説明

粉粒体混合ガス生成機

【課題】粉粒体濃度が一定な粉粒体混合ガスを連続して生成することが可能な粉粒体混合ガス生成機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の粉粒体混合ガス生成機100によれば、粉粒体容器10から単位時間当たり一定質量の粉粒体が正確に排出され、これを単位時間当たり一定体積のガスと混合して粉粒体混合ガスを生成しているので、粉粒体濃度が一定な粉粒体混合ガスを連続して生成することができる。また、側部開口73からガス送給パイプ70に流れ込んだガスが旋回流を生成するので、ガスに対する粉粒体の分散を促進させることができる。さらに、スリット83からガス送給パイプ70に流れ込んだガスによって、ガス送給パイプ70の内面を覆うエアーカーテンが生成されるので、ガス送給パイプ70の内面への粉粒体の付着を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスに粉粒体が分散して浮遊した粉粒体混合ガスを生成するための粉粒体混合ガス生成機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の粉粒体混合ガス生成機としては、粉粒体が堆積した容器にガス導入管と粉塵導出管とを接続したものが知られている。この粉粒体混合ガス生成機は、ガス導入管から粉粒体の堆積物にガスを吹き付けて粉粒体を浮遊させることで粉粒体混合ガスを生成し、これを粉塵導出管から排出する構成であった(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2001−348658号公報(段落[0016]、[0017]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述した従来の粉粒体混合ガス生成機では、ガスの吹き付けにより浮遊する粉粒体の量が安定せず、粉粒体混合ガスの粉粒体濃度(単位体積のガスに分散した粉粒体の質量)がばらつくという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、粉粒体濃度が一定な粉粒体混合ガスを連続して生成することが可能な粉粒体混合ガス生成機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る粉粒体混合ガス生成機は、ガスに粉粒体が分散して浮遊した粉粒体混合ガスを生成するための粉粒体混合ガス生成機であって、ガスを送給可能なパイプ構造をなし、その送給先の終端部に備えたガス排出口からガスを排出可能なガス送給パイプと、ガス送給パイプが内外を連通した状態で固定された容器収容ケースと、ガス送給パイプに形成されて容器収容ケースの内側に開放し、粉粒体をガス送給パイプ内に供給するための粉粒体受入口と、ガス送給パイプに形成されて容器収容ケースの内側又は外側に開放し、ガスをガス送給パイプ内に流入させるためのガス流入口と、容器収容ケース内に収容されて粉粒体受入口の上方に配置され、粉粒体を収容した粉粒体容器と、粉粒体容器の内部に設けられて、モータの動力を受けて駆動され、単位時間当たり一定質量の粉粒体を粉粒体容器から粉粒体受入口へと排出するための粉粒体排出機構と、ガス送給パイプのガス流入口に対し、容器収容ケースに形成されたガス充填口を介して間接的に或いはガス充填口を介さずに直接的に接続されて、単位時間当たり一定体積量のガスを供給し、その単位時間当たり一定体積量のガスの全てをガス送給パイプのガス排出口から単位時間当たり一定質量の粉粒体と共に排出させるためのガス供給装置とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプのうち容器収容ケース内に配置された部分に形成されて、ガス送給パイプを内外に貫通する複数のスリットを形成し、それらスリットを通して容器収容ケース内のガスをガス送給パイプ内に流入させてガス送給パイプの内面を覆うエアーカーテンを生成可能としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の粉粒体混合ガス生成機において、スリットは、ガス送給パイプの周方向に延びると共に、ガス送給パイプの周方向及び軸方向に亘って複数形成されたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプの中間部に形成されて側方に向かって開放した側部開口と、側部開口の開口縁からガス送給パイプの側方に張り出し、ガス送給パイプの内周面の接線方向と略平行に延びたガス案内片とからなる旋回流発生部を設けたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の粉粒体混合ガス生成機において、旋回流発生部には、ガス送給パイプの内側又は外側に回動可能に嵌合し、側部開口の開口面積を拡縮可能な可動円弧部材と、可動円弧部材の一端部から側方に張り出し、ガス案内片と協働してガスを側部開口に案内する補助案内片とを備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプの内部に形成されて螺旋形状をなしてガス送給パイプの軸方向に延び、ガス送給パイプ内を通過するガスが旋回するように案内する旋回螺旋ガイドを備えたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプの内部空間を絞ったガス圧縮部と広くしたガス膨張部とをガス送給パイプの軸方向に交互に繰り返して設けたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプの内部に嵌合されてガスの送給方向の前方に向かって縮径し、先端に縮径口を有した集合コーンと、ガス送給パイプの内面から浮かせて保持されてガスの送給方向の前方に向かうに従って徐々に拡径した拡散錐形体とを、送給方向に並べて備えたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、粉粒体容器とガス送給パイプとの間を導通接続したところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、収容した粉粒体を含む粉粒体容器全体の単位時間当たりの低減量を計測するための質量計量器を備え、低減量に基づいて粉粒体容器から粉粒体受入口へと排出する単位時間当たりの粉粒体の質量をフィードバック制御するところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、ガス送給パイプは、ガス排出口を含む終端部が容器収容ケースの底壁に固定されて容器収容ケース内で起立し、ガス排出口が容器収容ケースの下方に向かって開放する一方、ガス流入口がガス送給パイプの上端部に配置されて上方に向かって開放し、そのガス流入口の上方に粉粒体容器が配置されたところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、粉粒体排出機構には、粉粒体容器の底壁に貫通形成され、粉粒体同士が付着してなる粉粒体アーチにより閉塞可能な複数の粉粒体通過孔と、モータから動力を受けて底壁の上方を旋回して粉粒体アーチに外力を付与し、粉粒体アーチを構成していた粉粒体を粉粒体通過孔から底壁の下方に強制落下させるための底面旋回部材とから構成されたところに特徴を有する。
【0017】
請求項13の発明は、請求項12に記載の粉粒体混合ガス生成機において、底壁に、上方に膨出した複数の底壁上面突部を形成し、粉粒体通過孔は、各底壁上面突部の下方に形成されて途中で屈曲すると共に、底壁上面突部の側面に粉粒体通過孔の上端開口が配置されて底面旋回部材の旋回方向と対向する水平方向に向かって開放する一方、底壁上面突部の真下に粉粒体通過孔の下端開口が配置されて鉛直下方に開放したところに特徴を有する。
【0018】
請求項14の発明は、請求項13に記載の粉粒体混合ガス生成機において、底面旋回部材は、底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回すると共に下方に複数の旋回脚部を垂下して備え、それら複数の旋回脚部が底壁上面突部同士の間を通過して底壁の上面上を移動するように構成したところに特徴を有する。
【0019】
請求項15の発明は、請求項12に記載の粉粒体混合ガス生成機において、底壁に、下方に膨出した底壁下面突部を形成し、粉粒体通過孔は、底壁下面突部の上方に形成されて途中で屈曲すると共に、底壁下面突部の側面に粉粒体通過孔の下端開口が配置されて水平方向に向かって開放する一方、底壁下面突部の真上に粉粒体通過孔の上端開口が配置されて鉛直上方に開放したところに特徴を有する。
【0020】
