説明

管内面診断方法及び管内面診断装置

【課題】複雑な構造を有する撮像手段や煩雑な作業を必要とすることなく、配管の内周面に生じた傷又は塗装剥離の発生状況を客観的に把握する。
【解決手段】配管Pの内周面に設定された検査領域Wの観察画像を、その検査領域Wの管軸方向外方から取得し、その観察画像内で傷又は塗装剥離の発生している特徴部Kを抽出して、その観察画像上における特徴部Kの面積を基に、前記検査領域W内に占める前記特徴部Kの面積比率Jを算出するようにした。検査領域Wの管軸方向外方から観察画像を取得すれば、撮像手段2等を周方向に回動させることなく検査領域W全体の観察画像を取得でき、複雑な構造を有する撮像手段2や煩雑な作業を必要としない。さらに、その取得した観察画像上における特徴部Kの面積を基に、前記検査領域W内に占める前記特徴部Kの面積比率Jが算出できれば、配管Pの内周面に生じた傷又は塗装剥離の発生状況を客観的に把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管内に配置したカメラで撮影した映像をもとに、その配管内に生じた変色、錆、傷や配管内面の塗装膜等の塗装剥離状況などを検査する管内面診断方法、及び管内面診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管内に生じた傷や、配管内面の塗装膜の剥離状況などを、配管内に配置した撮像手段(カメラ)で取得した映像をもとに自動的に検査する管内面検査装置として、例えば、図30に示すものがある。
【0003】
この管内面検査装置は、配管P内を走行し所定位置で停止可能な走行体1と、その走行体1の配管P内における位置を検出する位置検出手段と、配管Pの内周面の所定領域を撮影可能なカメラ2及び配管Pの内周面に光を照射する光源3等とを備えたものである。
カメラ2は、その撮影光軸Lを管軸方向へ向けた状態に保持され、その撮影光軸L上前方に設けたミラー4を回動させることにより、配管内周面の周方向任意の位置、又は周方向全周の観察画像を取得する。ミラー4を配置したことにより、配管Pの内周面における周方向任意の位置に対し、常に径方向内側(配管Pの径方向にほぼ対面する方向)からの観察画像取得が可能となる。
【0004】
取得された観察画像は、適宜の画像処理が施された後、その観察画像上において傷などの特徴部Kが抽出され、その抽出された特徴部K(以下、「抽出領域」という)の面積、抽出領域の前記所定領域に対する面積比、位置などが算定される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平3−128440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な管内面検査装置において、カメラ2で取得された観察画像に基づいて、配管P内の特徴部Kを自動的に抽出する技術が周知である。
しかし、水道管等の配管の老朽度の診断において、管路の更新時期を見積もるためには、前記特徴部Kが、配管Pの内周面全体にどの程度占めているかを客観的に把握する必要がある。
【0007】
特徴部Kが、配管Pの内周面全体にどの程度占めているかを把握するためには、配管P内において、管軸方向一定の範囲に亘って内周面全周又は一部に検査領域Wを設け、その検査領域W内に介在する前記特徴部Kの面積を算出する必要がある。
【0008】
このような面積の算出には、取得した観察画像上における任意の位置の抽出領域の面積と、その抽出領域に対応する配管Pの内周面における実際の面積(実面積)との関係が、いずれの位置においても常に一定の比率であることが要件となる。仮に、複数の抽出領域が観察画像上で同一の面積であっても、実際の配管P内でそれぞれ異なる面積であれば、特徴部Kの正確な実面積を算定することが困難だからである。
このため、配管Pの内周面における周方向任意の位置に対し、図31(a)(b)(c)に示すように、常に径方向内側(配管Pの径方向にほぼ対面する方向)から観察画像が取得できる前述の複雑な撮像手段2が必要となる。これは、撮像手段2が特徴部Kに対して径方向に対面していれば、画像の歪みが最小限に抑えられ、前記観察画像上の面積と実面積との比率が、観察画像内全域において一定に近くなるからである。
【0009】
しかし、図30に示す管内面検査装置によると、カメラ2は、配管内周面の周方向任意の位置を常に前記対面状態で撮影できるよう、その撮影光軸Lを管軸方向へ向けた状態に保持されるとともに、そのカメラ2の撮影光軸L上前方に周方向へ回動自在のミラー4を併用する。
【0010】
このようなミラー4を介したカメラ2は、その構造が複雑であり、撮影作業や機器のメンテナンスが繁雑であるとともに、ミラー4を回動させながら配管Pの内周面を撮影すると、撮影に要する時間も長くなるので不便である。これは、ミラー4を介さずに、カメラ2を配管Pの周方向に沿って回動させる場合も同様である。
【0011】
そこで、この発明は、複雑な構造を有する撮像手段や煩雑な作業を必要とすることなく、配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を客観的に把握できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明は、配管の内周面に設定された検査領域の観察画像を、その検査領域の管軸方向外方から取得し、その観察画像内で変色、錆、傷又は塗装剥離の発生している特徴部を抽出して、その観察画像上における特徴部の面積を基に、前記検査領域内に占める前記特徴部の面積比率を算出するようにした。
【0013】
検査領域の管軸方向外方から観察画像を取得し、その取得した観察画像上における特徴部の面積を基に、前記検査領域内に占める前記特徴部の面積比率を算出することができれば、撮像手段やミラー等を回動させることなく検査領域全体の観察画像を取得できる。
