説明

粉末の冷水溶解度の改善

本発明は、冷水溶解度を改善した、粉末、好ましくは牛乳ベース粉末、特にインスタント飲み物粉末に関する。これはさらに、前記粉末を含むカプセル及び冷たいインスタント飲み物を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、冷水溶解度を改善した、粉末、好ましくは牛乳ベース粉末、特にインスタント飲み物粉末に関する。本発明はさらに、前記粉末を含むカプセル及び冷たいインスタント飲み物を調製する方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
過去2、30年の間、冷たい液体中ですぐに溶解する粉末の成長市場があった。こうした粉末は、乾燥した粉末状栄養原料をベースとした飲料又は流動食の作製に利用される。
【0003】
この点で、凝集した粉末、即ち単一粒子がより大きな粒状体又は凝集体を形成した粉末は、通常の粉末の場合よりも、水と混ぜたときに改善された湿潤性をもつことが長い間知られている。
【0004】
例えば、米国特許第3821436号明細書は、易流動性、非吸湿性並びに熱い及び冷たい液体の両方に易水溶性の食べ物に使用すべき粉末について記載している。その中の例では、湿潤性、したがって9°〜10℃における水中での溶解度が粒子の大きさに影響されることが示されている。
【0005】
しかし、凝集は、脂肪含有粉末の場合には、これらが粒子の表面上に脂肪の薄層を有する傾向があり、冷水中でそれらに撥水性をもたせるので、十分ではない。実際に、粉末の脂肪被覆表面は疎水性になり、液体に対する粉末の接触角が高くなり、したがってこれは粉末をより濡れにくく、且つより溶解しにくくする。
【0006】
さらに、脂肪の融点が溶媒の温度よりも高い場合、これらの粉末は、さらに悪い湿潤性を示すことになる。
【0007】
この問題の解決策は、これらの粉末の表面特性を改変できる、例えば大豆レシチンなどの表面活性剤(界面活性剤)の使用である。
【0008】
しかしながら、界面活性剤の使用は、流動性などこれらの粉末の他の特性にマイナスに影響する可能性もあり、且つ官能特性(organoleptic properies)(例えば特徴的な大豆風味)に影響を与える可能性すらある。
【0009】
米国特許第4737369号明細書で提案された別の解決策は、中鎖脂肪酸のモノ及び/又はジグリセリドで脂肪含有粉末をコーティングすることである。
【0010】
しかしながら、特に牛乳ベース粉末では、乳タンパク質の存在が原因でさらなる溶解度問題に直面している。
【0011】
米国特許第5882716号明細書は、溶解度の問題に取り組んでいるが、主に熱い液体中の溶解度に関することである。
【0012】
GB−A−1022775は、その上に微粉砕した乾燥ココア粉末を含む粒子のコーティングを食用植物脂で凝集させた糖コアからなる顆粒を含むチョコレートドリンク組成物について記載している。植物脂は、融解ココアバター、ひまわり油、大豆油又は落花生油であってもよい。この組成物で使用した油又は脂は、部分的に不飽和長鎖トリグリセリド(C16及びC18)である。
【0013】
GB−A−1293476は、水及び牛乳など他の水性媒質中に容易に分散させることができる砂糖生成物について記載している。
【0014】
欧州特許出願公開第0377849号明細書は、脂肪ベースの糖菓コーティングの層でコーティングされた砂糖凝集体を含有する飲料ミックスについて記載している。
【0015】
米国特許出願公開第2005/0255202A1号明細書は、液状カプセル封入物質を用いて固形食粒子をカプセル封入するためのプロセスについて記載している。食物粒子は、スクロースと脂肪などの組合せでカプセル封入又はコーティングすることができる。
【0016】
DE70 29 515 Uは、砂糖で甘くした茶飲料を生成するためのカプセルについて記載している。このカプセルは、油性成分を含有しない砂糖コーティングからなる。
【0017】
JP50−135254は、容易に冷水に分散可能な全脂粉乳型脂肪含有粉末生成物を生成するための方法に関する。99〜60wt%の植物油/脂肪、植物硬化油若しくは植物硬化及び分別油、又はそのブレンド油と、1〜40wt%の中鎖トリグリセリドを一緒に混合して、ヨウ素価が85以下及び融点が摂氏14度以下の非常に安定な植物出発原料油を得る。中鎖トリグリセリド油を含む脂肪又は油は、粉乳、水と一緒に混合し、次いで乾燥させる。中鎖トリグリセリドを含む脂肪又は油は、乾燥粉末の脂肪相の一部として使用する。
【0018】
〔発明の目的〕
このように、水などの冷たい液体中での粉末、特に牛乳ベース粉末の溶解度を改善すること及び官能特性が優れているインスタント飲み物を生成することが本発明の目的である。
【0019】
〔発明の概要〕
本発明は第1の態様において、少なくとも部分的に食品用油でコーティングされている砂糖及び/又は増量剤の粒子を含むインスタント飲み物粉末に関する。
