説明

簡易間仕切り構造及びそれに用いる板状体連結具

【課題】長期にわたる使用環境においても、形状、形態を維持させることにより、隙間が生じることなくプライバシーが確実に確保可能な簡易間仕切り構造を提供する。
【解決手段】
2枚の板状体P,Pが例えば縦長の起立状態で幅方向の端部(左又は右端部)から水平方向に一定幅内側部分Wで厚さ方向に重なるように並べられ、略180°に折り曲げられた2つの板状体連結具A,Aを用いて、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ上記両板状体P,Pの上端部(天端部)に上側から外嵌合されて、連結具Aが両板状体P,Pに跨るように取り付けられて一体に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体連結具を用いて板状体同士を連結する簡易間仕切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や台風に代表される自然災害が発生した場合の避難場所として、学校の体育館や公民館等の公共施設が使われるが、多くの人が長期にわたる避難場所での生活においてはプライバシー確保も重要である。そこで本出願人は、特許文献1にて木質繊維板からなる板状体と板状体連結具とで構成される断熱性や施工性に優れた簡易間仕切り構造、簡易間仕切りセットを提案している。これによるとお年寄りや子供でも簡単に運搬し組み立てることができ、非常時の簡易間仕切りとして特に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−24353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの人が共同生活を長期間余儀なくされるなかで、避難場所は必ずしも快適な温湿度環境が保たれるとはいえず、隙間風にあおられたり、生活水による濡れが発生するなど、木質繊維板からなる板状体の劣化原因は少なくない。また、特に高いプライバシーが求められる更衣室や授乳室として区画する場合には、板状体を長さ方向に垂直に立てて背の高い簡易間仕切りとして組み立てが可能であるが、背が高いので目隠し効果としては有効であるものの、逆に構造としては不安定となって、設置環境によっては板状体のへたりや膨れ等の変形による隙間が簡易間仕切り構造に生じる虞れがあり問題であった。簡易間仕切り構造として安定させるためには、板状体の厚さを増したり、多くの板状体連結具を用いて嵌合させることが考えられるが、簡易間仕切りとして取扱性が低下したり、コスト上昇を招くことになるだけでなく、これらの保管のための広いスペースが必要となってしまって実用性に劣ることとなる。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、長期にわたる使用環境においても、形状、形態を維持させることにより、隙間が生じることなくプライバシーが確実に確保可能な簡易間仕切り構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成すべく、請求項1の発明の簡易間仕切り構造は、木質繊維板からなる板状体と板状体連結具とで構成され、該板状体と該板状体連結具は壁面接続部と角隅部にて連結されている簡易間仕切り構造であって、該壁面接続部では、並立する1対の板状体のうち片方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分と他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分とが並べて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分が厚さ方向に重なるように連結されていることを特徴とする。
【0007】
上記の構造によると、壁面接続部では、並立する1対の板状体のうち片方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分と他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分とが並べて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分が厚さ方向に重なるように連結されているので、強度が増して変形しにくく、隙間が生じにくいため、プライバシーが確実に確保可能である。
【0008】
また、並立する1対の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分(例えば、板状体が縦長の起立状態であれば幅方向の端部から一定幅内側部分)が厚さ方向に重なるように連結されている構造なので、1対の板状体を左右端部にて突き付けて直線状に隣接連結されている構造に比べて強固に連結され、板状体が表面方向あるいは裏面方向に湾曲して隙間が生じたとしても、目隠し効果が働くのでプライバシー確保がしやすい。尚、壁面接続部における一方の板状体の左又は右端部を予めガムテープ等で他方の板状体表面又は裏面と貼着することにより、更に強固に連結することができるが、貼着したガムテープが剥がれたとしても、目隠し効果は損なわないので、多少の隙間を気にすることなく使用を続けることができる。
【0009】
