説明

粘着剤組成物、粘着剤層、及び、粘着シート

【課題】剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染性が低減され、再剥離性に優れる粘着剤組成物、それを用いてなる粘着剤層、及び、粘着シートを提供する。
【解決手段】炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分として有し、酸価が1.0以下である(メタ)アクリル系ポリマーと、アルカリ金属塩と、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンとを含有し、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩及び前記オルガノポリシロキサンの合計が0.15〜4重量部である粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シートに関する。
【0002】
本発明の粘着剤組成物を用いた粘着シートは、静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられる。なかでも特に、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルムなどの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして有用である。
【背景技術】
【0003】
近年、光学部品・電子部品の輸送やプリント基板への実装に際して、個々の部品を所定のシートで包装した状態や、粘着テープを貼り付けた状態により、移送することが多々行われている。なかでも、表面保護フィルムは光学・電子部品の分野おいては、特に広く用いられている。
【0004】
表面保護フィルムは、一般的に支持フィルム側に塗布された粘着剤を介して被保護体に貼り合わせ、被保護体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止する目的で用いられる。例えば、液晶ディスプレイのパネルは、液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板などの光学部材を貼り合わせることにより形成されている。これらの光学部材は、表面保護フィルムが粘着剤を介して貼り合わされ、被保護体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止されている。そして、この表面保護フィルムは不要になった段階で剥離して除去される。
【0005】
一般に表面保護フィルムや光学部材はプラスチック材料により構成されているため、電気絶縁性が高く、摩擦や剥離の際に静電気が発生する。したがって、表面保護フィルムを偏光板などの光学部材から剥離する際にも静電気が発生してしまい、この際に生じた静電気が残ったままの状態で液晶に電圧を印加すると、液晶分子の配向が損失し、またパネルの欠陥が生じてしまうことがある。
【0006】
さらには、静電気の存在は、埃やクズを吸引したり、作業性低下などを引き起こす可能性を有している。そこで、上記課題点を解消するために、表面保護フィルムに各種帯電防止処理が施されている。
【0007】
これまでに、これらの静電気の帯電を抑制する試みとして、粘着剤に低分子の界面活性剤を添加し、粘着剤中から界面活性剤を被保護体に転写させて帯電防止する方法(たとえば、特許文献1参照)が開示されている。しかし、かかる方法においては、添加した低分子の界面活性剤が粘着剤表面にブリードし易く、表面保護フィルムに適用した場合、被保護体への汚染が懸念される。従って、低分子の界面活性剤を添加した粘着剤を光学部材用保護フィルムに適用した場合には、特に光学部材の光学特性を損なう可能性を有している。
【0008】
また、帯電防止剤を粘着剤層に含有させた粘着シート(たとえば、特許文献2参照)が開示されている。かかる粘着シートにおいては、粘着剤表面に帯電防止剤がブリードするのを抑制するために、プロピレングリコールとアルカリ金属塩からなる帯電防止剤をアクリル系粘着剤に添加している。しかし、かかる粘着シートを用いても、帯電防止剤などのブリード現象は避けられず、その結果、実際に表面保護フィルムに適用した場合に、経時や高温条件下の処理を施すと、ブリード現象により被保護体から表面保護フィルムが部分的に浮き上がる現象が発生してしまう可能性を有している。
【0009】
さらに、光学部材から該フィルムを剥離する際に、剥離に伴う歪み現象によって液晶セルの配向の乱れやセルギャップの拡大、液晶セルから光学部材が剥離するなどの不都合が発生しないように、容易に剥離できることが必要である。近年、液晶パネルの大画面化に伴い、保護フィルム自体も大面積化し、かつ、剥離速度が速くなる為にさらなる軽剥離化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−165460号公報
【特許文献2】特開平6−128539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、従来の帯電防止性粘着シートにおける問題点を解消すべく、剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染性が低減された、再剥離性に優れた粘着剤組成物、及び、前記粘着剤組成物を用いてなる粘着剤層、粘着シート、および、表面保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の粘着剤組成物は、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分として有し、酸価が1.0以下である(メタ)アクリル系ポリマーと、アルカリ金属塩と、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンとを含有し、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩及び前記オルガノポリシロキサンの合計が0.15〜4重量部である。本発明の粘着剤組成物を用いることにより、剥離した際に帯電防止処理がなされていない被着体(被保護体)に対して、帯電防止を図ることができ、被着体への汚染性の低減、再剥離性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。また、アルカリ金属塩と、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンを同時に用いることにより、イオン伝導性の効率を高めることになり、被保護体へ帯電特性を発現できると推測される。また、アクリル系ポリマーとの相溶性のバランスにより、ブリード現象による汚染を低減できると推測される。そして、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンにより、粘着剤表面の表面自由エネルギーが低下し、再剥離性を可能にしているものと推測される。
【0013】
本発明の粘着剤組成物は、前記オルガノポリシロキサンが、下記式により示されることが好ましい。
【化1】


