筒型防振装置
【課題】軸方向のばね定数を高くし、かつ、軸方向全長の小型化を図りつつゴム弾性体の耐久性を確保することができる筒型防振装置を提供する。
【解決手段】内筒部材20は、径方向外側に突出する第一,第二内筒突部22,23を備える。第二内筒突部23は、第一内筒突部22より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う第一内筒突部22の周方向間にそれぞれ設けられる。外筒部材30は、外筒本体部41と、外筒本体部41の軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部42と、外筒本体部41の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部43,44とを備える。第一ゴム弾性体61が第一内筒突部22の軸方向一方の面と第一外筒突部42とを連結する。第二ゴム弾性体62が第二内筒突部23の軸方向他方の面と第二外筒突部43,44とを連結する。
【解決手段】内筒部材20は、径方向外側に突出する第一,第二内筒突部22,23を備える。第二内筒突部23は、第一内筒突部22より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う第一内筒突部22の周方向間にそれぞれ設けられる。外筒部材30は、外筒本体部41と、外筒本体部41の軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部42と、外筒本体部41の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部43,44とを備える。第一ゴム弾性体61が第一内筒突部22の軸方向一方の面と第一外筒突部42とを連結する。第二ゴム弾性体62が第二内筒突部23の軸方向他方の面と第二外筒突部43,44とを連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内筒部材と外筒部材とそれらを連結するゴム弾性体とを備える筒型防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブッシュタイプの防振装置(筒型防振装置)は、円筒形状の内筒部材と円筒形状の外筒部材とをゴム弾性体により連結する構造のものがある。この防振装置は、径方向のばね定数を高くすることはできるが、軸方向のばね定数は小さくなってしまう。
【0003】
ところで、こじり荷重を受け止める構造の筒型防振装置が、特開昭60-157631号公報(特許文献1)および実開平6-8835号公報(特許文献2)に記載されている。これらの文献には、内筒部材が径方向外側に突出する突部を備え、外筒部材が径方向内側に突出する突部を備え、内筒部材の突部と外筒部材の突部とをゴム弾性体により連結することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-157631号公報
【特許文献2】実開平6-8835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筒型防振装置において、軸方向のばね定数を高くしたいという要請がある。軸方向の高いばね定数を得るために、特許文献1,2の構造を適用することもできる。しかしながら、これらの文献に記載の筒型防振装置では、軸方向のばね定数が十分とはいえない。さらに、当該筒型防振装置においては、内筒部材の突部と外筒部材の突部とを連結するゴム弾性体の軸方向長さが短い。ここで、ゴム弾性体の圧縮方向長さが長いほど、ゴム弾性体の耐久性が高い。つまり、ゴム弾性体の耐久性が十分ではない。筒型防振装置の軸方向全長を長くすることでゴム弾性体の軸方向長さを長くすることはできるが、筒型防振装置の軸方向全長の小型化を図ることも必要である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、軸方向のばね定数を高くし、かつ、軸方向全長の小型化を図りつつゴム弾性体の耐久性を確保することができる筒型防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る筒型防振装置は、内筒部材と、前記内筒部材の径方向外側に配置された外筒部材と、前記内筒部材の外周側と前記外筒部材の内周側とを連結するゴム弾性体とを備える。そして、前記内筒部材は、円筒形状に形成された内筒本体部と、前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち軸方向の所定位置であって周方向にそれぞれ異なる位置に設けられる複数の第一内筒突部と、前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち前記第一内筒突部の軸方向位置より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う前記第一内筒突部の周方向間にそれぞれ設けられる複数の第二内筒突部とを備える。前記外筒部材は、外筒本体部と、前記外筒本体部の前記軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部と、前記外筒本体部の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部とを備える。前記ゴム弾性体は、それぞれの前記第一内筒突部の前記軸方向一方の面と前記第一外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、それぞれの前記第二内筒突部の前記軸方向他方の面と前記第二外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体とを備える。
【0008】
本発明によれば、内筒部材と外筒部材とが軸方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体または第二ゴム弾性体が圧縮される。そして、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体は、周方向にそれぞれ複数箇所設けられている。これにより、軸方向の両方向に対して、ばね定数を高くすることができる。特に、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体を周方向に交互に配置することで、第一ゴム弾性体が軸方向に圧縮変形する場合には、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体の間に介在する第二ゴム弾性体が引張変形する。また、その逆も同様である。これにより、内筒部材と外筒部材とが軸方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体が軸方向に安定して圧縮変形または引張変形する。
【0009】
さらに、複数の第一内筒突部と複数の第二内筒突部は、軸方向に互い違いに配置されている。詳細には、軸方向において、第一内筒突部に対して軸方向一方に、第二内筒突部が配置されている。そして、第一内筒突部の軸方向一方の面と第一外筒突部とが第一ゴム弾性体により連結されている。一方、軸方向において、第二内筒突部に対して軸方向他方に、第一内筒突部が配置されている。そして、第二内筒突部の軸方向他方の面と第二外筒突部とが第二ゴム弾性体により連結されている。
【0010】
このような軸方向位置の関係により、筒型防振装置の軸方向全長の割に、第一ゴム弾性体の軸方向長さおよび第二ゴム弾性体の軸方向長さを長くすることができる。つまり、筒型防振装置の軸方向長さを短くしつつ、ゴム弾性体の耐久性を向上することができる。
【0011】
また、前記第一外筒突部は、前記第一内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第二内筒突部と同位相に設けず、前記第二外筒突部は、前記第二内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第一内筒突部と同位相に設けないようにしてもよい。
【0012】
第一外筒突部を第一内筒突部と同位相に設けることにより、内筒部材が外筒部材に対して軸方向一方に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体を確実に圧縮変形させることができる。また、第二外筒突部を第二内筒突部と同位相に設けることにより、内筒部材が外筒部材に対して軸方向他方に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体を確実に圧縮変形させることができる。
【0013】
さらに、第一外筒突部は第二内筒突部と同位相に設けていない。そのため、第二内筒突部を、外筒部材の軸方向一方の端部付近に設けることができるようになる。また、第二外筒突部は第一内筒突部と同位相に設けていない。そのため、第一内筒突部を、外筒部材の軸方向他方の端部付近に設けることができるようになる。これらにより、外筒部材の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体の軸方向長さを確保できる。
【0014】
なお、第一内筒突部の軸方向他方には第二外筒突部が存在しないため、第一内筒突部が軸方向他方へ相対移動した場合に第一内筒突部自体を係止することはできない。しかし、内筒部材が外筒部材に対して軸方向他方へ相対移動した場合には、第二外筒突部が第二内筒突部に対するストッパとして機能する。また、第二内筒突部の軸方向一方には第一外筒突部が存在しないため、第二内筒突部が軸方向一方へ相対移動した場合に第二内筒突部自体を係止することはできない。しかし、内筒部材が外筒部材に対して軸方向一方へ相対移動した場合には、第一外筒突部が第一内筒突部に対するストッパとして機能する。従って、第一外筒突部を第二内筒突部と同位相に設けず、かつ、第二外筒突部を第一内筒突部と同位相に設けないとしても、ストッパとしての機能は低下しない。
【0015】
また、複数の前記第一内筒突部および複数の前記第二内筒突部におけるそれぞれの周方向中央位置は、軸方向から見た場合に周方向に等間隔に設けられるようにしてもよい。ここで、筒型防振装置を他部品に組み付けるためには、外筒部材を相手部材の穴に圧入することが一般的である。第一内筒突部および第二内筒突部を等間隔に設けることで、相手部材の穴への圧入により、内筒部材の軸心と外筒部材の軸心とが傾くことを抑制できる。
