説明

粘着剤、粘着シートおよびディスプレイ

【課題】本発明は、塗工性、透明性、耐発泡・剥がれ性に優れ、なおかつ耐腐食性能、粘
着性能に優れさらに回路などの段差を埋め込む性能にも優れた粘着剤の提供を目的とする
【解決手段】共重合体(X)と、ポリイソシアネート系硬化剤(Y)とを含む透明導電膜用粘着剤であって、前記共重合体(X)が、少なくとも、カルボキシル基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を含有する単量体(A)0.1〜10重量%と、アミノ基を含有する単量体(B)0.1〜10重量%と、アミド結合を含有する単量体(C)1〜50重量%とを含む単量体を共重合してなることを特徴とする透明導電膜用粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電膜を備えたディスプレイに好適に用いることができる透明導電膜用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズ
マディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディス
プレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD
)が、表示装置として広く使用されようになってきた。このような表示装置には、通常、
外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のた
めの保護フィルム(プロテクトフィルム)など、用途に応じて様々なフィルムが使用され
ており、例えば、LCDを構成する液晶セル用部材においては、偏光フィルムや位相差フ
ィルムが積層されている。また、FPDは、表示装置として利用するだけではなく、その
表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。タッチパネ
ルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されてい
る。このようなフィルムは、粘着剤(感圧式接着剤)を介して被着体に貼着して積層させ
ることにより表示装置に使用されている。これらの用途において、粘着剤には、粘着性、
透明性に加え、高温環境や高温高湿環境下等で発泡や剥がれおよび白化を生じない性質(耐発泡・剥がれ性、耐湿熱白化性)、金属薄膜(金属酸化物薄膜を含む)を腐食させない性質(耐腐食性)などの優れた信頼性が求められる。
【0003】
従来これに対して、高温・高湿環境下での耐発泡・剥がれ性を改良する手法としては、
ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)の高いモノマー(高Tgモノマー)やカルボキシ
ル基などの官能基を含有するモノマーを共重合する手法や、高Tgのオリゴマー(低分子
量ポリマー)を添加するなどの手法が知られている。また、耐腐食性能を付与するために
カルボキシル基以外の架橋可能な官能性アクリレートおよびアルコキシアルキルアクリレ
ートを共重合する手法が知られている。
【0004】
例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、これにカルボ
キシル基含有モノマーを共重合させて得られる粘着性ポリマー100重量部と、メタクリ
ル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸ベンジルま
たはスチレンから選ばれる1種または2種以上のモノマーを主成分とし、これにアミノ基
又はアミド基含有モノマーを共重合させて得られる低分子量ポリマー5〜40重量部及び
架橋剤0.001〜2.0重量部を含有する粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シートが
知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、カルボキシル基含有モノマーを構成成分とし、かつ実質的に水酸基含有モノマー
が含まれないアクリル系共重合体と、ベンゾトリアゾールやその誘導体とを特定重量比で混合してなる粘着剤組成物と、 前記アクリル系共重合体中のカルボキシル基Xと反応し得る官能基Zを有するエポキシ架橋剤とを、特定重量比で配合して架橋して得られる粘着剤を用いた金属貼着用粘着シートが知られている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、アルコキシアルキルアクリレート(成分A)及び架橋可能な官能基を有するア
クリル系モノマー(成分B)を必須の単量体成分として構成される重量平均分子量40万
〜160万のアクリル系ポリマーおよび架橋剤を含む粘着剤組成物であって、アクリル系
ポリマーを構成する全モノマー成分100重量部に対する成分Aの含有量が45〜99.