請求項16の発明は、請求項12に記載の粉粒体混合ガス生成機において、底壁は、上面と下面とが平行かつ平坦になっており、粉粒体通過孔は、底壁の上面及び下面の法線方向に貫通形成されたところに特徴を有する。
【0021】
請求項17の発明は、請求項16に記載の粉粒体混合ガス生成機において、粉粒体通過孔は、下端部に向かって徐々に開口面積が広がっているところに特徴を有する。
【0022】
請求項18の発明は、請求項12乃至17の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、底面旋回部材は、底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回する突片構造をなすと共に、旋回方向の前端縁側が後端縁側より上方に位置するように傾斜した迎角を有したところに特徴を有する。
【0023】
請求項19の発明は、請求項12,16又は17の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機において、底面旋回部材は、底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回する突片構造をなすと共に、底壁の上面と平行になって隣接した隣接下端面を有したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
[請求項1の発明]
請求項1の発明に係る粉粒体混合ガス生成機では、粉粒体容器内の粉粒体排出機構により、単位時間当たり一定質量の粉粒体が、粉粒体容器からガス送給パイプの粉粒体受入口へと排出される。また、ガス供給装置は、容器収容ケースのガス充填口を介して間接的に或いはガス充填口を介さず直接的に、ガス送給パイプに対して単位時間当たり一定体積のガスを供給する。このうち、ガス充填口から容器収容ケースに供給されたガスは、容器収容ケースの内側に開放した粉粒体受入口から粉粒体と共にガス送給パイプ内に流入するので、粉粒体を確実にガス送給パイプ内に供給することができる。そして、ガス供給装置によってガス送給パイプに供給された単位時間当たり一定体積量のガスの全てが、単位時間当たり一定質量の粉粒体と共に、ガス送給パイプのガス排出口から排出される。つまり、粉粒体排出機構によって単位時間当たり一定質量の粉粒体が正確に供給され、これと単位時間当たり一定体積量のガスとが混合されるので、粉粒体濃度、即ち、単位体積のガスに分散した粉粒体の質量が一定となった粉粒体混合ガスを連続して生成することができる。
【0025】
[請求項2及び3の発明]
請求項2の発明によれば、ガス充填口から容器収容ケース内に供給されたガスが、スリットを通してガス送給パイプ内に流入し、ガス送給パイプの内面を覆うエアーカーテンを生成するので、粉粒体混合ガス中の粉粒体がガス送給パイプの内面へ付着することを防止することができる。
【0026】
具体的には、請求項3の発明のように、ガス送給パイプの周方向に延びたスリットを、ガス送給パイプの周方向及び軸方向に亘って複数形成すると、効果的なエアーカーテンを生成することができる。
【0027】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、ガス充填口から容器収容ケース内に供給されたガスが、ガス案内片に案内されてガス送給パイプの側部開口に流入し、ガス送給パイプ内に旋回流を生成する。この旋回流によりガスへの粉粒体の分散が促進される。
【0028】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、可動円弧部材をガス送給パイプに対して回動することで、側部開口の開口面積を拡縮することができ、旋回流の勢いを調整することができる。また、可動円弧部材の一端部から側方に張り出した補助案内片が、ガス案内片と協働してガスを案内するので、側部開口に流入するガスの流れを安定させることができる。
【0029】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、ガス送給パイプ内を通過するガスが旋回螺旋ガイドに案内されて旋回流となるので、ガスへの粉粒体の分散を促進することができる。
【0030】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、粉粒体混合ガスが、ガス送給パイプの内部空間を絞ったガス圧縮部と広くしたガス膨張部とを交互に通過することで、ガスに対する粉粒体の分散を促進することができる。
【0031】
[請求項8の発明]
請求項8の発明によれば、粉粒体混合ガスが集合コーンと拡散錐形体とを通過することで、粉粒体混合ガスの流れが蛇行し、ガスに対する粉粒体の分散を促進することができる。また、粉粒体混合ガスに含まれる粉粒体の塊は、集合コーン又は拡散錐形体に衝突して粉砕されるから、粒子の揃った粉粒体混合ガスを生成することができる。
【0032】
[請求項9の発明]
粉粒体容器とガス送給パイプとの間に静電気が発生すると、粉粒体容器又はガス送給パイプへの粉粒体の付着が起き、粉粒体濃度に誤差が生じる。これに対し、請求項9の発明によれば、粉粒体容器とガス送給パイプとの間が導通接続されているから、静電気による粉粒体の付着を防止することができ、粉粒体濃度を一定にすることができる。
【0033】
[請求項10の発明]
請求項10の発明によれば、収容した粉粒体を含む粉粒体容器全体の単位時間当たりの低減量を実測して、粉粒体容器から単位時間当たりに粉粒体受入口に排出される粉粒体の質量をフィードバック制御するので、粉粒体混合ガスの粉粒体濃度を確実に一定にすることができる。
【0034】
[請求項11の発明]
請求項11の発明によれば、粉粒体容器から下方に排出された粉粒体は、ガス送給パイプの上端部に開口したガス流入口からガスと共にガス送給パイプ内に流入するから、ガス流入口からの粉粒体の噴出が防止される。
【0035】
[請求項12の発明]
請求項12の発明によれば、粉粒体容器の底面には複数の粉粒体通過孔が貫通形成された底壁を有している。この底壁の上部に粉粒体を載置しても、通常は粉粒体同士が付着して粉粒体通過孔を閉塞する粉粒体アーチを形成するため粉粒体が粉粒体通過孔を通過することはない。
【0036】
そして、底壁上部に備えた底面旋回部材を旋回させると、粉粒体アーチが外力を受けて崩れ、粉粒体アーチを構成していた粉粒体が粉粒体通過孔を通過して底壁の下方に落下し、、すぐに新たな粉粒体アーチが形成されて粉粒体通過孔が閉塞される。
【0037】
ここで、一旦粉粒体アーチが崩れて再度粉粒体アーチが形成されるまでに粉粒体通過孔から流出する粉粒体の量は極微量であるので、底面旋回部材を一定速度で旋回させている間は、単位時間当たり一定質量の粉粒体を供給することができる。
【0038】
[請求項13の発明]
請求項13の発明によれば、底壁に設けた底壁上面突部の粉粒体通過孔が粉粒体アーチによって上方を覆われているため、底壁上に粉粒体が堆積しても、その粉粒体が自重のみにより粉粒体通過孔を通過することが防がれる。
【0039】
[請求項14の発明]
請求項14の発明によれば、底壁上部の底面旋回部材を旋回させると、底面旋回部材から垂下して備えられた旋回脚部が粉粒体を撹拌し、粉粒体が塊になることを防ぎながら、粉粒体アーチに外力を加えて粉粒体を粉粒体通過孔から底壁の下方に落下させることができる。
【0040】
[請求項15の発明]
請求項15の発明によれば、底壁に設けた底壁下面突部の粉粒体通過孔が粉粒体アーチによって上方を覆われているため、底壁上に粉粒体が堆積しても、その粉粒体が自重のみにより粉粒体通過孔を通過することが防がれる。
【0041】
[請求項16の発明]
請求項16の発明によれば、粉粒体通過孔を底壁の法線方向に貫通形成したので、付着力が比較的強い粉粒体を、スムーズに粉粒体通過孔を通して供給することができる。
【0042】
[請求項17の発明]
請求項17の発明によれば、粉粒体通過孔を下端部に向かって徐々に開口面積が広がるように形成したため、粉粒体アーチが粉粒体通過孔の下端側に形成されることを防ぎ、付着力が比較的強い粉粒体をスムーズに粉粒体通過孔を通して供給することができる。
【0043】
[請求項18の発明]
請求項18の発明によれば、底面旋回部材が迎角を有しているために、底面旋回部材が旋回することにより粉粒体が底壁側に押し付けられる。これにより、底壁上に形成された粉粒体アーチに効率よく外力を加えて、粉粒体を粉粒体通過孔から底壁の下方に強制的に落下させることができる。
【0044】
[請求項19の発明]
