粗粒分離機能付きチャー搬送装置および石炭ガス化システム
【課題】 石炭ガス化炉から排出されサイクロンで捕集されたチャーを、気流処理で細粒と粗粒に効率良く分離し、石炭ガス化炉に循環できるようにする。
【解決手段】 チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、容器の側面に容器内に流入したチャーが傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を設ける。また、チャーの流入口よりも下方の容器側面に、補助気体の吹き込み口を設ける。容器内を下方から上方に流れる気流を形成し、そこにチャーを傾斜板に衝突させるように供給し、細粒を気流に同伴させて容器上部の排出口から搬送し、粗粒を重力により落下させて容器下部の排出口から排出する。
【解決手段】 チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、容器の側面に容器内に流入したチャーが傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を設ける。また、チャーの流入口よりも下方の容器側面に、補助気体の吹き込み口を設ける。容器内を下方から上方に流れる気流を形成し、そこにチャーを傾斜板に衝突させるように供給し、細粒を気流に同伴させて容器上部の排出口から搬送し、粗粒を重力により落下させて容器下部の排出口から排出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化炉の生成ガスから分離回収したチャーを石炭ガス化炉へ戻すのに使用されるチャー搬送装置に係り、特にチャーを粗粒と細粒に分離し細粒のチャーを搬送するようにしたチャー搬送装置に関する。又、本発明は、前記チャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化炉から排出される生成ガスには、一般に未燃カーボンを含むチャーが含まれている。このため、通常の石炭ガス化システムでは、生成ガスからチャーを回収して、石炭ガス化炉に戻すチャー循環系が備えられる。チャー循環系としては、サイクロンによりチャーを回収し、ロックホッパ方式を採用した機械的手段により所定量のチャーを搬送装置に移送し、搬送装置でチャーを気流搬送して石炭ガス化炉に供給する方式のものが知られている。ホッパ内に分級機を設けて、塊状のチャーを除去し、細粒のチャーを石炭ガス化炉に戻すことも行われている。また、サイクロンにより分離されたチャーを、気流を利用して粗粒と細粒に分離し、細粒を石炭ガス化炉に戻すことも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−81886号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックホッパ方式を採用し、更にホッパ内に篩い或いはメッシュ等の分級機を設置して塊状物を除去して細粒を搬送する方法は、塊状或いは球状以外の細長い形をしたチャーが篩いを素通りしてチャー搬送装置に移送されることが多く、粗粒の分離性能に問題がある。粗粒が容器内に移送されると、容器内で堆積して閉塞の原因となり、一定量のチャーを安定して搬送できなくなる。気流を利用して粗粒と細粒を分離し細粒を石炭ガス化炉に戻す方法は、細粒が粗粒とともに排出されることが多く、細粒の分離性能に問題がある。
【0005】
本発明の目的は、気流を利用して粗粒と細粒を分離し、細粒を搬送するようにしたチャー搬送装置及びこのチャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムにおいて、細粒と粗粒の分離性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャーの排出口を上部と下部に有する容器を備え、その内部に傾斜板を備え、容器の側面に気流搬送されたチャーが傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を備え、チャー流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備えたチャー搬送装置にある。本発明は、チャーを気流によって容器内に供給し、容器内を下方から上方に流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて容器上部に設けられた排出口から石炭ガス化炉に搬送し、粗粒を重力により落下させて容器下部に設けられた排出口から排出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチャー搬送装置は、細粒と粗粒の分離性能に優れており、細粒を効率よく搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のチャー搬送装置において、気流搬送されたチャーを容器内に流入させる方向は重要であり、横方向、特に水平方向から流入させることが望ましい。また、傾斜板の設置角度も重要であり、チャーを水平方向から流入させるときに、水平線に対して25〜45度の角度に傾斜板を設置することが望ましい。補助気体を吹き込む位置も重要である。補助気体の役割は容器内に上昇気流を作り、容器内に流入したチャーのうちで細粒を上昇気流に同伴させて容器上部に移送することにある。したがって、補助気体の吹き込み口はチャー流入口よりも下方に設置しなければならない。また、粗粒の落下通路を補助気体のガス流で塞いで、粗粒とともに細粒が下方に落下するのを防ぐことが望ましく、このために、補助気体は横方向から容器内に流入させることが望ましい。補助気体を横方向から容器内に流入させると、粗粒の落下通路を遮断するように補助搬送気体の膜すなわちカーテンができ、細粒の落下を抑制できる。
【0009】
容器内の傾斜板の下方には側壁を設けて、粗粒の落下通路を狭めることが望ましく、また、この流路が狭められたところに補助気体の吹き込み口を設けることが望ましい。更に流路が狭められた部分の後に、再び流路が拡大された部分を設けることが望ましく、流路が拡大された部分の後に再度、流路縮小部分を設けて、そこにも補助気体の吹き込み口を設けることが望ましい。これらによる作用効果は、後述する実施例の中で説明する。
【0010】
本発明の石炭ガス化システムは、以上述べた粗粒分離機能付きチャー搬送装置をチャー循環系に備えたものである。
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明のチャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムの概略図を示している。本実施例の石炭ガス化システムは、石炭供給系とガス化炉及びチャー循環系から構成されている。
【0013】
まず、石炭供給系について説明する。石炭供給系には、石炭を粉砕する粉砕機1と、常圧ホッパ2と、ロックホッパ式の常圧−加圧ホッパ4と、石炭供給ホッパ5と、微粉炭3を搬送ガス8と混合する混合器7及び分配器10が備えられている。石炭供給系では、まず、粉砕機1で石炭を微粉炭3に粉砕する。粉砕された微粉炭は、バルブ37,37a,37b、37cを操作することで、順次に常圧ホッパ2、常圧−加圧ホッパ4および石炭供給ホッパ5へ供給される。石炭供給ホッパ5に供給された微粉炭3はロータリフィーダ6により排出され、エジェクタ等の混合器7に搬送される。混合器7に搬送された微粉炭は、窒素或いは二酸化炭素等の不活性のガスよりなる搬送ガス8により気流搬送され、搬送ライン9を通じて分配器10に送られる。そして、石炭ガス化炉18の石炭バーナ11へ供給される。
【0014】
