説明

竪型ミル

【課題】竪型ミルにおいて、装置の大型化や複雑化を抑制可能とする一方で、騒音の発生や耐久性の低下を抑制可能とする。
【解決手段】ハウジング11内に鉛直方向に沿う支持軸心により粉砕テーブル15を駆動回転可能に支持し、この粉砕テーブル15の上方に第1支持軸17により粉砕ローラ16を回転自在に支持し、外周面が粉砕テーブル15の上面に接触して連れ回り可能とし、第1支持軸17を支持する支持アーム18を粉砕ローラ16が粉砕テーブル15に対して接近離反自在となるように第2支持軸19によりハウジング11に揺動自在に支持し、磁性流体35が充填されたダンパ31を有して支持アーム18から粉砕ローラ16に対して粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与する反力荷重付与装置20を設けると共に、粉砕テーブル15上に供給される固形物に含まれる磁性体が反力荷重付与装置20のダンパ31側へ侵入するのを防止する防塵装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭やバイオマスなどの固形物を粉砕して微粉化する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラ発電などの燃焼設備では、燃料として石炭やバイオマスなどの固形燃料が用いられる。そして、この石炭などを固形燃料として利用する場合、例えば、竪型ミルにより原炭を粉砕して微粉炭を生成し、得られた微粉炭を燃料として用いるようにしている。
【0003】
この竪型ミルは、ハウジングの下部に粉砕テーブルが駆動回転可能に配設されると共に、この粉砕テーブルの上面に複数の粉砕ローラが連れ回り可能で、且つ、粉砕荷重を付与可能に配設されて構成されている。従って、原炭が給炭管から粉砕テーブル上に供給されると、遠心力により全面に分散されて炭層が形成され、この炭層に対して各粉砕ローラが押圧することで粉砕され、供給空気により乾燥されて分級された微粉炭が外部に排出される。
【0004】
なお、このような竪型ミルとしては、例えば、下記特許文献1、2に提案されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−047680号公報
【特許文献2】特開2001−017880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の竪型ミルでは、回転する粉砕テーブルに対して粉砕ローラが所定の荷重で押圧され、この粉砕ローラと粉砕テーブルの間に石炭の塊が供給されることで、この石炭が圧壊されて微粉炭となる。この場合、粉砕ローラは、支持アームにベアリングにより回転自在に支持され、支持アームは、粉砕ローラが粉砕テーブルに押圧する方向に回転自在に支持され、この支持アームに対して粉砕ローラが粉砕テーブルに押圧する荷重を付与するための押圧装置が装着されている。そして、この押圧装置としては、ばねや油圧式ダンパが適用されている。
【0007】
ところが、竪型ミルにて、粉砕ローラが粉砕テーブルに押圧するように支持アームを付勢する押圧装置として、コイルばねなどの機械ばねを用いた場合、機器構成をシンプルにすることができる一方で、減衰効果が小さいために石炭を圧壊したときの振動が大きくなり、他の構造物の振動励起源となって騒音発生や耐久性低下を招いてしまう。また、押圧装置として、油圧ダンパを用いた場合、大きな減衰効果を得ることができる反面、アキュムレータ、配管、バルブ、ポンプといった周辺設備が必要となり、複雑なシステムとなって信頼性低下や装置のコストアップを招いてしまう。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、装置の大型化や複雑化を抑制可能とする一方で、騒音の発生や耐久性の低下を抑制可能とする竪型ミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の竪型ミルは、中空形状をなすハウジングと、前記ハウジング内に鉛直方向に沿う支持軸心により駆動回転可能に支持される粉砕テーブルと、前記粉砕テーブルの上方に配置されて第1支持軸により回転自在に支持されると共に外周面が前記粉砕テーブルの上面に接触して連れ回り可能な粉砕ローラと、前記第1支持軸を支持すると共に前記粉砕ローラの外周面が前記粉砕テーブルの上面に対して接近離反自在に第2支持軸により前記ハウジングに揺動自在に支持される支持アームと、磁性流体が充填されたダンパを有して前記磁性流体を磁化させることで前記支持アームから前記粉砕ローラに対して該粉砕ローラが前記粉砕テーブルから離間する方向に対抗する反力荷重を付与する反力荷重付与装置と、前記粉砕テーブル上に供給される固形物に含まれる磁性体が前記ダンパ側へ侵入するのを防止する防塵装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
従って、粉砕ローラと粉砕テーブルの間に固形物が入り込んだとき、粉砕テーブルの回転力が固形物を介して粉砕ローラに伝達されて連れ回りし、このとき、粉砕ローラが固形物の侵入により上昇しようとするが、反力荷重付与装置により粉砕ローラに対して反力荷重が付与されているため、粉砕ローラは固形物に押圧荷重を与えて粉砕することができる。この場合、反力荷重付与装置を磁性流体が充填されたダンパにより構成されることから、磁性流体に磁場を印加して磁性流体を磁化させるだけで所望の反力荷重を確保することができ、装置の大型化や複雑化を抑制することができる一方で、騒音の発生や耐久性の低下を抑制することができる。また、固形物中の磁性体がダンパ側へ侵入するのを防止する防塵装置を設けることから、ダンパへの磁性体の付着が防止され、ダンパの適正な作動を確保して信頼性を向上することができる。
【0011】
本発明の竪型ミルでは、前記ダンパは、駆動ロッドが前記ハウジングの外部から内部に貫通して前記支持アームに係合可能であり、前記防塵装置として、少なくとも前記駆動ロッドが非磁性体により形成されることを特徴としている。
【0012】
従って、駆動ロッドを非磁性体とすることで、装置の複雑化や高コスト化を抑制する一方で、簡単な構成で固形物中の磁性体が駆動ロッドに付着することを防止し、駆動ロッドからダンパへの磁性体の付着による作動不良を防止することができる。
【0013】
本発明の竪型ミルでは、前記粉砕テーブルに対して前記固形物を供給する供給装置が設けられ、前記防塵装置として、前記供給装置と前記粉砕テーブルとの間に磁気発生装置が設けられることを特徴としている。
【0014】
従って、供給装置により固形物を粉砕テーブルに供給するとき、磁気発生装置は固形物中の磁性体を吸着するため、ダンパへの磁性体の付着を防止してダンパの適正な作動を確保することができる。
