すように、下平板21と側板23A,23Bと上平板22とを接合して一体化すると、板Aからなる側板23A,23Bにおける傾斜部Ad,Aeが半径方向内側と外側とで並列することになる。そして、並列する板Aの傾斜部Ad,Aeは、半径rが拡大するにつれて上り勾配になり、側板の高さhはh1<h2<h3のように次第に高くなっていく。図13(b)に示すように、板Jの下面を側板23A,23Bの傾斜部Ad,Aeに当接させ、この当接部を接合することにより、ダブルボリュートの主要部が形成される。板J、側板23A,23B、および下平板21により形成される流路は、略四角形の断面を有し、側板23A,23Bがうず巻状に半径rが拡大しかつ板Jが上方に傾斜しているため、流路断面積は半径方向及び略円周方向に拡大していき流体の流れ方向に次第に大きくなっていく。この流路断面積は、側板23A,23Bの半径方向位置と傾斜部Ad,Aeの高さhによって決定される。
以上のように、板N、板M、2枚の板A、および2枚の板Jを所定形状に成形して接合することにより、ダブルボリュートを有したポンプケーシング2の主要部が形成される。
【0045】
次に、吐出管3の製造工程について説明する。図14乃至図28は、吐出管3の主要部の製造工程を説明するための図である。対をなす吐出管3,3は、ポンプの主軸7の軸線に対して回転対称になっており、2つの吐出管3,3のうち一方を180°回転させると他方に重なるようになっているので、以下においては対をなす2つの吐出管3,3を適宜参照しながら一方の吐出管3のみについて説明する。
【0046】
吐出管3は、ポンプケーシング2と垂直配管4とを接続する流路を構成する要素と定義される。一方、ポンプケーシング2の主要部は、板Nからなる下平板21、板Mからなる上平板22、板Aからなる2枚の側板23A,23B、および2枚の板Jを接合することにより構成される。1枚の板材が、その一部がポンプケーシングを構成し、他の部分が吐出管を構成する場合があるため、以下の説明においては、ポンプケーシング2の一部を構成する部材を吐出管3に含めて説明する。図3乃至図6に示すように、吐出管3は、ポンプケーシング2のボリュートの内側面に接続される内周側部3aと、ポンプケーシング2のボリュートの外側面に接続される外周側部3bと、内周側部3aと外周側部3bとを接続する両側部3c,3dとから構成されている。吐出管3は、ポンプケーシング2のボリュート部からエルボ状の曲がり管路で上方に曲がり、中段部において概略真直な管路になって上方に延び、上部において垂直配管4に向かってやや内側に傾斜した管路になっている。吐出管3により形成される流路は、略四角形の断面を有し、流路断面積は、入口側から出口側まで流体の流れ方向に沿って徐々に大きくなるように設定されている。すなわち、図5に示すように、内周側部3aの主軸側への傾きは、外周側部3bの主軸側への傾きより大きくなっている。このように内周側部3aと外周側部3bとの傾きに差を持たせているため、吐出管3の流路断面積は、入口側から出口側に向かって徐々に大きくなっている。
【0047】
図3の左側の吐出管に図示されるように、ポンプケーシング2のボリュートの内側面に接続される内周部側3aは、板F,板G,板Eから構成されている。
図14は、板取図に基づいて板取りされた板Fを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図14に示す形状の板Fを切り出す。切り出された板Fは、二点鎖線で示す曲げ加工用の線に沿って曲げ加工を行って円錐面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。この場合、板Fの下端Faは板Aの平坦部Ac(図9参照)に接合されるため、板Fの下端Faはうず巻状に形成された板Aの平坦部Acの円弧と同一曲率の円弧に形成される。また、板Fの略山形の外周縁Fbは、外周縁Fbの上端から左右に分かれるそれぞれの外周縁が円錐体を所定の平面に沿って切った切断面上にあり、左右の外周縁それぞれが、それぞれの平面上に位置している。そして、前記それぞれの平面の交わる直線が外周縁Fbの上端を通る直線となる。なお、左右の外周縁が同一の平面上に位置するように成形してもよい。
図15は、板取図に基づいて板取りされた板Gを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図15に示す形状の板Gを切り出す。切り出された板Gは、曲げ加工等はしないでそのまま使用される。
図16は、板取図に基づいて板取りされた板Eを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図16に示す形状の板Eを切り出す。板Eの上部は略矩形状をなし、板Eの下部は略逆三角形状をなしている。板Eは、上端部において垂直配管4の下端を閉止している閉止板41と接合されるので(図3参照)、板Eは、上部において曲げ加工を行って閉止板41に向かって半径方向内方に曲がった曲板に成形する。