このため、複雑な構造を有する撮像手段や煩雑な作業を必要とすることなく、配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を客観的に把握できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、複雑な構造を有する撮像手段や煩雑な作業を必要とすることなく、配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を客観的に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施形態として、配管内に配置した撮像手段で取得した観察画像によって、前記配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を判断する管内面診断方法において、前記配管の内周面に、周方向に沿って管軸直交方向に延びる環状の仮想線を複数箇所設定し、前記仮想線間に挟まれた内周面全周又は一部を検査領域とし、前記撮像手段は、前記検査領域の前記観察画像をその検査領域の管軸方向外方から取得してその観察画像上には複数の環状の投影線が設定されてその各投影線が前記各仮想線に相当するとともに、その投影線間で前記変色、錆、傷又は塗装剥離が発生している特徴部を抽出し、前記観察画像上における前記特徴部の投影面積を基に前記検査領域内に占める前記特徴部の面積比率を算出し、前記特徴部の面積比率と予め設定されている閾値とを比較することにより配管の老朽度を判断する構成を採用した。
【0016】
前記特徴部の抽出に際し、色相、明度、彩度から選択される単一の又は複数の項目について予め設定された設定値に基づいて前記観察画像上で自動的に抽出される構成を採用することができる。
また、その特徴部を自動的に抽出した後、自動的に抽出されなかった特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により追加的に抽出、及び、自動的に抽出された特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により除外する構成を採用し得る。
【0017】
観察画像内で特徴部を抽出する際、一定の数値基準に基づいて自動的に特徴部を抽出するだけでなく、場合によっては作業員の経験を生かすことも必要と考えられる。これは、前記自動的抽出によると、配管内に水垢や汚れ等が付着していると、その水垢や汚れ等を前記特徴部と誤認してしまう場合や、あるいは逆に、特徴部の上に水垢や汚れ等が付着して特徴部を認識できない場合があるからである。
このため、その特徴部を自動的に抽出した後、自動的に抽出されなかった特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により追加的に抽出する構成、及び、自動的に抽出された特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により除外する構成を採用すれば、特徴部の抽出がより確実である。
【0018】
また、前記観察画像上で、前記投影線間に単位面積を有する微小領域を設定し、前記微小領域と、前記微小領域に対応する前記配管の内周面における実面積との比例定数を、前記両投影線の外径及び中心位置、並びに前記微小領域の位置から算出し、前記微小領域の単位面積に前記比例定数を乗じることによりその微小領域に対応する前記実面積を算出するとともに、前記観察画像上における前記特徴部を前記微小領域の集合として、前記特徴部の面積比率は、前記各微小領域の投影面積を基に算出された前記特徴部の実面積により算出する構成を採用し得る。
【0019】
この点について詳述すると、例えば、図24に示すように、撮像手段2の撮影光軸Lを管軸方向へ向けた状態で、特徴部Kが介在する配管Pの内周面の観察画像を取得すると、図25(a)(b)に示すように、撮像手段2の撮影光軸Lが、配管Pの管軸に一致している場合は、取得した観察画像は、管軸方向に直交するよう等間隔で設けた図中の仮想線a,b,c,dが、図25(c)に示すように同心円状の投影線a’,b’,c’,d’となって投影される。
【0020】
この観察画像に基づいて、前記抽出された特徴部K(前記抽出領域)の実面積算定を行うことができる。すなわち、前記等間隔の仮想線a,b,c,dが同心円状の投影線a’,b’,c’,d’となって投影されているので、観察画像上において等面積で且つ中心点Oから等距離にある図中の二つの微小領域Tm,Tmは、配管Pの内周面における実面積も等面積となる。
このため、前記抽出領域を微小領域Tmに区分し、各微小領域Tm毎の各投影線a’,b’,c’,d’の中心点Oからの距離m、及び各微小領域Tmの占める前記中心点O周りの中心角αにより、各微小領域Tmの集合としての前記抽出領域の実面積が算定できる。
【0021】
これは、図26(a)(b)に示すように、撮像手段2の撮影光軸Lが管軸方向に対して角度γをもって配置された場合も同様であり、撮像手段2のレンズ中心Mが管軸上にあれば、仮想線a,b,c,dが、図26(c)に示すように同心円状の投影線a’,b’,c’,d’となって投影される。
【0022】
しかし、撮像手段2は管底近くを移動する場合が多いので、その撮影光軸Lは、図27(a)(b)に示すように、管軸に一致しない場合が多い。このような場合、各仮想線a,b,c,dに対応する各投影円a’,b’,c’,d’は、図27(c)に示すように、上下方向に偏心した状態に投影される。
さらに、図28(a)(b)に示すように、撮像手段2が管底からやや側方にずれた位置にあれば、各仮想線a,b,c,dに対応する各投影円a’,b’,c’,d’は、図28(c)に示すように、上下方向及び左右方向に偏心した状態に投影される。
【0023】