(式中、Rは1価の有機基、R,R及びRはアルキレン基、もしくはRは水酸基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m,nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a,bが同時に0となることはない。)
【0014】
本発明の粘着剤組成物は、前記アルカリ金属塩が、リチウム塩であることが好ましい。
【0015】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分として、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。
【0016】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分として、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを5.0重量%以下含有することが好ましい。
【0017】
本発明の粘着剤層は、前記粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層であることが好ましい。
【0018】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を、支持フィルムの片面または両面に形成してなることが好ましい。
【0019】
本発明の粘着シートは、前記支持フィルムが、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムであることが好ましい。
【0020】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層の偏光板表面に対する、23℃×50%RH条件下で、剥離速度0.3m/minにおける180°ピール粘着力が、0.25N/25mm以下であり、23℃×50%RH条件下で、剥離速度30m/minにおける180°ピール粘着力が、3.0N/25mm以下であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例等で剥離帯電圧の測定に使用した電位測定部の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の粘着剤組成物は、モノマー成分として、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、アルカリ金属塩、及び、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有する粘着剤組成物であって、前記(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が、1.0以下であり、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩及び前記オルガノポリシロキサンの合計が0.15〜4重量部である。
【0024】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0025】
なお、本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーとしては、上記(メタ)アクリル系モノマーを含有し、粘着性を有する(メタ)アクリル系ポリマーであれば、特に限定されない。
【0026】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分としては、アルカリ金属塩との相溶性のバランスおよび優れた粘着特性が得られることから、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが用いられ、好ましくは、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである。前記(メタ)アクリレートとしては、1種または2種以上を主成分と使用することができる。
【0027】
炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーとしては、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として50〜99.9重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく、60〜95重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーがより好ましい。前記モノマー成分が前記範囲内にあると、粘着剤組成物に適度な濡れ性と凝集力を得る観点から好ましい。
【0028】
本発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0029】
なかでも、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0030】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーには、酸価が1.0以下である(メタ)アクリル系ポリマーを用いるものであり、好ましくは、酸価が0.5以下である。酸価が1.0を超える(メタ)アクリル系ポリマーでは、被保護体への粘着力が高くなり、帯電防止性が得られない場合がある。これらの現象は、(メタ)アクリル系ポリマー骨格中に、極性作用が大きいカルボキシル基が多数存在することにより、被保護体への粘着力が高くなるため、また、アルカリ金属イオンが、カルボキシル基と相互作用することにより、イオン伝導が妨げられ、導電効率が低下したためと推測される。よって、本発明においては、酸価を1.0以下にするため、カルボキシル基や、スルホネート基などの酸性官能基を有するアクリレートおよび/またはメタクリレートを構成単位として実質的に含まない(メタ)アクリレート系ポリマーを用いることが必要となる。具体的には、たとえば、2−エチルヘキシルアクリレートとカルボキシル基を有するモノマーであるアクリル酸を共重合した(メタ)アクリル系ポリマーを用いる場合、2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸の合計量100重量部に対して、アクリル酸は0.13重量部以下とすることにより、酸価は、1.0以下に調整することができる。
【0031】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーの酸価とは、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数のことをいう。
【0032】
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0033】
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、たとえば、カルボキシル基、スルホネート基、リン酸基、酸無水物基含有モノマーなどを有する(メタ)アクリレート以外の成分であれば特に限定することなく用いることができる。なかでも特に架橋の制御が容易に行えることからヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー)がより好ましく用いられる。
【0034】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における接着力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうる上述のカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基はアルカリ金属塩およびポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンと適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても好適に用いることができる。前記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0035】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを含む場合において、(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位100重量部に対して、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜8重量部であることがより好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。
【0036】
また、本発明において用いられる(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、上記モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。これらモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0038】
ビニルエステル類としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0039】
芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0040】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0041】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0042】
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0043】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0044】
ビニルエーテル類としては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0045】
本発明において、前記その他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分中0〜40重量%であることが好ましく、0〜35重量%であることがより好ましく、0〜30重量%であることが特に好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、アルカリ金属塩との良好な相互作用、および良好な再剥離性を適宜調節することができる。
【0046】
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分として、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを5.0重量%以下含有することが好ましい。
【0047】
また、前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーへのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、アルカリ金属塩との相溶性の観点から3〜40であることが好ましく、4〜35であることがより好ましく、5〜30であることが特に好ましい。上記平均付加モル数が3以上の場合、被保護体の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、上記平均付加モル数が40より大きい場合、アルカリ金属塩との相互作用が大きく、粘着剤組成物がゲル状となって塗工が困難となる傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
【0048】
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分5.0重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下であることがより好ましく、3.0重量%以下であることが特に好ましく、1.0重量%以下であることがなお好ましい。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が5.0重量%超えると、アルカリ金属塩との相互作用が大きくなり、イオン伝導が妨げられ、帯電防止性が低下することとなり、好ましくない。
【0049】
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、たとえば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
【0050】
また、さらに、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることがより好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーとアルカリ金属塩との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
【0051】
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
【0052】
前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0053】
また、前記反応性界面活性剤の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
【0054】
アニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(A1)〜(A10)で表されるものなどがあげられる。
【0055】
【化2】

