説明

符号化装置、復号化装置、符号復号化システム、符号化方法、復号化方法、プログラム

【課題】符号化の際、画像データを削減する。
【解決手段】原画像情報を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成し、高周波数帯域側または低周波数帯域側(以下、「対象周波数帯域側」という。)の前記サブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報」という。)の振幅情報を求め、前記対象サブバンド原画像情報の振幅情報と、前記対象サブバンド原画像情報以外のサブバンド原画像情報(以下、「非対象サブバンド原画像情報」という。)を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原画像情報の符号化、復号化する際に用いる符号化装置、復号化装置、符号復号化システム、符号化方法、復号化方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像信号のデータ量は極めて多く、伝送や蓄積を効率的に行うため、これらを圧縮する技術が用いられている。例えば、サブバンド分解処理、エントロピー符号化処理などにより、データ量を削減していた。特許文献1では、人間の周波数特性や強度弁別解像度などを考慮して、更にデータ量を減らす手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−197611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像符号化、復号化分野においては、更なるデータ量削減の要望がある。本発明は更なるデータ量削減を達成するための符号化装置、復号化装置、符号復号化システム、符号化方法、復号化方法、プログラムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の符号化装置は、第1分割部と、振幅計算部と、出力部と、を有する。第1分割部は、原画像情報を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成する。振幅計算部は、高周波数帯域側または低周波数帯域側のサブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報」という。)の振幅情報を求める。出力部は、対象サブバンド原画像情報の振幅情報と、対象サブバンド原画像情報以外のサブバンド原画像情報(以下、「非対象サブバンド原画像情報」という。)を出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の符号化装置、復号化装置、符号復号化システム、符号化方法、復号化方法、プログラムによれば、データ量を削減して、符号、復号化をすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例の符号化装置、復号化装置の機能構成例を示した図。
【図2】本実施例の符号化処理、復号化処理の処理フローを示した図。
【図3】実験結果を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を説明する前に、本実施例の発明の概念について説明する。人間は、画像の各ピクセルの振幅が正しく表現されている限り、位相が曖昧であっても、映像の大まかな形を判断できるという視覚特性が知られている。この内容は、例えば、「Shams L&von der Malsburg C.The role of complex cells in object recognition.Vision Res.2002 42(22):2547−2554」に記載されている。以下の説明では、当該視覚特性を視覚特性Aとし、本実施例はこの視覚特性Aを利用した符号化、復号化手法である。
【実施例1】
【0009】
図1に本実施例1の符号化装置100、復号化装置400の機能構成例を示し、図2に処理フローを示す。符号化装置100および復号化装置400のそれぞれを図示しないネットワークで結んでもよく、それぞれを1つの筺体内に収め、符号復号化システム(装置)としてもよい。まず、符号化装置100について説明する。
【0010】
まず、第1入力部102に、原画像(符号化すべき画像)が、デジタル化された2次元のデジタル画像として入力される(ステップS2)。原画像の入力は、例えば、図示しないデジタルカメラや記憶装置から入力され、デジタル化された原画像を原画像情報A(x、y)と表し、画素数をN×Nとし、Nは2の整数乗の値であり、x=1、...、N、y=1、...、Nとする。
【0011】