このように、配管の管軸方向に直交するよう等間隔で設けた仮想線a,b,c,dに対応する各投影円a’,b’,c’,d’が、同心円状ではなく偏心した状態に投影されると、前記抽出領域を微小領域Tmに区分しても、各微小領域Tmの面積が、前記中心点Oからの距離m、中心角αにより一義的に定まらない。
【0024】
このため、上記のように、前記観察画像上で、前記投影線間に単位面積を有する微小領域を設定し、前記微小領域と、前記微小領域に対応する前記配管の内周面における実面積との比例定数を、前記両投影線の外径及び中心位置、並びに前記微小領域の位置から算出し、前記微小領域の単位面積に前記比例定数を乗じることによりその微小領域に対応する前記実面積を算出するとともに、前記観察画像上における前記特徴部を前記微小領域の集合として、前記特徴部の面積比率は、前記各微小領域の投影面積を基に算出された前記特徴部の実面積により算出する構成とすることが有効である。
【0025】
また、配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を判断する管内面診断装置として、以下の構成を採用し得る。
すなわち、配管内に配置した撮像手段で取得した観察画像によって、前記配管の内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を判断する管内面診断装置において、前記配管の内周面に、周方向に沿って管軸直交方向に延びる環状の仮想線を複数箇所設定し、前記仮想線間に挟まれた内周面全周又は一部を検査領域とし、前記撮像手段は、前記検査領域の前記観察画像をその検査領域の管軸方向外方から取得してその観察画像上には複数の環状の投影線が設定されてその各投影線が前記各仮想線に相当するとともに、その投影線間で前記変色、錆、傷又は塗装剥離が発生している特徴部を抽出し、前記観察画像上における前記特徴部及び前記検査領域の各投影面積を基に前記検査領域内に占める前記特徴部の面積比率を算出し、前記特徴部の面積比率と予め設定されている閾値とを比較することにより配管の老朽度を判断することを特徴とする管内面診断装置の構成である。
【0026】
前記特徴部は、色相、明度、彩度から選択される単一の又は複数の項目について予め設定された設定値に基づいて前記観察画像上で自動的に抽出される構成とすることができる。
また、前記観察画像上で自動的に抽出されなかった特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により追加的に抽出、及び、自動的に抽出された特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により除外する機能を備えた構成とすることもできる。
【0027】
さらに、前記観察画像上で、前記投影線間に単位面積を有する微小領域を設定し、前記微小領域と、前記微小領域に対応する前記配管の内周面における実面積との比例定数を、前記両投影線の外径及び中心位置、並びに前記微小領域の位置から算出し、前記微小領域の単位面積に前記比例定数を乗じることによりその微小領域に対応する前記実面積を算出するとともに、前記観察画像上における前記特徴部を前記微小領域の集合として、前記特徴部の面積比率は、前記各微小領域の投影面積を基に算出された前記特徴部の実面積により算出する構成とすることができる。
【実施例】
【0028】
一実施例を図面に基づいて説明する。この管内面検査装置は、図24に示すように、配管P内にケーブル5が接続されたカメラ(撮像手段)2が挿入され、そのカメラ2の撮影光軸Lが、ほぼ配管Pの管軸方向へ向けた状態にカメラ2が保持される。なお、カメラ2は、ケーブル5を配管P内に押し込めば図中右側に向かって移動し、ケーブル5を引けば図中左側に移動する。カメラ2に走行装置を設けて、そのカメラ2をモータ等の駆動力により管軸方向に移動可能とし、配管P外からその走行を制御するようにしてもよい。
【0029】
カメラ2は、配管Pの管軸よりも下方の管底付近に位置しているが、配管Pの内周面における管軸方向距離wの範囲に設定される検査領域Wを、その管軸方向全長、且つ周方向全周に亘って1枚の画像に収まるように撮影し、その検査領域W全体の観察画像を取得できるように画角が設定されている。
なお、この実施例は、水道管として供用中のモルタルライニング管の内周面に施されている塗装膜の剥離状態について診断するものであるが、前記検査領域Wは、予め診断の対象として実空間の特定の箇所をピックアップしておいて(後述の実空間の仮想線a,b,c,d・・・を実空間で設定しておいて)、その位置に合わせて、画面上において後述の投影円a’,b’,c’,d’・・・を設定するようにしてもよいが、この実施例では、管内の画像を見ながらその画像上において投影円a’,b’,c’,d’・・・を設定し、その投影円a’,b’,c’,d’・・・に対応する実空間の仮想線a,b,c,d・・・によって、事後的に前記検査領域Wを設定している。
【0030】
(管内面検査装置のシステム構成)
管内面検査装置の構成は、図24に示すように、カメラ2に通じるケーブル5が配管Pの外に引き出されており、そのカメラ2の配管P内での管軸方向位置を把握する位置検出手段11、カメラ2の撮影光軸Lの向きを調整する撮影光軸調整手段12、カメラ2に付属する図示しない照明装置を制御する照明制御手段13等を有する制御装置10が備えられている。
【0031】
また、解析装置20として、演算手段22、記憶手段23、画像処理手段24、特徴部抽出手段25、判定手段26を有するCPU21を備えている。さらに、解析装置20は、プリンタ装置27、モニタ装置28に接続されている。
【0032】
(観察画像の取得と特徴部Kの抽出)