請求項19の発明によれば、底壁上面と平行に隣接する隣接下端面を有する底面旋回部材が底壁の上方を旋回する。これにより、底壁上に形成された粉粒体アーチに外力が加わり、粉粒体アーチを構成していた粉粒体を粉粒体通過孔から底壁の下方に強制的に落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1〜図12に基づいて説明する。図1には、本発明の粉粒体混合ガス生成機100の全体が示されている。粉粒体混合ガス生成機100は、粉粒体混合ガスを生成して粉塵試験装置200に送給している。粉塵試験装置200では、粉粒体混合ガス生成機100によって生成された粉粒体混合ガスを使用して、各種機器(例えば、精密機器や集塵機器)の粉塵に対する耐久性、耐摩耗性、防塵性や集塵性能、その他粉塵に対する各種試験が行われる。なお、本実施形態の粉粒体混合ガス生成機100では、空気に対して「JIS Z8901」で規定された試験用粉体を分散させて粉粒体混合ガスを生成している。
【0046】
図1に示すように粉粒体混合ガス生成機100は、単位時間当たり一定体積のガスを供給するガス供給装置90(具体的には、電動ファン)と、単位時間当たり一定質量の粉粒体を供給する粉粒体供給装置50とを備え、それらガスと粉粒体とを閉塞された容器収容ケース51の内部で混合して、粉粒体濃度(単位体積のガスに含まれる粉粒体の質量)が一定な粉粒体混合ガスを連続的に生成している。
【0047】
図2及び図3に示すように、容器収容ケース51の側面にはガス充填口51Aが貫通形成されている。ガス充填口51Aにはダクト91(図1を参照)を介してガス供給装置90が接続されている。ダクト91の途中には、容器収容ケース51に供給されるガスの瞬時流量(単位時間当たりの通過体積)を計測するためのガス流量計92が設けられている。ガス流量計92の計測値は制御装置101に取り込まれ、制御装置101は、この計測値に基づいて、容器収容ケース51へのガスの単位時間当たりの供給体積が一定となるようにガス供給装置90をフィードバック制御している。
【0048】
粉粒体供給装置50は以下のようである。即ち、容器収容ケース51の内部には、粉粒体を貯留した粉粒体容器10が収容されており、粉粒体容器10の下面から下方のガス送給パイプ70に向けて粉粒体を排出する構成となっている。
【0049】
図4に示すように、粉粒体容器10は、上から順番に大径筒部11、小径筒部12、粉粒体排出部13を備えてなり、下方に向かうに従って、縮径した構造になっている。そして、小径筒部12と粉粒体排出部13との水平段差面に円盤状の底壁14が着脱可能に載置されている。また、粉粒体容器10の上端は開放しており、その上端開口を覆った蓋16の上面中央に供給モータ15(本発明の「モータ」に相当する)が備えられている。供給モータ15の回転軸15Aは蓋16を貫通して粉粒体容器10内でその中心軸に沿って延びている。
【0050】
図3に示すように、蓋16には、粉粒体容器10に粉粒体を補充するための補充用開口部16Aが形成されている。補充用開口部16Aから補充された粉粒体は、一旦、大径筒部11と小径筒部12との間の水平段差面21上に蓄積される。その粉粒体の堆積山は供給モータ15の回転軸15Aに取り付けられたスクレーパ22で崩されて小径筒部12内に引き込まれ、底壁14上に粉粒体が堆積する(図8参照)。
【0051】
スクレーパ22は、図5に示すように、供給モータ15の回転軸15Aに取り付けられる円柱形状の軸部25から側方に集粉羽23と散粉羽24を延ばした構造になっている。その集粉羽23は回転方向(図5の矢印の方向)とは逆側に膨らんだ円弧状をなす一方、散粉羽24は回転方向側に膨らんだ円弧状をなしている。また、集粉羽23は、その先端が大径筒部11の内側面11Cと隣接する位置まで延び、散粉羽24は、それより短くなっている。
【0052】
集粉羽23及び散粉羽24は、水平段差面21に僅かな隙間を空けて隣接している。そして、集粉羽23により、水平段差面21上の粉粒体を中心側に誘導して小径筒部12内に取り込むと共に、散粉羽24により集粉羽23が取り込み過ぎた粉粒体を外側に移動して逃し、次に集粉羽23が通過したときに取り込み小径筒部12内の粉粒体圧を安定させ易くしている。また、集粉羽23と散粉羽24とが協働して粉粒体を撹拌して、粉粒体の塊を粉砕する効果も兼用する。さらに、粉粒体が2種以上の粉粒体の混合物である場合には、この集積と分散の繰り返しによって2種の粉粒体の混合度合いを高めることができる。
【0053】
粉粒体容器10の底壁14には、図7(A)及び図7(B)に示すように、複数の底壁上面突部14Aが設けられている。各底壁上面突部14Aは、側面の1つが垂直に起立した三角錐をなしており、底壁14上の大小2つの同心円に沿って並べられている。そして底壁上面突部14Aの一側面から底壁14の裏面に向けて粉粒体通過孔14Bが貫通形成されている。この粉粒体通過孔14Bは、図8に示すように、底壁上面突部14Aの下方に途中で屈曲して形成されており、底壁上面突部14Aの起立した側面に粉粒体通過孔14Bの上端開口が配置されている。粉粒体通過孔14Bの上端開口は、後述する底面旋回部材26の旋回方向と逆向きの方向を向いている。また、底壁14の裏面で、底壁上面突部14Aの真下に粉粒体通過孔14Bの下端開口が配置され、鉛直下方に開放している。
【0054】
ここで、粉粒体通過孔14Bは、図8に示すように、底壁14上に粉粒体が堆積したときに、粉粒体通過孔14Bの上端開口に付着した粉粒体により粉粒体アーチが形成されると共に、その粉粒体アーチが崩れた状態で粉粒体が通過可能な大きさになっている。即ち、粉粒体通過孔14Bは、粉粒体の粒径の数倍から十数倍の大きさでありかつ、上端開口付近の粉粒体同士の付着により粉粒体が自重のみにより通過することがない構造となっている。また、粉粒体の性状等によって粉粒体通過孔14Bの最適な大きさは異なるため、粉粒体通過孔14Bの大きさが異なる底壁14が複数種類用意されており、粉粒体混合ガス生成機100を使用する前に粉粒体に適した底壁14を選んで取り替えることができるようになっている。
【0055】
図6に示すように、小径筒部12には、底壁14上を旋回する底面旋回部材26が備えられている。底面旋回部材26は、供給モータ15の回転軸15Aに接続する軸部29から相対する半径方向に延びる2つの旋回プレート27,27を有し、これら各旋回プレート27の下端から旋回脚部28が垂下されている。
【0056】
旋回プレート27は、横長矩形の平板で、旋回方向(図6の矢印の方向)に対して旋回プレート27の前端縁側が後端縁側より上方となるように傾斜する迎角を有している。底壁14上で旋回プレート27を旋回させると、小径筒部12内の粉粒体を下側(底壁14側)に押し付けながら旋回し、旋回脚部28は底壁14上の粉粒体に外力を付与する。また、旋回脚部28の下端面は、底壁14のうち底壁上面突部14A同士の間の平坦面に隙間を介して対向している。
【0057】
そして、旋回プレート27が旋回すると、旋回脚部28が底壁上面突部14Aの間を移動し、粉粒体通過孔14Bの上端開口を閉塞した粉粒体アーチに外力を付与する。すると粉粒体アーチが崩され、その粉粒体アーチを形成していた粉粒体が粉粒体通過孔14Bから下方、即ち、ガス送給パイプ70に排出される。そして、粉粒体通過孔14Bには、すぐに新たな粉粒体アーチが形成されて再び閉塞される。なお、供給モータ15によって回転駆動されるスクレーパ22及び底面旋回部材26は、本発明の「粉粒体排出機構」に相当する。
【0058】
図2に示すように、粉粒体容器10からガス送給パイプ70に向けて排出された粉粒体の質量を計量するために、粉粒体供給装置50には質量計量器52が備えられている。質量計量器52は容器収容ケース51の上面に載置され、全体がカバー53によって覆われている。
【0059】
本実施形態の質量計量器52は、所謂、「吊り下げ秤」である。即ち、質量計量器52は、粉粒体容器10の真上に配置され、その下面に備えた吊下部材54が容器収容ケース51の内部に垂れ下がっている。また、吊下部材54の下端部には粉粒体容器10を一体に備えた容器ホルダ55が固定されている。これにより、粉粒体容器10から単位時間当たりに排出された粉粒体の質量が、粉粒体容器10全体の質量の単位時間当たりの低減量として計量可能となっている。
【0060】
ここで、質量計量器52による計量結果、即ち、粉粒体容器10から単位時間当たりに排出された粉粒体の質量の計量結果は、制御装置101に取り込まれる。制御装置101は計量結果に基づいて、粉粒体容器10から単位時間当たりに排出される粉粒体の質量が一定となるようにフィードバック制御を行う(図1参照)。具体的には、粉粒体の単位時間当たりの排出量が不足している場合には供給モータ15の回転速度を上げて排出量を増やし、逆に、単位時間当たりの排出量が過剰である場合には供給モータ15の回転速度を下げて排出量を抑える。
【0061】
