説明

管理装置、及びプログラム

【課題】情報処理装置からファイアウォールを介して管理装置に行われるポーリングのタイミングを、適切なタイミングとする。
【解決手段】管理サーバ30は、少なくとも1つのプリンタ20から、プリンタ20への送信要求があるか否かを問い合わせるポーリング信号を、ファイアウォール10を介して受信し、プリンタ20によるポーリング信号の送信タイミングを決定し、受信されたポーリング信号に対する応答に、決定される送信タイミングを含めて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置に障害が発生した際には、情報処理装置をその障害から復旧させるための復旧データを、外部の管理サーバから情報処理装置に送信して対応することがある。この場合に、情報処理装置と管理サーバとの間にファイアウォールが設けられていると、管理サーバから情報処理装置に復旧データを送信してもファイアウォールによりブロックされる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の技術では、情報処理装置から管理サーバに定期的にポーリングを行い、管理サーバは、そのポーリングの応答として復旧データを情報処理装置に送信することで対応している。
【特許文献1】特開2003−330823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、情報処理装置からファイアウォールを介して管理装置に行われるポーリングのタイミングを、適切なタイミングとすることができる管理装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の管理装置の発明は、少なくとも1つの情報処理装置から、該情報処理装置への送信要求があるか否かを問い合わせるポーリング信号を、ファイアウォールを介して受信する受信手段と、前記情報処理装置による前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する決定手段と、前記受信手段により受信されたポーリング信号に対する応答に、前記決定手段により決定される送信タイミングを含めて送信する送信手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管理装置において、前記情報処理装置から受信されるポーリング信号を利用して処理を行う少なくとも1つの処理手段をさらに含み、前記処理手段は、それぞれ、前記情報処理装置によるポーリング信号の送信タイミングを指定する指定手段を含み、前記決定手段は、前記指定手段のいずれかにより指定される送信タイミングに、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の管理装置において、前記決定手段は、前記各処理手段により指定される送信タイミングの中から、所定の条件に従って選択された送信タイミングに、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の管理装置において、前記管理装置の負荷を監視する監視手段をさらに含み、前記決定手段は、前記監視手段により監視される負荷に基づいて、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の管理装置において、前記管理装置の負荷は、前記情報処理装置から受信されるポーリング信号の頻度に基づいて決定される、ことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の管理装置において、前記情報処理装置に送信する送信情報を記憶する記憶手段をさらに含み、前記決定手段は、前記記憶手段に記憶される送信情報の少なくとも一部が未送信である場合に、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載のプログラムの発明は、少なくとも1つの情報処理装置から、該情報処理装置への送信要求があるか否かを問い合わせるポーリング信号を、ファイアウォールを介して受信する受信手段、前記情報処理装置による前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する決定手段、及び、前記受信手段により受信されたポーリング信号に対する応答に、前記決定手段により決定される送信タイミングを含めて送信する送信手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、情報処理装置からファイアウォールを介して管理装置に行われるポーリングのタイミングを、適切なタイミングとすることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、情報処理装置によるポーリングの送信タイミングを、ポーリングを利用したアプリケーションのいずれかにより指定されるタイミングとすることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、情報処理装置によるポーリングの送信タイミングを、ポーリングを利用した各アプリケーションにより指定されるタイミングの中から、所定の条件に従って選択されたタイミングとすることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、情報処理装置によるポーリングの送信タイミングを、管理装置の負荷に応じたタイミングとすることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、情報処理装置によるポーリングの送信タイミングを、情報処理装置から受信されるポーリングの頻度に応じたタイミングとすることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、情報処理装置に送信するデータが残存している間は、指定したタイミングで、情報処理装置にポーリングを行わせることができる。