【0016】
また、前記第一ゴム弾性体および前記第二ゴム弾性体は、2個ずつ備え、前記ゴム弾性体は、前記第一ゴム弾性体と前記第二ゴム弾性体との周方向間に軸方向貫通すぐりを形成するようにしてもよい。
【0017】
2個の第一内筒突部と2個の第二内筒突部が周方向に等間隔に設け、かつ、軸方向貫通すぐりを設けることで、径方向のうち相互に直交する2方向のばね特性をそれぞれ異なる値に設定できる。例えば、1対の第一内筒突部が形成されている方向のばね特性には、第一ゴム弾性体が影響を与えるが、軸方向貫通すぐりによって第二ゴム弾性体は影響を与えない。一方、1対の第二内筒突部が形成されている方向のばね特性には、第二ゴム弾性体が影響を与えるが、軸方向貫通すぐりによって第一ゴム弾性体は影響を与えない。このように、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体をそれぞれ調整することで、径方向のうち相互に直交する2方向のばね特性を設定できる。
【0018】
また、前記第一内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向他方に位置し、前記第二内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向一方に位置するようにしてもよい。これにより、筒型防振装置の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体の軸方向長さを長くすることができる。従って、軸方向の小型化を図りつつ、ゴム弾性体の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における筒型防振装置の斜視図である。
【図2】図1の筒型防振装置を手前側の軸方向から見た正面図である。
【図3】図1の筒型防振装置を奥側の軸方向から見た背面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図2のV−V断面図である。
【図6】図2のVI−VI断面図である。
【図7】図1の筒型防振装置を構成する内筒部材の斜視図である。
【図8】図7の内筒部材を手前側の軸方向から見た正面図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】図1の筒型防振装置を構成する外筒部材の分割外筒部材の斜視図である。
【図12】図11に示す2個の分割外筒部材を突き合わせた状態において、図11の手前側の軸方向から見た正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の筒型防振装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1〜図6に筒型防振装置1の全体を示し、図7〜図10に筒型防振装置1を構成する内筒部材を示し、図11〜図14に筒型防振装置1を構成する外筒部材を示す。ここで、筒型防振装置1は、例えば、自動車のディファレンシャルを車両ボディに支持する部位に適用され、車両上下方向および車両左右方向の振動に対する防振効果を発揮すると共に、車両前後方向の振動に対する防振効果を発揮することができる装置である。なお、筒型防振装置1は、ディファレンシャルを支持する部位のみに限られず、少なくとも軸方向の高いばね剛性を要求される部位に適用できる。
【0021】
筒型防振装置1は、図1および図4に示すように、ブッシュタイプの防振装置であり、中央に軸方向の貫通穴が形成されており、外周面が円筒形状に形成されている。筒型防振装置1は、貫通穴に挿通されて固定される軸部を有する第一部材(図示せず)と、筒型防振装置1の外周面に圧入により固定される穴部を有する第二部材(図示せず)とを弾性連結する。つまり、筒型防振装置1は、第一部材と第二部材との間で振動の伝達を抑制する。
【0022】
この筒型防振装置1は、第一部材に固定される内筒部材20と、内筒部材20の径方向外側に配置されると共に第二部材に固定される外筒部材30と、内筒部材20と外筒部材30とを弾性連結するゴム弾性体60とを備える。ここで、本実施形態において、外筒部材30は、筒形状を軸方向に2分割した2個の外筒部材40,40(以下、「分割外筒部材」と称する)により構成されている。ただし、外筒部材30は、2個の分割外筒部材40,40を一体的に形成するようにしてもよい。
【0023】
以下に、内筒部材20および分割外筒部材40の単体の詳細構成について説明し、その後に、筒型防振装置1の全体構成について説明する。以下の説明では、図面における+X方向と−X方向とを区別して説明している。そこで、両者の区別を分かりやすくするために、(+X)方向、(−X)方向と記載する。
【0024】
(内筒部材の詳細構成)
内筒部材20単体の詳細構成について、図7〜図10を参照して説明する。内筒部材20は、X軸方向に貫通する中心穴が形成された筒形状に形成されており、中心穴に第一部材の軸部が挿通されて固定される。内筒部材20は、例えば熱可塑性樹脂により一体的に形成される。その他に、内筒部材20は、アルミニウムなどの比較的軽量な金属による鍛造加工により形成することもできる。この内筒部材20は、内筒本体部21と、2個の第一内筒突部22,22と、2個の第二内筒突部23,23とを備え、これらを一体形成される。
【0025】
内筒本体部21は、円筒形状に形成されている部分である。つまり、内筒本体部21の内周面は、軸方向に同じ内径を有する面に形成され、内筒本体部21の外周面は、軸方向に同じ外径を有する面に形成されている。また、内筒本体部21の内周面のうち、軸方向両端には、キー溝211,212が形成されている。そして、内筒本体部21のキー溝211,212には、固定される第一部材の軸部に対して周方向に回転規制するためのキー(図示せず)が挿入される。
【0026】
2個の第一内筒突部22,22は、内筒本体部21の外周面より径方向外側に突出している。本実施形態においては、2個の第一内筒突部22,22は、同一形状に形成している。ただし、2個の第一内筒突部22,22を異なる形状に形成してもよい。2個の第一内筒突部22,22は、図9に示すように、内筒本体部21の外周面のうちX軸方向の所定位置、具体的には、内筒本体部21の軸方向中央よりも(+X)方向の位置に設けられている。さらに、2個の第一内筒突部22,22は、周方向にそれぞれ異なる位置に設けられている。具体的には、図8に示すように、2個の第一内筒突部22,22は、X−Y平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第一内筒突部22,22の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0027】
また、第一内筒突部22は、図9に示す軸方向断面において、径方向外側の円筒外周面221、(+X)方向端面222、(−X)方向端面223を備える。第一内筒突部22の(+X)方向端面222は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。第一内筒突部22の(−X)方向端面223は、径方向外側に行くに従って、内筒本体部21の(−X)方向の端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第一内筒突部22の(−X)方向端面223の法線方向が、軸方向よりも径方向外側を向くように傾斜している。
【0028】
2個の第二内筒突部23,23は、内筒本体部21の外周面より径方向外側に突出している。本実施形態においては、2個の第二内筒突部23,23は、同一形状に形成している。ただし、2個の第二内筒突部23,23を異なる形状に形成してもよい。また、第二内筒突部23は、第一内筒突部22と同一形状に形成しているが、第一内筒突部22と異なる形状に形成するようにしてもよい。
【0029】
2個の第二内筒突部23,23は、図10に示すように、内筒本体部21の外周面のうち第一内筒突部22の軸方向位置より(−X)方向に設けられている。具体的には、2個の第二内筒突部23,23は、内筒本体部21の軸方向中央よりも(−X)方向の位置に設けられている。さらに、2個の第二内筒突部23,23は、周方向にそれぞれ異なる位置に設けられている。具体的には、図8に示すように、2個の第二内筒突部23,23は、X−Z平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第二内筒突部23,23の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0030】
さらに、図8に示すように、軸方向から見た場合に、周方向に隣り合う2個の第二内筒突部23,23は、2個の第一内筒突部22,22の周方向間にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、第二内筒突部23,23の周方向中央位置が、隣り合う第一内筒突部22,22の周方向中央位置の周方向中央に位置するようにしている。すなわち、軸方向から見た場合に、第一内筒突部22,22および第二内筒突部23,23におけるそれぞれの周方向中央位置が、周方向に90度毎に等間隔に位置している。
【0031】
また、第二内筒突部23は、図10に示す軸方向断面において、径方向外側の円筒外周面231、(+X)方向端面232、(−X)方向端面233を備える。第二内筒突部23の(+X)方向端面232は、径方向外側に行くに従って、内筒本体部21の(+X)方向の端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第二内筒突部23の(+X)方向端面232の法線方向が、軸方向よりも径方向外側を向くように傾斜している。第二内筒突部23の(−X)方向端面233は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。
【0032】
そして、図8に示すように、内筒部材20を軸方向から見た場合に、第一内筒突部22とその隣の第二内筒突部23との周方向間に軸方向溝24を有するように、第一内筒突部22および第二内筒突部23が形成されている。つまり、第一内筒突部22の周方向範囲と第二内筒突部23の周方向範囲とは、ずれており、重なりを持たない。
【0033】
(外筒部材および分割外筒部材の詳細構成)