図2に示すように、粉粒体容器10を保持した容器ホルダ55は、粉粒体容器10の上方に離して対向配置されたベース板56と、そのベース板56の外縁寄り位置から垂下した複数の連結柱57とから構成されている。ベース板56は、円板形状をなし、その上面中央には吊下部材54の下端部が固定されている。また、連結柱57は略円柱構造をなしており、ベース板56を周方向に3等配した位置から垂下している。そして、これら3つの連結柱57の下端部が、図4に示すように粉粒体容器10のフランジ11Aに突き当てられて接合している。
【0062】
ここで、吊り下げ式の質量計量器52では、計量対象である粉粒体容器10が横揺れした場合に、質量を正確に計量できないことがある。これに対し本実施形態では、粉粒体容器10の横揺れを防止するために、以下のような揺動防止機構を備えている。
【0063】
即ち、図3に示すように、粉粒体容器10のフランジ11Aと略同一平面内には、フランジ11Aを側方から囲んだ円環状の揺動防止プレート58が設けられている。揺動防止プレート58は、容器収容ケース51の上壁内面から垂下した複数の固定柱59によって容器収容ケース51の内部空間に浮いた状態に固定されている。
【0064】
揺動防止プレート58の上面とフランジ11Aの上面には、互いに反発し合う複数対(具体的には3対)の磁石対65が径方向で対向配置されている。これら3対の磁石対65は、揺動防止プレート58及び粉粒体容器10を周方向に3等配する位置に配置されており、これら磁石対65の反発力により、粉粒体容器10が全周に亘って揺動防止プレート58の内周縁から離れた状態に位置決めされている。つまり、磁石対65の反発力によって粉粒体容器10の横揺れが防止されている。
【0065】
また、質量計量器52と容器ホルダ55との間を繋いだ吊下部材54は、図9(A)に示すように上下に分離可能な1対の筒形磁石54A,54Aで構成されている。それら筒形磁石54A,54Aは、常には、互いの吸着力(磁力)によって接合しており、一方の筒形磁石54Aは質量計量器52の下面に固定され、他方の筒形磁石54Aは容器ホルダ55のベース板56に固定されている。そして、筒形磁石54A,54Aの互いの接合面は水平面になっているので、吊下部材54に横向きの力がかかっても、接合面同士の干渉により粉粒体容器10の揺動が防止される。
【0066】
ここで、吊下部材54に対して、筒形磁石54A,54Aの吸着力を超える過剰な力がかかり、筒形磁石54A,54A同士の接合が解除された場合に備えて、筒形磁石54A,54Aの間は落下防止部材54Bによって連結されている。落下防止部材54Bは軸体の両端部をブロック状に膨出させたダンベル構造をなしており、その膨出部分がそれぞれ筒形磁石54A,54Aの内側に形成された段差部に係止可能となっている(図9(B)参照)。
【0067】
さらに、1対の筒形磁石54A,54Aの互いの接合面には凹凸部が形成されており、接合時にそれらが凹凸係合することで、筒形磁石54A,54Aの心出しが行われるようになっている。本実施形態では、質量計量器52側(図9(B)の上側)の筒形磁石54Aの接合面(下面)中央に半球状の凸部54Cが形成され、容器ホルダ55側(図9(B)の下側)の筒形磁石54Aの接合面(上面)中央に前記凸部54Cと同じ半球状の凹部54Dが形成されている。
【0068】
以上が、粉粒体供給装置50に関する説明である。ところで、粉粒体供給装置50から排出された粉粒体が流入するガス送給パイプ70は、図10に示すように両端開放の円筒構造をなしている。図2に示すように、ガス送給パイプ70は、容器収容ケース51の底壁に下端部が固定されており、その下端開口71(本発明の「ガス排出口」に相当する)が容器収容ケース51の底壁に形成された連通口51Bを介して下方に開放している。また、容器収容ケース51の底壁外面には連通口51Bを介してガス送給パイプ70と連通した接続パイプ95が取り付けられている。
【0069】
図1に示すように、接続パイプ95はダクト97に繋がれ、そのダクト97によってガス送給パイプ70と粉塵試験装置200との間が接続されている。ダクト97の途中には、粉粒体濃度を計測するための粉塵計98が備えられており、その粉塵計98の計測値に基づいて制御装置101が、粉粒体及びガスの供給量をフィードバック制御している。
【0070】
図2に示すようにガス送給パイプ70は容器収容ケース51の底壁から粉粒体容器10に向かって直立しており、ガス送給パイプ70の上端開口72(本発明の「粉粒体受入口」及び「ガス流入口」に相当する)と粉粒体容器10の粉粒体排出部13とが隙間を空けて対峙している。ここで、粉粒体容器10(詳細には、小径筒部12)とガス送給パイプ70との間は、伸縮可能なコイル状の導電ワイヤー99によって導通接続されている。これにより、粉粒体容器10とガス送給パイプ70との間に発生した静電電位による、粉粒体容器10(詳細には、小径筒部12近傍)又はガス送給パイプ70(詳細には、上端開口72近傍)への粉粒体の付着を防止している。
【0071】
図10に示すように、ガス送給パイプ70の軸方向におけるほぼ中間部分には、容器収容ケース51内に充填されたガスをガス送給パイプ70の内側に流入させるための側部開口73が設けられている。図11に示すように側部開口73の周方向における一側縁からはガス案内片74が延びている。ガス案内片74は、ガス送給パイプ70の側方に向かって張り出し、ガス送給パイプ70の内周面の接線方向と略平行に延びている。また、図10に示すように側部開口73の上縁からは側方に向かって水平板75が張り出しており、その水平板75とガス案内片74とが直角に交差して繋がっている。
【0072】
図10に示すように、ガス送給パイプ70のうち側部開口73が形成された部分は、段付き状に大径となっており、その大径部分の内側には可動円弧部材76が回動可能に嵌合されている。
【0073】
可動円弧部材76は、ガス送給パイプ70の内面に摺接可能な円弧状をなし、その周方向における一端部には補助案内片77が一体に設けられている。補助案内片77は、可動円弧部材76の周方向における一端部にて鋭角に折れ曲がって可動円弧部材76の側方に向かって延びた構造をなしている。
【0074】
図10に示すように、補助案内片77の下縁部からは側方に向かって水平板80が張り出しており、その水平板80と補助案内片77とが直角に交差している。
【0075】
そして、ガス案内片74、補助案内片77及び水平板75,80とで四方を囲まれた角筒状のガス導入筒部81が形成され、そのガス導入筒部81がガス送給パイプ70の周面(側部開口73の開口縁)から側方に向かって突出している。
【0076】
図10及び図11においてそれぞれ対比して示すように、ガス送給パイプ70の内側で可動円弧部材76が回動すると、ガス案内片74と補助案内片77とが接離し、ガス導入筒部81の開口面積が拡縮する。また、可動円弧部材76と側部開口73とが重なる面積も変化して側部開口73の開口面積も拡縮する。より具体的には、補助案内片77をガス案内片74に近づけるように可動円弧部材76を回動させると、ガス導入筒部81及び側部開口73の開口面積が徐々に狭まる。反対に、補助案内片77をガス案内片74から離すように可動円弧部材76を回動させると、ガス導入筒部81及び側部開口73の開口面積が徐々に広がる。
【0077】
そして、容器収容ケース51内のガスは、ガス導入筒部81に案内されて側部開口73からガス送給パイプ70内に流入する。このとき、図11(A)及び同図(B)にて矢印で示したように、ガスは、ガス送給パイプ70の内周面の接線方向と略平行な方向から流れ込むので、ガス送給パイプ70内でガスの流れが旋回流となる。これにより、ガスに対する粉粒体の分散が促進されると共に、粉粒体混合ガス中の粉粒体が、ガス送給パイプ70の内面に付着することが防止される。なお、上記した側部開口73、ガス案内片74、可動円弧部材76及び補助案内片77によって本発明の「旋回流発生部」が構成されている。
【0078】
ここで、側部開口73の開口面積を狭くした場合(図10(A)及び図11(A)の状態)には、旋回流の勢いを比較的強くすることができ、開口面積を広くした場合(図10(B)及び図11(B)の状態)には、旋回流の勢いを比較的弱くすることができる。よって、凝集性が比較的高い(粉粒体が塊になり易い)粉粒体をガスと混合する場合には、側部開口73の開口面積を狭くして比較的強い旋回流と混合させれば、粉粒体を効果的に分散させることができる。
【0079】