次に、第1分割部104が、原画像情報A(x、y)をJ個(Jは2以上の整数)の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成する(ステップS4)。JはJ=logNにより求められる。ここで、サブバンド分割の手法は、公知の技術である線形フィルタリング処理やウェーブレット変換などを用いれば良い。一般的に、サブバンド分割は、空間周波数ごとの分割を行うが、この実施例では、空間周波数毎の分割に加えて、Q個(Qは2以上の整数であり、例えばQ=8)の方位についても分割を行う。具体的手法例を説明すると、A(x、y)に対して周波数次元変換処理(例えば、FFT)を用いて周波数次元に変換し、Q個の方位と、J個の空間周波数のいずれかのフィルタを乗じたものを逆FFTにより空間次元に変換することにより、Q×J個のサブバンド原画像情報に分解する。以後の説明では、サブバンド原画像情報をAqj(x、y)(q=1、...、Q j=1、...、J)とする。
【0012】
また、サブバンド分割の手法によっては、原画像情報に対して、FFTを施して得られた変換係数が実部と虚部に分かれることにより、原画像情報A(x、y)から実数部と虚数部とが生成される場合がある。この場合には、サブバンド原画像情報を実数情報ARqj(x、y)、虚数情報AIqj(x、y)としてもよい。
【0013】
次に、振幅計算部106は、高周波数帯域側または低周波数帯域側のサブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報」という。)の振幅情報を求める(ステップS6)。対象サブバンド原画像情報は、例えば予め定められた閾値K(Kは1以上の整数であり、単位はcycle/N)以上の周波数インデックスj(以下、「対象周波数インデックスj’」という。)についてのサブバンド原画像情報Aqj’(x、y)を決定する、換言すれば、全てのサブバンド原画像情報Aqj(x、y)のうち、予め定められた高対象周波数帯域側のサブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報Aqj’(x、y)という。」を決定する。Kは例えば、logN−3とすることが好ましいことが実験的に分かっている。また、以下では、対象サブバンド原画像情報の周波数帯域側(つまり、上記例では高周波数帯域側)を対象周波数帯域側という。
【0014】
また、閾値Kの設定の手法については、予め、複数の原画像情報について、符号、復号化処理(後述する)を行い、適切な閾値Kを設定すればよい。
【0015】
そして、振幅計算部106は、対象サブバンド原画像情報Aqj’(x、y)(j’=K、...、J)ごとの振幅Eqj’(x、y)を計算する。例えば以下の式(1)により、振幅Eqj’(x、y)を求めることができる。
qj’(x、y)=│Aqj’(x、y)│ (1)
ただし、│・│は絶対値演算を表す。
【0016】
また、第1分割部104により実数情報ARqj(x、y)、虚数情報AIqj(x、y)が求められた場合には、
qj’(x、y)=[{ARqj(x、y)}+{AIqj(x、y)}1/2 (2)
により求めることができる。また、全てのサブバンド原画像情報Aqj(x、y)のうち、対象サブバンド原画像情報Aqj’(x、y)以外のサブバンド原画像情報を非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)という。
【0017】
また、振幅計算部106は、対象周波数帯域側を周波数インデックスがK未満の周波数帯域側、つまり低周波数帯域側に設定して振幅を計算しても良い。しかし、振幅計算部106は、対象周波数帯域側を高周波数帯域側として振幅計算した方が、正確な画像復号化(後述する)をできるということが実験的に分かっている。以下の説明では、対象周波数帯域側を高周波数帯域側として説明を行う。
【0018】
そして、出力部108は、対象サブバンド原画像情報の振幅情報Eqj’(x、y)と、非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)を出力する(ステップS8)。ここで、Eqj’(x、y)については、実験的に(J−1)cycle/N以上の空間周波数のパワーが非常に小さいため、振幅情報Eqj’(x、y)を1/4にダウンサンプリングすることができ、その結果、画素数は1/4(N/2×N/2)にできる。従って、出力するデータ量を頗る削減できる。
【0019】
符号化装置100と、復号化装置400とが1つの筺体内に収容されている(つまり、符号復号化システムを構成している)場合には、出力部108よりの振幅情報Eqj’(x、y)および非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)は、記憶部110に格納される。一方、符号化装置100と復号化装置400とがネットワーク(図示せず)で結ばれている場合には、出力部108により、振幅情報Eqj’(x、y)および非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)は当該ネットワークに送出される。
