説明

箱の搬送姿勢変更装置およびその方法

【課題】箱を転倒しやすい状態で搬送する場合、何らかの転倒防止機構を組み込む必要があり、設備コストが増大するなどの不具合がある。
【解決手段】ティシュカートン11の搬送姿勢を変更するための本発明の装置は、前後面26が上下方向を向くようにティシュカートン11が導かれる搬入端部38bおよび搬出コンベヤ35の搬入端35aに接続する搬出端部38aを有するテーブル38と、下端部がテーブル38の搬入端部38bの上方に位置すると共に上端部が搬入コンベヤ34の搬出端34aに接続し、前後面26が搬送方向の前後を向くように搬入されるティシュカートン11をその前後面26が上下方向を向くようにテーブル38の搬入端部38bに導くシュート39と、テーブル38の搬入端部38bに導かれたティシュカートン11を搬出端部38aに向けてそのままの姿勢で押し出すための送出手段40とを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にある直方体形状の箱の搬送姿勢を変更する装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数枚のティシュペーパーを順に折り重ねた状態で収容したティシュカートンは、屋外での雨水や塵埃による悪影響を回避するため、通常、特許文献1などに開示されているように、透明な樹脂フィルムにて梱包された状態で販売されることが多い。近年、テュシュペーパーの寸法形状を変更することなく、ティシュカートンの寸法、特に高さを詰めてよりコンパクト化させることにより、輸送経費の削減や店舗における陳列スペースの削減に加え、消費者の持ち運びやすさに配慮したものが企画されている。一般的なティシュカートンにおける高さhと奥行dと幅wとの関係は、通常h<d<wである。このようなティシュカートンをパック詰めする場合、奥行dと幅wとで画成される面が重なり合うように、ティシュカートンが複数個ずつ、最も一般的には5個ずつ積み重ねてパック詰めされる。このため、ティシュカートンの製造ラインにおいては、その搬送効率およびパック詰めの際の作業性を考慮すると、ティシュカートンの高さhと幅wとで画成される面を上下にして搬送することが種々の点で都合がよい。
【0003】
しかしながら、ティシュペーパーをカートンに詰める作業は、カートンの奥行dと幅wとで画成される面が上下方向を向く状態で行う必要があるため、カートンにティシュペーパーを詰めた後にティシュカートンの姿勢を変更することが必要となる。このような技術は、特許文献2に開示されており、上流側のコンベヤと下流側のコンベヤとの間にティシュカートンの姿勢を変更するためのカートン起立送出装置を組み込んでいる。このカートン起立送出装置においては、回転板に取り付けられたカートン載置部に上流側から送り出されるティシュカートンを移載し、この状態から回転板を90度回転してティシュカートンの姿勢を変更する。そして、この状態にてカートン載置部から上流側カートン姿勢規制部材によってティシュカートンを下流側のコンベヤへと引き出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−107681号公報
【特許文献2】特開2003−026261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されたカートン起立送出装置においては、回転板と一体のカートン載置部に保持されたティシュカートンの高さhと奥行dとで画成される面を上流側カートン姿勢規制部材にて挟み付けた状態で下流側のコンベヤへと引き出している。このため、複数のティシュカートンがその奥行dと幅wとで画成される面を相互に密着させた状態となるように、これらを上流側カートン姿勢規制部材によって下流側のコンベヤに移載することができない。
【0006】
一方、コンパクト性の要求に伴ってティシュカートンの高さhを50mm以下にすると、ティシュカートンの高さhと幅wとで画成される面を上下にして搬送した場合、ティシュカートンの姿勢が不安定となりやすい。これは、ティシュカートンの高さhがその奥行dの1/2以下となった場合も同様である。このような偏平でコンパクトなティシュカートンに対し、高速搬送を特許文献2のカートン起立送出装置に適用させようとすると、回転板に作用する遠心力によってカートン載置部に安定してティシュカートンを保持させることが困難である。特に、毎秒0.8メートルにも達する高速搬送の場合には、実際問題としてこの姿勢変更作業を行うことができない。しかも、上流側カートン姿勢規制部材から下流側のコンベヤへのティシュカートンの移載時に下流側のコンベヤ上でティシュカートンが転倒しやすく、後工程でのハンドリングなどで不具合を招いてしまうことが判明した。
【0007】
ティシュカートンの高さhと幅wとで画成される面を上下にしてこれを高速搬送する場合、搬送方向に沿って隣接するティシュカートンを密着状態に保持することがその転倒防止に対して有効である。しかしながら、特許文献2に開示されたカートン起立送出装置においてこのような搬送形態を採用するためには、下流側のコンベヤの搬送速度を上流側のコンベヤの搬送速度よりも必然的に低下させなければならず、製造ラインの速度に制約を与えることになる。