【0056】
[式(A1)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0057】
【化3】

【0058】
[式(A2)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数からのアルキレン基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素またはアルキル基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素、アルキル基、ベンジル基またはスチレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0059】
【化4】

【0060】
[式(A3)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0061】
【化5】

【0062】
[式(A4)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0063】
【化6】

【0064】
[式(A5)中のRは炭化水素基、アミノ基、カルボン酸残基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の整数を表す。]。
【0065】
【化7】

【0066】
[式(A6)中のRは炭素数1から30の炭化水素基、Rは水素または炭素数1から30の炭化水素基を表し、Rは水素またはプロペニル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0067】
【化8】

【0068】
[式(A7)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0069】
【化9】

【0070】
[式(A8)中のRおよびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0071】
【化10】

【0072】
[式(A9)中のRは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0073】
【化11】

【0074】
[式(A10)中のR、R、およびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、Rは炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はRがないことを示す)を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0075】
上記式(A1)〜(A6)、および(A10)中のXは、アニオン性親水基を表す。アニオン性親水基としては、下記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
【0076】
【化12】

【0077】
[式(a1)中のMは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0078】
【化13】

【0079】
[式(a2)中のMおよびMは同一または異なって、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0080】
ノニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(N1)〜(N6)で表されるものなどがあげられる。
【0081】
【化14】

【0082】
[式(N1)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0083】
【化15】

【0084】
[式(N2)中のRは水素またはメチル基を表し、R、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数n、m、およびlは0〜40であって、(n+m+l)が3〜40となる数を表す。]。
【0085】
【化16】

【0086】
[式(N3)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0087】
【化17】

【0088】
[式(N4)中のRおよびRは同一または異なって、炭素数1から30の炭化水素基を表し、Rは水素またはプロペニル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0089】
【化18】

【0090】
[式(N5)中のRおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素、炭素数1から30の炭化水素基、またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0091】
【化19】

