説明

粉粒体供給機

【課題】粉粒体供給機の開閉弁の機能を高め、供給効率を高める。
【解決手段】 粉粒体供給機1は、ロータリーバルブ5の羽根板50と平行に配置される回転軸70と、回転軸70に固定され、連通部6を閉鎖する閉鎖位置Hと、連通部6を開放する開放位置Kとの二位置間で切換配置される弁板72と、を有する回転式開閉弁7を備え、回転式開閉弁7が開放位置Kにおいて、弁板72の上端部73がバグフィルタ4の板状の下部係止部40で係止され、弁板72の下端部74が羽根板50の回転軌跡Tと干渉しないように近接して配置され、下端部74がロータリーバルブ5の上部開口9を投入側開口53と排出側開口54の2つの領域に仕切った状態で、受入部2からホッパ3内に供給される粉粒体がロータリーバルブ5の投入側開口53から投入され、一方、排出側開口54からの混合気をバグフィルタ4が吸引処理した後、粉と空気に分離して、空気を外部へ逃がす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品、化学品、飼料、肥料等の各種粉粒体の空気輸送プラントにおいて、原料タンク、サイロ、ホッパ等の通路を開閉することにより、粉粒体の供給を制御する開閉弁を備える粉粒体供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粒体の輸送効率の低下を抑制することのできる粉粒体供給装置及び粉粒体輸送システムの発明が開示されている。この特許文献1に記載の発明は、粉粒体を輸送通路に供給する供給装置17を備え、ロータリーフィーダ23の上端部に連結筒24を介してホッパー22が固定され、このホッパー22内に投入された粉粒体が連結筒24及びロータリーフィーダ23を通じて輸送通路内に供給され、連結筒24の内部には、連結筒24を閉鎖する閉鎖位置と連結筒24を開放する開放位置との間で回転軸52を介して回動可能に支持される回動板53が設けられ、閉鎖位置にある回動板53の周縁とその対向面との間にはシールリング55が介在され、閉鎖位置にある回動板53の周縁とその対向面との間が周方向に亘ってシールされている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−240764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、開閉板53の回転軸70が連結筒24の中央位置に配置されているため、開閉弁53が水平となる閉鎖位置にあるときには、密閉性を高めて輸送効率は高くなるが、開閉弁53が垂直になる開放位置になり、ロータリーフィーダ23が駆動すると、ホッパー22及びロータリーフィーダ23の上部で、供給される粉粒体と、粉粒体を排出して空になった羽根板による戻し空気とが衝突し、粉粒体の供給効率が不十分となるのであった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、粉粒体供給装置の開閉弁の機能を高めることにより、供給効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載の通りの発明とした。本発明は、前記回転式開閉弁が開放位置において、前記弁板の上端部が前記固気分離装置の下部で係止され、前記弁板の下端部が前記羽根板の回転軌跡と干渉しないように近接して配置されることにより、前記下端部が前記ロータリーバルブの上部開口を投入側開口と排出側開口の2つの領域に仕切り、前記ホッパの受入部から供給される粉粒体が前記ロータリーバルブの投入側開口へ投入され、一方、前記排出側開口からの混合気を前記固気分離装置が処理し気体を外部へ逃がすことを特徴とする。
【0007】
前記回転式開閉弁が、鋼板を機械加工した弁板と、環状部とを備え、ホッパーの壁の厚みよりもその厚みが大きく設定されることが好ましい。
【0008】
また、前記環状部が、複数の鋼板を締結した積層構造を備え、鋼板と前記弁板の間で金属接触によるシールを行うことが好ましい。