図10に示すように、ガス送給パイプ70のうち側部開口73より下側部分には、複数のスリット83が形成されている。これらスリット83は、それぞれガス送給パイプ70の周方向に延びており、ガス送給パイプ70の周方向及び軸方向に並べて形成されている。また、軸方向に並んだ複数のスリット83を1つのスリット列群83Gとした場合に、周方向で隣り合ったスリット列群83G同士は、互いに上下にずらして設けられている。これにより、ガス送給パイプ70の剛性低下が抑えられている。更に、図12に示すようにスリット83の断面は、ガス送給パイプ70の外面から内面に向かって下るように傾斜しており、スリット83を通過したガスがガス送給パイプ70内で下向きの流れを形成するようになっている。そして、これらスリット83からガス送給パイプ70内に流入したガスは、上端開口72から粉粒体と共に流入したガスと合流して粉粒体の分散を促進させると共に、ガス送給パイプ70の内周面を覆うエアーカーテンを生成する。このエアーカーテンにより、粉粒体混合ガス中の粉粒体がガス送給パイプ70の内面へ付着することが防止される。なお、スリット83も本発明の「ガス流入口」に相当する。
【0080】
本実施形態の粉粒体混合ガス生成機100の構成は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。図1に示すように、粉粒体容器10に粉粒体を収容した状態で、供給モータ15とガス供給装置90とを駆動させる。すると、ガス供給装置90から単位時間当たり一定体積のガスが容器収容ケース51に供給されると共に、粉粒体容器10から単位時間当たり一定質量の粉粒体が、ガス送給パイプ70に向けて排出される。
【0081】
詳細には、スクレーパ22の回転により粉粒体が小径筒部12に引き込まれ、底壁14上に粉粒体が堆積する。このとき、粉粒体同士が付着して粉粒体通過孔14Bを閉塞する粉粒体アーチが形成されるため、粉粒体が自重のみにより粉粒体通過孔14Bを通過することはない。そして、小径筒部12内を旋回している底面旋回部材26が各粉粒体通過孔14Bを閉塞している粉粒体アーチの近傍を通過したときに、それら粉粒体アーチが外力を受けて崩され、その粉粒体アーチを形成していた粉粒体が粉粒体通過孔14Bから下方に排出される。そして、粉粒体通過孔14Bには、すぐに新たな粉粒体アーチが形成されて再び閉塞される。一旦粉粒体アーチが崩れて再度形成されるまでに粉粒体通過孔14Bから流出する粉粒体の量は極微量であるので、底面旋回部材26(供給モータ15)を一定速度で旋回させている間は、単位時間当たり一定質量の粉粒体をガス送給パイプ70に供給することができる。また、粉粒体容器10から単位時間当たりに排出された粉粒体の質量を質量計量器52にて実際に計量し、その計量結果に基づいて粉粒体の供給量をフィードバック制御するので、単位時間当たり一定質量の粉粒体をより正確に供給することができる。
【0082】
また、図6に示すように、底面旋回部材26の旋回プレート27は迎角を有しているために、底面旋回部材26が旋回することにより粉粒体が底壁14側に押し付けられる。これにより、底壁14上に形成された粉粒体アーチに効率よく外力を加えて、粉粒体を粉粒体通過孔14Bから底壁の下方に強制的に落下させることができる。さらに、旋回プレート27から垂下した旋回脚部28が粉粒体を撹拌し、粉粒体が塊になることを防ぎながら、粉粒体アーチに外力を加えて粉粒体を粉粒体通過孔14Bから底壁14の下方に落下させることができる。
【0083】
一方、ガス供給装置90は、全てのガスを容器収容ケース51を介して間接的にガス送給パイプ70に供給する。即ち、ガス供給装置90は、ガス充填口51Aから容器収容ケース51内にガスを供給し、そのガスは、ガス送給パイプ70の上端開口72、側部開口73及びスリット83からガス送給パイプ70の内側に流入する。ガスが上端開口72から粉粒体と共に流れ込むことで、上端開口72からの粉粒体の噴出を防止することができる。また、側部開口73から流れ込んだガスは、ガス送給パイプ70の内側面に沿って流れて旋回流を生成する。その旋回流となったガスに粉粒体が合流するので、ガスに対する粉粒体の分散が促進されると共に、ガス送給パイプ70の内面への粉粒体の付着が防止される。また、スリット83から流入したガスは、ガス送給パイプ70の内側面を覆うエアーカーテンを生成するので、仮に、ガス送給パイプ70の下流側で旋回流が弱まっても、ガス送給パイプ70の内面への粉粒体の付着を防止することができる。
【0084】
ここで、上端開口72、側部開口73及びスリット83からガス送給パイプ70に単位時間当たりに流入するガスの全体積、即ち、ガス充填口51Aを介して容器収容ケース51に単位時間当たりに供給されるガスの体積は、ガス流量計92によって実測され、その計測結果により、ガスの送給量がフィードバック制御されているので、単位時間当たり一定体積のガスをより正確に供給することができる。
【0085】
更に、ガス送給パイプ70にて生成された粉粒体混合ガスは、粉塵試験装置200に送給される途中で粉塵計98によって粉粒体濃度が計測され、その計測結果に基づいて、粉粒体の供給量及びガスの供給量がフィードバック制御されているので、粉粒体濃度を正確に一定に保持することができる。
【0086】
このように、本実施形態の粉粒体混合ガス生成機100によれば、スクレーパ22及び底面旋回部材26によって粉粒体容器10から単位時間当たり一定質量の粉粒体が正確に排出され、これを単位時間当たり一定体積のガスと混合して粉粒体混合ガスを生成しているので、粉粒体濃度が一定な粉粒体混合ガスを連続して生成することができる。
【0087】
また、側部開口73からガス送給パイプ70に流れ込んだガスが旋回流を生成するので、ガスに対する粉粒体の分散を促進させることができ、粉粒体が均一に分散した粉粒体混合ガスを生成することができる。
【0088】
さらに、スリット83からガス送給パイプ70に流れ込んだガスによって、ガス送給パイプ70の内面を覆うエアーカーテンが生成されるので、ガス送給パイプ70の内面への粉粒体の付着を防止することができる。これにより、粉粒体の付着による粉粒体濃度の誤差を防止することができる。
【0089】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、ガス供給装置90は全てのガスを容器収容ケース51を介して間接的にガス送給パイプ70に供給していたが、本実施形態では、容器収容ケース251を介して間接的にガスを供給すると共に、ガス送給パイプ270に直接ガスを供給するように構成した点が異なる。以下、図13〜図16に基づいて本実施形態の粉粒体混合ガス生成機について説明する。
【0090】
図13に示すように、本実施形態の粉粒体混合ガス生成機は、ガス送給パイプ270が容器収容ケース251を貫通して水平方向に延びており、途中部分のみが容器収容ケース251内に収容されている。即ち、ガス送給パイプ270の始端部に設けられた上流側開口278(本発明の「ガス流入口」に相当する)と、終端部に備えられた下流側開口279(本発明の「ガス排出口」に相当する)は、それぞれ容器収容ケース251の外側に開放している。そして、容器収容ケース251のうちガス送給パイプ270が貫通した対向壁251A,251Aによりガス送給パイプ270が固定されている。
【0091】
図14に示すように、ガス送給パイプ270のうち、容器収容ケース251に収容された部分のほぼ中央部には、上方に開放した粉粒体受入口272が形成され、その粉粒体受入口272の真上に、粉粒体を収容した粉粒体容器10が離して配置されている。
【0092】
粉粒体容器10は容器ホルダ255に一体に設けられており、その容器ホルダ255が質量計量器252、具体的には、「台秤」の上に載置されている。ガス送給パイプ270は質量計量器252の上方に浮かされており、容器ホルダ255はガス送給パイプ270に対して非接触となっている。詳細には、容器ホルダ255は、ガス送給パイプ270に平行でかつガス送給パイプ270を上下方向で挟んだ一対の水平壁256,256を備え、その水平壁256,256のうちガス送給パイプ270の軸方向の一側部同士を垂直壁257で接続した構造をなしている。垂直壁257には、ガス送給パイプ270を遊嵌状態で貫通させた貫通孔257A(図13を参照)が形成されており、上側の水平壁256の中央部を下側に膨出させて粉粒体容器10が一体形成されている。
【0093】
これにより、粉粒体容器10からガス送給パイプ270に向けて単位時間当たりに排出された粉粒体の質量が計量可能となっている。
【0094】
図15に示すように、ガス送給パイプ270の内側で、粉粒体受入口272より上流側部分には旋回螺旋ガイド273が設けられている。旋回螺旋ガイド273は、例えば、ガス送給パイプ270の内面から突出した突条であってガス送給パイプ270の軸方向に延びかつ螺旋状に旋回している。そして、ガス送給パイプ270の上流側開口278から流入したガスは旋回螺旋ガイド273により、粉粒体受入口272の下方を旋回流となって通過する。
【0095】