【0015】
本発明の竪型ミルでは、前記防塵装置として、前記粉砕ローラから前記支持アームまでの間にエアを噴射するエアノズルが設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、エアノズルが粉砕ローラから支持アームまでの間にエアを噴射することで、固形物中の磁性体がこの領域に吸着するのを防止することができると共に、粉砕ローラから支持アームまでの間に磁性体が付着しても、この付着した磁性体を除去することができる。
【0017】
本発明の竪型ミルでは、前記防塵装置として、前記粉砕ローラに付着した磁性体を捕集する集塵装置が設けられることを特徴としている。
【0018】
従って、粉砕ローラに磁性体が付着しても、集塵装置がこの付着した磁性体を捕集するため、ダンパへの磁性体の付着を防止してダンパの適正な作動を確保することができる。
【0019】
本発明の竪型ミルでは、前記ダンパは、駆動ロッドが前記ハウジングの外部から内部に貫通して前記支持アームに係合可能であり、前記防塵装置として、前記ハウジングを二重構造としてその間に高圧空気を供給可能とすることを特徴としている。
【0020】
従って、ハウジングを二重構造としてその間に高圧空気を供給するため、ハウジング内の磁性体が、二重構造となるハウジングの空間部を通ってハウジング外のダンパに付着することがなく、ダンパの適正な作動を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の竪型ミルによれば、粉砕テーブルに対して連れ回り可能な粉砕ローラを設けると共に、磁性流体が充填されたダンパを有して粉砕ローラに対して反力荷重を付与する反力荷重付与装置と、固形物に含まれる磁性体がダンパ側へ侵入するのを防止する防塵装置を設けている。従って、粉砕ローラに対して反力荷重を付与されて固形物を適正に粉砕することができると共に、反力荷重付与装置として磁性流体が充填されたダンパを設けることで、磁性流体に磁場を印加して磁化させるだけで所望の反力荷重を確保することができ、装置の大型化や複雑化を抑制することができる一方で、騒音の発生や耐久性の低下を抑制することができる。また、防塵装置によりダンパへの磁性体の付着が防止され、ダンパの適正な作動を確保して信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る竪型ミルを表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの配列を表す平面図である。
【図3】図3は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの支持構造を表す概略図である。
【図4】図4は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの押圧装置を表す概略図である。
【図5】図5は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの反力荷重を設定する処理を表すフローチャートである。
【図6】図6は、実施例1の竪型ミルにおける支持アームの回転角度に対する粉砕ローラの反力荷重を表すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施例2に係る竪型ミルを表す概略構成図である。
【図8】図8は、本発明の実施例3に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施例4に係る竪型ミルにおける粉砕ローラの除塵装置を表す概略図である。
【図10】図10は、本発明の実施例5に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。
【図11】図11は、本発明の実施例6に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る竪型ミルの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係る竪型ミルを表す概略構成図、図2は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの配列を表す平面図、図3は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの支持構造を表す概略図、図4は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの押圧装置を表す概略図、図5は、実施例1の竪型ミルにおける粉砕ローラの反力荷重を設定する処理を表すフローチャート、図6は、実施例1の竪型ミルにおける支持アームの回転角度に対する粉砕ローラの反力荷重を表すグラフである。
【0025】
実施例1の竪型ミルは、石炭(原炭)やバイオマスなどの固形物を粉砕するものである。ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。
【0026】
実施例1の竪型ミル10において、図1及び図2に示すように、ハウジング11は、竪型の円筒中空形状をなし、天井部12の中央部に固形物供給管13が装着されている。この固形物供給管13は、図示しない固形物供給装置からハウジング11内に固形物を供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向(鉛直方向)に沿って配置され、下端部が下方まで延設されている。
【0027】
ハウジング11は、下部に架台14が設置され、この架台14上に粉砕テーブル15が回転自在に配置されている。この粉砕テーブル15は、ハウジング11の中心位置に固形物供給管13の下端部に対向して配置されている。また、この粉砕テーブル15は、上下方向(鉛直方向)の軸心により回転自在であると共に、図示しない駆動装置により駆動回転可能となっている。そして、粉砕テーブル15は、中心部が高く、外側に向けて低くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に湾曲した形状をなしている。
【0028】
粉砕テーブル15は、その上方に対向して複数(本実施例では、3個)の粉砕ローラ16が配置されている。この各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15の外周部の上方に、周方向に均等間隔で配置されている。複数(本実施例では、3個)の第1支持軸17は、ハウジング11の側壁から中心部側へ下方に傾斜するように配置され、先端部に軸受(図示略)を介して粉砕ローラ16が回転自在に支持されている。即ち、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15の上方で、上部がハウジング11の中心部側へ傾斜した状態で、回転自在に支持されることとなる。