【0008】
本発明の目的は、例えば毎秒0.8メートルにも達する高速搬送においても箱の搬送姿勢を容易かつ確実に変更し得ると共に安定した箱の搬送を可能とし得る装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態は、高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にある直方体形状の箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように箱を搬送する搬入コンベヤの搬出端と、この箱の奥行dと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように箱を搬送する搬出コンベヤの搬入端との間に配され、箱の搬送姿勢を変更するための装置であって、箱の高さhと幅wとで画成される面が上下方向を向くように箱が導かれる搬入端部および前記搬出コンベヤの搬入端に接続する搬出端部を有し、箱の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向けた状態で箱が載置されるテーブルと、下端部がこのテーブルの搬入端部の上方に位置すると共に上端部が前記搬入コンベヤの搬出端に接続し、高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬入される箱をその高さhと幅wとで画成される面が上下方向を向くように前記テーブルの搬入端部に導くシュートと、前記テーブルの搬入端部に導かれた箱を前記搬出端部に向けてそのままの姿勢で押し出すための送出手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、箱が搬入コンベヤの搬出端からシュートを伝ってテーブルの搬入端部に落下する間にその姿勢が変化することとなる。また、箱がテーブルの搬入端部に落下する度に、この箱がテーブルの搬出端部に向けて送出手段によりそのままの姿勢で押し出される結果、箱がその押し出し方向に沿って密着状態で整列する。
【0011】
本発明の第1の形態による箱の搬送姿勢変更装置において、シュートは、上端部が搬入コンベヤの搬出端に接続し、かつ箱の奥行dと幅wとで画成される面が当接した状態でこれを案内する凸状に湾曲した案内面を有するものであってよい。この場合、シュートは、箱の高さh以上の間隔をあけて案内面と対向する案内部材をさらに有することができる。
【0012】
テーブルの搬入端部の直上を除き、箱の奥行d以上の間隔をあけてテーブルと対向する押さえ部材をさらに具えることができる。
【0013】
送出手段は、搬入コンベヤおよび搬出コンベヤの幅方向に沿って延在する回転軸と、この回転軸を駆動回転させるモーターと、回転軸から径方向外側に突出し、かつ回転軸の駆動回転に伴ってテーブルの搬入端部に位置する箱を搬出端部に向けて押し出す押し腕とを有し、テーブルは押し腕の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部を有することができる。この場合、テーブルは、その搬入端部からシュートの下端に向けて起立し、箱の奥行dと幅wとで画成される面と対向する背板部を有し、この背板部は押し腕の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部を有するものであってよい。
【0014】
本発明の第2の形態は、高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にある直方体形状の箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬送される箱の搬送姿勢を変更する方法であって、箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬送される箱をシュートに沿ってテーブルの搬入端部に落下させ、箱の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向かせるステップと、テーブルの搬入端部に落下した箱をそのまま箱の高さh以上、テーブルの搬出端部へと押し出すステップと、テーブルの搬入端部に落下した箱をテーブルの搬出端部へと押し出すステップを繰り返し、複数個の箱の奥行dと幅wとで画成される面が相互に密着した状態となるように、複数個の箱をテーブル上に整列させるステップとを具えたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第2の形態による箱の搬送姿勢変更方法において、テーブルの搬入端部に落下した箱をテーブルの搬出端部へと押し出すステップは、箱の幅wと平行な方向に沿って延在する回転軸から径方向外側に突出する押し腕を回転させ、テーブルの搬入端部に落下した箱の奥行dと幅wとで画成される面に押し腕を押し当てるステップを含むことができる。
