説明

筒状フィルムの開口方法

【課題】熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる筒状フィルムに吸着痕の発生や端部の垂れ下がりの問題を招くことなく、筒状フィルムを容易に開口することが可能な筒状フィルムの開口方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなり、かつ平面状に折り畳んだ筒状フィルム1の少なくとも一端部1mを筒状に開口させる筒状フィルム1の開口方法である。平面状に折り畳んだ筒状フィルム1の少なくとも一端部1mの外周面の周上複数個所に粘着部材2を接触させてその粘着力により一端部1mを保持する。次いで、一端部1mを保持した粘着部材2を移動させて筒状フィルム1の一端部1mを筒状に開口する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる筒状フィルムの開口方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる筒状のフィルムは、インフレーション成形により製造される。このインフレーション成形では、押出機から円筒ダイを介して押し出した筒状のフィルムの内側からエアを供給してインフレートした後、ガイド手段により扁平状に変形させ、次いで一対のピンチロールにより平面状に折り畳み、それを巻取機のコアにロール状に巻き取るようにしている(例えば、特許文献1参照)。このように平面状に折り畳んだ筒状フィルムは、使用時に開口させて筒状に戻す必要がある。
【0003】
従来、平面状に折り畳んだ筒状フィルムを開口させて筒状に戻す方法として、吸着カップを使用する方法がある(例えば、特許文献2参照)。吸着カップにより外周面を吸着することにより平面状に折り畳んだ筒状フィルムを開口させて筒形状に戻すのである。
【0004】
しかしながら、吸着カップで薄いフィルムを吸着すると、フィルムに吸着痕が残り、他の部材と貼り合わせる際に皺になるという問題が生じる。また、吸着カップをフィルムの端からある程度離した位置で吸着する必要があるため、開口した端部が垂れ下がり、トラブルを招くおそれがある。
【特許文献1】特開2005−125499号公報
【特許文献2】特開2001−219478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる筒状フィルムに吸着痕の発生や端部の垂れ下がりの問題を招くことなく、筒状フィルムを容易に開口することが可能な筒状フィルムの開口方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の筒状フィルムの開口方法は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなり、かつ平面状に折り畳んだ筒状フィルムの少なくとも一端部を筒状に開口させる筒状フィルムの開口方法であって、平面状に折り畳んだ筒状フィルムの少なくとも一端部外周面の周上複数個所に粘着部材を接触させてその粘着力により該一端部を保持し、該一端部を保持した粘着部材を筒状フィルムの一端部が筒状に開口する方向に移動させて該一端部を筒状に開口することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述した本発明によれば、粘着部材の粘着力を利用して筒状フィルムを保持し、その粘着部材を移動させて筒状フィルムを開口させるようにしたので、筒状フィルムに吸着痕のような痕が残ることなく、筒状フィルムを容易に開口することができる。また、筒状フィルムの端部を保持できるので、端部の垂れ下がりの問題が生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の筒状フィルムの開口方法の一実施形態を示し、1は平面状に折り畳んだ筒状フィルム、2は筒状フィルム1を保持するための粘着部材である。筒状フィルム1は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成されている。
【0010】
この図1の実施形態では、先ず、ロール状に巻き取られた平面状に折り畳んだ長尺筒状フィルム3を巻き出し、それをカッター4により所定の長さに切断して定尺の筒状フィルム1を形成する。次いで、この平面状に折り畳んだ定尺の筒状フィルム1の一端部(搬送方向先端部)1mの外周面の周上複数個所(例えば、図2に示すように上側5箇所、下側5箇所の合計10箇所)に粘着部材2を接触させ、その粘着力により一端部1mを保持する。続いて、一端部1mを保持した上側の粘着部材2と下側の粘着部材2を矢印で示すように一端部1mが筒状に開口する上下方向に移動させる。図3に一端部1mを保持した粘着部材2を開口時に環状に並ぶように移動させ、一端部1mを円筒状に開口させた好ましい一例を示す。
【0011】