カメラ2で取得されたリアルタイムの映像は、静止画として前記解析装置20内に取り込まれ、画像処理手段24の機能によって必要に応じて適宜の画像処理が施されて、診断用の観察画像となる。前記静止画及び観察画像は、位置検出手段11によって得られた位置情報とともに記憶手段23に記憶される。
その観察画像上において、特徴部抽出手段25は、配管Pの内周面に生じた変色、錆、傷、塗装剥離などの特徴部Kを抽出していく。
【0033】
解析装置20において、塗装膜の剥離状態を診断するための判断基準となる色相、彩度、明度の各項目について設定値(閾値)を設定する(図29のフロー図30に示す(以下、同じ)工程31参照)。
なお、3つの項目のうち任意の項目について設定値を設定することができる。3つの項目の中から選択される単一の項目について設定値を設定し、他の項目については判断基準として採用しない構成としてもよいし、3つの項目の中から選択される二つの項目について設定値を設定し、他の項目については判断基準として採用しない構成としてもよい。また、三つの全ての項目について設定値を設定してもよい。
その設定値としては、例えば、各項目に対してそれぞれ上限値又は下限値のみを設定してもよいし、上限値と下限値の両方を設定してもよい。すなわち、例えば、上限値のみを設定した項目に対しては、その上限値に満たない部分を、その項目に関する限り前記剥離状態となっている可能性のある箇所と判定する。下限値のみを設定した項目に対しては、その下限値以上の部分を、その項目に関する限り前記剥離状態になっている可能性のある箇所と判定する。また、上限値と下限値の両方を設定した項目に対してはその上限値と下限値との間にある部分を、その項目に関する限り前記剥離状態になっている可能性のある箇所と判断するようにしてもよい。
【0034】
つぎに、配管Pの老朽度を判定するための判断基準となる剥離面積の閾値を設定する(工程32参照)。剥離面積の閾値は、検査領域W全体の実面積に対する剥離面積の占める割合(%)で設定される。剥離面積の占める割合が閾値を超えれば、判定手段26により、配管Pは更新の必要がある、あるいは更新の必要が生じる時期が近い等と診断されるようになっている。
【0035】
なお、この実施例では、配管Pを比較的長い距離に亘って連続的に診断するのではなく、配管P内の代表的な箇所(例えば、管内の画像を見ながら最も剥離が著しいと思われる箇所)をピックアップしてその部分の映像を読み込んで診断を行い、配管Pの更新時期を判断しようとするものである(工程33参照)。
【0036】
実際に取得した観察画像を、図11に示す。
【0037】
この観察画像の取得において、図12に示す静止画像を取り込む際に、カメラ2の撮影光軸Lが最適な向きになるよう、前記撮影光軸調整手段12によってそのカメラ2のレンズの向きを調整する。この調整は、配管P内の映像を目視で見ながら、操作者が手動で行う。また、カメラ2に付属する照明装置の照度を照明制御手段13によって調整する。
【0038】
検査領域Wに対してカメラ2の撮影光軸Lが投影線を設定し得る最適な向きになっているので、図13に示すように、予め記憶手段23に記憶された二本の円形の投影線を観察画像上で設定すれば、その二本の投影線は、配管Pの内周面に距離wを隔てて位置する管軸直交方向の環状の仮想線(図25に示す仮想線a,dに相当)に対応するようになっている。このため、判定エリアとなる検査領域Wが設定される(工程34参照)。
なお、二本の投影線は、モニタ装置27を見ながらマウスのドラッグ操作により、画面上で移動可能である。
【0039】
図11では、塗装膜の剥離が生じている特徴部K(例えば、図中のマル印で囲んだ部分)は、色相、彩度、明度のいずれか又は複数の項目において設定された設定値の範囲内であるので、その設定値の範囲の内外で観察画像を2値化し、その2値化画像により、特徴部Kは、判定手段26の機能により自動的に抽出されその面積及び面積の和が算定される(工程36,38,39参照)。また、他の部分は、同じく判定手段26により、健全な部分と判断される(工程36,37参照)。
図14は、前記設定値の範囲内の部分が剥離箇所として自動的に抽出された状態を示す。二本の円形の投影線に挟まれた領域において、不規則な線で囲まれた部分が剥離の生じている特徴部Kである。手動操作により、その特徴部Kを適宜の色で塗りつぶすことも可能である。
【0040】
前記観察画像上で自動的に抽出されなかった特徴部Kが存在する場合、あるいは、抽出されるべきでない部分が抽出されている場合、手動設定に移行する(工程40参照)。手動設定では、図15に示すように、モニタ装置27で観察画像を目視しながら、操作者の判断で手動により特徴部Kを必要に応じて追加的に抽出することもできる(工程41参照)。また、逆に、自動的に抽出された特徴部を、必要に応じて操作者の判断で手動により除外することもできる(工程41参照)。
【0041】
このように、操作者が特徴部Kをピックアップし、その後、ピックアップされた全ての特徴部Kの配管Pの内周面における実面積の和を算出する(工程42参照)。手動設定を行わない場合は、工程39で求められた面積の和がそのまま特徴部Kの実面積の和となる。
【0042】
また、特徴部Kの実面積の和を求める手法と同一の手法により、検査領域W全体の実面積を求めることができる。この検査領域Wの面積(エリア面積A)の算定は、フロー図30では前段の工程35で行っているが、この工程39とともに行っても良い。
これらの面積をもとに、特徴部Kの検査領域Wに占める面積比率Jを算出する(工程43参照)。
【0043】
(検査領域W全体に対する特徴部Kの面積比率Jを求める方法)
観察画像上において抽出された特徴部Kが、検査領域W内に占める面積比率を算出するに際し、大まかな流れは以下の通りである。
(1) 配管Pの内周面の単位面積が、観察画像上でどのくらいの大きさになるか。その比率を配管P内に設定した検査領域W内の各位置で求める。この関係が求まれば、観察画像上の各点に対応する配管Pの内周面の実面積は、その逆数に比例する。