【0016】
テーブルの搬出端部から押し出された箱をそのままの姿勢で搬送するステップをさらに具えることができる。この場合、テーブルの搬出端部から押し出されて搬送される箱の搬送速度がテーブルの搬入端部から搬出端部に至る箱の押し出し速度と同じか、あるいはそれ以上に設定されていることが好ましい。
【0017】
箱の高さhがその奥行dの1/2以下であることが好ましい。同様に、箱の高さhが50mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の箱の搬送姿勢変更装置によると、搬送速度の如何に拘らず、箱の搬送姿勢を容易かつ確実に変更することができる。
【0019】
上端部が搬入コンベヤの搬出端に接続し、かつ箱の奥行dと幅wとで画成される面が当接した状態でこれを案内する凸状に湾曲した案内面をシュートが有する場合、箱の姿勢を安定して円滑に変更させることができる。特に、シュートが箱の高さh以上の間隔をあけて案内面と対向する案内部材をさらに有する場合、案内面に対する箱の接触状態を確実に維持することができ、シュートの案内面に沿って落下する箱の姿勢をより安定に保つことができる。
【0020】
テーブルの搬入端部の直上を除き、箱の奥行d以上の間隔をあけてテーブルと対向する押さえ部材をさらに具えた場合、箱がテーブル上を移動する際の転倒の可能性を確実に防ぐことができる。
【0021】
回転軸から径方向外側に突出してテーブルの搬入端部に位置する箱を搬出端部に向けて押し出す押し腕を送出手段が有する場合、押し腕の回転動作によってこれと接触する箱をテーブルの搬入端部から確実に押し出すことができる。特に、背板部をテーブルが有し、この背板部が押し腕の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部を有する場合、シュートからテーブルの搬入端部に箱が落下する際にその転倒を確実に防止することができる。
【0022】
本発明の箱の搬送姿勢変更方法によると、箱の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向かせた状態であっても、テーブル上で箱が転倒するような不具合を未然に防止することができる。
【0023】
押し腕を回転させてテーブルの搬入端部に落下した箱の奥行dと幅wとで画成される面に押し腕を押し当てるようにした場合、箱が連続的にテーブルの搬入端部に落下してきても、押し腕の回転の度に確実に箱をテーブルの搬入端部から押し出すことができる。
【0024】
テーブルの搬出端部から押し出された箱をそのままの姿勢で搬送するステップをさらに具えた場合、複数個の箱の奥行dと幅wとで画成される面が相互に密着した状態のまま、これらを整列させることができる。これにより、箱を安定して搬送することができる。特に、テーブルの搬出端部から押し出されて搬送される箱の搬送速度をテーブルの搬入端部から搬出端部に至る箱の押し出し速度と同じに設定した場合、複数個の箱の奥行dと幅wとで画成される面が相互に密着した状態のまま、これらを安定して搬送することができる。
【0025】
箱の高さhがその奥行dの1/2以下の場合、あるいは箱の高さhが50mm以下の場合、上述した本発明の効果をより明確に発現させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の対象となるパック詰めティシュカートンの一例の外観を表す立体投影図である。
【図2】図1に示したパック詰めティシュカートンの製造ラインの一実施形態を模式的に表す概念図である。
【図3】図2に示した実施形態におけるティシュカートンの振り分け部から姿勢変更部に至る搬送経路を模式的に表す平面図である。
【図4】図2および図3に示した実施形態におけるティシュカートンの姿勢変更部の側面図である。
【図5】図4に示した姿勢変更部の抽出拡大図である。
【図6】図5に示した姿勢変更部の平面図である。
【図7】図5に示した姿勢変更部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による箱の搬送姿勢変更装置をティシュカートンの5個パック詰めを行う製造ラインに適用した実施形態について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、本発明の精神に帰属する他の任意の技術、すなわち搬送姿勢を変更する必要がある同一寸法の直方体形状をなす箱に対して応用することが可能である。
【0028】
本発明の対象となるパック詰めティシュカートンの外観を図1に示す。一般的な箱型のティシュカートン11は、高さhと奥行dと幅wとがh<d<wの関係にある。本実施形態では、ティシュカートン11の高さhを奥行dの1/2以下の寸法に設定し、そのコンパクト化に配慮したものとなっており、一例としてh=45mm,d=116mm,w=227mmに設定されている。なお、奥行dと幅wとが同じ寸法のティシュカートン11であっても、本発明の対象となり得ることに注意されたい。
