説明

粘着剤層付き発泡シート及びその製造方法

【課題】EPDMをはじめとする各種素材からなるシート状発泡基材に、エマルジョン型水性粘着剤から形成される粘着剤層を積層してなる粘着剤層付き発泡シートであって、基材密着性に優れ、水に浸漬しても接着力を維持することができる、粘着剤層付き発泡シートを提供すること。
【解決手段】ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤と、シート状発泡基材とからなる粘着剤層付き発泡シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、「EPDM」という)をはじめとする各種の素材からなるシート状発泡基材と粘着剤層とを積層してなる粘着剤層付き発泡シート及びその製造方法に関する。詳しくは、シート状発泡基材の少なくとも一方の面に、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを含有するエマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層が積層されてなる、耐水接着性に優れる粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状発泡基材は、防音、防塵、気密及び防湿等を目的として、自動車、住宅、家電製品等様々な場所や箇所に利用されている。
シート状発泡基材としては、ポリウレタン製、ゴム製、EPDM製等種々のものが挙げられる。ポリウレタン製やゴム製のシート状発泡基材は、一般に硬く圧縮応力が高い点に特徴がある。一方、EPDM製のシート状発泡基材は、ポリウレタン製やゴム製のものに比して比較的柔らかく、凹凸面や曲面に対する追従性の点でポリウレタン製やゴム製のものよりも優れる。
【0003】
シート状発泡基材を、自動車、住宅、家電製品等様々な場所や箇所に利用する際には、これまでは被着体との密着性、耐候性(特に耐水性)の観点から感圧接着剤以外の接着剤が用いられることが多かった。
感圧接着剤以外の接着剤は、貼り合せる際に施工現場で貼り合せるものに直に塗布される。粘着剤は感圧接着剤とも言われ、接着剤の一種ではあるが、貼り合せる際に現場で貼り合せるものに直に塗布するのではなく、貼着前に事前にシート状基材に塗布され、粘着シートの状態で貼着に使用される。貼り合せる現場では、感圧接着剤以外の接着剤よりも粘着シートの方が取扱いが容易なので、前記したようなシート状発泡基材を用いる分野でも、近年、接着剤に代わり粘着シートが使用され始めてきた。
【0004】
シート状発泡基材を用いてなる粘着シートの基本的積層構成としては、以下に示す2種類の構成等が挙げられる。
シート状発泡基材/粘着剤層/剥離性シート
シート状発泡基材/粘着剤層/不織布、ポリエステルフィルムまたはポリオレフィンフィルムのいずれか一種の芯材/粘着剤層/剥離性シート
前記のいずれの構成においても、貼り付け時には剥離性シートをはがして、露出した粘着剤層を被着体に貼付して使用する。
【0005】
これらシート状発泡基材用の粘着剤としては、アクリル共重合体を主成分とする溶剤型粘着剤が多く用いられてきた。近年では、地球環境保護(揮発性有機化合物排出抑制)や労働環境の改善ならびに資源の有効利用などの観点から、溶剤型粘着剤の代替として水性のエマルジョン型粘着剤の使用検討が進んできた。
しかしながら、エマルジョン型水性粘着剤は溶剤型粘着剤に比較すると、多孔性で実質的な接着面積の少ないシート状発泡基材表面に対しての密着性能が著しく劣るという欠点がある。粘着剤層の、シート状発泡基材に対する密着性が著しく悪い場合に、例えばステンレス板(以下、「SUS板」という)のように相対的に接着しやすい被着体に貼付し、接着力(剥離力)を測ると、極端な場合、粘着剤層はシート状発泡基材よりも接着しやすいSUS板にすべて移行(転着)してしまい、得られる接着力の値も低くなってしまう。
さらに、エマルジョン型水性粘着剤は溶剤型粘着剤に比較すると耐水性の点で劣り、水に浸漬すると接着力が著しく低下する。
【0006】
特許文献1(特開2005−206779号公報)には、ラジカル重合可能なラジカル重合性不飽和単量体をポリオレフィン類の水性分散体、界面活性剤及び重合開始剤の存在下に水媒体中で重合してなる粘着剤用エマルジョンが開示されている。特許文献1に開示される発明は、ポリオレフィン被着体に対する接着性向上及び耐水性向上を目的とするものである。特許文献1における耐水性とは、水の影響で粘着剤層が白化しにくいことの意である。特許文献1は、シート状発泡基材に対する密着性向上という課題や水に浸漬した後の接着力の維持という課題を何ら開示するものではない。
【0007】
また、特許文献2(特開平7−133473号公報)や特許文献3(特開平7−179835号公報)などには、添加剤として重合ロジンやエラストマーのエマルジョンを使用することで、粘着シートの高温での保持力を向上させる発明が開示されている。しかし、特許文献2、3に開示される発明では、粘着シートを水に浸漬しても接着力を維持することは不十分であった。
【0008】
また、特許文献4(特開2001−348551号公報)には、エマルジョンの放置安定性を向上させる目的で(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和単量体及び粘着付与剤を含んでなる油溶成分を、水媒体中で乳化剤を用いて乳化させてなり、かつ、該油溶成分の平均粒子径が1μm以下である乳化液を、重合開始剤の存在下で重合するエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法が示されている。しかし、特許文献4に開示される粘着剤では、多孔質で接着面積の少ないシート状発泡体を基材とする場合、貼付後水に浸漬すると接着力を維持することは不十分であった。
【特許文献1】特開2005−206779号公報
【特許文献2】特開平7−133473号公報
【特許文献3】特開平7−179835号公報
【特許文献4】特開2001−348551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、EPDMをはじめとする各種素材からなるシート状発泡基材に、エマルジョン型水性粘着剤から形成される粘着剤層を積層してなる粘着剤層付き発泡シートであって、基材密着性に優れ、水に浸漬しても接着力を維持することができる、粘着剤層付き発泡シートを提供することを目的とする。具体的には、SUS板に対して基材が破断するほどの高い初期接着力を有し、水に浸漬しても接着力が維持され、かつ、粘着剤層の基材への転着を生じることのない、粘着剤層付き発泡シートを提供することを目的とする。
尚、貼付後水に浸漬しても接着力が維持され、かつ、粘着剤層の転着が生じないことを、本発明では「耐水接着性に優れる」ということがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明者は鋭意研究し、本発明に至った。
即ち、第1の発明は、シート状発泡基材(4)の少なくとも一方の面に、粘着剤層(3)が積層されてなる粘着剤層付き発泡シートであって、
前記粘着剤層(3)が、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤から形成されることを特徴とする粘着剤層付き発泡シートに関する。
【0011】