図16に示すように、ガス送給パイプ270の内側で粉粒体受入口272より下流側には、ガス送給パイプ270の軸方向に、集合コーン276と拡散錐形体274とが交互に間隔を空けて配置されている。集合コーン276は、扁平な円錐筒状をなしており、ガス送給パイプ270の内側に嵌合されている。詳細には、集合コーン276はガスの送給方向の前方(図16における右側)に向かって縮径し、その先端にガス送給パイプ270の口径よりも小さい縮径口277を有している。
【0096】
一方、拡散錐形体274は、ガス送給パイプ270の内面から突出した複数のリブ275によってガス送給パイプ270の中心部に保持されている。詳細にはガスの送給方向の前方に向かうに従ってテーパ状に拡径した扁平な円錐形状をなしており、集合コーン276の縮径口277を上流側から覆っている。
【0097】
次に本実施形態の粉粒体混合ガス生成機の動作について説明する。
供給モータ15とガス供給装置90とを作動させると、ガス送給パイプ270と容器収容ケース251とに合わせて単位時間当たり一定体積のガスが供給されると共に、ガス送給パイプ270の粉粒体受入口272に向けて、粉粒体容器10から単位時間当たり一定質量の粉粒体が排出される。
【0098】
容器収容ケース251内は、ガス充填口251Aから充填されたガスによってガス送給パイプ270の内圧より高くなっており、容器収容ケース251内のガスは、粉粒体容器10から排出された粉粒体と共に、粉粒体受入口272からガス送給パイプ270内に流入する。よって、粉粒体受入口272からの粉粒体の噴出が防がれる。ここで、粉粒体受入口272は、本発明の「ガス流入口」に相当する。
【0099】
ガス送給パイプ270の上流側開口278から流入したガスは、粉粒体受入口272の下方を旋回流となって通過し、その旋回流となったガスに粉粒体受入口272から粉粒体が混合されて、粉粒体混合ガスが生成される。
【0100】
粉粒体混合ガスは、集合コーン276と拡散錐形体274とを交互に通過する。即ち、粉粒体混合ガスは、拡散錐形体274のテーパー面に案内されてガス送給パイプ270の内側面側に向かい、拡散錐形体274とガス送給パイプ270の内面との間の比較的狭い空間を通過する際に圧縮される。拡散錐形体274を通過すると内部空間が一時的に広がるため、粉粒体混合ガスは膨張する。
【0101】
拡散錐形体274を通過した粉粒体混合ガスは、次に、集合コーン276を通過する。即ち、粉粒体混合ガスは集合コーン276のテーパー面に案内されてガス送給パイプ270の中心部に集められて縮径口277を通過する。このとき粉粒体混合ガスは、再び圧縮される。集合コーン276を通過すると、再び内部空間が広がるため、粉粒体混合ガスは膨張する。このように、粉粒体受入口272より下流側には、粉粒体混合ガスが圧縮されるガス圧縮部と、膨張するガス膨張部とが軸方向に交互に繰り返して設けられている。
【0102】
また、拡散錐形体274と集合コーン276とを交互に配置したことで、粉粒体混合ガスがガス送給パイプ270の内側を蛇行するように流れ、ガスに対する粉粒体の分散が促進される。さらに、粉粒体混合ガスに粉粒体の塊が含まれていた場合には、集合コーン276の縮径口277を通過することにより加速された粉粒体の塊が拡散錐形体274に衝突して粉砕されるので、粒子の揃った粉粒体混合ガスを生成することができる。
【0103】
このように本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
【0104】
[第3実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態で例示した粉粒体混合ガス生成機100の接続パイプ95の下端部に、粉粒体混合ガス中に含まれる粉粒体の塊を粉砕するための解砕装置300が接続されている点が異なり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0105】
図17(A)に示すように、解砕装置300は下端有底の筒形ハウジング301を備え、その筒形ハウジング301の上面中央に貫通形成された円形の接続口302に接続パイプ95の下端部が接続可能となっている。また、筒形ハウジング301の側面からは円筒状の接続筒部303が側方に突出しており、その接続筒部303にダクト97の一端が接続可能となっている。そして、接続口302と接続筒部303とが筒形ハウジング301の内側領域を介して連通している。
【0106】
筒形ハウジング301の内側には解砕ロータ310が備えられ、その解砕ロータ310が筒形ハウジング301の下面に備えたモータ320によって筒形ハウジング301内で回転可能となっている。図17(B)に示すように、解砕ロータ310は、共に円形をなして上下方向で対向した上側プレート311と下側プレート312との間に、複数の解砕プレート315を差し渡した構造をなしている。上側プレート311の中央には、筒形ハウジング301の接続口302と連通した円形開口313が設けられており、下側プレート312の中心部には、筒形ハウジング301を貫通したモータ320の回転軸が固定されている。
【0107】
解砕プレート315は、上側プレート311及び下側プレート312に対して直角に設けられている。また、解砕プレート315は格子構造(メッシュ構造)をなしており、複数の矩形孔316が縦横に規則的に設けられている。さらに解砕プレート315は、解砕ロータ310の周方向に等間隔に配置されかつ、解砕ロータ310の回転中心を中心として放射状に設けられている。なお、解砕プレートは、板部材に複数の小孔やスリットが貫通形成された構成であればよく、パンチングメタルやスクリーン、金網等で構成してもよい。
【0108】
この解砕装置300は、凝集性の高い粉粒体(塊状になり易い粉粒体)で粉粒体混合ガスを生成する場合に接続パイプ95に接続して用いられる。ガス送給パイプ70を通過して、解砕装置300に流入した粉粒体混合ガスは、筒形ハウジング301の中心部分に流れ込み、回転している解砕ロータ310の中心部から径方向外側に向かって横切って接続筒部303から排出される。詳細には、粉粒体混合ガスは、その流れ方向の前方を横切る解砕プレート315の矩形孔316を通過して接続筒部303へ流れる。ここで、粉粒体混合ガスに粉粒体の塊が含まれていた場合、その塊は、解砕ロータ310を横切る際に解砕プレート315の矩形孔316を通過できずに(解砕プレート315の壁面で叩かれて)粉砕される。これにより、凝集性の高い粉粒体であっても粒子の揃った粉粒体混合ガスを生成することができる。
【0109】
[第4実施形態]
第4実施形態は図18に示されており、粉粒体容器10の揺動防止機構のみが上記第1実施形態と異なる。即ち、図18(A)に示すように、粉粒体容器10と揺動防止プレート58との間は、周方向の複数箇所(例えば3箇所)において極細ワイヤー400で繋がれている。詳細には、同図(B)に示すように、粉粒体容器10のフランジ11Aと揺動防止プレート58には、固定具401,401がそれぞれ設けられ、それら固定具401,401の螺子を締め付けることで極細ワイヤー400の両端が固定されている。そしてこれら極細ワイヤー400により粉粒体容器10の横方向の移動(横揺れ)を防止することができる。
【0110】
[第5実施形態]
第5実施形態は、図19に示されており、粉粒体容器10の揺動防止機構のみが上記第1実施形態と異なる。即ち、粉粒体容器10と揺動防止プレート58とのうちの何れか一方には、1対の支持壁の間に差し渡された水平な軸部410に回転可能に軸支されたローラ411を設けると共に、他方に、そのローラ411が突き当てられかつ転動する転動壁412を設け、それらローラ411と転動壁412とを、周方向に複数組(例えば、3組)均等配置した構成となっている。ここで、ローラ411の形状は、図19(B)の如く、そろばん玉形状でもよいし円柱体形状でもよい。そろばん玉形状とした場合には、転動壁412の転動面412Aに「V」字形のレール溝を形成してそのレール溝にローラ411のエッジ部411Eを係合させてもよい。また、図19には、ローラ411を揺動防止プレート58に設け、転動壁412を粉粒体容器10に設けた例を図示したが、転動壁412とローラ411の配置をこの逆としてもよい。このような構成でも、粉粒体容器10の横方向の移動(横揺れ)を防止することができる。
【0111】
[第6実施形態]
本実施形態は、図20〜図23に示されており、底壁及び底面旋回部材の形状が、第1実施形態とは異なる。即ち、図20に示すように、底壁60は、円形平板状をなし、上下の両面が平坦になっている。そして、底壁60の法線方向に粉粒体通過孔60Bが貫通形成されると共に、図21に拡大して示すように下端部に向かって徐々に開口面積が広がっている。この構成によれば、付着力が比較的強い粉粒体をスムーズに粉粒体通過孔60Bを通して供給することができる。また、粉粒体通過孔60Bは、下方に向かって徐々に開口面積が広がっているので、粉粒体アーチが粉粒体通過孔の下端側に形成されることを防ぎ、付着力が比較的強い粉粒体をスムーズに粉粒体通過孔60Bを通して供給することができる。
