説明

管理サーバ、及び方法

【課題】 設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能な、基地局装置等を得る。
【解決手段】 フェムトセル基地局は、有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって携帯電話と通信可能な基地局装置である。またフェムトセル基地局は、終端装置に関連して固定通信網の管理サーバに登録されている位置情報を、固定通信網から取得する取得部と、その位置情報をフェムトセル基地局に関連する位置情報として移動体通信網に通知する通知部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話による通信は電波を利用するため、通信サービスのエリア内であっても、屋外基地局(以下「マクロセル基地局」と称す)からの電波が届きにくい(又は届かない)電波不感エリアでは、携帯電話による通信が不可能となる。そこで、電波不感エリアにおいても携帯電話による通信を可能とすべく、小型基地局を用いた通信システムの構築が検討されている。
【0003】
この通信システムにおいては、半径が数メートルないし数十メートル程度の極小セル(フェムトセル)を通信圏内とする小型基地局(以下「フェムトセル基地局」と称す)が、電波不感エリア内に設置される。フェムトセル基地局は有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続され、固定通信網はゲートウェイを介して移動体通信事業者の移動体通信網に接続される。従って、電波不感エリア内の携帯電話はフェムトセル基地局及び固定通信網を介して移動体通信網に接続され、その結果、電波不感エリア内においても携帯電話による通信が可能となる。
【0004】
なお、下記特許文献1には、光通信の加入者宅内に設置された無線基地局を備える通信システムが開示されている。この通信システムにおいて、加入者宅内で使用される携帯電話からの信号は、宅内の無線基地局から光通信ケーブルを介して収容局に送信され、収容局からIP網、一般電話交換網、又は移動通信交換網等の各種ネットワークに送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−15103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フェムトセル基地局は、それを購入等したユーザによって建物(例えばそのユーザの自宅)内に自由に設置される。そのため、移動体通信事業者による基地局の計画設置を行うためには、フェムトセル基地局の設置場所に関する位置情報を移動体通信事業者がフェムトセル基地局から収集する必要がある。
【0007】
ここで、位置情報の収集のために、フェムトセル基地局にGPS(Global Positioning System)信号の受信機を搭載することも考えられる。しかし、GPS信号の受信機の追加によって、フェムトセル基地局のコストが上昇する。また、フェムトセル基地局は常に窓際に設置されるとは限らず、この場合にはGPS信号を直接受信できないため、位置特定の精度が低下する。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能な、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプログラムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る基地局装置は、有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって移動端末と通信可能な基地局装置であって、前記終端装置に関連して前記固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、前記固定通信網から取得する取得手段と、前記第1の位置情報を前記基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する通知手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、終端装置には、ONU、ADSLモデム、VDSLモデム、又はダイヤルアップモデム等の、屋内に設置されて屋外の有線通信回線を終端する任意の装置が含まれる。
また、固定通信網の管理サーバとは、当該固定通信網において、終端装置に関連して登録される第1の位置情報を記憶管理する機能をサービスとして提供する機能を有する装置である。前記固定通信網の管理サーバには、固定通信網内に配置される装置であって、前記機能を有する様々な装置が含まれる。
また、移動体通信網の管理サーバとは、当該移動体通信網において、基地局装置から通知される、当該基地局装置に関連する位置情報としての第1の位置情報を受信し管理する機能をサービスとして提供する機能を有する装置であり、移動体通信網内に配置される装置、例えば、HLR(Home Location Register)、VLR(Visitor Location Register)、RNC(Radio Network Controller)、MSC(Mobile Switching Center)、SGSN(Service GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)、MME(Mobility Management Entity)、S−GW(Serving SAE Gateway)、P−GW(PDN SAE Gateway)、及び、HSS(Home Subscriber Server)等により実現される。また、基地局装置が、上記移動体通信網の管理サーバとしての機能を備えていてもよい。
【0011】
また、通知手段による移動体通信網の管理サーバへの第1の位置情報の通知の形態には、通知手段によって基地局装置から移動体通信網の管理サーバに通知する形態のほか、通知手段が、固定通信網の管理サーバに、移動体通信網の管理サーバに向けた位置情報の通知を行わせる形態も含まれる。
【0012】
また、位置情報には、住所情報又は居所情報等、終端装置の設置場所に関する位置情報が含まれる。
【0013】
第1の態様に係る基地局装置によれば、取得手段は、終端装置に関連して固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、固定通信網から取得する。そして、通知手段は、第1の位置情報を基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する。従って、基地局装置にGPS信号の受信機を搭載する場合と比較すると、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【0014】
本発明の第2の態様に係る基地局装置は、第1の態様に係る基地局装置において特に、前記第1の位置情報と、前記移動体通信網の管理サーバに予め登録された前記基地局装置に関連する前記第2の位置情報との比較結果に基づいて、前記取得手段における前記第1の位置情報の取得の可否が決定されることを特徴とするものである。
【0015】