【0092】
[式(N6)中のR、R、およびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、Rは炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はRがないことを示す)を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0093】
また、アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの市販品としての具体的としては、たとえば、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマー50POEP−800B(以上、いずれも日本油脂社製)、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430(以上、いずれも花王社製)、アデカリアソープER−10、アデカリアソープNE−10(以上、いずれも旭電化工業社製)などがあげられる。
【0094】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万であることが望ましい。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0095】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下、好ましくは−10℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0096】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できる。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0097】
本発明の粘着剤組成物においては、前記(メタ)アクリル系ポリマー、及び、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンに加えて、アルカリ金属塩を含有する。また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩及び前記オルガノポリシロキサンの合計が0.15〜4重量部であり、好ましくは、0.2〜3重量部であり、より好ましくは、0.2〜2重量部であり、更に好ましくは、0.2〜1.5重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と低汚染性の両立がしやすいため、好ましい。
【0098】
また、前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合は、重量比で20:80〜50:50であることが好ましく、25:75〜45:55であることがより好ましく、30:70〜40:60であることが更に好ましく、30:70であることが特に好ましい。20:80未満であると十分な帯電特性が得られず、50:50を超えると粘度の上昇により、帯電防止溶液の調整が困難となる傾向がある。
【0099】
前記アルカリ金属塩としては、たとえば、Li、Na、Kよりなるカチオンと、Cl、Br、I、BF、PF、SCN、ClO、CFSO、(CFSO、(CSO、(CFSOよりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。より好ましくは、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOCなどのリチウム塩、さらに好ましくはLiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOCが用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0100】
上記粘着剤組成物において用いられるアルカリ金属塩の配合量については、前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で20:80である時、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、アルカリ金属塩を0.03〜0.8重量部配合することが好ましく、0.04〜0.6重量部配合することがより好ましく、0.04〜0.4重量部配合することがさらに好ましく、0.04〜0.3重量部配合することが特に好ましい。0.03重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、0.8重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0101】
また、前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で50:50である時、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、アルカリ金属塩を0.075〜2.0重量部配合することが好ましく、0.1〜1.5重量部配合することがより好ましく、0.1〜1.0重量部配合することがさらに好ましく、0.1〜0.75重量部配合することが特に好ましい。0.075重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、2.0重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0102】
前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で30:70である時、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、アルカリ金属塩を0.045〜1.2重量部配合することが好ましく、0.06〜0.9重量部配合することがより好ましく、0.06〜0.6重量部配合することがさらに好ましく、0.06〜0.45重量部配合することが特に好ましい。0.045重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、1.2重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0103】
上記粘着剤組成物において用いられる前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
【化20】


(式中、Rは1価の有機基、R,R及びRはアルキレン基、もしくはRは水酸基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m,nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a,bが同時に0となることはない。)
【0104】
前記オルガノポリシロキサンは、ポリオキシアルキレン側鎖の末端が水酸基であることがより好ましい。前記オルガノポリシロキサンを用いることにより、被保護体への帯電防止性を発現することができ、有効である。
【0105】
前記オルガノポリシロキサンの配合量については、前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で20:80である時、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンを0.12〜3.2重量部配合することが好ましく、0.16〜2.4重量部配合することがより好ましく、0.16〜1.6重量部配合することがさらに好ましく、0.16〜1.2重量部配合することが特に好ましい。0.12重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、3.2重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0106】
また、前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で50:50である時、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンを0.075〜2.0重量部配合することが好ましく、0.1〜1.5重量部配合することがより好ましく、0.1〜1.0重量部配合することがさらに好ましく、0.1〜0.75重量部配合することが特に好ましい。0.075重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、2.0重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0107】
前記アルカリ金属塩と前記オルガノポリシロキサンの含有割合が、例えば、重量比で30:70である時、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンを0.105〜2.8重量部配合することが好ましく、0.14〜2.1重量部配合することがより好ましく、0.14〜1.4重量部配合することがさらに好ましく、0.14〜1.05重量部配合することが特に好ましい。0.105重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、2.8重量部より多くなると汚染が発生する傾向があるため、好ましくない。
【0108】
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を指使用することができる。具体的には、式中のRはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基又はベンジル基、フェネチル基等のアルキル基で例示される1価の有機基であり、それぞれ水酸基等の置換基を有していてもよい。R、R及びRはメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基を用いることができる。ここで、R及びRは異なるアルキレン基であり、RはR又はRと同じであっても、異なっていてもよい。R及びRはそのポリオキシアルキレン側鎖中に溶解し得るアルカリ金属塩の濃度を上げるためにそのどちらか一方が、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基またはアセチル基、プロピオニル基等のアシル基で例示される1価の有機基であってもよく、それぞれ水酸基等の置換基を有していてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、水酸基などの反応性置換基を有していてもよい。上記ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンのなかでも、水酸基末端を有するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが相溶性のバランスがとりやすいと推測されるため好ましい。
【化21】