【0029】
複数(本実施例では、3個)の支持アーム18は、中間部が水平方向に沿った第2支持軸19によりハウジング11の側壁に上下に揺動自在に支持されている。そして、各支持アーム18は、先端部に粉砕ローラ16が装着された第1支持軸17の基端部を支持している。即ち、各粉砕ローラ16は、各支持アーム18が第2支持軸19を支点として上下に揺動することで、粉砕テーブル15の上面に対して接近離反自在に支持されることとなる。そして、各粉砕ローラ16は、外周面が粉砕テーブル15の上面に接触した状態でこの粉砕テーブル15が回転すると、粉砕テーブル15から回転力を受けて連れ回り可能となっている。
【0030】
また、各支持アーム18は、上端部18aに対して各粉砕ローラ16の反力荷重を付与する反力荷重付与装置20が設けられる一方、下端部18bに対してストッパ21が設けられている。この反力荷重付与装置20は、後述するが、支持アーム18から粉砕ローラ16に対して、この粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与するものである。ストッパ21は、支持アーム18を介して粉砕ローラ16が下方に回動できる量を規制するものである。この反力荷重付与装置20とストッパ21は、ハウジング11に設けられている。
【0031】
各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15との間で固形物を粉砕するものであり、粉砕ローラ16の外周面と粉砕テーブル15の上面との間に所定隙間を確保すると共に、固形物に対して所定の押圧荷重を作用させる必要がある。そのため、ストッパ21により支持アーム18の回動位置(初期位置)を規定することで、粉砕ローラ16の外周面と粉砕テーブル15の上面との間に固形物を取り込んで粉砕可能な所定隙間を確保している。また、反力荷重付与装置20により粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与することで、粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との隙間に固形物が入り込んだとき、粉砕ローラ16の上昇が抑制されて固形物を粉砕している。
【0032】
即ち、固形物が粉砕テーブル15の中心部に供給されると、この固形物は遠心力により外周側に移動し、各粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との隙間に入り込む。ここで、各粉砕ローラ16は、固形物により上昇しようとするが、反力荷重付与装置20により反力荷重が付与されているため、上昇せずに固形物に押圧荷重を与える。ここで、粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15から固形物を介して回転力が伝達されて回転すると共に、固形物に押圧荷重を作用して粉砕することができる。
【0033】
また、ハウジング11は、下部に粉砕テーブル15の外周辺に位置して一次空気が送り込まれる入口ポート22が設けられている。また、ハウジング11は、上部に固形物供給管13の外周辺に位置して粉砕した固形物(以下、粉砕物)を分級するロータリセパレータ(分級装置)23が設けられると共に、天井部12に分級した粉砕物を排出する出口ポート24が設けられている。更に、ハウジング11は、下部に異物排出管25が設けられており、この異物排出管25は、固形物に混在する礫や金属片などの異物(スピレージ)を粉砕テーブル15の外周部から落下させて排出するものである。
【0034】
ここで、反力荷重付与装置20について詳細に説明する。反力荷重付与装置20は、図3及び図4に示すように、磁性流体が充填されたダンパ31を有して磁性流体を磁化させることで粉砕ローラ16に反力荷重を付与するものである。このダンパ31は、中空形状をなすシリンダ32と、シリンダ32内に移動自在なピストン33と、一端部がピストン33に固定され、他端部がシリンダ32から外部に延出するロッド34とを有し、シリンダ32内に磁性流体(MR流体)35が充填されている。また、ピストン33に対向するシリンダ32の外周部に電磁石(コイル)36が設けられ、この電磁石36に電源装置37が接続されている。
【0035】
従って、電源装置37により電磁石36に電流が印加されていないとき、磁性流体35が無磁化状態にあることから、ピストン33はほとんど抵抗なく移動することができる。一方、電源装置37により電磁石36に電流が印加しているとき、磁性流体35が磁化状態にあることから、それぞれの粒子間に結合力が発生して粘性が増加し、ピストン33が移動するときに所定の抵抗力、つまり、反力荷重が作用する。
【0036】
また、反力荷重付与装置20は、ダンパ31と共に、粉砕ローラ16が粉砕テーブル15に接近する初期位置に戻す戻し装置として、圧縮コイルスプリング38を有している。ダンパ31と圧縮コイルスプリング38は、並列状態で配置され、ダンパ31におけるシリンダ31と圧縮コイルスプリング38の一端部が中空形状をなすケーシング39に連結され、このケーシング39は、ハウジング11に固定されている。一方、ダンパ31におけるロッド34と圧縮コイルスプリング38の他端部は、連結部材40に連結され、この連結部材40の押圧部41が支持アーム18の上端部18aに当接している。即ち、圧縮コイルスプリング38は、支持アーム18を図3にて時計周り方向、つまり、粉砕ローラ16が粉砕テーブル15に接近する方向に付勢支持している。
【0037】
なお、この実施例では、粉砕ローラ16が粉砕テーブル15に接近する初期位置に戻す戻し装置として圧縮コイルスプリング38を設けたが、粉砕ローラ16は、その自重により初期位置に戻ることが可能であることから、圧縮コイルスプリング38の付勢力は、作動したダンパ31を元の位置、つまり、押圧部41が支持アーム18の上端部18aに当接した位置に戻すことができる大きさであればよい。また、連結部材40に押圧部41を設けずに、連結部材40と支持アーム18の上端部18aを連結すれば、粉砕ローラ16等の自重により支持アーム18が初期位置に戻るため、戻し装置(圧縮コイルスプリング38)を不要とすることも可能である。
【0038】
