説明

粘着剤組成物及び粘着シート

【課題】優れた帯電防止性又は導電性を有し、エネルギー線を照射して硬化する場合に、その硬化後も優れた帯電防止性又は導電性を有する粘着剤組成物、及び粘着シートを提供する。
【解決手段】粘着剤中に、カーボンナノ材料が分散剤により分散されていることを特徴とする粘着剤組成物、及び、その粘着剤組成物からなる粘着剤層が基材シートの片面又は両面に設けられていることを特徴とする粘着シートであり、粘着剤組成物が、カーボンナノ材料の平均外周径が1〜1000nm、平均長さが10nm〜100μm、分散剤がエーテル骨格を有するポリマーであり、さらに、エネルギー線重合性基を有する化合物を含む粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関し、詳しくは半導体ウエハ加工などに用いられる帯電防止性または導電性を有する粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気部品、電子部品、半導体部品を生産する際に、ダイシングなどの処理工程において部品の固定や、回路などの保護を目的として粘着テープが使用されている。
このような粘着テープとしては、基材フィルムに再剥離性のアクリル系粘着層が設けられた粘着テープや、貼付後の処理工程においては強い剥離抵抗性があるが、剥離時には小さい力で剥離可能な光架橋型再剥離性粘着剤層が設けられた粘着テープなどがある。
【0003】
これらの粘着テープは、所定の処理工程が終了すると剥離されるが、このとき部品と粘着テープとの間に剥離帯電と呼ばれる静電気が発生する。この静電気による被着体への悪影響(例えば、回路の破壊)を抑えるため、基材フィルムの背面側を帯電防止処理した粘着テープや、粘着剤層へ帯電防止剤を添加混合した粘着テープ、基材フィルムと粘着剤層との間に帯電防止中間層を設けた粘着テープが使用されている。
【0004】
ところが、回路を形成する部品の基板がセラミックやガラスなどの絶縁材料である場合には、静電気の発生量が大きく、減衰に時間がかかる。このような場合には、前記粘着テープを用いても帯電防止性の効果が十分でなく、回路が破壊されてしまう可能性が大きかった。このため、上記部品の生産工程においては、例えば、イオナイザーなどの静電気除去装置をさらに使用して周囲環境における静電気を発生し難くしているのが実情である。
【0005】
しかしながら、上記の対策では十分な帯電防止効果が得られず、生産性が低く、また保護性も十分でないという問題があった。
また、粘着テープの剥離帯電の防止化は、基材フィルム側ではなく、粘着剤側に処理するのが効果的と考えられている。従来の帯電防止粘着剤としては、一般に銅粉、銀粉、ニッケル粉、アルミニウム粉などの金属粉などの導電性物質を粘着剤中に分散させたものが多用されているが、かかる帯電防止粘着剤において、優れた導電性を得るために、導電性物質粒子相互の接触が密になるように導電性物質を多量に含有させると粘着力が低下し、一方、粘着力を高めるために導電性物質の含有量を低減させると、上記各接触が不十分となって、導電性が低下するという二律背反の問題があった。
【0006】
これに対して、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルの何れか一方又は双方を粘着剤中に混合させた導電性粘着剤を、金属蒸着織布に塗布した粘着テープが提案されている(特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載されている粘着テープは、支持体層が金属蒸着織布であり、その導電性粘着剤は、汎用粘着テープに支持体として使用される樹脂フィルム材料への適応がなされておらず、支持体に樹脂フィルムを用いることで導電性が十分に発揮されない可能性がある。また、カーボンナノチューブは強い凝集性を示すので、カーボンナノチューブを単独で樹脂に混合させても、均一な分散が維持されず、性能が十分に発揮されない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−172582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、優れた帯電防止性又は導電性を有する粘着剤組成物、及び粘着シートを提供することを目的とする。さらに、エネルギー線を照射して硬化する場合に、その硬化後も優れた帯電防止性又は導電性を有する粘着剤組成物、及び粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、カーボンナノ材料が分散剤により粘着剤中に分散されること、およびそれにより上記課題が解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、粘着剤中に、カーボンナノ材料が分散剤により分散されていることを特徴とする粘着剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記粘着剤組成物において、カーボンナノ材料の平均外周径が1〜1000nm、平均長さが10nm〜100μmである粘着剤組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記粘着剤組成物において、分散剤がエーテル骨格を有するポリマーである粘着剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記粘着剤組成物において、粘着剤組成物が、エネルギー線重合性基を有する化合物を含む粘着剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記粘着剤組成物において、さらに、光重合開始剤を含む粘着剤組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記粘着剤組成物において、カーボンナノ材料を粘着剤組成物の固形分中0.05〜15質量%含有している粘着剤組成物を提供するものである。
また、本発明は、基材シートの片面又は両面に、上記記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が設けられていることを特徴とする粘着シートを提供するものである。
