説明

粘着性フィルム

【課題】使用者がフィルムを手で伸ばす前は、粘着性がなく、フィルムを手で伸ばすことにより高い粘着性を発揮する粘着機能と、合紙を使うことなくロール状での保管が可能となり、100℃以下に加熱される可能性のある被包装物を包装することが可能となる耐熱機能を同時に提供すること。
【解決手段】スチレン含量が20重量%以下のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体60重量%以上90重量%以下、融点が90℃以上120℃以下のフィッシャートロプシュワックス5重量%以上20重量%以下、ポリエチレン5重量%以上20重量%以下からなり、50μm以上300μm以下の厚みで、かつフィッシャートロプシュワックスがフィルム表面に存在する粘着フィルム及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、雑貨等の密閉包装に好適な粘着フィルムであり、さらに詳細には、ロール状に巻かれたフィルムを繰出する際には、粘着性が低く取り扱いに優れると共に、使用者が包装するために、被包装体の形状に合わせてフィルムを手で伸ばした際には、ガラス、プラスチック、金属等には高い粘着性を発現し、かつロール状での保管や密閉包装時の耐熱性に優れた自己粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、食品、雑貨等の密閉包装に使用される粘着性フィルムとして、ポリイソブチレンとポリエチレンからなるフィルムが知られている。例えば特許文献1には、このフィルムは、柔軟性および弾力性があり、包装に適していると記載されている。この実施例では、ポリエチレンとポリイソブチレンの混合物に対して、パラフィンワックスを添加することも提案されている。
特許文献2には、これらの組成中、パラフィンワックスについて、イソパラフィン組成比を11重量%以下にすることが提案されている。このフィルムは、成型された状態では粘着性を有さず、冷延伸によりはじめて粘着性が発現することが記載されている。
特許文献3には、従来技術では、高圧重合による低密度ポリエチレンを使用しているのに対して、直鎖状の低圧重合ポリエチレンを用いることにより、透明性が改良できることを提案している。
【0003】
特許文献4では、上記のようなフィルムを巻体として保存しておくと、フィルム同士が粘着するいわゆるブロッキングの解決法を提案している。従来は、このブロッキングに対して合紙を重ねて巻体としていたが、フィルムにエンボス模様をつけることにより、巻体でのブロッキングを解消することを提案している。
しかしながら、上記の技術では、フィルムの耐熱性に乏しく、可能な用途が限定されることや、エンボス模様をつけることにより、包装内部の視認性に劣る問題点が挙げられる。
【特許文献1】米国特許第2,339,958号明細書
【特許文献2】特開昭51−122153号公報
【特許文献3】特開昭58−187444号公報
【特許文献4】特開昭62−161531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、成型された状態のフィルムは粘着性を有さず、被包装体の形状に合わせてフィルムを手で伸ばすことにより(この操作はしばしば、冷延伸、とも呼ばれている)はじめて粘着性を発現し、かつ低応力にて手で伸ばすことが可能であり、かつ、耐熱性を有するフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)スチレン含量が20重量%以下のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体60重量%以上90重量%以下、融点が90℃以上120℃以下のフィッシャートロプシュワックス5重量%以上20重量%以下、及びポリエチレン5重量%以上20重量%以下からなり、50μm以上300μm以下の厚みを有し、かつフィッシャートロプシュワックスがフィルム表面に存在する粘着フィルム。
(2)フィッシャートロプシュワックスの融点が110℃以上である(1)に記載の粘着フィルム。
(3)スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体60重量%以上90重量%以下、フィッシャートロプシュワックス5重量%以上20重量%以下、及びポリエチレン5重量%以上20重量%以下からなる組成物を押出機にて溶融混錬した後、流路壁面の剪断速度が、1SEC-1から20SEC-1の範囲にて、剪断速度を一定に保つか、連続的に変化させながら、樹脂温度160℃から250℃、滞留時間5秒から20秒の条件で流路を通過させて、フィッシャートロプシュワックスをフィルム表面に存在させることからなる(1)に記載の粘着フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフィルムは、使用前のロールに巻かれた状態では粘着性を有さず、使用時に被包装体に形状に合わせて手で伸ばすことによりはじめて粘着性を発現し、かつ、耐熱性に優れ、使用前の巻かれた状態では、50℃以下の高温に放置してもブロッキングせず、使用時も100℃以下の被粘着物に溶着しない特性を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
包装用には、ポリエチレンを主原料としたフィルムが広く使用されている。使用者が複雑な形状に沿わせてフィルムで包装するためには、フィルムの伸びを求められるが、ポリエチレンフィルムの場合、被包装体の形状に合わせて手でフィルムを伸ばすために高い応力を必要とし、応力を開放すると形状が戻る弾性変形特性を有しており、複雑な形状の包装には適していない。
そこで、ポリエチレンに高分子量の無定形ゴムであるポリイソブチレンと低融点のパラフィンワックスを添加することによって、室温付近で被包装体の形状に合わせてフィルムを手で伸ばすことを可能とし、かつ、伸ばす応力を開放しても形状が保持される塑性変形特性を付与したフィルムが提供されている。しかし、これらの成分の添加によりフィルムの耐熱性が低下し、フィルム同士のブロッキングや、高温時の使用にてフィルムが被包装体に融着するという問題が発生している。
【0008】
