説明

端子間の接続方法およびそれを用いた半導体装置の製造方法、接続端子の形成方法

【課題】電子機器の高機能化及び小型化の要求に伴う、電子材料における端子間の狭ピッチ化にも対応可能な端子間の接続方法およびそれを用いた半導体装置の製造方法、接続端子の形成方法等を提供する。
【解決手段】樹脂組成物120と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔110とから構成される積層構造を有する導電接続材料100を介して対向する端子11,21間を電気的に接続する方法において、導電接続材料100を対向する端子11,21間に配置する配置工程と、金属箔110の融点以上の温度で導電接続材料100を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程と、樹脂組成物120を凝固または硬化させる凝固、硬化工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介して端子間を電気的に接続する方法及びそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。また、本発明は、接続端子の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化及び小型化の要求に伴い、電子材料における接続端子間の狭ピッチ化がますます進む方向にある。
微細な配線回路における端子間の接続に適した方法として、多数の端子間を一括で接続可能な異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)または異方性導電樹脂を用いたフリップチップ接続技術が知られている(例えば、特開昭61−276873号公報(特許文献1)及び特許第3769688号公報(特許文献2)など)。異方性導電フィルムまたは異方性導電樹脂は、熱硬化性樹脂を主体とする接着剤中に導電性粒子を分散させてなるフィルムまたはペーストであり、これを接続すべき回路間に配置して熱圧着することにより、対向する多数の端子間を一括で接続する一方、接着剤中に含まれる樹脂によって隣接する端子間の絶縁性を確保することを可能にする。
しかし、従来の方法では、導電性粒子の凝集を制御することが困難であり、樹脂中に導電性粒子が残存するという問題や、導電性粒子の移動を制御できずに端子間の一部が導通しないという問題があり、端子間の更なる狭ピッチ化に対応することが困難な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−276873号公報
【特許文献2】特許第3769688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような状況において、半導体回路等における端子間の更なる狭ピッチ化にも対応可能な端子間の接続技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、対向する端子間に配置した樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を加熱溶融する際に、該基板間に超音波を印加することにより、金属箔が該端子間に凝集することを促すことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下に示した端子間の接続方法およびそれを用いた半導体装置の製造方法、接続端子の形成方法等に係るものである。
(1)樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介して端子間を電気的に接続する方法であって、前記導電接続材料を対向する端子間に配置する配置工程と、前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程と、前記樹脂組成物を凝固または硬化させる凝固、硬化工程と、を含む、端子間の接続方法、
(2)前記加熱印加工程において溶融した金属箔が、端子間に凝集して前記端子間が電気的に接続される、(1)に記載の端子間の接続方法、
(3)前記加熱印加工程において金属箔が溶融する前に超音波の印加を開始する、(1)または(2)に記載の端子間の接続方法、
(4)前記金属箔が半田箔である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の端子間の接続方法、
(5)前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、(1)ないし(4)のいずれかに記載の端子間の接続方法、
(6)前記樹脂組成物が、硬化剤を含む、(1)ないし(5)のいずれかに記載の端子間の接続方法、
(7)前記樹脂組成物が、フラックス機能を有する化合物を含む、(1)ないし(6)のいずれかに記載の端子間の接続方法、
(8)前記フラックス機能を有する化合物が、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を含む、(7)に記載の端子間の接続方法、
(9)前記フラックス機能を有する化合物が、下記一般式(1)で示される化合物を含む、(7)または(8)に記載の端子間の接続方法、
HOOC−(CH)n−COOH・・・・・(1)
[式中、nは、1〜20の整数である。]
(10)前記フラックス機能を有する化合物が、下記一般式(2)及び/又は(3)で示される化合物を含む、(7)または(8)に記載の端子間の接続方法、
【化1】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜Rの少なくとも一つは水酸基である。]
【化2】

[式中、R〜R20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜R20の少なくとも一つは水酸基又はカルボキシル基である。]
(11)第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体チップとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、(1)ないし(10)のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法、
(12)第1の接続端子が設けられた回路面を有する半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、(1)ないし(10)のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記半導体チップの接続端子と前記基板の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法、
(13)第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の基板と、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、(1)ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法、
(14)第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、(1)ないし(10)のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法、
(15)第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体ウェハと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、(1)ないし(10)のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法、
(16)樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介して端子上に接続端子を形成する方法であって、前記導電接続材料を端子上に配置する配置工程と、前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程とを含む、接続端子の形成方法、
(17)前記加熱印加工程において溶融した金属箔が、端子上に凝集して前記端子間が電気的に接続される、(16)に記載の接続端子の形成方法、
(18)前記加熱印加工程において金属箔が溶融する前に超音波の印加を開始する、(16)または(17)に記載の接続端子の形成方法、
(19)前記金属箔が半田箔である、(16)ないし(18)のいずれかに記載の接続端子の形成方法、
(20)前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、(16)ないし(19)のいずれかに記載の接続端子の形成方法、
(21)前記樹脂組成物が、硬化剤を含む、(16)ないし(20)のいずれかに記載の接続端子の形成方法、
(22)前記樹脂組成物が、フラックス機能を有する化合物を含む、(16)ないし(21)のいずれかに記載の接続端子の形成方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、金属箔を介して端子間を電気的に接続する方法およびこれらを用いた半導体装置の製造方法、金属箔を介して接続端子を形成する方法を提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、接続しようとする端子間への金属箔の凝集を制御または促進することができるため、半導体装置などの微細な配線回路における多数の端子間を一括で導通させること、また一括で多数の接続端子を形成することが可能である。また、金属箔が絶縁性領域に残存することを抑制できるため接続信頼性を高めることができる。本発明の好ましい態様によれば、電子材料における接続端子の狭ピッチ化にも対応可能な接続技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の端子間の接続方法の工程説明図である。
【図2】図2は、本発明の第1の態様に係る半導体装置の製造方法の工程説明図である。
【図3】図3は、多段スタック型の半導体装置の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明に用いられる基板の概略断面図の一例である。
【図5】図5は、本発明の接続端子の形成方法の工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の端子間の接続方法、半導体装置の製造方法、接続端子の形成方法等について説明する。
【0010】
1.端子間の接続方法
まず、本発明の端子間の接続方法について説明する。
本発明の端子間の接続方法(以下「本発明の接続方法」という場合がある。)は、金属箔を介して端子間を電気的に接続する方法であって、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を対向する端子間に配置する配置工程と、前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程と、前記樹脂組成物を凝固または硬化させる凝固、硬化工程とを含む。本発明の端子間の接続方法は、金属箔を溶融させると共に、対向する基板間に超音波を印加する。本発明の好ましい態様によれば、これにより、接続しようとする端子間に溶融した金属箔の凝集が制御または促進することができ、端子間の電気的接続を可能にする。