(2) 対称エリアとなる検査領域Wの全点に対する実面積総和と、抽出領域の全点に対する実面積総和とを求め、比を算出する。
【0044】
(第一段階)
方眼チャートを丸めて管状にし、図1に示すように、診断の対象となる配管P内に貼り付けた状態を想定する。方眼チャートの格子状のラインは、管軸方向及び管軸直角方向に等間隔で並列する。
【0045】
方眼チャートを貼り付けた配管P内に、カメラ2を挿入する。カメラ2の撮影光軸Lは、図24に示すように、配管Pの管軸方向とほぼ同方向へ向いており、配管Pの管軸直交断面におけるカメラ2の位置は、図27あるいは図28に示す状態を想定する。
【0046】
この状態で、カメラ2により配管Pの内周面を撮影すると、観察画像は、図2の模式図に示すようになる。なお、撮影の際には、検査領域全体が映像に含まれるようにカメラ2の位置を設定しており、管軸直交方向の仮想線a,b,c,d・・・(図1参照)が、図2の各投影円a’,b’,c’,d’・・・に対応している。
【0047】
図2に灰色で示す複数の扇形エリアE1,E2,E3,E4・・・は、それぞれ最も外側に位置する投影円a’の中心Oa周りに等しい中心角αの上に立つ円周Rαを有し、前記方眼チャートの管軸方向を向くラインの交点(以下、「消失点」という)Qを中心、すなわち「扇の要(かなめ)」として設定されたエリアである。
これらの各扇型エリアE1,E2,E3,E4・・・は、実際の配管Pの内周面では同じ面積に相当する。これらの各扇形エリアE1,E2,E3,E4・・・の観察画像上における面積を求める。
【0048】
なお、カメラ2が配管Pの管軸からずれた位置にある(図27(a)、図28(a)参照)ので、配管Pの内周面における前記各仮想線a,b,c,dは、厳密には図2において楕円形として投影されるが、ここでは真円として近似して考えてさしつかえない。以下の面積算定において、その誤差はわずかであることがわかっている。
【0049】
(第二段階)
前記各扇型エリアE1,E2,E3,E4・・・のうち、例えば、一つの扇形のエリアE1内において、前記消失点Qからの距離mとその位置における微小領域Tmの面積との関係を求める(図3参照)。
【0050】
消失点Qは、図4に示すように、例えば、前記各投影円a’,b’,c’,d’から二つの投影円a’,d’を抽出した場合、その二つの投影円a’,d’の中心Oa,Odを結ぶ直線U1上にある。
また、その消失点Qは、同じく図4に示すように、二つの投影円a’,d’の各円周上における、それぞれの中心Oa,Odから前記直線U1に対して等しい仰角βにある点Fa,Fd同士を結んだ直線U2上にある。
【0051】
この消失点Q、中心Oa,Od、円周上の点Fa,Fdを模式的に表した図5において、三角形の相似の関係により、消失点Qの位置と内側の投影円d’の中心Odとの距離Vは、
[数1]
V=Rc・Ri/(Ro−Ri)
で求められる。
ここで、Roは外側に位置する投影円aの半径、Riは内側に位置する投影円d’の半径、Rcは中心Oa,Od間の距離を示す。
【0052】
注目する前記扇形エリアE1の面積は、図6に示すように、外側に位置する投影円a’の中心Oaを原点として、消失点Qを通る線をx軸としたX−Y座標上において、この扇形エリアE1を、円周上の点Fθ,Fθ’及び消失点Qからなる三角形と近似すると、その面積S1は、各頂点Fθ,Fθ’,QのX−Y座標をもとに、
[数2]
S1=(1/2)・Ro・(Ro+Wa・cosθ)・dθ
で算出できる。
ただし、θは頂点FθにおけるX軸プラス側からの仰角、θ+dθは頂点Fθ’におけるX軸プラス側からの仰角である。また、Wa=V+Rcである。
【0053】
観察画像上におけるdθの等しい領域は、実空間ではすべて同じ面積に相当するので、観察画像上における扇形エリアE1の面積は、次式のように比例関係が成立する。
[数3]
S∝Ro・(Ro+Wa・cosθ)
【0054】
実際は、内側に位置する投影円d’の内側領域を計算より除外する必要があるが、扇形全体に対する除外部分の比は、いずれの扇型エリアE1,E2,E3,E4・・・においても一定と考えられるので、前記[数3]式をそのまま適用する。
【0055】
その扇形エリアE1の内部において、図7(a)に示すように、消失点Qからの距離mとその位置における微小領域Tmと、その微小領域Tmに対応する実面積S’mとの関係を求める。微小領域Tmは、図7(b)に示すように、径方向の辺長e2、周方向の辺長e1の矩形に近似できる。
【0056】
この周方向の辺長e1は、その位置における等距離円の半径(例えば、微小領域Tmが前記投影円a’,d’間に位置する投影円x’上にある場合は、その投影円x’の半径Rx)に比例すると近似でき、その等距離円の半径Rxは、図8に示すように、三角形の相似の関係により消失点Qからの距離mに比例する。
【0057】
また、図9(a)に示す観察画像上の距離m,nの比は、図9(b)に示す配管Pの実空間におけるGm,Gnの比と等しくなる。
ここで、図中に符号で示すT1は、外円(前記外側に位置する投影円a’)に相当する管軸直交方向の仮想線(仮想線a)とカメラ2との管軸方向距離、T2は、内円(前記内側に位置する投影円d’)に相当する管軸直交方向の仮想線(仮想線d)とカメラ2との管軸方向距離、tは、前記微小領域Tmにかかるカメラ2との管軸方向距離を示す。
【0058】
さらに、図9(b)に示すように、配管Pの実空間における三角形の相似の関係から、T1とtの比もGm,Gnの比と等しくなるので、結局、
[数4]
m=(n/t)・T1
となる。
【0059】
径方向の辺長e2は、tが、(t)→(t+dt)に変化するまでのmの変化に対応するので、上記[数4]式の微分で与えられる。なお、tの増加に対してmは減少するので符号をマイナスにとる。
[数5]
e2/dt=−f’(t)=n・T1/t