また、第2の発明は、粘着剤層(3)の、シート状発泡基材(4)には接していない方の面に、不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)、粘着剤層(6)がさらに積層されてなる粘着剤層付き発泡シートであって、
前記粘着剤層(3)と粘着剤層(6)は同一の粘着剤から形成されるものであることを特徴とする第1の発明記載の粘着剤層付き発泡シートに関する。
【0012】
また、第3の発明は、シート状発泡基材の厚さ方向の50%圧縮硬さが、0.05〜1N/cm2であることを特徴とする第1または第2の発明記載の粘着剤層付き発泡シートに関する。
【0013】
また、第4の発明は、シート状発泡基材が、エチレン・プロピレン・ジエンゴム製であることを特徴とする第1ないし第3の発明いずれか記載の粘着剤層付き発泡シートに関する。
【0014】
また、第5の発明は、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)が、全分散粒子の体積の合計100(体積%)中、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98(体積%)であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2(体積%)であることを特徴とする第1ないし第4の発明いずれか記載の粘着剤層付き発泡シートに関する。
【0015】
また、第6の発明は、剥離性シートに、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、前記粘着剤層(3)にシート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法に関する。
【0016】
また、第7の発明は、剥離性シートに、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)の両面に、それぞれ前記粘着剤層(3)及び(6)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法に関する。
【0017】
さらに、第8の発明は、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
該芯材(5)に、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)に、シート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法に関する。
【0018】
さらにまた、第9の発明は、剥離性シートに、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)に前記芯材(5)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、基材密着性及び耐水接着性に優れる粘着剤層付き発泡シートを提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の粘着剤層付き発泡シートには以下に示す2つの態様があり、粘着剤層(3)と(6)は同じ粘着剤から形成されるものであることが好ましい。芯材(5)の存在によって、さらに強靭な粘着剤層付き発泡シートを得ることができる。
シート状発泡基材(4)/粘着剤層(3)/剥離性シート
あるいは、
シート状発泡基材(4)/粘着剤層(3)/不織布、ポリエステルフィルムまたはポリオレフィンフィルムのいずれか一種の芯材(5)/粘着剤層(6)/剥離性シート
【0021】
本発明において用いられるシート状発泡基材としては、ポリウレタン製、ゴム製、EPDM製等種々のものが挙げられる。
ポリウレタン製やゴム製のシート状発泡基材は、一般に硬く圧縮応力が高い。一方、EPDM製のシート状発泡基材は、ポリウレタン製やゴム製のものに比して、比較的柔らかく、凹凸面や曲面に対する追従性の点でポリウレタン製やゴム製のものよりも優れる。防音、防塵、気密及び防湿等を目的とする場合には、凹凸面や曲面形状箇所への追従性が求められるので、EPDM製のシート状発泡基材を用いることが好ましく、厚さ方向の50%圧縮硬さは、0.01〜1N/cm2であることが好ましく、0.05〜1N/cm2であることがより好ましく、0.05〜0.5N/cm2であることがさらに好ましい。
【0022】
EPDM製のシート状発泡基材は、EPDM、樹脂軟化剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、着色剤、老化防止剤及び発泡剤等から形成される。
EPDMは、エチレン、プロピレンもしくはブテン−1、及びポリエンモノマーからなる共重合体である。
ポリエンモノマーとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン及びノルボルナジエン等の環状ジエン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン及び7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状の非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン及び4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエン等が挙げられる。これらのポリエンモノマーは、1種類のみが用いられてもよく、または2種類以上が併用されてもよい。
また、本発明においては、単一組成のEPDMのみでなく、組成の異なる複数のEPDMを含むシート状基材を使用してもよい。
【0023】
シート状発泡基材の厚さは、100mm以下が一般的であり、10μm〜80mmであることが好ましく、1mm〜50mmであることがより好ましい。
また、シート状発泡基材の発泡倍率は通常2〜30倍であることが好ましく、5〜20倍であることがより好ましく、10〜20倍であることがさらに好ましい。
尚、本発明でいう「シート」、「シート状」は、比較的短い長さのものだけではなく、長尺状のいわゆるWeb状態のものをも含む意である。
【0024】
本発明の粘着剤層付き発泡シートを構成する粘着剤層(3)について説明する。粘着剤層(6)も同様とする。
粘着剤層(3)は、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.3〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤から形成される。
モノマー含有組成物エマルジョン(1)の形成に用いられるラジカル重合性不飽和モノマー(A)は、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とすることが好ましい。かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステル等が挙げられる。使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜10であることがより好ましく、さらに好ましくは1〜8であり、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とすることが特に好ましい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量%中70〜99.9重量%含有され、1種または2種以上含有される。