そして、この簡易間仕切り構造では、板状体が木質繊維板からなるので、以下の効果も得られる。木質繊維板からなる板状体は軽量で取扱いがし易く、運搬性も高い。また、長期保管にも適するとともに、リサイクル性も高い。さらに、木質繊維板からなる板状体の吸放湿性及び吸音性が高く、避難所内での快適性が向上する。また、木質繊維板からなる板状体はクッション性や衝撃吸収性があり、子供がぶつかっても問題はない。木質繊維板からなる板状体は断熱性や吸放湿性が高く、クッション性も高いので、敷床にも適している。
【0010】
請求項2の発明の簡易間仕切り構造は、請求項1の簡易間仕切り構造において、角隅部では、近接する1対の板状体の片方の板状体の左又は右端部が他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分の表面又は裏面に突き合わされて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体が略T字型で連結されていることを特徴とする。
【0011】
上記の構造によると、角隅部では、近接する1対の板状体の片方の板状体の左又は右端部が他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分の表面又は裏面に突き合わされて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体が略T字型で連結されているので、更に強度が増して変形しにくく、隙間が生じにくいため、プライバシーが確実に確保可能である。
【0012】
また、1対の板状体が略T字型で連結されている構造なので、1対の板状体を端部同士にて直角に突き付けて連結されている構造に比べて強固に連結され、簡易間仕切りが倒壊する恐れも小さく、板状体が表面方向あるいは裏面方向に湾曲して隙間が生じたとしても、目隠し効果が働くのでプライバシー確保がしやすい。また、片方の板状体が設置位置にて左右に多少のズレが生じても隙間が生じにくい。尚、角隅部における一方の板状体の端部を予めガムテープ等で突き合わされた他方の板状体表面又は裏面と貼着することにより、更に強固に連結することができるが、貼着したガムテープが剥がれたとしても、目隠し効果は損なわないので、多少の隙間を気にすることなく使用を続けることができる。
【0013】
請求項3の発明の板状体連結具は、請求項1または請求項2の簡易間仕切り構造を構成する板状体連結具であって、各々、基部と該基部の一端に折り返し状態に連続する挟み込み部とからなり、板状体に端部から、該板状体を上記基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、これら両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によると、板状体連結具を用いて2つの板状体を連結する場合、板状体連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に該各クリップ部の基部と挟み込み部との間に板状体が挟み込まれるように外嵌合して取り付けることで、両板状体が板状体連結具を介して一体的に連結される。このように板状体連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に嵌めるだけで両板状体が連結されるので、簡易間仕切りを簡単に組み立てることができる。
【0015】
特に板状体連結具の連結部において簡単に折り曲げ可能としているので、例えば略180度に折り曲げた状態で、1対の木質繊維板からなる板状体に嵌合することで、該両板状体の端部から一定幅部分が厚さ方向に重なるように簡単かつ強固に連結することができる。
【0016】
また、板状体連結具のクリップ部を板状体に嵌めるだけの構造であるので、その板状体連結具を簡単に板状体から取り外すことができ、組み立てた簡易間仕切りを組み立て直したり、解体して保管したりすることも容易にできる。
【0017】
尚、簡易間仕切りを組み立てるとき、板状体連結具が連結部で折り曲げられていない状態では、クリップ部が並んだ状態であるので、両板状体は直線状に並んで連結される。そして、板状体連結具を折り曲げ可能な連結部で折り曲げることによって、両板状体を折れ曲がって(交差して)並んだ状態に連結することができ、その連結部の折り曲げ角度の選択によって、両板状体の連結角度(交差角度)を適宜変えることができる。このことで、1種類の板状体連結具で、両板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができ、その他の角度にも連結部で自在に折り曲げて、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。
【0018】
また、板状体連結具のクリップ部は板状体に端部から、該板状体を基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能であるので、その板状体の上端部(天端部)又は下端部(地端部)を問わず1種類の板状体連結具を組み付けることができる。
【0019】
さらに、連結部で折り曲げられていない状態の板状体連結具は、その連結部により1対のクリップ部の基部同士を一体に連結した直線形状のものであるので、不使用時の保管に適する。
【0020】
また、板状体連結具が1種類だけで壁面接続部も角隅部も連結することができるので、複数のものを用意する必要がなく、その管理が容易である。しかも、1種類の板状体連結具を用いて板状体を連結すればよいので、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【0021】