また、本発明は、上記粘着シートにおいて、粘着シートが半導体ウエハ加工に用いられるものである粘着シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘着剤組成物は、優れた帯電防止性又は導電性を有し、また、エネルギー線を照射して硬化する場合にも、その硬化後も優れた帯電防止性又は導電性を有する。さらに、本発明の粘着シートは、半導体ウエハなどの被着体に貼付された場合に、帯電防止性又は導電性に優れており、また、エネルギー線を照射して硬化する場合にも、その硬化後も優れた帯電防止性又は導電性を有し、半導体などの製造を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤と、カーボンナノ材料と、分散剤が含有されており、粘着剤中に、カーボンナノ材料が分散剤により均一に分散されている。ここで、均一に分散とは、粘着剤組成物及びそれを用いて形成された粘着剤層において、目視でカーボン材料が凝集することなく、分散している状態をいう。カーボンナノ材料が均一に分散していると、良好な帯電防止性又は導電性を発揮する。ここで、帯電防止性を有するとは、表面抵抗率が1013Ω/□未満であることをいい、導電性を有するとは、表面抵抗率が10Ω/□未満であることをいう。なお、粘着剤組成物がエネルギー線重合性基を有する化合物を含む場合、粘着剤組成物の硬化前及び/又は硬化後の表面抵抗率が前記の範囲であれば帯電防止性又は導電性を有するものとする。
【0014】
粘着剤は、水溶性粘着剤であってもよいし、有機溶剤可溶性粘着剤であってもよい。
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。合成ゴム系粘着剤の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0015】
アクリル樹脂系粘着剤の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主剤とするものである。(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種以上の単量体と、必要に応じて、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有化合物;アクリルアミドなどのアミド基含有化合物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族化合物などの共重合性単量体の1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。
【0016】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体における(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有割合は、50〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、30万〜250万が好ましく、40万〜150万がより好ましく、45万〜100万が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0017】
ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどを主剤とするものが挙げられる。ウレタン樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリオールと環状もしくは鎖状のイソシアネートの反応物を主剤とし、タッキファイヤーや可塑剤を添加した粘着剤などが挙げられる。シリコーン樹脂系粘着剤の具体例としては、ジメチルポリシロキサンなどを主剤とするものが挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの粘着剤のうち、アクリル樹脂系粘着剤が好ましく用いられる。特に、アクリル系共重合体を、ポリイソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などの架橋剤の1種以上で架橋させて得られるアクリル樹脂系粘着剤が好ましい。
【0018】
ポリイソシアナート系架橋剤としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。
【0019】
エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボキシアミノ)ジフェニルメタン、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリス〔1−(2−メチル)アジリジニル〕フォスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)アジリジニル〕トリフォスファトリアジン等が挙げられる。
【0020】
キレート系架橋剤としては、アルミニウムキレート、チタンキレート等が挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
本発明の粘着剤組成物をエネルギー線を照射することにより硬化させる場合は、粘着剤組成物中にエネルギー線重合性基を有する化合物を含有するエネルギー線硬化型粘着剤を用いる。
【0021】
エネルギー線重合性基を有する化合物としては、例えば、エネルギー線重合性基を有する粘着剤の主剤、エネルギー線重合性基を有するモノマーやオリゴマーなどが挙げられる。エネルギー線重合性基を有する粘着剤の主剤の例としては、分子中に前述の(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の水酸基やカルボキシル基(アクリル酸等)と反応する官能基及びエネルギー線重合性基を有する化合物を、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に付加させたものなどが挙げられる。このような化合物の例としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートやメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0022】