【0048】
図17は、図3の要部拡大図であり、板F,板G,板Eを接合することにより形成された内周側部3aおよびポンプケーシング2の一部を示す斜視図である。図17に示すように、板Fの下端Faは、うず巻状に形成された板Aの平坦部Acに接合され、板Fの左側の外周縁Fbは板Eに接合され、板Fの右側の外周縁Fbは板Gに接合される。板Eは板Fおよび板Gに接合される部分では曲げ加工は無く平板状になっており、板Gは曲げ加工は無く平板状になっており、更に板Fの外周縁Fbは同一平面上に位置しているか、あるいは外周縁Fbの左右の縁が、外周縁Fbの上端を通る直線で交わるそれぞれの平面上にあるため、板Eと板Gとの接合部は前記直線上となる。すなわち、外周縁Fbの左右の縁がそれぞれの平面上に位置している場合には、それぞれの平面が交わる直線は外周縁Fbの上端を通り、この直線は板Fと板Gの接合部と一致する。
図2に示すように、板Eの上部は流体の流れ方向の曲率、つまり、垂直方向に曲率を持つように曲げられ、内周側部3aを構成している。流路の内径側は流体の剥離が起こりやすく、できるだけ流れ方向に対して滑らかな面を形成することが望ましいが、本実施形態では内周側部3aが流体の流れ方向に曲率を持つように構成したことで流れの剥離を抑制している。これは後で詳述する外周側部3bが流れと垂直な方向、つまり水平方向に曲率を持つ面を複数つなぎ合わせて構成されるのと対照的である。
そして、板E、F、Gの接合部は、板Fのように水平方向の曲率を持つ面を垂直方向に曲率を持つことのできる面に変更する役割を果たす。
なお、流れの剥離の影響が小さければ、内周側部3aを外周側部3bと同様に、流れと垂直な方向の曲率、つまり水平方向の曲率を持つ円筒面を複数つなぎ合わせて構成してもよい。
【0049】
図3の右側の吐出管に図示されるように、ポンプケーシング2の外側面に接続される外周側部3bは、板B,板C,板Dから構成されている。なお、板Bは、上部側が外周側部3bの一部を構成し、下部側がポンプケーシング2の一部を構成している。
図18は、板取図に基づいて板取りされた板Bを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図18に示す形状の板Bを切り出す。切り出された板Bは、x方向に曲げ加工を行って円筒面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。板Bの右側の端部Baは垂直方向に延び、板Bの上端部Bbは水平方向に延びている。
図19は、板取図に基づいて板取りされた板Cを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図19に示す形状の板Cを切り出す。切り出された板Cは、x方向に曲げ加工を行って円筒面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。
図20は、板取図に基づいて板取りされた板Dを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図20に示す形状の板Dを切り出す。切り出された板Dは、二点鎖線で示す曲げ加工用の線に沿って曲げ加工を行って円筒面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。
【0050】
図21は、図3の要部拡大図であり、板B,板C,板Dを接合することにより形成された外周側部3bおよびポンプケーシング2の一部を示す斜視図である。図21に示すように、板Bの右側の端部Baは、うず巻状に形成された板Aの端部Ahに接合される。なお、図6には、板Bと板Aの接合部(Ba,Ah)が明瞭に示されている。また、板Bの上端部Bbは板Cに接合され、板Cの上端部Caは、板Dに接合される。
【0051】
次に、内周側部3aと外周側部3bとを接続する両側部3c,3dについて説明する。
図3の左側の吐出管に図示されるように、側部3cは、板K,板Lから構成されている。なお、板Kは、上部側が側部3cの一部を構成し、下部側がポンプケーシング2の一部を構成している。
図22は、板取図に基づいて板取りされた板Kを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図22に示す形状の板Kを切り出す。切り出された板Kは、二点鎖線で示す曲げ加工用の線に沿って曲げ加工を行って円錐面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。図22において一点鎖線で示される板Kの上端部及び下端部は曲げ加工を行わず平板部とする。