【0060】
この[数5]式と、[数4]式とを合わせて、tを消去すると、
[数6]
e2/dt=m/(n・T1)
となる。dtは、配管P内の実空間における単位面積の一辺なので一定値。よって、e2はmの2乗に比例する。
【0061】
ここで、画像上において、消失点Qからいかなる距離mにある位置に微小領域Tmを設けようとも、消失点Qと微小領域Tmを通る直線と投影線a’との交点は、いずれも実空間では消失点Qから等距離にあるということができる。
しかし、それらの投影線a’上の各交点に対応する画像上の距離nの値は同じ値にはならない。このため、mの値が等しい位置にある微小領域Tmであっても、その微小領域Tmの実空間における面積(相対的なもの)において、それぞれ対応する前記nの値を考慮しなければならない。
このため、mをnで正規化すると、実空間の単位面積に対応する観察画像上の面積(=e1×e2)は、(m/n)の3乗に比例する。
【0062】
以上のようなことから、実際の面積比算定において、画像上の単位面積に対する実空間の面積は、上記計算結果の逆数をとり、
[数7]
S∝1/((m/n)・Ro・(Ro+Wa・cosθ) )
の関係が成立する。
【0063】
ここで、RoとWaの各値は、1枚の観察画像に対して1つに決まる。よって、観察画像上の各点において、m,n,θを算出できれば、その点における実空間の面積(比)が求まる。
【0064】
すなわち、その手順は、まず、図10に示すように、画像上において消失点Qを求める。消失点Qの決定は、一つの映像に対して一回のみ行えばよい。消失点Qと計測点zとを結び、その延長上で外円と交わる点Aを求める。点Aの仰角θを求め、前記消失点Qと計測点zとの距離mを求める。消失点Qと点Aとの距離nを求め、[数7]の式を計算する。
【0065】
検査領域W内でピックアップされた全ての特徴部Kの配管Pの内周面における実面積の和(相対的なもの)を、上記比例定数を利用して求め、二本の環状の投影線で挟まれた領域に相当する配管Pの内周面における実面積(相対的なもの)を同じく上記比例定数を利用して求める。
【0066】
(老朽度の判定)
検査領域W内の全ての特徴部Kの実面積の和を、検査領域W全体の実面積で除して、特徴部Kの検査領域Wに占める面積比率Jを算出する(工程43参照)。
その面積比率Jを閾値と比較して配管Pの老朽度が診断され、施設の更新の要・不要等が判定される(工程44,45参照)。
【0067】
実施例として、この管内面診断装置を用いた管内面診断方法、及び操作手順について以下説明する。
【0068】
水道管の途中に設けられた消火栓等の分岐部分に、周知のカメラ挿入装置を設置する。
カメラ2にケーブル5を介して、前記制御装置10、解析装置20、プリンタ装置27、モニタ装置28、キーボード、マウス等を備えたパソコンを接続する。
【0069】
カメラ2を前記カメラ挿入装置を通じて配管P内に挿入し、そのカメラ2を検査領域Wの手前、すなわち管軸方向外方に位置させる。
【0070】
カメラ2で配管P内を撮影する。撮影した検査領域Wの観察画像をパソコンのモニタ装置28に表示する。図16は、パソコンのモニタ装置28に表示されるコントロールパネルの例であり、図中の「映像取り込み」と表示された部分をマウスでクリックすれば、ダイアログボックスが開き、画像ファイルの指定を行うことができる。読み込みが完了すると、画像操作ウィンドウが開き画像が表示される。
【0071】
図17は、その表示された観察画像であり、パソコンのモニタ装置28に表示される図18に示す画像操作ウィンドウで、記憶手段23のデータの保存先、カメラ2に関する情報、配管Pに関する情報、観察画像上に設定する各投影円の情報を設定する。
【0072】
設定される項目は、以下のとおり。設定された項目は、「iniファイル」として記憶手段23に保存される。
(1)画像読み込み元デフォルトフォルダ
(2)データ保存先デフォルトフォルダ
(3)レンズの画角(対角線)
(4)管の直径ごとの内側判定エリア(内側の投影線に相当する仮想線)のカメラからの距離
(5)管の直径ごとの内側判定エリア(内側の投影線に相当する仮想線)の画像操作ウィンドウ上でのサイズ
(6)管の直径ごとの外側判定エリア(外側の投影線に相当する仮想線)のカメラからの距離
(7)管の直径ごとの外側判定エリア(外側の投影線に相当する仮想線)の画像操作ウィンドウ上でのサイズ
【0073】
その後、図16に示す画像操作ウィンドウで、「エリア設定」「剥離検出」「手動指定」「判定」「データ出力」と表示された各部分を順にマウスでクリックすれば、その順に解析が進んでいく。前の手順に戻ることは可能であるが、手順を飛ばすことはできないようになっている。
【0074】
「エリア設定」の機能については、コントロールパネルで「管直径選択」を行っていない場合、「エリア設定」をクリックしても動作しない。
また、「エリア設定」の機能は、「管直径選択」で選択した配管の直径に応じた内側及び外側測定エリアの線(前記内外の投影円)が表示される。また、測定エリアは、マウスのドラッグによって、適宜の位置に移動させることができる(図19参照)。
【0075】
「剥離検出」の機能については、コントロールパネルの「剥離検出」と表示された部分をマウスでクリックすることにより、カーソルがワンド形状になり、剥離部分をクリックすることによりコントロールパネルで指定した色相、彩度、明度の範囲内で近似色の部分を自動検出する(図20参照)。このとき、色相、彩度、明度のうち、「使用する」にチェックの入っている項目のみ機能する。
一度、検出操作を行った後、再度設定値を変更すると、その変更した内容にしたがって再検出が行われる。
【0076】
「手動指定」の機能については、コントロールパネルの「手動指定」と表示された部分をマウスでクリックすることによりカーソルが円形となり、手動により指定からもれた範囲(特徴部K)を塗りつぶす(選択する)ことができる(図21参照)。また、ctrlキーを押しながら塗りつぶした部分は、選択から除外される。