微粉炭中には、一般に木屑等の異物が含まれており、この異物が混合器7或いは分配器10に堆積して、機器が閉塞するおそれがあるため、通常は、図示はしていないが常圧ホッパ2に分級機を設置して、ここで木屑等を除去する。また、石炭供給ホッパ5にロードセル53を設置して、このロードセルで微粉炭の重量を測定して上流側のバルブ37b及び下流側のバルブ37cの開閉操作を行うようにしている。
【0015】
次に、ガス化炉について説明する。石炭ガス化システムには、流動層方式を採用した加圧流動層石炭ガス化システム、噴流層方式を採用した噴流層石炭ガス化システム等があり、本発明はそのいずれにも適用できるが、本実施例では噴流層方式の石炭ガス化システムを示した。石炭バーナ11には、石炭供給系から送られてきた微粉炭と、石炭ガス化剤供給ライン14から送られてきた酸素等のガス化剤とが供給される。石炭ガス化炉18のガス化反応部20では、気流中で微粉炭とガス化剤とが接触して石炭がガス化し、水素及び一酸化炭素に富む可燃性のガスが生成する。生成ガスはガス化炉出口ライン22を通って炉外へ排出される。石炭ガス化炉内のガスの温度は1600℃以上の高温であるため、微粉炭中の灰分は溶融してスラグすなわち溶融灰になる。スラグは、石炭ガス化炉18に設けられたスラグタップを通り抜けて水充填部19に落下し冷却固化される。冷却固化したスラグ23は、定期的にスラグ回収器16に回収され、廃棄処分される。
【0016】
次に、チャー循環系について説明する。チャー循環系には、サイクロン25と、サイクロンホッパ26と、ロックホッパ式のチャー回収ホッパ28と、チャー供給ホッパ29と、ロータリフィーダ30と、チャーを搬送気体32と混合する混合器31及び本発明のチャー搬送装置38が備えられている。
【0017】
石炭ガス化炉18から排出された生成ガスは、サイクロン25にてチャー27が分離される。チャーが分離された生成ガスは生成ガスライン36を通ってガス精製装置35へ送られる。サイクロン25によって回収されたチャー27は、連結管59を通してサイクロンホッパ26及びチャー回収ホッパ28へと送られる。チャー回収ホッパ28内のチャー27の量が増加したならば切り替えバルブ55aを閉じ、チャー回収ホッパ28の圧力をチャー供給ホッパ29の圧力と同等か或いはそれよりも若干高くする。次いで、チャー回収ホッパ28の出口側の切り替えバルブ55bを開き、チャー供給ホッパ29内へチャー27を移送する。チャー供給ホッパ29へのチャーの移送が完了したならば、切り替えバルブ55bを閉じて、チャー回収ホッパ28の圧力を石炭ガス化炉18の圧力と同圧にする。そして、チャー回収ホッパ28の入口側の切り替えバルブ55aを開き、定常運転に入る。この加圧と減圧操作が所定時間間隔で繰り返される。なお、チャー循環系は、チャー27の温度が450℃前後であるため、通常、チャー27が凝縮しないように200℃前後に保温される。
【0018】
サイクロン25で回収されたチャー27は、平均粒径が10μm前後と小さく、真比重はおよそ2300kg/m3であり非常に軽い。しかも、付着性の強い粉末固体である。しかも、チャー27には、ガス化条件によって異なるが、20mm以上の塊状物あるいはガス化炉熱回収部21の壁に付着してできた板状物の剥離したものが含まれている。板状物はチャーの粉体が固化してできたものである。このような粗大粉体は、ロータリフィーダ30及び混合器31の内部に堆積し、閉塞等を起こす原因になる。そこで、通常はチャー回収ホッパ28に、図示していないが分級機を設置し、粗大塊状物を除去している。なお、切り替えバルブ55a〜55cはチャー循環系の各ホッパ間を連結する連結管59に備えられる。また、チャー供給ホッパ29には、一般に重量測定用のロードセル61が備えられる。チャー供給ホッパ29に貯留された高温のチャー27は、ロータリフィーダ30により定量的に排出され、混合器31に導入される。混合器31では、不活性ガス又はガス化炉生成ガス等のガスを搬送気体32に用いてチャーを気流搬送し、本発明のチャー搬送装置38へ移送する。
【0019】
チャー搬送装置38では、チャー中に含まれている粗大な粒子を分離し細粒のチャーを、チャー搬送ライン33を通じてチャーバーナ34へ送り、石炭ガス化炉18へ戻す。チャーをガス化するための酸素15は、チャーバーナ34から供給する。
【0020】
このチャー循環系において、本発明のチャー搬送装置を設けない場合には、チャー回収ホッパ28に設置されている分級機を通り抜けた、主として細長い板状をした粗大なチャーが混合器31に流入し堆積する恐れがある。しかし、本発明のチャー搬送装置を設けたことで、混合器31の排出口の径を大きくすることができるので、粗大なチャーが流入しても閉塞を起こすことなく排出することができる。本発明のチャー搬送装置は、粗粒と細粒の分離性能が優れているので、細粒のチャーを安定して石炭ガス化炉に循環することができる。
【0021】
次に、本発明のチャー搬送装置について説明する。図2〜5は本発明によるチャー搬送装置の一実施例を示したものであり、図2は全体構造を示した縦断面図、図3は図2のA−A矢視図、図4は図2のB−B矢視図、図5は図2のC−C矢視図である。図2には、チャー27を搬送気体32と混合する混合器31と、チャー搬送装置38から排出された粗粒を回収する粗粒回収器39を含めて図示した。
【0022】
チャー搬送装置38は、円筒形の容器90の上部に細粒チャー排出口33を有し、下部に粗粒チャー排出口93を有する。粗粒チャー排出口93にはバルブ40が設けられている。容器90の内部には傾斜板70が設けられている。また、傾斜板70に連続して、その下方に側壁68が設けられている。容器90の側面と側壁68によって粗粒落下流通路69が形成される。この粗粒落下流通路69は図4に示すように断面が半円形の形をしている。細粒チャー排出口33は粗粒落下流通路69の鉛直方向上方に設けられている。これにより、細粒が上昇流に同伴して搬送されやすくなる。傾斜板70の近傍の容器壁には、混合器31から気流搬送されたチャーを流入させるチャー流入管65の流入口が設けられている。チャーは容器内に横方向から流入し、傾斜板70に衝突する。容器壁のチャー流入管が設けられている位置よりも下方には、補助気体吹き込み管67が設けられている。この補助気体吹き込み管は、本実施例では図4に示すように、容器の円周方向の3箇所に設置されている。
【0023】
チャー搬送装置38には、補助気体吹き込み管67から吹き込まれた気体による上昇流が形成されている。チャー流入管65から容器内に流入したチャーは傾斜板に衝突して流速が弱まり、細かい粒子は容器内に形成されている上昇流に同伴して、上方に設けられた細粒チャー排出口33に向かって搬送される。粗粒チャー81は上昇気流には同伴されずに重力により下方に落下する。
【0024】
容器90内にチャーを搬送する搬送気体32の量は流量調節弁32aによって調節し、これにより容器90の傾斜板70が設置されている付近でのガス流の速度を設定し、チャー流入口の近傍で粒子の滞留が生じないようにする。
【0025】
粗粒と細粒の分離性能を高めるためには、チャーを横方向、特に水平方向から容器90内に流入させることが重要であり、また、傾斜板の角度が重要である。傾斜板の角度を、水平方向から容器内にチャーが流入するように設けられたチャー流入管65の中心軸線に対して25〜35度、特に30〜40度にして強制的に傾斜板に衝突させることにより、チャーの固着を防止できると共に、細粒と粗粒を効率よく分離できることが分かった。
【0026】
傾斜板70に衝突したチャーのうち、大部分の細粒は容器上部の細粒チャー排出口33から排出されるが、まだ、かなりの量の細粒は、粗粒落下流通路69を通って下方に流れる。そこで、流量調節弁67aによって流量が調節された補助気体を容器内に横方向から吹き込むようにし、補助気体によるガスカーテンを作って細粒の落下を阻止する。補助気体を、側壁68と容器側面とによって作られた狭い流路部分から吹き込むことで、少ない流量でガスカーテンを形成することができ、容器の磨耗等に与える影響を減らすことができる。粗粒落下流通路69の大きさは、粗粒を落下させることができる範囲内で、でき得る限り狭い方がよく、具体的には粗粒の大きさの1.2倍までに抑えることが望ましい。