このように一端部1mが開口した筒状フィルム1は、次いで粘着部材2に保持された状態で筒状フィルム1全体を開口する工程に搬送される。その開口工程では、開口した一端部1m側から筒状フィルム1内に円錐状の開口治具5が挿入され、筒状フィルム1全体を筒状に開口させる。全体が筒状に開口した筒状フィルム1は、続いて開口治具5に隣接して配置された成形ドラム6に取り付けられる。
【0012】
取り付け後、筒状フィルム1から粘着部材2を離間させる。離間させる手法としては、粘着部材2を変位させると剥がれるように粘着剤のタック力を調整したり、或いは押し付け治具により筒状フィルム1を押さえた状態で粘着部材2を離間させたりすることができる。
【0013】
上記粘着部材2としては、一方の面に粘着剤を有する粘着テープまたは粘着剤を含浸させた粘着シートを好ましく挙げることができる。粘着テープの場合には、例えば、図4に示すように、収容ロール7に巻き取られた長尺の粘着テープ8を一対の回転自在なローラ9を経て巻取りロール10に巻き取るように構成し、一対のローラ9間の部分8xを筒状フィルム1の一端部1m外周面に接触させ、次回の接触では長尺の粘着テープ8が所定量搬送され、未使用の部分が一対のローラ9間に移動するようなものを好ましく例示することができる。
【0014】
また、粘着剤を含浸させた粘着シートの場合は、図5に示すように、駆動ローラ11と従動ローラ12との間にエンドレス状の織物などからなる無端シート13を巻き掛け、その無端シート13に粘着剤タンク14からポンプ15を介して供給される粘着剤を塗布ヘッド16により無端シート13に塗布し、ローラ11,12間の一方の部分13xを筒状フィルム1の一端部1m外周面に接触させ、次回は無端シート13を半周移動させ、他方の部分13yを接触させるようにしたものを好ましく例示することができる。
【0015】
粘着部材2を図2から図3に示すように移動させるには、例えば、図6に示すような、粘着部材2を有する複数の粘着部17をリンク機構18と不図示のギア機構を介して連結した上下の連結体19を上下のシリンダ20により移動させるようにしたものを例示することができる。シリンダ20のロッド20xが伸張した状態で、図6(a)に示すように、連結体19が粘着部17を横一列に配列した状態になり、シリンダ20のロッド20xが縮小した状態で、図6(b)に示すように、連結体19が粘着部17を半円状に配列した状態になるようになっている。上下のシリンダ20は同じ移動体(不図示)に連結支持され、共に移動可能になっている。
【0016】
カッター4により定尺切断された筒状フィルム1は、ベルトコンベヤ21のコンベヤベルト21m上に載置され、そのベルトコンベヤ21の搬送前方側にはみ出した筒状フィルム1の一端部1mに粘着部材2を接触させるが、そのベルトコンベヤ21の搬送前方側には、図7に示すように、はみ出した筒状フィルム1の一端部1mを載せる櫛刃状の載置台22が配置され、その櫛刃部22n間のスペース23を利用して下側の粘着部材2を筒状フィルム1の一端部1mの下側に接触させることができる。上下の粘着部17の粘着部材2が平面状に折り畳んだ筒状フィルム1の一端部1mの上下両面(外周面)に接触してその粘着力により一端部1mを保持すると、シリンダ20を支持する移動体(不図示)が搬送前方側に向けて前進して粘着部17を載置台22より前方に移動させる。この状態でシリンダ20のロッド20xが縮小して、図6(b)に示すように、連結体19が粘着部17を半円状に配列した状態にするのである。
【0017】
粘着部材2の粘着剤としては、筒状フィルム1を粘着力により保持でき、かつ筒状フィルム1との間で問題が生じないようなものであれば、従来公知のいずれの粘着剤であってもよく、例えば、アクリル系接着剤を好ましく挙げることができる。
【0018】
上述した本発明によれば、粘着部材2の粘着力を利用して筒状フィルム1を保持し、それを粘着部材2の移動により開口させるので、筒状フィルム1に吸着痕のような痕が残ることなく、筒状フィルム1を容易に開口することができる。しかも、筒状フィルム1の端部1mを保持できるので、端部の垂れ下がりの問題を招くようなことがない。
【0019】
図8は、本発明の筒状フィルムの開口方法の他の実施形態を示し、平面状に折り畳んだ筒状フィルム1の両端部1m、1nの外周面及び両端部1m、1n間の中間部1pの外周面の周上複数個所にそれぞれ粘着部材2を接触させて、その粘着力により両端部1m、1nと中間部1pを保持して筒状フィルム1全体を筒状に開口させるようにしたものである。
【0020】
この開口方法では、先ず、図8(a)に示すように、平面状に折り畳んだ筒状フィルム1の両端部1m、1n及び中間部1pの外周面の周上複数個所にそれぞれ粘着部材2を接触させる。図では、中間部1pにおいて、粘着部材2を2列にして接触させている例を示す。
【0021】