本発明の好ましい態様によれば、上記のように金属箔の凝集を制御または促進することができるので、微細な配線回路においても多数の端子間の電気的接続を一括で行うことが可能である。
【0011】
図1を参照しながら、本発明の端子間の接続方法の概略を説明する。図1(a)に示すように、基板10の回路面に設けられた端子11と、基板20の回路面に設けられた端子21とが対向して配置し、これらの対向する端子11および21間に、金属箔110と樹脂組成物120とを含む導電接続材料100を配置する。なお、図示しないが、電気的な接続を良好にするため、端子11および21表面には、洗浄、研磨、めっき及び表面活性化等の処理を施してもよい。
【0012】
このようにして配置した導電接続材料100を金属箔110の融点以上の温度で加熱する。該金属箔110を金属箔110の融点付近に加熱した状態で、超音波発生装置を用いて対向する基板10と基板20の片側もしくは双方に超音波を印加する。
すると、図1(b)に示すように、該金属箔110が対向する端子11および21間に凝集して導電性領域300を形成し、端子11および21間が電気的に接続される。他方、樹脂組成物120は、導電性領域300の間隙を充填し、絶縁性領域400を形成して、隣接する端子間の絶縁性を確保することができる。
【0013】
このように、本発明の好ましい態様によれば、対向する端子11および21間の電気的な接続を可能にするとともに、隣接する端子間の絶縁性を確保することができる。本発明の好ましい態様によれば、金属箔の凝集を制御することができるので、多数の端子間を一括で導通させることが可能であり、接続信頼性に優れるという利点がある。以下、本発明の接続方法の各工程について詳しく説明する。
【0014】
(1)配置工程
配置工程では、樹脂組成物120と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔110とから
構成される積層構造を有する導電接続材料100を対向する端子11および21間に配置する。前記導電接続材料100を端子間に配置する方法は、特に限定はなく、対向する端子11および21の少なくとも一方に、ラミネート等の手法で接触させ配置する方法、対向する端子11および21に接触させずに配置する方法等が挙げられる。
【0015】
前記樹脂組成物120は、特に制限はなく、加熱により硬化する熱硬化性樹脂組成物、化学線を照射することにより硬化する硬化性樹脂組成物、または熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。中でも、硬化後の線膨張率や弾性率等の機械特性に優れるという点で、加熱により硬化する熱硬化性樹脂組成物が好ましい。また、前記樹脂組成物は液状でも固形状でもよい。尚、本明細書において、「液状」とは、常温(25℃)で一定の形態を持たない状態を意味する。ペースト状もこれに含まれる。
【0016】
<樹脂組成物>
・樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合
(a)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂組成物に係る熱硬化性樹脂としては、通常、半導体装置製造用の接着剤成分として使用できるものであれば特に限定されない。このような熱硬化性樹脂としては、特に制限されないが、前記金属箔の融点以上の温度において硬化するものであることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂などが挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂が好ましい。また、これらの硬化性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明において、熱硬化性樹脂の形態は、熱硬化性樹脂組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。液状の熱硬化性樹脂組成物を使用する場合には、液状の熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、また、固形状の熱硬化性樹脂組成物を使用する場合には、液状および固形状のいずれの熱硬化性樹脂も用いることが好ましい。また、室温で固形状の熱硬化性樹脂組成物を使用する場合には、フィルム形成性樹脂を併用することが好ましい。
【0018】
本発明においては、前記エポキシ樹脂として、室温で液状および室温で固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することができる。また、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを併用することも可能である。熱硬化性樹脂組成物が液状の場合には、室温で液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、熱硬化性樹脂組成物が固形状の場合には、液状および固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することが可能であり、室温で固形状の熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、フィルム形成性樹脂成分を適宜併用することが好ましい。
【0019】
本発明に用いられる室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂とを併用してもよい。
【0020】
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜300g/eqであることが好ましく、160〜250g/eqであることがより好ましく、170〜220g/eqで
あることが特に好ましい。前記エポキシ当量が上記下限未満になると硬化物の収縮率が大きくなる傾向があり、反りが生じることがある。他方、前記上限を超えると、フィルム形成性樹脂を併用した場合に、フィルム形成性樹脂、特にポリイミド樹脂との反応性が低下する傾向にある。
【0021】
本発明に用いられる室温(25℃)で固形状のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、固形3官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが好ましい。また、これらのエポキシ樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。室温で固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、40〜120℃であることが好ましく、50〜110℃であることがより好ましく、60〜100℃であることが特に好ましい。前記軟化点が前記範囲内にあると、タック性を抑えることができ、容易に取り扱うことが可能となる。
【0022】
本発明においては、このような熱硬化性樹脂としての市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、充填剤、帯電防止剤や顔料などの各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
【0023】
(b)硬化剤
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、特に制限はないが、硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤を含有することにより、熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂を確実に硬化させることができるため、得られた半導体装置の隣接接続電極間の絶縁性を確保することができる。
【0024】
前記硬化剤としては、特に制限はなく、アミン系化合物、フェノール系化合物、酸無水物系化合物、チオール系化合物、イソシアネート系化合物等が挙げられるが、これらは、使用される熱硬化性樹脂の種類等に応じて適宜選択すればよい。
【0025】
例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が使用される場合、硬化剤としては、エポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化及び硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)が得られる点でフェノール系化合物が好適に用いられる。
【0026】
本発明に用いられるフェノール系化合物は、特に限定されるものではないが、導電接続材料の硬化後の物性が優れていることから、2官能以上であることが好ましい。例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類等が挙げられる。中でも、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性が良好であり、硬化後の物性が優れていることから、フェノールノボラック類及びクレゾールノボラック類が好適に用いられる。
【0027】
硬化剤の配合量は、使用する硬化性樹脂の種類や使用量によって適宜選択すればよい。例えば、硬化剤として、フェノールノボラック類を使用する場合、その配合量は、熱硬化性樹脂を確実に硬化させる点で、熱硬化性樹脂組成物の構成成分の合計量に対して、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。エポキシ樹脂と未反応のフェノールノボラック類が残留していると、イオンマイグレーションの要因となる。したがって、残渣として残らないようにするためには、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下とする。
【0028】
フェノールノボラック樹脂の配合量は、エポキシ樹脂に対する当量比で規定してもよい。例えば、エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック樹脂の当量比は、0.5〜1.2であり、好ましくは0.6〜1.1であり、更に好ましくは0.7〜0.98である。エポキシ樹脂に対するフェノールノボラック樹脂の当量比を0.5以上とすることにより、硬化後の耐熱性、耐湿性を確保することができる。一方、この当量比を1.2以下とすることにより、硬化後のエポキシ樹脂と未反応の残留フェノールノボラック樹脂の量を低減することができ、耐イオンマイグレーション性が良好となる。これらの硬化剤は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
(c)フラックス化合物
本発明で用いるフラックス機能を有する化合物は、端子及び金属箔の表面酸化膜など金属酸化膜を還元する作用を有するものである。例えば、フラックス機能を有する化合物としては、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物が好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、p−tert−アミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノールなどのフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのフェノール性水酸基を含有する樹脂が挙げられる。
