説明

端末位置推定システム、端末位置推定装置、無線端末装置及び端末位置推定方法

【課題】無線端末装置の位置推定精度を向上させることができる。
【解決手段】無線基地局装置A1〜AMは、複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置B1からの無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部T1を具備する。端末位置推定装置D1は、位置を表す複数の参照ポイントごとに参照ポイントからそれぞれの無線基地局装置A1〜AMへの電波の到来方向と参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、複数の無線基地局装置A1〜AMがそれぞれ推定した電波の到来方向と記憶部から読み出した参照ポイントからそれぞれの無線基地局装置A1〜AMへの電波の到来方向との差に基づいて無線端末装置B1の位置を推定する端末位置推定部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末と複数の基地局間の電波の到来方向を推定することで無線端末の位置を推定する端末位置推定システム、端末位置推定装置、無線端末装置及び端末位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、本発明の背景となった技術による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。この図に示す無線装置による端末位置推定方法では、複数の無線基地局装置A0−1〜A0−Mと1又は複数の無線端末装置B0を装備した無線装置において、無線端末装置B0から複数の無線基地局A0−1〜A0−Mへの電波の到来方向を推定することで、無線端末装置B0の位置を推定する。
この場合、各無線基地局装置A0−1〜A0−Mは、複数の受信アンテナ#1〜#N(i=1,2,…,M)と無線部R0と到来方向推定部T0とを装備している。各無線基地局装置A0−1〜A0−Mは、到来方向推定部T0にて、各々電波の到来方向を推定し、無線基地局装置A0−1〜A0−Mの座標から到来方向推定直線l〜lを決定する。そして、端末位置推定部D0が、その到来方向推定直線l〜lから無線端末装置B0の位置を求める。具体的には、無線基地局装置が二つの場合は各々の無線基地局装置A0−1、A0−2で算出した到来方向推定直線l、lの交点の座標を無線端末装置B0の位置とする。無線基地局装置が3つ以上あった場合は各々の到来方向推定直線l〜lの交点が複数存在することから、端末位置推定部D0は、該交点を幾何学平均した座標を無線端末装置B0の位置とする(例えば、非特許文献1参照)。もしくは、端末位置推定部D0は、到来方向推定直線の方程式をそれぞれ正規化し、擬似逆行列演算にて求めた解を無線端末装置B0の位置とする(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
図11は、本発明の背景となった技術による無線装置(端末位置推定システム)の他の構成を示すブロック図である。この図に示す無線装置では、無線端末装置B0−1は、複数の受信アンテナ#1〜#Lと無線部R’0と到来方向推定部T’0と端末位置推定部D’0とを具備している。無線端末装置B0−1は、到来方向推定部T’0にて、無線基地局装置S0−1〜S0−Mからの各々の電波の到来方向を推定して各無線基地局装置S0−1〜S0−Mの座標から到来方向推定直線l’〜l’を決定する。そして、端末位置推定部D’0が、その到来方向推定直線l’〜l’から無線端末装置B0−1の位置を求める。到来方向推定直線l’〜l’から無線端末装置B0−1の位置の推定方法は図10に示す従来技術と同様である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Jun Terada, Takahashi, H. Sato, Y. Mutoh, S.“A novel location-estimation method using direction-of-arrival estimation,”Vehicular Technology Conference, 2005. VTC-2005-Fall. 2005 IEEE 62nd, 28-25 Sept., 2005 Volume: 1,On page(s):424-428
【非特許文献2】Ben Noble, James W. Danie“Applied Linear Algebra,”Prentice Hall; 3 edition (November 11, 1987)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した非特許文献1や2に示されているような従来の技術では、無線伝搬環境において、特に無線基地局装置から遠く離れた場所では無線端末装置から送信された無線信号の電力が大きく減衰してしまい、雑音による影響が大きくなり無線信号の到来方向の推定誤差が大きくなる。