【0109】
上記オルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品としての商品名KF−351A、KF−353、KF−945、KF−6011、KF−889、KF−6004(以上、信越化学工業社製)FZ−2122、FZ−2164、FZ−7001、SH8400、SH8700、SF8410、SF8422(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4440,TSF−4445、TSF−4452、TSF−4460(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)、BYK−333、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0110】
本発明の粘着剤層は、上記粘着剤組成物を架橋してなることが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0111】
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などが用いられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0112】
イソシアネ−ト化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−トなどの低級脂肪族ポリイソシアネ−ト類、シクロペンチレンジイソシアネ−ト、シクロヘキシレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族イソシアネ−ト類、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−トなどの芳香族イソシアネ−ト類、トリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロ−ルプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名コロネ−トHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネ−ト付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0113】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0114】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工社製)、商品名TAZM(相互薬工社製)、商品名TAZO(相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0115】
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0116】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.5〜10重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となって偏光板と粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0117】
また、本発明において、架橋剤として、放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーを添加することができる。かかる場合には、放射線などを照射することにより粘着剤組成物を架橋させる。一分子中に放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、たとえば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基などの放射線の照射で架橋処理(硬化)することができる1種または2種以上の放射線反応性基を2個以上有する多官能モノマー成分があげられる。また、前記多官能モノマーとしては、一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0118】
前記多官能モノマーの具体例としては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどがあげられる。
【0119】
前記多官能モノマーの使用量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートの使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには一般的には、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜30重量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点から(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下で配合するのがより好ましい。
【0120】
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などがあげられるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に、以下に示す光重合開始剤を添加することができる。
【0121】
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0122】
光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0123】
また、光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0124】
前記光重合開始剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部配合し、0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。前記範囲内にあると、重合反応を制御しやすく、適度な分子量を得る観点から、好ましい。
【0125】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部配合するのが好ましく、0.1〜7重量部の範囲で配合するのがより好ましい。前記範囲内にあると、重合反応を制御しやすく、適度な分子量を得る観点から、好ましい。
【0126】
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、前記粘着剤組成物を、被保護体上に直接塗工するか、または支持基材の片面または両面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cmである紫外線を、光量200〜4000mJ/cm程度照射して光重合させることにより粘着剤層が得られる。
【0127】
さらに本発明の粘着剤や粘着シート等に用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0128】
また、本発明の粘着シートは、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を支持フィルムの片面または両面に形成してなることが好ましい。本発明の粘着シートによると、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被保護体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された粘着シートとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性粘着シートとして非常に有用となる。
【0129】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を支持フィルム上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルムなどに転写することも可能である。
【0130】
また、前記支持フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を支持フィルムに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持フィルム上に塗布して粘着シートを作製する際には、支持フィルム上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0131】
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0132】
本発明の粘着シートは、通常、上記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と接着性のバランスを得やすいため、好ましい。前記粘着シートは、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持フィルムの片面または両面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
【0133】
本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートを構成する支持フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記支持フィルムの厚みが、前記範囲内にあると、被着体への貼り合せ作業性と被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
【0134】
前記支持フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0135】
また、本発明の粘着シートは、前記粘着シートに用いられる粘着剤層の偏光板に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(引張速度0.3m/分)が、0.25N/25mm以下であることが好ましく、0.01〜0.2N/25mmであることがより好ましく、0.03〜0.15N/25mmであること更に好ましい。前記ピール粘着力(引張速度0.3m/分)が0.01N/25mm未満であると、剥離工程以外にも容易に剥がれてしまう可能性があり、好ましくない。一方、0.25N/25mmを超えると不要となった際の剥離作業性が劣るため好ましくない。
【0136】
また、偏光板に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(引張速度30m/分)が、3.0N/25mm以下であることが好ましく、0.1〜2.5N/25mmであることがより好ましく、0.2〜2.0N/25mmであることが特に好ましい。前記ピール粘着力(引張速度30m/分)が0.1N/25mm未満であると、剥離工程以外にも容易に剥がれてしまう可能性があり、好ましくない。一方、3.0N/25mmを超えると不要となった際の剥離作業性が劣り、剥離作業により被着体に損傷などを与える可能性があるため、好ましくない。
【0137】
また、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合は、前記粘着剤層を、支持フィルムの片面または両面に形成してなることが好ましく、更に、前記支持フィルムが、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムであることが好ましい。前記支持フィルムを用いることにより、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が抑えられるため、好ましい。なお、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被保護体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された表面保護フィルムとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。また、支持フィルムがプラスチックフィルムであり、前記プラスチックフィルムに帯電防止処理を施すことにより、表面保護フィルム自身の帯電を低減し、かつ、被保護体への帯電防止能が優れるものが得られる。
【0138】
また、前記支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に、可とう性を有するプラスチックフィルムであることがより好ましい。支持フィルムが可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0139】
前記プラスチックフィルムとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0140】
本発明においては、前記プラスチックフィルムに施される帯電防止処理としては特に限定されないが、一般的に用いられる基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチックフィルムに練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
【0141】
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0142】
カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0143】
アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0144】
両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0145】
ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0146】
導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0147】