また、このフィルムは、ポリイソブチレン由来の粘着性が付与されている一方、パラフィンワックスは、滑剤としての機能を有し、粘着を阻害する性能を有している。そこで、ポリイソブチレンとパラフィンワックスの配合比により、フィルムの粘着性の調整が行われている。
さらに、これらのフィルムは、冷延伸前は粘着性がなく、冷延伸することにより粘着性が発現することが報告されている。しかしながら、その機構やフィルムの製法について記載されたものはない。冷延伸前のフィルムは、冷延伸後のフィルムに比べて厚みがあるため、被包装体に対する形状追従性に劣り、また、延伸により表面平滑性が向上することは当業者ではよく知られている。これらのことから、冷延伸により、フィルムが薄くなることにより形状追従性が向上することと、冷延伸により表面平滑性が向上する二つの効果により、接触面積が向上し、粘着性が向上するものと考えられる。
【0009】
本発明者らは、従来技術の特徴である容易にフィルムを手で伸ばすことができる機能を保持しながら、従来技術では達成できなかった耐熱性をフィルムに付与する手段の研究を重ねた結果、ポリエチレンに対して、スチレン含量が20重量%以下のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とフィッシャートロプシュワックスを添加することにより、上記課題を解決することを見出した。
すなわち、フィルムを手で伸ばす際は、ブロック共重合体のソフトセグメント部分であるポリイソプレンブロック部分をさらにフィッシャートロプシュワックスにて可塑化することにより、低応力での塑性変形が可能となる。高温条件下では、高いガラス転移点を有するポリスチレンブロック部分が共重合体の分子鎖全体の動きを制限する。これにより、容易にフィルムを手で伸ばすことができる特性と耐熱性を付与することができる。
【0010】
フィルム表面に存在するフィッシャートロプシュワックスは、フィルムを二倍以上に伸ばすと延伸に追従せず、容易に分離破壊する特性を有する。さらに、後述する成膜法を用いることにより、フィッシャートロプシュワックスをフィルム表面に存在させることが可能になる。その結果、フィッシャートロプシュワックスがフィルムの表面保護層となり、伸ばす前のフィルムは滑り性に優れる特性を有する。このフィルムを手で伸ばすことにより表面保護層が破壊して、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体を主とする粘着層が露出して、粘着性が発現する。
本発明のフィッシャートロプシュワックスがフィルム表面に存在する態様は図1及び2に示すとおりである。図1は、フィルム1の表面上にフィッシャートロプシュワックス層2が存在することを示し、図2は、フィルム1内の最外層にフィッシャートロプシュワックス層3が主成分として存在している。図1及び2の態様が混在していてもよい。フィッシャートロプシュワックス層2及び3の厚みは限定されない。フィルムの表面にフィッシャートロプシュワックスが存在すれば、本発明の目的が達成される。
【0011】
本発明のフィルムの特徴は、フィルムを手で伸ばした際に、表面に存在するフィッシャートロプシュワックスの層が破壊して、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体を主とする粘着層が露出することにある。従って、手で伸ばす前に比べて、伸ばした後は、フィルムの表面は粗くなる傾向にある。フィルムを伸ばした後に良好な粘着性を発現させる上で、縦方向に3倍、横方向に3倍、手で伸ばした後のフィルム表面の算術平均粗さ(Ra)は5μm以下が好ましい。
フィルムの表面粗さは、非接触方式により測定する。レーザーテック株式会社製走査型レーザー顕微鏡1LM21Dを使用し、光源には、波長633nmのHe−Neレーザーを用いた。視野は270ミクロン×270ミクロン、分解能は0.25ミクロンの条件で測定する。この測定により得られたデータを、JIS B0601−1994に記載の算術平均粗さ(Ra)に従い算出する。
【0012】
ワックスは、天然物から抽出された天然ワックスとモノマーを重合した合成ワックスがある。天然ワックスに分類される石油ワックスが最も一般的であり、これは、原油を精製する際、減圧蒸留工程から分離精製したものである。石油ワックスのなかでも、減圧蒸留留出油から分離精製したパラフィンワックスが最も多く使用されている。しかし、パラフィンワックスは、融点が45℃から70℃の範囲にあり、耐熱性に劣る。
合成ワックスのなかでは、ポリエチレンワックスが一般的である。これは、ポリエチレンを重合する際に得られる低分子量副生物である。ポリエチレンワックスは、融点が90℃以上と高いことと、分子量が2000以上と高いことが特徴である。
【0013】
フィッシャートロプシュワックスとは、フィッシャートロプシュ触媒を用いて天然ガスから重合される合成ワックスである。90から95重量%のノルマルパラフィンと、それ以外の末端に三級炭素やメチル基を持つ炭化水素からなる。この製品は、下記の記載するパラフィンワックスと比較して、高融点、低粘度と高い硬度を特徴とする。
本発明で用いるフィッシャートロプシュワックスは、融点が90℃以上120℃以下である。この融点は、JIS K 2235.3の方法により測定する。90℃未満の融点のフィッシャートロプシュワックスでは、フィルムの耐熱性を損なう。120℃を超える融点のフィッシャートロプシュワックスでは、成形加工時の溶融粘度が高く、フィッシャートロプシュワックスが樹脂と均一に混合され、フィルム表面に存在しない。動粘度は、120℃にて8mm/秒以上14mm/秒以下が好ましい。動粘度は、JIS K 2283の方法により測定する。140℃での動粘度が8mm/秒未満の場合、高温にて放置するとフィッシャートロプシュワックスの一部が被包装体への移行することがある。140℃での動粘度が14mm/秒以上の場合、フィッシャートロプシュワックスの粘度が高く、フィッシャートロプシュワックスが樹脂と均一に混合され、フィルム表面にフィッシャートロプシュワックス存在しない部分が発生する。
【0014】