したがって、そのような環境下では各々の無線基地局装置で算出した到来方向推定直線の信頼度がそれぞれ異なり、各々の到来方向推定直線から無線端末装置の位置を推定する際に、信頼度の低い到来方向推定直線の影響を受け推定精度が劣化する、という問題がある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線端末装置の位置推定精度を向上させることができる端末位置推定システム、端末位置推定装置、無線端末装置及び端末位置推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線基地局装置と無線端末装置との間で送受信される無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントと前記無線基地局装置の位置関係で定められる電波の方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記到来方向推定部が推定した電波の到来方向と、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントごとの電波の方向及び位置に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、備えることを特徴とする端末位置推定システムである。
【0008】
(2)また、本発明の一態様は、複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、を具備する複数の無線基地局装置と、位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、前記複数の無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、を具備し、前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置される端末位置測定装置と、を備えることを特徴とする端末位置推定システムである。
【0009】
(3)また、本発明の一態様は、上記の端末位置推定システムにおいて、前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明の一態様は、複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線基地局装置と無線端末装置との間で送受信される無線信号から電波の到来方向を推定するステップと、位置を表す複数の参照ポイントごとに前記参照ポイントと前記無線基地局装置の位置関係で定められる電波の方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部から読み出した前記参照ポイントごとの電波の方向及び位置と、前記推定した電波の到来方向に基づいて前記無線端末装置の位置を推定するステップと、を有することを特徴とする端末位置推定方法である。
【0011】
(5)また、本発明の一態様は、無線基地局装置が、複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定するステップと、前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置され、位置を表す複数の参照ポイントごとに前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部を備える端末位置測定装置が、複数の前記無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定するステップと、を有することを特徴とする端末位置推定方法である。
【0012】
(6)また、本発明の一態様は、上記の端末位置推定方法において、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明の一態様は、複数の受信アンテナを有し、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定する複数の無線基地局装置から推定した前記電波の到来方向を受信する受信部と、位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、前記複数の無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、を具備し、前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置されることを特徴とする端末位置測定装置である。
【0014】
(8)また、本発明の一態様は、上記の端末位置測定装置において、前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする。
【0015】
(9)また、本発明の一態様は、複数の受信アンテナを有する無線端末装置と、前記無線端末装置に無線信号を送信する複数の無線基地局装置とからなる端末位置推定システムであって、前記無線端末装置は、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した前記複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、前記到来方向推定部が推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定する端末位置推定部と、を備えることを特徴とする端末位置推定システムである。
【0016】
(10)また、本発明の一態様は、上記の端末位置推定システムにおいて、前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、前記到来方向推定部が推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする。
【0017】