外筒部材30およびそれを構成する分割外筒部材40の詳細構成について、図11〜図14を参照して説明する。ここで、図11には、1つの分割外筒部材40のみを示し、図12〜図14には、2つの分割外筒部材40を突き合わせた状態を示している。
【0034】
分割外筒部材40は、図11に示すように、概略としては、筒形状を軸方向に2分割された形状をなしている。分割外筒部材40は、例えばアルミニウムによる鍛造加工により形成される。分割外筒部材40は、その他に、鉄などの金属や熱可塑性樹脂などにより形成することもできる。この分割外筒部材40は、外筒本体部41と、1個の第一外筒突部42と、2個の第二外筒突部43,44とを備え、これらを一体形成される。
【0035】
外筒本体部41は、円筒形状を軸方向に2分割した形状の部分である。つまり、外筒本体部41の内周面は、軸方向に同じ内径を有する面に形成され、外筒本体部41の外周面は、軸方向に同じ外径を有する面に形成されている。つまり、2つの外筒本体部41を突き合わせることで円筒形状となる。そして、この円筒形状の内径は、内筒部材20の外接円直径よりも大きく形成されている。
【0036】
第一外筒突部42は、図11に示すように、外筒本体部41の内周面の軸方向一方(−X方向)の端部から径方向内側に突出している。この第一外筒突部42は、外筒本体部41の周方向中央に設けられている。つまり、図12に示すように、2個の分割外筒部材40,40を突き合わせた状態において、2個の第一外筒突部42,42は、X−Y平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第一外筒突部42,42の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0037】
また、第一外筒突部42は、図13に示す軸方向断面において、径方向内側の円筒内周面421、(+X)方向端面422、(−X)方向端面423を備える。第一外筒突部42の(+X)方向端面422は、径方向内側に行くに従って、外筒本体部41の(+X)方向端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第一外筒突部42の(+X)方向端面422の法線方向が、軸方向よりも径方向内側を向くように傾斜している。第一外筒突部42の(−X)方向端面423は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。
【0038】
2個の第二外筒突部43,44は、図11に示すように、外筒本体部41の内周面の軸方向他方(+X)方向の端部から径方向内側に突出している。2個の第二外筒突部43,44は、外筒本体部41の周方向両端に設けられている。ここで、第二外筒突部43,44は、第一外筒突部42の周方向に2等分した形状に相当する。つまり、図12に示すように、2個の分割外筒部材40,40を突き合わせた状態において、一方の分割外筒部材40の第二外筒突部43と他方の分割外筒部材40の第二外筒突部44が隣接して、1塊の第二外筒突部33を形成する。つまり、外筒部材30は、2塊の第二外筒突部33,33を備える。2塊の第二外筒突部33,33は、X−Z平面に対称となるように設けられている。すなわち、2塊の第二外筒突部33,33の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0039】
さらに、図12に示すように、軸方向から見た場合に、周方向に隣り合う2塊の第二外筒突部33,33は、2個の第一外筒突部42,42の周方向間にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、2塊の第二外筒突部33,33の周方向中央位置が、隣り合う第一外筒突部42,42の周方向中央位置の周方向中央に位置するようにしている。すなわち、軸方向から見た場合に、2個の第一外筒突部42,42および2塊の第二外筒突部33,33におけるそれぞれの周方向中央位置が、周方向に90度毎に等間隔に位置している。
【0040】
また、第二外筒突部43,44は、図14に示す軸方向断面において、径方向内側の円筒内周面431,441、(+X)方向端面432,442、(−X)方向端面433,443を備える。第二外筒突部43,44の(+X)方向端面432,442は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。第二外筒突部43,44の(−X)方向端面433,443は、径方向内側に行くに従って、外筒本体部41の(−X)方向端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第二外筒突部43,44の(−X)方向端面433,443の法線方向が、軸方向よりも径方向内側を向くように傾斜している。
【0041】
そして、図12に示すように、外筒部材30を軸方向から見た場合に、第一外筒突部42とその隣の1塊の第二外筒突部33との周方向間に軸方向溝34を有するように、第一外筒突部42および第二外筒突部33が形成されている。つまり、第一外筒突部42の周方向範囲と1塊の第二外筒突部33の周方向範囲とは、ずれており、重なりを持たない。
【0042】
(筒型防振装置の詳細構成)
次に、筒型防振装置1の詳細構成について、図1〜図6を参照して説明する。適宜、内筒部材20を示す図7〜図10および外筒部材30を示す図11〜図14を参照する。筒型防振装置1は、上述した内筒部材20の径方向外側に、2個の分割外筒部材40,40を配置する。このとき、2個の分割外筒部材40,40の突き合わせ面は、僅かに隙間を有する状態としている。ただし、筒型防振装置1を相手部材である第二部材の円形穴に圧入することにより、分割外筒部材40,40の突き合わせ面の隙間が狭くなるか、もしくは、当接する状態となる。
【0043】
そして、図2に示すように、筒型防振装置1を軸方向から見た場合に、第一外筒突部42は、第一内筒突部22と同位相に設けられ、第二内筒突部23と同位相に設けていない。また、1塊の第二外筒突部33は、第二内筒突部23と同位相に設けられ、第一内筒突部22と同位相に設けていない。そして、内筒部材20の軸方向溝24と外筒部材30の軸方向溝34とが同位相に設けられている。
【0044】
内筒部材20と外筒部材30とを連結するゴム弾性体60について説明する。ゴム弾性体60は、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とに加硫接着され、両者を弾性連結する。ゴム弾性体60は、2個の第一ゴム弾性体61,61と、2個の第二ゴム弾性体62,62とを備える。
【0045】
第一ゴム弾性体61は、図4に示すように、第一内筒突部22および第一外筒突部42の位相範囲にて、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とを連結する。ただし、第一ゴム弾性体61には、図4に示すように、内筒本体部21の外周面と第一外筒突部42の内周面421との径方向対向領域に、(−X)方向に開口し、(+X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり611が形成されている。また、第一内筒突部22の外周面221と外筒本体部41の内周面との径方向対向領域には、(+X)方向に開口し、(−X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり612が形成されている。
【0046】
つまり、第一ゴム弾性体61は、第一内筒突部22の傾斜面223および内筒本体部21の内周面のうち第一内筒突部22に近接する部位と、第一外筒突部42の傾斜面422および外筒本体部41のうち第一外筒突部42に近接する部位との間に、塊として形成されている。従って、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61は、傾斜面223,422により圧縮される。このように、(−X)方向の高いばね剛性を有する。さらに、内筒部材20が外筒部材30に対してZ方向に相対移動した場合には、第一ゴム弾性体61は、内筒本体部21の外周面と外筒本体部41の内周面とにより圧縮される。このように、Z方向の高いばね剛性を有する。
【0047】
そして、第一ゴム弾性体61のうち円弧状すぐり611,612が形成されている部位は、内筒部材20および外筒部材30が露出しないように形成されている。これらの部位は、内筒部材20と外筒部材30とが直接接触することを防止するための被覆材として機能する。
【0048】
第二ゴム弾性体62は、図6に示すように、第二内筒突部23および第二外筒突部33の位相範囲にて、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とを連結する。ただし、第二ゴム弾性体62には、図6に示すように、内筒本体部21の外周面と第二外筒突部33(43,44)の内周面431,441との径方向対向領域に、(+X)方向に開口し、(−X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり621が形成されている。また、第二内筒突部23の外周面231と外筒本体部41の内周面との径方向対向領域には、(−X)方向に開口し、(+X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり622が形成されている。
【0049】
つまり、第二ゴム弾性体62は、第二内筒突部23の傾斜面232および内筒本体部21の内周面のうち第二内筒突部23に近接する部位と、第二外筒突部33(43,44)の傾斜面433,443および外筒本体部41のうち第二外筒突部33に近接する部位との間に、塊として形成されている。従って、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体62は、傾斜面232と傾斜面433,443により圧縮される。このように、(+X)方向の高いばね剛性を有する。さらに、内筒部材20が外筒部材30に対してY方向に相対移動した場合には、第二ゴム弾性体62は、内筒本体部21の外周面と外筒本体部41の内周面とにより圧縮される。このように、Y方向の高いばね剛性を有する。
【0050】
そして、第二ゴム弾性体62のうち円弧状すぐり621,622が形成されている部位は、内筒部材20および外筒部材30が露出しないように形成されている。これらの部位は、内筒部材20と外筒部材30とが直接接触することを防止するための被覆材として機能する。
