粉粒体充填装置
【課題】 オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で確実に支持することで、騒音防止を図る。
【解決手段】 粉流体を貯留する逆円錐形状のホッパ10と、当該ホッパ10の下端頂部に連通された円筒状のファネルチューブ20と、このファネルチューブ20内の中心軸上に配設されたオーガスクリュー軸30を備えている粉流体充填装置に、稼働中のオーガスクリュー軸30の振れをなくすための軸受部60を設ける。この軸受部60は、カップ状の構造で内部に気体を噴出することにより、非接触の空気軸受を形成する。気体は、軸受部60を支持する支持枠70の内部を通って給排気する構成になっている。この空気軸受により、オーガスクリュー軸30は軸支持されるため、ファネルチューブ20に接触することがなく騒音が防止される。
【解決手段】 粉流体を貯留する逆円錐形状のホッパ10と、当該ホッパ10の下端頂部に連通された円筒状のファネルチューブ20と、このファネルチューブ20内の中心軸上に配設されたオーガスクリュー軸30を備えている粉流体充填装置に、稼働中のオーガスクリュー軸30の振れをなくすための軸受部60を設ける。この軸受部60は、カップ状の構造で内部に気体を噴出することにより、非接触の空気軸受を形成する。気体は、軸受部60を支持する支持枠70の内部を通って給排気する構成になっている。この空気軸受により、オーガスクリュー軸30は軸支持されるため、ファネルチューブ20に接触することがなく騒音が防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紛状又は粒状の製品(粉粒体)を包装容器等に充填するための粉粒体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、粉粒体充填装置の一態様である縦型製袋充填装置の概略構造を示す斜視図である。
同図に示すように縦型製袋充填装置は、逆円錐形状のホッパ10と、当該ホッパ10の下端頂部に連通された円筒状のファネルチューブ20と、このファネルチューブ20内の中心軸上に配設されたオーガスクリュー軸30とを備えている。
粉粒体Aは、ホッパ10内に充填され、オーガースクリュー軸30の回転に伴いファネルチューブ20内を下方向へと移送されていき、下端開口部20aから排出される。
【0003】
また、ファネルチューブ20の外周には、製袋チューブ50が同軸上に配設してある。この製袋チューブ50の外周面には、繰出しベルト51によって巻回ドラム110から繰り出されてきた帯状の包材Fが巻き付けられる。製袋チューブ50に巻き付けられた包材Fは、縦シール装置52によって筒状に熱シールされながら下方に搬送されていき、横シール装置53によって袋状に熱シールされる。
このように、製袋チューブ50、繰出しベルト51、縦シール装置52、横シール装置53など、包材Fを供給して包装袋100を形成するための構成を備えた粉粒体充填装置を、縦形製袋充填装置と称している。
なお、これら包材Fを供給して包装袋100を形成するための構成を備えていない粉粒体充填装置もある。その種の粉粒体充填装置では、ファネルチューブ20の下方位置に包装容器100が自動配置され、先端開口部20aから排出された粉粒体Aが包装袋100内に充填される。
【0004】
ここで、オーガスクリュー軸30は、駆動源40と連結される上端部だけが図示しない軸受によって軸支されており、その下端は自由端となっていた。このため、オーガスクリュー軸30は、回転に伴う粉粒体の搬送抵抗等に起因して振れを生じることがあった。オーガスクリュー軸30の振れが大きいと、同軸30の羽根がファネルチューブ20の内周面に接触して大きな騒音が発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、本出願人は、先にオーガスクリュー軸の下端部支持するためのオーガー軸支持装置を提案した(特許文献1参照)。このオーガー軸支持装置は、供給筒(ファネルチューブ)の下端に設けた菊座と称する部材の中心部に凹状の軸受を装着するとともに、オーガスクリュー軸の下端を円錐形に加工して上記軸受に嵌め込むことで、オーガスクリュー軸の下端を回転自在に支持する構成となっている。
【特許文献1】特開平8−253201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した構成のオーガー軸支持装置は、装置稼働中に高速回転するオーガスクリュー軸から伝わる振動等に起因して、凹状の軸受とオーガスクリュー軸の下端円錐部分との間にがたつきを生じるおそれがあった。その結果、軸受とオーガスクリュー軸の下端円錐部分との間で振動音や衝撃音が発生する可能性があった。さらに、軸受を構成する部品が、振動や衝突の繰り返しによって脱落してしまうおそれもあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされれたもので、オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で確実に支持することで、騒音防止を図った粉粒体充填装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、粉粒体を貯留するホッパと、当該ホッパの下端に連通する円筒状のファネルチューブと、当該ファネルチューブの中空部内に同軸上に配置され上部を回転自在に支持されたオーガスクリュー軸と、を備えた粉粒体充填装置において、このオーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を設置することで、粉流体充填装置の稼働時に安定したオーガスクリュー軸の回転が得られ、ファネルチューブの内周面に対して振れによる接触を防いで騒音の発生を抑制することができる。
【0010】
軸受手段は、オーガスクリュー軸の下端部が挿入配置され且つ当該下端部との間に任意の隙間ができるカップ状の軸受部と、当該軸受部をファネルチューブの下端開口部付近で支持するとともに、ファネルチューブの下端開口部から排出される粉粒体を透過可能な支持枠と、軸受部の内面から気体を噴射する気体供給手段と、を含む構成とすることができる。
【0011】
軸受部の内面から噴射された気体は、軸受部とオーガスクリューの下端面ないし周面に回り込んで気流の層を形成する。これにより、オーガスクリュー軸を非接触で支持することができる。
また、軸受部の上面開口部から漏れ出す気体は、粉粒体の軸受部内への侵入を防止する。
【0012】
ここで、オーガスクリュー軸は、軸受部の上面開口部に対向するフランジ部を含む構成とするとすることが好ましい。このフランジ部は、軸受部の内面から噴射された気体を下面で受ける。これにより、フランジ部と軸受部との間にいっそう大きな反発力が作用するため、軸受部に対するオーガスクリュー軸の相対的な浮上による非接触状態をいっそう安定化させることができる。
【0013】