【0029】
ティシュカートン11の奥行dと幅wとで画成される面(以下、これを上下面と記述する)12が重なり合うように、同一寸法形状のティシュカートン11が複数個(図示例では5個)ずつ積み重ねて透明樹脂フィルム13にてパック詰めされている。また、同じ樹脂フィルムにて形成された取手14の両端部がヒートシールにより一番上に位置するティシュカートン11の幅方向に沿って透明樹脂フィルム13に接合されている。
【0030】
このようなパック詰めティシュカートン10を製造するための本実施形態におけるラインの全体を図2に模式的に示し、後述するその振り分け部から姿勢変更部に至る領域の平面形状を図3に示す。本実施形態におけるパック詰めラインには、上流側から順にティシュ折り重ね部15と、ティシュ束切断部16と、ティシュ束挿入部17と、ティシュカートン封止部18と、振り分け部19と、姿勢変更部20と、パック包装部21とが配されている。
【0031】
ティシュ折り重ね部15は、ティシュペーパーの連続体22をティシュ巻回ドラム23から引き出し、順に上に折り重ねてティシュ束の連続体24cを形成する領域である。例えば、400枚のティシュペーパーをティシュカートン11に収容する場合、ティシュ巻回ドラム23のスタンドが400台整列状態で配されることとなる。
【0032】
ティシュ束切断部16は、ティシュ折り重ね部15にて積層状態で折りたたまれたティシュ束の連続体24cをカッター装置25によって一定間隔で切断し、ティシュ束24を得る領域である。
【0033】
ティシュ束挿入部17は、ティシュ束切断部16にて切断されたティシュ束24をティシュカートン11に挿入する領域である。このティシュ束挿入部17には、切断されたティシュ束24を一定間隔で搬送するティシュ束搬送ラインと、このティシュ束搬送ラインと同期して空のティシュカートン11を一定間隔で搬送するティシュカートン搬送ラインとが平行に配されている。ティシュカートン搬送ラインは、ティシュカートン11をその幅wと直交する奥行d方向に沿って搬送する。ティシュカートン搬送ラインに1つずつ送り込まれるティシュカートン11は、あらかじめつぶされた折りたたみ状態にある。この状態から、ティシュカートン11の高さhと幅wとで画成される面(以下、これを前後面と記述する)26を垂直に起立させ、ティシュ束24が収容される空間を形成する。この場合、ティシュカートン11の上下面12および前後面26の幅方向両側には、ティシュカートン11の高さhと奥行dとで画成される面(以下、これを左右面と記述する)27を封止するための図示しない蓋板が開いた状態となっている。ティシュ束24は、ティシュカートン11の左右面27のうちのティシュ束搬送ラインと対向する側から押し棒28によってティシュカートン11の空間内に押し込まれる。
【0034】
ティシュカートン封止部18は、ティシュ束24が収容されたティシュカートン11の図示しない左右の蓋板をそれぞれ接着剤を用いて封止する領域である。
【0035】
なお、上述したティシュ折り重ね部15からティシュカートン封止部18に至る構成の詳細については、例えば米国特許第4578927号明細書や米国特許第5595043号明細書などで周知である。
【0036】
振り分け部19は、周知のライン自動振り分け装置(チャンネライザー)29を含み、連続的に切り替え可能な3つの搬送チャンネル30〜32を有する。第1および第2の搬送チャンネル30,31は、後続の姿勢変更部20にそれぞれ接続する。残りの搬送チャンネル32は、一対の姿勢変更部20の間に配された排出コンベヤ33に接続する。この排出コンベヤ33は、ティシュカートン封止部18を通過後に不良品であると判定されたティシュカートン11および必要に応じてこのティシュカートン11と同じパック詰め予定のティシュカートン11を搬送ライン外に排出するためのものである。
【0037】
振り分け部19に続く姿勢変更部20の側面形状を図4に示し、その主要部を抽出拡大して図5に示し、その平面形状および正面形状を図6,図7にそれぞれ示す。姿勢変更部20は、振り分け部19の第1および第2の搬送チャンネル30,31に接続する搬入コンベヤ34の搬出端34aと、パック包装部21に接続する搬出コンベヤ35の搬入端35aとの間に配されてティシュカートン11の搬送姿勢を変更する。第1および第2の搬送チャンネル30,31に接続する搬入コンベヤ34は、ティシュカートン11の前後面26が搬送方向の前後を向くようにティシュカートン11を搬送する。また、パック包装部21に接続する搬出コンベヤ35は、ティシュカートン11の上下面12が搬送方向の前後を向くようにティシュカートン11を搬送する。これら搬入および搬出コンベヤ34,35には、ティシュカートン11の左右面27と対向してこれらの位置ずれを防止するための側面案内部材36,37が設けられている。
【0038】