【0027】
図15はチャーの終端速度とチャーの平均粒径との関係を示したものである。横軸にチャーの平均粒径を示し、縦軸にチャーの終端速度を示した。図15から、分離、除去する粒子径が大きくなる程、チャーの終端速度は大きくなることがわかる。例えば10mm以上の大きさの粗粒を分離回収するには、終端速度を3.0m/s以上に設定する必要のあることがわかる。石炭ガス化炉に供給するチャーの粒径を10.0mmとするときには、チャー搬送装置の容器90内のガス速度を3.0m/sとすればよく、これにより10.0mm以上の粗大な粒子は容器内を下方に落下する。チャー粒子の分級及び搬送が良好に行われているか否かの判断は、混合器31の圧力計42と粗粒回収器39の圧力計45による差圧レベル、及びチャー搬送ライン33の圧力計82の圧力レベルによって行うことができる。
【0028】
図16は、チャー搬送装置38の上流側に設置されているサイクロンホッパ26内のチャー27の粒子径とチャー搬送装置38の下流側に設置されている粗粒回収器39から抜き出したチャーの粒子径とチャーの累積重量比率との関係を示した実験結果である。横軸にはチャーの粒子径を示し、縦軸にはチャーの累積重量頻度を示した。累積重量頻度の50%が平均粒径を表す。実験に用いたサイクロンホッパ26内のチャーには、10mm以上の大きさの粒子が1%含有されている。粗粒回収器39から抜き出したチャー中には10.0mm以上の粒子が100%回収されており、サイクロンホッパ26内のチャー中の塊状物を全部回収している。
【0029】
図17は、混合器31からチャー搬送装置38へ供給するガスの速度すなわちチャー流入管65を流れるガスの速度と、チャー流入管65に付着したチャーの剥離重量との関係を示したものである。チャー流入管に付着した粒子は、ガス速度を3m/s以上にすると剥離し始めることが分かった。したがって、ある粒径以上の塊状物を除去したい場合には、その終端速度を目安にチャー搬送装置38でのガス流速を設定すればよい。また、チャー循環系は、チャーが凝縮しないように200℃前後に保温している。よって、石炭ガス化炉18の圧力、チャー搬送ラインの内径および搬送気体量がわかれば、チャー搬送装置の容器の内径が決定する。
【0030】
図1の石炭ガス化システムでは、粗粒回収器39の下流に粗粒ロックホッパ62が設けられ、更にその下流に粗粒常圧ホッパ63が設けられている。チャー搬送装置38と粗粒回収器39の間に設置されているバルブ40は、チャー搬送ライン33が詰まって閉塞したときを除いて、常に開いておく。粗粒回収器39と粗粒ロックホッパ62の間のバルブ83も通常は開いておき、粗粒回収器39に設置されたロードセル50の重量値が所定値を示して粗粒チャーが充満したと判断したときに粗粒ロックホッパ62の圧力を粗粒回収器39と同圧にした後、バルブ83を開く。粗粒ロックホッパ62内が充満したらバルブ83を閉める。その後、粗粒ロックホッパ62の圧力調節弁46aで脱圧した後、粗粒ロックホッパ62の下部に設置しているバルブ85を開き、粗粒常圧ホッパ63に回収する。バルブ86の操作で粗粒常圧ロックホッパ63内が空になると、粗粒ロックホッパ62下部のバルブ85及び圧力調節弁46aを閉めた後、粗粒ロックホッパ加圧用窒素調節弁43bから粗粒ロックホッパ加圧用窒素ライン44aを介して不活性ガスを粗粒ロックホッパ62内に流通し、粗粒回収器39の圧力と同等になるように設定する。この操作を繰り返す。
【0031】
チャー搬送ライン33が閉塞から復帰するまでの間でも、チャーは石炭ガス化炉から生成する。そのため、その対処法として図1では混合器31と粗粒回収器39を結ぶチャー抜き出しライン64を設置している。チャー抜き出しライン64によりチャーを抜き出す手順は、バルブ64bを閉め、チャー搬送ライン33内及びチャー供給ホッパ29内を常圧にし、流量調節弁32aとバルブ40,83及び切り替えバルブ55cを閉じ、チャー抜き出しライン64に設置しているバルブ64aを開き、ロータリフィーダ30を起動させ、次いで、切り替えバルブ55cを開き、粗粒回収器39内に移送することによって行う。
【0032】
チャー循環系を制御する制御系には、石炭ガス化炉18と混合器31とチャー供給ホッパ29の各圧力の指示値、チャー供給ホッパ29と粗粒回収器39に敷設されているロードセル61,50から得られたデータを基に、差圧の適正値や供給量等を演算するデータ処理装置48が備えられている。また、データ処理装置48で求めた数値や信号に伴い、搬送用気体流量や粗粒回収器39の上下に設置しているバルブの開閉等を操作する制御装置49を備える。バルブの開閉操作は、制御装置49からの操作信号51,77,77a,78,79等を送信することによって行う。また、粗粒回収器39と粗粒ロックホッパ62の下部に温度計47,47aを設置し、この温度計47,47aの温度指示値を監視することにより、粗粒の回収状況を確認する。図18は粗粒回収器39に設置した温度計47aの指示値の変動を石炭ガス化炉の運転時間との関係で示したものである。粗粒回収器39内の温度はバルブ40とバルブ83の開閉操作と連動して変化する。図18中の(1)でバルブ40を閉め、(2)でバルブ83を開き、(3)でバルブ83を閉めた。この間で粗粒回収器内のチャーが外部に排出される。チャーの排出により粗粒回収器内の温度は数十℃低下した。(4)でバルブ40を開き、チャー搬送装置38にて回収した粗粒チャーを粗粒回収器に移送する定常運転に入ると温度は上昇し、ある温度で安定に推移した。(5)でバルブ40が閉められ、再び同様の工程が繰り返される。定常状態で温度が低下した場合には、何らかの原因でチャー搬送装置と粗粒回収器の間が閉塞し、粗粒チャーが落下しなくなったか、或いはチャー搬送装置に導入されるチャー中に粗粒が全くないことを示している。
【0033】
本実施例では、チャー回収ホッパ28、チャー供給ホッパ29及び混合器31の後にチャー搬送装置38を設けたものについて説明した。この構成は非常に好適であるが、これに限られるものではない。石炭ガス化炉の生成ガスから回収したチャーを気流搬送し、本発明のチャー搬送装置に直接流入させることでも、本発明の目的は達成できる。
【実施例2】
【0034】
チャー搬送装置の別の実施例を、図6〜9を用いて説明する。図6はチャー搬送装置の縦断面図であり、図7は図6のA−A矢視図、図8は図6のB−B矢視図、図9は図6のC−C矢視図である。本実施例が図2〜5に示すチャー搬送装置と異なる点は、容器90の下部に流路縮小部71を設け、それに続いて粗粒落下流通路69とほぼ同等の横断面積を有する落下流排出管72を設けて、そこにも補助気体吹き込み管74を設けたことである。補助気体吹き込み管74に流量調節弁73を設置して、所定流量の補助気体を流通させ、2段階にすることで、細粒と粗粒の分離効率を一層向上させることができる。落下流排出管72の流路の大きさは、粗粒落下流通路69の流路の大きさと必ずしも同等である必要はない。流路径が小さいほど、上昇気流の流速が速くなり、細粒が落下するのを抑制できる。
【0035】
なお、図6では、粗粒落下流通路69の下部に流路拡大部99が設けられている。流路拡大部を設けることにより、落下流の流速が減速し、上昇に転ずる粗粒の量を少なくすることができる。
【実施例3】
【0036】
チャー搬送装置の更に別の実施例を、図10〜14を用いて説明する。図10はチャー搬送装置の縦断面図であり、図11は図10のA−A矢視図、図12は図10のB−BB矢視図、図13は図10のC−C矢視図、図14は図10のD−D矢視図である。本実施例が実施例1および実施例2と異なる点は、容器内の側壁68を長くして、容器の下部まで届くようにし、補助気体吹き込み管を、粗粒落下方向の複数箇所に設置して細粒と粗粒との分離効率向上を図ったことである。図10では、粗粒落下流通路69の2箇所に補助気体吹き込み管を設けている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例による石炭ガス化システムの概略構成図である。