【0018】
請求項7の発明によれば、情報処理装置からファイアウォールを介して管理装置に行われるポーリングのタイミングを、適切なタイミングとするようにコンピュータを機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0020】
図1には、本実施形態に係る管理システム1のシステム構成図を示す。図1に示されるように、管理システム1は、ファイアウォール10、プリンタ20、及び管理サーバ30を含む。
【0021】
プリンタ20は、ローカルエリアネットワーク40に接続し、管理サーバ30は、外部ネットワーク50に接続する。ローカルエリアネットワーク40と、外部ネットワーク50とは、ファイアウォール10を介して接続される。なお、外部ネットワーク50は、例えば、インターネットであることとしてもよい。
【0022】
本実施形態では、ファイアウォール10、プリンタ20、及び管理サーバ30はそれぞれ、TCP/IPのプロトコルにより通信を行う。そして、プリンタ20には、ローカルエリアネットワーク40におけるネットワークの体系に基づくIPアドレスが割り振られる。また、管理サーバ30には外部ネットワーク50におけるネットワークの体系に基づくIPアドレスが割り振られる。
【0023】
ファイアウォール10は、プリンタ20が接続されるローカルエリアネットワーク40と、管理サーバ30が接続される外部ネットワーク50との間で行われる通信を制御する。ファイアウォール10は、ファイアウォール内部のローカルエリアネットワーク40を、ファイアウォール外部の外部ネットワーク50からの不正なアクセスから保護することを目的として設けられる。ファイアウォール10には、パケットフィルタリング機能を備えるファイアウォールを用いてもよいし、プロキシー機能を備えるファイアウォールを用いてもよい。また、ファイアウォール10は、ソフトウェアとしてプリンタ20に組み込まれてもよいし、専用のハードウェア(ファイアウォールサーバ)として実現されることとしてもよい。例えば、ファイアウォール10が、パケットフィルタリング機能を備えるサーバである場合には、以下のようにしてプリンタ20と管理サーバ30との通信を制御する。
【0024】
パケットフィルタリング型のファイアウォールサーバでは、パケットフィルタリングとともにアドレス変換機能を用いる。アドレス変換機能とは、パケットの送信元と送信先とのアドレスを書き換える機能である。アドレスは、IPアドレスとポート番号により指定されるものとしてよい。例えば、図1における管理システム1では、プリンタ20がファイアウォール10を越えて、管理サーバ30にアクセスする際には、送信元のアドレス、すなわちプリンタ20のアドレスをファイアウォールサーバが書き換える。そして、アドレスが変換されたパケットの応答が、管理サーバ30から返信されると、送信先のアドレス、すなわち管理サーバ30のアドレスがファイアウォールサーバにより書き換えられる。
【0025】
このように、ファイアウォールサーバは、ファイアウォールを介した通信を成立させるために、メモリにアドレス変換テーブルを記憶する。このアドレス変換テーブルには、IPアドレス及びポート番号に対して、それを変換するIPアドレス及びポート番号が格納される。
【0026】
ファイアウォールサーバには、プリンタ20への送信を許可するIPアドレスとポート番号を設定したり、ファイアウォール外から直接送信されるパケットを遮断したりするように設定できる。こうして、管理サーバ30を起点としてプリンタ20に送信された信号は、ファイアウォールサーバにより遮断され、プリンタ20に到達しない。一方で、プリンタ20から管理サーバ30にポーリングを行い、その応答として管理サーバ30からプリンタ20にデータを送信する際には、その応答に利用されるIPアドレスとポート番号に対してファイアウォールサーバを通過できるように設定できる。こうして、管理サーバ30によるポーリングに対する応答信号は、ファイアウォールサーバに遮断されずに、プリンタ20に到達される。
【0027】
次に、プリンタ20に備えられる構成について説明する。図1に示されるように、プリンタ20は、通信部200、制御部202、及び画像形成部204を含む。各部は相互に通信可能とされる。
【0028】
通信部200では、ファイアウォール10を介して、管理サーバ30と通信が行われる。通信部200は、ネットワークインターフェースにより実現される。上述したように、通信部200による通信は、TCP/IPのプロトコルにより行われる。
【0029】