【0009】
粉粒体自体がシールの作用をするというマテリアル・シールの効果を得る構造も可能であり、簡素なシール構造によりシール性を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、以下の効果がある。
即ち、回転式開閉弁が起立した状態において、前記ホッパの受入部から供給される粉粒体が前記ロータリーバルブの投入側開口へ投入され、一方、前記排出側開口からの混合気を前記固気分離装置が処理した後に気体を外部へ逃がすので、混合気と気体とが衝突することを防止でき、ロータリーバルブへの円滑な粉粒体の供給ができ、また、好適な空気逃がしを行なうことができる。もちろん、弁板の閉鎖時には、機密性を確保することで、ホッパー内への空気のリークを防止でき、輸送効率を高めることができる。これにより、従来、閉鎖時のみに機能するような片務的役割であった粉粒体供給装置の弁板の機能を、閉鎖時、開放時のいずれにも機能する双務的な役割に改変し、ロータリーバルブの効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明実施形態の粉粒体供給機1について図面を参照して説明する。図1〜図4は、粉粒体供給機1の全体構成を概略的に示したもので、粉粒体を輸送気体に混合させて輸送する粉粒体輸送システムの供給部に設置されるものである。粉粒体供給機1は、粉粒体が投入される受入部2を備えるホッパー3と、ホッパー3の上部に設けた固気分離装置の一例であるバグフィルタ4と、ホッパー3及びバグフィルタ4の下方に設けられ、複数の羽根板50により複数のトラフ51を回転方向へ区画形成するロータ52が設けられるロータリーバルブ5と、ロータリーバルブ5とホッパー3の内部を連通する連通部6と、を備えている。
【0012】
粉粒体供給機1は、図5及び図6に示す通り、ロータリーバルブ5の羽根板50と平行に配置される回転軸70と、この回転軸70に固定され、連通部6を閉鎖する閉鎖位置Hと、連通部6を開放する開放位置Kと、の二位置間で切換配置される弁板72と、を有する回転式開閉弁7を備えている。図5に示す通り、回転式開閉弁7の閉鎖時にはホッパー3内に粉粒体が貯留状態とされ、又、図6に示す通り、回転式開閉弁7の開放時にはホッパー3に供給された粉粒体がロータリーバルブ5によって下流側に排出される。回転式開閉弁7は駆動装置8により駆動されるようになっている。
【0013】
粉粒体供給機1は、図6に示す通り、回転式開閉弁7が、開放位置Kにおいて、弁板72の上端部73がバグフィルタ4の板状の下部係止部40で係止され、弁板72の下端部74が羽根板50の回転軌跡Tと干渉しないように近傍に配置されることにより、ホッパー3内を2つの室R1,R2に仕切るようになっている。また、下端部74がロータリーバルブ5の上部開口9を投入側開口53と排出側開口54の2つの領域に仕切った状態では、受入部2からホッパ3内に供給される粉粒体が矢印に示す通りロータリーバルブ5の投入側開口53から投入され、一方、矢印に示す通り、下部開口10から排出側開口54へ移送される混合気をバグフィルタ4が吸引処理した後、粉と空気に分離して、空気を外部へ逃がすことを特徴とする。
【0014】
図1〜図3に示す通り、ロータリーバルブ5の下部に空気輸送アダプタ11が接続され、ロータリーバルブ5の下部開口10が空気輸送アダプタ11の内部空間と連通している。その詳細は特開2002−249223号公報、特開2001−62225号公報、特開2003−26327号公報等を参照されたい。また、図3に示す通り、バグフィルタ4、ロータリーバルブ5、回転式開閉弁7及び空気輸送アダプタ11を制御する制御部12を備えている。
【0015】
図1に示す検出部13は、ホッパ3壁面に配設されており、ロータリーバルブ5に供給される粉粒体の量を計量するのに用いられる。制御部12は、検出部13からの検出信号に基づいて、駆動装置8の作動を指令し、その指令によって弁板72を往復回動することになる。
【0016】