第2の態様に係る基地局装置によれば、移動体通信網の管理サーバには、基地局装置に関連する第2の位置情報が予め登録されている。そして、第1の位置情報と第2の位置情報との比較結果に基づいて、取得手段における第1の位置情報の取得の可否が決定される。従って、例えば、契約時に申請した住所情報等(第2の位置情報)と実際の設置場所(第1の位置情報)とが異なる場合には取得手段に第1の位置情報を取得させないことにより、不正な基地局装置によって第1の位置情報が取得されることを防止することが可能となる。
【0016】
本発明の第3の態様に係る基地局装置は、第1の態様に係る基地局装置において特に、前記第1の位置情報と、前記移動体通信網の管理サーバに予め登録された前記基地局装置に関連する前記第2の位置情報との比較結果に基づいて、前記基地局装置の使用の可否を決定することを特徴とするものである。
【0017】
第3の態様に係る基地局装置によれば、移動体通信網の管理サーバには、基地局装置に関連する第2の位置情報が予め登録されている。そして、第1の位置情報と第2の位置情報との比較結果に基づいて、基地局装置の使用の可否を決定する。従って、例えば、契約時に申請した住所情報等(第2の位置情報)と実際の設置場所(第1の位置情報)とが異なる場合には基地局装置を使用させないことにより、基地局装置の不正使用を防止することが可能となる。
【0018】
本発明の第4の態様に係る基地局装置は、第1の態様に係る基地局装置において特に、前記第1の位置情報と、前記移動体通信網の管理サーバに予め登録された前記基地局装置に関連する前記第2の位置情報との比較結果に基づいて、前記基地局装置と通信可能な移動端末を決定することを特徴とするものである。
【0019】
第4の態様に係る基地局装置によれば、移動体通信網の管理サーバには、基地局装置に関連する第2の位置情報が予め登録されている。そして、第1の位置情報と第2の位置情報との比較結果に基づいて、基地局装置と通信可能な移動端末を決定する。これにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。例えば、契約時に自宅の住所情報(第2の位置情報)を申請し、家族の携帯電話に関する情報を基地局装置に登録しておくことにより、自宅に設置した基地局装置と通信可能な携帯電話を、家族の携帯電話のみに制限することができる。
【0020】
本発明の第5の態様に係る基地局装置は、第1の態様に係る基地局装置において特に、前記第1の位置情報と、前記移動体通信網の管理サーバに予め登録された前記基地局装置に関連する前記複数の第2の位置情報との比較結果に基づいて、前記基地局装置における処理内容を決定することを特徴とするものである。
【0021】
ここで、基地局装置における処理には、基地局装置の使用の可否を決定する処理、又は基地局装置と通信可能な移動端末を決定する処理が含まれる。
【0022】
第5の態様に係る基地局装置によれば、移動体通信網の管理サーバには、基地局装置に関連する複数の第2の位置情報が予め登録されている。第1の位置情報と複数の第2の位置情報との比較結果に基づいて、基地局装置における処理内容を決定する。従って、例えば、契約時に申請した住所情報等(複数の第2の位置情報)と実際の設置場所(第1の位置情報)とが異なる場合には基地局装置を使用させないことにより、基地局装置の不正使用を防止することが可能となる。また、複数の第2の位置情報を登録することにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。例えば、基地局装置の使用場所が複数想定される場合に、複数の使用場所(複数の第2の位置情報)を契約時に申請し、基地局装置と通信可能な携帯電話を使用場所ごとに基地局装置に登録しておくことができる。これにより、例えば、基地局装置を自宅に設置した場合には基地局装置と通信可能な携帯電話を家族の携帯電話のみに制限し、基地局装置を職場に設置した場合には基地局装置と通信可能な携帯電話を制限しない、といった運用が可能となる。
【0023】
本発明の第6の態様に係る基地局装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る基地局装置において特に、前記移動体通信網の管理サーバから前記基地局装置に送信される、前記移動端末と前記基地局装置との通信に関する所定の情報を、前記移動体通信網の管理サーバから前記基地局装置の周辺基地局を介して受信することを特徴とするものである。
【0024】
ここで、所定の情報には、基地局装置の周辺セルに関する情報、又は基地局装置の送信電力に関する情報等が含まれる。
【0025】
第6の態様に係る基地局装置によれば、移動端末と基地局装置との通信に関する所定の情報を、移動体通信網の管理サーバから基地局装置の周辺基地局を介して受信する。従って、ノウハウが含まれる可能性のある所定の情報が固定通信網を流れることを回避できるため、固定通信網における情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0026】
本発明の第7の態様に係る基地局装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る基地局装置において特に、前記移動体通信網の管理サーバから前記基地局装置に送信される、前記移動端末と前記基地局装置との通信に関する所定の情報を、前記移動体通信網の管理サーバから前記固定通信網及び前記終端装置を介して受信することを特徴とするものである。
【0027】
ここで、所定の情報には、基地局装置の周辺セルに関する情報、又は基地局装置の送信電力に関する情報等が含まれる。
【0028】
第7の態様に係る基地局装置によれば、移動端末と基地局装置との通信に関する所定の情報を、移動体通信網の管理サーバから固定通信網及び終端装置を介して受信する。従って、周辺基地局からの送信電波が到達し得ない場所に基地局装置が設置され、基地局装置が所定の情報を周辺基地局から受信できない場合であっても、固定通信網及び終端装置を経由することにより、基地局装置は移動体通信網から所定の情報を受信することが可能となる。
【0029】
本発明の第8の態様に係る通信システムは、固定通信網と、移動体通信網と、有線通信回線の終端装置を介して前記固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって移動端末と通信可能な基地局装置とを備える通信システムであって、前記終端装置に関連して前記固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、前記基地局装置に関連する位置情報として、前記移動体通信網の管理サーバに通知する通知手段を有することを特徴とするものである。
【0030】
ここで、終端装置には、ONU、ADSLモデム、VDSLモデム、又はダイヤルアップモデム等の、屋内に設置されて屋外の有線通信回線を終端する任意の装置が含まれる。
【0031】
また、通知手段による移動体通信網の管理サーバへの第1の位置情報の通知の形態には、通知手段によって基地局装置から移動体通信網の管理サーバに通知する形態のほか、通知手段が、固定通信網の管理サーバに、移動体通信網の管理サーバに向けた位置情報の通知を行わせる形態も含まれる。
【0032】
また、位置情報には、住所情報又は居所情報等、終端装置の設置場所に関する位置情報が含まれる。
【0033】