通信部200は、ファイアウォール10を介して、管理サーバ30にポーリング信号を送信する。ポーリング信号は、プリンタ20への送信要求があるか否かを問い合わせる信号である。本実施形態では、ポーリング信号は、所定の周期で管理サーバ30へと送信されるものと、管理サーバ30から指定された送信タイミングで管理サーバ30へと送信するものとがある。そして、通信部200は、送信したポーリング信号に対する応答信号を、管理サーバ30から受信する。管理サーバ30からの応答信号についての詳細は、後述する。
【0030】
また、通信部200は、上記の通信処理以外にも、ローカルエリアネットワーク40に接続されるクライアントコンピュータ(図示なし)等から印刷ジョブのデータを受信する。
【0031】
制御部202は、中央処理装置を含み、プリンタ20の各部を制御する。制御部202は、画像形成部204において行われる画像形成処理の制御も行う。制御部202は、通信部200でクライアントコンピュータから受信した印刷データのラスタ処理を行い、ビットマップデータを生成する。そして、制御部202は、生成したビットマップデータを画像形成部204に転送する。
【0032】
また、制御部202では、管理サーバ30に送信するポーリング信号の送信が制御される。本発明では、ポーリング信号の制御としては、少なくともその送信タイミングの制御が行われる。
【0033】
プリンタ20によるポーリング信号の送信タイミングは、管理サーバ30から送信されるポーリング信号の応答信号に含まれる制御信号に従って設定される。制御信号には、ポーリング信号の少なくとも1回の送信タイミングを指定する送信タイミングの指定情報が含まれる。送信タイミングは、絶対時刻により指定してもよいし、現在時刻から何分後のように相対時刻で指定してもよい。
【0034】
画像形成部204は、制御部202から転送されたビットマップデータに基づいて、感光体上に転写画像を形成する。そして、感光体上に形成された転写画像は、給紙機構により給紙される印刷用紙に転写される。画像が転写された印刷用紙は、排紙機構により排紙される。こうして、画像形成部204では、画像形成処理が行われる。
【0035】
次に、管理サーバ30に備えられる構成について説明する。図1に示されるように、管理サーバ30は、通信部300、及び制御部302を含む。各部は、相互に通信可能とされる。各部は、管理サーバを構成するプロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェース(NIC)等の一般的なコンピュータシステムを構成するハードウェアにより実現される。
【0036】
例えば、通信部300は、NICにより実現されるものであり、他の情報通信機器とTCP/IPのプロトコルにより通信を行うものとしてよい。そして、制御部302は、中央処理装置(CPU)がメモリ(RAM,ROM等を含む)やハードディスク等に格納されるプログラムに含まれる命令に従って管理サーバ30の各部を制御するものである。また、上記のプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ又はその他あらゆる形態の情報記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。その場合には、管理サーバ30に接続された媒体読取装置により、情報記憶媒体からプログラムが読み込まれる。また、上記のプログラムは、ネットワークを介してダウンロードされるものとしても構わない。
【0037】
通信部300では、ファイアウォール10を介して、プリンタ20と通信が行われる。例えば、通信部300は、プリンタ20により送信されるポーリング信号を受信する。
【0038】
また、通信部300では、プリンタ20から受信したポーリング信号に対する応答信号を、ポーリング信号の送信元のプリンタ20に返信する。応答信号には、プリンタ20により送信されるポーリング信号の送信タイミングを制御する制御信号が含まれる。制御信号には、ポーリング信号の少なくとも1回の送信タイミングを指定する送信タイミングの指定情報が含まれる。
【0039】
制御部302は、中央処理装置(CPU)を含み、メモリに格納された制御プログラムに従って管理サーバ30の各部を制御する。そして、制御部302はさらに、アプリケーション処理部304、送信タイミング管理部306、記憶部308と送信データ管理部310を含む。
【0040】
アプリケーション処理部304では、1又は複数のアプリケーションによりポーリング信号を利用する処理が行われる。ここで、ポーリング信号を利用する処理とは、例えば、プリンタからポーリング信号とともにデータを受信したり、アプリケーション処理部304において生成されたデータを送信データとして、ポーリング信号に対する応答に含めてプリンタに送信したりする処理等を含むものである。なお、アプリケーション処理部304は、メモリに格納される所定のプログラムに従って、CPUが動作することで実現される。
【0041】
そして、アプリケーション処理部304において処理される各アプリケーションによって、プリンタにより送信されるポーリング信号の送信タイミングが指定される。アプリケーションにより指定されるタイミングは、例えば、送信データの生成処理が完了する時間に応じたものとしてよい。
【0042】
送信タイミング管理部306では、アプリケーション処理部304において処理される各アプリケーションにより指定されたポーリング信号の送信タイミングに基づいて、プリンタ20に指定するポーリング信号の送信タイミングが決定される。ポーリング信号の送信タイミングは、例えば、アプリケーションから指定された送信タイミングのうち、現在時刻に最も近い送信タイミングを選択するようにしてもよい。この送信タイミングの選択についての詳細は、後述する。