【0025】
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)としては、カルボキシル基含有モノマーをラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量%中0.1〜20重量%含有することが好ましく、0.2〜5重量%含有することがより好ましく、0.2〜2重量%含有することがさらに好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。カルボキシル基含有モノマーの割合が0.1重量%未満の場合、形成されるモノマー含有組成物エマルジョン(1)を構成する分散質である粒子(以下、分散質である粒子を「エマルジョン粒子」という)の水中での分散状態が不安定となり易く、重合も不安定になり易い。一方、カルボキシル基含有モノマーの割合が20重量%を超えると、乾燥時にエマルジョン粒子同士の密着が阻害され、耐水接着性が低下し易い。
【0026】
また、本発明に用いるラジカル重合性不飽和モノマーとしては、前記以外のモノマーを必要に応じて使用することもでき、そのようなモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のアルコール性水酸基含有モノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー、
N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N―アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3オキソブチル)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー、
燐酸基含有ビニルモノマーや酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン等のビニルモノマー、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられ、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量%中0〜10重量%の割合で用いることができ、1種または2種以上使用できる。
【0027】
ところで、一般に粘着シートは、液体状態の粘着剤をシート状基材に塗布し、乾燥して粘着剤中に含まれていた液状の媒体を除去することにより粘着剤層が形成される。
粘着剤のうち溶剤型粘着剤の場合、液状の媒体を除去することによって、含まれていたポリマー成分がそのまま成膜し、粘着剤層を形成する。一方、エマルジョン型粘着剤の場合、液状の媒体が除去される際に、エマルジョン粒子同士が接近、密着、融着し、成膜するという過程を経る。従って、粘着剤層の耐水接着性を向上させるためには、エマルジョン粒子同士の融着を促進することが重要である。そこで、エマルジョン粒子同士の融着を促進するために粒子間架橋を利用することがよい。
粒子間架橋を生成するために、前記のラジカル重合性不飽和モノマー(A)としては、架橋反応を生じ得る官能基を有するモノマーを組み合わせて用いることが好ましい。それらの中でも、カルボキシル基もしくは水酸基を有するモノマーと、これらと成膜時に架橋反応をし得る官能基を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。これらの官能基は、自己架橋性を有するものであってもよい。
さらに、後述する水溶性架橋剤(D)を使用することによっても粒子間架橋を生成することができる。
粒子間架橋を生成するため好適に用いられるモノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N―アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、アセトアセトキシエチルメタクリレートなどのモノマー類が例示できる。
【0028】
本発明においては、前記した種々のラジカル重合性不飽和モノマー(A)を重合した場合、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)は0が℃以下であることが重要であり、−10℃以下であることが好ましく、−20℃以下であることがより好ましい。ポリマーのガラス転移温度が0℃を超えるようなラジカル重合性不飽和モノマーを用い、粘着付与樹脂とのアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを得ても、そのようなアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンからは粘着剤を得ることができない。
なお、ラジカル重合性不飽和モノマーを重合してなるポリマーのガラス転移温度は、公知の理論式により算出することができる。
【0029】
次に粘着付与樹脂(B)について説明する。
本発明においては、粘着付与樹脂(B)としては、粘着付与樹脂(B)100重量%中にロジン系樹脂を少なくとも60重量%含むものを、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対して6〜30重量部使用することが重要であり、8〜25重量部使用することが好ましく、10〜20重量部使用することがより好ましい。
粘着付与樹脂(B)が6重量部未満の場合、十分な接着力、具体的には、多孔性であるシート状発泡基材に対して優れた密着性を発現し得る粘着剤層を形成することができない。
一方、粘着付与樹脂(B)が30重量部を超える場合には、粘着剤層中に含まれる粘着付与樹脂(B)が多すぎるので、粘着剤層が軟弱になり過ぎ、水に浸漬する前においてすら強固な接着力を得ることができない。しかも、粘着剤層の緻密さが低下するので耐水接着性が悪く、水に浸漬すると接着力がさらに低下する。
【0030】
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対し、粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部の範囲で使用したとしても、粘着付与樹脂(B)中に占めるロジン系樹脂の比率が60重量%未満であると耐水接着性に優れる粘着剤層を得ることができない。耐水接着性の点からは、ロジン系樹脂だけを用いることが好ましいが、経済性の点から他の粘着付与樹脂を併用することが好ましい。
ロジン系樹脂と併用し得るその他の粘着付与樹脂としては、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等が挙げられ、粘着性及び耐候性の点からテルペン系樹脂を併用することが好ましい。
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステル等が挙げられる。また、シート状発泡基材への密着性を高めるために、ロジン系樹脂の軟化点は100℃以上であることが好ましい。
テルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
芳香族系石油樹脂としては、スチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等が挙げられる。