第8の態様に係る通信システムによれば、通知手段は、第1の位置情報を基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する。従って、基地局装置にGPS信号の受信機を搭載する場合と比較すると、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【0034】
本発明の第9の態様に係る通信方法は、有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって移動端末と通信可能な基地局装置を用いた通信方法であって、(A)前記終端装置に関連して前記固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、前記固定通信網から取得するステップと、(B)前記第1の位置情報を前記基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知するステップとを備えることを特徴とするものである。
【0035】
ここで、終端装置には、ONU、ADSLモデム、VDSLモデム、又はダイヤルアップモデム等の、屋内に設置されて屋外の有線通信回線を終端する任意の装置が含まれる。
【0036】
また、ステップ(B)における移動体通信網の管理サーバへの第1の位置情報の通知の形態には、基地局装置から移動体通信網の管理サーバに通知する形態のほか、基地局装置が、固定通信網の管理サーバに、移動体通信網の管理サーバに向けた位置情報の通知を行わせる形態も含まれる。
【0037】
また、位置情報には、住所情報又は居所情報等、終端装置の設置場所に関する位置情報が含まれる。
【0038】
第9の態様に係る通信方法によれば、ステップ(A)では、終端装置に関連して固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報が、固定通信網から取得される。そして、ステップ(B)では、第1の位置情報が、基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知される。従って、基地局装置にGPS信号の受信機を搭載する場合と比較すると、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【0039】
本発明の第10の態様に係るプログラムは、有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって移動端末と通信可能な基地局装置に搭載されるコンピュータを、前記終端装置に関連して前記固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、前記固定通信網から取得する取得手段と、前記第1の位置情報を前記基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する通知手段ととして機能させることを特徴とするものである。
【0040】
ここで、終端装置には、ONU、ADSLモデム、VDSLモデム、又はダイヤルアップモデム等の、屋内に設置されて屋外の有線通信回線を終端する任意の装置が含まれる。
【0041】
また、通知手段による移動体通信網への第1の位置情報の通知の形態には、通知手段によって基地局装置から移動体通信網の管理サーバに通知する形態のほか、通知手段が、固定通信網の管理サーバに、移動体通信網の管理サーバに向けた位置情報の通知を行わせる形態も含まれる。
【0042】
また、位置情報には、住所情報又は居所情報等、終端装置の設置場所に関する位置情報が含まれる。
【0043】
第10の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、終端装置に関連して固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、固定通信網から取得する。そして、通知手段は、第1の位置情報を基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する。従って、基地局装置にGPS信号の受信機を搭載する場合と比較すると、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、基地局装置の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】フェムトセル基地局に搭載されているコンピュータの機能構成を示すブロック図である。
【図3】処理部の機能構成を示す図である。
【図4】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第1の例を示す図である。
【図5】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第2の例を示す図である。
【図6】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第3の例を示す図である。
【図7】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第4の例を示す図である。
【図8】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第5の例を示す図である。
【図9】フェムトセル基地局が新たに設置された場合に、通信システムにおいて実行される処理手順の第6の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0047】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を概略的に示す図である。小型基地局2は、屋内(例えばユーザの自宅内)に設置されている。小型基地局2は、半径が数メートルないし数十メートル程度の極小セルを通信エリアとする。以下、本明細書においては、小型基地局の通信エリアを「フェムトセル」と称し、小型基地局を「フェムトセル基地局」と称する。図1を参照して、フェムトセル基地局2の周囲には、フェムトセル基地局2の通信エリアであるフェムトセル12が規定される。マクロセル基地局11は、例えば屋外に設置されている。マクロセル基地局11の周囲には、マクロセル基地局11の通信エリアであるマクロセル13が規定される。
【0048】
図1に示した例では、フェムトセル12はマクロセル13内に含まれている。従って、フェムトセル12内に位置する携帯電話14(図1における参照符号14X,14Y)は、フェムトセル基地局2のアンテナ2Aとの間で電波の送受信を行うことが可能であるとともに、マクロセル基地局11のアンテナ11Aとの間で電波の送受信を行うことも可能である。また、フェムトセル基地局2Aは、マクロセル基地局11からの送信電波を受信することが可能である。以下の説明では、携帯電話14Xは、フェムトセル基地局2の正規ユーザが有する携帯電話であり、携帯電話14Yは、フェムトセル基地局2の正規ユーザではない第三者が有する携帯電話であるものとする。
【0049】