また、支持アーム18と第2支持軸19との間には、支持アーム18の回転角度を検出する回転角度センサ(検出器)42が設けられている。制御装置43は、回転角度センサ42の検出値に基づいて反力荷重付与装置20を制御し、粉砕ローラ16の反力荷重を調整する。具体的に、制御装置43は、支持アーム18における初期位置からの回転角度が増加、つまり、粉砕テーブル15に対する粉砕ローラ16が初期位置から上昇すると、粉砕ローラ16の反力荷重を増加させるようにしている。
【0039】
即ち、固形物が粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との隙間に入り込むと、粉砕ローラ16は、この固形物により上昇し、このとき、固形物が大きいほど粉砕ローラ16の上昇量が大きい。つまり、粉砕ローラ16は、固形物が大きいほど、この固形物を粉砕するために大きな押圧荷重が必要となる。そのため、粉砕ローラ16の上昇量が大きいほど、反力荷重付与装置20による粉砕ローラ16の反力荷重を増加させることで、固形物の大きさに拘わらず、この固形物を適正に粉砕することができる。
【0040】
なお、上述の説明では、検出器として、支持アーム18の回転角度を検出する回転角度センサ42を適用したが、これに限定されるものではない。例えば、検出器として、粉砕テーブル15に対する粉砕ローラ16の押圧荷重を検出する荷重センサ(ロードセル)を適用してもよい。
【0041】
また、反力荷重付与装置20は、磁性流体35が充填されたダンパ31であり、電磁石36により磁性流体35を磁化して作動するものである。一方、粉砕ローラ16と粉砕テーブル15により粉砕する固形物が原炭(石炭)であった場合、鉄粉などの磁性体が含まれている。そのため、ダンパ31を作動させたとき、ダンパ31の磁性がハウジング11内における原炭中の鉄粉などの粉塵(磁性体)に作用し、ダンパ31に付着してしまう。また、ダンパ31を作動させたとき、ダンパ31の磁性が支持アーム18及び第1支持軸17を介して粉砕ローラ16などを磁化させ、原炭中の鉄粉などの粉塵(磁性体)が磁化した粉砕ローラ16を伝ってダンパ31に導かれて付着してしまう。このようにダンパ31に粉塵が付着すると、このダンパ31は、摺動部やシール部にこの粉塵が入り込み、作動不良を起こしてしまうおそれがある。
【0042】
そこで、本実施例では、粉砕テーブル15上に供給される固形物に含まれる粉塵(磁性体)が反力荷重付与装置20を構成するダンパ31側へ侵入するのを防止する防塵装置が設けられている。具体的には、この防塵装置として、少なくとも駆動ロッドとしての押圧部41を非磁性体により形成している。この非磁性体を構成する非磁性部材としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)や合成樹脂などを適用している。なお、この駆動ロッドは、ダンパ31からハウジング11を貫通して支持アーム18に係合する部材であり、ここでは、少なくとも押圧部41である。
【0043】
なお、防塵装置としては、少なくとも押圧部41を非磁性部材にすればよいが、望ましくは、ダンパ31のシリンダ32やロッド34、連結部材40、第1支持軸17、支持アーム18、第2支持軸19などを非磁性部材により形成するとよい。
【0044】
ここで、上述した実施例1の竪型ミル10における作動、特に、反力荷重の設定制御について、図1の全体図及び図5のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0045】
竪型ミル10において、図1に示すように、原炭などの固形物が固形物供給管13からハウジング11内に供給されると、この固形物は、粉砕テーブル15上の中心部に供給される。このとき、粉砕テーブル15は、所定の速度で回転していることから、粉砕テーブル15上の中心部に供給された固形物は、遠心力により外周に分散するように移動し、粉砕テーブル15の全面に一定の固形物層が形成される。即ち、固形物が各粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との間に入り込む。
【0046】
すると、粉砕テーブル15の回転力が固形物を介して各粉砕ローラ16に伝達され、粉砕テーブル15の回転に伴って粉砕ローラ16が回転する。このとき、各粉砕ローラ16は、固形物により上昇しようとするが、反力荷重付与装置20により反力荷重が付与されているため、上昇動作が抑制されて固形物に押圧荷重を与える。そのため、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15上の固形物を押圧して粉砕することとなる。なお、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15との間に入り込んだ固形物の大きさや硬さにより反力荷重に打ち勝って若干上昇するが、粉砕ローラ16の自重や圧縮コイルスプリング38の付勢力により初期位置に戻される。
【0047】
このような粉砕ローラ16による固形物の粉砕時に、制御装置43は、回転位置センサ42の検出値に基づいて反力荷重付与装置20を制御し、粉砕ローラ16の反力荷重を調整している。即ち、図5に示すように、ステップS11にて、回転位置センサ42は、支持アーム18の回転角度を検出し、ステップS12にて、制御装置43は、支持アーム18の回転角度に基づいて粉砕ローラ16の反力荷重を設定する。
【0048】
この場合、制御装置43は、図6のマップを用いて粉砕ローラ16の反力荷重を設定する。即ち、図6に示すように、支持アーム18の回転角度(粉砕ローラ16の上昇量)θが大きいほど、反力荷重付与装置20による粉砕ローラ16の反力荷重Fが大きくなるように設定する。このマップにて、支持アーム18の回転角度θまでは、反力荷重Fの増加率は小さく、支持アーム18の回転角度θ〜θまでは、反力荷重Fの増加率を大きく設定している。その後、支持アーム18の回転角度θ〜θまでは、反力荷重Fの増加率を小さく、支持アーム18の回転角度θ以上は、反力荷重Fを一定としている。ここで、粉砕ローラ16が固形物を粉砕可能な反力荷重Fは、反力荷重Fであることから、支持アーム18の回転角度θ〜θまでの反力荷重Fの増加率が大きく設定される。また、粉砕ローラ16が損傷する可能性がある反力荷重Fの上限値は、反力荷重Fであることから、支持アーム18の回転角度θ〜θまでの反力荷重Fの増加率が小さく、支持アーム18の回転角度θ以上の反力荷重Fが一定に設定される。
【0049】
そして、図5に戻り、ステップS12にて、粉砕ローラ16の反力荷重が設定されたら、ステップS13にて、反力荷重付与装置20において、電源装置37による電磁石36への印加電流を設定する。なお、粉砕ローラ16の反力荷重に対する電源装置37による電磁石36への印加電流は、予め実験等により求めておけばよいものであり、必要に応じてマップ化しておけばよい。そして、ステップS14にて、制御装置43は、電源装置37を制御し、電磁石36に所定の電流を印加することで、磁性流体35を磁化してダンパ31を作動させ、粉砕ローラ16に対して所定の反力荷重を作用させる。