【0043】
記憶部308には、アプリケーション処理部304において処理される各アプリケーションにより生成された送信データが記憶される。記憶される送信データには、その送信先が関連づけられている。そして、記憶部308に記憶される送信データは、CPUにより読み出された後に、ポーリング信号の応答に含めて送信される。
【0044】
送信データ管理部310は、プリンタ20からのポーリング信号の応答に含めて送信する送信データを管理する。送信データ管理部310は、送信データがポーリング信号の応答として許容されるデータサイズを超過する場合には、送信データを適切なデータ位置で分割してもよい。また、送信データ管理部310は、記憶部に未送信の送信データがあるか否かを判断し、未送信の送信データがあると判断する場合には、プリンタ20が続けてポーリング信号を送信するように、送信タイミング管理部306に要求する。
【0045】
送信タイミング管理部306では、送信データ管理部310から、上記のポーリング信号の送信タイミングの要求を受けると、次のポーリング信号の送信タイミングを、例えば、現在時刻から所定の時間後に設定した送信タイミングを指定する制御信号をプリンタ20からのポーリング信号の応答に含めて送信する。例えば、所定の時間は、5分程度の短時間としてよく、周期的なポーリング信号の送信間隔と比較して短い時間間隔で設定することが望ましい。
【0046】
以下、図2に示すシーケンス図を参照しつつ、管理システム1における処理の一例を説明する。
【0047】
管理サーバ30では、1又は複数のアプリケーションによる処理が行われる。そして、各アプリケーションでは、プリンタ20によるポーリング信号の送信タイミングが指定される(S101)。アプリケーションにより指定されるタイミングは、例えば、送信データの生成処理が完了する時間に応じたものとしてよい。
【0048】
送信タイミング管理部306では、上記の各アプリケーションにより指定されたタイミングに基づいて、プリンタ20に指定するポーリング信号の送信タイミングを決定する(S102)。以下、送信タイミングの決定処理について、具体例を用いて説明する。
【0049】
図3には、複数のアプリケーションのそれぞれにより指定された、ポーリング信号の送信タイミングの一例を示す。図3においては、ポーリング信号の送信タイミングは、送信間隔(時間周期)、又は時刻により指定されるものである。そして、プリンタに指定する送信タイミングを、現在時刻から最も近いタイミングとする場合には、図3に示される各例では、送信タイミングが以下のように決定される。
【0050】
図3(A)に示される例では、アプリケーションA,B,Cにより指定される時間がそれぞれ「60分間隔」、「120分間隔」、「30分間隔」であるため、その中でも最も現在時刻に近いアプリケーションCの「30分間隔」に従い、「30分後の時刻」が送信タイミングとして選択される。そして、アプリケーションCによる要求がキャンセルされた場合には、次に早いタイミングとなる時刻が選択される。
【0051】
そして、図3(B)に示される例ではアプリケーションD,E,Fによりそれぞれ、「60分間隔」、「120分間隔」、「10:00」と指定されるように、アプリケーションによる指定に送信間隔と時刻が混在している。ここで、現在時刻を9:30とした場合には、現在時刻に最も近いタイミングとして、アプリケーションFにより指定される「10:00」が選択される。次に、プリンタ20から10:00にポーリング信号が送信された場合には、その60分後の「11:00」が送信タイミングとして決定される。
【0052】
プリンタ20からは、ポーリング信号が送信される(S103)。ここで、送信されるポーリング信号は、管理サーバ30により指定された送信タイミングで送信される信号であってもよいし、所定の周期でプリンタ20から送信される信号であってもよい。そして、管理サーバ30は、プリンタ20により送信されたポーリング信号を受信する。
【0053】
管理サーバ30は、プリンタ20から受信したポーリング信号に対する応答に、先に決定したポーリング信号の送信タイミングを指定する制御信号を含めて、プリンタ20に送信する(S104)。
【0054】
プリンタ20は、管理サーバから送信された応答を受信する。そして、応答に含まれる送信タイミングを指定する制御信号に基づいて、次に送信するポーリング信号の送信タイミングを設定する(S105)。
【0055】
プリンタ20は、設定した送信タイミングに従って、ポーリング信号を送信する(S106)。そして、管理サーバ30からは、ポーリング信号に対する応答信号を受信する(S107)。ここで、プリンタ20に指定する送信タイミングが決定されている場合には、上記の応答信号に送信タイミングを指定する制御信号を含めることとしてもよい。
【0056】
次に、図4に示されるシーケンス図を参照しつつ、管理システム1において行われる処理の他の例を説明する。
【0057】
管理サーバ30では、1又は複数のアプリケーションによる処理が行われる。そして、少なくとも1つのアプリケーションにより生成された送信データがメモリに格納される(S201)。この送信データは、送信先のデバイス(本実施形態ではプリンタ20)に関連づけられてメモリに格納される。