【0051】
また、第二ゴム弾性体62は、2個の分割外筒部材40との突き合わせ部分の隙間、すなわち外筒本体部41の周方向端面には形成されていない。さらに、円弧状すぐり612のうち当該隙間に対向する部分には、軸方向に延びる溝が形成されている。これは、相手部材である第二部材の円形穴に筒型防振装置1を圧入したときに、第二ゴム弾性体62がZ方向に圧縮変形による逃がし領域である。
【0052】
さらに、図3に示すように、筒型防振装置1を軸方向から見た場合に、ゴム弾性体60は、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体61と第二ゴム弾性体62と分断するように、軸方向貫通すぐり63が形成されている。そして、軸方向貫通すぐり63は、内筒部材20の軸方向溝24および外筒部材30の軸方向溝34に連設されている。つまり、図3に示すように、軸方向溝24,34および軸方向貫通すぐり63により、径方向に長軸を有する長円形状の貫通穴が形成されているようになる。
【0053】
以上説明した筒型防振装置1によれば、以下の効果を奏する。内筒部材20と外筒部材30とが軸方向(X方向)に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61または第二ゴム弾性体62が圧縮される。そして、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62は、周方向にそれぞれ複数箇所設けられている。これにより、軸方向の両方向に対して、ばね定数を高くすることができる。
【0054】
特に、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62を周方向に交互に配置することで、第一ゴム弾性体61が軸方向(X方向)に圧縮変形する場合には、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体61の間に介在する第二ゴム弾性体62が引張変形する。また、その逆も同様である。これにより、内筒部材20と外筒部材30とがX方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62がX方向に安定して圧縮変形または引張変形する。
【0055】
さらに、複数の第一内筒突部22と複数の第二内筒突部23は、X方向に互い違いに配置されている。詳細には、X方向において、第一内筒突部22に対して(−X)方向に、第二内筒突部23が配置されている。そして、第一内筒突部22の(−X)方向に位置する傾斜面223と第一外筒突部42の(+X)方向に位置する傾斜面422とが第一ゴム弾性体61により連結されている。一方、軸方向において、第二内筒突部23に対して(+X)方向に、第一内筒突部22が配置されている。そして、第二内筒突部23の(+X)方向に位置する傾斜面232と第二外筒突部33の(−X)方向に位置する傾斜面433,443とが第二ゴム弾性体62により連結されている。
【0056】
このような軸方向位置の関係により、筒型防振装置1の軸方向全長の割に、第一ゴム弾性体61の軸方向長さおよび第二ゴム弾性体62の軸方向長さを長くすることができる。つまり、筒型防振装置1の軸方向長さを短くしつつ、ゴム弾性体60の耐久性を向上することができる。
【0057】
また、第一外筒突部42を第一内筒突部22と同位相に設けることにより、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61を確実に圧縮変形させることができる。また、第二外筒突部33を第二内筒突部23と同位相に設けることにより、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体62を確実に圧縮変形させることができる。
【0058】
さらに、第一外筒突部42は第二内筒突部23と同位相に設けていない。そのため、第二内筒突部23を、外筒部材30の(−X)方向の端部付近に設けることができるようになる。また、第二外筒突部33は第一内筒突部22と同位相に設けていない。そのため、第一内筒突部22を、外筒部材30の(+X)方向の端部付近に設けることができるようになる。これらにより、外筒部材30の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62の軸方向長さを確保できる。
【0059】
ここで、第一内筒突部22の(+X)方向には第二外筒突部33が存在しないため、第一内筒突部22が(+X)方向へ相対移動した場合に第一内筒突部22自体を係止することはできない。しかし、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向へ相対移動した場合には、第二外筒突部33が第二内筒突部23に対するストッパとして機能する。また、第二内筒突部23の(−X)方向には第一外筒突部42が存在しないため、第二内筒突部23が(−X)方向へ相対移動した場合に第二内筒突部23自体を係止することはできない。しかし、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向へ相対移動した場合には、第一外筒突部42が第一内筒突部22に対するストッパとして機能する。従って、第一外筒突部42を第二内筒突部23と同位相に設けず、かつ、第二外筒突部33を第一内筒突部22と同位相に設けないとしても、ストッパとしての機能は低下しない。
【0060】
さらに、第一内筒突部22および第二内筒突部23を周方向に等間隔に設けることで、筒型防振装置1の外筒部材30を第二部材の円形穴に圧入するときに、内筒部材20の軸心と外筒部材30の軸心とが傾くことを抑制できる。さらに、2個の第一内筒突部22と2個の第二内筒突部23が周方向に等間隔に設け、かつ、軸方向貫通すぐり63を設けることで、Y方向とZ方向のばね特性をそれぞれ異なる値に設定できる。なお、Y方向のばね定数およびZ方向のばね定数の調整は、円弧状すぐり611,612の軸方向長さ、径方向幅などを調整することにより行う。
【0061】
例えば、第一内筒突部22が形成されているZ方向のばね特性には、第一ゴム弾性体61が影響を与えるが、軸方向貫通すぐり63によって第二ゴム弾性体62は影響を与えない。一方、第二内筒突部23が形成されているY方向のばね特性には、第二ゴム弾性体62が影響を与えるが、軸方向貫通すぐり63によって第一ゴム弾性体61は影響を与えない。このように、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62をそれぞれ調整することで、Y方向とZ方向のばね特性を設定できる。
【0062】
また、第一内筒突部22は、外筒部材30のX方向中央より(+X)方向に位置し、第二内筒突部23は、外筒部材30のX方向中央より(−X)方向に位置するようにしている。これにより、筒型防振装置1の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62の軸方向長さを長くすることができる。従って、筒型防振装置1の軸方向の小型化を図りつつ、ゴム弾性体60の耐久性を向上できる。
【0063】
<その他>
上記実施形態においては、(+X)方向のばね定数と(−X)方向のばね定数を同一にするために、第一内筒突部22および第二内筒突部23の軸方向位置を、内筒部材20の軸方向中央から等距離に設けた。これに限らず、(+X)方向と(−X)方向のばね定数を異なる値にする場合には、第一内筒突部22および第二内筒突部23の軸方向位置を適宜調整する。
【0064】
また、第一内筒突部22および第二内筒突部23は、2個ずつとしたが、3以上とすることもできる。この場合、第一外筒突部42および第二外筒突部33は、第一内筒突部22および第二内筒突部23の数に対応した数とする。ただし、Y方向のばね定数およびZ方向のばね定数の調整を行うためには、上述したように、2個ずつとした方が容易である。
【符号の説明】
【0065】
1:筒型防振装置、 20:内筒部材、 21:内筒本体部、 22:第一内筒突部、 23:第二内筒突部、 24:軸方向溝、 30:外筒部材、 33:第二外筒突部、 34:軸方向溝、 40:分割外筒部材、 41:外筒本体部、 42:第一外筒突部、 43,44:第二外筒突部、 60:ゴム弾性体、 61:第一ゴム弾性体、 62:第二ゴム弾性体
【技術分野】
【0001】
本発明は、内筒部材と外筒部材とそれらを連結するゴム弾性体とを備える筒型防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブッシュタイプの防振装置(筒型防振装置)は、円筒形状の内筒部材と円筒形状の外筒部材とをゴム弾性体により連結する構造のものがある。この防振装置は、径方向のばね定数を高くすることはできるが、軸方向のばね定数は小さくなってしまう。
【0003】
ところで、こじり荷重を受け止める構造の筒型防振装置が、特開昭60-157631号公報(特許文献1)および実開平6-8835号公報(特許文献2)に記載されている。これらの文献には、内筒部材が径方向外側に突出する突部を備え、外筒部材が径方向内側に突出する突部を備え、内筒部材の突部と外筒部材の突部とをゴム弾性体により連結することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-157631号公報