支持枠は、軸受部の内面から噴射された気体の圧力を受けて弾力的にたわむ構成であることが好ましい。
【0014】
支持枠を弾力的にたわむ構成とすることで、軸受部とオーガースクリュー軸との間に取付け誤差や熱膨張による相対的な変形が生じても、気体の圧力により支持枠が下方向へたわみ、オーガスクリュー軸と軸受部との間に隙間を形成することが可能となる。
【0015】
支持枠は、軸受部を中心に径方向に延びる複数本のスポークを有する構成とし、これらスポークの少なくとも1本には、その内部に軸受部の内面へ開口する給気通路を形成することが好ましい。なお、気体供給手段は、給気通路と、この給気通路に気体を送り込む気体供給源と、を含む構成とすることができる。
【0016】
支持枠のスポークを利用して給気通路を形成することで、ファネルチューブの下端開口部付近に給気用の配管を設ける必要がなくなり、粉粒体の排出を阻害せず軸受部へと気体を供給することができる。
【0017】
スポークは、断面三角形状に形成され、ファネルチューブの下端開口部と対向して頂部が配置され、径方向外端部は、ファネルチューブの下端開口部より外側まで延びている構成であることが好ましい。
【0018】
この構成により、ファネルチューブの下端開口部から排出される粉流体が、スポークに堆積することがなくなる。さらに、支持枠が下端開口部の外側から支えられ、粉流体の排出口を狭めないため、安定した定量充填を実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で支持して騒音の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施形態に係る粉粒体充填装置を示す図であり、図1は、粉粒体充填装置の概略を示す断面正面図である。
本実施形態に係る粉粒体充填装置は、図11に示した装置と同様に包装袋100を製作できる機能をもった縦形製袋充填装置である。
【0021】
図1に示すように、粉粒体充填装置は、粉流体を貯留する逆円錐筒状のホッパ10、このホッパ10の下端頂部に連通する円筒状のファネルチューブ20、およびファネルチューブ20の中空部内に同軸上に配置されたオーガスクリュー軸30を備えている。
【0022】
ホッパ10は内部が中空となっており、その中空部内に投入口11から投入された粉粒体Aが貯留される。ホッパ10の中空部内には、図示しないアジテータなどの撹拌部材が設けてあり、ホッパ10の内周面近傍を周回し、粉粒体Aを撹拌する。
【0023】
ファネルチューブ20は、上下方向に延在して配置してあり、下端開口部20aが粉粒体Aの排出口を形成している。
図2は、ファネルチューブの下端開口部付近を拡大して示す正面断面図である。
ファネルチューブ20の下端開口部20a付近の外周面には、粉流体の粉流れや稼働停止後の後垂れを防止するために脱気装置が設けてある。脱気装置は、ファネルチューブ20の外周に設けた負圧室23と、ファネルチューブ20の周壁に形成した複数の脱気孔21と、これら脱気孔21と負圧室23との間に設けたフィルタ22とを備えている。負圧室23は、図示しない吸気装置によって減圧される。これにより、脱気孔21を介してファネルチューブ20の中空部内の粉粒体が脱気されて密度が高まり、下端開口部20aからの自然落下が抑制される。なお、脱気装置を備えた粉粒体充填装置は、既に公知である(特開2004−91011号公報参照)。
【0024】
オーガスクリュー軸30は、上部を軸受(図示せず)によって回転自在に支持されており、駆動源40からの回転駆動力が上部に伝えられて回転する。オーガスクリュー軸30の周面には螺旋状のスクリュー羽根31が形成され、回転によりファネルチューブ20内で粉流体Aを移送できるようになっている。
【0025】
ファネルチューブ20の外周には、包装袋100を成形するための製袋チューブ50が同軸状に設けてあり、巻回ドラム110から引出されてきた帯状の包装フィルムFを、この製袋チューブ50の外周面へ筒状に巻き付けながら、繰出しベルト51によって下方に搬送するとともに、縦シールブロック52で縦シールして筒状に形成する。さらに、ファネルチューブの下方位置で横シールブロック53により幅方向にシールし、包装袋100を形成する。
【0026】
粉粒体Aは、ホッパ10内に充填され、オーガスクリュー軸30の回転に伴い、ファネルチューブ20内を下方向へと移送され、下端開口部20aから排出される。下端開口部20aから排出された粉粒体Aは、下方位置に配置された包装袋100に定量充填される。粉粒体Aの排出量は、オーガースクリュー軸30の回転量に依存するため、駆動源40の制御により任意に調整することができる。
【0027】
本実施形態に係る粉粒体充填装置は、製袋チューブ50の下端に軸受手段が設けてある。
図3は、オーガスクリュー軸30の軸受手段を拡大して示す正面断面図であり、図4(a)は、図3のX-X線断面図、図4(b)は、図4(a)のY-Y線断面図である。
軸受手段は、オーガスクリュー軸30の下端部32が挿入配置される軸受部60と、この軸受部60を支持する支持枠とを含んでいる。
【0028】
軸受部60は、カップ形状(有底円筒状)に形成してあり、その底面および内周面の適所に給気口64と排気口65とが開口している。本実施形態では、軸受部60の内底面中央部と内周面の二箇所に給気口64が形成してあり、さらに内周面の他の一箇所に排気口65が形成してある。給気口64からは、後述する給気通路61を経由して供給される圧縮エアGが噴射される。また、排気口65は後述する排気通路62と連通し、軸受部の内側に排出された圧縮エアGの多くを排気通路62へと導く。
【0029】
軸受部の内側には、内面に接触した状態で凹状の多孔質部材63が配置してある。上述した給気口64は、この多孔質部材63の外周面に接触している。多孔質部材63は、給気口64から噴出する圧縮エアGをその内部で分散させ、内面全体からほぼ均一に噴射させる機能を有している。なお、上述した排気口65は、この多孔質部材63の上端開口部より上側に開口している(図3参照)。
【0030】
一方、オーガスクリュー軸30の下端には、下方に向かって延長した下端部32が形成してあり、この下端部32が軸受部60の内側、詳しくは多孔質部材63の内側に挿入配置される。ここで、軸受部60(多孔質部材63)の底面および内周面と、オーガースクリュー軸30における下端部32の下端面および外周面との間は、少なくとも装置稼働中に微小な隙間Sが形成されるように相互の部材寸法を調整してある。この隙間Sを多孔質部材63を通して噴射される圧縮エアGが流動して、空気層を形成することで、非接触の軸受構造(空気軸受)が構成される。隙間Sの寸法は、オーガスクリュー軸30の重量、下端部32の外形寸法、圧縮エアGの噴射圧力などを考慮して適宜調整することが好ましい。
【0031】
オーガスクリュー軸30の下端部32は、排気口65と対向する部位に周溝34が形成してある。この周溝34は、隙間Sを流動してきた圧縮エアGをトラップしてその多くを排気口65へと導く機能を有している。
【0032】