【0050】
この場合、固形物が各粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との間に入り込むと、粉砕ローラ16が上昇するため、粉砕ローラ16の反力荷重が増加し、固形物に押圧荷重を与えて粉砕する。粉砕ローラ16が固形物を粉砕すると、粉砕ローラ16が下降するため、粉砕ローラ16の反力荷重が減少し、粉砕ローラ16が自重により初期位置に戻ると共に、支持アーム18が圧縮コイルスプリング38の付勢力により初期位置に戻る。この繰り返しにより粉砕ローラ16が固形物を連続して粉砕することとなる。
【0051】
このとき、制御装置43は、電源装置37により電磁石36に所定の電流を印加することで磁性流体35を磁化してダンパ31を作動させることから、ダンパ31の磁性がロッド34、連結部材40、押圧部41に伝わり、ハウジング11中を飛散する固形物中の粉塵(磁性体)を押圧部41に吸着させるおそれがある。また、押圧部41の磁性が支持アーム18、第1支持軸17、粉砕ローラ16に伝わって固形物中の粉塵(磁性体)を吸着させるおそれがある。しかし、本実施例にて、少なくとも押圧部41が非磁性体により形成されている。そのため、ハウジング11中を飛散する固形物中の粉塵(磁性体)が押圧部41に伝わることはなく、且つ、この磁性が第1支持軸17から粉砕ローラ16に伝わることはない。従って、固形物中の粉塵(磁性体)が押圧部41に付着することはなく、ダンパ31への粉塵(磁性体)の付着を防止し、このダンパ31の作動不良を防止することができる。
【0052】
その後、粉砕ローラ16により粉砕された固形物は粉砕物となり、入口ポート22からハウジング11内に送り込まれた一次空気により、乾燥されつつ上昇する。この上昇した粉砕物は、ロータリセパレータ23により分級され、粗粉は落下して再び粉砕テーブル15上に戻されて再粉砕が行われる。一方、細粒粉は、ロータリセパレータ23を通過し、気流に乗って出口ポート24から排出される。また、固形物に混在した礫や金属片などのスピレージは、粉砕テーブル15の遠心力により外周部から外方に落下し、異物排出管25により排出される。
【0053】
このように実施例1の竪型ミルにあっては、ハウジング11内に鉛直方向に沿う支持軸心により粉砕テーブル15を駆動回転可能に支持し、この粉砕テーブル15の上方に第1支持軸17により粉砕ローラ16を回転自在に支持し、外周面が粉砕テーブル15の上面に接触して連れ回り可能とし、第1支持軸17を支持する支持アーム18を粉砕ローラ16が粉砕テーブル15に対して接近離反自在となるように第2支持軸19によりハウジング11に揺動自在に支持し、磁性流体35が充填されたダンパ31を有して磁性流体35を磁化させることで支持アーム18から粉砕ローラ16に対して粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与する反力荷重付与装置20を設けている。
【0054】
従って、粉砕ローラ16と粉砕テーブル15の間に固形物が入り込んだとき、粉砕テーブル15の回転力が固形物を介して粉砕ローラ16に伝達されて連れ回りし、このとき、粉砕ローラ16が固形物の侵入により上昇しようとするが、反力荷重付与装置20により粉砕ローラ16に対して反力荷重が付与されているため、粉砕ローラ16は固形物に押圧荷重を与えて粉砕することができる。この場合、反力荷重付与装置20を磁性流体35が充填されたダンパ31により構成されることから、磁性流体35に磁場を印加して磁化させるだけで所望の反力荷重を確保することができ、装置の大型化や複雑化を抑制することができる一方で、騒音の発生や耐久性の低下を抑制することができる。
【0055】
また、実施例1の竪型ミルでは、粉砕テーブル15上に供給される固形物に含まれる粉塵(磁性体)が反力荷重付与装置20のダンパ31側へ侵入するのを防止する防塵装置として、少なくとも押圧部41を非磁性体により形成している。
【0056】
従って、ダンパ31の磁性が押圧部41に伝わらないことから、ハウジング11内における固形物中の粉塵(磁性体)が押圧部41に付着してダンパ31まで侵入することはなく、このダンパ31の作動不良を防止することができる。その結果、装置の複雑化や高コスト化を抑制する一方で、簡単な構成でダンパ31への固形物中の粉塵(磁性体)の付着が防止され、ダンパ31の作動不良を防止して適正な作動を確保することで信頼性を向上することができる。なお、押圧部41だけでなく、ダンパ31のシリンダ32、ロッド34、連結部材40を非磁性体により形成することで、ダンパ31への粉塵の侵入を更に効果的に抑制することができる。また、第1支持軸17、支持アーム18、第2支持軸19などを非磁性部材により形成すると、これらへの粉塵の付着が防止され、固着やスティックなどの作動不良も防止することができる。
【0057】
また、実施例1の竪型ミルでは、粉砕ローラ16を粉砕テーブル15に接近する初期位置に戻す戻し装置としての圧縮コイルスプリング38を設けている。従って、粉砕ローラ16が固形物により上昇した後、圧縮コイルスプリング38により初期位置に戻されることから、粉砕ローラ16は、常時、固形物に押圧荷重を与えて粉砕することができる。
【0058】
また、実施例1の竪型ミルでは、粉砕テーブル15に対する粉砕ローラ16の位置を検出する検出器として、支持アーム18の回転角度を検出する回転角度検出センサ42を設け、制御装置43は、回転角度検出センサ42の検出値が増加するのに伴って反力荷重付与装置20による反力荷重を増加させるようにしている。従って、制御装置43は、粉砕テーブル15に対して粉砕ローラ16が上昇したら、粉砕ローラ16の反力荷重を増加させるため、固形物の大きさや硬さに対して適正な押圧荷重を付与することができる。
【実施例2】
【0059】
図7は、本発明の実施例2に係る竪型ミルを表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例2の竪型ミルにおいて、図7に示すように、ハウジング11は、天井部12の中央部に固形物供給管(供給装置)13が装着されている。粉砕テーブル15は、ハウジング11内に設置され、駆動回転可能となっており、上方に固形物供給管13の下端部が対向して配置されている。この粉砕テーブル15は、その上方に対向して複数の粉砕ローラ16が配置されており、この粉砕ローラ16は、第1支持軸17により回転自在に支持されている。支持アーム18は、第2支持軸19によりハウジング11に上下に揺動自在に支持され、先端部に粉砕ローラ16が装着された第1支持軸17の基端部を支持している。