【0030】
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物などが挙げられる。前記脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などが挙げられる。前記芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテートなどが挙げられる。
【0031】
前記脂肪族カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ピメリン酸などが挙げられる。中でも、下記式(1):
HOOC−(CH−COOH (1)
(式(1)中、nは1〜20の整数である。)
で表される脂肪族カルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸がより好ましい。
【0032】
芳香族カルボン酸の構造は特に制限されないが、下記式(2)又は(3)で表される化合物が好ましい。
【化3】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜Rの少なくとも一つは水酸基である。]
【化4】

[式中、R〜R20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜R20の少なくとも一つは水酸基又はカルボキシル基である。]
【0033】
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレートニ酸、ピロメリット酸、メリット酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−2−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸などが挙げられる。
【0034】
これらの中でも、本発明では、フラックス機能を有するだけでなく、硬化性樹脂の硬化剤として作用する化合物であることが好ましい。すなわち、本発明で用いるフラックス機能を有する化合物としては、金属箔及び端子などの金属の表面酸化膜を還元する作用を示し、且つ、硬化性樹脂と反応可能な官能基を有する化合物を用いることが好ましい。該官能基は、硬化性樹脂の種類によって適宜選択する。例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、該官能基は、カルボキシル基、水酸基及びアミノ基などのエポキシ基と反応可能な官能基が好ましい。フラックス機能を有する化合物が硬化剤としても作用することで、金属箔及び端子などの金属の表面酸化膜を還元して金属表面の濡れ性を高め、導電性領域の形成を容易にすると共に、導電性領域を形成した後は、硬化性樹脂に付加して
樹脂の弾性率又はTgを高めることができる。また、フラックス機能を有する化合物が硬化剤として作用することで、フラックス洗浄が不要となり、フラックス成分が残存することによるイオンマイグレーションの発生を抑制することができるといった利点がある。
【0035】
このようなフラックス機能を有する化合物としては、カルボキシル基を少なくとも1つ有していることが好ましい。例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、該化合物としては、脂肪族ジカルボン酸又はカルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2個結合した化合物が好ましく挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和の非環式であってもよいし、飽和又は不飽和の環式であってもよい。また、脂肪族炭化水素基が非環式の場合には直鎖状でも分岐状でもよい。
【0036】
このような脂肪族ジカルボン酸としては、前記式(1)においてnが1〜20の整数である化合物が好ましく挙げられる。前記式(1)中のnが上記範囲内であると、フラックス活性、接着時のアウトガス、導電接続材料が硬化した後の弾性率及びガラス転移温度のバランスが良好なものとなる。特に、導電接続材料の硬化後の弾性率の増加を抑制し、被接着物との接着性を向上させることができることから、nは3以上が好ましい。また、弾性率の低下を抑制し、接続信頼性をさらに向上させることができることから、nは10以下が好ましい。
【0037】
前記式(1)で示される脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸などが挙げられる。中でも、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデンカン二酸が好ましく、セバシン酸が特に好ましい。
【0038】
前記カルボキシル基とフェノール性水酸基とを有する化合物としては、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)などの安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;ジフェノール酸などが挙げられる。中でも、フェノールフタリン、ゲンチジン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましく、フェノールフタリン、ゲンチジン酸が特に好ましい。
【0039】
フラックス機能を有する化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、いずれの化合物も吸湿しやすく、ボイド発生の原因となるため、フラックス機能を有する化合物を使用前に予め乾燥させておくことが好ましい。
【0040】
フラックス機能を有する化合物の含有量は、使用する樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、樹脂組成物が液状の場合、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量部%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
固形状の樹脂組成物の場合には、フラックス機能を有する化合物の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
フラックス機能を有する化合物の含有量が上記範囲内であると、金属箔及び端子の表面酸化膜を電気的に接合できる程度に除去することができる。さらに、樹脂組成物が硬化性樹脂の場合、硬化時に、樹脂に効率よく付加して樹脂の弾性率又はTgを高めることができる。また、未反応のフラックス機能を有する化合物に起因するイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0041】
(d)フィルム形成性樹脂
本発明において、固形状の熱硬化性樹脂組成物を使用する場合には、フィルム形成性樹脂とを併用することが好ましい。このようなフィルム形成性樹脂としては、有機溶媒に可溶であり、単独で製膜性を有するものであれば特に制限はない。熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれのものも使用することができ、また、これらを併用することもできる。
【0042】
具体的なフィルム形成性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロンなどが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。また、これらのフィルム形成性樹脂成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合体、または(メタ)アクリル酸およびその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」などと表記するときは、「アクリル酸またはメタクリル酸」などを意味する。
【0044】
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシルなどのポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体などが挙げられる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。また、これらの(メタ)アクリル系樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
このような(メタ)アクリル系樹脂のうち、半導体チップへの密着性および他の熱硬化
性樹脂組成物を構成する成分との相溶性を向上させることができるという観点から、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基などの官能基を有する単量体を共重合させてなる(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。このような(メタ)アクリル系樹脂において、前記官能基を有する単量体の配合量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂合成時の全単量体100mol%に対して0.1〜50mol%であることが好ましく、0.5〜45mol%であることがより好ましく、1〜40mol%であることが特に好ましい。前記官能基を有する単量体の配合量が前記下限値未満になると密着性が十分に向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘着力が強すぎて作業性が十分に向上しない傾向にある。
【0046】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、10万以上であることが好ましく、15万〜100万であることがより好ましく、25万〜90万であることが特に好ましい。前記重量平均分子量が前記範囲内にあると製膜性を向上させることが可能となる。
【0047】
本発明においてフィルム形成性樹脂成分としてフェノキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量は、5000〜15000であることが好ましく、6000〜14000であることがより好ましく、8000〜12000であることが特に好ましい。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化前の熱硬化性樹脂組成物の流動性を抑制することができる。
【0048】
前記フェノキシ樹脂の骨格は、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、ビフェニルタイプなどが挙げられるが、本発明ではこれらに限定されない。また、飽和吸水率が1%以下であるフェノキシ樹脂は、接着時や半田実装時の高温下において、発泡または剥離などの発生を抑えることができるため好ましい。なお、飽和吸水率は、フェノキシ樹脂を25μm厚のフィルムに加工し、100℃雰囲気中で1時間乾燥(絶乾状態)し、さらに、そのフィルムを40℃、90%RH雰囲気の恒温恒湿槽に放置し、質量変化を24時間おきに測定し、質量変化が飽和した時点の質量を用いて、下記式により算出することができる。