(11)また、本発明の一態様は、位置を表す複数の参照ポイントごとに複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部を備える無線端末装置が、複数の受信アンテナそれぞれが受信した複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定するステップと、前記無線端末装置が、推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定するステップと、を有することを特徴とする端末位置推定方法である。
【0018】
(12)また、本発明の一態様は、上記の端末位置推定方法において、前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする。
【0019】
(13)また、本発明の一態様は、複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した前記複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、前記到来方向推定部が推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定する端末位置推定部と、を備えることを特徴とする無線端末装置である。
【0020】
(14)また、本発明の一態様は、上記の無線端末装置において、前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、前記到来方向推定部が推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、記憶部が記憶する参照ポイントごとの電波の方向及び位置と、推定した電波の到来方向に基づいて無線端末装置の位置を推定しているため、推定したそれぞれの到来方向の信頼度に基づいた無線端末位置の推定を行うことが可能となり、端末位置推定精度を向上させることができる。
また、到来方向の角度差の二乗和が最も小さい参照ポイントを無線端末装置の位置としているため、無線端末装置のより近くに位置する無線基地局装置の到来方向が優先される。つまり、無線端末装置のより近くに位置する無線基地局装置の到来方向の信頼度を高くする。これにより、推定した到来方向のうち、雑音による影響が少ないものを優先して無線端末装置の位置を推定できるため、無線端末装置の位置推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による到来角と参照ポイントを説明するための概略図である。
【図3】本実施形態による端末位置推定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態による幾何学的データベースが記憶する参照テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図5】本実施形態による端末位置推定処理を説明するための概略図である。
【図6】第2の実施形態による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態による到来角と参照ポイントを説明するための概略図である。
【図8】本実施形態による無線端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態による幾何学的データベースが記憶する参照テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
【図10】本発明の背景となった技術による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の背景となった技術による無線装置(端末位置推定システム)の他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳しく説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。図1に示す無線装置は、複数の無線基地局装置A1〜AMと、各無線基地局装置A1〜AMと所定の通信回線で接続された端末位置推定装置D1と、1又は複数の無線端末装置B1(図1では1台のみ示している)とを含んで構成される。各無線基地局装置A1〜AMと無線端末装置B1とは無線通信を行う。ここで、説明の便宜を図るため、以下、i番目の無線基地局装置A1〜AMを無線基地局装置Ai(i=1,2,…,M)と記す。なお、本実施形態では、端末位置推定装置D1は、無線基地局装置A1〜AMや無線端末装置B1から独立した装置であるが、いずれかの無線基地局装置A1〜AM内にその機能が設けられてもよい。
【0024】
図1において、無線基地局装置Ai(1≦i≦M)は、複数の受信アンテナ#1〜#Nと、無線信号を送受信するための無線部R1と、複数の受信アンテナ#1〜#Nを介して無線部R1で受信した無線端末装置B1からの無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部T1を装備し、互いに離れた場所に設置されている。受信アンテナ#1〜#Nは、アレー状に配置されてアレーアンテナを構成している。
【0025】