本実施形態が適用される空気輸送システムの例としては、複数の粉粒体供給機1が、各々、対応する上流のサイロに、スクリューフィーダ等を介して接続され、各々のサイロから供給される複数種類の粉粒体を複数の粉粒体供給機1で計量し、複数の粉粒体供給機1が共通の輸送管で直列に接続され、上流側で輸送管がブロワに接続されていて、ブロワの動力によって、この輸送管を介して、各々の粉粒体供給機1の1つが選択されながら、粉粒体が下流側に輸送されて、最終的に、充填機で袋詰め又は混合処理するものが挙げられるが、適用例はこれに限定されるわけではない。以下、本実施形態の詳細な構造を説明する。
【0017】
図1〜図4に示す通り、上流から供給される粉粒体を受け入れる受入部2が漏斗状を呈するホッパー3の上部に形成されている。図5、図6に示す通り、ホッパー3の下部に連通部6が形成され、この連通部6がロータリーバルブ5の上部開口9と連通している。
【0018】
バグフィルタ4は、図5、図6、図7に示す通り、その下部から下方に延出する下部係止板40を備えている。また、図1〜図4に示す通り、ハウジング41の内部空間を清浄エアー側空間Sと含粉エアー側空間Fに区画し(図2参照)、複数の通気孔42を有するセルプレート43(バッグフィルタ支持板)と、濾布44が被着されて通気孔42に清浄エアー側空間Sから挿通されるリテーナ(図示略)と、このリテーナ(図示略)に清浄エアー側空間Sから装着されるエアーガイド45と、エアーガイド45を清浄エアー側空間Sから押えるとともにエア吹出し機能を備えセルプレート43に脱着自在に取り付けられているエアーガイド押え部材46と、を備えている。濾布44が取り付けられるリテーナ(図示略)は公知であるので、説明は省略する。
【0019】
電磁弁ユニット47は、内壁で清浄エアー側空間Sと区画されたもので、逆洗エアーを濾布44内に供給し、制御信号オフにより逆洗エアーを停止するものである。ここでは逆洗エアーの噴射態様はパルスジェット式である。
【0020】
さらにバグフィルタ4は、清浄エアー側空間Sからエアーを吸引して集粉を行う本体上部に固定された吸引用ファン48と、清浄エアー側空間Sの圧力を検出することで差圧計として働くマノメータ49と、を備えている。ハウジング41がホッパ3の上部の略半分の領域に配置されている。図4に示す通り、受入部2の横にハウジング41が隣接している。
【0021】
ロータリーバルブ5は、図1〜図5に示す通り、筒状をなすケーシング本体55と、そのケーシング本体55の左右両端部に溶接固定された板状をなす一対の側板56とを備えている。ケーシング本体55は内周面が真円をなしており、このケーシング本体55と両側板56にて外殻が構成されている。
【0022】
ケーシング本体55の略中央には、モータ57に連結される回転軸58が回転可能に支持されている。この回転軸58にはケーシング本体55内に配置されて粉粒体を移送するロータ52が装着されている。ロータ52は、回転軸58から伝達されるモータ57の回転動力を受けて所定の方向(図6に示す矢印A方向(反時計回り方向))に所定の回転数で回転して上方から供給される粉粒体を下方に移送するようになっている。
【0023】
ロータ52の外周面には、回転軸58の軸線方向に沿って延びる断面略板状の羽根板50が周方向に向かって取り付けられている。羽根板50は、所定の等間隔ピッチで複数枚取り付けられている。
【0024】
羽根板50の先端は、先端に対向する対向面(ケーシング本体55の内面)とはクリアランスが設けられている。ロータリーバルブ5はエアロックともいわれ、空気をロックする機能がある。しかし、ロータリーバルブ5を止め、開閉弁7を閉鎖しておく場合でも、粉と空気が下方から上方にリークすることがある。ロータ52の外周面には、周方向に沿って互いに隣接する羽根板50同士によって、ロータ52の回転方向(周方向)へ複数のトラフ51が区画形成されている。
【0025】