5重量部、成分Bの含有量が0.5〜4.5重量部であり、アクリル系ポリマーを構成す
るモノマー成分中にカルボキシル基含有モノマーを実質的に含まない粘着剤組成物が知ら
れている(特許文献3参照)。
【0007】
しかし、Tgを高くした粘着剤では、回路などの段差を埋め込む性能が劣るという問題
を有していた。またカルボキシル基含有モノマーを必須としている粘着剤では、透明導電膜、特に金属薄膜(金属酸化物薄膜を含む)に貼付した際の耐腐食性が不十分である等の問題を有していた。カルボキシル基以外の架橋可能な官能性アクリレートおよびアルコキシアルキルアクリレートを共重合した粘着剤では、湿熱白化が十分抑えられないという問題を有していた。すなわち、塗工性、透明性、耐発泡・剥がれ性に優れ、なおかつ耐腐食性能、粘着性能に優れさらに回路などの段差を埋め込む性能にも優れた粘着剤が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−327160号公報
【特許文献2】特開2006−45315号公報
【特許文献3】特開2009−79203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塗工性、透明性、耐発泡・剥がれ性に優れ、なおかつ耐腐食性能、粘着性能に優れさらに回路などの段差を埋め込む性能にも優れた透明導電膜用粘着剤を提供することを目的とする。さらに、透明導電膜用粘着剤を用いた粘着シートおよびタッチパネル等のディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルボキシル基含有単量体を用いずに、少なくとも、イソシアネート基との反応可能な官能基を有する単量体と、アミノ基を含有する単量体と、アミド結合を含有する単量体とを共重合した共重合体と、
ポリイソシアネート系硬化剤とを含む粘着剤により上記課題を解決するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、共重合体(X)と、ポリイソシアネート系硬化剤(Y)とを含む透明導電膜用粘着剤であって、
前記共重合体(X)が、少なくとも、カルボキシル基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を含有する単量体(A)0.1〜10重量%と、アミノ基を含有する単量体(B)0.1〜10重量%と、アミド結合を含有する単量体(C)1〜50重量%とを含む単量体を共重合してなることを特徴とする透明導電膜用粘着剤に関する。
【0012】
また、前記ポリイソシアネート系硬化剤(Y)は、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなる群より選択される1種以上の化合物、またはこれらの化合物の変性体であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の透明導電膜用粘着剤は、基材等へ塗工して粘着剤層を有する粘着シートとして使用することが好ましい。
【0014】
また、前記粘着シートはディスプレイに使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の粘着剤は、塗工性、透明性、耐発泡・剥がれ性、耐湿熱白化性、段差埋め込み
性に優れ、また適度な粘着力を有している。そのため、これらの特性を備えた粘着シート
を提供でき、ディスプレイなどの光学部材の接着に好適に用いることができる。また、透明導電膜、特に金属薄膜(金属酸化物薄膜を含む)に貼付した際の耐腐食性に優れることから、ITO(インジウム・スズ)フィルムなどの金属薄膜フィルムに回路形成された部分にも直接貼付できる。また、段差を埋め込む性能に優れるため、タッチパネルなどの回路の段差や加飾による段差のある部材の接着にも用いることができる。
【0016】
なお、本発明において耐湿熱白化性とは、加熱加湿後に粘着シートの粘着剤層が白く変色し難いことである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明を実施するための形態を挙げてさらに詳しく説明する。
【0018】
本発明の透明導電膜用粘着剤は、少なくとも、カルボキシル基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を含有する単量体(A)[以下、単に単量体(A)と記述することがある]0.1〜10重量%と、アミノ基を含有する単量体(B)[以下、単に単量体(B)と記述することがある]0.1〜10重量%と、アミド結合を含有する単量体(C)[以下、単に単量体(C)と記述することがある]1〜50重量%とを含む単量体を共重合してなる共重合体(X)と、ポリイソシアネート系硬化剤(Y)とを含むことが重要である。
【0019】
なお、本発明において単量体(A)は、単量体(B)および単量体(C)以外の単量体である。また、単量体(B)は、単量体(A)および単量体(C)以外の単量体である。また、単量体(C)は、単量体(A)および単量体(A)以外の単量体である。
【0020】
本発明において共重合体(X)は、単量体を溶液重合、乳化重合、懸濁重合、または塊状重合等で共重合できるが、透明性や粘着性の観点から溶液重合が好ましい。また、共重合体(X)の重量平均分子量は、粘着性能のバランスの観点から20万〜150万が好ましい。また、共重合体(X)のガラス転移温度は、タックと凝集力の観点から−40〜30℃が好ましい。
【0021】
