説明

管継手及び配管用ヘッダー

【課題】連結及び連結の解除を可能とする管継手、及びこの管継手により構成される配管用ヘッダーを提供する。
【解決手段】連結部18へ内管部14の他端部16を挿入し、保持部材48により保持することによって、ヘッダーユニット12を連結することができる。また、スペース54へ挿入した押し部材56によりコレット34を連結部18の奥側へ押すことにより、ヘッダーユニット12の連結を解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入された流体を分岐する配管用ヘッダー、及び複数連結することによりこの配管用ヘッダーを構成する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直線流路とこの直線流路から分岐された分岐流路とを有する管継手を複数連結することによって構成される配管用ヘッダーが用いられている。特許文献1のヘッダー構造は、ヘッダー基体の端部に形成された内筒を、他のヘッダー基体の端部に形成された筒体に挿入してワンタッチ接続し、複数のヘッダー基体を連結することにより構成されている。
【0003】
しかし、ヘッダー基体同士の連結は解除することができないので、一度組み立てられてしまったヘッダー構造の構成を変更することができない。例えば、このような配管用ヘッダーを設置する現場でヘッダー構造の構成を変更する必要が生じた場合に、その場でヘッダー基体の削減や連結順の変更等ができないので、工場にて新たに製造し直さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−100807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は係る事実を考慮し、連結及び連結の解除を可能とする管継手、及びこの管継手により構成される配管用ヘッダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、連結部が一端部に形成された内管部と、前記内管部の他端部を露出させて該内管部の外周に設けられた外管部と、を有する管継手において、前記連結部は、該連結部に挿入された一の管継手の前記内管部の他端部を保持する保持部材と、該保持部材による保持状態を解除する解除部材と、を備え、前記内管部の他端部を他の管継手の前記連結部へ挿入し前記保持部材に保持された状態で、前記外管部の一端部と該他の管継手の前記連結部との間に前記解除部材を操作できるスペースが形成される管継手である。
【0007】
請求項1に記載の発明では、内管部の他端部を、他の管継手の連結部へ挿入し他の管継手の保持部材により保持することによって、管継手と他の管継手とを連結することができる。また、外管部の一端部と他の管継手の連結部との間に形成されるスペースを利用して解除部材を操作することにより、他の管継手の保持部材による内管部の他端部の保持状態が解除され、管継手と他の管継手との連結を解除することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記スペースは、前記外管部の一端部を切り欠いた切欠部である請求項1に記載の管継手である。
【0009】
請求項2に記載の発明では、スペースを切欠部とすることによって、外管部の一端部に、さまざまな大きさ、配置、及び数のスペースを形成することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記切欠部は、前記外管部の一端部の周方向に沿って複数形成されている。
【0011】
請求項3に記載の発明では、外管部の一端部の周方向に沿って切欠部を複数形成することにより、「複数の切欠部を同時に利用しなければ管継手の連結を解除できない」ようにすることができる。すなわち、管継手の連結が勝手に解除されることを防ぐことができる。また、管継手の連結を解除できる者を特定の者(管継手を確実に連結できる者)に制限することができる。このようにすれば、この者(特定の者)が管継手の連結作業を行うことになるので、管継手の連結ミスを防ぐことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記内管部から分岐する分岐流路を有する。
【0013】
請求項4に記載の発明では、管継手へ流入する流体を分岐することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の管継手を複数連結して構成した配管用ヘッダーである。
【0015】