【0061】
この支持アーム18は、上端部18aに対して各粉砕ローラ16の反力荷重を付与する反力荷重付与装置20が設けられる一方、下端部18aに対してストッパ21が設けられている。この反力荷重付与装置20は、支持アーム18から粉砕ローラ16に対して、この粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与するものであり、磁性流体が充填されたダンパ31(図4参照)により構成されている。この反力荷重付与装置20は、実施例1で説明したように、ダンパ31に充填された磁性流体を磁化させることで、支持アーム18等を介して粉砕ローラ16に反力荷重を付与するものである。即ち、磁性流体35が磁化すると、それぞれの粒子間に結合力が発生して粘性が増加し、ピストンが移動するときに所定の抵抗力、つまり、粉砕ローラ16に反力荷重が作用する。
【0062】
そして、本実施例では、粉砕テーブル15上に供給される固形物に含まれる粉塵(磁性体)が反力荷重付与装置20を構成するダンパ31側へ侵入するのを防止する防塵装置が設けられている。具体的には、この防塵装置として、固形物供給管13と粉砕テーブル15との間に磁気発生装置51が設けられている。具体的に、この磁気発生装置51は、固形物供給管13の下端部に固定されており、連結部材52を介して吸着部材53が吊り下げ支持されて構成されている。そのため、磁気発生装置51により連結部材52を通して吸着部材53から磁気を発生させると、固形物供給管13から粉砕テーブル15に固形物が供給されるとき、この固形物に含まれる磁性体が吸着部材53に吸着される。
【0063】
従って、固形物が粉砕テーブル15上の中心部に供給されると、この固形物は遠心力により外周に分散するように移動し、粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との間に入り込む。すると、粉砕テーブル15の回転力が固形物を介して各粉砕ローラ16に伝達され、粉砕テーブル15の回転に伴って粉砕ローラ16が回転する。このとき、各粉砕ローラ16は、固形物により上昇しようとするが、反力荷重付与装置20により反力荷重が付与されているため、上昇動作が抑制されて固形物に押圧荷重を与える。そのため、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15上の固形物を押圧して粉砕することとなる。このとき、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15との間に入り込んだ固形物の大きさや硬さにより反力荷重に打ち勝って若干上昇するが、固形物を粉砕すると自重により初期位置に戻り、同時に、支持アーム18は、アーム部18cの弾性力により初期位置に戻る。
【0064】
このとき、反力荷重付与装置20は、磁性流体を磁化してダンパ31を作動させることから、ダンパ31の磁性が支持アーム18、第1支持軸17、粉砕ローラ16に伝わって固形物中の磁性体を吸着させるおそれがある。しかし、本実施例にて、固形物供給管13から粉砕テーブル15に固形物が供給されるとき、磁気発生装置51によりこの固形物に含まれる磁性体が吸着部材53に吸着される。そのため、固形物中の磁性体が粉砕ローラ16に付着することはなく、このダンパ31の作動不良を防止することができる。
【0065】
このように実施例2の竪型ミルにあっては、粉砕テーブル15に対してその上方に固形物供給管13を設け、この固形物供給管13の下部に磁気発生装置51を設けている。
【0066】
従って、固形物供給管13から固形物を粉砕テーブル15に供給するとき、磁気発生装置51は固形物中の磁性体を吸着部材53に吸着するため、ダンパ31への磁性体の付着を防止してダンパ31の適正な作動を確保することができる。
【実施例3】
【0067】
図8は、本発明の実施例3に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
実施例3の竪型ミルにおいて、図8に示すように、ハウジング11は、中央部に固形物供給管(供給装置)13が装着されている。粉砕テーブル15は、ハウジング11内に設置され、駆動回転可能となっており、上方に固形物供給管13の下端部が対向して配置されている。この粉砕テーブル15は、その上方に対向して複数の粉砕ローラ16が配置されており、この粉砕ローラ16は、第1支持軸17により回転自在に支持されている。支持アーム18は、第2支持軸19によりハウジング11に上下に揺動自在に支持され、先端部に粉砕ローラ16が装着された第1支持軸17の基端部を支持している。
【0069】
この支持アーム18は、上端部18aに対して各粉砕ローラ16の反力荷重を付与する反力荷重付与装置20が設けられる一方、下端部18aに対してストッパ21が設けられている。この反力荷重付与装置20は、支持アーム18から粉砕ローラ16に対して、この粉砕ローラ16が粉砕テーブル15から離間する方向に対抗する反力荷重を付与するものであり、磁性流体が充填されたダンパ31(図4参照)により構成されている。この反力荷重付与装置20は、実施例1で説明したように、ダンパ31に充填された磁性流体を磁化させることで、支持アーム18等を介して粉砕ローラ16に反力荷重を付与するものである。即ち、磁性流体35が磁化すると、それぞれの粒子間に結合力が発生して粘性が増加し、ピストンが移動するときに所定の抵抗力、つまり、粉砕ローラ16に反力荷重が作用する。
【0070】
そして、本実施例では、粉砕テーブル15上に供給される固形物に含まれる粉塵(磁性体)が反力荷重付与装置20を構成するダンパ31側へ侵入するのを防止する防塵装置が設けられている。具体的には、この防塵装置として、粉砕ローラ16から支持アーム18までの間にエアを噴射するエアノズル61,66が設けられている。第1エアノズル61は、ハウジング11に固定され、反力荷重付与装置20の押圧部41と支持アーム18の上端部18aとの間にエアを噴射可能となっている。第2エアノズル66は、固形物供給管13の下端部に固定され、粉砕ローラ16の外周面にエアを噴射可能となっている。各エアノズル61,66は、ノズル本体62,67と、ノズル本体62,67に連結されるエアホース63,68とを有し、ノズル本体62,67がブラケット64,69によりハウジング11または固形物供給管13に固定されている。
【0071】