マクロセル基地局11は、通信回線10を介して、移動体通信事業者が有する移動体通信網8に接続されている。フェムトセル基地局2は、光ファイバ又はメタルケーブル等の有線通信回線4を終端する終端装置3に接続されている。終端装置3は、屋内に設置されて屋外の有線通信回線4を終端する任意の装置であり、例えば、ONU(Optical Network Unit)、ADSLモデム、VDSLモデム、又はダイヤルアップモデム等である。終端装置3は、フェムトセル基地局2と同一の屋内(例えばユーザの自宅内)に設置されている。終端装置3は、有線通信回線4を介して固定通信網5に接続されている。固定通信網5は、固定通信事業者が有する通信網、又は公衆のIP網である。固定通信網5は、ゲートウェイ7を介して移動体通信網8に接続されている。固定通信網5は管理サーバ6を有しており、移動体通信網8は管理サーバ9を有している。管理サーバ9は、既存のHLR(Home Location Register)であっても良いし、HLRとは別の専用のサーバであってもよい。
ここで、固定通信網の管理サーバとは、当該固定通信網において、終端装置に関連して登録される第1の位置情報を記憶管理する機能をサービスとして提供する機能を有する装置である。前記固定通信網の管理サーバには、固定通信網内に配置される装置であって、前記機能を有する様々な装置が含まれる。
また、移動体通信網の管理サーバとは、当該移動体通信網において、基地局装置から通知される、当該基地局装置に関連する位置情報としての第1の位置情報を受信し管理する機能をサービスとして提供する機能を有する装置であり、移動体通信網内に配置される装置、例えば、HLR(Home Location Register)、VLR(Visitor Location Register)、RNC(Radio Network Controller)、MSC(Mobile Switching Center)、SGSN(Service GPRS(General Packet Radio Service)Support Node)、MME(Mobility Management Entity)、S−GW(Serving SAE Gateway)、P−GW(PDN SAE Gateway)、及び、HSS(Home Subscriber Server)等により実現される。また、基地局装置が、上記移動体通信網の管理サーバとしての機能を備えていてもよい。
【0050】
管理サーバ6には、終端装置3の位置情報が登録されている。この位置情報は、住所情報又は居所情報等、終端装置3の設置場所に関する情報である。以下の例では、終端装置3の位置情報は、ユーザと固定通信事業者との契約時にユーザが終端装置3の設置場所として申請した住所情報であるものとする。
【0051】
図2は、フェムトセル基地局2に搭載されているコンピュータの機能構成を示すブロック図である。当該コンピュータは、CPU等の処理部21と、半導体メモリ等の記憶部22と、入出力インタフェース23とを備えて構成されている。記憶部22には、プログラム24及び登録端末情報25が記憶されている。処理部21は、プログラム24に従って動作する。
【0052】
登録端末情報25は、フェムトセル基地局2との通信を許可する携帯電話14(この例では携帯電話14X)の固有識別情報であり、例えば、携帯電話14Xの電話番号又はIMSI(International Mobile Subscriber Identity)である。記憶部22への登録端末情報25の登録方法は任意である。例えば、フェムトセル基地局2の購入時に購入店舗の専用端末を用いて登録することが可能である。あるいは、フェムトセル基地局2を自宅に設置した後に、専用のアプリケーションソフトウェアを用いてインターネット経由で登録することも可能である。あるいは、フェムトセル基地局2に携帯電話14Xを有線又は無線で接続することによって、携帯電話14Xの電話番号又はIMSI等を登録することも可能である。
【0053】
図3は、処理部21の機能構成を示す図である。プログラム24に従って動作することにより、処理部21は、取得部30、通知部31、設定部32、及び判定部33として機能する。換言すれば、プログラム24は、処理部21を、取得部30、通知部31、設定部32、及び判定部33として機能させるためのプログラムである。
【0054】
ここで、移動体通信事業者による基地局の計画設置を行うためには、フェムトセル基地局2の設置場所に関する位置情報を収集して管理サーバ9に登録する必要がある。
【0055】
図4は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第1の例を示す図である。フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず取得部30は、住所情報取得要求S1を管理サーバ6に送信する。住所情報取得要求S1は、フェムトセル基地局2から、終端装置3及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0056】
次に管理サーバ6は、該当する終端装置3の住所情報を含む住所情報取得応答S2を、フェムトセル基地局2に送信する。住所情報取得応答S2は、管理サーバ6から、固定通信網5及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
【0057】
次に取得部30は、管理サーバ6から受信した住所情報取得応答S2に含まれている終端装置3の住所情報を、記憶部22に登録する。
このようにして、取得部30は、管理サーバ6に登録されている終端装置3の住所情報(第1の位置情報)を、固定通信網5から取得する。
【0058】
次に通知部31は、住所情報通知S3を管理サーバ9に送信する。この住所情報通知S3には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれるとともに、管理サーバ6から受信した終端装置3の住所情報がフェムトセル基地局2の住所情報として含まれている。住所情報通知S3は、フェムトセル基地局2から、終端装置3、固定通信網5、及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
このようにして、通知部31は、第1の位置情報をフェムトセル基地局2に関連する位置情報として移動体通信網8の管理サーバ9に通知する。
【0059】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2から受信した住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報及び住所情報を、互いに関連付けて登録する。
【0060】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0061】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0062】
図5は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第2の例を示す図である。フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず取得部30は、住所情報取得要求S1を管理サーバ6に送信する。この住所情報取得要求S1には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれている。住所情報取得要求S1は、フェムトセル基地局2から、終端装置3及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0063】