【0031】
次に非反応性界面活性剤(C)について説明する。
本発明では用いられる界面活性剤の種類とその量が極めて重要である。
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)の混合液を水媒体中に単に乳化させるだけであれば、ラジカル重合性官能基を有するいわゆる反応性界面活性剤も前記官能基を有しない非反応性界面活性剤(C)もいずれをも用いることができる。
しかし、シート状発泡基材への密着性を確保し、さらに耐水接着性に優れる粘着剤層を得るためには非反応性界面活性剤(C)を用いることが重要である。
【0032】
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)とを含有するモノマー含有組成物エマルジョンを重合する際、反応性界面活性剤は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と共重合し、自由度を失った反応性界面活性剤が、生成したアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子の表面近傍に固定化されると考察される。エマルジョン粒子は、比較的親油性に富む、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)とから主として構成される。従って、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを含有するエマルジョン型粘着剤を乾燥し、粘着剤層を形成する際、固定化された界面活性剤由来の親水部は、その親水性故に、エマルジョン粒子の大部分を占める親油性部分やシート状発泡基材の表面とは親和せずに、エマルジョン粒子同士の融着を阻害すると共に、エマルジョン粒子の、シート状発泡基材に対する密着を阻害するものと推察される。
その結果、反応性界面活性剤を用いて得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを含有する粘着剤からは、シート状発泡基材に対する密着性に優れ、かつ、耐水接着性に優れる粘着剤層を得ることが困難になる。
【0033】
これに対し、非反応性界面活性剤(C)を用いた場合、界面活性剤がアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子の表面近傍に存在してはいても、固定化されてはいないので、乾燥時の成膜の過程で膜中を動き得る。つまり、非反応性界面活性剤(C)は、親油性に富むエマルジョン粒子同士の融着及びエマルジョン粒子の、シート状発泡基材に対する密着を阻害しないので、非反応性界面活性剤(C)を用いて得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを含有する粘着剤からは、シート状発泡基材に対する密着性に優れ、密で、均一な粘着剤層を形成することができる。粘着剤層が密で、均一なので、耐水接着性にも優れる。
【0034】
本発明で用いられる非反応性界面活性剤(C)は、イオン性のもの、非イオン性のものが挙げられ、それぞれ単独で使用することもできるし、両者を併用することもできる。
【0035】
非反応性界面活性剤(C)のうち非イオン性のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに代表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等のエーテル型の他に、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シリコン系界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
非反応性界面活性剤(C)のうちイオン性のものとしては、前記非イオン性界面活性剤がアニオン化された硫酸エステルやその塩類等のイオン性界面活性剤を使用することができる。
【0037】
非反応性界面活性剤(C)の使用量は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の合計100重量部に対して0.2〜1.5重量部であることが重要であり、0.5〜1重量部であることが好ましい。非反応性界面活性剤(C)が、0.2重量部未満の場合は、モノマー含有組成物エマルジョン自体の安定性が悪く、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)及び粘着付与樹脂(B)を含む層と、水層とに分離しやすくなる。さらに、分散安定性の悪いモノマー含有組成物エマルジョンを重合しようとすると、重合も不安定となり、凝集物が多く生じる。
一方、界面活性剤がエマルジョン粒子の表面近傍に固定化されていないとはいうものの、非反応性界面活性剤(C)が1.5重量部を超えると、得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを乾燥する際に、過量の非反応性界面活性剤(C)が、エマルジョン粒子同士の融着及びエマルジョン粒子の、シート状発泡基材への密着を阻害し、シート状発泡基材に対する密着性を低下させ、粘着剤層の耐水接着性も低下させる傾向にある。
本発明においては、エマルジョン粒子径制御のため、使用する界面活性剤の一部を予め重合用容器に添加しておいてもよい。
【0038】
ラジカル重合性モノマー(A)に対して特定量の粘着付与樹脂(B)、特定量の非反応性界面活性剤(C)及び水を含有するモノマー含有組成物エマルジョン(1)は、エマルジョン粒子の50%粒子径が2μm以下であることが重要であり、0.5〜1.7μmであることが好ましく、0.8〜1.5μmであることがより好ましい。撹拌条件等を制御することによって、モノマー含有組成物エマルジョン(1)のエマルジョン粒子の粒子径を制御することができる。
なお、本発明でいう「50%粒子径」とは、体積基準でのメジアン径のことを指す。
【0039】
形成される粘着剤層の耐水接着性の観点からは、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子径は小さい方が好ましい。しかし、モノマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子の50%粒子径が小さ過ぎるとモノマー含有組成物エマルジョンの安定性が低下する傾向にあり、重合安定性も低下する傾向にある。
一般により小さなエマルジョン粒子の分散安定性を確保するためには、比較的多量の界面活性剤を必要とする。ラジカル重合性モノマー(A)や粘着付与樹脂(B)に対して、使用する非反応性界面活性剤(C)を増やせば、粒子径の小さいモノマー含有組成物エマルジョンでも安定性を向上することができ、生成するアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンの安定性も向上することができる。
しかし、非反応性界面活性剤(C)の量が過量となると、得られる粘着剤層の、シート状発泡基材に対する密着性が低下し、粘着剤層の耐水接着性も低下してしまう。
【0040】
一方、モノマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子の50%粒子径が2μmを越える場合、それを重合してなるポリマーエマルジョンを含有する粘着剤からは、耐水接着性に優れる粘着剤層を得ることが困難になる。