【0077】
「判定」の機能については、コントロールパネルの「判定」と表示された部分をマウスでクリックすることにより剥離部分の実面積を算出し、さらにその剥離部分の実面積が、検査領域全体の実面積に占める面積比率J、及び、前記設定された閾値に基づく判定結果を表示する。これらの情報は、画像操作画面の下部にも表示される。
【0078】
「データ出力」の機能については、コントロールパネルの「データ出力」と表示された部分をマウスでクリックすることにより、ダイアログボックスが表示され、そこで文字列を入力してデータを保存する。画像形式は、JPGとBMPから選択することができる。
コントロールパネルの「場所」の項目が未入力の場合、データの出力はできない。また、「コメント」項目には、自由な内容を記述することができ、その内容が出力ファイルに付加される。
【0079】
保存されるデータは、
(文字列).txt
(画像).bmp or .jpg
であり、テキストファイルには、
(1)日付(元画像のタイムスタンプ)
(2)コメント
(3)場所
(4)口径(管の内径)
(5)画像処理の設定値
(6)剥離率(面積比率J)
(7)判定結果
が出力される。画像ファイルには、上記テキストファイルに出力する内容が画像下部に付加された状態で、剥離部分検出後の画像が保存される。
【実験例】
【0080】
実際の配管P内における面積比率Jの算定が正しく機能しているかどうか、検証を行った。
【0081】
図22(a)乃至(g)は、面積のわかっている黒塗りの図形が書き込まれたテストチャートであり、このテストチャートを配管Pを想定した円管内面に貼り付けて、カメラ2撮影し、面積比率Jを算定した。
【0082】
カメラは、1/2インチ、モノクロCCD、767×576pixelを使用し、レンズは焦点距離6mm、照明は白色LEDライト、円管の内径は75mm、テストチャートのサイズは、一辺236mmの正方形である。各テストチャートは、図中の上側にカメラ2が配置できるよう円管の内周面に沿って貼り付けられる。
【0083】
検証は、図22(a)乃至(g)に示す各テストチャートについて、図23(a)(b)(c)に示す3通りのカメラ配置を組み合わせて行う。その検証条件を、表1に示す。表1中の「チャート種別」のA,B,C・・・は、それぞれ図22(a)(b)(c)・・・のテストチャートに対応する。また、「カメラ位置」の1,2,3は、それぞれ図23(a)(b)(c)に示すカメラ位置を示す。
【0084】
【表1】

【0085】
また、上記表1の検証条件による検証結果を、表2に示す。良好な結果が得られている。
【0086】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】検査領域全体に対する特徴部の面積比率を求める際の解析手法の説明図で、配管内に方眼チャートを貼り付けた状態を示す正面図
【図2】図1で取得した観察画像の模式図
【図3】図1で取得した観察画像の模式図
【図4】図1で取得した観察画像の模式図
【図5】図1で取得した観察画像の要部を示す模式図
【図6】図1で取得した観察画像の模式図
【図7】(a)は図1で取得した観察画像の模式図、(b)はその模式図中の微小領域を示す拡大図
【図8】図1で取得した観察画像の要部を示す模式図
【図9】(a)は図1で取得した観察画像の模式図、(a)はその観察画像を取得するカメラと配管との位置関係を示す模式図
【図10】図1で取得した観察画像の模式図
【図11】観察画像を示し、剥離部分と健全な部分とを示す写真図
【図12】静止画として取り込んだ状態の観察画像を示す写真図
【図13】観察画像を示し、投影円を設定した状態を示す写真図
【図14】観察画像を示し、特徴部を自動的に抽出した状態を示す写真図
【図15】観察画像を示し、特徴部を手動で追加した状態を示す写真図
【図16】コントロールパネルを示す説明図
【図17】モニタ装置に読み込まれた状態の観察画像を示す写真図
【図18】画像操作ウィンドウを示す説明図
【図19】モニタ装置上で投影円を設定した状態の観察画像を示す写真図
【図20】モニタ装置上で特徴部を自動的に抽出した状態の観察画像を示す写真図
【図21】モニタ装置上で特徴部を手動で追加した状態の観察画像を示す写真図
【図22】(a)乃至(g)は、検証に用いるテストチャートの平面図
【図23】(a)乃至(c)は、検証に用いる配管とカメラとの位置関係を示す平面図
【図24】管内面検査装置のシステムの構成を示す模式図
【図25】配管とカメラとの位置関係を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は取得された観察画像を示す模式図
【図26】配管とカメラとの位置関係を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は取得された観察画像を示す模式図
【図27】配管とカメラとの位置関係を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は取得された観察画像を示す模式図
【図28】配管とカメラとの位置関係を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は取得された観察画像を示す模式図
【図29】この発明の管内面診断装置による管内面診断方法の流れ図
【図30】従来例を示す正面図
【図31】(a)(b)(c)は、従来例の観察画像の取得方法を示す説明図
【符号の説明】
【0088】
2 撮像手段(カメラ)
5 ケーブル
10 制御装置
11 位置検出手段
12 撮影光軸調整手段
13 照明制御手段
20 解析装置
21 CPU
22 演算手段