【図2】図1におけるチャー搬送装置の拡大図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図2のB−B矢視図である。
【図5】図2のC−C矢視図である。
【図6】チャー搬送装置の別の実施例を示す概略構成図である。
【図7】図6のA−A矢視図である。
【図8】図6のB−B矢視図である。
【図9】図6のC−C矢視図である。
【図10】更に別のチャー搬送装置を示した概略構成図である。
【図11】図10のA−A矢視図である。
【図12】図10のB−B矢視図である。
【図13】図10のC−C矢視図である。
【図14】図10のD−D矢視図である。
【図15】チャーの平均粒子径とチャーの終端速度との関係を示した図である。
【図16】チャー供給ホッパ内と粗粒回収器内のチャーの粒径分布を比較した図である。
【図17】チャー搬送装置入口のチャー流入管の壁に付着した粒子を剥離する時のガス速度をチャー剥離重量との関係で示した図である。
【図18】粗粒回収器に設置した温度計の指示値が石炭ガス化炉の運転時間に伴って変動する様子を示した図である。
【符号の説明】
【0038】
18…石炭ガス化炉、25…サイクロン、26…サイクロンホッパ、27…チャー、28…チャー回収ホッパ、29…チャー供給ホッパ、30…ロータリフィーダ、31…混合器、32…搬送気体、33…細粒チャー排出口、34…チャーバーナ、38…チャー搬送装置、39…粗粒回収器、65…チャー流入管、67…補助気体吹き込み管、68…側壁、69…粗粒落下流通路、70…傾斜板、71…流路縮小部、72…落下流排出管、74…補助気体吹き込み管、90…容器、93…粗粒チャー排出管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化炉の生成ガスから分離回収したチャーを石炭ガス化炉へ戻すのに使用されるチャー搬送装置に係り、特にチャーを粗粒と細粒に分離し細粒のチャーを搬送するようにしたチャー搬送装置に関する。又、本発明は、前記チャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化炉から排出される生成ガスには、一般に未燃カーボンを含むチャーが含まれている。このため、通常の石炭ガス化システムでは、生成ガスからチャーを回収して、石炭ガス化炉に戻すチャー循環系が備えられる。チャー循環系としては、サイクロンによりチャーを回収し、ロックホッパ方式を採用した機械的手段により所定量のチャーを搬送装置に移送し、搬送装置でチャーを気流搬送して石炭ガス化炉に供給する方式のものが知られている。ホッパ内に分級機を設けて、塊状のチャーを除去し、細粒のチャーを石炭ガス化炉に戻すことも行われている。また、サイクロンにより分離されたチャーを、気流を利用して粗粒と細粒に分離し、細粒を石炭ガス化炉に戻すことも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−81886号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックホッパ方式を採用し、更にホッパ内に篩い或いはメッシュ等の分級機を設置して塊状物を除去して細粒を搬送する方法は、塊状或いは球状以外の細長い形をしたチャーが篩いを素通りしてチャー搬送装置に移送されることが多く、粗粒の分離性能に問題がある。粗粒が容器内に移送されると、容器内で堆積して閉塞の原因となり、一定量のチャーを安定して搬送できなくなる。気流を利用して粗粒と細粒を分離し細粒を石炭ガス化炉に戻す方法は、細粒が粗粒とともに排出されることが多く、細粒の分離性能に問題がある。
【0005】
本発明の目的は、気流を利用して粗粒と細粒を分離し、細粒を搬送するようにしたチャー搬送装置及びこのチャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムにおいて、細粒と粗粒の分離性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャーの排出口を上部と下部に有する容器を備え、その内部に傾斜板を備え、容器の側面に気流搬送されたチャーが傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を備え、チャー流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備えたチャー搬送装置にある。本発明は、チャーを気流によって容器内に供給し、容器内を下方から上方に流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて容器上部に設けられた排出口から石炭ガス化炉に搬送し、粗粒を重力により落下させて容器下部に設けられた排出口から排出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチャー搬送装置は、細粒と粗粒の分離性能に優れており、細粒を効率よく搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のチャー搬送装置において、気流搬送されたチャーを容器内に流入させる方向は重要であり、横方向、特に水平方向から流入させることが望ましい。また、傾斜板の設置角度も重要であり、チャーを水平方向から流入させるときに、水平線に対して25〜45度の角度に傾斜板を設置することが望ましい。補助気体を吹き込む位置も重要である。補助気体の役割は容器内に上昇気流を作り、容器内に流入したチャーのうちで細粒を上昇気流に同伴させて容器上部に移送することにある。したがって、補助気体の吹き込み口はチャー流入口よりも下方に設置しなければならない。また、粗粒の落下通路を補助気体のガス流で塞いで、粗粒とともに細粒が下方に落下するのを防ぐことが望ましく、このために、補助気体は横方向から容器内に流入させることが望ましい。補助気体を横方向から容器内に流入させると、粗粒の落下通路を遮断するように補助搬送気体の膜すなわちカーテンができ、細粒の落下を抑制できる。
【0009】
容器内の傾斜板の下方には側壁を設けて、粗粒の落下通路を狭めることが望ましく、また、この流路が狭められたところに補助気体の吹き込み口を設けることが望ましい。更に流路が狭められた部分の後に、再び流路が拡大された部分を設けることが望ましく、流路が拡大された部分の後に再度、流路縮小部分を設けて、そこにも補助気体の吹き込み口を設けることが望ましい。これらによる作用効果は、後述する実施例の中で説明する。
【0010】
本発明の石炭ガス化システムは、以上述べた粗粒分離機能付きチャー搬送装置をチャー循環系に備えたものである。
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明のチャー搬送装置を備えた石炭ガス化システムの概略図を示している。本実施例の石炭ガス化システムは、石炭供給系とガス化炉及びチャー循環系から構成されている。
【0013】
まず、石炭供給系について説明する。石炭供給系には、石炭を粉砕する粉砕機1と、常圧ホッパ2と、ロックホッパ式の常圧−加圧ホッパ4と、石炭供給ホッパ5と、微粉炭3を搬送ガス8と混合する混合器7及び分配器10が備えられている。石炭供給系では、まず、粉砕機1で石炭を微粉炭3に粉砕する。粉砕された微粉炭は、バルブ37,37a,37b、37cを操作することで、順次に常圧ホッパ2、常圧−加圧ホッパ4および石炭供給ホッパ5へ供給される。石炭供給ホッパ5に供給された微粉炭3はロータリフィーダ6により排出され、エジェクタ等の混合器7に搬送される。混合器7に搬送された微粉炭は、窒素或いは二酸化炭素等の不活性のガスよりなる搬送ガス8により気流搬送され、搬送ライン9を通じて分配器10に送られる。そして、石炭ガス化炉18の石炭バーナ11へ供給される。