エネルギー線硬化型粘着剤に含有させるエネルギー線重合性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとしては、例えば、多官能アクリレート、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート等の2官能基以上を有する多官能のエネルギー線硬化型のアクリル系化合物が挙げられ、ウレタンアクリレート系オリゴマーやポリエステルアクリレート系オリゴマーが好ましく、ウレタンアクリレート系オリゴマーが特に好ましい。
【0023】
多官能アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリアリル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えばポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーの水酸基と(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得られるか、又はポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートの反応によって得られる末端イソシアネートポリウレタンオリゴマーに、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる。ここで、ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートなどが挙げられる。また、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
【0025】
ポリエステルアクリレート系オリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。
エネルギー線重合性基を有するオリゴマーの分子量(重量平均分子量)は、1000〜10万が好ましい。特に、ウレタンアクリレート系オリゴマーの分子量は、1000〜50000が好ましく、2000〜30000がより好ましい。
【0026】
エネルギー線重合性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
エネルギー線重合性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの含有量は、特に制限ないが、粘着剤組成物の固形分中5〜80質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましい。
ここで、固形分とは、粘着剤層を形成する際に、乾燥により除去される成分、具体的には、後述する溶剤や分散媒を除いた成分をいう。
【0027】
エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられる。紫外線を使用する場合は、硬化性組成物には、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物などの公知の光重合開始剤を用いることができ、また、オリゴマー型光重合開始剤を用いることもできる。
【0028】
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、エネルギー線重合性基を有する化合物100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。
【0029】
カーボンナノ材料は、好ましくは平均外周径が1〜1000nm、平均長さが10nm〜100μmであり、より好ましくは平均外周径が2〜100nm、平均長さが10nm〜50μmであり、さらに好ましくは平均外周径が3〜50nm、平均長さが100nm〜30μmである。
ここで、平均外周径と平均長さは、電子顕微鏡を用いてカーボンナノ材料の任意の100点につき各々測定した値の平均値とする。なお、平均外周径の測定は、カーボンナノ材料の長さ方向中央部について行う。
また、カーボンナノ材料の形状が同心円の断面形状を有する円筒形状である場合は、外周径は、外側の円周の直径を意味する。
また、カーボンナノ材料は、平均外周径に対する平均長さの比が、100〜5000であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましい。
【0030】
カーボンナノ材料の具体例としては、例えば、カーボンナノコイル、単層又は多層のカーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの内、単層又は多層のカーボンナノチューブが好ましく、多層のカーボンナノチューブが特に好ましい。
カーボンナノコイルは、平均外周径が10〜100nm、平均長さが10nm〜100μmであり、好ましくは平均外周径が10〜50nm、平均長さが10nm〜50μmであり、より好ましくは平均外周径が15〜40nm、平均長さが15nm〜30μmである。また、カーボンナノコイルは、平均外周径に対する平均長さの比が、200〜5000であることが好ましく、300〜3000であることがより好ましい。
【0031】
単層カーボンナノチューブは、平均外周径が1〜10nm、平均長さが10nm〜100μmであり、好ましくは平均外周径が1〜8nm、平均長さが10nm〜50μmであり、より好ましくは平均外周径が2〜7nm、平均長さが12nm〜30μmである。また、単層カーボンナノチューブは、平均外周径に対する平均長さの比が、1000〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。
【0032】
多層カーボンナノチューブは、平均外周径が10〜100nm、平均長さが10nm〜100μmであり、好ましくは平均外周径が10〜50nm、平均長さが10nm〜50μmであり、より好ましくは平均外周径が10〜30nm、平均長さが10nm〜30μmである。また、多層カーボンナノチューブは、平均外周径に対する平均長さの比が、200〜5000であることが好ましく、300〜3000であることがより好ましい。
【0033】
なお、カーボンナノコイルの形状は、円筒状の中空の繊維状のものであってもよいし、中空でない繊維状のものであってもよい。その末端形状は必ずしも円筒状である必要はなく、例えば円錐状など変形していても差し支えない。さらに、その末端は、閉じた構造であってもよいし、開いた構造であってもよい。また、カーボンナノチューブの形状は、一般に円筒状の中空の繊維状のものであるが、その末端形状は必ずしも円筒状である必要はなく、例えば円錐状など変形していても差し支えない。さらに、カーボンナノチューブの末端は、閉じた構造であってもよいし、開いた構造であってもよい。