ラジカル重合性モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)とを含有する組成物を水中で重合する場合、ラジカル重合性モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)との拡散速度の違いから、ラジカル重合性モノマー(A)が優先的に単独でポリマーエマルジョンを形成し、粘着付与樹脂(B)は取り残されやすいと考えられている。
エマルジョン粒子の50%粒子径が2μmを越える程大きいモノマー含有組成物エマルジョンを重合した場合、この傾向がますます強く現れ、ラジカル重合性モノマー(A)由来のアクリル系ポリマーのエマルジョンと粘着付与樹脂(B)のエマルジョンとの単なる混合物に近い状態になる。
このような場合、両エマルジョン粒子同士の融着が進行しにくいので、形成される粘着剤層は耐水接着性が劣る傾向にある。
【0041】
次に、本発明のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)に関して、さらに詳しく説明する。
本発明のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)は例えば、ラジカル重合性モノマー(A)と粘着付与樹脂(B)とを十分に混合し、好ましくは粘着付与樹脂(B)をラジカル重合性モノマー(A)に十分に溶解し、この混合物に非反応性界面活性剤(C)及び水を加え、撹拌混合し、必要に応じて超音波乳化機やホモミキサー等の分散機を用い、エマルジョン粒子の50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を得、滴下装置に前記モノマー含有組成物エマルジョン(1)を入れる。
次いで、
加熱及び撹拌手段を具備する反応容器に水を入れ、その水中に前記モノマー含有組成物エマルジョン(1)を滴下して、重合したり、
加熱及び撹拌手段を具備する反応容器に水と前記モノマー含有組成物エマルジョン(1)の一部を入れ、そこに残りのモノマー含有組成物エマルジョン(1)を滴下して、重合したり、
加熱及び撹拌手段を具備する反応容器に水と非反応性界面活性剤を入れ、その界面活性剤水溶液中に前記モノマー含有組成物エマルジョン(1)を滴下して、重合したりすることができる。
3番目に例示した方法の場合、反応容器中の水に配合し得る非反応性界面活性剤の量は、形成される粘着剤層の耐水接着性を低下しない程度の量であることが好ましく、モノマー含有組成物エマルジョン(1)の形成に用いられた非反応性界面活性剤の量と合わせて、ラジカル重合性モノマー(A)100重量部に対して0.2〜1.5重量部となるようにすることが好ましい。
【0042】
そして、前記モノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合してなるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)は、全分散粒子の体積の合計100(体積%)中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98(体積%)であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2(体積%)であることが好ましく、小粒径粒子の占める割合が75〜90(体積%)であり、大粒径粒子の占める割合が25〜10(体積%)であることがより好ましい。
アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)の全分散粒子の体積の合計100(体積%)中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60(体積%)未満、即ち相対的に0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40(体積%)よりも多いと、形成される粘着剤層の耐水接着性が低下する傾向にある。
一方、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)の全分散粒子の体積の合計100(体積%)中に、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が98(体積%)を超えると、乾燥時における粒子の充填率が低下し、延いてはエマルジョン粒子同士の融着性やシート状発泡基材への密着性が低下するため、得られる感圧接着剤層の耐水接着性が低下する傾向にある。
【0043】
本発明のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を得る際に用いられる重合開始剤について説明する。
重合開始剤としては、水溶性、非水溶性いずれのものも使用でき、水溶性の重合開始剤を用いることが好ましい。一般的に用いられるものとしては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩または水酸基付加物等の水溶性の熱分解型重合開始剤や、レドックス開始剤を用いることができる。レドックス開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸の組み合わせ等を用いることができる。重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、0.02〜3重量部であることが好ましく、0.1〜1重量部であることがより好ましい。
重合開始剤の添加方法としては、全量を反応容器中に仕込んでおき、反応を開始させてもよく、その一部を反応容器中に仕込んでおき、残りを分割添加あるいは滴下してもよく、全量を分割添加あるいは滴下しても良い。分割添加あるいは滴下する場合には、モノマー含有組成物エマルジョンと混合された状態にて使用されても良い。
【0044】
また、本発明のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)のエマルジョン粒子の分子量や分子量分布を制御するために連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用することができる。連鎖移動剤を使用する際、添加量はラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して0〜0.1重量部で分子量を調節しながら使用することができる。
アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を得るための重合反応は、通常40℃〜90℃の温度範囲で、2〜6時間かけて行われる。
【0045】
本発明のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有する粘着剤は、乾燥の過程で、エマルジョン粒子同士を粒子間架橋させることが好ましい。
そのためには、
ラジカル重合性不飽和モノマー(A)のラジカル重合後、前記モノマー(A)由来の官能基同士が、乾燥過程及び必要に応じて行われるエージングの過程において、架橋反応し得るように、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)中の官能基の種類を選択したり、
前記モノマー(A)由来の官能基と反応可能な、水溶性の架橋剤(D)を含有することが好ましい。