前記導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。
【0148】
帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
【0149】
帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上述帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチックフィルムに塗布、乾燥することで形成される。
【0150】
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0151】
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる
【0152】
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては通常0.01〜5μm、好ましくは0.03〜1μm程度である。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0153】
前記導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
【0154】
前記導電性物質層の厚みとしては通常0.002〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。前期範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0155】
また、練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチックフィルムの総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチックフィルムに用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。
【0156】
本発明の粘着シートや表面保護フィルムには必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
【0157】
セパレーターを構成する材料としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0158】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0159】
本発明の表面保護フィルムは、前記表面保護フィルムに用いられる粘着剤層の偏光板に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(引張速度0.3m/分)が、0.25N/25mm以下であることが好ましく、0.01〜0.2N/25mmであることがより好ましく、0.03〜0.15N/25mmであること更に好ましい。前記ピール粘着力(引張速度0.3m/分)が0.01N/25mm未満であると、被着体から保護テープが剥離工程時以外にも容易に剥がれ、被着体に対する保護機能が損なわれてしまい、好ましくない。一方、0.25N/25mmを超えると被着体から保護テープが剥がれ難くなり、保護テープが不要になったときの剥離作業性か劣るため好ましくない。
【0160】
また、偏光板に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(引張速度30m/分)が、3.0N/25mm以下であることが好ましく、0.1〜2.5N/25mmであることがより好ましく、0.2〜2.0N/25mmであることが特に好ましい。前記ピール粘着力(引張速度30m/分)が0.1N/25mm未満であると被着体から保護テープが剥離工程時以外にも容易に剥がれ、被着体に対する保護機能が損なわれてしまい、好ましくない。一方、3.0N/25mmを超えると被着体から保護テープが剥がれ難くなり、保護テープが不要になったときの剥離作業性か劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0161】
本発明を用いた粘着剤組成物、粘着剤層、及び、粘着シート(表面保護フィルム等を含む)は、特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられる。このため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用に非常に有用となる。
【実施例】
【0162】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0163】
<酸価の測定>
酸価は、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−550)を用いて測定を行い、下記式より求めた。
【0164】
A={(Y−X)×f×5.611}/M
A:酸価
Y:サンプル溶液の滴定量(ml)
X:混合溶媒50gのみの溶液の滴定量(ml)
f:滴定溶液のファクター
M:ポリマーサンプルの重量(g)
【0165】
測定条件は下記の通りである。
サンプル溶液:ポリマーサンプル約0.5gを混合溶媒(トルエン/2−プロパノール/蒸留水=50/49.5/0.5、重量比)50gに溶解してサンプル溶液とした。
滴定溶液:0.1N、2−プロパノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬工業社製、石油製品中和価試験用)
電極:ガラス電極;GE−101、比較電極;RE−201
測定モード:石油製品中和価試験1
【0166】
<重量部平均分子量の測定>
重量部平均分子量は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
【0167】
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量部平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0168】
<ガラス転移温度の理論値>
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
【0169】
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート:−70℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート:−15℃
アクリル酸:106℃
【0170】
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)を参照した。
【0171】
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
【0172】
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
【0173】
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0174】
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz。
【0175】
<剥離帯電圧の測定>
粘着シートを幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板(厚み:2mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせたTAC偏光板もしくはAG偏光板(日東電工社製、SEG1425DU偏光板、AGS1偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)表面に片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。
【0176】
23℃×50%RHに一日放置した後、図1に示すように所定の位置にサンプルをセットする。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度30m/minとなるように剥離する。このときに発生する偏光板表面の電位を偏光板中央の位置に固定してある電位測定機(春日電機社製、KSD−0103)にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
【0177】
<汚染性の評価>
作製した粘着シートを、幅50mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、幅70mm、長さ100mmにカットしたTAC偏光板もしくはAG偏光板(日東電工社製、SEG1425DU偏光板、AGS1偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度でラミネートし、評価サンプルを作製した。
【0178】
評価サンプルを23℃×50%RHに一日放置した後、粘着シートを被着体から手で剥離し、その際の被着体表面の汚染状態を評価サンプル未貼付の被着体と比較しながら、目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
汚染が認められなかった場合:○
汚染が認められた場合:×
【0179】
<粘着力の測定>
TAC偏光板もしくはAGS1偏光板(日東電工社製、SEG1425DU偏光板、AGS1偏光板 幅:70mm、長さ:100mm)を23℃×50%RHの環境下に24時間放置した後、幅25mm、長さ100mmにカットした粘着シートを上記被着体に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度でラミネートし、評価サンプルを作製した。
【0180】
上記ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度0.3m/分、もしくは、剥離速度30m/分、剥離角度180°で剥離したときの粘着力を測定した。測定は23℃×50%RHの環境下でおこなった。
【0181】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
〔アクリル系ポリマー(A)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)理論値は、−68℃であり、実測値は−55℃、酸価は0.0であった。
【0182】
〔アクリル系ポリマー(B)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、反応性界面活性剤(花王社製、ラテムルPD−420)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、および酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(B)溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は41万以下、ガラス転移温度(Tg)の実測値は−53℃、酸価は0.0であった。
【0183】
〔アクリル系ポリマー(C)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、アクリル酸8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)の理論値は−66℃であり、実測値は−60℃、酸価は29.5であった。
【0184】
<帯電防止剤溶液の調製>
〔帯電防止剤溶液(a)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに過塩素酸リチウム(ナカライテスク社製)15重量部、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF−353 信越化学工業社製、HLB値は10)35重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(a)(20重量%)を調製した。
【0185】
〔帯電防止剤溶液(b)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに過塩素酸リチウム(ナカライテスク社製)15重量部、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF−6011 信越化学工業社製、HLB値は12)35重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(b)(20重量%)を調製した。
【0186】
〔帯電防止剤溶液(c)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコにトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(キシダ化学社製)15重量部、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF−353 信越化学工業社製、HLB値は10)35重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(c)(20重量%)を調製した。
【0187】
〔帯電防止剤溶液(d)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに過塩素酸リチウム(ナカライテスク社製)10重量部、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF−353 信越化学工業社製、HLB値は10)40重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(d)(20重量%)を調製した。
【0188】
〔帯電防止剤溶液(e)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに過塩素酸リチウム(ナカライテスク社製)25重量部、ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF−353 信越化学工業社製)25重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(e)(20重量%)を調製した。