さらに、オーガースクリュー軸30の下端部分には、外形方向へ広がるフランジ部33が形成してある。このフランジ部33は、軸受部60の上端開口部と対向する位置に形成してあり、装置停止中には、同上端開口部に接触してこれを閉塞する。これにより、軸受部60に圧縮エアGが供給されない装置停止中において、軸受部60の上端開口部から内側へ粉粒体Aが進入する不都合を回避することができる。また、フランジ部33は、装置稼働中にあっては、軸受部内に供給された圧縮エアGの圧力を受ける。この圧力作用によって、フランジ部33と軸受部60の上端との間が相対的に離間して隙間Sが形成される。この隙間Sから、軸受部内の圧縮エアGが放出されるので、軸受部内への粉粒体Aの進入が回避される。
【0033】
支持枠は、図4(a)に示すように、軸受部60の外周に同軸状に配置した外枠80(リム)と、この外枠80と軸受部60とを連結する複数本の棒状をしたスポーク70とで構成されている。各スポーク70は、軸受部60を中心に放射状に延びている。図4(a)に示す構成では、3本のスポーク70を一定角度毎に配設してあるが、スポーク70は必要に応じて任意の本数を備えることができる。スポーク70は、図4(b)に示すように断面三角形状に形成してある。
【0034】
外枠80には製袋チューブ50の下端開口部に装着するための締結手段として、オーガスクリュー軸30の回転と逆方向にねじ切りした雄ねじ81(細目ねじ)を形成してある。製袋チューブ50の下端開口部は、外枠80の被装着部を構成している。具体的には、雌ねじ56が製袋チューブ50の下端内周面に形成してある。外枠80は、雄ねじ81を製袋チューブ50の雌ねじ56にねじ込むことで、同チューブ50の下端開口部に装着される。この装着状態において、断面三角形状をしたスポーク70は、頂部がファネルチューブ20の下端開口部20aと対向するように上向きに配置される。これにより、ファネルチューブ20の下端開口部20aから排出される粉粒体Aのスポークへの付着堆積を抑制することができる。
【0035】
製袋チューブ50は、ファネルチューブ20の外周に設けられているので、この製袋チューブ50に外枠80を装着した状態にあっては、スポーク70の外端がファネルチューブ20の下端開口20aよりも径方向外側に位置することになる。このため、ファネルチューブ20の下端開口部20aから排出される粉粒体Aをスポーク70によって一部堰き止めるおそれもなく、円滑な粉粒体Aの排出動作を補償することが可能となる。
【0036】
スポーク70は、弾力的にたわみ可能な構成としてある。上述したように、フランジ部33と軸受部60の上端との間は、装置停止中は接触しており、装置が稼働したとき軸受部内に供給された圧縮エアGの圧力をフランジ部33が受けて、その圧力作用によって両部材間が相対的に離間する。これら両部材間の離間動作は、スポーク70の弾力的なたわみにより実現される。ちなみに、オーガスクリュー軸30は重量物であり、しかも上部で駆動源40と連結されているため軸方向に移動させることは困難である。
また、装置が停止したときは、圧縮エアGによるフランジ部33への圧力作用がなくなるため、スポーク70が弾性力をもって復元し、フランジ部33と軸受部60の上端との間を接触させる。
【0037】
さて、本実施形態の粉粒体充填装置には、上記軸受部60の内面に形成した給気口64へ圧縮エアGを供給する給気通路54,61、71と、排気口65から排出される圧縮エアGを送り出す排気通路55、62、72とが形成されている。給気通路54,61、71と排気通路55、62、72は、軸受部60、支持枠、および製袋チューブ50にかけて連通している。
【0038】
具体的には、軸受部60に形成された給気通路61が、軸受部60の内底面中央部と内周面にそれぞれに開口する給気口64に連通している。また、排気通路62は排気口65と連通している。
【0039】
図4に示すように、支持枠を構成する3本の各スポーク70のうち、2本のスポーク70にはその内部を同軸上に延びる給気通路71が形成してあり、他の1本のスポーク70にはその内部を同軸上に延びる排気通路72が形成してある。給気通路71および排気通路72は、それぞれ外枠80の内部を通ってその上端面に開口している。
【0040】
製袋チューブ50のチューブ周壁内部には、2本の給気通路54と1本の排気通路55が軸方向に平行に延びている。これら給気通路54と排気通路55は、一端がそれぞれ図示しない気体給排装置(気体供給源を構成する)に連通している。また、給気通路54と排気通路55の他端は、製袋チューブ50の下端面に開口しており、製袋チューブ50に装着された支持枠の給気通路71および排気通路72と連通する構成となっている。
【0041】
本実施形態では、圧縮エアGは、図示しない気体給排装置から供給され、製袋チューブ50、支持枠、および軸受部60に連通して設けた2本の給気通路54,71,61を通り、軸受部60の給気口64から噴射される。
【0042】
軸受部60の内周に設けた多孔質部材63は、給気口64から噴射された圧縮エアGを、オーガスクリュー軸30に形成した下端部32の下端面ないし周面に向かってほぼ均一に噴射させる。そして、オーガースクリュー軸30の下端部32と多孔質部材63との間に形成される隙間Sを、圧縮エアGが流動して空気層を形成することで軸受部内に非接触状態の空気軸受が形成される。
【0043】
軸受部60は、オーガスクリュー軸30における下端部32の下端面とフランジ部33の下面に圧縮エアGを噴射することにより、その噴射圧力の反作用で下方向へたわみ、隙間Sを形成する。一部の圧縮エアGは、このフランジ部33と軸受部60との間に形成された隙間Sから、ファネルチューブ20の下端開口部20aへの排出される。また、軸受部60内に残った圧縮エアGは、周溝34を経由して排気口65へ導かれ排気される。排気された圧縮エアGは、軸受部の排気通路62、スポーク70の排気通路72、製袋チューブの排気通路55を通り、図示しない気体給排装置へ戻される。
なお、圧縮エアGの噴射圧力は、軸受部60による空気軸受の形成に影響するため、圧力制御により任意に調整することが好ましい。
【0044】
このような軸受手段で軸支されたオーガスクリュー軸30は、回転駆動中に軸の振れがなくなり、ファネルチューブ20の内周面への接触による騒音の発生を確実に防止することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、装置停止中はオーガスクリュー軸30のフランジ部33を軸受部60の上端面と接触させる構成としたが、必要に応じて粉流体充填装置が稼働してない状態でも、軸受部60の上端面とフランジ部33の下面とが非接触状態となる構成としてもよい。
【0046】
オーガスクリュー軸30の回転や粉流体Aとスクリュー羽根31との摩擦などにより熱が発生し、オーガスクリュー軸30など各部材が膨張する場合がある。また、各部材間には製作時に寸法誤差が生じることは避けられない。かかる各部材の熱的膨張や寸法誤差に起因して、オーガスクリュー軸30の下端部32と軸受部60との間に設けるべき隙間、特に軸方向の隙間が空気軸受を形成するために適正な寸法を保てないおそれがある。