【0112】
また、本実施形態の底面旋回部材43は、図22(A)に示すように、前記第1実施形態の底面旋回部材26から旋回脚部28を排除した形状になっており、旋回プレート27の下端部が底壁60の上面に隣接した状態で旋回する。
【0113】
このような構成にしても粉粒体通過孔60Bに形成された粉粒体アーチに外力を付与して崩し、粉粒体通過孔60Bから流出させることができる。ここで、旋回プレート27によって粉粒体アーチに付与される外力は、底面旋回部材26が旋回して付与する外力よりも大きいため、流動性の低い粉粒体に使用する場合や、粉粒体通過孔60B,61Bからの粉粒体の排出量を増やしたい場合には、この底面旋回部材43を使用すればよい。
【0114】
なお、この突部のない底壁60を用いる場合の粉粒体通過孔60Bの形は円形に限られるものではなく、多角形であってもよい。図23(A)及び図23(B)のように四角形の粉粒体通過孔61Bを有する底壁61であっても同様の効果を奏する。また、図22(B)に示した底面旋回部材46のように、旋回プレート47を旋回方向に対して斜めではなく、垂直に形成してもよい。この場合は旋回プレート47が傾斜していないため底面旋回部材46のような強い外力を粉粒体アーチに加えることはできないが、底面旋回部材26よりも強い外力を加えることができるため、粉粒体の種類によって適宜選択するとよい。なお、この底面旋回部材43,46の旋回プレート下面27B,47Bが本発明に係る「隣接下端面」に相当する。
【0115】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記第1実施形態では、ガス供給装置90によって、容器収容ケース51内にガスを供給していたが、吸引ポンプによって容器収容ケース51内を減圧することで、容器収容ケース51の外部からガス充填口51Aを介してガス(空気)を吸引するようにしてもよい。
【0116】
(2)前記第2実施形態では、ガス送給パイプ270の内部に旋回螺旋ガイド273と、集合コーン276及び拡散錐形体274とを備えていたが、旋回螺旋ガイド273だけでもよいし、集合コーン276及び拡散錐形体274だけでもよい。また、集合コーン276及び拡散錐形体274の代わりに、ガス送給パイプ270の内側面を覆うエアーカーテンを生成可能なスリットを設けてもよい。
【0117】
(3)集合コーン276及び拡散錐形体274の代わりに、各種孔形状のパンチングメタルやスクリーンを用いてもよい。
【0118】
(4)導電ワイヤー99の代わりに、粉粒体容器10とガス送給パイプ70との間の電気的な極性及び帯電量を検出する検出器とイオン放出器とを備え、検出された極性と反対のイオンを帯電量に応じて粉粒体容器10とガス送給パイプ70との間に放出することで静電電荷を除去する構成としてもよい。
【0119】
(5)前記第1実施形態において、可動円弧部材76はガス送給パイプ70の外側に回動可能に嵌合していてもよい。
【0120】
(6)質量計量器52と容器ホルダ55との間を接続した吊り下げ部材は、可撓性のワイヤーで構成してもよいし、複数のリングを互いに交差するように繋いだ構造としてもよい。
【0121】
(7)また、図26に示すように、容器ホルダ55に、ベース板56の上面から起立した1対の対向壁501,501の上端部同士を天井壁502で繋いだ構造の被吊下部500を固定すると共に、質量計量器52に軸状の吊下具510を固定し、その吊下具510の下端部を、被吊下部500の天井壁502に形成された係止孔503に貫通させかつ係止させてもよい。
【0122】
例えば、係止孔503を円形にすると共に、吊下具510の下端部に下方に向かって拡径した円錐膨出部511を形成し、その円錐膨出部511のテーパー面に係止孔503の開口縁部を線接触させてもよい。また、係止孔503の内面を円錐膨出部511に対応して上方に窄んだテーパー面として、円錐膨出部511のテーパー面と係止孔503の内周面とを面接触させてもよい。さらに、吊下具510の下端部を係止孔503より大径な球状として、その球面を係止孔503の開口縁に係止させてもよい。
【0123】
(8)前記第1実施形態の底面旋回部材26の旋回プレート27は迎角を有していたが、図24に示した底面旋回部材40のように、旋回プレート41を水平面と平行な板状とし、旋回プレート41のうち旋回方向を向いた縁部から複数の旋回脚部28を垂下した形状にしてもよい。
【0124】
(9)また、図25に示すように、前記第1実施形態で説明した底壁14の上下を逆さにして、底壁上面突部14Aを下方に突出させた状態で用いてもよい。なお、この下方に突出した底壁上面突部14Aが、請求項13の発明に係る「底壁下面突部」に相当する。
【0125】
(10)前記第1実施形態のスクレーパ22から散粉羽24を排除した構造にしてもよい。また、第1実施形態のスクレーパ22における集粉羽23は丸みを帯びて湾曲していたが、屈曲していてもよい。
【0126】
(11)ガス送給パイプ70に形成された複数のスリット83を、ガス送給パイプ70の周方向及び軸方向に亘って形成すると共に、その周方向に並んだ複数のスリット83を1つの周方向スリット群とした場合に、ガス送給パイプ70の軸方向で隣り合った周方向スリット群同士を、周方向に所定角度ずつずらして設けてもよい。
【0127】
(12)側部開口73及びガス案内片74をガス送給パイプ70の周方向に複数(例えば、周方向で互いに180度離れた位置に2つ)設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1実施形態に係る粉粒体混合ガス生成機の概念図
【図2】粉粒体供給装置及びガス送給パイプの側面図
【図3】粉粒体供給装置及びガス送給パイプの斜視図
【図4】粉粒体供給装置の断面図
【図5】スクレーパを粉粒体容器に取り付けた状態を表す斜視図
【図6】底面旋回部材を粉粒体容器に取り付けた状態を表す断面図
【図7】(A)底壁の平面図、(B)その側面図
【図8】粉粒体通過孔に粉粒体アーチができた状態を表す断面図
【図9】(A)接合状態における吊下部材の断面図、(B)接合解除状態における吊下部材の断面図
【図10】(A)側部開口が最小時のガス送給パイプの斜視図、(B)側部開口と、側部開口の開口縁からガス送給パイプの側方に張り出し、ガス送給パイプの内周面の接線方向と略平行に延びたガス案内片側部開口が最大時のガス送給パイプの斜視図
【図11】(A)側部開口が最小時のガス送給パイプの断面図、(B)側部開口が最大時のガス送給パイプの断面図
【図12】ガス送給パイプの拡大断面図
【図13】第2実施形態に係る粉粒体混合ガス生成機の斜視図
【図14】粉粒体混合ガス生成機の側断面図
【図15】ガス送給パイプの部分断面図
【図16】ガス送給パイプの部分断面図
【図17】(A)第3実施形態に係る解砕装置の斜視図、(B)解砕ロータの部分拡大図
【図18】(A)第4実施形態に係る揺動防止機構の斜視図、(B)揺動防止機構の拡大斜視図
【図19】(A)第5実施形態に係る揺動防止機構の斜視図、(B)揺動防止機構の拡大斜視図
【図20】(A)第6実施形態の底壁を表す正面図、(B)その断面図
【図21】粉粒体通過孔に粉粒体アーチができた状態を表す正面図
【図22】(A)底面旋回部材を表す斜視図、(B)変形例の底面旋回部材を表す斜視図
【図23】(A)第6実施形態の変形例の底壁を表す平面図、(B)その断面図
【図24】変形例の底面旋回部材を表す斜視図
【図25】変形例の底壁を表す断面図
【図26】変形例の吊下部材を表す断面図
【符号の説明】
【0129】
10 粉粒体容器
14 底壁
14A 底壁上面突部
14B 粉粒体通過孔
15 供給モータ(モータ)
22 スクレーパ(粉粒体排出機構)
26,40,43,46 底面旋回部材(粉粒体排出機構)
28 旋回脚部
51 容器収容ケース
51A ガス充填口
52 質量計量器
60,61 底壁
60B,61B 粉粒体通過孔
70 ガス送給パイプ
71 下端開口(ガス排出口)
72 上端開口(粉粒体受入口、ガス流入口)
73 側部開口(ガス流入口)
74 ガス案内片
76 可動円弧部材
77 補助案内片
83 スリット(ガス流入口)
90 ガス供給装置
100 粉粒体混合ガス生成機
251 容器収容ケース
251A ガス充填口
252 質量計量器
270 ガス送給パイプ
272 粉粒体受入口(ガス流入口)
273 旋回螺旋ガイド
274 拡散錐形体
276 集合コーン
277 縮径口
278 上流側開口(ガス流入口)