【0020】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のインスタント飲み物粉末を含むカプセルも本発明の一部を形成している。
【0021】
他の態様では、本発明はまた、粒状砂糖及び/又は粒状増量剤を含む粉末の冷水溶解度を改善するための食品用油の使用に関する。
【0022】
砂糖及び/又は増量剤の粒子を含むインスタント飲み物粉末を生成するための方法であって、
a.前記粒子の少なくとも一部を食品用油でコーティングしてプレミックスを形成するステップと
b.プレミックスを他の粉末原料に混合して最終的なインスタント飲み物粉末を形成するステップを含む方法は、本発明の別の態様を表す。
【0023】
第1のカプセルがクリーマー成分及び砂糖を含み、
第2のカプセルが主要な風味成分及び砂糖を含む
少なくとも2個のカプセルを含むインスタント飲み物を調製するためのキットも本発明の一部を形成する。
【0024】
最終的に、本発明は、
a.少なくともその一部が食品用油でコーティングされている砂糖及び/又は増量剤の粒子を含む少なくとも1個のカプセルに一定量の冷水を注入するステップと、
b.水とカプセルの内容物の相互作用の結果であるインスタント飲み物を供給するステップ
を含む、インスタント飲み物を生成するための方法も提案している。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書では、「冷水」という用語は、周囲温度又は冷蔵温度、即ち4℃〜30℃の水を意味する。
【0026】
「カプセル」という用語は、一般に、カプセルの収容に通常適合する飲料装置に挿入するための剛性の又は部分的に曲げやすいカプセル、カートリッジ、ポッドを含む原料を含有するパッケージを意味する。
【0027】
本発明は、少なくとも部分的に食品用油でコーティングされている粒状砂糖を含むインスタント飲み物粉末に関する。インスタント飲み物粉末は、牛乳ベースであり、且つ粉乳を含むことが好ましい。
【0028】
油は、短鎖及び中鎖飽和トリグリセリドを含み、より好ましくは本質的にそれらで構成され、このトリグリセリドは、より好ましくはC4〜C14、好ましくはC8〜C12、最も好ましくはC8〜C10飽和脂肪酸鎖を含む、より好ましくは本質的にそれで構成される。C4〜C14のもとでは、4〜14個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であることが理解されたい。同様に、C8〜C10のもとでは、8〜10個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であることが理解されたい。
【0029】
本発明で使用している油は、短鎖から中鎖トリグリセリドと呼ぶこともできる。これらは通常、ヤシ油及び/又はパーム核油から分別したカプリル酸とカプリン酸の混合物を用いて植物起源のグリセロールをエステル化することによって得られる。油は、通常周囲温度で液体である。通常、エステル化ステップには触媒を使っていない。精製によって、本質的に臭い又は風味がない高安定性油がもたらされる。これらの油は、商業的に簡単に得ることができる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、油は、粉末の合計量の0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは0.2〜0.5重量%の量で存在する。
さらに、油は、砂糖の合計量の0.5〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.1重量%の量で存在していてもよい。これはさらに、粉末中に存在する全脂肪固形分の2〜8重量%、好ましくは3〜7重量%、より好ましくは約4重量%を占めていてもよい。
【0031】
本発明の粉末は、乳製品若しくは非乳製品のクリーマー、レシチン、甘味料、香り、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性果実粉末、可溶性チョコレート粉末、香り、クエン酸などのいずれか又はその任意の組合せをさらに含んでいてもよい。使用したクリーマーは、スキムミルク、マルトデキストリン、植物油、緩衝塩を含む乳製品のクリーマーであることが好ましい。このようなクリーマーは、商業的に容易に入手可能である。起泡増進剤も本発明の粉末中に存在していてもよいが、これは必要がない。
【0032】
本発明によれば、本発明の飲み物粉末は、アイスコーヒー粉末、アイスカプチーノ粉末、アイスティー粉末、アイスチョコレート粉末、カフェフラッペ粉末、ミルクセーキ粉末、フルーツドリンク粉末などであってもよい。これは牛乳ベースであることが好ましい。
【0033】
したがって、得られたインスタント飲み物は、典型的なクリーミーでミルキーな口あたりを有し、白い泡を含むことが好ましい。