フィッシャートロプシュワックスの割合が5重量%未満の場合は、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とポリエチレンが可塑化されず、手でフィルムを伸ばす際の必要応力が高くなる。フィッシャートロプシュワックスの割合が20重量%を超える場合は、フィルム表面に過剰にフィッシャートロプシュワックスが存在し、手でフィルムを伸ばした後の粘着性を阻害する。
ポリエチレンとしては、高圧重合による低密度ポリエチレン、低圧重合による直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。さらに好ましくは、密度が0.920から0.930 g/cm、MIが1.0から5.0g/10分の範囲の高圧重合による低密度ポリエチレンである。
【0015】
ポリエチレンの割合が5重量%未満の場合は、耐熱性に劣る。ポリエチレンの割足が20重量%を超えると、手でフィルムを伸ばす際の必要応力が高くなる。
本発明のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とは、Aがスチレンの重合体、Bがイソプレンの重合体からなる、ABA型ブロック共重合体であり、かつ、スチレン含量が20重量%以下である。スチレン含量が20重量%を超えるスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体を用いた場合、手でフィルムを伸ばす際の必要応力が高くなる。
スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体は、190℃、2.16kg荷重条件でのMFRが、2g/10minから15g/10minの範囲が好ましい。この範囲を超えると、フィッシャートロプシュワックスがフィルム表面に存在しない部分が発生する。
【0016】
スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の割合が60重量%未満の場合は、フィルムを手で伸ばすための必要応力が高くなる。スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体が90重量%を超えると、ポリエチレンとフィッシャートロプシュワックスの合計量が10重量%未満となり、ポリエチレン又はフィッシャートロプシュワックスの機能を発揮させることができない。
本発明のフィルムの厚みは、食品、雑貨などの包装に好適な50μm以上300μm以下である。厚みの大きいフィルムは、一般にシートと呼ばれる範疇に含まれる場合もあるが、本明細書では、上記の厚みを持つものをフィルムと呼ぶ。
【0017】
本発明のフィルムは、例えば、以下の方法により製造することができる。
スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とポリエチレンからなる樹脂成分は、押出機内での溶融時には高い粘度特性を示す。フィッシャートロプシュワックスは、一般に、分子量が1000以下であることから、160℃以上の押出加工温度では低粘度の流体となる。押出機のスクリュー内では、混錬によりこれらは均一に混合される。
混合物は、スクリュー先端以降では、円管等の流路を通過してスリット形状のダイリップまで導かれる。このような流路では、流路断面中央部は剪断速度がゼロとなり、流路壁面では、最大の剪断速度を示す。本発明においては、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、ポリエチレン及びフィッシャートロプシュワックスの混合物を用いることにより、粘度の高いスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とポリエチレンは剪断速度の低い流路中央部に多く存在する。一方、粘度の低いフィッシャートロプシュワックスは、剪断速度の高い流路壁面部分に多く存在する。すなわち、Tダイ、円環ダイ等のスリットから押出されたフィルムは、外側にフィッシャートロプシュワックスが過多に存在し、フィルムの内部には、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とポリエチレンが過多に存在する構造が得られる。
【0018】
本発明のフィッシャートロプシュワックスを表面に存在させるための流路は、流れ方向に垂直な断面形状が一定、又は連続的に変化している。図3及び4に、本発明で使用される流路の例の模式図、図5に通常の流路の例の模式図を示す。図3は、断面形状が円であり、流れ方向に沿って形状および面積を一定に保たれている。図4は、断面が円であり、流れ方向に沿って、面積が連続的に変化している。
通常の押出機では、溶融混合物中の異物を除去するために金網などのフィルターが流路に組まれている。流体がフィルターを通過する際、圧力損失が大きくなるため、圧力損失を小さくするためにフィルター部分の流路断面積を大きくしている。具体的には、図5に示すように、流路断面積が不連続に変化している。この場合、フィッシャートロプシュワックスが樹脂内部に取り込まれ、表面にはフィッシャートロプシュワックスは存在しない。
【0019】
本発明のフィッシャートロプシュワックスを表面に存在させるための流路の断面形状は、例えば円、楕円、多角形、これらを複合した形状であり、好ましくは円又は楕円である。
溶融混合物の流路壁面の剪断速度が1SEC−1未満の場合、フィッシャートロプシュワックスがフィルムの表面保護層として十分に機能しない。剪断速度が20SEC―1を超える場合、流路通過時の剪断によりフィッシャートロプシュワックスがフィルム内部に取り込まれるため、この場合も、フィッシャートロプシュワックスがフィルムの表面保護層として十分に機能しない。したがって、製造されたフィルム自体が粘着性を有し、平滑性が劣る。
【0020】
溶融混合物の流路での滞留時間が5秒未満の場合、フィッシャートロプシュワックスがフィルムの表面保護層として十分に機能しない。滞留時間が20秒を越えると、流路内で樹脂が分解劣化し、フィルムが着色する。
流路を通過する樹脂温度が160℃未満の場合、樹脂部分が半溶融状態で粘度が不均一となり、フィッシャートロプシュワックスがフィルムの表面保護層として十分に機能しない。樹脂温度が250℃を超える場合は、樹脂が分解劣化し、フィルムが着色する。