23 記憶手段
24 画像処理手段
25 特徴部検出手段
26 判定手段
27 プリンタ装置
28 モニタ装置
a,b,c,d・・・ 仮想線
a’,b’,c’,d’・・・ 投影線
E1,E2,E3,E4・・・ 扇形エリア
e1,e2 微小領域の辺長
J 面積比率
K 特徴部
L 撮影光軸
M レンズ中心
O,Oa,Od 投影円の中心
Ox 等距離円の中心
P 配管
Q 消失点
Rc 中心Oa,Od間距離
Ri,Ro 投影円の半径
Rx 等距離円の半径
Rα 円周
S’m 微小領域の実面積
Tm 微小領域
U1,U2 直線
V 消失点Qと中心Od間距離
W 検査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管P内に配置した撮像手段2で取得した観察画像によって、前記配管Pの内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を判断する管内面診断方法において、
前記配管Pの内周面に、周方向に沿って管軸直交方向に延びる環状の仮想線a,bを複数箇所設定し、前記仮想線a,b間に挟まれた内周面全周又は一部を検査領域Wとし、前記撮像手段2は、前記検査領域Wの前記観察画像をその検査領域Wの管軸方向外方から取得してその観察画像上には複数の環状の投影線a’,b’が設定されてその各投影線a’,b’が前記各仮想線a,bに相当するとともに、その投影線a’,b’間で前記変色、錆、傷又は塗装剥離が発生している特徴部Kを抽出し、前記観察画像上における前記特徴部Kの投影面積を基に前記検査領域W内に占める前記特徴部Kの面積比率Jを算出し、前記特徴部Kの面積比率Jと予め設定されている閾値とを比較することにより配管Pの老朽度を判断することを特徴とする管内面診断方法。
【請求項2】
前記特徴部Kは、色相、明度、彩度から選択される単一の又は複数の項目について予め設定された設定値に基づいて前記観察画像上で自動的に抽出されることを特徴とする請求項1に記載の管内面診断方法。
【請求項3】
前記特徴部Kを自動的に抽出した後、自動的に抽出されなかった特徴部Kを、前記観察画像の目視に基づく判断により追加的に抽出、及び、自動的に抽出された特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により除外することを特徴とする請求項2に記載の管内面診断方法。
【請求項4】
前記観察画像上で、前記投影線a’,b’間に単位面積を有する微小領域を設定し、前記微小領域と、前記微小領域に対応する前記配管Pの内周面における実面積との比例定数を、前記両投影線a’,b’の外径及び中心位置、並びに前記微小領域の位置から算出し、前記微小領域の単位面積に前記比例定数を乗じることによりその微小領域に対応する前記実面積を算出するとともに、前記観察画像上における前記特徴部Kを前記微小領域の集合として、前記特徴部Kの面積比率Jは、前記各微小領域の投影面積を基に算出された前記特徴部Kの実面積により算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の管内面診断方法。
【請求項5】
配管P内に配置した撮像手段2で取得した観察画像によって、前記配管Pの内周面に生じた変色、錆、傷又は塗装剥離の発生状況を判断する管内面診断装置において、
前記配管Pの内周面に、周方向に沿って管軸直交方向に延びる環状の仮想線a,bを複数箇所設定し、前記仮想線a,b間に挟まれた内周面全周又は一部を検査領域Wとし、前記撮像手段2は、前記検査領域Wの前記観察画像をその検査領域Wの管軸方向外方から取得してその観察画像上には複数の環状の投影線a’,b’が設定されてその各投影線a’,b’が前記各仮想線a,bに相当するとともに、その前記投影線a’,b’間で前記変色、錆、傷又は塗装剥離が発生している特徴部Kを抽出し、前記観察画像上における前記特徴部K及び前記検査領域Wの各投影面積を基に前記検査領域W内に占める前記特徴部Kの面積比率Jを算出し、前記特徴部Kの面積比率Jと予め設定されている閾値とを比較することにより配管Pの老朽度を判断することを特徴とする管内面診断装置。
【請求項6】
前記特徴部Kは、色相、明度、彩度から選択される単一の又は複数の項目について予め設定された設定値に基づいて前記観察画像上で自動的に抽出されることを特徴とする請求項5に記載の管内面診断装置。
【請求項7】
前記観察画像上で自動的に抽出されなかった特徴部Kを、前記観察画像の目視に基づく判断により追加的に抽出、及び、自動的に抽出された特徴部を、前記観察画像の目視に基づく判断により除外する機能を備えたことを特徴とする請求項6に記載の管内面診断装置。
【請求項8】
前記観察画像上で、前記投影線a’,b’間に単位面積を有する微小領域を設定し、前記微小領域と、前記微小領域に対応する前記配管Pの内周面における実面積との比例定数を、前記両投影線a’,b’の外径及び中心位置、並びに前記微小領域の位置から算出し、前記微小領域の単位面積に前記比例定数を乗じることによりその微小領域に対応する前記実面積を算出するとともに、前記観察画像上における前記特徴部Kを前記微小領域の集合として、前記特徴部Kの面積比率Jは、前記各微小領域の投影面積を基に算出された前記特徴部Kの実面積により算出することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の管内面診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2008−224381(P2008−224381A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62119(P2007−62119)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】