ケーシング本体55及び側板56により、図5に示す通り、上部開口9と下部開口10が区画されている。ロータリーバルブ5の上部側に連通部6が形成され、下部が空気輸送アダプタ11の上部に固定されている。
【0026】
ロータ52は、その回転に伴い一定の移動軌跡T上を回転移動(図6参照)する各トラフ51が上部開口9の投入側開口53を通過移動する際に粉粒体が収容され、下部開口10の排出位置に順次通過移動され、空気輸送アダプタ11に輸送気体が強制的に流入することで粉粒体が輸送気体と混合された状態で下流側に排出され、そして、空のトラフ51には粉粒体を含有した混合気が入った状態で上方に移送され、バグフィルタ4で処理されるようにケーシング本体55内に配設されている。
【0027】
図5及び図6に示すように、連通部6が、ロータリーバルブ5の内部とホッパー3の内部とを連通するように設けられている。
【0028】
回転式開閉弁7は、図5及び図6に示す通り、弁板72略中央部よりも偏移した位置に回転軸70が配置され、回転軸70を軸受部77が回動可能に支持している(図11参照)。連通部6内において、回転軸70の外周には開閉弁としての板状の弁板72が固定されている。制御部12の指令で作動する駆動装置8により回転軸70の周りに弁板72が往復回動することで、弁板72が、連通部6の上流側と下流側とを連通させる開放位置K(図6参照)と、連通部6の上流側と下流側とを遮断させる閉鎖位置H(図5参照)との間で切換配置されるようになっている。なお、制御部12は、設定所定時間間隔で、バグフィルタ4、ロータリーバルブ5、駆動装置8、空気輸送アダプタ11の作動を指令し、その指令によってロータリーバルブ5等への粉粒体の供給タイミングが決められる。制御部12に設定される所定時間間隔については、粉粒体の性状やロータリーフィーダの処理能力等を勘案して設定されている。
【0029】
弁板72が図5の閉鎖位置Hにあるときには連通部6が弁板72により閉鎖されることから、ホッパー3に投入された粉粒体のロータリーバルブ5への供給が規制される。一方、弁板72が図6の開放位置Kにあるときには連通部6が開放されることから、ホッパー3に投入された粉粒体が連通部6を介してロータリーバルブ5に供給される。
【0030】
弁板72の周縁には、シール部材としての鋼板が積層されたフレーム状のメタルタッチ環状部76が設けられている。このメタルタッチ環状部76は、弁板72の周縁を囲むように環状に設けられており、閉鎖位置Hにある弁板72の周縁と金属接触するようになっている。このメタルタッチ環状部76により、閉鎖位置Hにある弁板72の周縁とその対向面との間が周方向に亘ってシールされるようになっている。
【0031】
図8に示す通り、この弁板72の外周端面78と、メタルタッチ環状部76の内周端面79との接合により、連通部6をシールするようにしてある。メタルタッチ環状部76の内周端面79を弁板72の外周端面78に対して傾斜面に設定し、弁板72が連通部6をシールするとき、この内周端面79に対して弁板72の外周端面78の端部78aが連続線状に接触、又は微小隙間で対向することにより、楔状の隙間δを形成する構造とした。図10に示す通り、弁板72の外周端面78に、外周端面78の長辺方向と平行な複数条の平面視でコ字形状の溝72aを連続的に設けてあるが、主面72bには設けていない。
【0032】
回転軸70の位置は、本実施形態では、弁板72の中央ではなく、端に偏移した位置に設定されている。即ち、投入側開口53が排出側開口54よりも広くなるように、面積比が設定(70:30)されている。もちろん、粉の性状等の条件、例えば、グラニュー糖は、比重が重く流動性も良好であるので、50:50でもよい場合もある。そのほか、60:40でもいいし、極端なことを言えば、90:10でもよく、特に比率は限定されない。
【0033】