飽和吸水率(%)={(飽和した時点の質量)−(絶乾時点の質量)}/
(絶乾時点の質量)×100
【0049】
本発明に用いられるポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。
【0050】
前記ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−ェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)―1,1,3,3―テトラメチルジシロキサンなどのシロキサンジアミンが挙げられる。これらのジアミンは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、前記酸二無水物としては、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。これらの酸二無水物は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
本発明に用いられるポリイミド樹脂は、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものが好ましい。特に、様々な有機溶媒に溶解できる点でシロキサン変性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0052】
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、特に制限されないが、例えば、6−ナイロン、12−ナイロン等環状脂肪族ラクタムを開環重合したもの、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、アミノ酸を縮重合させたもの等が挙げられる。
【0053】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の分子量は、特に制限されないが、例えば、5000〜100000が好ましく、8000〜50000が特に好ましい。分子量が上記範囲以下であると、成形性は良好であるがフィルムの機械強度が弱く、上記範囲以上であると粘度が高くなり、それにより金属箔の動きが阻害され導通不良となる。
【0054】
本発明に用いられるポリアミド樹脂は、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものがより好ましい。
【0055】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、特に制限されないが、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂をいう。
【0056】
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0057】
前記ポリエステル樹脂は、必要に応じて他の成分を共重合したポリエステル樹脂でも良い。前記共重合する成分としては、特に制限はないが、例えば、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分等が挙げられる。
【0058】
前記共重合可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能な酸成分の具体例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4‘−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0059】
前記共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノールおよびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能なアルコールおよび/またはフェノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、などの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
【0060】
前記共重合可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
【0061】
(e)硬化促進剤
前記熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を更に含んでもよい。硬化促進剤は熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、融点が150℃以上のイミダゾール化合物を使用することができる。使用される硬化促進剤の融点が150℃以上であると、熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に半田成分が接続電極表面に移動することができ、接続電極間の接続を良好なものとすることができる。融点が150℃以上のイミダゾール化合物としては、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾール等が挙げられる。
【0062】
前記硬化促進剤の配合量は適宜選択すればよいが、例えば、硬化促進剤として、イミダゾール化合物を使用する場合、熱硬化性樹脂組成物の構成成分の合計量に対し、0.005〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%程度である。イミダゾール化合物の配合量を0.005重量%以上とすることにより、硬化促進剤としての機能を更に効果的に発揮させて、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。また、イミダゾールの配合量を10重量%以下とすることにより、半田バンプを構成する半田成分の溶融温度における樹脂の溶融粘度が高くなりすぎず、良好な半田接合構造が得られる。また、熱硬化性樹脂組成物の保存性を更に向上させることができる。これらの硬化促進剤は、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
(f)シランカップリング剤
また、前記熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を更に含んでもよい。シランカップリング剤を含むことにより、半導体チップに対する熱硬化性樹脂組成物の密着性を高めることができる。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が使用できる。これらは1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤の配合量は、適宜選択すればよいが、熱硬化性樹脂組成物の構成成分の合計量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0064】
上記成分のほか、本実施態様に用いられる熱硬化性樹脂組成物には、樹脂の相溶性、安定性、作業性等の各種特性向上のため、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤や顔料など各種添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0065】
これらの成分を溶媒中に混合し、得られたワニスをポリエステルシート等の剥離処理を施した基材上に塗布し、所定の温度で、実質的に溶媒を含まない程度にまで乾燥させてフィルム状の熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。用いられる溶媒は、使用される成分に対し不活性なものであれば特に限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK (ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジ
アセトンアルコール)等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DBE(ニ塩基酸エステル)、EEP(3−エトキシプロピオン酸エチル)、DMC(ジメチルカーボネート)等が好適に用いられる。溶媒の使用量は、溶媒に混合した成分の固形分が10〜60重量%となる範囲であることが好ましい。
【0066】
・樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物である場合
前記熱可塑性樹脂組成物は、特に制限はないが、例えば、ホットメルト型接着剤、または反応型ホットメルト接着剤等が挙げられる。
【0067】
(a)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂組成物に係る熱可塑性樹脂は、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、イソブチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。該熱可塑性樹脂は、単一の重合体でもよく、上記熱可塑樹脂の少なくとも2種以上の共重合体でもよい。
【0068】
前記熱可塑性樹脂の軟化点は、特に制限されないが、導電接続材料を構成する前記金属箔の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことが特に好ましく、さらに、30℃以上低いことがより好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂の分解温度は、特に制限されないが、導電接続材料を構成する金属箔の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが特に好ましく、さらに、30℃以上高いことがより好ましい。
【0069】
(b)フラックス化合物
フラックス化合物は、前記「・樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合」において説明したものと同じものを用いることができる。好ましい化合物および配合量についても同様である。
【0070】
(c)その他の添加剤
また、上記の熱可塑性樹脂に対し、本発明の効果を損ねない範囲でシランカップリング剤、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、活剤、酸化防止剤、無機フィラー、充てん材、帯電防止剤や顔料などを配合してもよい。
【0071】
本発明に係る樹脂組成物の厚みは、特に限定されるものではないが、1μm〜300μmが好ましく、より好ましくは3μm〜100μmである。この範囲であると、対向する端子間の間隙に樹脂組成物を十分に充填することができ、樹脂組成物の硬化または凝固後の機械的接着強度を確保することができる。また、対向する端子間の電気的接続を確保することができる。導電接続材料100の大きさは、接続面が被覆される大きさに合わせて適宜調整される。導電接続材料100の大きさは、接着性等の問題を考慮すると、接続面
の面積の少なくとも半分より大きいことが望ましい
【0072】
<金属箔>
本発明において導電接続材料を構成する金属箔層は、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔で構成される層である。金属箔層は平面視で樹脂組成物の少なくとも一部に形成されていればよく、樹脂組成物の全面に形成されていてもよい。