【特許文献2】実開平6-8835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筒型防振装置において、軸方向のばね定数を高くしたいという要請がある。軸方向の高いばね定数を得るために、特許文献1,2の構造を適用することもできる。しかしながら、これらの文献に記載の筒型防振装置では、軸方向のばね定数が十分とはいえない。さらに、当該筒型防振装置においては、内筒部材の突部と外筒部材の突部とを連結するゴム弾性体の軸方向長さが短い。ここで、ゴム弾性体の圧縮方向長さが長いほど、ゴム弾性体の耐久性が高い。つまり、ゴム弾性体の耐久性が十分ではない。筒型防振装置の軸方向全長を長くすることでゴム弾性体の軸方向長さを長くすることはできるが、筒型防振装置の軸方向全長の小型化を図ることも必要である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、軸方向のばね定数を高くし、かつ、軸方向全長の小型化を図りつつゴム弾性体の耐久性を確保することができる筒型防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る筒型防振装置は、内筒部材と、前記内筒部材の径方向外側に配置された外筒部材と、前記内筒部材の外周側と前記外筒部材の内周側とを連結するゴム弾性体とを備える。そして、前記内筒部材は、円筒形状に形成された内筒本体部と、前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち軸方向の所定位置であって周方向にそれぞれ異なる位置に設けられる複数の第一内筒突部と、前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち前記第一内筒突部の軸方向位置より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う前記第一内筒突部の周方向間にそれぞれ設けられる複数の第二内筒突部とを備える。前記外筒部材は、外筒本体部と、前記外筒本体部の前記軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部と、前記外筒本体部の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部とを備える。前記ゴム弾性体は、それぞれの前記第一内筒突部の前記軸方向一方の面と前記第一外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、それぞれの前記第二内筒突部の前記軸方向他方の面と前記第二外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体とを備える。
【0008】
本発明によれば、内筒部材と外筒部材とが軸方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体または第二ゴム弾性体が圧縮される。そして、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体は、周方向にそれぞれ複数箇所設けられている。これにより、軸方向の両方向に対して、ばね定数を高くすることができる。特に、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体を周方向に交互に配置することで、第一ゴム弾性体が軸方向に圧縮変形する場合には、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体の間に介在する第二ゴム弾性体が引張変形する。また、その逆も同様である。これにより、内筒部材と外筒部材とが軸方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体が軸方向に安定して圧縮変形または引張変形する。
【0009】
さらに、複数の第一内筒突部と複数の第二内筒突部は、軸方向に互い違いに配置されている。詳細には、軸方向において、第一内筒突部に対して軸方向一方に、第二内筒突部が配置されている。そして、第一内筒突部の軸方向一方の面と第一外筒突部とが第一ゴム弾性体により連結されている。一方、軸方向において、第二内筒突部に対して軸方向他方に、第一内筒突部が配置されている。そして、第二内筒突部の軸方向他方の面と第二外筒突部とが第二ゴム弾性体により連結されている。
【0010】
このような軸方向位置の関係により、筒型防振装置の軸方向全長の割に、第一ゴム弾性体の軸方向長さおよび第二ゴム弾性体の軸方向長さを長くすることができる。つまり、筒型防振装置の軸方向長さを短くしつつ、ゴム弾性体の耐久性を向上することができる。
【0011】
また、前記第一外筒突部は、前記第一内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第二内筒突部と同位相に設けず、前記第二外筒突部は、前記第二内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第一内筒突部と同位相に設けないようにしてもよい。
【0012】
第一外筒突部を第一内筒突部と同位相に設けることにより、内筒部材が外筒部材に対して軸方向一方に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体を確実に圧縮変形させることができる。また、第二外筒突部を第二内筒突部と同位相に設けることにより、内筒部材が外筒部材に対して軸方向他方に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体を確実に圧縮変形させることができる。
【0013】
さらに、第一外筒突部は第二内筒突部と同位相に設けていない。そのため、第二内筒突部を、外筒部材の軸方向一方の端部付近に設けることができるようになる。また、第二外筒突部は第一内筒突部と同位相に設けていない。そのため、第一内筒突部を、外筒部材の軸方向他方の端部付近に設けることができるようになる。これらにより、外筒部材の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体の軸方向長さを確保できる。
【0014】
なお、第一内筒突部の軸方向他方には第二外筒突部が存在しないため、第一内筒突部が軸方向他方へ相対移動した場合に第一内筒突部自体を係止することはできない。しかし、内筒部材が外筒部材に対して軸方向他方へ相対移動した場合には、第二外筒突部が第二内筒突部に対するストッパとして機能する。また、第二内筒突部の軸方向一方には第一外筒突部が存在しないため、第二内筒突部が軸方向一方へ相対移動した場合に第二内筒突部自体を係止することはできない。しかし、内筒部材が外筒部材に対して軸方向一方へ相対移動した場合には、第一外筒突部が第一内筒突部に対するストッパとして機能する。従って、第一外筒突部を第二内筒突部と同位相に設けず、かつ、第二外筒突部を第一内筒突部と同位相に設けないとしても、ストッパとしての機能は低下しない。
【0015】
また、複数の前記第一内筒突部および複数の前記第二内筒突部におけるそれぞれの周方向中央位置は、軸方向から見た場合に周方向に等間隔に設けられるようにしてもよい。ここで、筒型防振装置を他部品に組み付けるためには、外筒部材を相手部材の穴に圧入することが一般的である。第一内筒突部および第二内筒突部を等間隔に設けることで、相手部材の穴への圧入により、内筒部材の軸心と外筒部材の軸心とが傾くことを抑制できる。
【0016】
また、前記第一ゴム弾性体および前記第二ゴム弾性体は、2個ずつ備え、前記ゴム弾性体は、前記第一ゴム弾性体と前記第二ゴム弾性体との周方向間に軸方向貫通すぐりを形成するようにしてもよい。
【0017】
2個の第一内筒突部と2個の第二内筒突部が周方向に等間隔に設け、かつ、軸方向貫通すぐりを設けることで、径方向のうち相互に直交する2方向のばね特性をそれぞれ異なる値に設定できる。例えば、1対の第一内筒突部が形成されている方向のばね特性には、第一ゴム弾性体が影響を与えるが、軸方向貫通すぐりによって第二ゴム弾性体は影響を与えない。一方、1対の第二内筒突部が形成されている方向のばね特性には、第二ゴム弾性体が影響を与えるが、軸方向貫通すぐりによって第一ゴム弾性体は影響を与えない。このように、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体をそれぞれ調整することで、径方向のうち相互に直交する2方向のばね特性を設定できる。
【0018】
また、前記第一内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向他方に位置し、前記第二内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向一方に位置するようにしてもよい。これにより、筒型防振装置の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体および第二ゴム弾性体の軸方向長さを長くすることができる。従って、軸方向の小型化を図りつつ、ゴム弾性体の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における筒型防振装置の斜視図である。
【図2】図1の筒型防振装置を手前側の軸方向から見た正面図である。
【図3】図1の筒型防振装置を奥側の軸方向から見た背面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図2のV−V断面図である。
【図6】図2のVI−VI断面図である。
【図7】図1の筒型防振装置を構成する内筒部材の斜視図である。
【図8】図7の内筒部材を手前側の軸方向から見た正面図である。
【図9】図8のIX−IX断面図である。
【図10】図8のX−X断面図である。
【図11】図1の筒型防振装置を構成する外筒部材の分割外筒部材の斜視図である。
【図12】図11に示す2個の分割外筒部材を突き合わせた状態において、図11の手前側の軸方向から見た正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の筒型防振装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1〜図6に筒型防振装置1の全体を示し、図7〜図10に筒型防振装置1を構成する内筒部材を示し、図11〜図14に筒型防振装置1を構成する外筒部材を示す。ここで、筒型防振装置1は、例えば、自動車のディファレンシャルを車両ボディに支持する部位に適用され、車両上下方向および車両左右方向の振動に対する防振効果を発揮すると共に、車両前後方向の振動に対する防振効果を発揮することができる装置である。なお、筒型防振装置1は、ディファレンシャルを支持する部位のみに限られず、少なくとも軸方向の高いばね剛性を要求される部位に適用できる。
【0021】
筒型防振装置1は、図1および図4に示すように、ブッシュタイプの防振装置であり、中央に軸方向の貫通穴が形成されており、外周面が円筒形状に形成されている。筒型防振装置1は、貫通穴に挿通されて固定される軸部を有する第一部材(図示せず)と、筒型防振装置1の外周面に圧入により固定される穴部を有する第二部材(図示せず)とを弾性連結する。つまり、筒型防振装置1は、第一部材と第二部材との間で振動の伝達を抑制する。