【0020】
次に、復号化装置400について説明する。復号化装置400は、大きく分けて、擬似画像生成装置200と、画像復号化装置300とに大別される。まず、擬似画像生成装置200について説明する。擬似画像生成部202は、擬似画像のデジタルデータである擬似画像情報W(x、y)を生成する(ステップS12)。ここで、擬似画像情報とは、例えば、白色ノイズ画像情報である。白色ノイズ画像とは全ての周波数で同じ強度となる画像である。白色ノイズ画像の生成手法は様々あるが、例えば、−1から1までの乱数を発生させて白色画像ノイズ画像を生成する。ここで、擬似画像情報W(x、y)の画素数はN×Nとする。擬似画像情報として、白色ノイズ画像と同等の性質を持つ画像であれば、何でも良い。
【0021】
次に、第2分割部204は、擬似画像情報W(x、y)を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド擬似画像情報を生成する(ステップS14)。ここで、分割の手法は、上述した符号化装置100内の第1分割部104と同じ手法を用い、同じ数の画像にサブバンド分割を行う。つまり、J個の空間周波数ごと、かつ、Q個の方位ごとに分割することで、サブバンド分割を行う。当該サブバンド分割することで生成される画像をサブバンド擬似画像情報Wq、j(x、y)とする。また、上述のように、サブバンド分割の手法によっては、実数情報WRq、j(x、y)および虚数情報WIq、j(x、y)が生成される場合がある。
【0022】
次に、振幅平坦化部206が、サブバンド擬似画像情報Wq、j(x、y)を振幅平坦化して平坦化サブバンド擬似画像情報W’q、j(x、y)を生成することが好ましい(ステップS16)。振幅平坦化、つまり、空間的な振幅変調を取り除く処理を行う理由は、後述する乗算部304で、符号化装置100よりの振幅情報Eqj’(x、y)と、この擬似画像情報生成装置200よりのサブバンド擬似画像情報Wq、j(x、y)とを乗算するからである。また振幅平坦化処理については、「Kovacs I&Feher A.Non−Fourier information in bandpass noise patterns.Vision Res.1997 37(9):1167−1175」等に記載されている。振幅平坦化処理を簡単に説明すると、Wq、j(x、y)の各x、yについてその点を中心とする円形領域の内部で最大振幅値を求め、当該最大振幅値により、サブバンド擬似画像情報Wq、j(x、y)を正規化するというものである。
【0023】
また、実数情報WRq、j(x、y)および虚数情報WIq、j(x、y)が生成された場合には、振幅平坦化部206は、実数情報WRq、j(x、y)に対して振幅平坦化処理を行っても良い。振幅平坦化処理を所望しない場合は、振幅平坦化部206はなくてもよい。
【0024】
平坦化サブバンド擬似画像情報W’q、j(x、y)(または、擬似画像情報Wq、j(x、y))は一旦、記憶部208に記憶される。以下の説明では、平坦化サブバンド擬似画像情報W’q、j(x、y)が記憶されるとして、画像復号化装置300について説明する。
【0025】
第2入力部302には、符号化装置100よりの振幅情報Eqj’(x、y)と、非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)が入力される(ステップS22)。つまり、符号化装置100と画像復号化装置300とが1つの筺体内に収容される場合には、記憶部110よりEqj’(x、y)およびAqj’’(x、y)が入力され、符号化装置100と画像復号化装置300とがネットワークで結ばれている場合には、送出部112よりのEqj’(x、y)およびAqj’’(x、y)がネットワーク経由で入力される。そして、第2入力部302は、ダウンサンプリングされた振幅情報Eqj’(x、y)をアップサンプリングする。つまり、振幅情報Eqj’(x、y)の画素数をN×Nに戻す。
【0026】
そして、乗算部304は、記憶部208から平坦化サブバンド擬似画像情報W’q、j(x、y)を取り出す。乗算部304は、対象周波数インデックスj’についての平坦化サブバンド擬似画像情報W’qj’(x、y)に振幅情報Eqj’(x、y)を乗算することで合成画像情報Tqj’(x、y)を生成する(ステップS24)。つまり、以下の式(3)を演算することにより、合成画像情報Tqj’(x、y)を生成する。
qj’(x、y)=W’qj’(x、y)・Eqj’(x、y) (3)
【0027】