このように粘着部材2を接触させるには、先ず、載置台22上で端部1mに粘着部材2を上記と同様にして接触させる。次いで、筒状フィルム1を所定量搬送し、中間部1pの前部を載置台22上に位置させ、別の粘着部材2を上記と同様にして接触させる。続いて、筒状フィルム1を更に所定量搬送し、中間部1pの後部を載置台22上に位置させ、更に別の粘着部材2を上記と同様にして接触させる。そして、筒状フィルム1を更に所定量搬送し、他端部1nを載置台22上に位置させ、更に別の粘着部材2を上記と同様にして接触させる。
【0022】
他端部1nに粘着部材2を接触させ、粘着部材2により筒状フィルム1の外周面を保持すると、他端部1nが載置台22から外れる位置まで筒状フィルム1を搬送する。そこで、図8(b)に示すように、先に両端部1m、1nを保持する粘着部材2を上下(筒状フィルム1の両端部が筒状に開口する方向)に移動させて、両端部1m、1nを筒状に開口する。続いて、図8(c)に示すように、中間部1pを保持する粘着部材2を上下(筒状フィルム1の中間部が筒状に開口する方向)に移動させて、中間部1pを筒状に開口する。これにより平面状に折り畳んだ筒状フィルム1全体が筒状に開口される。
【0023】
この図8に示す開口方法では、吸着痕の発生や端部の垂れ下がりの問題を招くことなく、筒状フィルム1全体を容易に開口することができる。両端部1m、1nを開口する前に中間部1pを開口すると、中間部1pが開き難く、フィルムが変形する問題を招き易くなるので好ましくない。
【0024】
上記実施形態では、平面状に折り畳んだ長尺筒状フィルム3を所定の長さに切断した定尺の筒状フィルム1を筒状に開口させる例を示したが、本発明は、平面状に折り畳んだ長尺筒状フィルム3の一端部を開口させてから切断するような場合には、その長尺筒状フィルム3の一端部を筒状に開口させる場合にも好ましく用いることができ、平面状に折り畳んだ筒状フィルムの少なくとも一端部を筒状に開口させる場合であればいずれにも本発明を適用することができる。
【0025】
本発明において、上記筒状フィルム1を空気入りタイヤの空気透過防止層であるインナーライナー層などのタイヤ構成部材として使用する場合には、筒状フィルム1を構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物の貯蔵弾性率を25〜500MPa、筒状フィルム1の厚さを0.01〜3mmの範囲するのがよい。
【0026】
貯蔵弾性率が25MPaより低いと強度が不足し、逆に500MPaを超えると、靭性が低下して耐久性が悪化する。厚さが0.01mmより薄くなると、耐空気透過性が低下する。厚さが3mmを超えると、重量の点で好ましくない。なお、ここで言う貯蔵弾性率は、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、静歪10%、動歪±2%、周波数20Hz、温度20℃の条件で測定する。
【0027】
筒状フィルム1に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
【0028】
熱可塑性エラストマー組成物は、上述した熱可塑性樹脂の成分にエラストマー成分を混合して構成することができる。使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブラジエンゴム(SBR)、ブラジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
【0029】
熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドする場合の特定の熱可塑性樹脂成分(A)とエラストマー成分(B)との組成比は、特に限定はなく、フィルムの厚さ、耐空気透過性、柔軟性のバランスで適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比(A)/(B)で10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜85/15である。
【0030】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須ポリマー成分に加えて、第三成分として相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマー成分との相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。
【0031】