【0073】
金属箔層の形状は特に制限されなく、一定の形状が繰り返しパターン状に形成されていてもよいし、形状が不規則であってもよい。規則的な形状と不規則な形状とが混在していてもよい。金属箔層の形状としては、例えば、点線の抜き模様状、縞模様状、水玉模様状、矩形模様状、チェッカー模様状、額縁状、格子模様状又は多重の額縁状などが挙げられる。これらの形状は一例であり、目的や用途に応じてこれらの形状を組み合わせたり、変形させて用いることができる。
【0074】
本発明の一実施態様において、接続しようとする接続電極が電子材料の接続面全体に配置されているようなフルグリッド型の電子材料を接続する場合、樹脂組成物の全面にシート状の金属箔を形成することが好ましい。
【0075】
また、接続しようとする接続電極が電子材料の接続面の周辺部に配置されるようなペリフェラル型の電子材料を接続する場合、金属箔を有効に利用する観点、及び、隣接する接続電極間に金属箔を残存させないという観点から、樹脂組成物の少なくとも一部に繰り返しパターン状の金属箔を形成することが好ましい。このとき、金属箔の形状は該接続電極のピッチや形態等によって適宜選択することができる。
【0076】
本発明に使用する金属箔は、特に制限はなく、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金、または錫単体からなることが好ましい。
【0077】
このような合金のうち、溶融温度および機械的物性を考慮すると、Sn−Pbの合金、鉛フリー半田であるSn−Biの合金、Sn−Ag−Cuの合金、Sn−Inの合金、Sn−Agの合金などのSnを含む合金からなることがより好ましい。Sn−Pbの合金の場合、錫の含有率は、30重量%以上100重量%未満であることが好ましく、35重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、40重量%以上が特に好ましい。また、100重量%未満であることが好ましい。また、鉛フリー半田の場合の錫の含有率は、15重量%以上100重量%未満であることが好ましく、20重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、25重量%以上100重量%未満であることが特に好ましい。例えば、Sn−Pbの合金としては、Sn63−Pb(融点183℃)、鉛フリー半田としては、Sn−3.0Ag−0.5Cu(融点217℃)、Sn−3.5Ag(融点221℃)、Sn−58Bi(融点139℃)、Sn−9.0Zn(融点199℃)、Sn−3.5Ag−0.5Bi−3.0In(融点193℃)、Au−20Sn(融点280℃)、等が挙げられる。
【0078】
本発明においては、接続する被着体の耐熱性に応じて適宜、所望の融点及び組成を有する金属箔を用いることができる。例えば、半導体チップが熱履歴により損傷するのを防止するために、融点が330℃以下(より好ましくは300℃以下、特に好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下)である金属箔を用いることが好ましい。また、対向する端子間接続後の半導体装置の耐熱性を確保するためには、融点が100℃以上(より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上)である金属箔を用いること
が好ましい。なお、金属箔の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0079】
前記金属箔の厚みは、対向する端子間のギャップ、隣接する端子間の距離などに応じて適宜選択することができる。金属箔の厚みは、例えば、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。金属箔の厚みが前記下限未満になると半田又は錫不足により未接続の端子が増加する傾向にあり、他方、前記上限を超えると半田又は錫余剰により隣接端子間でブリッジを起こし、ショートしやすくなる傾向にある。
【0080】
金属箔の作製方法は、特に制限はないが、インゴットなどの塊から圧延により作製する方法、樹脂組成物へ直接蒸着、スパッタ、めっきなどにより金属箔を形成する方法などが挙げられる。また、繰り返しパターン状の金属箔の作製方法は、特に制限はないが、金属箔を所定のパターンに打抜く方法、エッチングなどにより所定のパターンを形成する方法、また、遮蔽板やマスクなどを使用することにより蒸着、スパッタ、めっきなどで形成する方法などが挙げられる。
【0081】
本発明に用いられる導電接続材料において、金属箔の配合量は、導電接続材料中5重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることが特に好ましい。また、97重量%未満であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることが特に好ましい。金属箔の配合量が前記下限未満になると半田又は錫不足により未接続の端子が増加する傾向にある。他方、前記上限を超えると半田又は錫余剰により隣接端子間でブリッジを起こしやすくなる傾向にある。
【0082】
あるいは、金属箔の配合量を導電接続材料に対する体積比率で定義してもよい。例えば、金属箔の配合量は、導電接続材料に対して1体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましく、10体積%以上であることが特に好ましい。また、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましく、70体積%以下であることが特に好ましい。金属箔の配合量が前記下限未満になると半田又は錫不足により未接続の端子が増加する傾向にある。他方、前記上限を超えると半田又は錫余剰により隣接端子間でブリッジを起こしやすくなる傾向がある。
【0083】
(2)加熱印加工程
加熱印加工程では、まず、前記金属箔の融点以上の温度で導電接続材料100を加熱する。加熱温度は、樹脂組成物120が熱硬化性樹脂組成物の場合、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で加熱する。ここで、「熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度」とは、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下となる温度を意味する。ただし、本発明の接続方法においては、加熱した際に導電接続材料が基板からはみ出すことを防止するため、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは0.001Pa・s以上、より好ましくは0.005Pa・s以上、特に好ましくは0.01Pa・s以上となる温度で加熱する。なお、加熱温度は、金属箔の融点以上であればよく、例えば加熱時間を短くするなど、加熱時間を調整することによって上記溶融粘度を満たすことができる範囲であればその上限は特に制限されない。
【0084】
また、樹脂組成物120が熱可塑性樹脂組成物の場合は、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下となる温度に加熱する。ただ
し、本発明の接続方法においては、加熱した際に導電接続材料が基板からはみ出すことを防止するため、熱可塑性性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは0.001Pa・s以上、より好ましくは0.005Pa・s以上、特に好ましくは0.01Pa・s以上となる温度で加熱する。
【0085】
前記樹脂組成物を上記温度で加熱することにより、溶融した金属箔が樹脂組成物中を移動することができるため、金属箔が端子上に集まり易く、端子と金属箔との金属結合が可能となり、上下端子の導通確保が容易となる。なお、加熱する際に対向する端子間の距離を近づけるよう加圧してもよい。例えば、図1(a)における基板10及び20が対向する方向にプレスヒーター等の手段を用いて加熱及び加圧することにより、対向する各端子間の距離を一定に制御することができ、対向する端子間の電気的な接続をより信頼できるものとすることができる。
【0086】
前記加熱温度は、特に制限されなく、使用する金属箔及び樹脂組成物の組成等によって適宜選択すればよい。加熱温度は、通常100℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、接続しようとする電子材料の熱劣化を防止するためには、加熱温度は通常250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。
【0087】
引き続き、加熱印加工程では、加熱しつつ対向する基板間に超音波を印加する。対向する基板間に超音波を印加することにより各基板間に超音波による振動を与える。金属箔の融点付近の温度で導電接続材料100を加熱昇温しつつ超音波を印加し、金属箔の融点以上に加熱することによって金属箔は溶融し、対向する端子間への凝集が促進され、端子と金属箔とが金属結合することにより導電性領域を形成し、前記端子間が電気的に接続される。超音波の印加は金属箔の溶融と移動が完了するまで印加するのが好ましく、他方、絶縁性の樹脂組成物は、該導電性領域の間隙に充填されて絶縁性領域を形成し、隣接する端子間の絶縁性を確保する。これにより隣接する端子間のショートを防止することができる。
【0088】
前記加熱印加工程において、対向する端子間に印加する超音波は、縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上がさらに好ましい。また、通常は40kHz以下、好ましくは30kHz以下である。
さらに、圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよいが、移動が完了するまでの時間については、実際使用する基板や部品を使い、加熱時間と温度の関係と接続状態を確認することで適宜設定すればよい。
【0089】
(3)凝固、硬化工程
凝固、硬化工程では、樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物の場合、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて、加熱工程及び印加工程で形成された導電性領域及び絶縁性領域を固定することにより、端子間の電気的信頼性及び機械的接続強度を確保する。前記熱硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば硬化性樹脂組成物を加熱することにより行うことができる。加熱温度(硬化温度)は、熱硬化性樹脂組成物の組成によって異なるが、加熱工程での加熱温度より10℃以上低い温度であることが好ましい。加熱温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、加熱温度は、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。この範囲であると、硬化性樹脂組成物の熱分解が起こることなく、硬化を完全に行うことができる。
【0090】