しかし、本実施形態の粉粒体充填装置は、支持枠が弾力的にたわむ構成としてあるので、この支持枠のたわみ変形をもって各部材の熱膨張や寸法誤差を柔軟に吸収し、当該隙間を適正に保ち、空気軸受としての機能を安定して発揮することが可能である。
【0047】
〔その他の実施形態〕
図5乃至図10は、本発明の他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す図である。
図5および図6に示す実施形態では、製袋チューブ50の内周面に、給気通路54、排気通路55となる縦長のパイプを設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させて、気体の給排気を行う構成としてある。
本実施形態では、製袋チューブ50の内部に気体通路となる縦孔を作らず、パイプで給排気できるため、製袋チューブ50の加工に掛かる費用を減ずることができ、且つ、パイプの配置を任意に調節できるため、スポーク70の本数に対応した給排気通路を比較的容易に設置できる。
【0048】
図7および図8に示す実施形態は、包装袋100を製作する機能(製袋機能)を有しない構成の粉粒体充填装置への本発明の適用例である。本実施形態では、ファネルチューブ20の下端開口部20aに軸受手段60を装着するとともに、ファネルチューブ20の周面内部に、給気通路54、排気通路55となる軸方向の通気孔を設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させてある。
【0049】
図9および図10に示す実施形態は、ファネルチューブ20の外周面に、給気通路54、排気通路55となる縦長のパイプを設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させて、気体の給排気を行う構成としてある。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、上述した実施形態では、製袋フィルムFを連続して繰り出す連続式の縦形製袋充填装置や製袋機能を有しない縦形充填装置に適用したが、これに限らずオーガースクリュー軸を用いた各種構造の粉粒体充填装置に適用することができる。
【0051】
軸受部60に供給する気体は、圧縮エアGに限らず、用途に応じて窒素ガスや種々の不活性ガス等を用いることもでき、包装袋100をエアパックやガス封入パック等の疑似真空パックに形成することも可能である。また、圧縮エアGがイオン化されていれば、包袋袋100内の粉流体Aから発する静電気の除去効率を改善することができる。
【0052】
また、スポークの数は任意であるが、これを軸受部60の支持に必要となる最低限の本数とすることで、ファネルチューブの下端開口部20aが不必要に狭められなくなり、粉流体Aの排出口でつまることが少なくなって充填効率が高まる。
【0053】
軸受部60と製袋チューブ50はねじ込み式で嵌め込むため、わずかにねじ込み量がずれただけで、製袋チューブの給気通路54、排気通路55とスポーク70の給気通路71、排気通路72との連通点が合わなくなる可能性がある。そのため、支持枠に連通口を広くするざぐりや、連通点での位置止め構造などを設けることで、互いの通路の連通状態を容易に形成することができる。なお、軸受手段の製袋チューブ50やファネルチューブ20への装着構造は、ねじ込み式でなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る粉流体製袋充填装置の概略を示す断面正面図である。
【図2】粉流体製袋充填装置のファネルチューブ下端開口部付近を示す正面断面図である。
【図3】ファネルチューブ下端開口部を示す拡大正面断面図である。
【図4】(a)は、軸受手段を示す図3のX-X線の平面断面図、(b)は、支持枠部材の一部を示す図4(a)のY-Y線の正面断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図6】図5のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図8】図7のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図10】図9のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図11】粉流体充填装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
10:ホッパ、11:投入口、20:ファネルチューブ、20a:ファネルチューブの下端開口部、21:脱気孔、22:フィルタ、23:負圧室、30:オーガスクリュー軸、31:スクリュー羽根、32:オーガスクリュー軸の下端部、33:フランジ部、34:周溝、40:駆動源、50:製袋チューブ、51:繰り出しベルト、52:縦シールブロック、53:横シールブロック、54:給気通路(製袋チューブ内)、55:排気通路(製袋チューブ内)、56:雌ねじ、60:軸受部、61:給気通路(軸受部内)、62:排気通路(軸受部内)、63:多孔質部材、64:給気口、65:排気口、70:スポーク、71:給気通路(支持枠内)、72:排気通路(支持枠内)、80:外枠、81:雄ねじ、100:包装袋、110:巻回ドラム、A:粉流体、F:包帯フィルム、G:圧縮エア、S:隙間
【技術分野】
【0001】
この発明は、紛状又は粒状の製品(粉粒体)を包装容器等に充填するための粉粒体充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、粉粒体充填装置の一態様である縦型製袋充填装置の概略構造を示す斜視図である。
同図に示すように縦型製袋充填装置は、逆円錐形状のホッパ10と、当該ホッパ10の下端頂部に連通された円筒状のファネルチューブ20と、このファネルチューブ20内の中心軸上に配設されたオーガスクリュー軸30とを備えている。
粉粒体Aは、ホッパ10内に充填され、オーガースクリュー軸30の回転に伴いファネルチューブ20内を下方向へと移送されていき、下端開口部20aから排出される。
【0003】
また、ファネルチューブ20の外周には、製袋チューブ50が同軸上に配設してある。この製袋チューブ50の外周面には、繰出しベルト51によって巻回ドラム110から繰り出されてきた帯状の包材Fが巻き付けられる。製袋チューブ50に巻き付けられた包材Fは、縦シール装置52によって筒状に熱シールされながら下方に搬送されていき、横シール装置53によって袋状に熱シールされる。
このように、製袋チューブ50、繰出しベルト51、縦シール装置52、横シール装置53など、包材Fを供給して包装袋100を形成するための構成を備えた粉粒体充填装置を、縦形製袋充填装置と称している。