次に管理サーバ6は、該当する終端装置3の住所情報を含む住所情報取得応答S2を、フェムトセル基地局2に送信する。これとともに管理サーバ6は、住所情報通知S3を管理サーバ9に送信する。この住所情報通知S3には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれるとともに、終端装置3の住所情報がフェムトセル基地局2の住所情報として含まれている。住所情報取得応答S2は、管理サーバ6から、固定通信網5及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。また、住所情報通知S3は、管理サーバ6から、固定通信網5及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0064】
次に取得部30は、管理サーバ6から受信した住所情報取得応答S2に含まれている終端装置3の住所情報を、記憶部22に登録する。また、管理サーバ9は、管理サーバ6から受信した住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報及び住所情報を、互いに関連付けて登録する。
【0065】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0066】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0067】
図6は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第3の例を示す図である。この例において、管理サーバ9には、フェムトセル基地局2の位置情報が予め登録されている。この位置情報は、住所情報又は居所情報等、フェムトセル基地局2の設置場所に関する情報であり、以下の例では、フェムトセル基地局2の購入時にユーザがフェムトセル基地局2の設置予定場所として申請した住所情報であるものとする。管理サーバ9には、フェムトセル基地局2の固有識別情報と、ユーザによって申請された住所情報とが、互いに関連付けられて登録されている。
【0068】
フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず取得部30は、住所情報取得要求S1を管理サーバ6に送信する。この住所情報取得要求S1には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれている。住所情報取得要求S1は、フェムトセル基地局2から、終端装置3及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0069】
次に管理サーバ6は、住所情報の確認要求S5を、管理サーバ9に送信する。この確認要求S5には、フェムトセル基地局2の固有識別情報と、該当する終端装置3の住所情報とが含まれている。確認要求S5は、管理サーバ6から、固定通信網5及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0070】
次に管理サーバ9は、管理サーバ6から受信した確認要求S5に含まれている終端装置3の住所情報と、同一の固有識別情報に関連して管理サーバ9に予め登録されているフェムトセル基地局2の住所情報(以下「事前登録住所情報」と称す)とを比較することにより、両者が一致するか否かを判定する。
【0071】
終端装置3の住所情報とフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致しない場合は、管理サーバ9は、両者が一致しない旨の確認応答S6を管理サーバ6に送信する。確認応答S6は、管理サーバ9から、移動体通信網8及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。次に、管理サーバ6は、フェムトセル基地局2の使用を拒否する旨の拒否通知S7を、フェムトセル基地局2に送信する。この拒否通知S7には、終端装置3の住所情報は含まれていない。拒否通知S7は、管理サーバ6から、固定通信網5及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
終端装置3の住所情報と事前登録住所情報との比較結果である拒否通知S7を受信したフェムトセル基地局2の設定部32は、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを停止することを決定し、サービスを停止する設定を行う。
【0072】
一方、終端装置3の住所情報とフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致する場合は、管理サーバ9は、両者が一致する旨の確認応答S8を管理サーバ6に送信する。確認応答S8は、管理サーバ9から、移動体通信網8及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。次に、管理サーバ6は、終端装置3の住所情報を含む住所情報取得応答S2を、フェムトセル基地局2に送信する。住所情報取得応答S2は、管理サーバ6から、固定通信網5及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
【0073】
終端装置3の住所情報と事前登録住所情報との比較結果としての住所情報取得応答S2を受信したフェムトセル基地局2の取得部30は、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行することを決定し、管理サーバ6から受信した住所情報取得応答S2に含まれている終端装置3の住所情報を、記憶部22に登録する。
【0074】
次に通知部31は、住所情報通知S3を管理サーバ9に送信する。この住所情報通知S3には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれるとともに、管理サーバ6から受信した終端装置3の住所情報がフェムトセル基地局2の住所情報として含まれている。住所情報通知S3は、フェムトセル基地局2から、終端装置3、固定通信網5、及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0075】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2から受信した住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報及び住所情報を、互いに関連付けて登録する。
【0076】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0077】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0078】
図7は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第4の例を示す図である。この例においても上記第3の例と同様に、管理サーバ9には、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報が予め登録されている。