凝固、硬化工程では、樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物の場合、熱可塑性樹脂組成物を前記加熱印加工程で導電性領域と絶縁性領域とを形成した後、熱可塑性樹脂組成物を凝固させて絶縁性領域を固定する。これにより、前記端子間の電気的信頼性および機械的接続強度を十分に確保することができる。
【0091】
前記熱可塑性樹脂組成物の凝固は、前記加熱印加工程で加熱溶融した導電接続材料を冷却することによって実施することができる。導電接続材料の凝固は、熱可塑性樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができるものであり、特に制限されないが、自然冷却による方法でもよく、また、冷気を吹きつけるなどの方法でもよい。
【0092】
前記熱可塑性樹脂組成物の凝固温度は、特に制限されないが、金属箔の融点より低いことが好ましい。より具体的には、前記熱可塑性樹脂組成物の凝固温度は、金属箔の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことが特に好ましい。また、前記熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。前記熱可塑性樹脂組成物の固化温度が前記範囲内にあると、導電性領域を確実に形成することができ、また、絶縁性領域が所望の耐熱性を有することができる。このため、隣接する端子間の絶縁性が確保され、隣接する端子間のショートをより確実に防止することができる。
【0093】
本発明の接続方法では、上記のようにして対向する基板間に超音波を印加することにより、金属箔の該端子間への凝集を制御または促進して端子間を電気的に接続するとともに、隣接する端子間の絶縁性を確保することができる。
【0094】
2.半導体装置の製造方法
次に、本発明の半導体装置の製造方法について述べる。本発明の半導体装置の製造方法は、前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて各電子材料間を電気的に接続するものであり、特に限定は無いが、接続の態様により次の5態様に別けられることができる。以下、それぞれの態様について説明する。
【0095】
(1)第1の態様
第1の態様の半導体装置の製造方法は、第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体チップとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含むことを特徴とする。
【0096】
図2は、本発明の第1の態様に係る半導体装置の製造方法の工程説明図の一例を示したものである。図2(a)に示すように、まず、接続端子11が設けられた半導体チップ10と、接続端子21が設けられた半導体チップ20とを互いに接続端子11および21が
設けられた面(回路面)が対向するように配置する。接続端子11及び接続端子21の表面には、予め洗浄、研磨、めっき、表面活性化等の処理を施しておいてもよい。さらに、接続端子11及び接続端子21の下面に、Ti、Ti/Cu、Cu、Ni、Cr/Ni等を用いてUBM(Under Burrier Metal)層140を形成していてもよい。UBM層140は1層でもよく、複数層でもよい。なお、半導体チップ10及び20の表面には、予め、半導体素子を保護する目的で表面安定化処理が施されていてもよく、例えばSiN膜などの不動態膜150が形成されていてもよい。また、半導体チップ10及び半導体チップ20の表面には、それぞれ接続端子11および21を開口するように保護膜160が形成されていてもよい。前記保護膜160としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などが挙げられる。これにより、金属箔110が対向する接続端子11および21間に誘導されやすくなり、接続端子11および21間の電気的接続を良好にすることができる。また、前記保護膜160は、応力緩和層としても機能することができる。なお、保護膜160の形状は、上記のような機能を有するものであれば、図示した形状に限定されない。
【0097】
次に、図2(b)に示すように、半導体チップ10と半導体チップ20との間に導電接続材料100を配置し、樹脂組成物120が熱硬化性樹脂組成物の場合、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度まで導電接続材料100を加熱する。また、樹脂組成物120が熱可塑性樹脂組成物の場合は、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下となる温度に加熱する。加熱することにより、金属箔110が溶融するが、加熱するとともに、金属箔が溶融する直前から金属箔が完全に溶融し、溶融した金属箔の移動が完了するまで対向する半導体チップ10および20間に超音波を印加することにより、図2(c)に示すように、対向する接続端子11および21間への金属箔110の凝集が促進されて導電性領域300を形成し、接続端子11および21間が電気的に接続される。他方、導電性領域間の間隙には樹脂組成物が充填されて絶縁性領域400を形成し、隣接する接続端子間の絶縁性を確保することができる。
【0098】
本発明の第1の態様の製造方法においては、半導体チップ10および20間に超音波を印加することにより、金属箔の凝集を制御または促進することができ、半導体チップと半導体チップとの電気的な接続を容易する。
【0099】
なお、図2では、半導体チップの回路面を対向させて接続する場合を説明したが、例えば、多段スタック型の半導体装置を製造する場合において、半導体チップの回路面を対向させて接続することができない場合もある。このような場合も本発明の第1の態様の製造方法を用いて半導体装置を製造することができる。
【0100】
図3は、多段スタック型の半導体装置の概略断面図である。
図3に示すように、多段スタック型の半導体装置1は、接続端子11を有する半導体チップ10と接続端子21を有する半導体チップ20とが、接続端子11と接続端子21を対向させた状態で、導電性領域300を介して電気的に接続されている。前記半導体チップ10と半導体チップ20は、第1の態様と同様の手法で接続することができる。
また、多段スタック型の半導体装置1は、半導体チップ20の接続端子21がある面とは反対側の面(裏面)の接続電極22と接続電極31を有する半導体チップ30とが、接続電極22と接続端子31を対向させた状態で、導電性領域300’を介して電気的に接続されている。前記半導体チップ20と半導体チップ30は、第1の態様と同様の手法で接続することができる。
【0101】
この時、半導体チップ20の厚み方向には、導電性を有するスルーホール220が存在
するため、半導体チップ10、半導体チップ20および半導体チップ30は、接続端子11、導電性領域300、接続端子21、スルーホール220、接続電極22、導電性領域300’、接続電極31を介して電気的に接続されている。
【0102】
前記スルーホール220は、例えば、半導体チップ20の厚み方向にドリルやレーザー加工等により貫通孔を形成し、該貫通孔の内壁面にめっきを施し、めっきが施された貫通孔内に樹脂剤を充填したり、めっきで金属を充填することなどで形成されている。なお、スルーホールの詳細については、例えば、特開2001−127243号公報、特開2002−026241号公報等を参照することができる。半導体チップ20と半導体チップ30との間隙には絶縁性樹脂が充填されて絶縁性領域400が形成されており、この絶縁性領域400によって隣接する接続端子間が電気的に絶縁されている。第1の態様の製造方法は、このような多段スタック型の半導体装置において半導体チップの回路面が半導体チップの回路面と反対側の面に対向した場合も、厚み方向にスルーホールが形成された半導体チップを用いることにより、半導体チップと半導体チップとを電気的に接続することができる。また、半導体チップの回路面を互いに対向しないように配置する場合も両方の半導体チップの厚み方向にスルーホールを形成することにより、同様の方法で接続端子間を電気的に接続することができる。
【0103】
第1の態様において、加熱工程における加熱印加工程における端子間に超音波は、本発明の接続方法において記載した範囲と同様である。使用する金属箔110および樹脂組成物120の組成等によって異なるため、特に制限されないが、加熱温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは110〜240℃、さらに好ましくは120〜230℃である。
また、端子間に生じさせる超音波は縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は、40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は、40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
かける圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよい。
【0104】
(2)第2の態様
本発明の第2の態様の半導体装置の製造方法は、第1の接続端子が設けられた回路面を有する半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて、前記半導体チップの接続端子と前記基板の接続端子とを電気的に接続する工程を含む。
【0105】
第2の態様では、本発明の接続方法を用いて半導体チップの接続端子と基板の接続端子とを電気的に接続するが、半導体チップの接続端子と基板の接続端子とを電気的に接続する方法は、2枚の半導体チップの一方を基板に変更することを除いて、第1の態様と同じ
である。図4に本発明に用いられる基板の概略断面図の一例を示す。図4に示すように、基材40上に回路層170が形成され、基材40及び回路層170の上には、ソルダーレジストを用いて絶縁層180が形成され、配線パターンを構成している。回路層開口部にはNi/Auメッキ層190が形成され、接続端子(電極パッド)41を構成している。本態様では、基板上の接続端子41が上記のように回路面上に形成されていることを除いて第1の態様の半導体装置の製造方法と同様にして、半導体チップの接続端子と基板の接続端子41とを電気的に接続することができる。なお、図4に示した基板の構成は一例である。基材上に回路が形成されており、接続端子を有するものであればその構成は特に制限されない。
【0106】
また、第2の態様において、半導体チップの回路面と基板の回路面は互いに対向して配置されていることが好ましいが、半導体チップの回路面が基板の回路面の反対側の面と対向して配置されている場合や両者の回路面の反対側の面が互いに対向して配置されている場合は、半導体チップ及び基板のいずれかまたは両方に厚み方向にスルーホールが形成されたものを用いることにより、同様の方法で半導体チップと基板とを電気的に接続することができる。
【0107】
本発明の第2の態様において、加熱印加工程における加熱温度及び加熱印加工程における半導体チップと基板間に生じさせる超音波は、本発明の端子間の接続方法において記載した範囲と同様である。使用する金属箔110および樹脂組成物120の組成等によって異なるため特に制限されないが、加熱温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは110〜240℃、さらに好ましくは120〜230℃である。