カーボンナノチューブの市販品としては、イルジン・ナノテクノロジー社製の商品名「CVD−MWNT CM−95」などが好ましく挙げられる。
カーボンナノ材料の含有量は、粘着剤組成物の固形分中0.05〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0034】
分散剤は、水溶性分散剤であってもよいし、有機溶剤可溶性分散剤であってもよい。後述する分散媒が水性分散媒である場合は、水溶性分散剤が好ましく、分散媒が有機溶剤であれば、有機溶剤可溶性分散剤が好ましい。
分散剤としては、エーテル骨格を有するポリマーが好ましく、具体例としては、カルボキシル基含有ポリエーテル等のアニオン系ポリエーテル、アミノ基含有ポリエーテルなどのカチオン系ポリエーテル、ノニオン系ポリエーテル等が挙げられる。ポリエーテルの骨格としては、ポリオキシアルキレン基を有するものが挙げられ、具体的には、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリブチレンエーテル等のポリオキシアルキレンホモポリマー、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基などのアルキレンオキシド基を2種以上有するポリオキシアルキレンコポリマーなどが挙げられる。
これらの内、ノニオン系ポリエーテルがより好ましい。
【0035】
分散剤の重量平均分子量は、1000〜10万が好ましく、5000〜7万がより好ましい。ノニオン系ポリエーテルの好ましい市販品としては、フローレンNC−500(商品名、共栄社化学株式会社)などが挙げられる。
分散剤の含有量は、カーボンナノ材料100質量に対して、50〜1000質量部が好ましく、60〜500質量部がより好ましい。
【0036】
粘着剤中に、カーボンナノ材料を分散剤により均一に分散させるには、分散媒中に粘着剤、カーボンナノ材料、分散剤を混合して粘着剤分散液を得て、その粘着剤分散液をよく撹拌することが好ましい。
撹拌は、公知の撹拌方法で行うことが出来るが、特に好ましくは超音波振動を与えて撹拌することが好ましい。撹拌時間は、特に制限ないが、通常0.5〜5時間が好ましい。
【0037】
粘着剤中に、カーボンナノ材料を分散剤により、一層均一に分散させるには、予めカーボンナノ材料と分散剤を分散媒中に分散させてカーボンナノ材料分散液を得て、次いで、そのカーボンナノ材料分散液を粘着剤に混合することが好ましい。
分散媒としては、水性溶剤、有機溶剤等が挙げられ、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、イソブタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。これらの内、芳香族溶剤が好ましい。
【0038】
この場合、カーボンナノ材料分散液中のカーボンナノ材料の含有量は、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましく、0.2〜2.3質量%が特に好ましい。この場合、カーボンナノ材料分散液は、撹拌してカーボンナノ材料を均一に分散させることが好ましい。撹拌は、公知の撹拌方法で行うことが出来るが、特に好ましくは超音波振動を与えて撹拌することが好ましい。撹拌時間は、特に制限ないが、通常0.5〜5時間が好ましい。
【0039】
カーボンナノ材料分散液を粘着剤に混合する際に、粘着剤は溶剤あるいはエネルギー線重合性基を有するモノマー及び/又はオリゴマー中に分散又は溶解された粘着剤分散液又は粘着剤溶液の状態にしていることが好ましい。
溶剤としては、水性溶剤、有機溶剤等が挙げられる。粘着剤を塗布したのち乾燥する場合には、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、上記の分散媒における有機溶剤と同様なものが挙げられる。これらの内、芳香族溶剤が好ましい。溶剤の配合量は、要求される粘度になるように適宜選定すればよい。
【0040】
本発明の粘着シートにおいて、基材シートとしては、種々のプラスチックシート、フィルムが使用できる。基材シートの具体例としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂などの各種合成樹脂のシート、フィルムが挙げられ、特に、高強度であり安価であることから、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂より成るシート、フィルムが好ましい。基材シートは、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
なお、粘着剤としてエネルギー線硬化型粘着剤を用いる場合には、エネルギー線を透過する基材シートが好ましい。
【0041】
基材シートの厚みは、特に制限ないが、通常10〜350μmが好ましく、25〜300μmがより好ましく、50〜250μmが特に好ましい。
基材シートの表面は、易接着処理を施してもよい。易接着処理としては、特に制限ないが、例えば、コロナ放電処理等が挙げられる。
本発明の粘着シートにおいては、基材シートの片面又は両面に、上記粘着剤組成物からなる粘着剤層が形成されている。
粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、通常乾燥後の膜厚が3〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜60μmがさらに好ましい。
【0042】
基材シートの片面又は両面に、上記粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成するには、基材シートの片面又は両面に、上記粘着剤組成物を塗布して、必要に応じて乾燥することにより、形成できる。
上記粘着剤組成物の基材シートへの塗布方法は、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法など従来公知の方法が挙げられる。
乾燥は、通常20〜150℃で行うことが好ましい。
【0043】