【0058】
そして、各アプリケーションにより、プリンタ20によるポーリング信号の送信タイミングが指定される(S202)。アプリケーションにより指定されるタイミングは、例えば、送信データの生成処理が完了する時間に応じたものとしてよい。
【0059】
送信タイミング管理部306では、上記のアプリケーションにより指定されたタイミングに基づいて、プリンタ20に指定するポーリング信号の送信タイミングが決定される(S203)。
【0060】
プリンタ20からは、ポーリング信号が送信される(S204)。ここで、送信されるポーリング信号は、管理サーバ30により指定された送信タイミングで送信される信号であってもよいし、所定の周期でプリンタ20から送信される信号であってもよい。そして、管理サーバ30は、プリンタ20により送信されたポーリング信号を受信する。
【0061】
管理サーバ30は、プリンタ20から受信したポーリング信号に対する応答に、先に決定したポーリング信号の送信タイミングを指定する制御信号を含めて、プリンタ20に送信する(S205)。
【0062】
プリンタ20は、管理サーバ30から送信された応答を受信する。そして、応答に含まれる送信タイミングを指定する制御信号に基づいて、次に送信するポーリング信号の送信タイミングを設定する(S206)。
【0063】
ここで、管理サーバ30では、プリンタ20に対して未送信の送信データがあるか否かを判断する(S207)。未送信の送信データがあるか否かは、プリンタ20に送信するデータとして記憶部308に記憶されている送信データが残存しているか否かにより判断することとしてよい。
【0064】
そして、上記の判断によりプリンタ20に未送信の送信データがあると判断される場合には(S207:Y)、管理サーバ30では、プリンタ20に指定するポーリング信号の送信タイミングを決定する(S208)。決定される送信タイミングは、例えば、現在から5分後のように、現在時刻から所定の時間後に設定する。
【0065】
そして、プリンタ20は、設定した送信タイミングに基づいて、ポーリング信号を送信し(S209)、その応答として、送信タイミングを指定する制御信号を含んだ応答信号を受信する(S210)。上記の処理は、プリンタ20に未送信の送信データがなくなるまで継続するようにしてもよい。
【0066】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。以下に、上記実施形態の変形例を説明する。
【0067】
管理サーバ30は、管理サーバ30の負荷を監視し、監視される負荷に応じて、プリンタに指定する送信タイミングを決定することとしてもよい。管理サーバ30の負荷は、CPU負荷、メモリアクセスの頻度や待ち時間、通信負荷等に応じたものとしてもよいし、プリンタ20から受信するポーリング信号の頻度に応じたものとしてもよい。
【0068】
例えば、管理サーバ30の負荷を、プリンタ20から受信するポーリング信号の頻度に応じたものとする場合には、所定時間(例えば、今後1時間)の間にプリンタ20(又は他の情報処理装置)により送信されるポーリング信号の受信回数に応じて負荷を決めることとしてもよい。そして、所定時間内に予測又は計測されるポーリング信号の受信回数が閾値を超えるか否かを判断し、閾値を超えると判断する場合には、今後の所定時間内にはプリンタ20にポーリング信号の送信タイミングを指定しないように、管理サーバ30を制御するようにしてもよい。
【0069】
以下、図5を参照しつつ、管理サーバ30の負荷に基づいて、ポーリング信号の送信タイミングを決定する処理について、具体例を用いて説明する。以下の例では、管理サーバ30における負荷が高く、30分以内のポーリングを受け付けないように制御しているものとする
【0070】
図5には、1又は複数のアプリケーションのそれぞれにより指定される送信タイミングが示される。図5に示されるように、アプリケーションAによりプリンタ20に「5分間隔」でポーリング信号の送信タイミングの指定があるとする。このときに、現在時刻が9:45であるとすると、管理サーバ30の負荷により30分以内にポーリング信号の送信タイミングを指定することが禁止されているために、9:45からの5分間隔にある9:50,9:55等の時刻は指定されない。そして、負荷による禁止時間が解消される、現在時刻から30分後の10:15が、送信タイミングとして決定される。ここで、例えば、アプリケーションAにより「45分間隔」でポーリング信号の送信タイミングが指定されていた場合には、現在時刻から45分後は、負荷による禁止時間の30分を既に経過しているため、アプリケーションAにより指定される「45分間隔」に従って、「10:30」が送信タイミングとして決定される。
【0071】
また、図5に示されるように、アプリケーションBから「10:00」というポーリング信号の送信タイミングの指定を受けた場合には、「10:00」は、現在時刻「9:45」から30分以内と、負荷により禁止される時間範囲にあるため、その時間範囲外となる「10:15」が送信タイミングとして決定される。
【0072】
また、送信タイミングを決定する際には、以下のようにそれぞれの条件に優先度をつけてそれに従うこととしてもよい。すなわち、アプリケーションにより指定される送信タイミングと、負荷状況により禁止される時間範囲と、送信データが残存している場合とにより指定される送信タイミングのそれぞれの条件に対して優先度を付け、それに従って送信タイミングを決定することとしてもよい。