【0014】
微粉炭中には、一般に木屑等の異物が含まれており、この異物が混合器7或いは分配器10に堆積して、機器が閉塞するおそれがあるため、通常は、図示はしていないが常圧ホッパ2に分級機を設置して、ここで木屑等を除去する。また、石炭供給ホッパ5にロードセル53を設置して、このロードセルで微粉炭の重量を測定して上流側のバルブ37b及び下流側のバルブ37cの開閉操作を行うようにしている。
【0015】
次に、ガス化炉について説明する。石炭ガス化システムには、流動層方式を採用した加圧流動層石炭ガス化システム、噴流層方式を採用した噴流層石炭ガス化システム等があり、本発明はそのいずれにも適用できるが、本実施例では噴流層方式の石炭ガス化システムを示した。石炭バーナ11には、石炭供給系から送られてきた微粉炭と、石炭ガス化剤供給ライン14から送られてきた酸素等のガス化剤とが供給される。石炭ガス化炉18のガス化反応部20では、気流中で微粉炭とガス化剤とが接触して石炭がガス化し、水素及び一酸化炭素に富む可燃性のガスが生成する。生成ガスはガス化炉出口ライン22を通って炉外へ排出される。石炭ガス化炉内のガスの温度は1600℃以上の高温であるため、微粉炭中の灰分は溶融してスラグすなわち溶融灰になる。スラグは、石炭ガス化炉18に設けられたスラグタップを通り抜けて水充填部19に落下し冷却固化される。冷却固化したスラグ23は、定期的にスラグ回収器16に回収され、廃棄処分される。
【0016】
次に、チャー循環系について説明する。チャー循環系には、サイクロン25と、サイクロンホッパ26と、ロックホッパ式のチャー回収ホッパ28と、チャー供給ホッパ29と、ロータリフィーダ30と、チャーを搬送気体32と混合する混合器31及び本発明のチャー搬送装置38が備えられている。
【0017】
石炭ガス化炉18から排出された生成ガスは、サイクロン25にてチャー27が分離される。チャーが分離された生成ガスは生成ガスライン36を通ってガス精製装置35へ送られる。サイクロン25によって回収されたチャー27は、連結管59を通してサイクロンホッパ26及びチャー回収ホッパ28へと送られる。チャー回収ホッパ28内のチャー27の量が増加したならば切り替えバルブ55aを閉じ、チャー回収ホッパ28の圧力をチャー供給ホッパ29の圧力と同等か或いはそれよりも若干高くする。次いで、チャー回収ホッパ28の出口側の切り替えバルブ55bを開き、チャー供給ホッパ29内へチャー27を移送する。チャー供給ホッパ29へのチャーの移送が完了したならば、切り替えバルブ55bを閉じて、チャー回収ホッパ28の圧力を石炭ガス化炉18の圧力と同圧にする。そして、チャー回収ホッパ28の入口側の切り替えバルブ55aを開き、定常運転に入る。この加圧と減圧操作が所定時間間隔で繰り返される。なお、チャー循環系は、チャー27の温度が450℃前後であるため、通常、チャー27が凝縮しないように200℃前後に保温される。
【0018】
サイクロン25で回収されたチャー27は、平均粒径が10μm前後と小さく、真比重はおよそ2300kg/m3であり非常に軽い。しかも、付着性の強い粉末固体である。しかも、チャー27には、ガス化条件によって異なるが、20mm以上の塊状物あるいはガス化炉熱回収部21の壁に付着してできた板状物の剥離したものが含まれている。板状物はチャーの粉体が固化してできたものである。このような粗大粉体は、ロータリフィーダ30及び混合器31の内部に堆積し、閉塞等を起こす原因になる。そこで、通常はチャー回収ホッパ28に、図示していないが分級機を設置し、粗大塊状物を除去している。なお、切り替えバルブ55a〜55cはチャー循環系の各ホッパ間を連結する連結管59に備えられる。また、チャー供給ホッパ29には、一般に重量測定用のロードセル61が備えられる。チャー供給ホッパ29に貯留された高温のチャー27は、ロータリフィーダ30により定量的に排出され、混合器31に導入される。混合器31では、不活性ガス又はガス化炉生成ガス等のガスを搬送気体32に用いてチャーを気流搬送し、本発明のチャー搬送装置38へ移送する。
【0019】
チャー搬送装置38では、チャー中に含まれている粗大な粒子を分離し細粒のチャーを、チャー搬送ライン33を通じてチャーバーナ34へ送り、石炭ガス化炉18へ戻す。チャーをガス化するための酸素15は、チャーバーナ34から供給する。
【0020】
このチャー循環系において、本発明のチャー搬送装置を設けない場合には、チャー回収ホッパ28に設置されている分級機を通り抜けた、主として細長い板状をした粗大なチャーが混合器31に流入し堆積する恐れがある。しかし、本発明のチャー搬送装置を設けたことで、混合器31の排出口の径を大きくすることができるので、粗大なチャーが流入しても閉塞を起こすことなく排出することができる。本発明のチャー搬送装置は、粗粒と細粒の分離性能が優れているので、細粒のチャーを安定して石炭ガス化炉に循環することができる。
【0021】
次に、本発明のチャー搬送装置について説明する。図2〜5は本発明によるチャー搬送装置の一実施例を示したものであり、図2は全体構造を示した縦断面図、図3は図2のA−A矢視図、図4は図2のB−B矢視図、図5は図2のC−C矢視図である。図2には、チャー27を搬送気体32と混合する混合器31と、チャー搬送装置38から排出された粗粒を回収する粗粒回収器39を含めて図示した。
【0022】
チャー搬送装置38は、円筒形の容器90の上部に細粒チャー排出口33を有し、下部に粗粒チャー排出口93を有する。粗粒チャー排出口93にはバルブ40が設けられている。容器90の内部には傾斜板70が設けられている。また、傾斜板70に連続して、その下方に側壁68が設けられている。容器90の側面と側壁68によって粗粒落下流通路69が形成される。この粗粒落下流通路69は図4に示すように断面が半円形の形をしている。細粒チャー排出口33は粗粒落下流通路69の鉛直方向上方に設けられている。これにより、細粒が上昇流に同伴して搬送されやすくなる。傾斜板70の近傍の容器壁には、混合器31から気流搬送されたチャーを流入させるチャー流入管65の流入口が設けられている。チャーは容器内に横方向から流入し、傾斜板70に衝突する。容器壁のチャー流入管が設けられている位置よりも下方には、補助気体吹き込み管67が設けられている。この補助気体吹き込み管は、本実施例では図4に示すように、容器の円周方向の3箇所に設置されている。
【0023】
チャー搬送装置38には、補助気体吹き込み管67から吹き込まれた気体による上昇流が形成されている。チャー流入管65から容器内に流入したチャーは傾斜板に衝突して流速が弱まり、細かい粒子は容器内に形成されている上昇流に同伴して、上方に設けられた細粒チャー排出口33に向かって搬送される。粗粒チャー81は上昇気流には同伴されずに重力により下方に落下する。
【0024】
容器90内にチャーを搬送する搬送気体32の量は流量調節弁32aによって調節し、これにより容器90の傾斜板70が設置されている付近でのガス流の速度を設定し、チャー流入口の近傍で粒子の滞留が生じないようにする。
【0025】
粗粒と細粒の分離性能を高めるためには、チャーを横方向、特に水平方向から容器90内に流入させることが重要であり、また、傾斜板の角度が重要である。傾斜板の角度を、水平方向から容器内にチャーが流入するように設けられたチャー流入管65の中心軸線に対して25〜35度、特に30〜40度にして強制的に傾斜板に衝突させることにより、チャーの固着を防止できると共に、細粒と粗粒を効率よく分離できることが分かった。
【0026】