更に、請求項3の発明の板状体連結具では、上記クリップ部は弾性を有するものとすることができる。このことで、弾性を有するクリップ部を板状体に嵌めたときに、基部と挟み込み部との間に板状体が押圧されて挟み込まれるようになり、その押圧によって板状体が安易に抜け出さず、板状体同士を安定して連結することができる。
【0022】
また、請求項3の発明の板状体連結具では、板状体連結具が金属製のもので、その連結部は両クリップ部の基部と一体のものとし、その連結部に連結部での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部が形成されているものとすることができる。
【0023】
このことで、脆弱部によって連結部を弱い力でも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱い易くなる。
【0024】
また、板状体連結具が金属製であるので、連結部の折曲げ状態を安定して固定保持でき、簡易間仕切りの組立作業が容易となるとともに、板状体連結具の長期間の保管やリサイクル性に好適となる。
【0025】
更に、請求項3の発明の板状体連結具では、上記脆弱部は連結部に沿って不連続に形成された複数の孔であることとすることができる。このことで、連結部に脆弱部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明のように、請求項1の発明の簡易間仕切り構造によると、木質繊維板からなる板状体と板状体連結具とで構成され、該板状体と該板状体連結具は壁面接続部と角隅部にて連結されている簡易間仕切り構造であって、該壁面接続部では、並立する1対の板状体のうち片方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分と他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分とが並べて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分が厚さ方向に重なるように連結されているので、強度が増して変形しにくく、隙間が生じにくいため、プライバシーが確実に確保可能である。
【0027】
また、並立する1対の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分(例えば、板状体が縦長の起立状態であれば幅方向の端部から一定幅内側部分)が厚さ方向に重なるように連結されている構造なので、1対の板状体を左右端部にて突き付けて直線状に隣接連結されている構造に比べて強固に連結することができ、板状体が表面方向あるいは裏面方向に湾曲して隙間が生じたとしても、目隠し効果が働くのでプライバシー確保がしやすい。尚、壁面接続部における一方の板状体の左又は右端部を予めガムテープ等で他方の板状体表面又は裏面と貼着することにより、更に強固に連結することができるが、貼着したガムテープが剥がれたとしても、目隠し効果は損なわないので、多少の隙間を気にすることなく使用を続けることができる。
【0028】
また、木質繊維板からなる板状体は取扱い性、運搬性、長期保管性やリサイクル性を高めることができるとともに、吸放湿性及び吸音性が高くて、避難所内での快適性を向上させることができ、さらには、クッション性や衝撃吸収性が得られ、断熱性や吸放湿性が高く、敷床にも適し、立てて設置しても形状を長期に亘り安定して維持でき、プライバシーが要求される間仕切りとして設置利用が可能である。
【0029】
請求項2の発明の簡易間仕切り構造によると、請求項1の発明の効果に加えて、角隅部では、近接する1対の板状体の片方の板状体の左又は右端部が他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分の表面又は裏面に突き合わされて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体が略T字型で連結されているので、更に強度が増して変形しにくく、隙間が生じにくいため、プライバシーが確実に確保可能である。
【0030】
また、1対の板状体が略T字型で連結されている構造なので、1対の板状体を端部同士にて直角に突き付けて連結されている構造に比べて強固に連結され、簡易間仕切りが倒壊する恐れも小さく、板状体が表面方向あるいは裏面方向に湾曲して隙間が生じたとしても、目隠し効果が働くのでプライバシー確保がしやすい。また、片方の板状体が設置位置にて左右に多少のズレが生じても隙間が生じにくい。尚、角隅部における一方の板状体の左又は右端部を予めガムテープ等で突き合わされた他方の板状体表面又は裏面と貼着することにより、更に強固に連結することができるが、貼着したガムテープが剥がれたとしても、目隠し効果は損なわないので、多少の隙間を気にすることなく使用を続けることができる。
【0031】
請求項3の発明の板状体連結具によると、板状体を基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、これら両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことにより、板状体連結具のクリップ部をそれぞれ板状体に嵌めるだけで両板状体を連結して、簡易間仕切りを簡単に組み立てることができる。
【0032】