この姿勢変更部20は、ティシュカートン11が載置されるテーブル38と、このテーブル38と搬入コンベヤ34との間に配されるシュート39と、ティシュカートン11をテーブル38の搬出端部38aに向けて押し出すための送出手段40とを具えている。
【0039】
テーブル38は、ティシュカートン11の前後面26が上下方向を向くようにティシュカートン11が導かれる搬入端部38bと、搬出コンベヤ35の搬入端35aに接続する搬出端部38aと、側板部41と、背板部42と有する。このテーブル38は、ティシュカートン11がその前後面26を上下方向に向けた状態で載置される。テーブル38の側板部41は、テーブル38の搬入端部38bから搬出コンベヤ35の搬入端35aまで延在し、テーブル38上のティシュカートン11の左右面27と対向してこれらの位置ずれを防止する。背板部42は、搬入端部38bからシュート39の下端に向けて起立し、テーブル38の搬入端部38bに導かれたティシュカートン11の上下面12と対向してその転倒を防止する。
【0040】
テーブル38の上方には、テーブル38の搬入端部38bの直上を除き、ティシュカートン11の奥行d以上の間隔をあけてテーブル38と対向する押さえ部材43が配されている。この押さえ部材43は、送出手段40によりテーブル38上を移動するティシュカートン11の姿勢が崩れないように、これらの傾きを規制する。
【0041】
シュート39は、その下端部がテーブル38の搬入端部38bの上方に位置してテーブル38の背板部42に接続すると共に上端部が搬入コンベヤ34の搬出端34aに接続する。そして、ティシュカートン11の前後面26が搬送方向の前後を向くように搬入コンベヤ34から搬入されるティシュカートン11をその前後面26が上下方向を向くようにテーブル38の搬入端部38bに導く。このため、シュート39は上端部が搬入コンベヤ34の搬出端34aに接続し、かつティシュカートン11の上下面12が当接した状態でこれを案内する凸状に湾曲した案内面39aを有する。本実施形態では、シュート39に沿ったティシュカートン11の落下を案内する案内部材44がシュート39の案内面39aに沿ってこれとほぼ平行に配されている。この案内部材44は、搬入コンベヤ34の搬出端34aからテーブル38の搬入端部38bへとティシュカートン11を移動させる際に、ティシュカートン11の前後面26が上下方向を向くように保持する機能を有する。この案内部材44は、本発明における案内部材として機能し、ティシュカートン11の高さh以上の間隔をあけて案内面39aと対向した状態となっている。また、本実施形態では、ティシュカートン11の左右面27と対向してこれらの位置ずれを規制する側面案内板45も設けられている。
【0042】
本実施形態における送出手段40は、搬入コンベヤ34および搬出コンベヤ35の幅方向(図7中、左右方向)に沿って延在する回転軸46と、この回転軸46を連続的に駆動回転させるモーター47と、複数組の押し腕48とを有する。回転軸46から径方向外側に突出する押し腕48は、回転軸46の駆動回転に伴い、テーブル38の搬入端部38bに導かれて背板部42と対向するティシュカートン11の前後面26に当接し、これを搬出端部38aに向けて押し出すようになっている。本実施形態における押し腕48は、周方向に等間隔に配列する4本が1組となって回転軸46の軸線に沿って相隔てて3組配されている。回転軸46はテーブル38の搬入端部38bに近接して配されているため、テーブル38およびその背板部42には、押し腕48の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部49が形成されている。
【0043】
このように送出手段40として連続回転する押し腕48を用いたことにより、テーブル38の搬入端部38bに落下したティシュカートン11は、押し腕48の回転によってその搬出端部38aへ向けて押し腕48の長さに応じた距離だけ押し出される。この場合、回転軸46の1回転によって最大で4個のティシュカートン11をテーブル38の搬入端部38bから押し出すことができる。しかしながら、回転軸46が1/4回転した場合にティシュカートン11が移動する距離は、ティシュカートン11の高さh以上であることが必要である。また、複数個のティシュカートン11が連続的に隙間なくシュート39からテーブル38の搬入端部38bへと導かれていても、テーブル38上の搬入端部38bからティシュカートン11が搬出端部38aへと押し出されない限り、次のティシュカートン11はテーブル38の搬入端部38bへと落下できないことに注意されたい。つまり、本実施形態では回転軸46の回転速度に応じてティシュカートン11の最大送り出し速度を規定することができる。何れにしろ、テーブル38上では常にティシュカートン11がその搬出端部38aに向けて相互に上下面12を相互に密着した状態で整列するため、安定した移動がなされることとなる。
【0044】