傾斜板70に衝突したチャーのうち、大部分の細粒は容器上部の細粒チャー排出口33から排出されるが、まだ、かなりの量の細粒は、粗粒落下流通路69を通って下方に流れる。そこで、流量調節弁67aによって流量が調節された補助気体を容器内に横方向から吹き込むようにし、補助気体によるガスカーテンを作って細粒の落下を阻止する。補助気体を、側壁68と容器側面とによって作られた狭い流路部分から吹き込むことで、少ない流量でガスカーテンを形成することができ、容器の磨耗等に与える影響を減らすことができる。粗粒落下流通路69の大きさは、粗粒を落下させることができる範囲内で、でき得る限り狭い方がよく、具体的には粗粒の大きさの1.2倍までに抑えることが望ましい。
【0027】
図15はチャーの終端速度とチャーの平均粒径との関係を示したものである。横軸にチャーの平均粒径を示し、縦軸にチャーの終端速度を示した。図15から、分離、除去する粒子径が大きくなる程、チャーの終端速度は大きくなることがわかる。例えば10mm以上の大きさの粗粒を分離回収するには、終端速度を3.0m/s以上に設定する必要のあることがわかる。石炭ガス化炉に供給するチャーの粒径を10.0mmとするときには、チャー搬送装置の容器90内のガス速度を3.0m/sとすればよく、これにより10.0mm以上の粗大な粒子は容器内を下方に落下する。チャー粒子の分級及び搬送が良好に行われているか否かの判断は、混合器31の圧力計42と粗粒回収器39の圧力計45による差圧レベル、及びチャー搬送ライン33の圧力計82の圧力レベルによって行うことができる。
【0028】
図16は、チャー搬送装置38の上流側に設置されているサイクロンホッパ26内のチャー27の粒子径とチャー搬送装置38の下流側に設置されている粗粒回収器39から抜き出したチャーの粒子径とチャーの累積重量比率との関係を示した実験結果である。横軸にはチャーの粒子径を示し、縦軸にはチャーの累積重量頻度を示した。累積重量頻度の50%が平均粒径を表す。実験に用いたサイクロンホッパ26内のチャーには、10mm以上の大きさの粒子が1%含有されている。粗粒回収器39から抜き出したチャー中には10.0mm以上の粒子が100%回収されており、サイクロンホッパ26内のチャー中の塊状物を全部回収している。
【0029】
図17は、混合器31からチャー搬送装置38へ供給するガスの速度すなわちチャー流入管65を流れるガスの速度と、チャー流入管65に付着したチャーの剥離重量との関係を示したものである。チャー流入管に付着した粒子は、ガス速度を3m/s以上にすると剥離し始めることが分かった。したがって、ある粒径以上の塊状物を除去したい場合には、その終端速度を目安にチャー搬送装置38でのガス流速を設定すればよい。また、チャー循環系は、チャーが凝縮しないように200℃前後に保温している。よって、石炭ガス化炉18の圧力、チャー搬送ラインの内径および搬送気体量がわかれば、チャー搬送装置の容器の内径が決定する。
【0030】
図1の石炭ガス化システムでは、粗粒回収器39の下流に粗粒ロックホッパ62が設けられ、更にその下流に粗粒常圧ホッパ63が設けられている。チャー搬送装置38と粗粒回収器39の間に設置されているバルブ40は、チャー搬送ライン33が詰まって閉塞したときを除いて、常に開いておく。粗粒回収器39と粗粒ロックホッパ62の間のバルブ83も通常は開いておき、粗粒回収器39に設置されたロードセル50の重量値が所定値を示して粗粒チャーが充満したと判断したときに粗粒ロックホッパ62の圧力を粗粒回収器39と同圧にした後、バルブ83を開く。粗粒ロックホッパ62内が充満したらバルブ83を閉める。その後、粗粒ロックホッパ62の圧力調節弁46aで脱圧した後、粗粒ロックホッパ62の下部に設置しているバルブ85を開き、粗粒常圧ホッパ63に回収する。バルブ86の操作で粗粒常圧ロックホッパ63内が空になると、粗粒ロックホッパ62下部のバルブ85及び圧力調節弁46aを閉めた後、粗粒ロックホッパ加圧用窒素調節弁43bから粗粒ロックホッパ加圧用窒素ライン44aを介して不活性ガスを粗粒ロックホッパ62内に流通し、粗粒回収器39の圧力と同等になるように設定する。この操作を繰り返す。
【0031】
チャー搬送ライン33が閉塞から復帰するまでの間でも、チャーは石炭ガス化炉から生成する。そのため、その対処法として図1では混合器31と粗粒回収器39を結ぶチャー抜き出しライン64を設置している。チャー抜き出しライン64によりチャーを抜き出す手順は、バルブ64bを閉め、チャー搬送ライン33内及びチャー供給ホッパ29内を常圧にし、流量調節弁32aとバルブ40,83及び切り替えバルブ55cを閉じ、チャー抜き出しライン64に設置しているバルブ64aを開き、ロータリフィーダ30を起動させ、次いで、切り替えバルブ55cを開き、粗粒回収器39内に移送することによって行う。
【0032】
チャー循環系を制御する制御系には、石炭ガス化炉18と混合器31とチャー供給ホッパ29の各圧力の指示値、チャー供給ホッパ29と粗粒回収器39に敷設されているロードセル61,50から得られたデータを基に、差圧の適正値や供給量等を演算するデータ処理装置48が備えられている。また、データ処理装置48で求めた数値や信号に伴い、搬送用気体流量や粗粒回収器39の上下に設置しているバルブの開閉等を操作する制御装置49を備える。バルブの開閉操作は、制御装置49からの操作信号51,77,77a,78,79等を送信することによって行う。また、粗粒回収器39と粗粒ロックホッパ62の下部に温度計47,47aを設置し、この温度計47,47aの温度指示値を監視することにより、粗粒の回収状況を確認する。図18は粗粒回収器39に設置した温度計47aの指示値の変動を石炭ガス化炉の運転時間との関係で示したものである。粗粒回収器39内の温度はバルブ40とバルブ83の開閉操作と連動して変化する。図18中の(1)でバルブ40を閉め、(2)でバルブ83を開き、(3)でバルブ83を閉めた。この間で粗粒回収器内のチャーが外部に排出される。チャーの排出により粗粒回収器内の温度は数十℃低下した。(4)でバルブ40を開き、チャー搬送装置38にて回収した粗粒チャーを粗粒回収器に移送する定常運転に入ると温度は上昇し、ある温度で安定に推移した。(5)でバルブ40が閉められ、再び同様の工程が繰り返される。定常状態で温度が低下した場合には、何らかの原因でチャー搬送装置と粗粒回収器の間が閉塞し、粗粒チャーが落下しなくなったか、或いはチャー搬送装置に導入されるチャー中に粗粒が全くないことを示している。
【0033】
本実施例では、チャー回収ホッパ28、チャー供給ホッパ29及び混合器31の後にチャー搬送装置38を設けたものについて説明した。この構成は非常に好適であるが、これに限られるものではない。石炭ガス化炉の生成ガスから回収したチャーを気流搬送し、本発明のチャー搬送装置に直接流入させることでも、本発明の目的は達成できる。
【実施例2】
【0034】
チャー搬送装置の別の実施例を、図6〜9を用いて説明する。図6はチャー搬送装置の縦断面図であり、図7は図6のA−A矢視図、図8は図6のB−B矢視図、図9は図6のC−C矢視図である。本実施例が図2〜5に示すチャー搬送装置と異なる点は、容器90の下部に流路縮小部71を設け、それに続いて粗粒落下流通路69とほぼ同等の横断面積を有する落下流排出管72を設けて、そこにも補助気体吹き込み管74を設けたことである。補助気体吹き込み管74に流量調節弁73を設置して、所定流量の補助気体を流通させ、2段階にすることで、細粒と粗粒の分離効率を一層向上させることができる。落下流排出管72の流路の大きさは、粗粒落下流通路69の流路の大きさと必ずしも同等である必要はない。流路径が小さいほど、上昇気流の流速が速くなり、細粒が落下するのを抑制できる。
【0035】
なお、図6では、粗粒落下流通路69の下部に流路拡大部99が設けられている。流路拡大部を設けることにより、落下流の流速が減速し、上昇に転ずる粗粒の量を少なくすることができる。
【実施例3】
【0036】