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマー成分を分散させることによる。エラストマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマー成分を動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練およびエラストマー成分の動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は2500〜7500Sec -1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製された熱可塑性エラストマー組成物は、樹脂押出機による成形またはカレンダー成形によってフィルム化される。フィルム化の方法は、通常の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーをフィルム化する方法によればよい。
【0032】
本発明は、特に背景技術で述べた問題が発生し易い50μm以下の薄い筒状フィルムを開口させるのに好ましく用いることができるが、当然のことながらそれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の筒状フィルムの開口方法の一実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】粘着部材を筒状フィルムの一端部に接触させた状態を示す説明図である。
【図3】粘着部材により筒状フィルムの一端部を円筒状に開口させた例を示す説明図である。
【図4】粘着部材が粘着テープの例を示す説明図である。
【図5】粘着部材が粘着シートの例を示す説明図である。
【図6】(a)(b)は、粘着部材を有する複数の粘着部が移動する構成を示す説明である。
【図7】(a)はベルトコンベヤの搬送方向側に配置された、筒状フィルムの一端部を載せる載置台の概略側面図、(b)は載置台の平面図である。
【図8】(a)(b)(c)は、筒状フィルム全体を筒状に開口させる工程を示す断面説明である。
【符号の説明】
【0034】
1 筒状フィルム
1m 一端部
1n 他端部
1p 中間部
2 粘着部材
3 長尺筒状フィルム
5 開口治具
8 粘着テープ
9 無端シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなり、かつ平面状に折り畳んだ筒状フィルムの少なくとも一端部を筒状に開口させる筒状フィルムの開口方法であって、平面状に折り畳んだ筒状フィルムの少なくとも一端部外周面の周上複数個所に粘着部材を接触させてその粘着力により該一端部を保持し、該一端部を保持した粘着部材を筒状フィルムの一端部が筒状に開口する方向に移動させて該一端部を筒状に開口する筒状フィルムの開口方法。
【請求項2】
一端部を保持した粘着部材を開口時に環状に並ぶように移動させる請求項1に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項3】
粘着部材が一方の面に粘着剤を有する粘着テープまたは粘着剤を含浸させた粘着シートである請求項1または2に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項4】
筒状フィルムが平面状に折り畳んだ長尺筒状フィルムである請求項1,2または3に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項5】
ロール状に巻き取られた平面状に折り畳んだ長尺筒状フィルムを巻き出して所定の長さに切断して筒状フィルムを形成する請求項1,2または3に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項6】
筒状フィルムの一端部を筒状に開口させた後、該開口した一端部側から筒状フィルム内に開口治具を挿入する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項7】
平面状に折り畳んだ筒状フィルムの両端部外周面及び該両端部間の中間部外周面の周上複数個所に粘着部材を接触させてその粘着力により両端部と中間部を保持し、両端部を保持する粘着部材を移動させた後、中間部を保持する粘着部材を移動させることにより、平面状に折り畳んだ筒状フィルム全体を筒状に開口する請求項5に記載の筒状フィルムの開口方法。
【請求項8】
筒状フィルムを構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物の貯蔵弾性率が25〜500MPaで、かつ筒状フィルムの厚さが0.01〜3mmである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の筒状フィルムの開口方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−58291(P2010−58291A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223927(P2008−223927)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】