【0073】
例えば、図6には、上記の各条件の一例を示す。図6に示される例において、負荷に応じて禁止される時間範囲を最優先とする場合には、送信タイミングは、アプリケーションAや未送信データが残存していることにかかわらず「30分後の時刻」とされる。一方で、送信データを迅速にプリンタ20に送信完了することを最優先とする場合には、送信タイミングは、アプリケーションAや負荷状況に従って禁止される時間範囲にかかわらず「5分後の時刻」とされる。そのように各条件に優先度を付与し、その付与した優先度に従って、送信タイミングを決定するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、管理サーバ30はプリンタ20に次に送信するポーリング信号の送信タイミングを指定しているが、複数回の送信タイミングをまとめて指定することとしてもよい。
【0075】
また、本発明は、プリンタ(画像処理装置)に限られず、パーソナルコンピュータ等の他の情報処理装置に対して、ポーリング信号の送信タイミングを指定する際にも用いることができるのはもちろんのことである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態に係る管理システムのシステム構成図である。
【図2】管理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【図3】指定されたポーリング信号の送信タイミングの一例を示す図である。
【図4】管理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【図5】指定されたポーリング信号の送信タイミングの一例を示す図である。
【図6】ポーリング信号の送信タイミングを指定する条件の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 管理システム、10 ファイアウォール、20 プリンタ、30 管理サーバ、40 ローカルエリアネットワーク、50 外部ネットワーク、200 通信部、202 制御部、204 画像形成部、300 通信部、302 制御部、304 アプリケーション処理部、306 送信タイミング管理部、308 記憶部、310 送信データ管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの情報処理装置から、該情報処理装置への送信要求があるか否かを問い合わせるポーリング信号を、ファイアウォールを介して受信する受信手段と、
前記情報処理装置による前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する決定手段と、
前記受信手段により受信されたポーリング信号に対する応答に、前記決定手段により決定される送信タイミングを含めて送信する送信手段と、
を含むことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置から受信されるポーリング信号を利用して処理を行う少なくとも1つの処理手段をさらに含み、
前記処理手段は、それぞれ、
前記情報処理装置によるポーリング信号の送信タイミングを指定する指定手段を含み、
前記決定手段は、前記指定手段のいずれかにより指定される送信タイミングに、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記各処理手段により指定される送信タイミングの中から、所定の条件に従って選択された送信タイミングに、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記管理装置の負荷を監視する監視手段をさらに含み、
前記決定手段は、前記監視手段により監視される負荷に基づいて、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
前記管理装置の負荷は、前記情報処理装置から受信されるポーリング信号の頻度に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置に送信する送信情報を記憶する記憶手段をさらに含み、
前記決定手段は、前記記憶手段に記憶される送信情報の少なくとも一部が未送信である場合に、前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の管理装置。
【請求項7】
少なくとも1つの情報処理装置から、該情報処理装置への送信要求があるか否かを問い合わせるポーリング信号を、ファイアウォールを介して受信する受信手段、
前記情報処理装置による前記ポーリング信号の送信タイミングを決定する決定手段、及び、
前記受信手段により受信されたポーリング信号に対する応答に、前記決定手段により決定される送信タイミングを含めて送信する送信手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−177740(P2008−177740A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7894(P2007−7894)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】