また、板状体連結具は嵌めるだけ構造であるので、その板状体連結具を簡単に取り外すことができ、組み立てた簡易間仕切りを組み立て直したり解体して保管したりすることが容易にできる。また、連結部を折り曲げることによって両板状体の連結角度を適宜変え、1種類の板状体連結具で両板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結して、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。
【0033】
また、板状体の上端部又は下端部を問わず1種類の板状体連結具を組み付けることができる。さらに、連結部で折り曲げられていない状態の板状体連結具は、直線形状のもので、不使用時の保管に適する。また、板状体連結具が1種類だけであるので、その管理が容易であるとともに、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る板状体連結具の斜視図である。
【図2】図2は、板状体連結具の正面図である。
【図3】図3は、板状体連結具の背面図である。
【図4】図4は、板状体連結具の側面図である。
【図5】図5は、板状体連結具を直角に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、板状体連結具を180°折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、板状体連結具により2枚の板状体が厚さ方向に重なるよう連結された壁面接続部における間仕切り構造を示す斜視図である。
【図8】図8は、板状体連結具により2枚の板状体がT字型に連結された角隅部における間仕切り構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、板状体連結具により板状体が壁面接続部や角隅部にて連結されて床面上に作られた簡易間仕切りを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0036】
(板状体)
上記板状体Pは木質繊維板からなり、木質繊維と結合剤とを主成分として湿式抄造又は乾式で製造されるパネルである。例えばタタミボード、インシュレーションボード、MDF、ハードボード等が挙げられる。特に密度0.40g/cm3未満のものが、軽量でクッション性があり、断熱性も高いので望ましい。
【0037】
板状体Pのサイズは適宜でよいが、例えば厚さ11.5mm、幅910mm、長さ1820mm程度の大きさものが取扱性がよいので好ましい。
【0038】
尚、この板状体Pは、木質繊維板からなるパネルであるので、現場で必要な板状体連結具Aの数が不足した場合には、一般的なクラフトテープやガムテープ等を利用して張り合わせて、一時補強的に連結することも可能である。
【0039】
(板状体連結具)
図1〜図4は本発明の実施形態に係る板状体連結具Aを示し、この板状体連結具Aは鉄や非鉄金属等の金属からなる。板状体連結具Aは薄板状のもので、弾性を持つ左右1対のクリップ部1L,1Rと、それら左右の両クリップ部1L,1Rを一体に連結する連結部7とからなる。
【0040】
上記各クリップ部1L,1Rは、矩形平板状の基部2と、この基部2の一端(図2〜図4の上端)から前側(図4の左側)に略直角に折り曲げられた矩形平板状の接続部3と、この接続部3の前端(図4の左端)から下方に略直角に基部2と略平行に折り曲げられた挟み込み部4とからなる。すなわち、挟み込み部4は基部2の一端に折り返し状態に連続し、この挟み込み部4と基部2との間には所定の間隔(後述する板状体Pの厚さよりも若干大きい間隔)があけられている。そして、挟み込み部4は、その上下長さが基部2の上下長さよりも短く、基部2との上記間隔が上側から下側に向かって次第に小さくなるように基部2に対して少し傾斜している。さらに、挟み込み部4の下端部(先端部)には、下側に向かって前側に向かう方向(基部2との間隔が大きくなる方向)に傾斜するように折り曲げられた傾斜案内部4aが形成されており、各クリップ部1L,1Rは、板状体P(パネル)にその端部から、基部2と挟み込み部4との間に板状体Pを挟み込むように外嵌合可能となっている。
【0041】
一方、上記連結部7は、上記左右の両クリップ部1L,1Rの基部2,2と面一に連続するように一体形成されたもので、両クリップ部1L,1Rの基部2,2同士を両クリップ部1L,1Rが左右方向に間隔をあけて並んだ状態で連結しており、この連結部7において両クリップ部1L,1Rが、例えば図5に示すように、上側から見て左側クリップ部1Lが時計回り方向に回動し、右側クリップ部1Rが反時計回り方向に回動するように、後側に折り曲げ角度θ(0≦θ≦180°)で折り曲げ可能となっている。
【0042】
さらに、上記連結部7には、該連結部7での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部8が形成されている。具体的には、この脆弱部8は連結部7に沿って上下方向に一定の間隔をあけて不連続に形成された複数(例えば図示例のように3つ)の縦長矩形状の長孔9,9,…からなる。脆弱部8を構成する孔は上記の如き長孔9,9,…に限定されず、他の形状のものでもよい。
【0043】
尚、上記各クリップ部1L,1Rにおける基部2下端の外側(左側クリップ部1Lでは左側、右側クリップ部1Rでは右側)の角部と、挟み込み部4の下端左右角部とにはいずれも面取り状に斜めに切り欠かれて面取り部11,11,…が形成されている。
【0044】
(簡易間仕切り構造)