一般的にタッチパネル等のディスプレイには、透明導電膜の周辺部に銀ペースト等で形成した数十μmの段差の導電回路を有する場合が多い。そして、本発明の透明導電膜用粘着剤を用いた粘着テープをその導電回路に貼り付けた場合、共重合体(X)とポリイソシアネート系硬化剤(Y)との組み合わせの効果により、段差の角等に気泡が残存しない優れた段差埋め込み性を実現できる。ここで、透明導電膜とはITO(インジウム・スズ)フィルムなどの金属薄膜フィルム、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子薄膜などが挙げられる。なお、本発明において段差埋め込み性は、40℃〜50℃程度の低温熱ラミネートでの段差埋め込み性を意味するものであり、プリント配線板の技術分野で実施されている、ドライフィルム状の接着シートを80℃〜200℃程度で配線回路上へラミネートすることで段差を埋め込む、高温熱ラミネートとは区別すべきものである。
【0022】
本発明において単量体に、アミド結合を含有する単量体(C)を用いることが重要である。単量体(C)は、分子内にアミド結合を有するため水分に対する親和性が高い。そのため単量体(C)を用いた共重合体(X)は、水分に対する親和性が高い。そして、共重合体(X)を含む粘着剤は、粘着テープの粘着剤層として用いることが好ましい。次に、その粘着シートをガラスへ貼り付けた後、高温高湿環境下へ放置した場合、一般的に水分が粘着剤層に浸入する傾向にある。しかし当該粘着剤層は、水分に対する親和性の高いアミド基を有する共重合体(X)を含むため、水分と共重合体(X)の親和性が良好である。そのため、透明な粘着剤層は白色に変化せずに透明を維持することができる。本願では粘着剤層へあえて水分を浸入させているということができる。一方、単量体(C)を用いない共重合体を含む粘着剤層は、水分に対する親和性が劣るため、粘着テープをガラスへ貼り付けた後に高温高湿環境下へ放置したとき、粘着剤層へ浸入した水分は共重合体と親和せず、微粒子状になることで透明な粘着剤層が、白色に変化すると考えられる。
【0023】
本発明において単量体(C)を用いた共重合体を含む粘着テープは、アミド結合の存在により、高温高湿環境下においても、粘着力の低下が少なく、粘着剤層に気泡の発生が少なく、粘着テープが被着体から浮きや剥離が発生しにくい特徴を有する(以下、耐湿熱性ということがある)。
【0024】
アミド結合を含有する単量体(C)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。単量体(C)は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0025】
単量体(C)は、全単量体100重量%中、1〜50重量%であることが重要であり、10〜40重量%が好ましい。単量体(C)が1重量%に満たない場合、高温高湿環境下へ放置したとき、粘着剤層は白色に変色しやすい傾向にある。また、単量体(C)が50重量%を超えると粘着力の低下が大きく、粘着テープが被着体から浮きや剥がれが発生しやすい傾向にある。
【0026】
本発明において単量体(A)は、カルボキシル基以外の、イソシアネート基との反応可能な官能基を有する単量体であることが重要である。共重合体(X)がカルボキシル基を有すると、共重合体(X)含む粘着剤を粘着テープに用いた場合、その粘着テープを透明導電膜に貼り付けたときに透明導電膜が腐食する恐れがある。そのため、単量体(A)の官能基は、たとえば、ヌクレンイミド基、ヒドロキシル基などが好ましい。
【0027】
ヌクレンイミド基を含有する単量体としては、例えばN−(メタ)アクリロイルオキシメチレンヌクレンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンヌクレンイミ、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンヌクレンイミド等が挙げられる。
【0028】
ヒドロキシル基を含有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ビニルアルコール、アリルアルコールなどが挙げられる。
【0029】
単量体(A)は、全単量体100重量%中、0.1〜10重量%であることが重要である。そして、0.3〜4重量%がより好ましく、0.5〜2重量%がさらに好ましい。単量体(A)が0.1重量%に満たない場合、ポリイソシアネート系硬化剤(Y)との間の架橋反応が不十分となり、高温高湿環境下へ放置したとき、粘着剤層に気泡が発生や、粘着剤層の凝集力不足による粘着テープの浮きや剥がれが生じやすい傾向にある。一方、10重量%を超えると架橋反応が過剰になることで粘着力が不足し、粘着テープが被着体から浮きや剥がれが生じやすい傾向にある。単量体(A)は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
本発明において単量体に、アミノ基を含有する単量体(B)を用いることが重要である。共重合体(X)がアミノ基を有することで、当該共重合体を含む粘着剤を粘着テープに用いた場合、その粘着テープをポリカーボネートに貼り付けたときに、ポリカーボネートから発生する気泡(いわゆるアウトガス)を抑制することができる。なお、本発明のように共重合体(X)にアミノ基が組み込まれている以外に、粘着剤にアミノ基を含有する化合物を別途添加した場合、臭気の問題や前記アウトガス抑制効果が得にくい問題がある。
【0031】