【0079】
フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず取得部30は、住所情報取得要求S1を管理サーバ6に送信する。住所情報取得要求S1は、フェムトセル基地局2から、終端装置3及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0080】
次に管理サーバ6は、該当する終端装置3の住所情報を含む住所情報取得応答S2を、フェムトセル基地局2に送信する。住所情報取得応答S2は、管理サーバ6から、固定通信網5及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
【0081】
次に取得部30は、管理サーバ6から受信した住所情報取得応答S2に含まれている終端装置3の住所情報を、記憶部22に登録する。
【0082】
次に通知部31は、住所情報通知S3を管理サーバ9に送信する。この住所情報通知S3には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれるとともに、管理サーバ6から受信した終端装置3の住所情報がフェムトセル基地局2の住所情報として含まれている。住所情報通知S3は、フェムトセル基地局2から、終端装置3、固定通信網5、及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0083】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2から受信した住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、同一の固有識別情報に関連して管理サーバ9に予め登録されているフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とを比較することにより、両者が一致するか否かを判定する。
【0084】
住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致しない場合は、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の使用を拒否する旨の拒否通知S9をフェムトセル基地局2に送信する。拒否通知S9は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
終端装置3の住所情報と事前登録住所情報との比較結果である拒否通知S9を受信したフェムトセル基地局2の設定部32は、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを停止することを決定し、サービスを停止する設定を行う。
なお、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9を受信しなければ、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行する。すなわち、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9の受信に応じて、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行するか否かを決定する。
【0085】
一方、住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致する場合は、管理サーバ9は、住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報及び住所情報を、互いに関連付けて登録する。
【0086】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0087】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0088】
図8は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第5の例を示す図である。この例においても上記第3の例と同様に、管理サーバ9には、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報が予め登録されている。
【0089】
フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず取得部30は、住所情報取得要求S1を管理サーバ6に送信する。住所情報取得要求S1は、フェムトセル基地局2から、終端装置3及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0090】
次に管理サーバ6は、住所情報通知S3を、管理サーバ9に送信する。この住所情報通知S3には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれるとともに、終端装置3の住所情報がフェムトセル基地局2の住所情報として含まれている。住所情報通知S3は、管理サーバ6から、固定通信網5及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0091】
次に管理サーバ9は、管理サーバ6から受信した住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、同一の固有識別情報に関連して管理サーバ9に予め登録されているフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とを比較することにより、両者が一致するか否かを判定する。
【0092】
住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致しない場合は、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の使用を拒否する旨の拒否通知S9をフェムトセル基地局2に送信する。拒否通知S9は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
終端装置3の住所情報と事前登録住所情報との比較結果である拒否通知S9を受信したフェムトセル基地局2の設定部32は、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを停止することを決定し、サービスを停止する設定を行う。
なお、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9を受信しなければ、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行する。すなわち、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9の受信に応じて、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行するか否かを決定する。
【0093】