【0034】
本発明の粉末は、冷水混和性及び冷水溶解度が改善されたという利点を示す。
【0035】
冷水とは、冷却水、即ち温度が4°〜30℃の水と同様に、室温における水を表す。
【0036】
インスタント粉末の溶解度は、異なる水中の溶解ステップ、即ち湿潤性、沈下性(sinkability)及び分散性によって決まる。湿潤性は、所与の温度において粉末が水に濡れる能力の尺度である。この分析法は、インスタント粉末の生成時に一般に使用する。湿潤性は、凝集粉又は単一粒子の表面に依存する。例えば、凝集粉又は単一粒子の表面は、撥水性であってもよく、或いは水がそれを通って浸透できないフィルムを形成するほど過度に速く水を吸収してもよい。
【0037】
溶解度試験に使用した標準的な条件は、20℃で粉末15〜25gと水150mLを接触させることである。これらの条件下では、本発明の粉末は、少なくとも90%溶解し、好ましくは少なくとも95%溶解し、より好ましくは少なくとも99%溶解する。
【0038】
加えて、粉末の機械抵抗が改善されている。さらに、粉末密度の著しい低下も達成されている。粉末はこのように、特定の粉砕にかける場合、例えばカプセル中に充填する場合の用途に適している。さらに、粉末をカプセル中に充填する場合、計量充填(dosing−filling)装置によって粉末の密度が増加する。本発明の粉末を使用する場合、この問題をこうして防いでいる。
【0039】
特定の理論に拘泥するものではないが、微粉(小さい粒子)は、不十分な溶解度の原因の一部であることが想定される。さらに、カプセル中で使用する場合、これらは供給中にカプセルを妨害する可能性がある。油はこのように、微粉の凝集によって微粉の形成を減らすように作用し、したがって密度を低下させる。
【0040】
上記のインスタント飲み物粉末を含むカプセルも、本発明の一部を構成している。インスタント飲み物粉末は、牛乳ベースであることが好ましい。カプセルとは、インスタント飲み物粉末を密閉できる任意の型の容器を示す。「カプセル」という用語は、一般に、カプセルの収容に通常適合する飲料装置に挿入するための剛性の又は部分的に曲げやすいカプセル、カートリッジ、ポッドを含む原料を含有するパッケージを意味する。
【0041】
通常、このカプセルは、飲み物粉末2〜50g、好ましくは3〜30gを保持する容量を有する。このカプセルは、密封されていることが好ましい。これは、前記粉末を含有する密閉チャンバー及びそれを使用する時間に前記カプセルを開かせ、且つ前記インスタント飲み物を流出させる手段を含んでいてもよい。このカプセルは、抽出装置内の圧力下で液体の注入によって抽出されるように設計することが好ましい。こうしたカプセルは、当技術分野で既知である。本発明で使用できる適当なカプセルは、例えば欧州特許第1472156号明細書に記載されている。このカプセルは、光及び湿気を通さないことが好ましい。
【0042】
本発明の他の実施形態によれば、粒状砂糖及び/又は粒状増量剤を含む粉末の冷水溶解度を改善するための食品用油の使用も提供している。粉末は、牛乳ベース粉末であることが好ましい。食品用油は、本発明の粉末に関して上述したようなものであることが好ましい。
【0043】
油は、砂糖及び/又は増量剤の粒子の少なくとも一部のコーティングとして存在していることが好ましい。粒子は、本発明の粉末にこく、溶解性及び甘味を提供すると同時に、このように油に対して担体として働く。
【0044】
通常、油は、粉末の合計量の0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%の量で存在する。さらに、油は、砂糖及び/又は増量剤の合計量の0.5〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.1重量%の量で存在していてもよい。これはさらに、粉末中に存在する全脂肪固形分の2〜8重量%、好ましくは3〜7重量%、より好ましくは約4重量%を占めていてもよい。
【0045】
その上、油は、レシチンと併せて使用することができる。
【0046】
粒状砂糖を含むインスタント飲み物粉末を生成するための方法は、本発明によれば、食品用油で砂糖粒子の少なくとも一部をコーティングしてプレミックスを形成する第1のステップを含む。
【0047】
使用した油は、本発明の粉末に関して上述している。一実施形態では、油は、インスタント飲み物粉末中に存在する砂糖及び最終的には増量剤の全量をコーティングする。
【0048】
砂糖粒子は、好ましくはサッカロースの粒子又はラクトース若しくはフルクトースなどの任意の他の可能な結晶性砂糖である。
【0049】
増量剤の粒子は、原料に大又は少量で加えてもよい。増量剤には、砂糖代用品、例えばポリオール、繊維、デンプン、マルトデキストリン及びその組合せが含まれる。増量剤の例は、ソルビトール、マルチトール又はイヌリンであってよい。