アミノ基を含有する単量体(B)としては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
単量体(B)は全単量体100重量%中、0.1〜10重量%であることが重要である。そして、0.2〜5重量%がより好ましい。単量体(B)が0.1重量%に満たない場合、ポリカーボネートから発生する気泡を抑制しにくい傾向にある。一方、10重量%を越えると、粘着剤層が黄色に変色する傾向にある。
【0033】
本発明において単量体(A)、単量体(B)および単量体(C)以外に用いることができる他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキレンオキサイド含有単量体等が挙げられる。そして、粘着性能の面からカルボキシル基を有する単量体を用いないことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル鎖の炭素数が1〜14が好ましく、炭素数が4〜14がより好ましい。具体的には、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、さらにはシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルなどを挙げることができる。
【0034】
アルキレンオキサイド含有単量体としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0035】
また、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル系単量体を使用することもできる。
【0036】
本発明において単量体(A)、単量体(B)、および単量体(C)以外に用いることができる他の単量体としては、アルキレンオキサイド含有単量体を使用することが好ましい。アルキレンオキサイド含有単量体は、1〜45重量%使用することが好ましい。アルキレンオキサイドを有することにより粘着テープを被着体へ貼り付け高温雰囲気においた場合でも、粘着性を維持しつつ気泡の発生や、被着体からの剥がれをより抑制できる。
【0037】
本発明において前記他の単量体を使用する場合は、全単量体100重量%中、40〜98.9重量%であることが好ましい。
【0038】
本発明においてポリイソシアネート系硬化剤(Y)は、公知のポリイソシアネート硬化剤を使用することができる。具体的には、芳香族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等を挙げることができる。
【0040】
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0041】
芳香脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω‘−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0042】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0043】
さらには、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシ
アネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。またポリイソシアネ
ート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応し
たビュレット基、イソシアヌレート基のうちのいずれかの基、またはこれらの基の2種以
上を有する変性物を使用できる。そして、ポリオールとジイソシアネートとの反応生成物
もポリイソシアネートとして使用することができる。
【0044】
また、本発明においてポリイソシアネート系硬化剤(Y)は、上記ポリイソシアネートの変性体を使用することも好ましい。当該変性体とは、上記ポリイソシアネートのビュレット体、アロハネート体、ヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。当該変性体は、3個〜6個程度のイソシアネート基を含有することが好ましく、ポットライフ等を考慮すると3個が好ましい。
【0045】
本発明においてポリイソシアネート系硬化剤(Y)は、粘着テープの高温環境下の耐熱性の観点、あるいは高温高湿環境下へ放置したときの粘着剤層の白色への変色を抑制する観点から芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなる群より選択される1種以上の化合物、またはこれらの化合物の変性体であることが好ましい。具体的にはキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体が好ましい。芳香族系ポリイソシアネートは、耐湿熱白化性が低下する恐れがある。
【0046】
本発明においてポリイソシアネート系硬化剤(Y)は、共重合体(X)100重量部に対して0.01〜5重量部用いることが好ましく、0.05〜3重量部用いることがより好ましく、0.1〜3重量部用いることがさらに好ましい。
【0047】
本発明において硬化剤は、本発明の効果を損なわない範囲において多官能エポキシ化合物を併用することもできる。多官能エポキシ化合物を併用することで、粘着剤層の耐熱性をより向上させることができる。多官能エポキシ化合物は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