また、本実施形態における到来方向推定部T1は、到来方向推定方法としてCMA(Constant Modulus Algorithm)を用いる。CMAでは、所望信号の包絡線が一定であるという性質に基づいて電波の到来方向を算出する。具体的には、まず、到来方向推定部T1は、評価関数QをQ=E[||y|−σ]とする。ここで、E[・]はアンサンブル平均であり、y=wxであり、は転置を表す。また、w=[w1,w2,…wNであり、x=[x1,x2,…,xNである。wjはj番目の受信アンテナ#1〜#Nのウェイトであり、xjは、j番目の受信アンテナ#1〜#Nで受信した無線信号のシンボルである。ウェイトとは、各受信アンテナ#1〜#Nの受信信号を合成する際の重みである。σは、所望信号の包絡線値である。次に、到来方向推定部T1は、最急勾配法やマルカート法を用いて、評価関数が最小となるように各受信アンテナ#1〜#Nのウェイトwjを決定する。そして、到来方向推定部T1は、ウェイトwj(1≦j≦N)に基づきアンテナ指向性パターンにおけるピーク値の角度を求め、この角度を電波の到来方向とする。
なお、本実施形態では、到来方向推定方法としてCMAを用いているが、MMSE(Minimum Mean Square Error)やMUSIC(Multiple Signal Classification)法など、複数のアンテナを用いて到来方向推定を行うあらゆる方法を用いてもよい。
【0026】
各無線基地局装置A1〜AMは、無線端末装置B1から送信された無線信号を受信し、それぞれの到来方向推定部T1にて電波の到来方向を推定する。そして、各無線基地局装置A1〜AMは、推定した到来方向を端末位置推定装置D1に送信する。端末位置推定装置D1は、各無線基地局装置A1〜AMから受信した到来方向に基づいて無線端末装置B1の位置を推定する。
【0027】
図2は、本実施形態による到来角と参照ポイントを説明するための概略図である。図2に示すように、所定の方向をX軸方向とし、X軸方向に対し直交する方向をY軸方向としてXY座標系を定める。また、無線基地局装置A1〜AMと無線通信可能なエリア内にR個(Rは1以上の整数)の参照ポイントr(r=1,2,…,R)を設ける。また、参照ポイントrのXY座標値を(x,y)と定義し、参照ポイントrから無線基地局装置Aiへの電波の到来方向のX軸方向に対する角度を到来角θirと定義する。到来角θirは、参照ポイントrと無線基地局装置Aiの位置関係で定められる電波の方向である。
【0028】
図3は、本実施形態による端末位置推定装置D1の機能構成を示すブロック図である。端末位置推定装置D1は、推定到来角受信部D11と、端末位置推定部D12と、幾何学的データベースCと、幾何学的データベース作成部C1とを含んで構成される。
推定到来角受信部D11は、無線基地局装置A1〜AMからそれぞれの推定到来角φを受信し、受信した推定到来角φを端末位置推定部D12に出力する。推定到来角φは、無線基地局装置A1〜AMが推定した電波の到来方向のX軸方向に対する角度である。
幾何学的データベースC(記憶部)は、無線基地局装置A1〜AMと無線通信可能なエリア内の所定の位置を表す複数の参照ポイントrごとに、参照ポイントrのXY座標値と到来角θir(参照ポイントrからそれぞれの無線基地局装置A1〜AMへの電波の到来方向)を記憶する。幾何学的データベースCに記憶されているデータについては後述する。
端末位置推定部D12は、入力された推定到来角φと幾何学的データベースCから読み出した到来角θirとの差に基づいて無線端末装置B1の位置を推定する。端末位置推定部D12の詳細な処理については後述する。
幾何学的データベース作成部C1は、各無線基地局装置A1〜AMのXY座標値と参照ポイントrのXY座標値に基づいて幾何学的に到来角θirを算出し、幾何学的データベースCに格納する。なお、各無線基地局装置A1〜AMのXY座標値と参照ポイントrのXY座標値は、予め端末位置推定装置D1に設定されている。
【0029】
図4は、本実施形態による幾何学的データベースCが記憶する参照テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。図示するように、参照テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、参照ポイントと、基地局での到来角との各項目の列を有している。このテーブルの各行は参照ポイント毎に存在する。参照ポイントのデータ(項目)は、参照ポイントrのXY座標値(x,y)を保持する。基地局での到来角は、参照ポイントrから各無線基地局装置Aiへの電波の到来角θirである。
【0030】
次に、図5を参照して端末位置推定部D12による端末位置推定処理について説明する。図5は、本実施形態による端末位置推定処理を説明するための概略図である。端末位置推定部D12は、まず、次の式(1)により各参照ポイントの評価値Erを算出する。そして、評価値Erが最小となる参照ポイントrのXY座標値(x,y)を無線端末装置B1の位置とする。
【0031】
【数1】

【0032】
評価値Erが最小となる座標を無線端末位置Bの位置とすることにより、無線端末装置B1とより近い位置にある無線基地局装置A1〜AMにおける推定到来角φが優先されるため、端末位置推定精度を向上させることができる。図5を例に説明する。実際の無線端末装置B1の位置Pは、参照ポイント2より参照ポイント1に近い位置である。また、位置Pは、無線基地局装置A1の位置に比べ無線基地局装置A2の位置に近い。このため、無線基地局装置A1における参照ポイント1に対する角度差|θ11−φ|と参照ポイント2に対する角度差|θ12−φ|とは大差なくほぼ等しい。これに対し、無線基地局装置A2における参照ポイント1に対する角度差|θ21−φ|は参照ポイント2に対する角度差|θ22−φ|に比べ小さい。つまり、無線端末装置B1の位置Pと近い位置にある無線基地局装置A2の角度差の方がより正確に無線端末装置B1の位置Pを表している。よって、角度差の二乗和Erが最小となる座標を無線端末装置B1の位置Pとすることにより、より精度良く無線端末装置B1の位置Pを推定することができる。