一方、住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致する場合は、管理サーバ9は、住所情報通知S3に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報及び住所情報を、互いに関連付けて登録する。
【0094】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0095】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0096】
図9は、フェムトセル基地局2が新たに設置された場合に、通信システム1において実行される処理手順の第6の例を示す図である。この例においても上記第3の例と同様に、管理サーバ9には、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報が予め登録されている。
【0097】
フェムトセル基地局2が終端装置3に接続されると、まず通知部31は、固有識別情報通知S10を、管理サーバ9に送信する。この固有識別情報通知S10には、フェムトセル基地局2の固有識別情報が含まれている。また、固有識別情報通知S10には、該当する終端装置3の固有識別情報が含まれている。固有識別情報通知S10は、フェムトセル基地局2から、終端装置3、固定通信網5、及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0098】
次に管理サーバ9は、住所情報取得要求S20を管理サーバ6に送信する。住所情報取得要求S20は、管理サーバ9から、移動体通信網8及び固定通信網5を介して、管理サーバ6に送信される。
【0099】
次に管理サーバ6は、該当する終端装置3の住所情報を含む住所情報取得応答S21を、管理サーバ9に送信する。住所情報取得応答S21は、管理サーバ6から、固定通信網5及び移動体通信網8を介して、管理サーバ9に送信される。
【0100】
次に管理サーバ9は、管理サーバ6から受信した住所情報取得応答S21に含まれている終端装置3の住所情報と、固有識別情報通知S10に含まれているフェムトセル基地局2の固有識別情報に関連して管理サーバ9に予め登録されているフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とを比較することにより、両者が一致するか否かを判定する。
【0101】
住所情報取得応答S21に含まれている終端装置3の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致しない場合は、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の使用を拒否する旨の拒否通知S9をフェムトセル基地局2に送信する。拒否通知S9は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。
終端装置3の住所情報と事前登録住所情報との比較結果である拒否通知S9を受信したフェムトセル基地局2の設定部32は、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを停止することを決定し、サービスを停止する設定を行う。
なお、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9を受信しなければ、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行する。すなわち、フェムトセル基地局2の設定部32は、拒否通知S9の受信に応じて、自己であるフェムトセル基地局2のサービスを実行するか否かを決定する。
【0102】
一方、住所情報取得応答S21に含まれている終端装置3の住所情報と、フェムトセル基地局2の事前登録住所情報とが一致する場合は、管理サーバ9は、住所情報取得応答S21に含まれている終端装置3の住所情報を、フェムトセル基地局2の住所情報として、フェムトセル基地局2の固有識別情報に関連付けて登録する。
【0103】
次に管理サーバ9は、フェムトセル基地局2の住所情報に基づいて、フェムトセル基地局2の周辺に設置されているマクロセル基地局11を割り出す。また、管理サーバ9は、フェムトセル基地局2とマクロセル基地局11との間の距離や、マクロセル13の設定状況に基づいて、フェムトセル基地局2が展開可能なセルサイズ(つまりフェムトセル基地局2の送信電力)を算出する。そして、管理サーバ9は、マクロセル基地局11やマクロセル13に関する周辺セル情報と、フェムトセル基地局2の送信電力の設定情報とを含む構成情報通知S4を、フェムトセル基地局2に送信する。構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信される。周辺セル情報がフェムトセル基地局2に通知されることにより、セル間ハンドオーバやセル再選択等の処理に対応可能となる。
【0104】
次に設定部32は、管理サーバ9から受信した構成情報通知S4に含まれている周辺セル情報を記憶部22に登録するとともに、構成情報通知S4に含まれている送信電力の設定情報に基づいて、フェムトセル基地局2の送信電力を設定する。
【0105】
図4〜9に示した例において、フェムトセル基地局2の送信電力の設定が完了した後は、フェムトセル基地局2は使用可能な状態となり、電波送信を開始する。
【0106】
判定部33は、フェムトセル基地局2にアクセスしてきた携帯電話14の固有識別情報(電話番号又はIMSI等)が、記憶部22に記憶されている登録端末情報25に一致するか否かを判定する。そして、判定部33は、両者が一致する場合にはその携帯電話14に対してフェムトセル基地局2との通信を許可し、両者が一致しない場合にはその携帯電話14に対してフェムトセル基地局2との通信を禁止する。
【0107】
このように本実施の形態に係るフェムトセル基地局2によれば、取得部30は、管理サーバ6に登録されている終端装置3の住所情報(第1の位置情報)を、固定通信網5から取得する。そして、通知部31は、第1の位置情報をフェムトセル基地局2に関連する位置情報として移動体通信網8の管理サーバ9に通知する。従って、フェムトセル基地局2にGPS信号の受信機を搭載する場合と比較すると、フェムトセル基地局2の設置場所に関する位置情報の取得を簡易かつ低コストで実現することが可能となる。
【0108】
また、図6に示した例によれば、移動体通信網8の管理サーバ9には、フェムトセル基地局2に関連する事前登録住所情報(第2の位置情報)が予め登録されている。そして、第1の位置情報と第2の位置情報との比較結果に基づいて、取得部30における第1の位置情報の取得の可否が決定される。従って、契約時に申請した住所情報等(第2の位置情報)と実際の設置場所(第1の位置情報)とが異なる場合には取得部30に第1の位置情報を取得させないことにより、不正なフェムトセル基地局2によって第1の位置情報が取得されることを防止することが可能となる。
【0109】