請求項5に記載の発明では、管継手を複数連結することにより、管継手をさまざまに組合せた配管用ヘッダーを構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成としたので、連結及び連結の解除を可能とする管継手、及びこの管継手により構成される配管用ヘッダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る配管用ヘッダーを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る配管用ヘッダーを示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る管継手を連結する前の状態を示す側断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る管継手を連結した状態を示す側断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る管継手の内管に引抜力が作用した状態を示す側断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る管継手の連結を解除する方法を示す側断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る管継手の連結を解除する方法を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る管継手の切欠部を示す横断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る押し部材を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る管継手の変形例を示す側断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る管継手の適用例を示す側断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る管継手の適用が可能な連結機構の爪部材及び解放リングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態の配管用ヘッダー及び管継手について説明する。
【0019】
図1の斜視図に示すように、配管用ヘッダー10は、管継手としてのヘッダーユニット12を複数連結して構成されている。図2の側断面図に示すように、ヘッダーユニット12は、内管部としての内管14、外管部としての外皮樹脂24、連結部18、及び分岐口20を有している。
【0020】
図1、及び図2の側断面図には、連結し合う3つのヘッダーユニット12が示されている。説明の都合上、左側に配置されている一の管継手としてのヘッダーユニット12をヘッダーユニット12A、中央に配置されているヘッダーユニット12をヘッダーユニット12B、右側に配置されている他の管継手としてのヘッダーユニット12をヘッダーユニット12Cとする。
【0021】
内管14は、水、湯等の流体が流れる直線流路22を有している。また、内管14には、直線流路22から分岐されこの直線流路22と略直交する分岐流路(不図示)が設けられている。分岐流路を流れる流体の出入口となる分岐口20には、給水、給湯、又は排水用パイプ等の管体が着脱可能に接続される。
【0022】
連結部18は、内管14の一端部に形成された筒部92と、筒部92に設けられたキャップ38とによって構成されている。すなわち、連結部18は、内管14の一端部に形成されている。また、内管14の中央部(直線流路22と分岐流路とが交差する付近)の外面(外周)は、内管14の他端部16を露出させて外皮樹脂24によって覆われている。
【0023】
筒部92の外周面には雄ネジ36が形成されており、円筒状に形成されたキャップ38は、内周面に形成された雌ネジ40に雄ネジ36をねじ込むことによって筒部92に取り付けられている。
【0024】
筒部92の内壁には、内管14の他端部16に形成された開口部26からキャップ38の開口部28へ向って、Oリング30、サポートリング32、解除部材としてのコレット34がこの順に設けられている。以降の説明では、内管14の材軸に対して、開口部26から開口部28へ向かう方向をX方向とし、開口部28から開口部26へ向かう方向(X方向と反対の方向)をY方向とする。Oリング30、サポートリング32、及びコレット34は、環状の部材である。
【0025】
Oリング30は、筒部92に一のヘッダーユニット12の内管14の他端部16が挿入されたときに、内周面が内管14の外周面に接触して、内管14と連結部18との連結部分における止水性を確保する(内管14と連結部18との連結部分から流体が漏れないようにする)。
【0026】
図5の側断面図に示すように、サポートリング32の開口部28側の端部には、サポートリング32の半径方向外側へ突出するフランジ部42が形成され、サポートリング32のOリング30側の端部には、サポートリング32の半径方向内側へ突出するフランジ部44が形成されている。
【0027】
サポートリング32は、筒部92の端部と、筒部92に取り付けられたキャップ38とによってフランジ部42を挟むことにより、筒部92に固定されている。
【0028】
フランジ部44は、Oリング30とコレット34との間に位置し、フランジ部44の先端部は、X方向へ向ってサポートリング32の半径方向内側に傾斜するテーパー部46を有するように楔状に形成されている。
【0029】