チャー搬送装置の更に別の実施例を、図10〜14を用いて説明する。図10はチャー搬送装置の縦断面図であり、図11は図10のA−A矢視図、図12は図10のB−BB矢視図、図13は図10のC−C矢視図、図14は図10のD−D矢視図である。本実施例が実施例1および実施例2と異なる点は、容器内の側壁68を長くして、容器の下部まで届くようにし、補助気体吹き込み管を、粗粒落下方向の複数箇所に設置して細粒と粗粒との分離効率向上を図ったことである。図10では、粗粒落下流通路69の2箇所に補助気体吹き込み管を設けている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例による石炭ガス化システムの概略構成図である。
【図2】図1におけるチャー搬送装置の拡大図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図2のB−B矢視図である。
【図5】図2のC−C矢視図である。
【図6】チャー搬送装置の別の実施例を示す概略構成図である。
【図7】図6のA−A矢視図である。
【図8】図6のB−B矢視図である。
【図9】図6のC−C矢視図である。
【図10】更に別のチャー搬送装置を示した概略構成図である。
【図11】図10のA−A矢視図である。
【図12】図10のB−B矢視図である。
【図13】図10のC−C矢視図である。
【図14】図10のD−D矢視図である。
【図15】チャーの平均粒子径とチャーの終端速度との関係を示した図である。
【図16】チャー供給ホッパ内と粗粒回収器内のチャーの粒径分布を比較した図である。
【図17】チャー搬送装置入口のチャー流入管の壁に付着した粒子を剥離する時のガス速度をチャー剥離重量との関係で示した図である。
【図18】粗粒回収器に設置した温度計の指示値が石炭ガス化炉の運転時間に伴って変動する様子を示した図である。
【符号の説明】
【0038】
18…石炭ガス化炉、25…サイクロン、26…サイクロンホッパ、27…チャー、28…チャー回収ホッパ、29…チャー供給ホッパ、30…ロータリフィーダ、31…混合器、32…搬送気体、33…細粒チャー排出口、34…チャーバーナ、38…チャー搬送装置、39…粗粒回収器、65…チャー流入管、67…補助気体吹き込み管、68…側壁、69…粗粒落下流通路、70…傾斜板、71…流路縮小部、72…落下流排出管、74…補助気体吹き込み管、90…容器、93…粗粒チャー排出管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器内に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記気流搬送されたチャーの流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送し、粗粒を重力により落下させて前記容器の下部に設けられた排出口から排出するようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記気流搬送されたチャーが前記容器の内部に横方向から流入するように前記流入口を設けたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項3】
請求項1において、前記気流搬送されたチャーが前記容器の内部に水平方向から流入するように前記流入口を設け、その流入口の軸線に対し25〜45度の角度で前記傾斜板を設置したことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項4】
請求項1において、前記補助気体が容器内に横方向から流入するように前記容器の側面に補助気体の吹き込み口を設けたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項5】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を備え、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項6】
請求項5において、前記側壁と前記容器側面とによって作られる流路の幅が、チャーの最大粒子よりも大きく、最大粒子の大きさの1.2倍以下であることを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項7】
請求項5において、前記側壁と前記容器側面とによって作られる流路の鉛直方向上部に細粒の排出口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項8】
請求項5において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように前記容器側面に気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項9】
請求項5において、前記補助気体が横方向から前記容器内に流入するように前記容器側面に補助気体の吹き込み口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項10】
請求項5において、前記補助気体の吹き込み口を容器側面の複数箇所に有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項11】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を設け、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を設け、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を設け、前記側壁の下方に流路が拡大された部分を設け、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項12】
請求項11において、前記側壁と容器側面とによって作られる流路の鉛直方向上部に細粒の排出口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項13】
請求項11において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように、気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項14】
請求項11において、前記補助気体が横方向から前記容器内に流入するように補助気体の吹き込み口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項15】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を備え、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記側壁の下方に流路が拡大された部分を備え、前記流路が拡大された部分の下方に再び流路が縮小された部分を備え、その再び流路が縮小された部分に更に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項16】
請求項15において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように、気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項17】