また、図6〜9に示した例によれば、移動体通信網8の管理サーバ9には、フェムトセル基地局2に関連する事前登録住所情報(第2の位置情報)が予め登録されている。そして、第1の位置情報と第2の位置情報との比較結果に基づいて、フェムトセル基地局2の使用の可否が決定される。従って、契約時に申請した住所情報等(第2の位置情報)と実際の設置場所(第1の位置情報)とが異なる場合にはフェムトセル基地局2を使用させないことにより、フェムトセル基地局2の不正使用を防止することが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態に係るフェムトセル基地局2によれば、携帯電話14とフェムトセル基地局2との通信に関する構成情報通知S4は、移動体通信網8から固定通信網5及び終端装置3を介してフェムトセル基地局2に送信される。従って、マクロセル基地局11からの送信電波が到達し得ない場所にフェムトセル基地局2が設置され、フェムトセル基地局2が構成情報通知S4をマクロセル基地局11から受信できない場合であっても、固定通信網5及び終端装置3を経由することにより、フェムトセル基地局2は移動体通信網8から構成情報通知S4を受信することが可能となる。
【0111】
<第1の変形例>
上記実施の形態では、管理サーバ9が終端装置3の住所情報とフェムトセル基地局2の事前登録住所情報とを比較し、両者が一致しない場合にはフェムトセル基地局2の使用を拒否する処理を行った。
【0112】
これに対し、両者が一致しない場合であってもフェムトセル基地局2の使用を許可し、その代わりに、両者が一致しない場合には、フェムトセル基地局2との通信を許可する携帯電話14の制限(つまり登録端末情報25に基づく制限)を無効とする処理を行っても良い。
【0113】
例えば、フェムトセル基地局2の購入時に自宅の住所情報を申請し、家族の携帯電話に関する情報を登録端末情報25として登録しておく。この場合、フェムトセル基地局2を自宅に設置した場合には、フェムトセル基地局2と通信可能な携帯電話14は家族の携帯電話のみに制限され、一方、フェムトセル基地局2を持ち運んで職場に設置した場合には、任意の携帯電話14によってフェムトセル基地局2との通信が可能となる。
【0114】
第1の変形例によれば、移動体通信網8の管理サーバ9には、フェムトセル基地局2に関連する事前登録住所情報が予め登録されている。そして、終端装置3の住所情報とフェムトセル基地局2の事前登録住所情報との比較結果に基づいて、フェムトセル基地局2は、当該フェムトセル基地局2と通信可能な携帯電話14を決定する。これにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0115】
<第2の変形例>
図6〜9に示した例では、フェムトセル基地局2の一つの固有識別情報に対して一つの事前登録住所情報が管理サーバ9に登録された。
【0116】
これに対し、フェムトセル基地局2の一つの固有識別情報に対して複数の事前登録住所情報を管理サーバ9に登録しても良い。また、この場合、事前登録住所情報ごとに登録端末情報25を個別に設定しても良い。
【0117】
例えば、フェムトセル基地局2の購入時に自宅の住所情報と職場の住所情報とを申請することにより、自宅の住所及び職場の住所が、事前登録住所情報として管理サーバ9に登録される。そして、自宅の住所に関しては家族の携帯電話に関する情報を登録端末情報25として登録し、職場の住所に関しては同僚の携帯電話に関する情報を登録端末情報25として登録しておく。この場合、フェムトセル基地局2を自宅に設置した場合には、フェムトセル基地局2と通信可能な携帯電話14は家族の携帯電話のみに制限され、一方、フェムトセル基地局2を持ち運んで職場に設置した場合には、フェムトセル基地局2と通信可能な携帯電話14は同僚の携帯電話のみに制限される。なお、いずれの事前登録住所情報にも該当しない場合には、上記実施の形態のようにフェムトセル基地局2の使用を拒否しても良いし、上記第1の変形例のように登録端末情報25に基づく制限を無効とする処理を行っても良い。
【0118】
第2の変形例によれば、移動体通信網8の管理サーバ9には、フェムトセル基地局2に関連する複数の事前登録住所情報が予め登録されている。そして、終端装置3の住所情報とフェムトセル基地局2の複数の事前登録住所情報との比較結果に基づいて、フェムトセル基地局2は、当該フェムトセル基地局2における処理内容を決定する。これにより、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0119】
<第3の変形例>
上記実施の形態では、構成情報通知S4は、管理サーバ9から、移動体通信網8、固定通信網5、及び終端装置3を介して、フェムトセル基地局2に送信された。
【0120】
これに対し、図1に示したようにフェムトセル12がマクロセル13内に含まれることにより、フェムトセル基地局2がマクロセル基地局11からの送信電波を受信することが可能な状況である場合には、構成情報通知S4を、管理サーバ9から、移動体通信網8及びマクロセル基地局11を介して、フェムトセル基地局2に送信しても良い。
【0121】
第3の変形例によれば、構成情報通知S4は、移動体通信網8からマクロセル基地局11を介してフェムトセル基地局2に送信され、フェムトセル基地局2は、周辺基地局としてのマクロセル基地局11を介して構成情報通知S4を受信する。従って、ノウハウが含まれる可能性のある構成情報通知S4が固定通信網5を流れることを回避できるため、固定通信網5における情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0122】
また、フェムトセル基地局2が、移動体通信網8において、他の基地局から通知される、当該基地局に関連する位置情報としての第1の位置情報を受信し管理するとともに自装置の第1の位置情報を管理する機能、及び、前記機能をサービスとして提供する機能、すなわち、移動体通信網の管理サーバとしての機能を備えていても良い。
【0123】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 通信システム
2 フェムトセル基地局
3 終端装置
5 固定通信網
6,9 管理サーバ
8 移動体通信網
11 マクロセル基地局
14(14X,14Y) 携帯電話
21 処理部
22 記憶部
24 プログラム
25 登録端末情報
30 取得部
31 通知部
32 設定部
33 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線通信回線の終端装置を介して固定通信網に接続されるとともに、無線通信によって移動端末と通信可能な基地局装置であって、
前記終端装置に関連して前記固定通信網の管理サーバに登録されている第1の位置情報を、前記固定通信網から取得する取得手段と、
前記第1の位置情報を前記基地局装置に関連する位置情報として移動体通信網の管理サーバに通知する通知手段と
を備える、基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−223600(P2011−223600A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123247(P2011−123247)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2011−512338(P2011−512338)の分割
【原出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】