【0048】
本発明において多官能エポキシ化合物は、共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部用いることが好ましい。
【0049】
本発明の透明導電膜用粘着剤は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を用いることで粘着剤層と被着体との密着性が良好となり、耐熱性、耐湿熱性を向上させることができる。さらに耐湿熱白化性、ポリカーボネート板へ貼り付け後のガス膨れ性および段差埋め込み性の物性をより向上できる。この目的で使用する場合、シランカップリング剤は、共重合体(X)100重量部に対して、0.001〜0.1重量部の範囲が好ましく、特に0.005〜5重量部の範囲が好ましい。
【0050】
前記シランカップリング剤は、具体的には、例えば、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン化合物;
5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキル基を有するアルコキシシラン化合物;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。前記シランカップリング剤の中でも、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、が好ましい。
【0051】
本発明の透明導電膜用粘着剤には、上記共重合体(X)およびポリイソシアネート系硬化剤(Y)に加えて必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。また、用途に応じて、カップリング剤、粘着付与剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤、耐候安定剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、リン酸エステル等の添加剤を配合しても良い。
【0052】
本発明の粘着シートは、透明導電膜用粘着剤から形成してなる粘着剤層を含むことが重要である。粘着シートは、剥離ライナー上、または基材上へ粘着剤を塗工することによって得ることができる。
【0053】
また、本発明の粘着シートは、基材の片面に粘着剤層が形成された片面粘着テープや、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープでも良い。さらに2枚の剥離ライナー間に粘着剤層が形成されたいわゆるキャスト粘着テープであっても良い。なお、本発明において粘着テープと、粘着シートまたは粘着フィルムは同義語である。
【0054】
上記粘着剤層の厚みは、2〜1000μmが好ましく、5〜500μmがさらに好ましい。なお、粘着剤層は単層でも、2層以上の積層いずれの形態でもよい。そして粘着剤の塗工は、コンマコーターやダイコーターなどの公知の塗工機を用いることができる。
【0055】
本発明において基材は、特に制限されないが、例えばプラスチックフィルムや、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが挙げられる。前記プラスチックフィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンフィルム等が挙げられる。上記記載の基材の厚さは特に制限されないが、10〜2000μmが好ましい。
【0056】
本発明の粘着シートの被着体としては、特に制限されないが、透明導電膜を有するアクリル板、ポリカーボネート板、ガラス、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また本発明の粘着シートは、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP),タッチパネルなどのディスプレイに用いることがより好ましい。特にタッチパネルの透明導電膜と導電回路が形成された面へ貼り付けることが好ましい。このような場合でも気泡の混入なく導電回路の段差を埋め込むことができる。さらに本発明において粘着剤層は、高温高湿環境下へ放置したときも、導電回路の腐食が抑制され、粘着剤層の透明性が維持できる。
【0057】
本発明のディスプレイは、例えば、タッチパネルは、上記粘着シートの粘着剤層をITOによる透明導電膜や、銀ペーストによる回路が形成された基板へ貼付することにより製造できる。また、例えば、液晶パネルの形成は、上記粘着シートの粘着剤層を液晶セルの片側または両側に貼着することにより製造できる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されない。なお、例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ示
すものとする。
【0059】
<合成例1>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、表1の各単量体の合計量の50重量%、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量、溶剤として酢酸エチルを反応槽に仕込み、残りの単量体の全量、および酢酸エチル、アゾビスイソブチロニトリルを適量添加して混合した溶液を滴下管から約2時間かけて滴下し、窒素雰囲気下約80℃にて5時間重合させた。反応終了後、冷却、酢酸エチルで希釈し、不揮発分40%、粘度6000mPa・sの共重合体溶液を得た。