石炭ガス化炉で微粉炭をガス化剤によりガス化し、前記石炭ガス化炉で生成した生成ガスからチャーを分離回収して前記石炭ガス化炉に戻すようにした石炭ガス化システムにおいて、前記生成ガスから分離回収したチャーを気流搬送して前記石炭ガス化炉に戻すチャー循環系統を備え、そのチャー循環系統に粗粒分離機能付きのチャー搬送装置を備え、前記チャー搬送装置は、上部と下部にチャーの排出口を有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の側面に気流搬送されたチャーが横方向から流入して前記傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を備え、前記チャーの流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備えた構造とし、前記容器内を流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて前記容器の上部に設けられた排出口から排出して前記石炭ガス化炉に搬送し、粗粒を重力により落下させて前記容器の下部に設けられた排出口から排出するようにしたことを特徴とする石炭ガス化システム。
【請求項1】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器内に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記気流搬送されたチャーの流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送し、粗粒を重力により落下させて前記容器の下部に設けられた排出口から排出するようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記気流搬送されたチャーが前記容器の内部に横方向から流入するように前記流入口を設けたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項3】
請求項1において、前記気流搬送されたチャーが前記容器の内部に水平方向から流入するように前記流入口を設け、その流入口の軸線に対し25〜45度の角度で前記傾斜板を設置したことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項4】
請求項1において、前記補助気体が容器内に横方向から流入するように前記容器の側面に補助気体の吹き込み口を設けたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項5】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を備え、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項6】
請求項5において、前記側壁と前記容器側面とによって作られる流路の幅が、チャーの最大粒子よりも大きく、最大粒子の大きさの1.2倍以下であることを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項7】
請求項5において、前記側壁と前記容器側面とによって作られる流路の鉛直方向上部に細粒の排出口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項8】
請求項5において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように前記容器側面に気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項9】
請求項5において、前記補助気体が横方向から前記容器内に流入するように前記容器側面に補助気体の吹き込み口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項10】
請求項5において、前記補助気体の吹き込み口を容器側面の複数箇所に有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項11】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を設け、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を設け、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を設け、前記側壁の下方に流路が拡大された部分を設け、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項12】
請求項11において、前記側壁と容器側面とによって作られる流路の鉛直方向上部に細粒の排出口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項13】
請求項11において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように、気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項14】
請求項11において、前記補助気体が横方向から前記容器内に流入するように補助気体の吹き込み口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項15】
気流を利用してチャーを粗粒と細粒に分離し細粒を気流に同伴させて搬送するようにしたチャー搬送装置であって、チャーの排出口を上部と下部に有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の内部に流入したチャーが前記傾斜板に衝突するように前記容器の側面に気流搬送されたチャーの流入口を備え、前記傾斜板の下方に容器内の流路を狭める側壁を備え、前記側壁が設けられている部分の容器側面に補助気体の吹き込み口を備え、前記側壁の下方に流路が拡大された部分を備え、前記流路が拡大された部分の下方に再び流路が縮小された部分を備え、その再び流路が縮小された部分に更に補助気体の吹き込み口を備え、前記容器内を流れる気流によって分離された細粒が気流に同伴されて前記容器の上部に設けられた排出口から搬送され、粗粒が重力により落下して前記容器の下部に設けられた排出口から排出されるようにしたことを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項16】
請求項15において、前記気流搬送されたチャーが横方向から前記容器内に流入するように、気流搬送されたチャーの流入口を有することを特徴とする粗粒分離機能付きチャー搬送装置。
【請求項17】
石炭ガス化炉で微粉炭をガス化剤によりガス化し、前記石炭ガス化炉で生成した生成ガスからチャーを分離回収して前記石炭ガス化炉に戻すようにした石炭ガス化システムにおいて、前記生成ガスから分離回収したチャーを気流搬送して前記石炭ガス化炉に戻すチャー循環系統を備え、そのチャー循環系統に粗粒分離機能付きのチャー搬送装置を備え、前記チャー搬送装置は、上部と下部にチャーの排出口を有する容器の内部に傾斜板を備え、前記容器の側面に気流搬送されたチャーが横方向から流入して前記傾斜板に衝突するようにチャーの流入口を備え、前記チャーの流入口よりも下方の容器側面に補助気体の吹き込み口を備えた構造とし、前記容器内を流れる気流によって細粒と粗粒を分離し、細粒を気流に同伴させて前記容器の上部に設けられた排出口から排出して前記石炭ガス化炉に搬送し、粗粒を重力により落下させて前記容器の下部に設けられた排出口から排出するようにしたことを特徴とする石炭ガス化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−56100(P2007−56100A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241296(P2005−241296)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】
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