例えば、ラジカル重合性不飽和モノマー(A)の1つとしてアセトアセトキシ基を有するモノマーを用いると乾燥過程等において、エマルジョン粒子を構成するアクリル系ポリマー同士が自己架橋し得る。
【0046】
水溶性の架橋剤(D)としては、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)中のラジカル重合性不飽和モノマー(A)由来の官能基、例えば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等と乾燥過程やエージングの際に反応し得る化合物のうち、水溶性のものを用いることができる。架橋剤が水に不溶性であると、得られる粘着剤層が白濁するため、好ましくない。
このような水溶性架橋剤(D)としては、例えば、水に溶解可能なヒドラジド化合物、セミカルバジド誘導体、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、錯形成可能な金属系化合物等が挙げられる。
水に溶解可能な架橋剤(D)の使用量としては、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)中に含まれるアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂(B)との合計100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、3重量部以下であることがさらに好ましい。
乾燥過程やエージング過程では、エマルジョン粒子同士の融着と粒子間架橋とが競争して進行するものと考えられる。従って、エマルジョン粒子同士の融着がほとんど進行しないうちに粒子間架橋が進むと、架橋した部分がエマルジョン粒子同士の融着にとっては一種の障壁となると考察される。よって、水に溶解可能な架橋剤(D)は多すぎないことが好ましい。
【0047】
本発明では前記のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)に、さらに必要に応じて各種の添加剤等を添加することにより、エマルジョン型粘着剤を得ることができる。添加剤として具体的には、濡れ剤(ハジキ防止の界面活性剤等)、消泡剤、中和剤、可塑剤、増粘剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、溶剤、撥水剤等が挙げられる。
なお、各種添加剤を添加する際には、ホモミキサー等を使用して添加剤をよく分散させることが好ましい。
【0048】
芯材(5)を有しない本発明の粘着剤層付き発泡シートは、例えば、剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、前記粘着剤層(3)にシート状発泡基材(4)を積層することよって得ることができる。
【0049】
また、芯材(5)を有する本発明の粘着剤層付き発泡シートは、様々な製造方法によって得ることができる。
例えば、本発明の粘着剤層付き発泡シートは、剥離性シートに、
前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)の両面に、それぞれ前記粘着剤層(3)及び(6)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層することよって得ることができる。
なお、粘着剤層(3)及び粘着剤層(6)を芯材(5)に積層するにあたっては、順次積層してもよく、同時に積層してもよい。
【0050】
また、本発明の粘着剤層付き発泡シートは、剥離性シートに、
前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
該芯材(5)に、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)に、シート状発泡基材(4)を積層することによって得ることができる。
【0051】
さらに、本発明の粘着剤層付き発泡シートは、剥離性シートに、
前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)に前記芯材(5)を積層することによっても得ることができる。
【0052】
剥離性シートとは、プラスチックフィルムや紙等の表面に剥離剤を塗布し、粘着剤層を剥がしやすくしたものである。
エマルジョン型粘着剤を剥離性シートや芯材上にコーティングする方法としては特に制限されるものではなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の従来公知のコーティング装置によることができる。
本発明の粘着剤層付き発泡シートは、基材密着性(初期接着性)及び耐水接着性が良好であるので、自動車の各種部材や建築物の各種部材を貼付する際などに好適に使用される。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例及び比較例中、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。また、ポリエチレンオキサイド構造のエチレンオキサイドの繰り返し数を「EO数」と略記する。
【0054】
(実施例1)
ラジカル重合性モノマーとしてアクリル酸2−エチルヘキシル:50.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:5部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、アセトアセトキシエチルメタクリレート:0.2部、粘着付与樹脂としてロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):10部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):5部を混合し、ラジカル重合性モノマーに粘着付与樹脂を溶解し、両者の混合物を得た。
この混合物に非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1部と脱イオン水50部を加え、ホモミキサーにて撹拌し、50%粒子径が1.2μmのモノマー含有組成物エマルジョンを得、該モノマー含有組成物エマルジョンを滴下槽に仕込んだ。
尚、前記ラジカル重合性モノマーの組成から得られるポリマーの、理論的に求められるガラス転移温度は−57.1℃である。
【0055】
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管及び滴下槽を備えた重合用容器に脱イオン水:49部とアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:0.1部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.105部を入れた。5分後に前記モノマー含有組成物エマルジョンと、5%過硫酸アンモニウム水溶液を固形分として0.315部をそれぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して重合を行った。