上記板状体Pと板状体連結具Aとで本発明の実施形態に係る簡易間仕切り構造が得られる。この簡易間仕切り構造においては、図7〜図8に示すように、壁面接続部C1や角隅部C2にて並立あるいは近接する1対の木質繊維板からなる板状体P,Pにそれぞれ板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rが外嵌合されて、該両板状体Pが連結されている。
【0045】
すなわち、図7は板状体連結具Aにより2枚の板状体P,Pが一方向に連結された壁面接続部C1での間仕切り構造を示し、2枚の板状体P,Pが例えば縦長の起立状態で幅方向の端部にて水平方向に一定幅内側部分W(Wは100mm程度が望ましいが、板状体連結具が嵌合できる幅であれば特に限定されない)で厚さ方向に重なるように並べられ、図6に示すように略180°に折り曲げられた(θ=0°である)2つの板状体連結具A,Aを用いて、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ上記両板状体P,Pの上端部(天端部)に上側から外嵌合されて、連結具Aが両板状体P,Pに跨るように取り付けられている。また、両板状体P,Pの下端部(地端部)に他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ下側から外嵌合されている。このことで両板状体P,Pが幅方向の端部にて水平方向に一定幅内側部分Wで厚さ方向に重なるように連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって2つの空間(Z1、Z2)が区画形成される。このように板状体Pの上端部(天端部)と下端部(地端部)との上下2箇所に連結具Aを嵌めると、間仕切りの剛性や強度が大きくなって望ましいが、上端部(天端部)のみでも可能である。
【0046】
図8は2つの板状体連結具A,Aにより2枚の同じ板状体P,Pが略90°の角度でL字状に連結された角隅部C2での間仕切り構造を示し、両板状体P,Pが縦長の起立状態で、片方の板状体Pの幅方向の端部が、他方の板状体Pの幅方向の端部から水平方向に一定幅内側部分W’(W’は100mm程度が望ましいが、板状体連結具が嵌合できる幅であれば特に限定されない)の表面に突き合わされて直角(略T字型)に配置され、図5に示すように後側に直角に折り曲げられた(θ=90°である)2つの板状体連結具A,Aを用い、その一方の連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ並べられた両板状体P,Pの上端部(天端部)に上側から外嵌合されている。また、両板状体P,Pの下端部(地端部)に他方の板状体連結具Aの左右クリップ部1L,1Rがそれぞれ外嵌合されている。このことで両板状体P,PがT字状に連結されて間仕切り壁が構成され、この間仕切り壁によって内外3つの空間(Z1、Z2、Z3)が区画形成される。この場合も上端部(天端部)のみを連結具Aで連結してもよい。
【0047】
尚、図9は大きさの異なる複数種類の板状体P,P,…が複数の連結具A,A,…により連結されて床面上に形成された簡易間仕切りを示し、この簡易間仕切りによって出入り口を有する1つの空間が形成され、壁面接続部と角隅部での連結構造は少なくとも上記図7〜図8に示すものが用いられている。
【0048】
(簡易間仕切りセット)
更には上記必要な数の板状体連結具Aを所定枚数の板状体Pと組み合わせることで、簡易間仕切りセットを構成することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
板状体連結具Aが連結部7で折り曲げられていない状態では、両板状体P,Pが直線状に並んで連結される一方、連結部7で折り曲げた状態では、両板状体P,Pが折れ曲がって(交差して)並んだ状態に連結され、その連結部7の折り曲げ角度θの選択によって両板状体P,Pの連結角度(交差角度)が適宜変更される。このことで、1種類の板状体連結具Aで、両板状体P,Pを直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができ、その他の角度にも連結部7で自在に折り曲げて、現場の区画形状が鋭角や鈍角であるときにも容易に適用することができる。
【0050】
また、板状体連結具Aのクリップ部1L,1Rは板状体Pに端部から、該板状体Pを基部2と挟み込み部4との間に挟み込むように外嵌合可能であるので、その板状体Pの上端部(天端部)又は下端部(地端部)を問わず1種類の板状体連結具Aを組み付けることができる。
【0051】
また、板状体連結具Aのクリップ部1L,1Rが弾性を有するので、そのクリップ部1L,1Rに板状体Pに嵌めたときに基部2と挟み込み部4との間に板状体Pが押圧されて挟み込まれるようになり、その押圧によって板状体Pが安易に抜け出さず、板状体P,P同士を安定して連結することができる。
【0052】
さらに、板状体連結具Aは、連結部7で折り曲げられていない状態では、その連結部7により1対のクリップ部1L,1Rの基部2,2同士を一体に連結した直線形状のものであるので、不使用時に嵩張ることがなく、その保管に適する。
【0053】
また、板状体連結具Aが1種類だけであるので、複数のものを用意する必要がなく、その管理が容易である。しかも、1種類の板状体連結具Aを用いて板状体P,Pを連結すればよいので、簡易間仕切りの組立時に混乱することがない。
【0054】