本発明で規定する剪断速度とは、流体をニュートン流体として、流路壁面の剪断速度を算出する。流路断面が円の場合は、(4×Q)/(π×r)の式にて算出する。流路断面がスリットの場合は、(6×Q)/(π×t)の式にて算出する。断面が、それ以外の場合は、(2×Q×B)/(A)の式にて算出する。Qは、流路を通過する容積流量、rは流路半径を示す。Wはスリット幅、tはスリットの開度を示す。Aは流路断面積を示す。Bは、流路の周長さを示す。
【0021】
本発明によると、ニーダー、混錬ロール、ミキサー等の通常の混錬方法にて予備混合した原料が用いられる。この原料を単軸押出機、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機、多軸押出機等で溶融する。スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体とポリエチレンを押出機に投入し、押出機バレル途中から予め加熱し液状にしたフィッシャートロプシュワックスをプランジャーポンプ等で添加して、押出工程で混錬してもよい。
必要に応じて、ギアポンプやフィルター等を押出機以降に取り付けてもよい。ただし、このような剪断速度が急激に変化する流路以降に、流路壁面の剪断速度が、1SEC-1から20SEC-1の範囲にて、剪断速度を一定に保つか、連続的に変化させながら、樹脂温度160℃から250℃にて滞留時間5秒から20秒の条件で流路を通過させて、そのままTダイもしくは円環ダイのリップから溶融物を押出すことが必要である。これを、キャストロールもしくは、冷風にて急冷させてフィルムを固化し、巻き取る。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明の内容をこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる測定法は以下のとおりである。
室温にてフィルムを手で伸ばす特性:
幅10mm、長さ200mmに切り取ったフィルムを23℃相対湿度50%の環境下、初期チャック間100mm、引張速度300mm/分にて、引張応力を測定する。伸度800%時の引張応力を測定し、その結果から下記の◎、○、×の評価を実施した。
◎:800%まで、フィルムが破断せず手で伸ばすことが可能であり、かつその間の最大応力が、10MPa以上40MPa未満の範囲である。
【0023】
○:800%まで、フィルムが破断せず手で伸ばすことが可能であり、かつその間の最大応力が、40MPa以上50MPa未満の範囲である。
×:800%まで、フィルムが破断せず手で伸ばすことが可能であり、かつその間の最大応力が、50MPa以上、もしくは10MPa未満である。あるいは、800%の伸度に達する前に、フィルムが破断する。
【0024】
耐熱性:
予め設定した温度に加熱しておいたステンレス鋼板にフィルムを貼付、1分間放置する。その後、フィルムが、鋼板から剥離可能な上限温度を耐熱温度とした。設定温度は、10℃間隔にて設定した。その評価を◎、○、×にて評価した。
◎:100℃以上
○:80℃および90℃
×:70℃以下
【0025】
粘着性:
幅20mm、長さ100mmに切り取ったフィルムをガラス板に貼付、剥離角を90°に固定して100mm/分の速度にて剥離させた応力を測定する。
◎:フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、8cN以下であり、かつMD方向に3倍かつTD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、16cN以上であり、かつ剥離させた時、ガラスにフィルムの一部が残らない。
○:フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、8cNより大きく、10cN以下であり、かつMD方向に3倍かつTD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、16cN以上であり、かつ剥離させた時、ガラスにフィルムの一部が残らない。もしくは、フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、8cN以下であり、かつMD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、14cN以上16cN未満であり、かつ剥離させた時、ガラスにフィルムの一部が残らない。
×:フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、10cNを超えること、もしくは、MD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、14cN未満であること。もしくは、フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、10cN以下であり、かつMD方向に3倍かつTD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、16cN未満である。もしくは、フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、10cN以下であること。かつ、MD方向に3倍かつTD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、16cN未満であること。もしくは、フィルムを手で伸ばす前の剥離応力が、10cN以下であり、かつ、MD方向に3倍かつTD方向に3倍室温にてフィルムを手で伸ばした後の剥離応力が、16cN未満であること。もしくは、フィルムを手で伸ばす前後問わず、粘着・剥離させた時に、フィルムの一部がガラス面に残る。
【0026】
[実施例1]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ L/D30の単軸押出機に原料として投入した。押出機先端に、直径8mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。