【0050】
好ましくは、油は、砂糖の合計量の0.5〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.1重量%の量で存在する。混合は、当業者に既知の標準機器内で実施することができる。
【0051】
第2のステップでは、油をコーティングした粒子の少なくとも一部又は全部を含むプレミックスを他の粉末原料に取り込んで、最終的なインスタント飲み物粉末を形成する。
【0052】
さらに粉末原料は、粉乳を含むことが好ましい。粉末原料はまた、乳製品若しくは非乳製品のクリーマー、レシチン、甘味料、砂糖、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性フルーツドリンク、可溶性チョコレート粉末、香り、クエン酸のいずれか又はその任意の組合せを含んでいてもよい。
【0053】
最終的なインスタント飲み物粉末は、好ましくは油を0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%含む。
【0054】
本発明によれば、少なくとも2個のカプセルを含むインスタント飲み物を調製するためのキットを提供することが有利であり、ここで、第1のカプセルはクリーマー成分及び砂糖を含み、第2のカプセルは主要な風味成分、及び砂糖を含む。
【0055】
第1のカプセルは、このように乳製品又は非乳製品のクリーマー、好ましくは乳製品のクリーマーを含む。代表的な乳製品のクリーマーは、スキムミルク、マルトデキストリン、植物油及び緩衝塩を含む。このようなクリーマーは、市販されている。クリーマーによってクリーミーな味を得ることができる。
【0056】
それに対して、第2のカプセルは、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性フルーツドリンク、可溶性チョコレート粉末など又はその任意の混合物から選択できる主要な風味成分を含有する。
第2のカプセルは、バニラ風味、ミルククリーム風味、クエン酸などの追加の風味、香りなどをさらに含むことができる。
【0057】
好ましい実施形態では、第1及び/又は第2のカプセル中の砂糖及び/又は増量剤の粒子の少なくとも一部は、食品用油でコーティングされている。砂糖は、通常結晶性砂糖である。この食品用油は、飽和トリグリセリドを含むことが好ましい。最も好ましくは、トリグリセリドは、C4〜C12、好ましくはC8〜C10飽和脂肪酸鎖を含む。
【0058】
最も好ましい実施形態では、どちらのカプセルも粉乳を含む。したがって、どちらのカプセルも粉乳の一部及び砂糖の一部を含む。このようにして、砂糖は、両カプセル中の粉乳に影響を与える。さらに、クリーマー成分は、主要な風味成分と別々にしておく。
【0059】
このようなキットによって示された利点は、粉末の溶解度が改善されたことである。1個のカプセル中にすべての原料が存在する場合、このことによって、例えば、ミルクとコーヒーのフロキュレーション(flocculation)問題が生じることがあることが観察されている。どちらも砂糖の一部及び粉乳の一部を含む2個のカプセルを用いる場合、溶解度は驚くほど増大している。また、「乳製品の味」が十分な飲み物を得ることができる。さらに、砂糖粒子が食品用油でさらにコーティングされている場合、好ましい実施形態によれば、粉末の溶解度がなお一層改善されていることが観察されている。
【0060】
本発明の別の態様のもとでは、粒状砂糖及び/又は粒状増量剤を含む少なくとも1個のカプセル中にある量の冷水を注入する第1のステップを含み、砂糖粒子の少なくとも一部が食品用油でコーティングされている、インスタント飲み物を生成するための方法を提供している。カプセルは、粉乳を含むことが好ましい。食品用油は、本発明の粉末について上述したようなものである。
【0061】
水注入は通常、圧力下において、メカニカルスターラー又は他の装置なしで行う。水の注入によって、水と原料の混合が生じる。
【0062】
第2のステップでは、水とカプセルの内容物の相互作用の結果であるインスタント飲み物を供給することができる。この相互作用の結果、カプセルの内容物が水中に溶解する。
【0063】
この方法は通常、飲料カプセル機を用いて実施する。これらは、当技術分野で既知である。
【0064】
結果として、ほんの数秒で可溶性原料を高比率で含んだコールド飲料を得ることができる。
【0065】
上述のように少なくとも2個のカプセルを含む本発明のキットは、本発明に基づく方法で使用でき、それによって少なくとも前記2個のカプセルに冷水を順次注入してコールドインスタント飲料を生成する。
【0066】
したがって、カプセルは、例えば飲料カプセル機内で順番に供給されていてもよい。クリーマーを含むカプセルを一般に最初に注入し、続いて主要な風味成分を含むカプセルを注入する。結果は、好ましくはコールドの、2つの別々の相又は僅かに混合した相の飲料である。例えばコーヒーを主要な風味成分として使用する場合、白い相(クリーマー相)はコーヒー相の上にある。
【0067】
本発明の方法を用いると、得られたインスタント飲み物は、アイスコーヒー、アイスカプチーノ、アイスティー、アイスチョコレート、カフェフラッペ、ミルクセーキ又はフルーツドリンクであってもよい。これらは、牛乳ベースであることが好ましい。さらに、これらは、クリーミーでミルキーな口あたりを有し、泡状の外観及び優れた官能的性質を有する。
【0068】
本発明を、下記の非限定的な実施例によって以下にさらに例示する。
【実施例】
【0069】
実施例1
「ミルク入り(light)」アイスカプチーノ オールインワン カプセルのレシピ
【表1】