次に、再構成部306は、非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)および合成画像情報Tqj’(x、y)から復号化画像情報A’(x、y)を生成する(ステップS26)。再構成部306は、合成画像情報Tqj’(x、y)については全てのq(q=1、...、Q)および全てのj’’(j’’=1、...、K−1)について加算し、非対象サブバンド原画像情報Aqj’’(x、y)については、全てのq(q=1、...、Q)および全てのj’(j’=K、...、J)について、加算して復号画像情報A’(x、y)を生成する。つまり、再構成部306は、以下の式を演算して復号画像情報A’(x、y)を生成する。
【0028】
【数1】

【0029】
このように、本実施例においては、対象サブバンド原画像情報については、全ての画像情報を送らず、振幅情報のみを送ることができる。データ量については、振幅情報のみのサブバンド画像情報は、元のサブバンド画像情報と比較して画素数が1/4になることが実験的に分かっている。よって、本実施例により、出力すべき画像の(エントロピー符号化以前の)データ量を少なくできる。また、本実施例は、サブバンド分解された任意の画像に適用できるため、JPEGなど既存の画像符号化方式に容易に組み込むことが出来る。
【0030】
また、本実施例において符合復号された画像は、しばしば手書きの絵のような外観を呈する。この性質により、本実施例は、任意の自然画像の質感を手書きの絵のように変化させる技術として用いることができる。
【実施例2】
【0031】
上述のように、擬似画像情報が例えば白色ノイズ画像情報である場合は、乱数により生成されることから、強度が大きくなる場合があり、乗算部304が上記式(3)を演算すると、正確な合成画像情報が求められない場合がある。そこで、この実施例2では、合成画像情報Tqj’(x、y)を正規化することで、正確な合成画像情報Tqj’(x、y)を生成できる。この実施例2では、符号化装置100に第1空間総和生成部114が設けられ、復号化装置400に第2空間総和生成部210が設けられる。
【0032】
第1空間総和生成部114は、対象サブバンド原画像情報の空間総和M1qj(以下、「第1空間総和」という。)を求める。第1空間総和M1qjとは、対象周波数インデックスj’についての各サブバンド画像情報ごとの画像の強度を表す。第1空間総和M1qjは、以下の式(5)により求めることができる。
【0033】
【数2】

【0034】
また、第2空間総和生成部210は、対象周波数帯域側の平坦化サブバンド擬似画像情報W’qj’(x、y)(以下、「対象平坦化サブバンド擬似画像情報W’qj’(x、y)」という。)の第2空間総和M2qj’を求める。具体的には、以下の式(6)により求めることができる。
【0035】
【数3】

【0036】
振幅平坦化部206を設けず、振幅平坦化処理を行わない場合には、擬似画像情報Wqj’(x、y)(以下、「擬似画像情報Wqj’(x、y)」という。)の第2空間総和M2qj’を求める。この場合には、式(6)中のW’qj’(x、y)はWqj’(x、y)に代替される。そして、正規化部308は、合成画像情報Tqj’(x、y)に第1空間総和M1qj’と前記第2空間総和M2qj’との比であるM1qj’/M2qj’を乗算することで、正規化合成画像情報T’qj’(x、y)を求める。つまり、式(3)より、以下の式(7)により正規化合成画像情報T’qj’(x、y)を求める。
T’qj’(x、y)=W’qj’(x、y)・Eqj’(x、y)・M1qj’/M2qj’ (7)
そして、再構成部306は、式(4)中のTqj’(x、y)をT’qj’(x、y)に代替して、演算を行い、復号画像情報A’(x、y)を生成する。
【0037】
このように、第1空間総和M1qj’と第2空間総和M2qj’を用いた正規化を行うことで、生成される擬似画像情報の強度が強い場合であっても、正確な高品質な合成画像情報を求めることができる。
【0038】
また、実施例1または実施例2では、原画像情報A(x、y)をグレースケールの画像とした符号化装置、復号化装置を説明したが、原画像情報A(x、y)がカラー画像であった場合でも、この発明の符号化装置、復号化装置は適用できる。この場合には、上記の処理をR、G、Bについて繰り返せばよい。例えば、原画像情報A(x、y)、擬似画像情報W(x、y)について、色についての情報を示す変数zを加え、それぞれ原画像A(x、y、z)、W(x、y、z)とすればよい。このようにすることで、原画像がカラー画像の場合であっても、本発明を適用できる。
【0039】
また、実施例1または実施例2では、原画像情報A(x、y)を静止画であるとして、説明をしたが、原画像情報が動画であっても、実施できる。この場合には、動画を構成する静止画それぞれについて、上記処理を行えばよい。
【0040】