なお、これら包材Fを供給して包装袋100を形成するための構成を備えていない粉粒体充填装置もある。その種の粉粒体充填装置では、ファネルチューブ20の下方位置に包装容器100が自動配置され、先端開口部20aから排出された粉粒体Aが包装袋100内に充填される。
【0004】
ここで、オーガスクリュー軸30は、駆動源40と連結される上端部だけが図示しない軸受によって軸支されており、その下端は自由端となっていた。このため、オーガスクリュー軸30は、回転に伴う粉粒体の搬送抵抗等に起因して振れを生じることがあった。オーガスクリュー軸30の振れが大きいと、同軸30の羽根がファネルチューブ20の内周面に接触して大きな騒音が発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、本出願人は、先にオーガスクリュー軸の下端部支持するためのオーガー軸支持装置を提案した(特許文献1参照)。このオーガー軸支持装置は、供給筒(ファネルチューブ)の下端に設けた菊座と称する部材の中心部に凹状の軸受を装着するとともに、オーガスクリュー軸の下端を円錐形に加工して上記軸受に嵌め込むことで、オーガスクリュー軸の下端を回転自在に支持する構成となっている。
【特許文献1】特開平8−253201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した構成のオーガー軸支持装置は、装置稼働中に高速回転するオーガスクリュー軸から伝わる振動等に起因して、凹状の軸受とオーガスクリュー軸の下端円錐部分との間にがたつきを生じるおそれがあった。その結果、軸受とオーガスクリュー軸の下端円錐部分との間で振動音や衝撃音が発生する可能性があった。さらに、軸受を構成する部品が、振動や衝突の繰り返しによって脱落してしまうおそれもあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされれたもので、オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で確実に支持することで、騒音防止を図った粉粒体充填装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、粉粒体を貯留するホッパと、当該ホッパの下端に連通する円筒状のファネルチューブと、当該ファネルチューブの中空部内に同軸上に配置され上部を回転自在に支持されたオーガスクリュー軸と、を備えた粉粒体充填装置において、このオーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を設置することで、粉流体充填装置の稼働時に安定したオーガスクリュー軸の回転が得られ、ファネルチューブの内周面に対して振れによる接触を防いで騒音の発生を抑制することができる。
【0010】
軸受手段は、オーガスクリュー軸の下端部が挿入配置され且つ当該下端部との間に任意の隙間ができるカップ状の軸受部と、当該軸受部をファネルチューブの下端開口部付近で支持するとともに、ファネルチューブの下端開口部から排出される粉粒体を透過可能な支持枠と、軸受部の内面から気体を噴射する気体供給手段と、を含む構成とすることができる。
【0011】
軸受部の内面から噴射された気体は、軸受部とオーガスクリューの下端面ないし周面に回り込んで気流の層を形成する。これにより、オーガスクリュー軸を非接触で支持することができる。
また、軸受部の上面開口部から漏れ出す気体は、粉粒体の軸受部内への侵入を防止する。
【0012】
ここで、オーガスクリュー軸は、軸受部の上面開口部に対向するフランジ部を含む構成とするとすることが好ましい。このフランジ部は、軸受部の内面から噴射された気体を下面で受ける。これにより、フランジ部と軸受部との間にいっそう大きな反発力が作用するため、軸受部に対するオーガスクリュー軸の相対的な浮上による非接触状態をいっそう安定化させることができる。
【0013】
支持枠は、軸受部の内面から噴射された気体の圧力を受けて弾力的にたわむ構成であることが好ましい。
【0014】
支持枠を弾力的にたわむ構成とすることで、軸受部とオーガースクリュー軸との間に取付け誤差や熱膨張による相対的な変形が生じても、気体の圧力により支持枠が下方向へたわみ、オーガスクリュー軸と軸受部との間に隙間を形成することが可能となる。
【0015】
支持枠は、軸受部を中心に径方向に延びる複数本のスポークを有する構成とし、これらスポークの少なくとも1本には、その内部に軸受部の内面へ開口する給気通路を形成することが好ましい。なお、気体供給手段は、給気通路と、この給気通路に気体を送り込む気体供給源と、を含む構成とすることができる。
【0016】
支持枠のスポークを利用して給気通路を形成することで、ファネルチューブの下端開口部付近に給気用の配管を設ける必要がなくなり、粉粒体の排出を阻害せず軸受部へと気体を供給することができる。
【0017】
スポークは、断面三角形状に形成され、ファネルチューブの下端開口部と対向して頂部が配置され、径方向外端部は、ファネルチューブの下端開口部より外側まで延びている構成であることが好ましい。
【0018】
この構成により、ファネルチューブの下端開口部から排出される粉流体が、スポークに堆積することがなくなる。さらに、支持枠が下端開口部の外側から支えられ、粉流体の排出口を狭めないため、安定した定量充填を実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で支持して騒音の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施形態に係る粉粒体充填装置を示す図であり、図1は、粉粒体充填装置の概略を示す断面正面図である。
本実施形態に係る粉粒体充填装置は、図11に示した装置と同様に包装袋100を製作できる機能をもった縦形製袋充填装置である。
【0021】
図1に示すように、粉粒体充填装置は、粉流体を貯留する逆円錐筒状のホッパ10、このホッパ10の下端頂部に連通する円筒状のファネルチューブ20、およびファネルチューブ20の中空部内に同軸上に配置されたオーガスクリュー軸30を備えている。
【0022】
ホッパ10は内部が中空となっており、その中空部内に投入口11から投入された粉粒体Aが貯留される。ホッパ10の中空部内には、図示しないアジテータなどの撹拌部材が設けてあり、ホッパ10の内周面近傍を周回し、粉粒体Aを撹拌する。
【0023】
ファネルチューブ20は、上下方向に延在して配置してあり、下端開口部20aが粉粒体Aの排出口を形成している。
図2は、ファネルチューブの下端開口部付近を拡大して示す正面断面図である。
ファネルチューブ20の下端開口部20a付近の外周面には、粉流体の粉流れや稼働停止後の後垂れを防止するために脱気装置が設けてある。脱気装置は、ファネルチューブ20の外周に設けた負圧室23と、ファネルチューブ20の周壁に形成した複数の脱気孔21と、これら脱気孔21と負圧室23との間に設けたフィルタ22とを備えている。負圧室23は、図示しない吸気装置によって減圧される。これにより、脱気孔21を介してファネルチューブ20の中空部内の粉粒体が脱気されて密度が高まり、下端開口部20aからの自然落下が抑制される。なお、脱気装置を備えた粉粒体充填装置は、既に公知である(特開2004−91011号公報参照)。