また、半導体チップと基板間に生じさせる超音波は、縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は、40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は、40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよい。
【0108】
(3)第3の態様
本発明の第3の態様の半導体装置の製造方法は、第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の基板と、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む。
【0109】
第3の態様では、本発明の端子間の接続方法を用いて基板上の対向する接続端子間を電気的に接続するが、第1の接続端子と第2の接続端子とを電気的に接続する方法は、半導体チップを基板に変更することを除いて第1の態様と同じである。また、第3の態様にお
いて、基板の回路面同士が互いに対向して配置されていることが好ましいが、第1の基板の回路面と第2の基板の回路面の反対側の面が対向して配置される場合や回路面と反対側の面が互いに対向して配置されている場合は、一方または両方に、厚み方向にスルーホールが形成されたビルドアップ基板を用いることにより、同様の方法で両基板間を電気的に接続することができる。
【0110】
本発明の第3の態様において、加熱印加工程における加熱温度及び加熱印加工程における基板間に生じさせる超音波は、本発明の端子間の接続方法において記載した範囲と同様である。使用する金属箔および樹脂組成物の組成等によって異なるため、特に制限されないが、加熱温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは110〜240℃、さらに好ましくは120〜230℃である。
また、基板間に生じさせる超音波は縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は、40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよい。
【0111】
第3の態様の半導体装置の製造方法は、例えば、半導体パッケージ同士を接続するパッケージオンパッケージ(Package on Package)型の半導体装置において、基板同士を電気的に接続する場合などに特に有用である。
【0112】
(4)第4の態様
本発明の第4の態様の半導体装置の製造方法は、第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む。
【0113】
第4の態様では、本発明の端子間の接続方法を用いて基板上の対向する接続端子間を電気的に接続するが、第1の接続端子と第2の接続端子とを電気的に接続する方法は、片方の半導体チップを半導体ウェハに変更することを除いて第1の態様と同じであり、半導体チップの回路面上に設けられた各接続端子を、それぞれ、対向する他の半導体ウェハの回路面上に設けられた各接続端子と接続する。また、第4の態様において、半導体チップおよび半導体ウェハの回路面同士が互いに対向して配置されていることが好ましいが、半導体チップの回路面と半導体ウェハの回路面の反対側の面が対向して配置される場合や回路面と反対側の面が互いに対向して配置されている場合は、一方または両方に、厚み方向に貫通スルーホールが形成された半導体チップまたは半導体ウェハを用いることにより、同様の方法で半導体チップおよび半導体ウェハ間を電気的に接続することができる。
【0114】
本発明の第4の態様において、加熱印加工程における加熱温度及び加熱印加工程における半導体チップと半導体ウェハ間に生じさせる超音波は、本発明の端子の製造方法において記載した範囲と同様であり、使用する金属箔及び樹脂組成物の組成等によって異なるため特に制限されないが、加熱温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは120〜240℃である。
また、半導体チップと半導体ウェハ間に生じさせる超音波は縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は、40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は、40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよい。
【0115】
(5)第5の態様
本発明の第5の態様の半導体装置の製造方法は、第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体ウェハと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
前記「1.端子間の接続方法」に記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む。
【0116】
第5の態様では、本発明の端子間の接続方法を用いて基板上の対向する接続端子間を電気的に接続するが、第1の接続端子と第2の接続端子とを電気的に接続する方法は、半導体チップを半導体ウェハに変更することを除いて第1の態様と同じであり、半導体ウェハの回路面上に設けられた各接続端子を、それぞれ、対向する他の半導体ウェハの回路面上に設けられた各接続端子と接続する。また、第5の態様において、半導体ウェハの回路面同士が互いに対向して配置されていることが好ましいが、第1の半導体ウェハの回路面と第3の半導体ウェハの回路面の反対側の面が対向して配置される場合や回路面と反対側の面が互いに対向して配置されている場合は、一方または両方に、厚み方向に貫通スルーホールが形成された半導体ウェハを用いることにより、同様の方法で両半導体ウェハ間を電気的に接続することができる。
【0117】
本発明の第5の態様において、加熱印加工程における加熱温度及び加熱印加工程における半導体ウェハ間に生じさせる超音波は、本発明の端子の製造方法において記載した範囲と同様であり、使用する金属箔及び樹脂組成物の組成等によって異なるため特に制限されないが、加熱温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは120〜240℃である。
また、半導体ウェハ間に生じさせる超音波は縦振動と横振動 があるが、横振動が好ましく、振幅は、1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は、40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加する方法としては、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、超音波の印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から超音波を印加してもよい。また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよい。
【0118】
3.接続端子の形成方法
次に、本発明の接続端子の形成方法について説明する。
本発明の接続端子の形成方法(以下「本発明の接続方法」という場合がある。)は、金属箔を介して接続端子を形成する方法であって、樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を端子上に配置する配置工程と、前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに、前記基板に超音波を印加する加熱印加工程とを含む。本発明の接続端子の形成方法は、金属箔を溶融させると共に、基板に超音波を印加する。本発明の好ましい態様によれば、これにより、接続端子を形成しようとする端子上に溶融した金属箔の凝集が制御または促進することができ、接続端子間の形成を可能にする。
本発明の好ましい態様によれば、上記の様に金属箔の凝集を制御または促進することができるので、微細な配線回路においても多数の接続端子を一括で形成することが可能である。
【0119】
次に、図5を参照しながら、本発明の接続端子の形成方法の概略を説明する。
図5(a)に示すように、基材40の回路面に設けられた端子41上に、金属箔110と樹脂組成物120とを含む導電接続材料100を配置する。なお、図示しないが、電気的な接続を良好にするため、端子表面には、洗浄、研磨、めっき及び表面活性化等の処理を施してもよい。
【0120】
このようにして配置した導電接続材料100を図5(b)に示すように金属箔110の融点以上の温度で加熱するとともに超音波を印加する。すると、図5(c)に示すように、該金属箔110が端子41上に凝集して導電性領域300を形成し、接続端子200が形成される。他方、樹脂組成物120は、導電性領域300の間隙を充填し、絶縁性領域210を形成して、隣接する端子間の絶縁性を確保することができる。
【0121】
このように、本発明の好ましい態様によれば、多数の接続端子を一括で形成することを可能にするとともに、隣接する端子間の絶縁性を確保することができる。本発明の好ましい態様によれば、金属箔の凝集を制御することができるので、多数の接続端子を一括で形成することが可能であり、接続信頼性に優れるという利点がある。以下、本発明の接続端子の形成方法の各工程について詳しく説明する。
【0122】
(1)配置工程
配置工程では、樹脂組成物120と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔110とから構成される積層構造を有する導電接続材料100を端子上に配置する。前記導電接続材料100を端子41上に配置する方法は、特に限定はなく、ラミネート等の手法で端子41
に接触させ配置する方法、接触させずに配置する方法等が挙げられる。
前記樹脂組成物120と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔110とから構成される積層構造を有する導電接続材料100については、「1.端子間の接続方法」に記載のものと同じものを使用するのでここでは説明を割愛する。
【0123】
(2)加熱印加工程
加熱印加工程では、前記金属箔110の融点以上の温度で導電接続材料100を加熱する。加熱温度は、樹脂組成物120が熱硬化性樹脂組成物の場合、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で加熱する。ここで、「熱硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度」とは、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下となる温度を意味する。ただし、本発明の接続方法においては、加熱した際に導電接続材料が基板からはみ出すことを防止するため、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは0.001Pa・s以上、より好ましくは0.005Pa・s以上、特に好ましくは0.01Pa・s以上となる温度で加熱する。なお、加熱温度は、金属箔の融点以上であればよく、例えば加熱時間を短くするなど、加熱時間を調整することによって上記溶融粘度を満たすことができる範囲であればその上限は特に制限されない。
【0124】