図8に示す通り、傾斜面とされる外周端面78の端部78aが内周端面79に接触する構造となっており、接触面以外には楔形状の隙間δが形成されている。この傾斜面は、上方に行くに従って隙間δの幅を増大させるように傾斜している。つまり、外周端面78の端部78aが内周端面79に接する前から接するときまで端部78aに行くに従って隙間が徐々に狭くなり、両者が接するときには、外周端面78の端縁部で接するようになっている。これにより、製作誤差の影響を受けにくくし、シール精度を高め、空気のリークを防止している。隙間δの傾斜角度(対向する端面のなす角度)は、1°〜4°が例示されるが、限定されるわけではない。ここで図8に示す通り、隙間δの最大値は間隙δ1である。この間隙δ1は面の傾斜によって異なる値となる。回転式開閉弁7を閉鎖する場合、外周端面78と内周端面79とは接していても接していなくてもよい。例えば、図9に示す通り、粉粒体が微細な粒径の場合には、間隙δ1の最小値である空隙δ2を設けることがある。この空隙δ2は、外周端面78の下端部78aと内周端面79の下端部に形成されるものである。この空隙δ2は限定されるものではなく、例示すれば、0.1mm〜0.01mm、好ましくは0.5〜0.09mm、特に、好ましくは、0.05〜0.08mmが好ましい。この空隙δ2の数値は、粉粒体の性質、種類等によって適宜変更される。
【0034】
この弁板72は、図10に示す通り、外周端面78に、複数条(ここでは2条)の溝72aが端面の長辺方向(長手方向)に連続的(又は不連続的)に四辺に形成される。この溝72aは、ラビリンスシールに代えて又はこれとともに粉粒体をシールとして活用することもある。すなわち、マテリアル・シールM(図9参照)とすることもあり、シール構造を簡素とした上でシール性を高くする。弁板72の閉鎖時に、溝72aの作用により、外周端面78と内周端面79の間に3辺にわたり形成される楔状の隙間δに粉粒体が誘導されることにより、粉粒体が確実に充填され、この隙間δに充填された粉粒体自体がシールの作用をなすものである。また、弁板72は表裏に主面72bを備えており、図8に示す通り、正面視で、この表側(上側)の主面72bと外周端面78のなす角度は鈍角で、逆に、裏側(下側)の主面72bと外周端面78のなす角度は鋭角に設定されている。粉粒体供給機1の用途等によって、外周端面78と内周端面79のいずれの側を傾斜面としてもよい。外周端面78に傾斜を設ける場合には、図8に示す通り、下角が鋭角になり、上角が鈍角になる。
【0035】
メタルタッチ環状部76は、図8に示す通り、複数枚の鋼板が締結された複層構造であり、回転軸70が弁板72を回転させ、弁板72が水平となった際(弁板72が閉じた状態)、弁板72の外周端面78の端部78aが接触する四角形フレーム形状のシールメタル76aと、このシールメタル76aの上部に固定される四角形フレーム形状の接続フランジ76bと、シールメタル76aの下部に固定される四角形フレーム形状のシム76cと、を備えた部材である。このように積層構造としたのはシールメタル76aの位置をずらすことで製作誤差を調整するためである。ボルトを少し緩めて、孔の適切に位置を合わせた後にボルトで圧締することでシールの加工精度(および調整精度)を高め、エアリークを防止する。
【0036】
弁板72及びメタルタッチ環状部76は、鋼板を機械加工したもの、例えば、一般構造用圧延鋼材であるSS400(フラットバー)を工作機械で機械加工したものであって、表面はユニクロメッキ又はニッケルクロムメッキ仕上げである。連通部6の壁の厚みよりも、その厚みが大きく設定されている。
【0037】
なお、弁板72が起立した状態では、その両側の端部はホッパー3の内壁と多少の隙間があるが問題ない。このような隙間をなくすように、ホッパー3の対向する内壁を直立壁とし、他の面は傾斜壁としてもよい。
また図7(a)に示す通り、下部係止板40は曲げ部分があってもよいし、図7(b)に示す通り、下部係止板40び付加板40aを設けてもよい。
【0038】