【0024】
オーガスクリュー軸30は、上部を軸受(図示せず)によって回転自在に支持されており、駆動源40からの回転駆動力が上部に伝えられて回転する。オーガスクリュー軸30の周面には螺旋状のスクリュー羽根31が形成され、回転によりファネルチューブ20内で粉流体Aを移送できるようになっている。
【0025】
ファネルチューブ20の外周には、包装袋100を成形するための製袋チューブ50が同軸状に設けてあり、巻回ドラム110から引出されてきた帯状の包装フィルムFを、この製袋チューブ50の外周面へ筒状に巻き付けながら、繰出しベルト51によって下方に搬送するとともに、縦シールブロック52で縦シールして筒状に形成する。さらに、ファネルチューブの下方位置で横シールブロック53により幅方向にシールし、包装袋100を形成する。
【0026】
粉粒体Aは、ホッパ10内に充填され、オーガスクリュー軸30の回転に伴い、ファネルチューブ20内を下方向へと移送され、下端開口部20aから排出される。下端開口部20aから排出された粉粒体Aは、下方位置に配置された包装袋100に定量充填される。粉粒体Aの排出量は、オーガースクリュー軸30の回転量に依存するため、駆動源40の制御により任意に調整することができる。
【0027】
本実施形態に係る粉粒体充填装置は、製袋チューブ50の下端に軸受手段が設けてある。
図3は、オーガスクリュー軸30の軸受手段を拡大して示す正面断面図であり、図4(a)は、図3のX-X線断面図、図4(b)は、図4(a)のY-Y線断面図である。
軸受手段は、オーガスクリュー軸30の下端部32が挿入配置される軸受部60と、この軸受部60を支持する支持枠とを含んでいる。
【0028】
軸受部60は、カップ形状(有底円筒状)に形成してあり、その底面および内周面の適所に給気口64と排気口65とが開口している。本実施形態では、軸受部60の内底面中央部と内周面の二箇所に給気口64が形成してあり、さらに内周面の他の一箇所に排気口65が形成してある。給気口64からは、後述する給気通路61を経由して供給される圧縮エアGが噴射される。また、排気口65は後述する排気通路62と連通し、軸受部の内側に排出された圧縮エアGの多くを排気通路62へと導く。
【0029】
軸受部の内側には、内面に接触した状態で凹状の多孔質部材63が配置してある。上述した給気口64は、この多孔質部材63の外周面に接触している。多孔質部材63は、給気口64から噴出する圧縮エアGをその内部で分散させ、内面全体からほぼ均一に噴射させる機能を有している。なお、上述した排気口65は、この多孔質部材63の上端開口部より上側に開口している(図3参照)。
【0030】
一方、オーガスクリュー軸30の下端には、下方に向かって延長した下端部32が形成してあり、この下端部32が軸受部60の内側、詳しくは多孔質部材63の内側に挿入配置される。ここで、軸受部60(多孔質部材63)の底面および内周面と、オーガースクリュー軸30における下端部32の下端面および外周面との間は、少なくとも装置稼働中に微小な隙間Sが形成されるように相互の部材寸法を調整してある。この隙間Sを多孔質部材63を通して噴射される圧縮エアGが流動して、空気層を形成することで、非接触の軸受構造(空気軸受)が構成される。隙間Sの寸法は、オーガスクリュー軸30の重量、下端部32の外形寸法、圧縮エアGの噴射圧力などを考慮して適宜調整することが好ましい。
【0031】
オーガスクリュー軸30の下端部32は、排気口65と対向する部位に周溝34が形成してある。この周溝34は、隙間Sを流動してきた圧縮エアGをトラップしてその多くを排気口65へと導く機能を有している。
【0032】
さらに、オーガースクリュー軸30の下端部分には、外形方向へ広がるフランジ部33が形成してある。このフランジ部33は、軸受部60の上端開口部と対向する位置に形成してあり、装置停止中には、同上端開口部に接触してこれを閉塞する。これにより、軸受部60に圧縮エアGが供給されない装置停止中において、軸受部60の上端開口部から内側へ粉粒体Aが進入する不都合を回避することができる。また、フランジ部33は、装置稼働中にあっては、軸受部内に供給された圧縮エアGの圧力を受ける。この圧力作用によって、フランジ部33と軸受部60の上端との間が相対的に離間して隙間Sが形成される。この隙間Sから、軸受部内の圧縮エアGが放出されるので、軸受部内への粉粒体Aの進入が回避される。
【0033】
支持枠は、図4(a)に示すように、軸受部60の外周に同軸状に配置した外枠80(リム)と、この外枠80と軸受部60とを連結する複数本の棒状をしたスポーク70とで構成されている。各スポーク70は、軸受部60を中心に放射状に延びている。図4(a)に示す構成では、3本のスポーク70を一定角度毎に配設してあるが、スポーク70は必要に応じて任意の本数を備えることができる。スポーク70は、図4(b)に示すように断面三角形状に形成してある。
【0034】
外枠80には製袋チューブ50の下端開口部に装着するための締結手段として、オーガスクリュー軸30の回転と逆方向にねじ切りした雄ねじ81(細目ねじ)を形成してある。製袋チューブ50の下端開口部は、外枠80の被装着部を構成している。具体的には、雌ねじ56が製袋チューブ50の下端内周面に形成してある。外枠80は、雄ねじ81を製袋チューブ50の雌ねじ56にねじ込むことで、同チューブ50の下端開口部に装着される。この装着状態において、断面三角形状をしたスポーク70は、頂部がファネルチューブ20の下端開口部20aと対向するように上向きに配置される。これにより、ファネルチューブ20の下端開口部20aから排出される粉粒体Aのスポークへの付着堆積を抑制することができる。
【0035】
製袋チューブ50は、ファネルチューブ20の外周に設けられているので、この製袋チューブ50に外枠80を装着した状態にあっては、スポーク70の外端がファネルチューブ20の下端開口20aよりも径方向外側に位置することになる。このため、ファネルチューブ20の下端開口部20aから排出される粉粒体Aをスポーク70によって一部堰き止めるおそれもなく、円滑な粉粒体Aの排出動作を補償することが可能となる。
【0036】
スポーク70は、弾力的にたわみ可能な構成としてある。上述したように、フランジ部33と軸受部60の上端との間は、装置停止中は接触しており、装置が稼働したとき軸受部内に供給された圧縮エアGの圧力をフランジ部33が受けて、その圧力作用によって両部材間が相対的に離間する。これら両部材間の離間動作は、スポーク70の弾力的なたわみにより実現される。ちなみに、オーガスクリュー軸30は重量物であり、しかも上部で駆動源40と連結されているため軸方向に移動させることは困難である。