発明者らは、上記レシピを用いた場合、可溶性粉末も1個のカプセル中に入れてもよいことを発見した。かかる生成物は、よりクリーミーではなく、起泡増進剤の存在が一般に必要である。
【0070】
実施例2
標準的なコーヒー及びクリーマーミックスと、MCT(中鎖トリグリセリド)油を含んだコーヒー及びクリーマーミックスとの比較。
【表2】

【0071】
実施例3
クリーマーカプセルの生成物処方
【表3】


コーヒーカプセルの生成物処方
【表4】

【0072】
実施例4
生成物処方(2個のカプセルの合計百分率)
【表5】


上記生成物処方は、2個のカプセルからアイスカプチーノインスタント飲み物を調製するために使用することができる。
【0073】
実施例5
MCT油を含む及び含まない比較例。
【表6】


結果は、MCT油の存在が与える密度及び溶解度への影響を示す。溶解度は、カプセルがネッスル(Nestle)(登録商標)ドルチェグスト(Dolce Gusto)(商標)ブランドの飲料機中で処理された後に視覚的に評価している。
【0074】
実施例6
クリーマーカプセルの生成物処方
【表7】


コーヒーカプセルの生成物処方
【表8】

【0075】
実施例7
クリーマーカプセルの生成物処方
【表9】


コーヒーカプセルの生成物処方
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状砂糖及び/又は増量剤を含むインスタント飲み物粉末であって、前記砂糖及び/又は増量剤の粒子が、C4〜C14、好ましくはC8〜C12飽和脂肪酸鎖を含む飽和トリグリセリドを含む食品用油で少なくとも部分的にコーティングされている、インスタント飲み物粉末。
【請求項2】
前記粉末が粉乳を含む、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
前記油が、粉末の合計量の0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の粉末。
【請求項4】
前記油が、砂糖又は増量剤の合計量の0.5〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.1重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項5】
前記油が、前記粉末中に存在する全脂肪固形分の2〜8重量%、好ましくは3〜7重量%、より好ましくは4重量%を占める、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項6】
乳製品若しくは非乳製品のクリーマー、レシチン、甘味料、香り、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性果実粉末、可溶性チョコレート粉末、香り、クエン酸のいずれか又はその任意の組合せを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項7】
前記クリーマーが、スキムミルク、マルトデキストリン、植物油、緩衝塩を含む乳製品のクリーマーである、請求項6に記載の粉末。
【請求項8】
アイスコーヒー粉末、アイスカプチーノ粉末、アイスティー粉末、アイスチョコレート粉末、カフェフラッペ粉末、ミルクセーキ粉末又はフルーツドリンク粉末である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のインスタント飲み物粉末を含むカプセル。
【請求項10】
前記インスタント飲み物粉末が牛乳ベースの飲み物粉末である、請求項9に記載のカプセル。
【請求項11】
前記飲み物粉末を2〜50g収容する容量がある、請求項9又は11に記載のカプセル。
【請求項12】
密封カプセルである、請求項9〜11のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項13】
前記粉末を含有する密閉チャンバーと、前記カプセルの使用時に前記カプセルを開かせ、且つ前記インスタント飲み物を流出させる手段とを含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
抽出装置内で圧力下で液体の注入によって抽出されるように設計された、請求項9〜13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
粒状砂糖及び/又は粒状増量剤を含む粉末の冷水溶解度を改善するための食品用油の使用。
【請求項16】
前記粉末が牛乳ベース粉末である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記油が飽和トリグリセリドを含む、請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
前記トリグリセリドが、C4〜C14、好ましくはC8〜C10飽和脂肪酸鎖を含む、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記油が、前記砂糖及び/又は増量剤の粒子の少なくとも一部のコーティングとして存在する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記油が、粉末の合計量の0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%の量で存在する、請求項15〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記油が、砂糖及び/又は増量剤の合計量の0.5〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.1重量%の量で存在する、請求項15〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
粒状砂糖を含むインスタント飲み物粉末を生成するための方法であって、
a.前記砂糖及び/又は増量剤の粒子の少なくとも一部を食品用油でコーティングしてプレミックスを形成するステップと
b.前記プレミックスを他の粉末原料に混合して最終的なインスタント飲み物粉末を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項23】