【0189】
〔帯電防止剤溶液(f)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに過塩素酸リチウム(ナカライテスク社製)15重量部、ポリエチレングリコール(ジオール末端型、分子量2000)(和光純薬社製)35重量部、メタノール200重量部を仕込み、フラスコ内の液温を50℃付近に保って2時間混合攪拌を行い、帯電防止剤溶液(f)(20重量%)を調製した。
【0190】
<実施例1>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.05重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(1)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.075重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.175重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.25重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0191】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)を、帯電防止処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、T100G38)の帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シートを作製した。
【0192】
<実施例2>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(2)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(2)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0193】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0194】
<実施例3>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.20重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(3)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(3)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.3重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.7重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は1.0重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0195】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0196】
<実施例4>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.60重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(4)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(4)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.9重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は2.1重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は3.0重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0197】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0198】
<実施例5>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(B)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(5)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(4)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0199】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0200】
<実施例6>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(b)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(6)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(6)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0201】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0202】
<実施例7>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(c)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(7)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(7)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0203】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0204】
<実施例8>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(d)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(8)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(8)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.1重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.4重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は20:80であった。
【0205】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0206】
<実施例9>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(e)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX、100重量%)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(9)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(9)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.25重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.25重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は50:50であった。
【0207】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(9)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0208】
<比較例1>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記帯電防止剤溶液(a)を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法によりアクリル系粘着剤溶液(10)を調製した。
【0209】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(10)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0210】
<比較例2>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(f)(20重量%)0.1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(11)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(11)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリエチレングリコールの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリエチレングリコールの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリエチレングリコールの重量比は30:70であった。
【0211】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0212】
<比較例3>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(C)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.1重量部、架橋剤として1, 3−ビス(NN−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製、TETRAD−C)0.44重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.12重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(12)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(12)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.15重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.35重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0213】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(12)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0214】
<比較例4>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.02重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(13)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(13)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は0.03重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は0.07重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は0.1重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0215】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
<比較例5>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1.0重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.5重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(14)を調製した。なお、アクリル系粘着剤溶液(14)においては、アクリル系ポリマー100重量部に対するアルカリ金属塩(リチウム塩)の配合量は1.5重量部であった。アクリル系ポリマー100重量部に対するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの配合量は3.5重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの合計配合量は5.0重量部であった。アルカリ金属塩(リチウム塩)とポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンの重量比は30:70であった。
【0216】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(14)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0217】
上記方法に従い、作製した粘着シートの剥離帯電圧の測定、汚染性の評価、および粘着力の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0218】
【表1】