従って、固形物が粉砕テーブル15上の中心部に供給されると、この固形物は遠心力により外周に分散するように移動し、粉砕ローラ16と粉砕テーブル15との間に入り込む。すると、粉砕テーブル15の回転力が固形物を介して各粉砕ローラ16に伝達され、粉砕テーブル15の回転に伴って粉砕ローラ16が回転する。このとき、各粉砕ローラ16は、固形物により上昇しようとするが、反力荷重付与装置20により反力荷重が付与されているため、上昇動作が抑制されて固形物に押圧荷重を与える。そのため、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15上の固形物を押圧して粉砕することとなる。このとき、各粉砕ローラ16は、粉砕テーブル15との間に入り込んだ固形物の大きさや硬さにより反力荷重に打ち勝って若干上昇するが、固形物を粉砕すると自重により初期位置に戻り、同時に、支持アーム18は、アーム部18cの弾性力により初期位置に戻る。
【0072】
このとき、反力荷重付与装置20は、磁性流体を磁化してダンパ31を作動させることから、ダンパ31の磁性が支持アーム18、第1支持軸17、粉砕ローラ16に伝わって固形物中の磁性体を吸着させるおそれがある。しかし、本実施例にて、各エアノズル61,66は、必要に応じて反力荷重付与装置20の押圧部41と支持アーム18の上端部18aとの間と、粉砕ローラ16の外周面にエアを噴射することから、固形物中の磁性体がダンパ31に付着して作動不良を防止することができる。
【0073】
この場合、各エアノズル61,66は、常時エアを噴射していてもよいし、間欠的にエアを噴射してもよいし、また、所定量の磁性体が付着したらエアを噴射していてもよい。
【0074】
このように実施例3の竪型ミルにあっては、防塵装置として、反力荷重付与装置20の押圧部41と支持アーム18の上端部18aとの間にエアを噴射する第1エアノズル61と、粉砕ローラ16の外周面にエアを噴射する第2エアノズル66を設けている。
【0075】
従って、各エアノズル61,66は、粉砕ローラ16から支持アーム18までの間にエアを噴射することで、固形物中の磁性体がこの領域に吸着するのを防止することができ、また、粉砕ローラ16から支持アーム18までの間に磁性体が付着しても、この付着した磁性体を除去することができる。
【0076】
なお、本実施例では、反力荷重付与装置20の押圧部41と支持アーム18の上端部18aとの間と、粉砕ローラ16の外周面にエアを噴射するエアノズル61,66を設けたが、この位置に限定されるものではない。例えば、第1支持軸17、支持アーム18、第2支持軸19などにエアを噴射するエアノズルを設けてもよい。
【実施例4】
【0077】
図9は、本発明の実施例4に係る竪型ミルにおける粉砕ローラの除塵装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
実施例4の竪型ミルにおいて、図9に示すように、粉砕テーブル15は、その上方に対向して粉砕ローラ16が配置されており、この粉砕ローラ16は、第1支持軸17により回転自在に支持されている。支持アーム51は、第2支持軸によりハウジングに上下に揺動自在に支持され、先端部に第1支持軸17の基端部を支持している。
【0079】
そして、本実施例では、防塵装置として、粉砕ローラ16に付着した磁性体を捕集する集塵装置71が設けられている。この集塵装置71は、集塵機72とスクレーパ73とを有し、集塵機72は移動装置73により移動可能となっている。そのため、不使用時は、移動装置74により集塵機72と共にスクレーパ73が粉砕ローラ16の外周面から離間した待機位置に移動する一方、使用時は、移動装置74により集塵機72と共にスクレーパ73が粉砕ローラ16の外周面に接触した接触位置に移動する。
【0080】
従って、粉砕テーブル15に固形物が供給されて粉砕ローラ16によりこの固形物を粉砕するとき、反力荷重付与装置20(図3参照)は、磁性流体を磁化してダンパ31を作動させることから、ダンパ31の磁性が支持アーム18、第1支持軸17、粉砕ローラ16に伝わって固形物中の磁性体を吸着させるおそれがある。このとき、本実施例にて、集塵装置71は、必要に応じて粉砕ローラ16の外周面に付着した磁性体を捕集することから、固形物中の磁性体がダンパ31に付着して作動不良を防止することができる。
【0081】
このように実施例4の竪型ミルにあっては、防塵装置として、粉砕ローラ16に付着した磁性体を捕集する集塵装置71を設けている。
【0082】
従って、粉砕ローラ16に磁性体が付着しても、集塵装置71がこの付着した磁性体を捕集するため、ダンパ31への磁性体の付着を防止してダンパ31の適正な作動を確保することができる。
【実施例5】
【0083】
図10は、本発明の実施例5に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】
実施例5の竪型ミルにおいて、図10に示すように、防塵装置として、ハウジング81を二重構造としてその間に高圧空気を供給可能としている。即ち、ハウジング81は外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成されており、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとの間には所定幅の空間部が設けられている。外側ハウジング81aと内側ハウジング81bは、所定の位置に貫通孔83a,83bが形成され、シール部材としてのOリング82a,82bが装着されている。この場合、シール部材は、Oリング82a,82bに限るものではない。反力荷重付与装置20は、押圧部としてのロッド(駆動ロッド)20aを有しており、先端部が支持アーム18の上端部に当接している。そして、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとの間の空間部に対して高圧空気が供給可能となっている。この高圧空気は、例えば、入口ポート22(図1参照)からハウジング11の内部に送り込まれる一次空気を利用してもよいし、別途、高圧空気供給源を設けてもよい。
【0085】
従って、ハウジング81は、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成され、両者の間の空間部に高圧空気が供給されている。そのため、粉砕テーブル15に供給される固形物に磁性体が含まれていたり、反力荷重付与装置20によりロッド20aが磁化していたりしたとしても、ハウジング11の内部の磁性体が、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bの間に侵入しても、ここを通過する高圧空気により磁性体が吹き飛ばさせることとなり、ロッド20aを介して反力荷重付与装置20のダンパ31に付着することはない。
【0086】
このように実施例5の竪型ミルにあっては、防塵装置として、ハウジング81を外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成し、両者の間の空間部に高圧空気を供給可能としている。