図23は、板取図に基づいて板取りされた板Lを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図23に示す形状の板Lを切り出す。切り出された板Lは、曲げ加工等はしないでそのまま使用される。
【0052】
図24は、図3の要部拡大図であり、板K,板Lを接合することにより形成された側部3cおよびポンプケーシング2の一部を示す斜視図である。図24に示すように、板Kの下端Kaは板Jの上端Jaに接合され、板Kの上端Kbは板Lの下端Laに接合される。また、板Kの内周側部Kcは、板Aの傾斜部Aeおよび板Eに接合され、板Kの外周側部Kdは、下部側が板Aに接合され、上部側が板Bに接合される。板Kと板Bとの接合部は図6に明瞭に示されている。図24に示すように、板Lの内周側部Lcは板Eに接合され、板Lの外周側部Ldは板Cおよび板Dに接合される。板Lと板C,板Dとの接合部は図6に明瞭に示されている。
【0053】
また、図3の右側の吐出管に図示されるように、側部3dは、板H,板Iから構成されている。なお、板Hは、上部側が側部3dの一部を構成し、下部側がポンプケーシング2の一部を構成している。
図25は、板取図に基づいて板取りされた板Hを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図25に示す形状の板Hを切り出す。切り出された板Hは、下部側においてy方向に曲げ加工を行って円筒面の一部を構成するような曲面を有した曲板に成形する。板Hは、上部側においては曲げ加工等はしないでそのまま使用される。
図26は、板取図に基づいて板取りされた板Iを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図26に示す形状の板Iを切り出す。切り出された板Iは、曲げ加工等はしないでそのまま使用される。
【0054】
図27は、図3の要部拡大図であり、板H,板Iを接合することにより形成された側部3d、板B,板C,板Dを接合することにより形成された外周側部3bおよびポンプケーシング2の一部を示す斜視図である。図28は、図4のXXVIII-XXVIII線断面図であり、吐出管3の下部のみを示す図である。図27に示すように、板Hの上端Haは板Iに接合され、図28に示すように、板Hの下端Hbは板Nの接続部Ncに接合される。また、図27に示すように、板Hの外周側部Hcは板Bに接合され、板Iの外周側部Icは板Cおよび板Dに接合される。さらに、図28に示すように、板Hの内周側部Hdは板Aおよび板Gに接合され、板Iの内周側部Idは板Eに接合される。
【0055】
次に、垂直配管4の製造工程について説明する。図29乃至図31は、吐出管3と接続される垂直配管4の部分の製造工程を説明するための図である。
図29は、板取図に基づいて板取りされた板Pを示す平面図である。厚さt2の平板状の鋼材から図29に示す形状の板Pを切り出す。板Pには2つの切り欠きPa,Pbが形成されている。切り出された板Pはx方向に曲げ加工を行って円筒状に成形し、板Pの端部同士を接合して垂直配管4を形成する。
図30は、板取図に基づいて板取りされた板Oを示す平面図である。厚さt3の平板状の鋼材から図30に示す形状の板Oを切り出す。板Oの外周部には、2つの円弧状部Oa,Oaと2つの平面部Ob,Obとが形成されている。また、板Oの中心部には円形孔Ocが形成されている。切り出された板Oは、曲げ加工等はしないでそのまま使用される。板Oの厚さt3は、板Pの厚さt2よりも厚く設定されている。
【0056】
図31は、図3の要部拡大図であり、円筒状に成形された板Pと平板状の板Oとを接合することにより形成された垂直配管4と吐出管3,3との接合部を示す斜視図である。図31に示すように、板Pを円筒状に成形して端部同士を接合して円筒状の垂直配管4を形成し、円筒状の垂直配管4の下端に板Oを接合して垂直配管4の下端を閉止する。板Oは閉止板41を構成する。これにより、垂直配管4には、板Pに形成された2つの切り欠きPa,Pbにより2つの四角形状の開口部4a(図31では一方のみ示す)が形成される。また、垂直配管4の下端を閉止する板Oからなる閉止板41の中心部にある円形孔Ocに羽根車6の主軸7を回転支承するための軸受を保持する軸受ハウジング42が固定される(図2参照)。図31に示すように、吐出管3の板D,板I,板Lの上端は、円筒状に成形された板Pからなる垂直配管4に接合され、吐出管3の板Eの上端は、板Oからなる閉止板41に接合される。このとき、板D,板I,板Lは垂直配管4の開口部4aの縁部に接合され、板Eは板Oの平面部Obに接合される。なお、円筒状に成形された板Pの上端には、図3に示すように、環状の平板からなるフランジ43が接合されるが、図31においては、フランジ43の図示を省略している。