このようにして、テーブル38の搬出端部38aから搬出コンベヤ35の搬入端35aへと整列状態で押し出されるティシュカートン11は、搬出コンベヤ35によってその前後面26を上下方向に向けたままパック包装部21へと送出される。この場合、搬出コンベヤ35によるティシュカートン11の搬送速度をテーブル38の搬入端部38bから搬出端部38aに至るティシュカートン11の押し出し速度と同じに設定することが好ましい。これにより、搬出コンベヤ35には前後面26を上下方向に向け、搬送方向に沿って密着した状態でティシュカートン11を整列させることができる。つまり、姿勢が不安定なティシュカートン11の前後面26を上下方向に向けたとしても、隣接するティシュカートン11の上下面12が相互に密着状態となり、その転倒を自動的に防止することができる。
【0045】
本実施形態では、振り分け部19を用いてティシュカートン11の搬送ラインを2つに分けているため、姿勢変更部20の前後に配された搬入および搬出コンベヤ34,35の搬送速度をティシュ折り重ね部15から振り分け部19に至る搬送ラインの速度の約半分程度に設定することができる。
【0046】
搬出コンベヤ35の搬送方向下流端側には、この搬出コンベヤ35に整列状態となって先頭に位置するティシュカートン11に当接し、その移動を阻止する図示しないストッパが配されている。
【0047】
本実施形態におけるパック包装部21は、ティシュ折り重ね部15から振り分け部19に至る搬送ラインの速度に追従し得るように、2台の図示しない包装機を具えている。これら2台の包装機は、2組の姿勢変更部20の各搬出コンベヤ35の搬送方向下流側にそれぞれ隣接して配されている。各包装機は、搬出コンベヤ35の搬送方向下流側に滞留するティシュカートン群から、ストッパに当接している先頭側から順に5個のティシュカートン11を側方に取り出し、これらを透明樹脂フィルム13で梱包する。さらに、樹脂フィルムにて形成された持ち運び用の取手14の両端部をヒートシールにて梱包用の透明樹脂フィルム13に接合する。
【0048】
このようにしてパック包装部21にて包装されたパック詰めティシュカートン10は、図示しない段ボール箱に所定パックずつ収容され、各消費地へ向けて搬送される。
【0049】
上述したティシュ束挿入部17から姿勢変更部20に至るティシュカートン11の搬送ラインにおいては、ティシュカートン11の最大面積の上下面12の一方が搬送ラインに乗るように、ティシュカートン11の上下面12を上下方向に向けて搬送している。また、姿勢変更部20にてティシュカートン11の不安定な前後面26を上下方向に向けてパック包装部21へと搬送する場合、これらティシュカートン11の上下面12が相互に密着状態となるようにしている。つまり、姿勢変更部20がパック包装部21の直前に配されているため、ティシュカートン11の前後面26を上下方向に向けてティシュカートン11を搬出コンベヤ35上でその搬送方向に沿って密着させる作業がパック詰め作業の直前に行われることとなる。
【0050】
このティシュカートン11のパック詰めラインにおけるティシュ折り重ね部15からパック包装部21に至る構成の詳細については、上述した姿勢変更部20を除き、任意の周知の構成を適宜採用することが可能である。また、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
h ティシュカートンの高さ
d ティシュカートンの奥行
w ティシュカートンの幅
10 パック詰めティシュカートン
11 ティシュカートン
12 ティシュカートンの奥行と幅とで画成される面(上下面)
13 透明樹脂フィルム
14 取手
15 ティシュ折り重ね部
16 ティシュ束切断部
17 ティシュ束挿入部
18 ティシュカートン封止部
19 振り分け部
20 姿勢変更部
21 パック包装部
22 ティシュペーパーの連続体
23 ティシュ巻回ドラム
24 ティシュ束
24c ティシュ束の連続体
25 カッター装置
26 ティシュカートンの高さと幅とで画成される面(前後面)
27 ティシュカートンの高さと奥行とで画成される面(左右面)
28 押し棒
29 ライン自動振り分け装置(チャンネライザー)
30〜32 搬送チャンネル
33 排出コンベヤ
34 搬入コンベヤ
34a 搬出端
35 搬出コンベヤ
35a 搬入端
36,37 側面案内部材
38 テーブル
38a 搬出端部
38b 搬入端部
39 シュート
39a 案内面
40 送出手段
41 側板部
42 背板部
43 押さえ部材
44 案内部材
45 側面案内板
46 回転軸
47 モーター
48 押し腕
49 切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にある直方体形状の箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように箱を搬送する搬入コンベヤの搬出端と、この箱の奥行dと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように箱を搬送する搬出コンベヤの搬入端との間に配され、箱の搬送姿勢を変更するための装置であって、