駆動装置8は、図11、図12に示す通り、揺動アーム80とナックル81とを覆う安全カバー83を備えている。回転軸70は一端部に揺動アーム80の端部が直交するように軸着されている。揺動アーム80はその端部を回転軸70に軸着固定したアーム部材であって、回転軸70、弁板72と一体に揺動するようになっている。揺動アーム80は他端部にナックル81が結合し、このナックル81がピストンロッド84に固定され、揺動アーム80を揺動させるようになっている。ブラケット85が安全カバー83を支持している。
【0039】
エアーシリンダ82は、水平方向に配置されて、回転軸70と、弁板72と、揺動アーム80とを一体回転するようになっている。エアーシリンダ82はボルト、ピン等からなるブラケット85を備え、ブラケット85が支持ロッド86で支持され、この支持ロッド86はロータリーバルブ5に水平に固定されている。さらに電磁弁、シリンダースイッチ等を備えている。
【0040】
次に、このように構成された粉粒体供給機1を用いて粉粒体を供給する動作を説明する。上流からの粉粒体は、スクリューコンベア等の供給装置(図示略)により搬送されて、その受入部2を通じてホッパー3内に投入される。このとき、弁板72は、連通部6を閉鎖する閉鎖位置Hにあるため、ホッパー3内に投入された粉粒体は弁板72上に一旦、貯留される。弁板72は水平位置とされ、シールメタル76aと接触している。このとき、図9のマテリアル・シールMが形成されるようにしてもよい。ここで図示は省略するが、空気輸送アダプタ11は輸送管によって供給ブロワ及び粉粒体供給機1と同様の構造である別の粉粒体供給機の空気輸送アダプタと接続されており、回転式開閉弁7が閉じている間にも、空気輸送アダプタ内には供給ブロワからの空気又は前記別の空気輸送アダプタからの粉粒体混合気が流れている。しかし、回転式開閉弁7は閉じているので、空気輸送アダプタ11からロータリーバルブ5を逆流して、空気が吹き上がることがなく、空気輸送のエネルギーロスを防止できる。
【0041】
次に、制御部12の指令により、駆動装置8により弁板72が閉鎖位置Hから開放位置Kへと回動されて連通部6が開放される。即ち、エアー・シリンダ82のピストンロッド84が伸長すると、ナックル81が揺動アーム80を揺動(回動)させ、これにより、図12で時計方向に弁板72と揺動アーム80とが回転軸70を中心軸として一体揺動する。そうすると、弁板72が時計方向に回動してシールメタル76aから離脱し、弁板72は垂直に近い傾斜状態となり、粉粒体が連通部6から下方に排出される。そして、ホッパー3内の粉粒体が、投入側開口53を経て、供給位置に到達したトラフ51に投入され、下部開口10の排出位置に到達したトラフ51から粉粒体が下方に投下され、空気輸送アダプタ11に移送される。
【0042】
そして、上流側輸送管を通過した輸送気体が空気輸送アダプタ11内に圧送されると、粉粒体は輸送気体によって強制的に下流側輸送管側に輸送される。このとき、下流側輸送管に接続された更に別の粉粒体供給機の弁板は閉鎖位置Hにあり、その周縁と対向面との間が強固にシールされているため、下流側の粉粒体供給機で空気が吹き上がることがない。このため、輸送管内に圧送される輸送気体の高圧性が維持され、高圧の輸送気体によって粉粒体を効率良く輸送することができる。下流側輸送管側に輸送された粉粒体は計量充填装置(図示略)内に供給される。
【0043】
空になったトラフ51は、図6に示す通り、排出位置から排出側開口54に向かって反時計方向に回動し、排出側開口54付近にある混合気はさらに上方に向かって移送され、バグフィルタ4に吸引され、空気の逃げ道が確保される。このとき、下部係止板40が弁板72に係止しているので、受入部3からホッパ3内に供給される粉粒体と、バグフィルタ4に入る混合気とが干渉しない利点ある。
【0044】