【0033】
次に、上述した構成による無線装置の動作を説明する。無線端末装置B1が無線信号を送信すると、無線基地局装置A1〜AMの無線部R1が、複数の受信アンテナ#1〜#Nを介して送信された無線信号を受信する。そして、無線基地局装置A1〜AMの到来方向推定部T1が、それぞれ受信した無線信号から電波の到来方向の推定到来角φを算出し、算出した推定到来角φを端末位置推定装置D1に送信する。端末位置推定装置D1は、各無線基地局装置A1〜AMから受信した推定到来角φと参照テーブルから読み出したθirを参照して式(1)により各参照ポイントの評価値Erを算出し、評価値Erが最も小さい参照ポイントのXY座標値を無線端末装置B1の位置とする。
【0034】
このように、本実施形態によれば、角度差の二乗和が最も小さい参照ポイントを無線端末装置B1の位置としているため、無線端末装置B1のより近くに位置する無線基地局装置Aiの推定到来角φが優先される。これにより、雑音による影響が少ない推定到来角φを優先して無線端末装置B1の位置を推定できるため、無線端末装置B1の位置推定精度を向上させることができる。
【0035】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態による無線装置(端末位置推定システム)の構成を示すブロック図である。図6に示す無線装置は、複数の無線基地局装置S1〜SMと、1又は複数の無線端末装置B2(図6では1台のみ示している)とを含んで構成される。第1の実施形態では、端末位置推定装置D1が、無線基地局装置A1〜AMが推定した推定到来角φに基づいて無線端末装置B1の位置を推定したが、本実施形態では、無線端末装置B2が複数の受信アンテナ#1〜#L(Lは2以上の整数)を備え、自身の位置を推定する。ここで、説明の便宜を図るため、以下、i番目の無線基地局装置S1〜SMを無線基地局装置Si(i=1,2,…,M)と記す。
【0036】
図7は、本実施形態による到来角と参照ポイントを説明するための概略図である。図7に示すように、所定の方向をX軸方向とし、X軸方向に対し直交する方向をY軸方向としてXY座標系を定める。また、無線基地局装置S1〜SMと無線通信可能なエリア内にR個の参照ポイントr(r=1,2,…,R)を設ける。また、参照ポイントrのXY座標値を(x,y)と定義し、無線基地局装置Siから参照ポイントrへの電波の到来方向のX軸方向に対する角度を到来角ψirと定義する。到来角ψirは、参照ポイントrと無線基地局装置Siの位置関係で定められる電波の方向である。
【0037】
図8は、本実施形態による無線端末装置B2の機能構成を示すブロック図である。無線端末装置B2は、複数の受信アンテナ#1〜#Lと、無線信号を送受信するための無線部R2と、到来方向推定部T2と、端末位置推定部D2と、幾何学的データベースC2と、幾何学的データベース作成部C3とを含んで構成される。受信アンテナ#1〜#Lは、アレー状に配置されてアレーアンテナを構成している。なお、本実施形態では、無線部R2と、到来方向推定部T2と、端末位置推定部D2とは、電子回路又は電気回路により実装される。
【0038】
到来方向推定部T2は、複数の受信アンテナ#1〜#Lを介して無線部R2で受信した無線基地局装置S1〜SMからの無線信号から各無線基地局装置S1〜SMからの電波の到来方向を推定し、推定した到来方向の推定到来角φ’を端末位置推定部D2に出力する。推定到来角φ’は、無線基地局装置Siからの電波の推定方向のX軸方向に対する角度である。具体的には、到来方向推定部T2は、到来方向推定方法としてCMAを用いる。なお、本実施形態では、到来方向推定方法としてCMAを用いているが、MMSEやMUSIC法など、複数のアンテナを用いて到来方向推定を行うあらゆる方法を用いてもよい。
また、各無線基地局装置S1〜SMから送信される無線信号は、時分割により無線基地局装置S1〜SM毎に送信される時間が異なる。よって、無線端末装置B2は、無線信号の受信時間に基づいてどの無線基地局装置S1〜SMからの無線信号かを判別する。なお、本実施形態では、時分割により無線基地局装置S1〜SMを判別しているが、例えば、送信周波数による周波数分割や符号による空間分割など任意の方法を用いて各無線基地局装置S1〜SMの無線信号を判別してもよい。
【0039】
幾何学的データベースC2(記憶部)は、無線基地局装置S1〜SMと無線通信可能なエリア内の所定の位置を表す複数の参照ポイントrごとに、参照ポイントrのXY座標値と到来角ψir(無線基地局装置S1〜SMから参照ポイントへの電波の到来方向)を記憶する。幾何学的データベースC2に記憶されているデータについては後述する。
端末位置推定部D2は、入力された推定到来角φ’と幾何学的データベースC2から読み出した到来角ψirとの差に基づいて無線端末装置B2の位置を推定する。端末位置推定部D2の詳細な処理については後述する。
幾何学的データベース作成部C3は、各無線基地局装置S1〜SMのXY座法値と参照ポイントrのXY座標値に基づいて幾何学的に到来角ψirを算出し、幾何学的データベースC2に格納する。なお、各無線基地局装置S1〜SMのXY座法値と参照ポイントrのXY座標値は、予め無線端末装置B2に設定されている。
【0040】