【0087】
従って、ハウジング11を二重構造としてその間の空間部に高圧空気を通過させるため、ハウジング11の内部の磁性体がこの空間部を通してハウジング81の外部にあるダンパ31に付着することがなく、ダンパ31の適正な作動を確保することができる。
【実施例6】
【0088】
図11は、本発明の実施例6に係る竪型ミルにおける除塵装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0089】
実施例6の竪型ミルにおいて、図11に示すように、防塵装置として、ハウジング81を二重構造としてその間に高圧空気を供給可能としている。即ち、ハウジング81は外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成されており、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとの間には所定幅の空間部が設けられている。外側ハウジング81aと内側ハウジング81bは、所定の位置に貫通孔83a,83bが形成され、外側ハウジング81aの貫通孔83aのみにシール部材としてのOリング82aが装着されている。反力荷重付与装置20は、押圧部としてのロッド20aを有しており、先端部が支持アーム18の上端部に当接している。そして、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとの間の空間部に対して高圧空気が供給可能となっている。
【0090】
従って、ハウジング81は、外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成され、両者の間の空間部に高圧空気が供給されていることから、この空間部は、ハウジング81の内部及び外部に対して圧力が高く維持され、この高圧空気が内側ハウジング81bの貫通孔83bからハウジング81内に流れている。そのため、粉砕テーブル15に供給される固形物に磁性体が含まれていたり、反力荷重付与装置20によりロッド20aが磁化していたりしたとしても、ハウジング11の内部の磁性体が、ロッド20aを伝って反力荷重付与装置20のダンパ31に付着することはない。
【0091】
このように実施例6の竪型ミルにあっては、防塵装置として、ハウジング81を外側ハウジング81aと内側ハウジング81bとから構成し、両者の間の空間部に高圧空気を供給可能とし、この高圧空気がハウジング81内に流れるようにしている。
【0092】
従って、ハウジング11を二重構造としてその間の空間部に高圧空気を充填するため、この空間部はハウジング81の内部及び外部よりも高圧力に維持され、且つ、高圧空気がハウジング81内に流れることから、ハウジング81内の磁性体がハウジング81外のダンパ31に付着することがなく、ダンパ31の適正な作動を確保することができる。
【0093】
なお、上述した各実施例では、1つの粉砕テーブル15に対して3つの粉砕ローラ16を設けたが、その数に限定されるものではない。また、粉砕ローラ16をタイヤ形状としたが、先端部側の径が小さくなるような円錐台形状としてもよく、この形状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
11,81 ハウジング
13 固形物供給管(供給装置)
15 粉砕テーブル
16 粉砕ローラ
17 第1支持軸(防塵装置)
18 支持アーム
19 第2支持軸
20 反力荷重付与装置
21 ストッパ
38 圧縮コイルスプリング(戻し装置)
42 回転角度センサ(検出器)
43 制御装置
51 磁気発生装置(防塵装置)
61,66 エアノズル(防塵装置)
71 集塵装置(防塵装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状をなすハウジングと、
前記ハウジング内に鉛直方向に沿う支持軸心により駆動回転可能に支持される粉砕テーブルと、
前記粉砕テーブルの上方に配置されて第1支持軸により回転自在に支持されると共に外周面が前記粉砕テーブルの上面に接触して連れ回り可能な粉砕ローラと、
前記第1支持軸を支持すると共に前記粉砕ローラの外周面が前記粉砕テーブルの上面に対して接近離反自在に第2支持軸により前記ハウジングに揺動自在に支持される支持アームと、
磁性流体が充填されたダンパを有して前記磁性流体を磁化させることで前記支持アームから前記粉砕ローラに対して該粉砕ローラが前記粉砕テーブルから離間する方向に対抗する反力荷重を付与する反力荷重付与装置と、
前記粉砕テーブル上に供給される固形物に含まれる磁性体が前記ダンパ側へ侵入するのを防止する防塵装置と、
を備えることを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記ダンパは、駆動ロッドが前記ハウジングの外部から内部に貫通して前記支持アームに係合可能であり、前記防塵装置として、少なくとも前記駆動ロッドが非磁性体により形成されることを特徴とする請求項1に記載の竪型ミル。
【請求項3】
前記粉砕テーブルに対して前記固形物を供給する供給装置が設けられ、前記防塵装置として、前記供給装置と前記粉砕テーブルとの間に磁気発生装置が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の竪型ミル。
【請求項4】
前記防塵装置として、前記粉砕ローラから前記支持アームまでの間にエアを噴射するエアノズルが設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の竪型ミル。
【請求項5】
前記防塵装置として、前記粉砕ローラに付着した磁性体を捕集する集塵装置が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の竪型ミル。
【請求項6】
前記ダンパは、駆動ロッドが前記ハウジングの外部から内部に貫通して前記支持アームに係合可能であり、前記防塵装置として、前記ハウジングを二重構造としてその間に高圧空気を供給可能とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の竪型ミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−66860(P2013−66860A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208099(P2011−208099)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】