前記油が飽和トリグリセリドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記トリグリセリドが、C4〜C12、好ましくはC8〜C10飽和脂肪酸鎖を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記油が、前記インスタント飲み物粉末中に存在する砂糖及び/又は増量剤の全量をコーティングする、請求項23又は24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記他の粉末原料が粉乳を含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記他の粉末原料が、乳製品の若しくは非乳製品のクリーマー、レシチン、甘味料、砂糖、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性フルーツドリンク、可溶性チョコレート粉末、香り、クエン酸のいずれか又はその任意の組合せを含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記油が、粉末の合計量の0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%の量で存在する、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも2個のカプセルを含むインスタント飲み物を調製するためのキットであって、
第1のカプセルが、クリーマー成分と砂糖及び/又は増量剤からなる第2の成分を含み、
第2のカプセルが、主要な風味成分と砂糖及び/又は増量剤からなる第2の成分を含む、
キット。
【請求項30】
前記第1及び第2のカプセルのどちらも粉乳を含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記クリーマー成分が、乳製品の又は非乳製品のクリーマーから選択され、好ましくは乳製品のクリーマーである、請求項29又は30に記載のキット。
【請求項32】
前記主要な風味成分が、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性フルーツドリンク、可溶性チョコレート粉末又はその任意の組合せから選択される、請求項29〜31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
前記第2のカプセルが、追加の風味、香りを含む、請求項29〜32のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
前記第1及び/又は第2のカプセルの前記砂糖及び/又は増量剤の粒子の少なくとも一部が食品用油でコーティングされている、請求項29〜33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
前記食品用油が飽和トリグリセリドを含む、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
冷たいインスタント飲み物、好ましくは冷たいインスタントの牛乳ベースの飲み物を調製するためのものである、請求項29〜35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
インスタント飲み物を生成するための方法であって、
a.少なくともその一部が食品用油でコーティングされている粒状砂糖及び/又は粒状増量剤を含む少なくとも1個のカプセルに一定量の冷水を注入するステップと、
b.水と前記カプセルの内容物の相互作用の結果である前記インスタント飲み物を供給するステップ
を含む、方法。
【請求項38】
前記カプセルが粉乳を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記相互作用の結果、前記カプセルの内容物が水に溶解する、請求項37及び38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも2個のカプセルに冷水を順次注入してインスタント飲み物を生成し、
注入すべき第1のカプセルが、クリーマー成分と、砂糖及び/又は増量剤からなる別の成分を含み、前記砂糖粒子の少なくとも一部が食品用油でコーティングされており、且つ
注入すべき第2のカプセルが、主要な風味成分と、砂糖及び/又は増量剤を含み、前記粒子の少なくとも一部が食品用油でコーティングされている、
請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1及び第2のカプセルのどちらも粉乳を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記主要な風味成分が、可溶性コーヒー、可溶性茶、可溶性フルーツドリンク、可溶性チョコレート粉末、香り、クエン酸又はその混合物から選択される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記油が、C4〜C12、好ましくはC8〜C10飽和脂肪酸鎖を含む飽和トリグリセリドを含む、請求項40〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記インスタント飲み物が、アイスコーヒー、アイスカプチーノ、アイスティー、アイスチョコレート、カフェフラッペ、ミルクセーキ又はフルーツドリンクである、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−524478(P2010−524478A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504653(P2010−504653)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054808
【国際公開番号】WO2008/129035
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】