279 下流側開口(ガス排出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスに粉粒体が分散して浮遊した粉粒体混合ガスを生成するための粉粒体混合ガス生成機であって、
前記ガスを送給可能なパイプ構造をなし、その送給先の終端部に備えたガス排出口からガスを排出可能なガス送給パイプと、
前記ガス送給パイプが内外を連通した状態で固定された容器収容ケースと、
前記ガス送給パイプに形成されて前記容器収容ケースの内側に開放し、前記粉粒体を前記ガス送給パイプ内に供給するための粉粒体受入口と、
前記ガス送給パイプに形成されて前記容器収容ケースの内側又は外側に開放し、前記ガスを前記ガス送給パイプ内に流入させるためのガス流入口と、
前記容器収容ケース内に収容されて前記粉粒体受入口の上方に配置され、前記粉粒体を収容した粉粒体容器と、
前記粉粒体容器の内部に設けられて、モータの動力を受けて駆動され、単位時間当たり一定質量の前記粉粒体を前記粉粒体容器から前記粉粒体受入口へと排出するための粉粒体排出機構と、
前記ガス送給パイプの前記ガス流入口に対し、前記容器収容ケースに形成されたガス充填口を介して間接的に或いは前記ガス充填口を介さずに直接的に接続されて、単位時間当たり一定体積量のガスを供給し、その単位時間当たり一定体積量のガスの全てを前記ガス送給パイプのガス排出口から前記単位時間当たり一定質量の粉粒体と共に排出させるためのガス供給装置とを備えたことを特徴とする粉粒体混合ガス生成機。
【請求項2】
前記ガス送給パイプのうち前記容器収容ケース内に配置された部分に形成されて、前記ガス送給パイプを内外に貫通する複数のスリットを形成し、
それらスリットを通して前記容器収容ケース内のガスを前記ガス送給パイプ内に流入させて前記ガス送給パイプの内面を覆うエアーカーテンを生成可能としたことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項3】
前記スリットは、前記ガス送給パイプの周方向に延びると共に、前記ガス送給パイプの周方向及び軸方向に亘って複数形成されたことを特徴とする請求項2に記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項4】
前記ガス送給パイプの中間部に形成されて側方に向かって開放した側部開口と、前記側部開口の開口縁から前記ガス送給パイプの側方に張り出し、前記ガス送給パイプの内周面の接線方向と略平行に延びたガス案内片とからなる旋回流発生部を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項5】
前記旋回流発生部には、前記ガス送給パイプの内側又は外側に回動可能に嵌合し、前記側部開口の開口面積を拡縮可能な可動円弧部材と、前記可動円弧部材の一端部から側方に張り出し、前記ガス案内片と協働して前記ガスを前記側部開口に案内する補助案内片とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項6】
前記ガス送給パイプの内部に形成されて螺旋形状をなして前記ガス送給パイプの軸方向に延び、前記ガス送給パイプ内を通過するガスが旋回するように案内する旋回螺旋ガイドを備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項7】
前記ガス送給パイプの内部空間を絞ったガス圧縮部と広くしたガス膨張部とを前記ガス送給パイプの軸方向に交互に繰り返して設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項8】
前記ガス送給パイプの内部に嵌合されて前記ガスの送給方向の前方に向かって縮径し、先端に縮径口を有した集合コーンと、前記ガス送給パイプの内面から浮かせて保持されて前記ガスの送給方向の前方に向かうに従って徐々に拡径した拡散錐形体とを、前記送給方向に並べたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項9】
前記粉粒体容器と前記ガス送給パイプとの間を導通接続したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項10】
収容した前記粉粒体を含む前記粉粒体容器全体の単位時間当たりの低減量を計測するための質量計量器を備え、前記低減量に基づいて前記粉粒体容器から前記粉粒体受入口へと排出する単位時間当たりの前記粉粒体の質量をフィードバック制御することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項11】
前記ガス送給パイプは、前記ガス排出口を含む終端部が前記容器収容ケースの底壁に固定されて前記容器収容ケース内で起立し、
前記ガス排出口が前記容器収容ケースの下方に向かって開放する一方、
前記ガス流入口が前記ガス送給パイプの上端部に配置されて上方に向かって開放し、その前記ガス流入口の上方に前記粉粒体容器が配置されたことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項12】
前記粉粒体排出機構には、前記粉粒体容器の底壁に貫通形成され、前記粉粒体同士が付着してなる粉粒体アーチにより閉塞可能な複数の粉粒体通過孔と、
前記モータから動力を受けて前記底壁の上方を旋回して前記粉粒体アーチに外力を付与し、前記粉粒体アーチを構成していた前記粉粒体を前記粉粒体通過孔から前記底壁の下方に強制落下させるための底面旋回部材とから構成されたことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の粉粒体混合ガス生成機。
【請求項13】
前記底壁に、上方に膨出した複数の底壁上面突部を形成し、
前記粉粒体通過孔は、前記各底壁上面突部の下方に形成されて途中で屈曲すると共に、前記底壁上面突部の側面に前記粉粒体通過孔の上端開口が配置されて前記底面旋回部材の旋回方向と対向する水平方向に向かって開放する一方、前記底壁上面突部の真下に前記粉粒体通過孔の下端開口が配置されて鉛直下方に開放したことを特徴とする請求項12に記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項14】
前記底面旋回部材は、前記底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回すると共に下方に複数の旋回脚部を垂下して備え、それら複数の旋回脚部が前記底壁上面突部同士の間を通過して前記底壁の上面上を移動するように構成したことを特徴とする請求項13に記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項15】
前記底壁に、下方に膨出した底壁下面突部を形成し、
前記粉粒体通過孔は、前記底壁下面突部の上方に形成されて途中で屈曲すると共に、前記底壁下面突部の側面に前記粉粒体通過孔の下端開口が配置されて水平方向に向かって開放する一方、前記底壁下面突部の真上に前記粉粒体通過孔の上端開口が配置されて鉛直上方に開放したことを特徴とする請求項12に記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項16】
前記底壁は、上面と下面とが平行かつ平坦になっており、
前記粉粒体通過孔は、前記底壁の上面及び下面の法線方向に貫通形成されたことを特徴とする請求項12に記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項17】
前記粉粒体通過孔は、下端部に向かって徐々に開口面積が広がっていることを特徴とする請求項16に記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項18】
前記底面旋回部材は、前記底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回する突片構造をなすと共に、旋回方向の前端縁側が後端縁側より上方に位置するように傾斜した迎角を有したことを特徴とする請求項12乃至17の何れかに記載の粉粒体精密供給装置。
【請求項19】
前記底面旋回部材は、前記底壁の上面の法線方向と平行な旋回軸の回りを旋回する突片構造をなすと共に、前記底壁の上面と平行になって隣接した隣接下端面を有したことを特徴とする請求項12,16又は17の何れかに記載の粉粒体精密供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−207063(P2008−207063A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43858(P2007−43858)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(302055139)
【Fターム(参考)】