{実験結果}
図3a〜図3cに、本発明の実験結果を示す。図3aは、ある自然なテクスチャのグレースケール画像の原画像A(x、y)である。図3bは、K=16cycle/Nと設定し、対象周波数インデックスj’をこのKよりも大きなjとした場合の、上記実施例2の符号復号化処理を施した復号化画像情報A’(x、y)である。図3bからも明らかなように、実施例2で説明した符号復号化手法により、データ量を削減しつつ、原画像に近い画像を複合化できる。
【0041】
図3cは、K=64cycle/Nと設定し、対象周波数インデックスj’をKよりも大きなjとした場合の、上記実施例2の符号復号化処理を施した復号化画像情報A’(x、y)である。人間は視野の周辺で観察した場合、映像の位相を見分けるのが非常に困難であることが知られている。従って、図3cからも明らかなように、上記実施例2の方法により復号化された映像も、視野の周辺で観察すると原画と見分けがつきにくいことが分かる。
【0042】
<ハードウェア構成>
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0043】
また、上述の構成をコンピュータによって実現する場合、符号化装置100、復号化装置400が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0044】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよいが、具体的には、例えば、磁気記憶装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0045】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記憶したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0046】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記憶されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0047】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【0048】
また、本実施例で説明した符号化装置100、復号化装置400は、CPU(Central Processing Unit)、入力部、出力部、補助記憶装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びバスを有している(何れも図示せず)。
【0049】
CPUは、読み込まれた各種プログラムに従って様々な演算処理を実行する。補助記憶装置は、例えば、ハードディスク、MO(Magneto-Optical disc)、半導体メモリ等であり、RAMは、SRAM (Static Random Access Memory)、DRAM (Dynamic Random Access Memory)等である。また、バスは、CPU、入力部、出力部、補助記憶装置、RAM及びROMを通信可能に接続している。
【0050】
<ハードウェアとソフトウェアとの協働>
本実施例の単語追加装置は、上述のようなハードウェアに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがそれを実行することによって構築される。以下、このように構築される各装置の機能構成を説明する。
【0051】
符号化装置100の第1入力部102、復号化装置400の第2入力部302、出力部108は、所定のプログラムが読み込まれたCPUの制御のもと駆動するLANカード、モデム等の通信装置である。その他の構成部は、所定のプログラムがCPUに読み込まれ、実行されることによって構築される演算部である。記憶部は前記補助記憶装置として機能する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像情報を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成する第1分割部と、
高周波数帯域側または低周波数帯域側(以下、「対象周波数帯域側」という。)の前記サブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報」という。)の振幅情報を求める振幅計算部と、
前記対象サブバンド原画像情報の振幅情報と、前記対象サブバンド原画像情報以外のサブバンド原画像情報(以下、「非対象サブバンド原画像情報」という。)を出力する出力部と、を有する符号化装置。
【請求項2】
請求項1記載の符号化装置で符号化された原画像を復号化する復号化装置であって、
擬似画像情報を生成する画像生成部と、