【0057】
以上説明したように、板状の鋼材を切り出して折り曲げる等の工程で所定形状に成形し、成形した鋼材を複数接合することにより目的の形状を得る製缶により、ボリュートを備えたポンプケーシング2と、ポンプケーシング2のボリュートから上方に延設された対をなす吐出管3,3と、吐出管3,3の上端部に接続された垂直配管4とを主要構成部材とする吐出管一体型ポンプケーシングユニット1を製造することができる。なお、下平板21の内径側には下リング24を接合し、上平板22の内径側には上リング27を接合する。下リング24および上リング27は製缶ではなく、切削等の機械加工により製作される。下リング24と上リング27とを切削等の機械加工により製作することにより、ポンプケーシング2の強度を保てるとともに、下リング24と上リング27を利用して吸込ベルマウスなどをボルトにより締結することができるようになり、メンテナンス時に吸込ベルマウスなどを取り外すことができる。
なお、下リング24の内径は羽根車の外径よりも大きくなっているため、下リングに固定された吸込ベルマウスなどを取り外すことにより、ポンプケーシングの下端から羽根車を取り出すことができる。そのため、本実施形態では上リング27の内径は羽根車の外径より小さく、また、吸込ベルマウスなどの上リングへの取り付けは溶接など取り外しのできない手段であっても良い。
【0058】
図32は、上述の工程を経て製造された吐出管一体型ポンプケーシングユニット1に羽根車6を配置した状態を示す図であり、図2のXXXII-XXXII線断面図である。
図32に示すように、ポンプケーシング2には、羽根車6の外周側に2つのボリュート2V,2Vが形成される。ダブルボリュートのスロート部2S,2Sは、側板23A,23Bの内側端部23Aie,23Bieとこれら内側端部23Aie,23Bieに対向する側板23A,23Bの内面とによって構成される。
【0059】
図33は、図3乃至図6に示す吐出管一体型ポンプケーシングユニット1の吐出管3内に整流板50を設けるとともにポンプケーシング2および吐出管3の外面にリブ51を設けた実施形態を示す斜視図である。
吐出管3は、ポンプケーシング2のボリュート部からエルボ状の曲がり管路で上方に曲がり、中段部において概略真直な管路になって上方に延び、上部において垂直配管4に向かってやや内側に傾斜した管路になっている。図33に示すように、ポンプケーシング2のボリュートの出口部と吐出管3の直管部とを接続するエルボ状の曲がり管路に整流板50が設置されている。整流板50は、板Bと、板Bに対向する板Aおよび板Fとの間に架設されており、板Bの内面から垂直に板Aおよび板Fに向かって延びている。整流板50は板Bの内側にあるが、図32では板Bと整流板50との接合部を実線で示している。整流板50は、2枚の平板状の鋼板に曲げ加工を行ってそれぞれ円錐面の一部を構成するような曲面を有した板Q,板Rを形成し、板Q,板Rを接合することにより製作されている。整流板50は、板B,板H,板K,板A,板E,板F,板Gにより形成されるエルボ状の曲がり管路の流路を概略二分するように配置されている。このように、エルボ状の曲がり管路、特に、曲がり管路の入口部を整流板50により上下に二分することにより、曲がり管路の入口部において管路の上部を流れる流体が必要以上に大きな円弧を描いて管路の下部、または、流路の曲がりの外側に向かって流れることがなく、流れの剥離を防止することができる。なお、整流板は曲がり管路を上下に二等分する位置に限らず、より流れの剥離しやすい曲がりの内側に近い位置に設置しても良い。また、二分するものに限らず、整流板を2枚設けて、流路を上下方向に三分割するようにしてもよい。
【0060】
また、図33に示すように、ポンプケーシング2および吐出管3の外面には、補強用のリブ51が接合されている。リブ51は略コ字状の形状を有する鋼板からなり、高い内圧がかかるポンプケーシング2および吐出管3の外面に、必要に応じ、リブ51を接合することにより、ポンプケーシング2および吐出管3の剛性を高めるようにしている。このように、リブ51をポンプケーシング2の下平板21および上平板22に接合することにより、下平板21および上平板22の板厚を側板23A,23Bの板厚と同様に薄くすることもできる。
また、本実施形態の吐出管一体型のポンプケーシングにおいて、外径が最も大きくなるのは脚の立ち上がり部から、合流するために脚が内側に曲げられるまでの個所である。本実施形態では、この部分に設けられるリブ51は、図33に示すように脚の外周側部3bに対応する部分を除いたコの字型である。このような構成にしたのは、以下の理由による。このような立軸ポンプは、水槽に垂下され使用されるが、ポンプを水槽内に降ろすために、上部はポンプが通過できる構造としなければならない。この構造はポンプケーシングの外径が大きいほどにコストが上がってしまう。また、ピットバレルを用いる場合も、ポンプケーシングの外径が大きいほどにバレルの径も大きくなるためコストが上昇してしまう。したがって、脚の外周側部3bにリブの一部分が突出することがないようにし、ポンプケーシングの外径を小さくし、コスト的に有利にしている。