【0219】
上記表1の結果より、本発明によって作製されたポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンおよびアルカリ金属塩を含有してなる粘着剤組成物を用いた場合(実施例1〜9)、いずれの実施例においても、偏光板の剥離帯電圧の絶対値が1.0kV以下という低い値に抑制され、汚染が認められず、透明性を有することが確認できた。
【0220】
また、本発明の実施例1〜9の粘着シートは、剥離速度0.3m/minでの180°ピール粘着力が0.25N/25mm以下の範囲にあり、剥離速度30m/minでの180°ピール粘着力が3.0N/25mm以下の範囲にあり、再剥離型の表面保護フィルム用として適用可能な粘着シートであることがわかる。
【0221】
これに対して、アルカリ金属塩およびポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有していない場合(比較例1)、粘着力は低く、偏光板への汚染は認められなかったものの、剥離帯電圧の絶対値が1.0kVを超える高い値となった。ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンに代えてポリエチレングリコールを用いてなる場合(比較例2)、偏光板への汚染は認められなかったものの、TAC偏光板への粘着力が3.0N/25mm超え、AG偏光板への剥離帯電圧の絶対値が1.0kV以上という高い値となった。1.0以上の酸価を有するアクリルポリマーを用いてなる場合(比較例3)、偏光板への汚染は認められなかったものの、AG偏光板への剥離帯電圧の絶対値が1.0kV以上と高く、TAC偏光板への粘着力が3.0N/25mmを超える高い値となった。アルカリ金属塩およびポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンがアクリルポリマー100重量部に対して0.15重量部未満で配合された粘着剤組成物を用いた場合(比較例4)では、粘着力は低く、偏光板への汚染は認められないものの、剥離帯電圧の絶対値が1.0kV以上という高い値となった。アルカリ金属塩およびポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンがアクリルポリマー100重量部に対して4重量部超えて配合された粘着剤組成物を用いた場合(比較例5)では、剥離帯電圧は低く抑えられているものの、偏光板への汚染が認められた。従って、比較例ではいずれも、剥離帯電圧の抑制、偏光板への汚染の発生の抑制ならびに軽剥離性を並立することができない結果となり、帯電防止性粘着シート用の粘着剤組成物には適さないことが明らかとなった。
【0222】
よって、本発明の粘着剤組成物は、剥離した際の帯電防止性に優れるとともに、被保護体への汚染性が低減された、再剥離性に優れた粘着剤組成物であることが確認できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分として有し、酸価が1.0以下である(メタ)アクリル系ポリマーと、
アルカリ金属塩と、
ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンとを含有し、
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記アルカリ金属塩及び前記オルガノポリシロキサンの合計が0.15〜4重量部である粘着剤組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサンが、下記式により示される請求項1記載の粘着剤組成物。
【化1】


(式中、Rは1価の有機基、R,R及びRはアルキレン基、もしくはRは水酸基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m,nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a,bが同時に0となることはない。)
【請求項3】
前記アルカリ金属塩が、リチウム塩である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分として、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分として、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを5.0重量%以下含有する請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層。
【請求項7】
請求項6に記載の粘着剤層を、支持フィルムの片面または両面に形成してなる粘着シート。
【請求項8】
前記支持フィルムが、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムである請求項7記載の粘着シート。
【請求項9】
前記粘着剤層の偏光板表面に対する、23℃×50%RH条件下で、剥離速度0.3m/minにおける180°ピール粘着力が、0.25N/25mm以下であり、
23℃×50%RH条件下で、剥離速度30m/minにおける180°ピール粘着力が、3.0N/25mm以下である請求項7又は8記載の粘着シート。


【図1】
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【公開番号】特開2010−202692(P2010−202692A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46672(P2009−46672)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】