【0022】
この筒型防振装置1は、第一部材に固定される内筒部材20と、内筒部材20の径方向外側に配置されると共に第二部材に固定される外筒部材30と、内筒部材20と外筒部材30とを弾性連結するゴム弾性体60とを備える。ここで、本実施形態において、外筒部材30は、筒形状を軸方向に2分割した2個の外筒部材40,40(以下、「分割外筒部材」と称する)により構成されている。ただし、外筒部材30は、2個の分割外筒部材40,40を一体的に形成するようにしてもよい。
【0023】
以下に、内筒部材20および分割外筒部材40の単体の詳細構成について説明し、その後に、筒型防振装置1の全体構成について説明する。以下の説明では、図面における+X方向と−X方向とを区別して説明している。そこで、両者の区別を分かりやすくするために、(+X)方向、(−X)方向と記載する。
【0024】
(内筒部材の詳細構成)
内筒部材20単体の詳細構成について、図7〜図10を参照して説明する。内筒部材20は、X軸方向に貫通する中心穴が形成された筒形状に形成されており、中心穴に第一部材の軸部が挿通されて固定される。内筒部材20は、例えば熱可塑性樹脂により一体的に形成される。その他に、内筒部材20は、アルミニウムなどの比較的軽量な金属による鍛造加工により形成することもできる。この内筒部材20は、内筒本体部21と、2個の第一内筒突部22,22と、2個の第二内筒突部23,23とを備え、これらを一体形成される。
【0025】
内筒本体部21は、円筒形状に形成されている部分である。つまり、内筒本体部21の内周面は、軸方向に同じ内径を有する面に形成され、内筒本体部21の外周面は、軸方向に同じ外径を有する面に形成されている。また、内筒本体部21の内周面のうち、軸方向両端には、キー溝211,212が形成されている。そして、内筒本体部21のキー溝211,212には、固定される第一部材の軸部に対して周方向に回転規制するためのキー(図示せず)が挿入される。
【0026】
2個の第一内筒突部22,22は、内筒本体部21の外周面より径方向外側に突出している。本実施形態においては、2個の第一内筒突部22,22は、同一形状に形成している。ただし、2個の第一内筒突部22,22を異なる形状に形成してもよい。2個の第一内筒突部22,22は、図9に示すように、内筒本体部21の外周面のうちX軸方向の所定位置、具体的には、内筒本体部21の軸方向中央よりも(+X)方向の位置に設けられている。さらに、2個の第一内筒突部22,22は、周方向にそれぞれ異なる位置に設けられている。具体的には、図8に示すように、2個の第一内筒突部22,22は、X−Y平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第一内筒突部22,22の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0027】
また、第一内筒突部22は、図9に示す軸方向断面において、径方向外側の円筒外周面221、(+X)方向端面222、(−X)方向端面223を備える。第一内筒突部22の(+X)方向端面222は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。第一内筒突部22の(−X)方向端面223は、径方向外側に行くに従って、内筒本体部21の(−X)方向の端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第一内筒突部22の(−X)方向端面223の法線方向が、軸方向よりも径方向外側を向くように傾斜している。
【0028】
2個の第二内筒突部23,23は、内筒本体部21の外周面より径方向外側に突出している。本実施形態においては、2個の第二内筒突部23,23は、同一形状に形成している。ただし、2個の第二内筒突部23,23を異なる形状に形成してもよい。また、第二内筒突部23は、第一内筒突部22と同一形状に形成しているが、第一内筒突部22と異なる形状に形成するようにしてもよい。
【0029】
2個の第二内筒突部23,23は、図10に示すように、内筒本体部21の外周面のうち第一内筒突部22の軸方向位置より(−X)方向に設けられている。具体的には、2個の第二内筒突部23,23は、内筒本体部21の軸方向中央よりも(−X)方向の位置に設けられている。さらに、2個の第二内筒突部23,23は、周方向にそれぞれ異なる位置に設けられている。具体的には、図8に示すように、2個の第二内筒突部23,23は、X−Z平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第二内筒突部23,23の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0030】
さらに、図8に示すように、軸方向から見た場合に、周方向に隣り合う2個の第二内筒突部23,23は、2個の第一内筒突部22,22の周方向間にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、第二内筒突部23,23の周方向中央位置が、隣り合う第一内筒突部22,22の周方向中央位置の周方向中央に位置するようにしている。すなわち、軸方向から見た場合に、第一内筒突部22,22および第二内筒突部23,23におけるそれぞれの周方向中央位置が、周方向に90度毎に等間隔に位置している。
【0031】
また、第二内筒突部23は、図10に示す軸方向断面において、径方向外側の円筒外周面231、(+X)方向端面232、(−X)方向端面233を備える。第二内筒突部23の(+X)方向端面232は、径方向外側に行くに従って、内筒本体部21の(+X)方向の端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第二内筒突部23の(+X)方向端面232の法線方向が、軸方向よりも径方向外側を向くように傾斜している。第二内筒突部23の(−X)方向端面233は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。
【0032】
そして、図8に示すように、内筒部材20を軸方向から見た場合に、第一内筒突部22とその隣の第二内筒突部23との周方向間に軸方向溝24を有するように、第一内筒突部22および第二内筒突部23が形成されている。つまり、第一内筒突部22の周方向範囲と第二内筒突部23の周方向範囲とは、ずれており、重なりを持たない。
【0033】
(外筒部材および分割外筒部材の詳細構成)
外筒部材30およびそれを構成する分割外筒部材40の詳細構成について、図11〜図14を参照して説明する。ここで、図11には、1つの分割外筒部材40のみを示し、図12〜図14には、2つの分割外筒部材40を突き合わせた状態を示している。
【0034】
分割外筒部材40は、図11に示すように、概略としては、筒形状を軸方向に2分割された形状をなしている。分割外筒部材40は、例えばアルミニウムによる鍛造加工により形成される。分割外筒部材40は、その他に、鉄などの金属や熱可塑性樹脂などにより形成することもできる。この分割外筒部材40は、外筒本体部41と、1個の第一外筒突部42と、2個の第二外筒突部43,44とを備え、これらを一体形成される。
【0035】
外筒本体部41は、円筒形状を軸方向に2分割した形状の部分である。つまり、外筒本体部41の内周面は、軸方向に同じ内径を有する面に形成され、外筒本体部41の外周面は、軸方向に同じ外径を有する面に形成されている。つまり、2つの外筒本体部41を突き合わせることで円筒形状となる。そして、この円筒形状の内径は、内筒部材20の外接円直径よりも大きく形成されている。
【0036】
第一外筒突部42は、図11に示すように、外筒本体部41の内周面の軸方向一方(−X方向)の端部から径方向内側に突出している。この第一外筒突部42は、外筒本体部41の周方向中央に設けられている。つまり、図12に示すように、2個の分割外筒部材40,40を突き合わせた状態において、2個の第一外筒突部42,42は、X−Y平面に対称となるように設けられている。すなわち、2個の第一外筒突部42,42の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0037】
また、第一外筒突部42は、図13に示す軸方向断面において、径方向内側の円筒内周面421、(+X)方向端面422、(−X)方向端面423を備える。第一外筒突部42の(+X)方向端面422は、径方向内側に行くに従って、外筒本体部41の(+X)方向端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第一外筒突部42の(+X)方向端面422の法線方向が、軸方向よりも径方向内側を向くように傾斜している。第一外筒突部42の(−X)方向端面423は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。
【0038】
2個の第二外筒突部43,44は、図11に示すように、外筒本体部41の内周面の軸方向他方(+X)方向の端部から径方向内側に突出している。2個の第二外筒突部43,44は、外筒本体部41の周方向両端に設けられている。ここで、第二外筒突部43,44は、第一外筒突部42の周方向に2等分した形状に相当する。つまり、図12に示すように、2個の分割外筒部材40,40を突き合わせた状態において、一方の分割外筒部材40の第二外筒突部43と他方の分割外筒部材40の第二外筒突部44が隣接して、1塊の第二外筒突部33を形成する。つまり、外筒部材30は、2塊の第二外筒突部33,33を備える。2塊の第二外筒突部33,33は、X−Z平面に対称となるように設けられている。すなわち、2塊の第二外筒突部33,33の周方向中央位置が180度異なる位置となるように設けられている。
【0039】
さらに、図12に示すように、軸方向から見た場合に、周方向に隣り合う2塊の第二外筒突部33,33は、2個の第一外筒突部42,42の周方向間にそれぞれ設けられている。本実施形態においては、2塊の第二外筒突部33,33の周方向中央位置が、隣り合う第一外筒突部42,42の周方向中央位置の周方向中央に位置するようにしている。すなわち、軸方向から見た場合に、2個の第一外筒突部42,42および2塊の第二外筒突部33,33におけるそれぞれの周方向中央位置が、周方向に90度毎に等間隔に位置している。
【0040】