【0061】
図34は、本発明の立軸渦巻ポンプの他の実施形態を示す図であり、立軸の片吸込渦巻ポンプの要部を示す模式的縦断面図である。図34においては、保護管を備えた場合と保護管を備えない場合とが示されている。すなわち、図34において主軸7の中心線を挟んで左側には保護管55が設置された場合が示され、右側には保護管を設置しない場合が示されている。保護管55を設ける場合には、保護管55は上リング27に連結されている。保護管を設けない場合には、主軸7が貫通する軸貫通部56が上リング27に連結されている。また、上リング27には上ライナリング部28が支持されている。
図34に示す立軸渦巻ポンプにおいては、垂直配管4の下端部は、下方に向けて径が小さくなる逆円錐形の閉止板57で閉止されている。そして、吐出管3の上端部は、垂直配管4の下端部にある逆円錐形の閉止板57の逆円錐面に接続されている。
【0062】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 吐出管一体型ポンプケーシングユニット
2 ポンプケーシング
3 吐出管
3a 内周側部
3b 外周側部
3c,3d 側部
4 垂直配管
5 吐出エルボ
6 羽根車
7 主軸(駆動軸)
8 揚水管
21 下平板
22 上平板
23A,23B 側板
24 下リング
25 下ライナリング部
26 下吸込ベルマウス
27 上リング
28 上ライナリング部
29 上吸込ベルマウス
41 閉止板
42 軸受ハウジング
43 フランジ
50 整流板
51 リブ
55 保護管
56 軸貫通部
57 閉止板
101 吐出管一体型ポンプケーシングユニット
102 ポンプケーシング
103 吐出管
104 垂直配管
A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,N,O,P 板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直配管と、前記垂直配管内を貫通する駆動軸と、前記駆動軸によって回転駆動される羽根車と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、前記ポンプケーシングと前記垂直配管とを接続する流路を構成する吐出管とを備えた立軸渦巻ポンプであって、
板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板と板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板とを複数接合することによって目的とする形状を得る製缶により、前記ポンプケーシングのボリュートの少なくとも一部と、前記ボリュートに接続される吐出管を成形したことを特徴とする立軸渦巻ポンプ。
【請求項2】
前記ボリュートの少なくとも一部は、前記ボリュートの下面を規定する下平板と、前記ボリュートの上面を規定する上平板と、前記ボリュートの側面を規定する側板とが接合されて形成されていることを特徴とする請求項1記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項3】
前記下平板、前記上平板、および前記側板で形成された部分の流路断面積は、前記側板の半径方向位置のみによって決定されることを特徴とする請求項2記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項4】
前記下平板と前記上平板の板厚は、前記側板の板厚よりも厚いことを特徴とする請求項2または3記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項5】
前記ボリュートの側面は、うず巻状に成形された2枚の前記側板を180°の回転対称の位置に配置することにより形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項6】
前記上平板の流れ方向終端に接合され、前記下平板に対向しつつ垂直方向に流路断面積を広げる鋼板が設けられていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項7】
前記下平板の内径側には円形の下リングが接合されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項8】