図9は、本実施形態による幾何学的データベースC2が記憶する参照テーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。図示するように、参照テーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、参照ポイントと、無線端末での到来角との各項目の列を有している。このテーブルの各行は参照ポイント毎に存在する。参照ポイントのデータ(項目)は、参照ポイントrのXY座標値(x,y)を保持する。無線端末での到来角は、各無線基地局装置Siから参照ポイントrへの電波の到来角ψirである。
【0041】
次に、端末位置推定部D2による端末位置推定処理について説明する。端末位置推定部D2は、まず、次の式(2)により各参照ポイントの評価値E’r(r=1,2,…,R)を算出する。そして、評価値E’rが最小となる参照ポイントrのXY座標値(x,y)を無線端末装置B2の位置とする。
【0042】
【数2】

【0043】
次に、上述した構成による無線端末装置B2の動作を説明する。まず、受信アンテナ#1〜#Lを介して無線部R2が各無線基地局装置S1〜SMからの無線信号を受信する。そして、到来方向推定部T2が、各無線基地局装置S1〜SMから受信した無線信号に基づいて、各無線基地局装置S1〜SMからの電波の到来方向の推定到来角φ’を算出する。次に、端末位置推定部D2が、到来方向推定部T2が算出した推定到来角φ’と参照テーブルから読み出した到来角ψirを参照して式(2)により各参照ポイントの評価値E’rを算出し、評価値E’rが最も小さい参照ポイントのXY座標値を無線端末装置B2の位置とする。
【0044】
このように、本実施形態によれば、角度差の二乗和が最も小さい参照ポイントを無線端末装置B2の位置としているため、無線端末装置B2のより近くに位置する無線基地局装置Aiの推定到来角φ’が優先される。これにより、雑音による影響が少ない推定到来角φ’を優先して無線端末装置B2の位置を推定できるため、無線端末装置B2の位置推定精度を向上させることができる。
【0045】
また、図3に示す端末位置推定装置又は図8に示す無線端末装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、端末位置推定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0046】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
#1,#2,…,#N,#L 受信アンテナ
A1,A2,…,AM,S1,S2,…,SM 無線基地局装置
B1,B2 無線端末装置
C,C2 幾何学的データベース
C1,C3 幾何学的データベース作成部
D1 端末位置推定装置
D11 推定到来角受信部
D2,D12 端末位置推定部
R1,R2 無線部
T1,T2 到来方向推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線基地局装置と無線端末装置との間で送受信される無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントと前記無線基地局装置の位置関係で定められる電波の方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記到来方向推定部が推定した電波の到来方向と、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントごとの電波の方向及び位置に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、
を備えることを特徴とする端末位置推定システム。
【請求項2】
複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
を具備する複数の無線基地局装置と、
位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記複数の無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、
を具備し、前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置される端末位置測定装置と、
を備えることを特徴とする端末位置推定システム。
【請求項3】
前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする請求項2に記載の端末位置推定システム。
【請求項4】
複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線基地局装置と無線端末装置との間で送受信される無線信号から電波の到来方向を推定するステップと、
位置を表す複数の参照ポイントごとに前記参照ポイントと前記無線基地局装置の位置関係で定められる電波の方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部から読み出した前記参照ポイントごとの電波の方向及び位置と、前記推定した電波の到来方向に基づいて前記無線端末装置の位置を推定するステップと、
を有することを特徴とする端末位置推定方法。
【請求項5】
無線基地局装置が、複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定するステップと、