また、樹脂組成物120が熱可塑性樹脂組成物の場合は、金属箔110の融点以上であり、且つ、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下、特に好ましくは10Pa・s以下となる温度に加熱する。ただし、本発明の接続方法においては、加熱した際に導電接続材料が基板からはみ出すことを防止するため、熱可塑性性樹脂組成物の溶融粘度が、好ましくは0.001Pa・s以上、より好ましくは0.005Pa・s以上、特に好ましくは0.01Pa・s以上となる温度で加熱する。
【0125】
前記樹脂組成物120を上記温度で加熱することにより、溶融した金属箔110が樹脂組成物120中を移動することができるため、金属箔110が端子上に集まり易く、端子41上に接続端子200を形成することが可能となる。なお、加熱する際に導電接続材料100の上側を、離型処理を施したガラスやフィルムを配置して上下から加熱及び加圧してもよい。具体的には、例えば、図6(b)における基板10の上下方向からプレスヒーター等の手段を用いて加熱及び加圧することができ、さらに、プレスヒーターと基材40の距離を一定に制御することで、溶融した金属箔110を端子41上に集まり易くすることができ、より信頼性の高い接続端子200を形成することができる。
【0126】
前記加熱温度は、特に制限されなく、使用する金属箔110及び樹脂組成物120の組成等によって適宜選択すればよい。加熱温度は、通常100℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。また、接続しようとする電子材料の熱劣化を防止するためには、加熱温度は通常250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。
【0127】
引き続き加熱印加工程では、基材40に超音波を印加する。端子に超音波を印加することにより基材40に超音波による振動を与える。金属箔110の融点付近の温度で導電接続材料100を加熱昇温しつつ超音波を印加し、金属箔の融点以上に加熱することによって金属箔110は溶融し、端子41上への凝集が促進され、端子と金属箔とが金属結合することにより接続端子が形成される。超音波の印加は金属箔110の溶融と移動が完了するまで印加するのが好ましく、他方、絶縁性の樹脂組成物110は、該接続端子200の間隙に充填されて絶縁性領域210を形成し、隣接する接続端子200間の絶縁性を確保する。これにより隣接する接続端子200間のショートを防止することができる。
【0128】
加熱印加工程において、基材40に印加する超音波は、縦振動と横振動があるが、横振動が好ましく、振幅は1μm以上、より好ましくは3μm、さらに好ましくは5μm以上である。また通常は40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましく25μm以下である。
周波数は8kHz以上が好ましく、10kHz以上が好ましい。また通常は、40kHz以下、このましくは30kHz以下である。
圧力は、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.15MPaである。また通常は、5MPa以下、より好ましくは4MPa以下、さらに好ましくは3MPa以下である。
また、超音波を印加するには、加熱するヘッドやステージに超音波を発生させる装置を組み込んでおけばよく、その印加は上側からでも下側からでもよく、片側または上下双方から印加してもよい。
また超音波の印加時間は、0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1秒以上である。また通常は60秒以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下である。
なお、本実施形態では、加熱印加工程において導電接続材料を加熱しつつ超音波を印加する形態について説明したが、超音波を印加するタイミングは、金属箔が溶融する前から、金属箔が完全に溶融し、金属箔の移動が完了するまで印加を行ってもよいが、移動が完了するまでの時間については、実際使用する基板や部品を使い、加熱時間と温度の関係と接続状態を確認することで適宜設定すればよい。
なお、本発明では、加熱するとともに、金属箔110が溶融する直前から完全に溶融し、溶融した金属箔110の移動が完了するまでの間、対向する基材40に超音波による振動を与えることにより、溶融した金属箔100を該端子上に凝集させることができる。
【0129】
上記のような工程を経ることにより形成された接続端子200は、半導体チップやコンデンサ等の電子部品や基板などを搭載するための接続用の接続端子200として使用することができる。
また、絶縁性領域210を形成している樹脂組成物の硬化は、加熱印加工程後に行っても、接続端子200に電子部品や基板を搭載した後行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、半導体装置をはじめとする電子材料間の端子間の接続または接続端子が必要とされる様々な分野で利用可能である。特に、本発明は微細な端子間の接続をする場合または接続端子を形成する場合において有用である。本発明の端子間の接続方法または接続端子の形成方法を用いることにより、電子機器の高機能化及び小型化の要求にも対応可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 半導体措置
10、20、30 基板
11、21、31 端子
22 接続電極
40 基材
41 接続端子(電極パッド)
110 金属箔
120 樹脂組成物
140 UBM層
150 不動態膜
160 保護膜
170 回路層
180 絶縁層
190 Ni/Auメッキ層
200 接続端子
210 絶縁性領域
220 スルーホール
300、300’導電性領域
400 絶縁性領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介して端子間を電気的に接続する方法であって、
前記導電接続材料を対向する端子間に配置する配置工程と、
前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程と、
前記樹脂組成物を凝固または硬化させる凝固、硬化工程と、
を含む、端子間の接続方法。
【請求項2】
前記加熱印加工程において溶融した金属箔が、端子間に凝集して前記端子間が電気的に接続される、請求項1に記載の端子間の接続方法。
【請求項3】
前記加熱印加工程において金属箔が溶融する前に超音波の印加を開始する、請求項1または2に記載の端子間の接続方法。
【請求項4】
前記金属箔が半田箔である、請求項1ないし3のいずれかに記載の端子間の接続方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の端子間の接続方法。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、硬化剤を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の端子間の接続方法。
【請求項7】
前記樹脂組成物が、フラックス機能を有する化合物を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の端子間の接続方法。
【請求項8】
前記フラックス機能を有する化合物が、フェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を含む、請求項7に記載の端子間の接続方法。
【請求項9】
前記フラックス機能を有する化合物が、下記一般式(1)で示される化合物を含む、請求項7または8に記載の端子間の接続方法。
HOOC−(CH)n−COOH・・・・・(1)
[式中、nは、1〜20の整数である。]
【請求項10】
前記フラックス機能を有する化合物が、下記一般式(2)及び/又は(3)で示される化合物を含む、請求項7または8に記載の端子間の接続方法。
【化1】

[式中、R〜Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜Rの少なくとも一つは水酸基である。]
【化2】

[式中、R〜R20は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、R〜R20の少なくとも一つは水酸基又はカルボキシル基である。]
【請求項11】
第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体チップとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
第1の接続端子が設けられた回路面を有する半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記半導体チップの接続端子と前記基板の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の基板と、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の基板とを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体チップと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
第1の接続端子が設けられた回路面を有する第1の半導体ウェハと、第2の接続端子が設けられた回路面を有する第2の半導体ウェハとを備えてなる半導体装置の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の端子間の接続方法を用いて、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
樹脂組成物と、半田箔又は錫箔から選ばれる金属箔とから構成される積層構造を有する導電接続材料を介して端子上に接続端子を形成する方法であって、
前記導電接続材料を端子上に配置する配置工程と、
前記金属箔の融点以上の温度で前記導電接続材料を加熱するとともに超音波を印加する加熱印加工程と
を含む、接続端子の形成方法。
【請求項17】
前記加熱印加工程において溶融した金属箔が、端子上に凝集して前記端子間が電気的に接続される、請求項16に記載の接続端子の形成方法。
【請求項18】
前記加熱印加工程において金属箔が溶融する前に超音波の印加を開始する、請求項16または17に記載の接続端子の形成方法。
【請求項19】
前記金属箔が半田箔である、請求項16ないし18のいずれかに記載の接続端子の形成方法。
【請求項20】
前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含む、請求項16ないし19のいずれかに記載の接続端子の形成方法。
【請求項21】
前記樹脂組成物が、硬化剤を含む、請求項16ないし20のいずれかに記載の接続端子の形成方法。
【請求項22】
前記樹脂組成物が、フラックス機能を有する化合物を含む、請求項16ないし21のいずれかに記載の接続端子の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181760(P2011−181760A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45617(P2010−45617)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】