しかも、板状体連結具Aは金属製のもので、その連結部7は両クリップ部1L,1Rの基部2,2と一体のものであり、その連結部7に連結部7での折り曲げ操作を容易にするための脆弱部8が形成されているものの場合には、その脆弱部8によって連結部7を弱いカでも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱いが容易となる。また、上記脆弱部8が連結部7に沿って不連続に形成された複数の長孔9,9,…であるので、連結部7に脆弱部8を容易に形成できる。
【0055】
また、板状体連結具Aの材質が金属であるれば、連結部7の折曲げ状態を安定して固定でき、簡易間仕切りの組立作業が容易となるとともに、板状体連結具Aの長期間の保管やリサイクル性に好適となる。
【0056】
尚、上記実施形態では、連結部7の脆弱部8を不連続に形成された複数の孔9,9,…としているが、その他、例えば他の部分よりも薄肉とされた薄肉部で構成してもよい。また、脆弱部8を設けることは必須ではないが、連結部7での折り曲げ操作を容易にできる点で脆弱部8を形成するのが好ましい。
【0057】
また、上記実施形態では、板状体連結具Aにおける連結部7を、左右1対の両クリップ部1L,1Rの基部2,2と一体に連続したものとしているが、これに代え、連結部7を蝶番としてもよい。こうすると、連結部7を弱い力でも簡単に折り曲げることができ、特に、実際に簡易間仕切りの組立作業が必要とされると予想される老人、女性、子供等の弱者でも取扱いがし易くなる。
【0058】
また、上記実施形態では、板状体連結具Aを金属製のものとしているが、その他の材質として樹脂、ゴム、紙等が挙げられる。しかし、長期保管に適し、リサイクル性も高いという理由から、特に適しているのは上記実施形態の如き鉄、非鉄金属等の金属が好ましい。
【実施例】
【0059】
次に、具体的に実施した例について説明する。板状体は密度0.30g/cm3の木質繊維板からなり、厚さ11.5mm、幅910mm、長さ1820mmであった。板状体連結具は厚さ0.8mmの亜鉛鋼板製のものとした。その前後厚さは12.5mm、上下長さは50mm、左右幅は86mmであり、左右中央の連結部に縦長の長孔を3箇所に開けた。
【0060】
2枚の板状体が縦長の起立状態で幅方向の左又は右端部から水平方向に100mm幅までの内側部分で厚さ方向に重なるように並べたのち、連結部で略180°折り曲げた板状体連結具を両板状体に跨るように取り付けて連結し、簡易間仕切り構造の壁面接続部を構成することができた。さらに、2枚の板状体を縦長の起立状態で片方の板状体の幅方向左端部が、他方の板状体の幅方向右端部から水平方向に内側100mmの表面部分に突き合わされるよう配置し、連結部で略90°折り曲げた板状体連結具を両板状体に跨るように取り付けて連結し、簡易間仕切り構造の角隅部を構成することができた。また、1種類の板状体連結具で板状体を直線状、L字状、T字状、十字状に連結することができた。また、簡単に板状体連結具を取り外して木質繊維板を敷床としても転用することができた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、1種類の板状体連結具で両板状体を連結して簡易間仕切りを簡単に組み立てることができるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0062】
P 板状体
A 板状体連結具
1L,1R クリップ部
2 基部
4 挟み込み部
7 連結部
8 脆弱部
9 長孔
C1 壁面接続部
C2 角隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質繊維板からなる板状体と板状体連結具とで構成され、該板状体と該板状体連結具は壁面接続部と角隅部にて連結されている簡易間仕切り構造であって、該壁面接続部では、並立する1対の板状体のうち片方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分と他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分とが並べて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分が厚さ方向に重なるように連結されていることを特徴とする簡易間仕切り構造。
【請求項2】
角隅部では、近接する1対の板状体の片方の板状体の左又は右端部が他方の板状体の左又は右端部から水平方向に一定幅内側部分の表面又は裏面に突き合わされて配置され、それぞれ板状体連結具が嵌合されて、該両板状体が略T字型で連結されていることを特徴とする請求項1の簡易間仕切り構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2の板状体連結具において、各々、基部と該基部の一端に折り返し状態に連続する挟み込み部とからなり、板状体に端部から、該板状体を上記基部と挟み込み部との間に挟み込むように外嵌合可能な1対のクリップ部と、上記両クリップ部の基部同士を両クリップ部が間隔をあけて並んだ状態で折り曲げ可能に一体的に連結する連結部とを備えたことを特徴とする板状体連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−229713(P2010−229713A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78363(P2009−78363)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】