バグフィルタ4では、清浄エアー側空間Sの出口と連通した吸引用ファン48によって、清浄エアーを吸引し、ホッパー3への粉粒体の投入に伴う空気抜きをする。集粉運転の際、含粉エアー側空間Fから含粉エアーのうちのエアーが清浄エアー側空間Sへ吸引される。その粉の多くは濾布44に吸着される。その際、濾布44の形状は、リテーナ(図示略)に掛け渡されて凹成した状態を呈する。一方、適宜、エアーガイド押え部材46から瞬間的に圧力のあるパルスジェット式の逆洗エアーがリテーナ(図示略)に向かって噴射され、濾布44が瞬間的に略楕円状に膨張することで、逆洗エアーが波動状、脈動状に濾布44を伝播し、衝撃による振動により、捕集した粉粒体を濾布44から払い落とす逆洗運転を行い、払い落とされた粉がトラフ51に収容されて、投入側開口53へ移送されるので、集粉効率の維持を図ることができる。
【0045】
その後、検出部13によって所定量の粉粒体がロータリーバルブ5側に投入されたことを検出すると、制御部12は、弁板72を開放位置Kから閉鎖位置Hに回動させて、連通部6が閉鎖されるように駆動装置8を制御する。即ち、エアーシリンダ82のピストンロッド84を退避させ、ナックル81が揺動アーム80を揺動(回動)させ、これにより、反時計方向に弁板72と揺動アーム80が回転軸70を中心軸として一体揺動する。弁板72は水平位置とされ、シールメタル76aと接触し、排出動作が停止され、粉粒体が貯留状態に戻る。また、弁板72に付着する粉粒体は弁板72の回動によって払い落とされてトラフ51に投入される。ただ、粉粒体の種類によっては弁板72に付着しつづけ、そのままの状態で弁板72が閉鎖位置Hに到る場合もある。
【0046】
本実施形態の効果について記載する。
(1)弁板72が起立した状態において、ホッパ3の受入部2から供給される粉粒体がロータリーバルブ5の投入側開口53へ投入され、一方、排出側開口54からの混合気を固気分離装置であるバグフィルタ4が処理した後に気体を外部へ逃がすので、混合気と気体とが干渉することを防止でき、ロータリーバルブ5への円滑な粉粒体の供給ができ、また、好適な空気逃がしを行なうことができる。もちろん、弁板72の閉鎖時には、機密性を確保することで、ホッパー3内への空気のリークを防止でき、省エネルギ効果により輸送効率を高めることができる。これにより、粉粒体供給機1の回転式開閉弁7の機能を高め、ロータリーバルブ5の供給効率を高めることができる。さらに複数種類の粉粒体を輸送する場合には、粉粒体の混稀を防止でき、正確な処理を図ることができる。
(2)シールをメタルタッチ環状部76と弁板72によるメタルタッチにより構成しているので、構造を簡素化できる上に、シール剥離片の粉粒体への混入を防止し、カビ、害虫等の異物が発生し難く、コンタミネーションを好適に防止できる。
(3)弁板72がメタルタッチ環状部76に線状に接触するので、粉粒体の噛み込みを防止できるとともに、シールを確実にでき、エアリークの防止精度が高くなる。
(4)メタルタッチ環状部76が3つのパーツから構成されるので、別体として高精度で製作することで、安定したシールの加工精度を実現できる。
(5)溝72aの作用により、弁板72とシールメタル76aにより粉粒体をシールする場合には、粉粒体が隙間δと溝72aに充填されることで、粉粒体自体がシールの作用をするというマテリアル・シールMを構成するという効果を得ることができるので、簡素なシール構造によりシール性を良好にすることができる。
【0047】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【0048】
例えば、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。本実施形態では、食品、薬品、化学品用の粉粒体として粉粒体を輸送する輸送システムを採用したが、この粉粒体としてはこれに限られるものではない。例えば、ガラス、プラスチック及び板材のかけら、おがくず、細かく砕いたビニール等の粉砕体や、セメント、木の粉等の粉粒体等を輸送する輸送システムを採用してもよい。供給ブロワーに代えて吸引ブロワーを備える輸送システムを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明実施形態の粉粒体供給機の正面図である。
【図2】同粉粒体供給機の右側面図である。
【図3】同粉粒体供給機の左側面図である。