また、装置が停止したときは、圧縮エアGによるフランジ部33への圧力作用がなくなるため、スポーク70が弾性力をもって復元し、フランジ部33と軸受部60の上端との間を接触させる。
【0037】
さて、本実施形態の粉粒体充填装置には、上記軸受部60の内面に形成した給気口64へ圧縮エアGを供給する給気通路54,61、71と、排気口65から排出される圧縮エアGを送り出す排気通路55、62、72とが形成されている。給気通路54,61、71と排気通路55、62、72は、軸受部60、支持枠、および製袋チューブ50にかけて連通している。
【0038】
具体的には、軸受部60に形成された給気通路61が、軸受部60の内底面中央部と内周面にそれぞれに開口する給気口64に連通している。また、排気通路62は排気口65と連通している。
【0039】
図4に示すように、支持枠を構成する3本の各スポーク70のうち、2本のスポーク70にはその内部を同軸上に延びる給気通路71が形成してあり、他の1本のスポーク70にはその内部を同軸上に延びる排気通路72が形成してある。給気通路71および排気通路72は、それぞれ外枠80の内部を通ってその上端面に開口している。
【0040】
製袋チューブ50のチューブ周壁内部には、2本の給気通路54と1本の排気通路55が軸方向に平行に延びている。これら給気通路54と排気通路55は、一端がそれぞれ図示しない気体給排装置(気体供給源を構成する)に連通している。また、給気通路54と排気通路55の他端は、製袋チューブ50の下端面に開口しており、製袋チューブ50に装着された支持枠の給気通路71および排気通路72と連通する構成となっている。
【0041】
本実施形態では、圧縮エアGは、図示しない気体給排装置から供給され、製袋チューブ50、支持枠、および軸受部60に連通して設けた2本の給気通路54,71,61を通り、軸受部60の給気口64から噴射される。
【0042】
軸受部60の内周に設けた多孔質部材63は、給気口64から噴射された圧縮エアGを、オーガスクリュー軸30に形成した下端部32の下端面ないし周面に向かってほぼ均一に噴射させる。そして、オーガースクリュー軸30の下端部32と多孔質部材63との間に形成される隙間Sを、圧縮エアGが流動して空気層を形成することで軸受部内に非接触状態の空気軸受が形成される。
【0043】
軸受部60は、オーガスクリュー軸30における下端部32の下端面とフランジ部33の下面に圧縮エアGを噴射することにより、その噴射圧力の反作用で下方向へたわみ、隙間Sを形成する。一部の圧縮エアGは、このフランジ部33と軸受部60との間に形成された隙間Sから、ファネルチューブ20の下端開口部20aへの排出される。また、軸受部60内に残った圧縮エアGは、周溝34を経由して排気口65へ導かれ排気される。排気された圧縮エアGは、軸受部の排気通路62、スポーク70の排気通路72、製袋チューブの排気通路55を通り、図示しない気体給排装置へ戻される。
なお、圧縮エアGの噴射圧力は、軸受部60による空気軸受の形成に影響するため、圧力制御により任意に調整することが好ましい。
【0044】
このような軸受手段で軸支されたオーガスクリュー軸30は、回転駆動中に軸の振れがなくなり、ファネルチューブ20の内周面への接触による騒音の発生を確実に防止することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、装置停止中はオーガスクリュー軸30のフランジ部33を軸受部60の上端面と接触させる構成としたが、必要に応じて粉流体充填装置が稼働してない状態でも、軸受部60の上端面とフランジ部33の下面とが非接触状態となる構成としてもよい。
【0046】
オーガスクリュー軸30の回転や粉流体Aとスクリュー羽根31との摩擦などにより熱が発生し、オーガスクリュー軸30など各部材が膨張する場合がある。また、各部材間には製作時に寸法誤差が生じることは避けられない。かかる各部材の熱的膨張や寸法誤差に起因して、オーガスクリュー軸30の下端部32と軸受部60との間に設けるべき隙間、特に軸方向の隙間が空気軸受を形成するために適正な寸法を保てないおそれがある。
しかし、本実施形態の粉粒体充填装置は、支持枠が弾力的にたわむ構成としてあるので、この支持枠のたわみ変形をもって各部材の熱膨張や寸法誤差を柔軟に吸収し、当該隙間を適正に保ち、空気軸受としての機能を安定して発揮することが可能である。
【0047】
〔その他の実施形態〕
図5乃至図10は、本発明の他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す図である。
図5および図6に示す実施形態では、製袋チューブ50の内周面に、給気通路54、排気通路55となる縦長のパイプを設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させて、気体の給排気を行う構成としてある。
本実施形態では、製袋チューブ50の内部に気体通路となる縦孔を作らず、パイプで給排気できるため、製袋チューブ50の加工に掛かる費用を減ずることができ、且つ、パイプの配置を任意に調節できるため、スポーク70の本数に対応した給排気通路を比較的容易に設置できる。
【0048】
図7および図8に示す実施形態は、包装袋100を製作する機能(製袋機能)を有しない構成の粉粒体充填装置への本発明の適用例である。本実施形態では、ファネルチューブ20の下端開口部20aに軸受手段60を装着するとともに、ファネルチューブ20の周面内部に、給気通路54、排気通路55となる軸方向の通気孔を設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させてある。
【0049】
図9および図10に示す実施形態は、ファネルチューブ20の外周面に、給気通路54、排気通路55となる縦長のパイプを設け、支持枠の給気通路71、排気通路72に連通させて、気体の給排気を行う構成としてある。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、上述した実施形態では、製袋フィルムFを連続して繰り出す連続式の縦形製袋充填装置や製袋機能を有しない縦形充填装置に適用したが、これに限らずオーガースクリュー軸を用いた各種構造の粉粒体充填装置に適用することができる。
【0051】
軸受部60に供給する気体は、圧縮エアGに限らず、用途に応じて窒素ガスや種々の不活性ガス等を用いることもでき、包装袋100をエアパックやガス封入パック等の疑似真空パックに形成することも可能である。また、圧縮エアGがイオン化されていれば、包袋袋100内の粉流体Aから発する静電気の除去効率を改善することができる。
【0052】
また、スポークの数は任意であるが、これを軸受部60の支持に必要となる最低限の本数とすることで、ファネルチューブの下端開口部20aが不必要に狭められなくなり、粉流体Aの排出口でつまることが少なくなって充填効率が高まる。
【0053】