コレット34は、X方向及びY方向へ移動可能に設けられており、コレット34に複数形成された材軸方向のスリット(不図示)によって、コレット34の半径方向へ拡縮することができる。コレット34には、内周面から半径方向内側へ突出する保持部材としての爪部材48が周方向に沿って複数設けられている。爪部材48は、Y方向へ向ってコレット34の半径方向内側へ突出している。すなわち、筒部92の内壁に保持部材としての爪部材48が設けられている。
【0030】
コレット34の外周面におけるX方向中間部付近には、X方向に向ってコレット34の外径を縮径するようにテーパー部50が形成されている。キャップ38の内周面には、テーパー部50と対向するテーパー部52が形成されている。
【0031】
外皮樹脂24の一部は切り欠かれて切欠部54が1つ形成されている。切欠部54は、図2のA−A断面図である図8(a)に示すように、外皮樹脂24の下半分が切り欠かれた半円弧状に形成されている。切欠部54には、後に説明する押し部材56が挿入される。
【0032】
次に、本発明の実施形態のヘッダーユニットの連結及び連結の解除について説明する。以降の説明では、ヘッダーユニット12Bとヘッダーユニット12Cとの連結及び連結の解除について述べるが、他のヘッダーユニット同士の連結及び連結の解除についても同様である。
【0033】
図3に示すヘッダーユニット12Cの連結部18へヘッダーユニット12Bの内管14の他端部16をY方向へ挿入すると、図4の側断面図に示すように、コレット34の爪部材48が内管14の外周面に接触して内管14とともにコレット34がY方向へ移動する。これにより、コレット34の端部はサポートリング32のテーパー部46上に乗り上げるようにして摺動し、コレット34が半径方向へ拡径する。よって、内管14の外周面に爪部材48を押し付ける力が減少し、連結部18へ内管14の他端部16を容易に挿入することができる。
【0034】
内管14(直線流路22)に流体が流されて内管14(直線流路22)内が加圧される、又はヘッダーユニット12Bが引っ張られる等により、連結部18から内管14を引き抜こうとする力が作用した場合には、図5に示すように、内管14はX方向へ移動する。これにより、コレット34の端部は、サポートリング32のテーパー部46上を下るようにして摺動し、コレット34が半径方向へ縮径する。よって、内管14の外周面に爪部材48を押し付ける力が増大し、連結部18から内管14の他端部16が抜け出るのを阻止して、連結部18に内管14の他端部16を保持することができる。
【0035】
さらに、連結部18から内管14を引き抜こうとする力が作用し続けられた場合、コレット34はX方向へさらに移動し、コレット34のテーパー部50がキャップ38のテーパー部52に対して摺動する。これにより、コレット34は半径方向に縮径し、内管14の外周面に爪部材48を押し付ける力が増大して管部16の外周面に爪部材48が食い込み、連結部18から内管14の他端部16が抜け出るのを阻止して、連結部18に内管14の他端部16を保持することができる。
【0036】
ヘッダーユニット12Cの連結部18からヘッダーユニット12Bの内管14の他端部16を引き抜いて、ヘッダーユニット12Cからヘッダーユニット12Bを取り外す際には、まず、図6(a)の側断面図、及び図7(a)の斜視図に示すように、切欠部54へ押し部材56を挿入し、図6(b)の側断面図に示すように、押し部材56をコレット34の前方に配置する。図6(a)及び図7(a)に示すように、押し部材56は、半円状の円弧断面を有する板部58と、板部58の端部から半径方向外側に突出して設けられた鍔部60とにより構成されている。
【0037】
次に、図6(c)、及び図7(b)の斜視図に示すように、押し部材56をY方向へ押し込み、板部58の端面をコレット34の端面に当てて筒部92の奥側へ(Y方向へ)コレット34を押す。これにより、コレット34はY方向へ移動するので、コレット34の端部はサポートリング32のテーパー部46上に乗り上げるようにして摺動し、コレット34が半径方向へ拡径する。よって、内管14の外周面に爪部材48を押し付ける力が無くなり、ヘッダーユニット12Cの連結部18からヘッダーユニット12Bの内管14の他端部16を引き抜くことが可能な状態になる。すなわち、連結部18から内管14の他端部16が抜け出るのを爪部材48が阻止する保持状態が解除される。
【0038】
このように、ヘッダーユニット12では、ヘッダーユニット12Bの内管14(他端部16)をヘッダーユニット12Cの連結部18へ挿入し、ヘッダーユニット12Cの爪部材48に保持された状態において、ヘッダーユニット12Bの外皮樹脂24の一端部とヘッダーユニット12Cの連結部18(キャップ38)との間に、コレット34を操作できるスペースとしての切欠部54が設けられている。
【0039】
次に、本発明の実施形態の配管用ヘッダー及びヘッダーユニットの作用及び効果について説明する。
【0040】
図3、4に示すように、ヘッダーユニット12Cの連結部18へヘッダーユニット12Bの内管14の他端部16を挿入し、ヘッダーユニット12Cの爪部材48により保持することによって、ヘッダーユニット12Bとヘッダーユニット12Cとを連結することができる。
【0041】