前記擬似画像情報を前記複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド擬似画像情報を生成する第2分割部と、
前記符号化装置からの振幅情報と非対象サブバンド原画像情報が入力される入力部と、
前記サブバンド擬似画像情報に前記振幅情報を乗算することで合成画像を生成する乗算部と、
前記非対象サブバンド原画像情報および前記合成画像から復号画像情報を生成する再構成部と、を有する復号化装置。
【請求項3】
請求項2記載の復号化装置において、
更に、前記サブバンド擬似画像情報を振幅平坦化してサブバンド擬似画像情報として出力する振幅平坦化部を有することを特徴とする復号化装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の復号化装置であって、
前記符号化装置は、前記対象サブバンド原画像情報の空間総和(以下、「第1空間総和」という。)を求める第1空間総和生成部を有し、
前記対象周波数帯域側の前記サブバンド擬似画像情報の空間総和(以下、「第2空間総和」という。)を求める第2空間総和生成部と、
第1空間総和と前記第2空間総和との比を用いて、前記合成画像を正規化する正規化部と、を有することを特徴とする復号化装置。
【請求項5】
原画像情報を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成する第1分割部と、
高周波数帯域側または低周波数帯域側(以下、「対象周波数帯域側」という。)の前記サブバンド原画像情報(以下、対象サブバンド原画像情報)の振幅情報を求める振幅計算部と、
前記対象サブバンド原画像情報の振幅情報と、前記対象サブバンド原画像情報以外のサブバンド原画像情報(以下、「非対象サブバンド原画像情報」という。)を記憶する記憶部と、を有する符号化装置と、
擬似画像情報を生成する画像生成部と、
前記擬似画像情報を前記複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド擬似画像情報を生成する第2分割部と、
前記記憶部から、振幅情報と非対象サブバンド原画像情報が入力される入力部と、
前記サブバンド擬似画像情報に前記振幅情報を乗算することで合成画像を生成する乗算部と、
前記サブバンド原画像情報および前記合成画像から復号画像を生成する再構成部と、を有する復号化装置と、を具備する符号復号化システム。
【請求項6】
請求項5記載の符号復号化システムにおいて、
前記復号化装置は、前記サブバンド擬似画像情報を振幅平坦化してサブバンド擬似画像情報として出力する振幅平坦化部を有することを特徴とする符号復号化システム。
【請求項7】
請求項5または6記載の符号復号化システムであって、
前記符号化装置は、前記対象サブバンド原画像情報の空間総和(以下、「第1空間総和」という。)を求める第1空間総和生成部を有し、
前記複合化装置は、前記対象周波数帯域側の前記サブバンド擬似画像情報の空間総和(以下、「第2空間総和」という。)を求める第2空間総和生成部と、
第1空間総和と前記第2空間総和との比を用いて、前記合成画像を正規化する正規化部と、を有することを特徴とする符号復号化システム。
【請求項8】
原画像情報を複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド原画像情報を生成し、
高周波数帯域側または低周波数帯域側の前記サブバンド原画像情報(以下、「対象サブバンド原画像情報」という。)の振幅情報を求め、
前記対象サブバンド原画像情報の振幅情報と、前記対象サブバンド原画像情報以外のサブバンド原画像情報(以下、「非対象サブバンド原画像情報」という。)を出力する符号化方法。
【請求項9】
請求項8記載の符号化方法で符号化された原画像を復号化する復号化方法であって、
擬似画像情報を生成し、
前記擬似画像情報を前記複数の空間周波数ごとにサブバンド分割することで、サブバンド擬似画像情報を生成し、
前記符号化装置からの振幅情報と非対象サブバンド原画像情報が入力され、
前記サブバンド擬似画像情報に前記振幅情報を乗算することで合成画像を生成し、
前記非対象サブバンド原画像情報および前記合成画像から復号画像情報を生成する復号化方法。
【請求項10】
請求項1記載の符号化装置または請求項2〜4何れかの記載の復号化装置としてコンピュータを動作させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−178059(P2010−178059A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18361(P2009−18361)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】