軸受部60と製袋チューブ50はねじ込み式で嵌め込むため、わずかにねじ込み量がずれただけで、製袋チューブの給気通路54、排気通路55とスポーク70の給気通路71、排気通路72との連通点が合わなくなる可能性がある。そのため、支持枠に連通口を広くするざぐりや、連通点での位置止め構造などを設けることで、互いの通路の連通状態を容易に形成することができる。なお、軸受手段の製袋チューブ50やファネルチューブ20への装着構造は、ねじ込み式でなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る粉流体製袋充填装置の概略を示す断面正面図である。
【図2】粉流体製袋充填装置のファネルチューブ下端開口部付近を示す正面断面図である。
【図3】ファネルチューブ下端開口部を示す拡大正面断面図である。
【図4】(a)は、軸受手段を示す図3のX-X線の平面断面図、(b)は、支持枠部材の一部を示す図4(a)のY-Y線の正面断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図6】図5のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図8】図7のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る粉粒体充填装置の要部構成を示す正面断面図である。
【図10】図9のX-X線の軸受手段を示す平面断面図である。
【図11】粉流体充填装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
10:ホッパ、11:投入口、20:ファネルチューブ、20a:ファネルチューブの下端開口部、21:脱気孔、22:フィルタ、23:負圧室、30:オーガスクリュー軸、31:スクリュー羽根、32:オーガスクリュー軸の下端部、33:フランジ部、34:周溝、40:駆動源、50:製袋チューブ、51:繰り出しベルト、52:縦シールブロック、53:横シールブロック、54:給気通路(製袋チューブ内)、55:排気通路(製袋チューブ内)、56:雌ねじ、60:軸受部、61:給気通路(軸受部内)、62:排気通路(軸受部内)、63:多孔質部材、64:給気口、65:排気口、70:スポーク、71:給気通路(支持枠内)、72:排気通路(支持枠内)、80:外枠、81:雄ねじ、100:包装袋、110:巻回ドラム、A:粉流体、F:包帯フィルム、G:圧縮エア、S:隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留するホッパと、
前記ホッパの下端に連通する円筒状のファネルチューブと、
前記ファネルチューブの中空部内に同軸上に配置され上部を回転自在に支持されたオーガスクリュー軸と、を備えた粉粒体充填装置において、
前記オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を備えたことを特徴とする粉粒体充填装置。
【請求項2】
前記軸受手段は、前記オーガスクリュー軸の下端部が挿入配置され且つ当該下端部との間に任意の隙間ができるカップ状の軸受部と、この軸受部を前記ファネルチューブの下端開口部付近で支持するとともに前記ファネルチューブの下端開口部から排出される粉粒体を透過可能な支持枠と、前記軸受部の内面から気体を噴射する気体供給手段と、を含むことを特徴とする請求項1の粉粒体充填装置。
【請求項3】
前記オーガスクリュー軸は、前記軸受部の上面開口部に対向するフランジ部を有することを特徴とする請求項2の粉粒体充填装置。
【請求項4】
前記支持枠は、前記軸受部の内面から噴射された気体の圧力を受けて弾力的にたわむ構成であることを特徴とする請求項2又は3の粉粒体充填装置。
【請求項5】
前記支持枠は、前記軸受部を中心に径方向に延びる複数本のスポークを有し、これらスポークの少なくとも1本には、その内部に前記軸受部の内面へ開口する給気通路が形成されており、
前記気体供給手段は、前記給気通路と、この給気通路に気体を送り込む気体供給源と、を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の粉粒体充填装置。
【請求項6】
前記スポークは、断面三角形状に形成され、前記ファネルチューブの下端開口部と対向して頂部が配置されていることを特徴とする請求項5の粉粒体充填装置。
【請求項7】
前記スポークの径方向外端部は、前記ファネルチューブの下端開口部より外側まで延びていることを特徴とする請求項5又は6の粉粒体充填装置。
【請求項1】
粉粒体を貯留するホッパと、
前記ホッパの下端に連通する円筒状のファネルチューブと、
前記ファネルチューブの中空部内に同軸上に配置され上部を回転自在に支持されたオーガスクリュー軸と、を備えた粉粒体充填装置において、
前記オーガスクリュー軸の下部を非接触状態で回転自在に支持する軸受手段を備えたことを特徴とする粉粒体充填装置。
【請求項2】
前記軸受手段は、前記オーガスクリュー軸の下端部が挿入配置され且つ当該下端部との間に任意の隙間ができるカップ状の軸受部と、この軸受部を前記ファネルチューブの下端開口部付近で支持するとともに前記ファネルチューブの下端開口部から排出される粉粒体を透過可能な支持枠と、前記軸受部の内面から気体を噴射する気体供給手段と、を含むことを特徴とする請求項1の粉粒体充填装置。
【請求項3】
前記オーガスクリュー軸は、前記軸受部の上面開口部に対向するフランジ部を有することを特徴とする請求項2の粉粒体充填装置。
【請求項4】
前記支持枠は、前記軸受部の内面から噴射された気体の圧力を受けて弾力的にたわむ構成であることを特徴とする請求項2又は3の粉粒体充填装置。
【請求項5】
前記支持枠は、前記軸受部を中心に径方向に延びる複数本のスポークを有し、これらスポークの少なくとも1本には、その内部に前記軸受部の内面へ開口する給気通路が形成されており、
前記気体供給手段は、前記給気通路と、この給気通路に気体を送り込む気体供給源と、を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の粉粒体充填装置。
【請求項6】
前記スポークは、断面三角形状に形成され、前記ファネルチューブの下端開口部と対向して頂部が配置されていることを特徴とする請求項5の粉粒体充填装置。
【請求項7】
前記スポークの径方向外端部は、前記ファネルチューブの下端開口部より外側まで延びていることを特徴とする請求項5又は6の粉粒体充填装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−131247(P2006−131247A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320571(P2004−320571)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
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