また、第二外筒突部43,44は、図14に示す軸方向断面において、径方向内側の円筒内周面431,441、(+X)方向端面432,442、(−X)方向端面433,443を備える。第二外筒突部43,44の(+X)方向端面432,442は、軸方向に直交する平面形状に形成されている。第二外筒突部43,44の(−X)方向端面433,443は、径方向内側に行くに従って、外筒本体部41の(−X)方向端面から遠ざかるような傾斜面に形成されている。つまり、第二外筒突部43,44の(−X)方向端面433,443の法線方向が、軸方向よりも径方向内側を向くように傾斜している。
【0041】
そして、図12に示すように、外筒部材30を軸方向から見た場合に、第一外筒突部42とその隣の1塊の第二外筒突部33との周方向間に軸方向溝34を有するように、第一外筒突部42および第二外筒突部33が形成されている。つまり、第一外筒突部42の周方向範囲と1塊の第二外筒突部33の周方向範囲とは、ずれており、重なりを持たない。
【0042】
(筒型防振装置の詳細構成)
次に、筒型防振装置1の詳細構成について、図1〜図6を参照して説明する。適宜、内筒部材20を示す図7〜図10および外筒部材30を示す図11〜図14を参照する。筒型防振装置1は、上述した内筒部材20の径方向外側に、2個の分割外筒部材40,40を配置する。このとき、2個の分割外筒部材40,40の突き合わせ面は、僅かに隙間を有する状態としている。ただし、筒型防振装置1を相手部材である第二部材の円形穴に圧入することにより、分割外筒部材40,40の突き合わせ面の隙間が狭くなるか、もしくは、当接する状態となる。
【0043】
そして、図2に示すように、筒型防振装置1を軸方向から見た場合に、第一外筒突部42は、第一内筒突部22と同位相に設けられ、第二内筒突部23と同位相に設けていない。また、1塊の第二外筒突部33は、第二内筒突部23と同位相に設けられ、第一内筒突部22と同位相に設けていない。そして、内筒部材20の軸方向溝24と外筒部材30の軸方向溝34とが同位相に設けられている。
【0044】
内筒部材20と外筒部材30とを連結するゴム弾性体60について説明する。ゴム弾性体60は、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とに加硫接着され、両者を弾性連結する。ゴム弾性体60は、2個の第一ゴム弾性体61,61と、2個の第二ゴム弾性体62,62とを備える。
【0045】
第一ゴム弾性体61は、図4に示すように、第一内筒突部22および第一外筒突部42の位相範囲にて、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とを連結する。ただし、第一ゴム弾性体61には、図4に示すように、内筒本体部21の外周面と第一外筒突部42の内周面421との径方向対向領域に、(−X)方向に開口し、(+X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり611が形成されている。また、第一内筒突部22の外周面221と外筒本体部41の内周面との径方向対向領域には、(+X)方向に開口し、(−X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり612が形成されている。
【0046】
つまり、第一ゴム弾性体61は、第一内筒突部22の傾斜面223および内筒本体部21の内周面のうち第一内筒突部22に近接する部位と、第一外筒突部42の傾斜面422および外筒本体部41のうち第一外筒突部42に近接する部位との間に、塊として形成されている。従って、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61は、傾斜面223,422により圧縮される。このように、(−X)方向の高いばね剛性を有する。さらに、内筒部材20が外筒部材30に対してZ方向に相対移動した場合には、第一ゴム弾性体61は、内筒本体部21の外周面と外筒本体部41の内周面とにより圧縮される。このように、Z方向の高いばね剛性を有する。
【0047】
そして、第一ゴム弾性体61のうち円弧状すぐり611,612が形成されている部位は、内筒部材20および外筒部材30が露出しないように形成されている。これらの部位は、内筒部材20と外筒部材30とが直接接触することを防止するための被覆材として機能する。
【0048】
第二ゴム弾性体62は、図6に示すように、第二内筒突部23および第二外筒突部33の位相範囲にて、内筒部材20の外周面と外筒部材30の内周面とを連結する。ただし、第二ゴム弾性体62には、図6に示すように、内筒本体部21の外周面と第二外筒突部33(43,44)の内周面431,441との径方向対向領域に、(+X)方向に開口し、(−X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり621が形成されている。また、第二内筒突部23の外周面231と外筒本体部41の内周面との径方向対向領域には、(−X)方向に開口し、(+X)方向に閉塞する周方向溝からなる円弧状すぐり622が形成されている。
【0049】
つまり、第二ゴム弾性体62は、第二内筒突部23の傾斜面232および内筒本体部21の内周面のうち第二内筒突部23に近接する部位と、第二外筒突部33(43,44)の傾斜面433,443および外筒本体部41のうち第二外筒突部33に近接する部位との間に、塊として形成されている。従って、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体62は、傾斜面232と傾斜面433,443により圧縮される。このように、(+X)方向の高いばね剛性を有する。さらに、内筒部材20が外筒部材30に対してY方向に相対移動した場合には、第二ゴム弾性体62は、内筒本体部21の外周面と外筒本体部41の内周面とにより圧縮される。このように、Y方向の高いばね剛性を有する。
【0050】
そして、第二ゴム弾性体62のうち円弧状すぐり621,622が形成されている部位は、内筒部材20および外筒部材30が露出しないように形成されている。これらの部位は、内筒部材20と外筒部材30とが直接接触することを防止するための被覆材として機能する。
【0051】
また、第二ゴム弾性体62は、2個の分割外筒部材40との突き合わせ部分の隙間、すなわち外筒本体部41の周方向端面には形成されていない。さらに、円弧状すぐり612のうち当該隙間に対向する部分には、軸方向に延びる溝が形成されている。これは、相手部材である第二部材の円形穴に筒型防振装置1を圧入したときに、第二ゴム弾性体62がZ方向に圧縮変形による逃がし領域である。
【0052】
さらに、図3に示すように、筒型防振装置1を軸方向から見た場合に、ゴム弾性体60は、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体61と第二ゴム弾性体62と分断するように、軸方向貫通すぐり63が形成されている。そして、軸方向貫通すぐり63は、内筒部材20の軸方向溝24および外筒部材30の軸方向溝34に連設されている。つまり、図3に示すように、軸方向溝24,34および軸方向貫通すぐり63により、径方向に長軸を有する長円形状の貫通穴が形成されているようになる。
【0053】
以上説明した筒型防振装置1によれば、以下の効果を奏する。内筒部材20と外筒部材30とが軸方向(X方向)に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61または第二ゴム弾性体62が圧縮される。そして、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62は、周方向にそれぞれ複数箇所設けられている。これにより、軸方向の両方向に対して、ばね定数を高くすることができる。
【0054】
特に、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62を周方向に交互に配置することで、第一ゴム弾性体61が軸方向(X方向)に圧縮変形する場合には、周方向に隣り合う第一ゴム弾性体61の間に介在する第二ゴム弾性体62が引張変形する。また、その逆も同様である。これにより、内筒部材20と外筒部材30とがX方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62がX方向に安定して圧縮変形または引張変形する。
【0055】
さらに、複数の第一内筒突部22と複数の第二内筒突部23は、X方向に互い違いに配置されている。詳細には、X方向において、第一内筒突部22に対して(−X)方向に、第二内筒突部23が配置されている。そして、第一内筒突部22の(−X)方向に位置する傾斜面223と第一外筒突部42の(+X)方向に位置する傾斜面422とが第一ゴム弾性体61により連結されている。一方、軸方向において、第二内筒突部23に対して(+X)方向に、第一内筒突部22が配置されている。そして、第二内筒突部23の(+X)方向に位置する傾斜面232と第二外筒突部33の(−X)方向に位置する傾斜面433,443とが第二ゴム弾性体62により連結されている。
【0056】
このような軸方向位置の関係により、筒型防振装置1の軸方向全長の割に、第一ゴム弾性体61の軸方向長さおよび第二ゴム弾性体62の軸方向長さを長くすることができる。つまり、筒型防振装置1の軸方向長さを短くしつつ、ゴム弾性体60の耐久性を向上することができる。
【0057】
また、第一外筒突部42を第一内筒突部22と同位相に設けることにより、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向に相対移動した場合に、第一ゴム弾性体61を確実に圧縮変形させることができる。また、第二外筒突部33を第二内筒突部23と同位相に設けることにより、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向に相対移動した場合に、第二ゴム弾性体62を確実に圧縮変形させることができる。
【0058】
さらに、第一外筒突部42は第二内筒突部23と同位相に設けていない。そのため、第二内筒突部23を、外筒部材30の(−X)方向の端部付近に設けることができるようになる。また、第二外筒突部33は第一内筒突部22と同位相に設けていない。そのため、第一内筒突部22を、外筒部材30の(+X)方向の端部付近に設けることができるようになる。これらにより、外筒部材30の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62の軸方向長さを確保できる。