本発明の粘着シートは、被着体に貼付して使用され、帯電防止性又は導電性が要求される分野であれば、その用途は限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着シートを被着体に貼付した後、エネルギー線を照射しない用途に使用することもできるし、粘着シートを被着体に貼付し、処理工程を経た後、エネルギー線を照射して、粘着力を低減して、被着体から剥離し、除去して使用することもできる。後者の用途としては、例えば、半導体ウエハを接着固定下に形成素子を小片に切断、分割し、その素子小片をピックアップ方式で自動回収するダイシング工程において、半導体ウエハの裏面に貼付してウエハを保持するために用いられる半導体ウエハ等のダイシングシートや、半導体ウエハの裏面研削工程において、半導体ウエハ表面を保護するために用いられる半導体ウエハ等の表面保護シートなどが挙げられる。
【0044】
照射されるエネルギー線としては、種々のエネルギー線発生装置から発生するエネルギー線が用いられる。例えば、紫外線としては、通常は紫外線ランプから輻射される紫外線が用いられる。この紫外線ランプとしては、通常波長300〜400nmの領域にスペクトル分布を有する紫外線を発光する、高圧水銀ランプ、ヒュ−ジョンHランプ、キセノンランプ等の紫外線ランプが用いられ、照射量は通常50〜3000mJ/cmが好ましい。
【実施例】
【0045】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)
(1)カーボンナノチューブ分散液の調製
多層カーボンナノチューブ(イルジン・ナノテクノロジー社製、商品名「CVD−MWNT CM−95」、円筒状の中空の繊維状形状、平均外周径(外側の円周の平均直径)12nm、平均長さ15μm、平均外周径(外側の円周の平均直径)に対する平均長さの比1250)、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン系ポリエーテル分散剤(共栄社化学株式会社、商品名「フローレンNC−500」)をそれぞれトルエンに添加し、超音波洗浄機(42kHz、125W)で2時間超音波による振動を与えて分散させ、カーボンナノチューブ及び分散剤の濃度がそれぞれ2質量%のカーボンナノチューブ分散トルエン溶液を調製した。なお、多層カーボンナノチューブの平均外周径(外側の円周の平均直径)及び平均長さの値は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名「S−4700」)を用いて、各々5万倍、15000倍の倍率で観察したものである。
【0046】
(2)粘着剤組成物の調製
粘着剤樹脂の主剤としてアクリル酸エステル共重合体樹脂(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=90/10(質量比)、重量平均分子量70万、溶剤トルエン、固形分濃度40質量%)100質量部に、イソシアナート系架橋剤(東洋インキ製造社製、商品名「オリバインBHS8515」、固形分濃度37.5質量%)10質量部、エネルギー線重合性基含有オリゴマーとしてウレタンアクリレート系オリゴマー(日本合成化学工業社製、商品名「UV−2250EA」、重量平均分子量10000、固形分濃度30質量%)70質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」)1.0質量部を混合し、次に、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液170質量部を配合して混合し、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は4.7質量%であった。
【0047】
(3)粘着シートの作成
上記(2)で調製した粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる基材シート(厚み50μm)の片面に、乾燥膜厚が15μmになるように塗布し、乾燥させ、粘着シートを作成した。
【0048】
(実施例2)
実施例1において、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液136質量部を配合して混合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は3.8質量%であった。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0049】
(実施例3)
実施例1において、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液102質量部を配合して混合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は2.9質量%であった。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0050】
(実施例4)
実施例1において、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液68質量部を配合して混合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は2.0質量%であった。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0051】
(実施例5)
実施例1において、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液257質量部を配合して混合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は6.8質量%であった。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0052】
(実施例6)
実施例1において、上記(1)で調製されたカーボンナノチューブ分散トルエン溶液370質量部を配合して混合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。粘着剤組成物の固形分中のカーボンナノチューブ含有量は9.2質量%であった。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0053】