前記下リングには、下吸込ベルマウスと下ライナリング部とが支持されていることを特徴とする請求項7記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項9】
前記上平板の内径側には円形の上リングが接合されていることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項10】
前記立軸渦巻ポンプは両吸込渦巻ポンプであって、前記上リングには、上吸込ベルマウスと上ライナリング部とが支持されていることを特徴とする請求項9記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項11】
前記立軸渦巻ポンプは片吸込渦巻ポンプであって、前記上リングには、前記駆動軸が貫通する軸貫通部が設けられるか、もしくは主軸保護管と上ライナリング部が設けられていることを特徴とする請求項9記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項12】
前記板状の鋼材を切り出して所定形状にした鋼板は平板であり、前記板状の鋼材を切り出して曲げ加工を行って所定形状に成形した鋼板は曲板であり、該曲板を形成するための曲げ加工用の線が直線であり且つ互いに交わらないことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項13】
前記曲板は、円筒面又は円錐面、または円筒面又は円錐面の一部、または円筒面と円錐面の組合せで構成されていることを特徴とする請求項12記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項14】
前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は、下端部が前記側板の上端に接合可能なように側板の部分に対応した曲面を有し、他の端部が前記吐出管の内周側部を構成する他の鋼板に接合可能なように他の鋼板の部分に対応した面を有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項15】
前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は円錐面の一部で構成され、該鋼板の下端部は接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあり、他の端部は同一平面上にあることを特徴とする請求項14記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項16】
前記吐出管の内周側部の下端にある鋼板は円筒面の一部で構成され、該鋼板の下端部は接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあり、他の端部も接合される前記側板の部分と同一曲率の円弧上にあることを特徴とする請求項14記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項17】
前記垂直配管の下端部は、下端が閉止された円筒形で構成され、前記吐出管は、前記垂直配管の下端部の円筒の側面および/または底面に接続されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項18】
前記垂直配管の下端部は、下方に向けて径が小さくなる逆円錐形で構成され、前記吐出管は、前記垂直配管の下端部の逆円錐面に接続されることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項19】
前記吐出管内に整流板を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項20】
前記ボリュートの流路は、略四角形の断面を有することを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。
【請求項21】
前記吐出管は、ポンプケーシングのボリュートの内側面に接続される内周側部と、ポンプケーシングのボリュートの外側面に接続される外周側部と、内周側部と外周側部とを接続する両側部とから構成され、前記吐出管の流路は、略四角形の断面を有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の立軸渦巻ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−252487(P2011−252487A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128872(P2010−128872)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】