滴下終了後30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部を10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過して不揮発分50.2%、粘度1300mPa・s(BL型粘度計、25℃で#2ロータ/30rpmにて測定)であるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを得た。
得られたアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンのエマルジョン粒子は、粒子径0.202μmと0.710μmにそれぞれ極大値を有する、小粒径成分(ピーク)と大粒径成分(ピーク)を有し、50%粒子径は0.171μmであった。粒子径0.202μmに極大値を持つ小粒径成分(ピーク)に含まれるエマルジョン粒子は、その粒子径が0.05μm以上0.4μm未満であり、その含有比率は、得られたアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン中に含まれるエマルジョン粒子の合計の体積を100(体積%)とした場合に、85(体積%)であり、残りの15(体積%)を占める粒子は、0.710μmに極大値を有する大粒径成分(ピーク)に含まれ、粒子径が0.4μm以上5μm以下であるエマルジョン粒子であった。
得られたアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン100部に、消泡剤:0.1部、濡れ剤としてナトリウムジオクチルスルホサクシネート:0.1部、防腐剤:0.3部を加え、さらに増粘剤:1部で5300mPa・s(BL型粘度計、25℃で#4ロータ/60rpmにて測定)に増粘してエマルジョン型粘着剤を得た。なお、添加剤の配合はホモミキサーにて撹拌しながら行った。
【0056】
得られたエマルジョン型粘着剤をアプリケーターで剥離性シート上に塗布し、100℃の乾燥オーブンで3分間乾燥し、粘着剤層の厚みが60g/m2の片面粘着シートを得た。不織布の両面に前記片面粘着シートをそれぞれ重ね合わせ、両面粘着シートを得た。
次いで、上記両面粘着シートの一方の面の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層に、密度:100Kg/m3、引張強度:70Kpa(JIS K6301)、伸び:250%(JIS K6301)、70%圧縮残留ひずみ:22.1%、50%圧縮硬度:0.2N/cm2、厚さ:10mmのEPDM系シート状発泡基材の一方の面を重ね合わせ、EPDM系シート状発泡基材がもとの厚みの10%になる圧力を数秒間加えた後、圧力を除去し、23℃−50%RH雰囲気下で3日間、エージングさせて粘着剤層付き発泡シートを得た。
【0057】
<初期及び水浸漬後の接着力>
初期及び水浸漬後の接着力を以下に示す方法で求め、基材密着性及び耐水接着性を評価した。
前記にて得た粘着剤層付き発泡シートを25mm×100mmにカットし、剥離性シートをはがして露出した粘着剤層を被着体であるSUS板に重ね合わせ、2Kgローラーを1往復して貼り合わせ、これを23℃−50%RHで24時間放置して試料を得た。
この試料について、23℃−50%RHで300mm/分の速さで90゜方向に剥離した際のSUS板に対する初期接着強度を測定した。
また、同様の試料を40℃の温水中に24時間浸漬した後、浸漬したまま室温に戻し、試料を取り出して接着強度を測定した。
シート状発泡基材とSUS板とを比べると、粘着剤層と前者とは点接着に近いので、粘着剤層は通常後者SUS板によく付く。基材密着性が十分良好な場合は、接着力を測定する際にシート状発泡基材を破断してしまうほど接着力が大きい。
基材密着性が不十分な場合、接着力を測定する際に、粘着剤層の一部又は全部がSUS板側に移行(転着)してしまう。また、粘着剤層自体が柔らかく軟弱すぎる場合、接着力を測定する際に粘着剤層自体が破壊される(凝集破壊)。
基材密着性が良好でも耐水接着性が不良だと、水浸漬後の接着力が低下したり、粘着剤層がSUS板側に移行(転着)してしまったりする。
【0058】
接着力の測定結果を表1に示す。
【0059】
(実施例2)
実施例1において得られた片面粘着シートの粘着剤層に、EPDM系シート状発泡基材の一方の面を重ね合わせることにより、粘着剤層付き発泡シートを得たこと以外は実施例1と同様の実験をおこなった。
【0060】
(実施例3)
アセトアセトキシエチルメタクリレート:0.2部の代わりに、ダイアセトンアクリルアミド:0.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、50%粒子径が1.1μmのモノマー含有組成物エマルジョンを得、同様にして重合、濾過し、不揮発分50.2%、粘度1200mPa・s(BL型粘度計、25℃で#2ロータ/30rpmにて測定)のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを得た。
尚、前記ラジカル重合性モノマーの組成から得られるポリマーの、理論的に求められるガラス転移は−57.1である。
次いで、得られたアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン中に含まれるアクリル系ポリマーと粘着付与樹脂との合計100重量部に対して、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド0.1重量部を混合、溶解させた。
これ以後、架橋剤配合前のアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンの重量100部を基準として、実施例1と同様に各添加剤を配合してエマルジョン型粘着剤を得、実施例1と同様の実験を行った。
【0061】
(比較例1)
実施例1において、モノマー含有組成物エマルジョンの50%粒子径を8μmに調整したこと以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0062】
(比較例2)
非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートを0.1部としたこと以外は実施例1と同様にして、モノマー含有組成物エマルジョンを得たが、撹拌を止めると直ちにラジカル重合性モノマーと粘着付与樹脂とを含有する層と水層とに分離したため、以降の重合は中止した。
【0063】
(比較例3)
非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートを2部としたこと以外は実施例1と同様にして、50%粒子径が1.2μmのモノマー含有組成物エマルジョンを得、同様にして重合、濾過し、不揮発分50.3%、粘度130mPa・sのアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョンを得た。
これ以後は実施例1と同様の実験を行った。
【0064】
(比較例4)
実施例1において用いた非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートを、反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩に変更したこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
【0065】
(比較例5)