【0059】
ここで、第一内筒突部22の(+X)方向には第二外筒突部33が存在しないため、第一内筒突部22が(+X)方向へ相対移動した場合に第一内筒突部22自体を係止することはできない。しかし、内筒部材20が外筒部材30に対して(+X)方向へ相対移動した場合には、第二外筒突部33が第二内筒突部23に対するストッパとして機能する。また、第二内筒突部23の(−X)方向には第一外筒突部42が存在しないため、第二内筒突部23が(−X)方向へ相対移動した場合に第二内筒突部23自体を係止することはできない。しかし、内筒部材20が外筒部材30に対して(−X)方向へ相対移動した場合には、第一外筒突部42が第一内筒突部22に対するストッパとして機能する。従って、第一外筒突部42を第二内筒突部23と同位相に設けず、かつ、第二外筒突部33を第一内筒突部22と同位相に設けないとしても、ストッパとしての機能は低下しない。
【0060】
さらに、第一内筒突部22および第二内筒突部23を周方向に等間隔に設けることで、筒型防振装置1の外筒部材30を第二部材の円形穴に圧入するときに、内筒部材20の軸心と外筒部材30の軸心とが傾くことを抑制できる。さらに、2個の第一内筒突部22と2個の第二内筒突部23が周方向に等間隔に設け、かつ、軸方向貫通すぐり63を設けることで、Y方向とZ方向のばね特性をそれぞれ異なる値に設定できる。なお、Y方向のばね定数およびZ方向のばね定数の調整は、円弧状すぐり611,612の軸方向長さ、径方向幅などを調整することにより行う。
【0061】
例えば、第一内筒突部22が形成されているZ方向のばね特性には、第一ゴム弾性体61が影響を与えるが、軸方向貫通すぐり63によって第二ゴム弾性体62は影響を与えない。一方、第二内筒突部23が形成されているY方向のばね特性には、第二ゴム弾性体62が影響を与えるが、軸方向貫通すぐり63によって第一ゴム弾性体61は影響を与えない。このように、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62をそれぞれ調整することで、Y方向とZ方向のばね特性を設定できる。
【0062】
また、第一内筒突部22は、外筒部材30のX方向中央より(+X)方向に位置し、第二内筒突部23は、外筒部材30のX方向中央より(−X)方向に位置するようにしている。これにより、筒型防振装置1の軸方向全長の小型化を図りつつ、第一ゴム弾性体61および第二ゴム弾性体62の軸方向長さを長くすることができる。従って、筒型防振装置1の軸方向の小型化を図りつつ、ゴム弾性体60の耐久性を向上できる。
【0063】
<その他>
上記実施形態においては、(+X)方向のばね定数と(−X)方向のばね定数を同一にするために、第一内筒突部22および第二内筒突部23の軸方向位置を、内筒部材20の軸方向中央から等距離に設けた。これに限らず、(+X)方向と(−X)方向のばね定数を異なる値にする場合には、第一内筒突部22および第二内筒突部23の軸方向位置を適宜調整する。
【0064】
また、第一内筒突部22および第二内筒突部23は、2個ずつとしたが、3以上とすることもできる。この場合、第一外筒突部42および第二外筒突部33は、第一内筒突部22および第二内筒突部23の数に対応した数とする。ただし、Y方向のばね定数およびZ方向のばね定数の調整を行うためには、上述したように、2個ずつとした方が容易である。
【符号の説明】
【0065】
1:筒型防振装置、 20:内筒部材、 21:内筒本体部、 22:第一内筒突部、 23:第二内筒突部、 24:軸方向溝、 30:外筒部材、 33:第二外筒突部、 34:軸方向溝、 40:分割外筒部材、 41:外筒本体部、 42:第一外筒突部、 43,44:第二外筒突部、 60:ゴム弾性体、 61:第一ゴム弾性体、 62:第二ゴム弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒部材と、前記内筒部材の径方向外側に配置された外筒部材と、前記内筒部材の外周側と前記外筒部材の内周側とを連結するゴム弾性体とを備える筒型防振装置であって、
前記内筒部材は、
円筒形状に形成された内筒本体部と、
前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち軸方向の所定位置であって周方向にそれぞれ異なる位置に設けられる複数の第一内筒突部と、
前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち前記第一内筒突部の軸方向位置より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う前記第一内筒突部の周方向間にそれぞれ設けられる複数の第二内筒突部と、
を備え、
前記外筒部材は、
外筒本体部と、
前記外筒本体部の前記軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部と、
前記外筒本体部の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部と、
を備え、
前記ゴム弾性体は、
それぞれの前記第一内筒突部の前記軸方向一方の面と前記第一外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、
それぞれの前記第二内筒突部の前記軸方向他方の面と前記第二外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、
を備える筒型防振装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一外筒突部は、前記第一内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第二内筒突部と同位相に設けず、
前記第二外筒突部は、前記第二内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第一内筒突部と同位相に設けない筒型防振装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
複数の前記第一内筒突部および複数の前記第二内筒突部におけるそれぞれの周方向中央位置は、軸方向から見た場合に周方向に等間隔に設けられている筒型防振装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第一ゴム弾性体および前記第二ゴム弾性体は、2個ずつ備え、
前記ゴム弾性体は、前記第一ゴム弾性体と前記第二ゴム弾性体との周方向間に軸方向貫通すぐりを形成する筒型防振装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記第一内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向他方に位置し、
前記第二内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向一方に位置する筒型防振装置。
【請求項1】
内筒部材と、前記内筒部材の径方向外側に配置された外筒部材と、前記内筒部材の外周側と前記外筒部材の内周側とを連結するゴム弾性体とを備える筒型防振装置であって、
前記内筒部材は、
円筒形状に形成された内筒本体部と、
前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち軸方向の所定位置であって周方向にそれぞれ異なる位置に設けられる複数の第一内筒突部と、
前記内筒本体部の外周面より径方向外側に突出し、前記内筒本体部の外周面のうち前記第一内筒突部の軸方向位置より軸方向一方側に設けられ、軸方向から見た場合に周方向に隣り合う前記第一内筒突部の周方向間にそれぞれ設けられる複数の第二内筒突部と、
を備え、
前記外筒部材は、
外筒本体部と、
前記外筒本体部の前記軸方向一方の端部から径方向内側に突出した第一外筒突部と、
前記外筒本体部の軸方向他方の端部から径方向内側に突出した第二外筒突部と、
を備え、
前記ゴム弾性体は、
それぞれの前記第一内筒突部の前記軸方向一方の面と前記第一外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、
それぞれの前記第二内筒突部の前記軸方向他方の面と前記第二外筒突部とを連結する複数の第一ゴム弾性体と、
を備える筒型防振装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一外筒突部は、前記第一内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第二内筒突部と同位相に設けず、
前記第二外筒突部は、前記第二内筒突部と同位相に設け、かつ、前記第一内筒突部と同位相に設けない筒型防振装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
複数の前記第一内筒突部および複数の前記第二内筒突部におけるそれぞれの周方向中央位置は、軸方向から見た場合に周方向に等間隔に設けられている筒型防振装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第一ゴム弾性体および前記第二ゴム弾性体は、2個ずつ備え、
前記ゴム弾性体は、前記第一ゴム弾性体と前記第二ゴム弾性体との周方向間に軸方向貫通すぐりを形成する筒型防振装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記第一内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向他方に位置し、
前記第二内筒突部は、前記外筒部材の軸方向中央より前記軸方向一方に位置する筒型防振装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−50176(P2013−50176A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188770(P2011−188770)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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