(比較例1)
実施例1において、カーボンナノチューブ分散トルエン溶液を配合しないこと以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0054】
(比較例2)
実施例1において、(1)のカーボンナノチューブ分散トルエン溶液を調製しないで、カーボンナノチューブ5質量部を粘着剤に直接配合した以外は、実施例1と同様な方法で、粘着剤組成物を調製した。また、実施例1と同様な方法で、粘着シートを作成した。
【0055】
実施例及び比較例の粘着シートの分散性、表面抵抗率及び帯電圧を表1に示し、粘着力を表2に示した。
分散性、帯電圧、表面抵抗率及び粘着力は、以下に示す方法で測定し、評価した。
(1)分散性の評価
300mm×200mmのサイズの粘着シートを目視で観察し、以下に示す基準で評価した。
良好:カーボンナノチューブの凝集が見られない。
不良:カーボンナノチューブの凝集が見られる。
【0056】
(2)帯電圧の測定
40mm×40mmサイズの粘着シートを、電荷減衰測定装置((株)宍戸商会製、商品名「STATIC HONESTMER」)の上に設置し、1300rpmで回転させ、その回転中に粘着剤面に10kVの電圧を印加させて、60秒後の帯電圧を測定し、紫外線(UV)照射前の帯電圧とした。
また、同様な粘着シートを、フュージョンHバルブ240W/cm1灯付きベルトコンベア式紫外線照射機により、コンベアスピード10m/minの条件で10回(積算光量1000mJ/cm)、基材面から紫外線を照射し、その紫外線照射後の粘着シートの帯電圧を上記と同様な方法で測定した。
【0057】
(3)表面抵抗率の測定
100mm×100mmサイズの粘着シートを、表面抵抗計((株)ADVANTEST製、商品名「R8252 ELECTROMETER」)に設置し、粘着シートの粘着剤面の表面抵抗率を測定し、紫外線(UV)照射前の表面抵抗値とした。
また、同様な粘着シートを、フュージョンHバルブ240W/cm1灯付きベルトコンベア式紫外線照射機により、コンベアスピード10m/minの条件で10回(積算光量1000mJ/cm)、基材面から紫外線を照射し、その紫外線照射後の粘着シートの粘着剤面の表面抵抗率を上記と同様な方法で測定した。
【0058】
【表1】

【0059】
(4)粘着力の測定
実施例及び比較例の粘着シートを、直径8インチ、厚さ600μmのシリコンウエハの表面(鏡面)に貼付し、JIS Z0237に準じて180度剥離粘着力(UV照射前粘着力)を測定した。同様にして、シリコンウエハに粘着シートを貼付後、フュージョンHバルブ240W/cm1灯付きベルトコンベア式紫外線照射装置により、コンベアスピード10m/min(光量1000mJ/cm)の条件で基材面から紫外線を照射した後、30分間放置した後JIS Z0237に準じて180度剥離粘着力(UV照射後粘着力)を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
(5)ウエハダイシング試験
実施例1〜6の粘着シートを、直径8インチ、厚さ350μmのシリコンウエハの裏面に貼付し、以下の条件でウエハのダイシングを行った後、フュージョンHバルブ240W/cm1灯付きベルトコンベア式紫外線照射装置により、コンベアスピード10m/min(光量1000mJ/cm)の条件で基材面から紫外線を照射した後にダイシングにより得られたチップをピックアップした。いずれの粘着シートにおいても、ダイシング工程においてチップ飛びは起こらず、ウエハ及びチップを保持、固定することができた。また、紫外線照射後はチップを容易にピックアップすることができた。
【0061】
ダイシング条件
装置:東京精密社製、商品名「AWD−4008B」
ダイシングブレード:ディスコ社製、商品名「NBC−ZH2050 2HECC」
ブレード回転数:30000rpm
ダイシングスピード:100mm/秒
ダイシングサイズ(チップサイズ):10mm×10mm
カットモード:ダウンカット
【0062】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の粘着剤組成物は、帯電防止性又は導電性に優れており、帯電防止性又は導電性を要求される種々の用途に用いることが出来る。また、本発明の粘着シートは、帯電防止性又は導電性を要求される種々の用途に用いることができ、特に、半導体ウエハ等のダイシングシートや、半導体ウエハ等の表面保護シートなどとして好ましく用いることが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤中に、カーボンナノ材料が分散剤により分散されていることを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
カーボンナノ材料の平均外周径が1〜1000nm、平均長さが10nm〜100μmである請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
分散剤がエーテル骨格を有するポリマーである請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
粘着剤組成物が、エネルギー線重合性基を有する化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
さらに、光重合開始剤を含む請求項4に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
カーボンナノ材料を粘着剤組成物の固形分中0.05〜15質量%含有している請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
基材シートの片面又は両面に、請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が設けられていることを特徴とする粘着シート。
【請求項8】
粘着シートが半導体ウエハ加工に用いられるものである請求項7に記載の粘着シート。

【公開番号】特開2010−163587(P2010−163587A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40033(P2009−40033)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】