前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置され、位置を表す複数の参照ポイントごとに前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部を備える端末位置測定装置が、複数の前記無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定するステップと、
を有することを特徴とする端末位置推定方法。
【請求項6】
前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする請求項5に記載の端末位置推定方法。
【請求項7】
複数の受信アンテナを有し、前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した無線端末装置からの無線信号から電波の到来方向を推定する複数の無線基地局装置から推定した前記電波の到来方向を受信する受信部と、
位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向と、前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記複数の無線基地局装置がそれぞれ推定した電波の到来方向と前記記憶部から読み出した前記参照ポイントからそれぞれの前記無線基地局装置への電波の到来方向との差に基づいて前記無線端末装置の位置を推定する端末位置推定部と、
を具備し、前記無線基地局装置内或いは前記無線基地局装置とは独立に設置されることを特徴とする端末位置測定装置。
【請求項8】
前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記参照ポイントから前記無線基地局装置への電波の到来方向と、当該無線基地局装置が推定した電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを前記無線端末装置の位置とすることを特徴とする請求項7に記載の端末位置測定装置。
【請求項9】
複数の受信アンテナを有する無線端末装置と、前記無線端末装置に無線信号を送信する複数の無線基地局装置とからなる端末位置推定システムであって、
前記無線端末装置は、
前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した前記複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記到来方向推定部が推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定する端末位置推定部と、
を備えることを特徴とする端末位置推定システム。
【請求項10】
前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、前記到来方向推定部が推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする請求項9に記載の端末位置推定システム。
【請求項11】
位置を表す複数の参照ポイントごとに複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部を備える無線端末装置が、複数の受信アンテナそれぞれが受信した複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定するステップと、
前記無線端末装置が、推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定するステップと、
を有することを特徴とする端末位置推定方法。
【請求項12】
前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする請求項11に記載の端末位置推定方法。
【請求項13】
複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナそれぞれが受信した複数の無線基地局装置からの無線信号から前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
位置を表す複数の参照ポイントごとに、前記複数の無線基地局装置それぞれから前記参照ポイントへの電波の到来方向と前記参照ポイントの位置を予め記憶する記憶部と、
前記到来方向推定部が推定した前記無線基地局装置それぞれからの電波の到来方向と前記記憶部から読み出したそれぞれの前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向との差に基づいて自装置の位置を推定する端末位置推定部と、
を備えることを特徴とする無線端末装置。
【請求項14】
前記端末位置推定部は、前記記憶部から読み出した前記無線基地局装置から前記参照ポイントへの電波の到来方向と、前記到来方向推定部が推定した当該無線基地局装置からの電波の到来方向との角度の差の二乗を全ての前記無線基地局装置について算出し、算出した前記角度の差の二乗の合計が最も小さい前記参照ポイントを自装置の位置とすることを特徴とする請求項13に記載の無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−190838(P2010−190838A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37896(P2009−37896)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】