また、図6(a)〜(c)に示すように、切欠部54へ押し部材56を挿入してコレット34の前方に配置し、この押し部材56によってコレット34を筒部92の奥側(Y方向)へ押せば、連結部18に挿入された内管14の他端部16が抜け出るのを爪部材48が阻止する状態が解除されて、ヘッダーユニット12Bとヘッダーユニット12Cとの連結を解除することができる。すなわち、切欠部54のスペースを利用してコレット34を操作することにより、ヘッダーユニット12Cの爪部材48による内管14の他端部16の保持状態が解除され、ヘッダーユニット12Bとヘッダーユニット12Cとの連結を解除することができる。
【0042】
このように、ヘッダーユニット12の連結、及びヘッダーユニット12の連結の解除が可能なので、配管用ヘッダー10を設置する現場で配管用ヘッダー10のヘッダー構造の構成を変更する必要が生じた場合に、その場でヘッダーユニット12の削減、追加や連結順の変更等ができる。これによって、配管用ヘッダー10のヘッダー構造の構成の変更により使用できなくなって廃棄され無駄となってしまうヘッダーユニット12を削減することができ、作業員は、間違った構成でヘッダーユニット12を連結してしまうことを恐れずに、現場でヘッダーユニット12の連結作業を行うことができる。
【0043】
また、現場で配管用ヘッダー10のヘッダー構造の構成を変更する必要が生じた場合に、工場にて新たに製造し直す必要がないので、現場における配管工事の工期遅延を防ぐことができる。
【0044】
また、解除部材としてのコレット34を操作できるスペースを切欠部54とすることによって、外皮樹脂24の一端部に、さまざまな大きさ、配置、及び数のスペースを形成することができる。
【0045】
また、内管14から分岐する分岐流路によって、ヘッダーユニット12へ流入する流体を分岐することができる。
【0046】
また、ヘッダーユニット12を複数連結することにより、ヘッダーユニット12をさまざまに組合せた配管用ヘッダー10を構成することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【0048】
なお、本発明の実施形態では、切欠部54を半円弧状に形成した例を示したが、押し部材が挿入されてコレット34の前方に配置され、この押し部材によりコレット34を連結部18の奥側へ押せるものであれば、切欠部54は、どのような形状であってもよいし、外皮樹脂24の周方向に沿って複数形成してもよい。例えば、図8(b)の横断面図に示すように、正面視にて(図2のA−A断面にて)円形状の切欠部54を外皮樹脂24の一端部の全周に形成してもよいし、図8(c)、(d)の横断面図に示すように、複数の切欠部54を外皮樹脂24の一端部の周方向に沿って形成するようにしてもよい。図8(c)の切欠部54の場合には、図9(a)の斜視図に示すような押し部材56を用い、図8(d)の切欠部54の場合には、図9(b)の斜視図に示すような押し部材56を用いる。
【0049】
外皮樹脂24の一端部に周方向に沿って切欠部54を複数形成することにより、「複数の切欠部54に対して同時に押し部材56を挿入してコレット34を押すことが可能な押し部材56を用いなければ(複数の切欠部54を同時に利用しなければ)ヘッダーユニット12の連結を解除できない」ようにすることができる。すなわち、ヘッダーユニット12の連結が勝手に解除されることを防ぐことができる。また、ヘッダーユニット12の連結を解除できる者を特定の者(ヘッダーユニット12を確実に連結できる者)に制限することができる。このようにすれば、この者(特定の者)がヘッダーユニット12の連結作業を行うことになるので、ヘッダーユニット12の連結ミスを防ぐことができる。なお、特別な治具等を用いなければ外すことが出来ないカバーにより収容部54を塞ぐことによっても、ヘッダーユニット12の連結を解除できる者を特定の者に制限することができる。
【0050】
また、本発明の実施形態では、外管部としての外皮樹脂24により内管部としての内管14の外面が覆われている例を示したが、一体化成形等により、外皮樹脂24と内管14とが一体化された1つの部品(以下、「継手本体」とする)を構成するようにしてもよい。この場合には、継手本体が、内管14と同じ構成の内管部と、外皮樹脂24と同じ構成の外管部とにより構成されることになる。すなわち、1つの部材である継手本体の内側の部位が内管部となり、外側の部位が外管部となる。
【0051】
また、本発明の実施形態では、切欠部54を、外皮樹脂24を切り欠いて形成した例を示したが、例えば、図10の側断面図に示すように、分岐口20の略下方に位置する内管14のみが外皮樹脂24に覆われている構成のヘッダーユニット12の場合には、内管14の他端部16の材軸方向の長さを長くして、ヘッダーユニット12Cの連結部18にヘッダーユニット12Bの内管14の他端部16を完全に挿入した状態において、押し部材56を挿入しコレット34の前方に配置できるスペース(コレット34を操作できるスペース94)ができるようにしてもよい。
【0052】