粘着付与樹脂を、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):0.2部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):0.1部としたこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
【0066】
(比較例6)
粘着付与樹脂を、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):25部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):15部としたこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
【0067】
(比較例7)
粘着付与樹脂を、ロジン系樹脂である「スーパーエステルA−125」(荒川化学(株)製):5部、テルペン系樹脂である「YSレジンPX1250」(ヤスハラケミカル(株)製):10部としたこと以外は、実施例1と同様の実験を行った。
【0068】
(比較例8)
粘着付与樹脂を用いずに、実施例1と同様のラジカル重合性モノマーの混合物と、非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1部を用いて、50%粒子径が1.2μmのモノマーエマルジョンを得、以降は実施例1と同様にして、不揮発分49.3%、粘度1400mPa・s(BL型粘度計、25℃で#2ロータ/30rpmにて測定)のアクリル系ポリマーエマルジョンを得た。
得られたアクリル系ポリマーエマルジョンの粒子径分布は、粒子径0.150μmのみに極大値を有するピークに含まれる粒子が100(体積%)であり、それらの粒子径はすべて0.05μm以上0.4μm未満であった。
また、50%粒子径は0.185μmであった。
次いで、得られたアクリル系ポリマーエマルジョンの固形分100重量部に対して、エマルジョン化した軟化点150℃、平均粒子径0.51μmのロジン系粘着付与樹脂を固形分として15重量部添加し、混合した。
混合後、粒子径分布を実施例1と同様にして求めた。
これ以後は、アクリル系ポリマーエマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの混合物100部を基準として、実施例1と同様の実験を行った。
【0069】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状発泡基材(4)の少なくとも一方の面に、粘着剤層(3)が積層されてなる粘着剤層付き発泡シートであって、
前記粘着剤層(3)が、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤から形成されることを特徴とする粘着剤層付き発泡シート。
【請求項2】
粘着剤層(3)の、シート状発泡基材(4)には接していない方の面に、不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)、粘着剤層(6)がさらに積層されてなる粘着剤層付き発泡シートであって、
前記粘着剤層(3)と粘着剤層(6)は同一の粘着剤から形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の粘着剤層付き発泡シート。
【請求項3】
シート状発泡基材の厚さ方向の50%圧縮硬さが、0.05〜1N/cm2であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤層付き発泡シート。
【請求項4】
シート状発泡基材が、エチレン・プロピレン・ジエンゴム製であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の粘着剤層付き発泡シート。
【請求項5】
アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)が、全分散粒子の体積の合計100(体積%)中、0.05μm以上0.4μm未満の小粒径粒子の占める割合が60〜98(体積%)であり、0.4μm以上5μm以下の大粒径粒子の占める割合が40〜2(体積%)であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の粘着剤層付き発泡シート。
【請求項6】
剥離性シートに、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られるアクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、前記粘着剤層(3)にシート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法。
【請求項7】
剥離性シートに、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)の両面に、それぞれ前記粘着剤層(3)及び(6)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法。
【請求項8】
剥離性シートに、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
該芯材(5)に、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)に、シート状発泡基材(4)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法。
【請求項9】
剥離性シートに、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得る、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和モノマー(A)100重量部に対して、ロジン系粘着付与樹脂を60重量%以上含有する粘着付与樹脂(B)を6〜30重量部、非反応性界面活性剤(C)を0.2〜1.5重量部及び水を含有する、50%粒子径が2μm以下のモノマー含有組成物エマルジョン(1)を重合して得られる、アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(3)を形成し、該粘着剤層(3)上に、
不織布、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の芯材(5)を積層し、
他の剥離性シートに、前記アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン(2)を含有するエマルジョン型粘着剤を塗布、乾燥して、粘着剤層(6)を形成し、
該粘着剤層(6)にシート状発泡基材(4)を積層し、
次いで粘着剤層(6)上の剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層(6)に前記芯材(5)を積層することを特徴とする粘着剤層付き発泡シートの製造方法。


【公開番号】特開2007−224185(P2007−224185A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48080(P2006−48080)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】