【0060】
<合成例2〜38>
表1および表2の重量比率に従って各種原料を仕込み、合成例1と同様の方法でアクリル共重合体を合成した。又、得られたアクリル共重合体の不揮発分および、粘度を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

<実施例1>
合成例1で得られた共重合体溶液100部に対して、キシリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体の50%酢酸エチル溶液1.0部を配合し粘着剤を得た。
【0063】
得られた粘着剤をコンマコーターに使用して、剥離ライナー(厚さ38μm)上に乾燥塗膜25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させた後、粘着剤層に剥離ライナーを貼り合せ、この状態で室温にて7日間エージングさせ、基材レスの粘着シートを得た。
【0064】
<実施例2〜32、比較例1〜13>
表3〜表5に示すように、共重合体溶液の種類および硬化剤の種類、配合量を変更した以外は実施例1と同様にして、基材レスの粘着シートを得た。
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
そして実施例1〜32および比較例1〜13で得られた粘着剤と粘着シートを用いて、以下に示す方法に従って塗工性、粘着力、耐発泡・剥がれ性、透明性、耐腐食性、耐湿熱白化性、段差埋め込み性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0069】
<塗工性>
得られた粘着剤をコンマコーターを使用して、剥離ライナー上に3m/分の塗工速度で塗工し、以下の基準で目視評価した。
○:スジ、はじき等がなく塗工面が平滑なもの
×:スジ、はじき等があり塗工面が平滑でないもの
【0070】
<粘着力>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅25mm×長さ100mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
この試験用粘着シートの剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層を厚さ0.4mmのガラス板に23℃−50%RHにて貼着し、JIS Z−0237に準じてロール圧着した。圧着から24時間経過後、万能引張試験機にて剥離強度(剥離角度180°、剥離速度300mm/分;単位mN/25mm幅)を測定した。
【0071】
<耐発泡・剥がれ性>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅100mm×長さ100mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
この試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をガラス板に貼着した後、85℃の条件下に240時間放置し、23℃−50%RHにて冷却した後、気泡の発生および粘着シートの浮きや剥がれを以下の条件で目視評価した。
○:気泡および浮き剥がれが全く見られないもの
×:気泡および浮き剥がれが見られたもの
【0072】
<透明性>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅25mm×長さ100mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
この試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、23℃−50%RH雰囲気でガラス板にラミネーターを用いて貼着し、HAZEを測定した。なお、HAZEは日本電色工業(株)製Turbidimeter NDH5000Wを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
○:HAZEが1.0未満であれば透明性良好
×:HAZEが1.0以上では透明性不良
【0073】
<耐腐食性>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅40mm×長さ100mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
23℃−50%RHにてITOによる透明導電膜が形成されたフィルム(サイズ40mm×長さ160mm)のITO膜形成面上に、試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、ラミネーターを用いて貼着した。これを85℃−90%RH環境下で1000時間放置し、貼付直後との抵抗値の変化率(%)を測定し、変化率により耐腐食性を評価した。なお、抵抗値は、三菱化学(株)製ローレスターGP(型番MCP−T600)を用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
○:抵抗値の変化率が150%未満。耐腐食性良好。
×:抵抗値の変化率が150%以上。耐腐食性不良。
【0074】
<耐湿熱白化性>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅25mm×長さ80mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