また、本発明の実施形態では、保持部材を爪部材48とし、解除部材をコレット34とした例を示したが、一方のヘッダーユニットの連結部に挿入された他方のヘッダーユニットの内管部の端部が抜け出るのを阻止する保持部材と、連結部の奥側へ押されることによりこの保持部材による内管部の保持状態を解除する解除部材とを有するヘッダーユニットに対して、本発明の実施形態は適用可能である。
【0053】
例えば、図11の側面図に示す構成のヘッダーユニット62A、62Bに、切欠部64を設けるようにしてもよい。図11では、ヘッダーユニット62Bの内管部としての内管66にヘッダーユニット62Aの筒部68が挿入されており、この状態で内管66が連結部としてのカバー88に覆われている。保持部材としての爪部材70は、カバー88に固定されたキャップ90の内側に設けられており、カバー88から内管66が抜け出るのを阻止している。また、キャップ90の内側に設けられた解除部材としての解放リング72が押出し部材(不図示)によりカバー88の奥側へ押されて、カバー88から内管66が抜け出るのを爪部材70が阻止する保持状態を解除する。
【0054】
また、例えば、図12の斜視図に示す円筒状のコレット74に設けられた爪部材76を保持部材とし、円筒状の解放リング78を解除部材としてもよい。コレット74、爪部材76、及び解放リング78は、ヘッダーユニットを構成する連結部の内壁に設けられている。
【0055】
爪部材76は、コレット74の内周面から突出するように設けられている。コレット74には、コレット74の材軸方向へ形成され内壁側面にテーパー部80を有するスリット82が形成されている。また、解放リング78には、下方へ突出し外壁側面にテーパー部84を有する突起部材86が設けられている。
【0056】
そして、解放リング78及びコレット74は、突起部材86がスリット82に挿入された状態でヘッダーユニットを構成する連結部の内壁に設けられている。これによって、押し部材により解放リング78がコレット74へ(連結部の奥側へ)向かって押されたときに、突起部材86のテーパー部84がスリット82のテーパー部80に摺動しながら押し当てられて突起部材86にスリット82が拡げられ、コレット74が半径方向へ拡径し、ヘッダーユニットの連結部に挿入され連結された内管部の外周面に爪部材76を押し付ける力が無くなる。
【0057】
また、本発明の実施形態のヘッダーユニット12は、いくつ連結してもよい。また、連結する複数のヘッダーユニット12は、仕様を同じにしてもよいし、仕様を異ならせてもよいし、いくつかのヘッダーユニット12の仕様を同じにしてもよい。ここでの仕様とは、直線流路の長さや、分岐流路の有無、分岐口の大きさ(接続可能な管体の径)、分岐口の位置、分岐口の数等を意味する。
【0058】
また、本発明の実施形態のヘッダーユニット12は、給水、給湯、又は排水用パイプ等の管体同士を接続する管継手として用いてもよい。また、本発明の実施形態のヘッダーユニット12は、管状の部材を連結するさまざまな連結構造に適用することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
10 配管用ヘッダー
12、12A、12B、12C、62、62A、62B ヘッダーユニット(管継手)
14、66 内管(内管部)
16 他端部
18 連結部
24 外皮樹脂(外管部)
34 コレット(解除部材)
48、70、76 爪部材(保持部材)
54、64 切欠部(スペース)
72、78 解放リング(解除部材)
88 カバー(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部が一端部に形成された内管部と、前記内管部の他端部を露出させて該内管部の外周に設けられた外管部と、を有する管継手において、
前記連結部は、該連結部に挿入された一の管継手の前記内管部の他端部を保持する保持部材と、該保持部材による保持状態を解除する解除部材と、を備え、
前記内管部の他端部を他の管継手の前記連結部へ挿入し前記保持部材に保持された状態で、前記外管部の一端部と該他の管継手の前記連結部との間に前記解除部材を操作できるスペースが形成される管継手。
【請求項2】
前記スペースは、前記外管部の一端部を切り欠いた切欠部である請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記切欠部は、前記外管部の一端部の周方向に沿って複数形成されている請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記内管部から分岐する分岐流路を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の管継手。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の管継手を複数連結して構成した配管用ヘッダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−220007(P2012−220007A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89994(P2011−89994)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】