箱の高さhと幅wとで画成される面が上下方向を向くように箱が導かれる搬入端部および前記搬出コンベヤの搬入端に接続する搬出端部を有し、箱の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向けた状態で箱が載置されるテーブルと、
下端部がこのテーブルの搬入端部の上方に位置すると共に上端部が前記搬入コンベヤの搬出端に接続し、高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬入される箱をその高さhと幅wとで画成される面が上下方向を向くように前記テーブルの搬入端部に導くシュートと、
前記テーブルの搬入端部に導かれた箱を前記搬出端部に向けてそのままの姿勢で押し出すための送出手段と
を具えたことを特徴とする箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項2】
前記シュートは、上端部が前記搬入コンベヤの搬出端に接続し、かつ箱の奥行dと幅wとで画成される面が当接した状態でこれを案内する凸状に湾曲した案内面を有することを特徴とする請求項1に記載の箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項3】
前記シュートは、箱の高さh以上の間隔をあけて前記案内面と対向する案内部材をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項4】
前記テーブルの搬入端部の直上を除き、箱の奥行d以上の間隔をあけて前記テーブルと対向する押さえ部材をさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項5】
前記送出手段は、前記搬入コンベヤおよび前記搬出コンベヤの幅方向に沿って延在する回転軸と、この回転軸を駆動回転させるモーターと、前記回転軸から径方向外側に突出し、かつ前記回転軸の駆動回転に伴って前記テーブルの搬入端部に位置する箱を前記搬出端部に向けて押し出す押し腕とを有し、前記テーブルは押し腕の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項6】
前記テーブルは、その搬入端部から前記シュートの下端に向けて起立し、箱の奥行dと幅wとで画成される面と対向する背板部を有し、この背板部は前記押し腕の回転に伴う干渉を回避するための切欠き部を有することを特徴とする請求項5に記載の箱の搬送姿勢変更装置。
【請求項7】
高さhと奥行dと幅wとがh<d≦wの関係にある直方体形状の箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬送される箱の搬送姿勢を変更する方法であって、
箱の高さhと幅wとで画成される面が搬送方向の前後を向くように搬送される箱をシュートに沿ってテーブルの搬入端部に落下させ、箱の高さhと幅wとで画成される面を上下方向に向かせるステップと、
テーブルの搬入端部に落下した箱をそのまま箱の高さh以上、テーブルの搬出端部へと押し出すステップと、
テーブルの搬入端部に落下した箱をテーブルの搬出端部へと押し出すステップを繰り返し、複数個の箱の奥行dと幅wとで画成される面が相互に密着した状態となるように、複数個の箱をテーブル上に整列させるステップと
を具えたことを特徴とする箱の搬送姿勢変更方法。
【請求項8】
テーブルの搬入端部に落下した箱をテーブルの搬出端部へと押し出すステップは、箱の幅wと平行な方向に沿って延在する回転軸から径方向外側に突出する押し腕を回転させ、テーブルの搬入端部に落下した箱の奥行dと幅wとで画成される面に押し腕を押し当てるステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の箱の搬送姿勢変更方法。
【請求項9】
テーブルの搬出端部から押し出された箱をそのままの姿勢で搬送するステップをさらに具えたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の箱の搬送姿勢変更方法。
【請求項10】
テーブルの搬出端部から押し出されて搬送される箱の搬送速度がテーブルの搬入端部から搬出端部に至る箱の押し出し速度と同じか、あるいはそれ以上に設定されていることを特徴とする請求項9に記載の箱の搬送姿勢変更方法。
【請求項11】
箱の高さhがその奥行dの1/2以下であることを特徴とする請求項7から請求項10の何れかに記載の箱の搬送姿勢変更方法。
【請求項12】
箱の高さhが50mm以下であることを特徴とする請求項7から請求項11の何れかに記載の箱の搬送姿勢変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51642(P2011−51642A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203672(P2009−203672)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】