この試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、23℃−50%RH雰囲気にてITOによる透明導電膜が形成されたフィルム(サイズ40mm×長さ160mm)のITO膜形成面上に、試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、ラミネーターを用いて貼着した。これを85℃−90%RH環境下で1000時間放置し、23℃−50%RHにて3時間冷却した後のHAZEを測定した。なお、HAZEは日本電色工業(株)製Turbidimeter NDH5000Wを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:HAZEが1.2未満であればほとんど白化が確認されず、耐湿熱白化性良好。
○:HAZEが1.2以上8.0未満であれば、若干の白化があるが実用上問題ない。
×:HAZEが8.0以上であると白化性不良で使用できない。
【0075】
<耐PCガス膨れ性の評価方法>
耐発泡剥がれ性の評価として、試験用粘着テープを、幅100mm×長さ100mmに裁断し、剥離フィルムを剥離して、ポリカーボネート(PC)板に貼り合わせて固定し、50℃雰囲気下で0.5MPaの圧力をかけて20分間保持して、PETフィルム/粘着剤層/PC板の層構造を有する試験片を作製した。上記試験片を80℃のオーブン中で24時間熱処理(耐熱性試験)を行った。
この耐熱性試験後、サンプル片の接着界面(感圧式接着剤層とPC板との界面)を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
○:「気泡」や「浮き」が全く見られなかった。良好。
△:「気泡」や「浮き」が僅かに認められる。実用上問題ない。
×:「気泡」や「浮き」が著しく認められる。実用不可。
【0076】
<段差埋め込み性>
得られた粘着シートを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300、厚さ100μm)に貼り合わせ、幅25mm×長さ100mmのサイズに切り出して試験用粘着シートを作製した。
一方、PETフィルム上に、銀インキを用いてシルクスクリーンコーターにて幅1cmで段差が10μmになるように印刷した。23℃−50%RH雰囲気でこの試験用粘着テープの剥離ライナーを剥がし、当該印刷フィルム(サイズ40mm×長さ100mm)の印刷面にラミネーターを用いて貼着した。これをオートクレーブ内で50℃−0.5MPaで20分間処理した後、23℃−50%RH環境下にて24時間放置した後、段差が埋まっているか以下の基準で目視評価した。
◎:ラミネーター貼着後に段差が埋まっている
○:オートクレーブ処理直後に段差が埋まっている
△:オートクレーブ処理24時間後に段差が埋まっている
×:段差が埋まらない
【0077】
【表6】

【0078】
表6に示すように、比較例1〜13は、塗工性、粘着性、耐発泡・剥がれ性、透明性、耐腐食性、耐湿熱白化性、対PCガス膨れ性、段差埋め込み性すべてを満足することはできなかった。一方、実施例1〜32は優れた耐腐食性、耐湿熱白化性、段差埋め込み性を有し、かつ塗工性、粘着性、耐発泡・剥がれ性、耐PCガス膨れ性、透明性に優れた結果であった。
【0079】
本発明の粘着剤および粘着シートは、優れた塗工性、粘着性、耐発泡・剥がれ性、透明
性のみならず、高い耐腐食性、耐湿熱白化性、段差埋め込み性を併せ持ち、ディスプレイ
やタッチパネルなどの金属薄膜を直接貼り付け固定する用途などの光学部材の接着用途に
好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体(X)と、ポリイソシアネート系硬化剤(Y)とを含む透明導電膜用粘着剤であって、
前記共重合体(X)が、少なくとも、カルボキシル基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を含有する単量体(A)0.1〜10重量%と、アミノ基を含有する単量体(B)0.1〜10重量%と、アミド結合を含有する単量体(C)1〜50重量%とを含む単量体を共重合してなることを特徴とする透明導電膜用粘着剤。
【請求項2】
ポリイソシアネート系硬化剤(Y)が、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなる群より選択される1種以上の化合物、またはこれらの化合物の変性体であることを特徴とする請求項1記載の透明導電膜用粘着剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の透明導電膜用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を含む粘着シート。
【請求項4】
請求項1または2記載の透明導電膜用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を含むディスプレイ。

【公開番号】特開2012−193248(P2012−193248A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56983(P2011−56983)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】