【図4】同粉粒体供給機の平面図である。
【図5】同粉粒体供給機の内部構造(閉鎖位置H)を示す縦断面図である。
【図6】同粉粒体供給機の内部構造(開放位置K)を示す縦断面図である。
【図7】同粉粒体供給機の内部構造(開放位置K)の係止構造の部分拡大図である。
【図8】同粉粒体供給機のメタルタッチ環状部と弁板との接触の状態を示す部分拡大断面図である。
【図9】同粉粒体供給機のメタルタッチ環状部と弁板とのマテリアルシールを示す部分拡大断面図である。
【図10】(a)は同粉粒体供給機の弁板と回転軸を示す平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図、(d)は(c)の端部の部分拡大図である。
【図11】同粉粒体供給機の回転式開閉弁とその駆動装置の平面図である。
【図12】同回転式開閉弁とその駆動装置の正面図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・粉粒体供給機 2・・・受入部 3・・・ホッパー 4・・・バグフィルタ
40・・・下部係止板 40a・・・付加板 41・・・ ハウジング
S・・・清浄エア−側空間 F・・・含粉エア−側空間 42・・・通気孔
43・・・セルプレート 44・・・濾布 45・・・エアーガイド
46・・・エアーガイド押え部材 47・・・電磁弁ユニット 48・・・吸引用ファン
49・・・ マノメータ 5・・・ロータリーバルブ 50・・・羽根板
51・・・トラフ 52・・・ロータ 53・・・投入側開口 54・・・排出側開口
55・・・ケーシング本体 56・・・側板 57・・・モータ 58・・・回転軸
T・・・回転軌跡 6・・・連通部 7・・・回転式開閉弁 H・・・閉鎖位置
K・・・開放位置 70・・・回転軸 72・・・弁板
72a・・・溝 72b・・・主面 73・・・上端部 74・・・下端部
1,R2・・・室 76・・・メタルタッチ環状部 76a・・・シールメタル
76b・・・接続フランジ 76c・・・シム 77・・・軸受部
78・・・外周端面 78a・・・端部 79・・・内周端面 8・・・駆動装置
9・・・上部開口 10・・・下部開口 11・・・空気輸送アダプタ
12・・・制御部 13・・・検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が投入される受入部を備えるホッパーと、
前記ホッパーの上部に設けられ粉粒体と気体とを分離する固気分離装置と、
前記ホッパー及び固気分離装置の下方に設けられ、複数の羽根板により複数のトラフを回転方向へ区画形成するロータが設けられるロータリーバルブと、
前記ロータリーバルブの内部と前記ホッパーの内部を連通する連通部と、
前記ロータリーバルブの羽根板と平行に配置される回転軸と、前記回転軸に固定され、前記連通部を閉鎖する閉鎖位置と、前記連通部を開放する開放位置と、の二位置間で切換配置される弁板と、を備える回転式開閉弁と、を備え、
前記回転式開閉弁が開放位置において、前記弁板の上端部が前記固気分離装置の下部で係止され、前記弁板の下端部が前記羽根板の回転軌跡と干渉しないように近接して配置されることにより、前記下端部が前記ロータリーバルブの上部開口を投入側開口と排出側開口の2つの領域に仕切り、
前記ホッパの受入部から供給される粉粒体が前記ロータリーバルブの投入側開口へ投入され、一方、前記排出側開口からの混合気を前記固気分離装置が処理し気体を外部へ逃がすことを特徴とする粉粒体供給機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−91078(P2009−91078A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261928(P2007−261928)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(507001162)株式会社ツカサ (16)
【Fターム(参考)】