説明

米を連続的に乾燥する方法と装置

本発明は米、特に水稲米を連続的に乾燥する方法と装置とに関する。本発明の目的は処理時間と穀核破壊とをはっきり減少させることである。これは本発明によれば水稲米の予備浄化に次いで渦動層において乾燥を行い、水稲米をそのあとではじめて調質するかもしくは冷却することによって達成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米、特に水稲米を連続的に乾燥する方法並びに米を連続的に乾燥する装置に関する。
【0002】
収穫したばかりの米は20%よりも大きい初期湿度を有し、この初期湿度は約14%の貯蔵湿度に減じられなければならない。粗く予備浄化された米(水稲米)はまず乾燥機前室に収納され、次いで機械的な乾燥機によって乾燥される。この乾燥は多くは複数の工程で50−60℃の温風で負荷された屋根乾燥機(例えばWO98/45656号明細書)において行われる。個々の工程の間には12時間に及ぶ放置時間がある。この場合には塔形乾燥機の場合と同様に2%までの限られた乾燥度しか可能ではない。穀核と殻との間の温度補償を達成するためには、個々の工程の間には少なくとも2時間の放置が要求される。必要な機械的な搬送過程は破片形成を増大させる。
【0003】
サイロもしくはホールにおける静的な乾燥の場合には、乾燥しようとする米の層厚さが制限されている(約80から100cmまで)ために大きな面積が必要である。乾燥は換気装置の配置に基づき内から外へ不均等に経過し、真に均等な空気分配が与えられないので良好なコントロールが不可能である。又、消費時間は同様に長い。
【0004】
DE−A−2926256号明細書によれば穀物の乾燥法で、新鮮空気が加熱され、穀物の上に導かれる。この場合、新鮮空気は湿度を減じるために先立って冷却される。類似した解決策はDE−A−2947759号明細書にも開示されている。
【0005】
DE−A−2938620号明細書には孔あき薄板を有する円筒形の乾燥ゾーンを有する通過式乾燥機が開示されている。DE−A−4119787号明細書には植物性のばら荷のための空調装置であって、閉じられたトンネル状の空調ステーションを有し、この空調ステーションを通って搬送ベルトが導かれ、この搬送ベルトの上でばら荷が搬送される空調装置が開示されている。この場合にはばら荷はガス状の熱担体に晒される。
【0006】
前記コンベアは多孔性表面を有し、穀物を加熱するか又は冷却するためにかつ含有湿度を低減させるために、熱ガス又は冷ガスが前記多孔性表面を貫流される(WO01/02786号明細書)。
【0007】
DE−A−19806951号明細書には粒状の物体をポップする装置であって、物体が渦動床室内でバッチ形式で加熱される装置が開示されている。EP−A−1099380号明細書には熱処理された穀物を製造する方法が開示されている。この場合、熱処理はガス流でリング状の渦動床にて行われる。前記ガス流は種々の速度成分を有してる。
【0008】
JP−A−58056650号明細書によれば約18%の含有湿度を有する未処理米が約140℃の温風で約30分間加熱される。乾燥はドラム型乾燥機において又は渦動床において行われる。この場合、強さは熱的に影響される。乾燥された米は、炊きやすい、研磨されていない米を得るために必要であると、次いで直接的に脱殻されるか又は脱殻されかつ冷却される。
【0009】
乾燥されかつ予備浄化された米は他の穀物のように加工まで貯蔵されることができる。
【0010】
本発明の課題は、公知技術の列挙した欠点を少なくとも部分的に除き、米、特に水稲米を連続的に乾燥する方法を開発することである。この課題は請求項1の特徴によって解決された。有利な実施例は従属請求項に開示されている。
【0011】
本発明は米(水稲米)は所定の湿度及び温度条件のもとではポリマに似た動態を呈するという認識に基づいている。何故ならば米には前記条件の情勢に応じてガラス状又はゴム状の状態が可能であるからである。温度が低く(室内温度まで)かつ初期含有湿度が20%以上であると水稲米はガラス状態であるが、温度が上昇するとゴム状態に移行する。このゴム状態は温度を維持し、同時に除湿した場合には維持される。冷却すると水稲米は再びガラス状態になる。この認識は水稲米を連続的な方法で乾燥させ、それにも拘らず穀核の破壊を回避するために利用することができる。このためには水稲米は約50〜55℃に加熱され、約14%の含有湿度まで乾燥され、次いで周辺温度まで冷却される。
【0012】
加熱と共に乾燥は有利には渦動層にて行われる。温度の高い渦動層においては米の穀核の内圧は水の蒸発によって上昇する。穀核と周囲との間の圧力補償によって湿気は穀核から外へ侵出する。
【0013】
渦動層における処理は、1段階又は2段階又は3段階以上で行うことができる。2段階の乾燥の場合には中間にある放置は行われず、第2段階は有利には組み合わされた乾燥/冷却である。
【0014】
加熱蒸気を供給することで水稲米の含有湿度が高い場合に乾燥開始は比較的高い温度(約120℃まで)で可能になる。
【0015】
本発明の別の課題は、米を連続的に乾燥するための装置、特に本発明の方法を実施するのに適した装置を提供することである。この場合には予備浄化のためには自体公知のセパレータ及び選別機が用いられ、乾燥のためには少なくとも1つの渦動層装置が用いられている。変化実施例においては2つの渦動層装置が順次配置されていることができる。この場合、第2の装置は乾燥の他に冷却(前冷却)を含むことができる。
【0016】
以下、本発明を2つの実施例について図面に基づき詳細に説明する。図面には唯一の図で概略的なダイヤグラムが示されている。
送られてきた未処理米はディポット1からドラム形シーブ2に達し、ドラム形シーブ2にてきわめて粗い不純物が除去される。次いで石、砂だけではなく軽い不純物、例えば紙、藁又は遊離殻を分離するためにセパレータ/分級器3において別の予備浄化が行われる。予備浄化の形態は送られてきた未処理米の汚染度に関連する。別の処理の前に遊離した不純物及び混入物をできるだけ未処理米から分離しておくことが有利である。
【0017】
予備浄化及び別のディポットにおける短期的な中間貯蔵の後で米は下から米層を温風が貫流する第1の渦動層装置5において約50℃に加熱されかつ3−4℃の湿気が乾燥される。次いで米は直接的に第2の渦動層装置6に達する。この渦動層装置6にて約50℃の温度が維持され、さらに3−4℃の湿気の乾燥が行われる。この第2の渦動層装置6の最後の3分の1において米は約40℃に冷却される。
【0018】
次いで水稲米は放置容器7に達し、そこでゆっくりと、(約20時間)周辺温度に冷却され、その際、さらに1%の湿気を失う。調質/放置の時間は適宜手段によって減じられることができる。
【0019】
調質とは択一的に米の冷却は(第2の渦動層装置6における予備冷却の有無で)向流冷却機にてより迅速に、例えば約15分以内で行うことができる。
【0020】
一般的な方法とは異なって、乾燥時間は著しく短縮され、穀核破壊ははっきりと減少されるようになった。又、設備の維持費用も低く、乾燥時間がわずかであることに基づき未処理米はより迅速に貯蔵されるかもしくは収穫時により多くの米を得ることができる。
【0021】
別の実施例においては含有湿度のきわめて高い未処理米(例えば初期湿度が約37%)が流動床を有する屋根乾燥機にて複数の段階で乾燥される。第1の段階はすでに約120℃の加熱蒸気で3時間を越えて行われる。この場合には湿度は約20−22%に減じられる。それぞれ1時間を越える別の段階では、歩進的に絞られた蒸気供給で引続き乾燥が行われる。この場合、空気もしくは蒸気温度は同様に歩進的に50℃まで下げられる。この結果、約13%の含有湿度が得られる。最後の段階で米は半時間の内に周辺温度に冷却される。この場合には蒸気はもはや供給されない。達成可能な含有湿度は約12.5%である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例を示した概略図。
【符号の説明】
【0023】
1 ディポット、 2 ドラム形シーブ、 3 セパレータ、 4 ディポット、 5 渦動層装置、 6 渦動層装置、 7 放置容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
米、特に水稲米を連続的に乾燥するための方法であって、米の予備浄化と温風を用いた乾燥とを含む形式のものにおいて、米を予備浄化後に渦動層にて乾燥することを特徴とする、米、特に水稲米を連続的に乾燥するための方法。
【請求項2】
渦動層における乾燥を1段階で行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
渦動層における乾燥を2段階で行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
渦動層における乾燥を3段階以上で行う、請求項1記載の方法。
【請求項5】
2番目の段階が乾燥と前冷却とを含んでいる、請求項3記載の方法。
【請求項6】
米を約50−55℃の温度で約13%の含有湿度に乾燥し、乾燥後にゆっくりと周辺温度に冷却し/調質する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前冷却を第2段階の最後の3分の1で行う、請求項5記載の方法。
【請求項8】
米を約50−55℃の温度で約13%の含有湿度に乾燥し、乾燥後に向流にて周辺温度に冷却する、請求項1から5まで又は請求項7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
乾燥を複数の温度段階で、加熱蒸気を供給して行う、請求項1又は4記載の方法。
【請求項10】
第1の温度段階で約120℃の加熱蒸気を供給し、該温度を他の温度段階で段階的に約50℃まで低減させる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
蒸気の供給を段階的に絞る、請求項10記載の方法。
【請求項12】
米、特に水稲米を連続的に乾燥するための装置であって、米を予備浄化する装置と、米を加熱空気で乾燥させる手段とを有する形式のものにおいて、前記乾燥させる手段が少なくとも1つの渦動層装置(5,6)を有していることを特徴とする、米、特に水稲米を連続的に乾燥する装置。
【請求項13】
2つの渦動層装置(5,6)が順次配置されて設けられている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
第2の渦動層装置(6)が乾燥領域と冷却領域とを有している、請求項13記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一方の渦動層装置(5,6)の後ろに冷却段階が配置されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記冷却段階が渦動層装置(5,6)に統合されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
渦動層装置が屋根乾燥機である、請求項12から16までのいずれか1項記載の装置。

【公表番号】特表2007−533939(P2007−533939A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507700(P2005−507700)
【出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000558
【国際公開番号】WO2005/017431
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501003320)ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト (23)
【氏名又は名称原語表記】Buehler AG
【住所又は居所原語表記】CH−9240 Uzwil, Switzerland
【Fターム(参考)】