この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は4.4SEC―1、流路の滞留時間は18.2秒であった。溶融樹脂をこの流路を通過させた後、200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたシートを、内部を通水したキャストロールと接触させ、冷却させた。この方法により得られた厚さ120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0027】
[実施例2]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を88重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を6重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を6重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。
実施例1と同じ方法により、厚さ120μmのフィルムを得た。こフィルムについて室温にてフィルムを手で伸ばす特性、で耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0028】
[実施例3]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を65重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を17重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を18重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。
実施例1と同じ方法により厚さ120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0029】
[実施例4]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックスFT115を8重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を12重量%、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。
実施例1と同じ方法により、厚さ120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0030】
[実施例5]
実施例1と同条件にて、均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ L/D30の単軸押出機に原料として投入した。さらに、押出機先端に、直径6mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は10SEC―1、この流路の滞留時間は10秒であった。
この流路を通過させた後、溶融樹脂を200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたフィルムを、内部を通水したキャストロールと接触させて冷却した。この方法にて、得られた120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0031】
[実施例6]
実施例1と同条件にて、均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ、L/D30の単軸押出機に原料として投入した。押出機先端に、直径5mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は18SEC―1、流路の滞留時間は7秒であった。この流路を通過させた後、溶融樹脂を200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたフィルムを、内部を通水したキャストロールと接触させて冷却した。この方法にて得られた厚さ120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0032】
[比較例1]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を92重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を4重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を4重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ、L/D30の単軸押出機に原料として投入した。
押出機先端に、直径8mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は4.4SEC―1、流路の滞留時間は18.2秒であった。
この流路を通過させた後、溶融樹脂を200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたフィルムを、内部を通水したキャストロールと接触させて冷却した。この方法にて得られた厚さ120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0033】
[比較例2]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を50重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を25重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を25重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0034】
[比較例3]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を65重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックスFT115を25重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を15重量%、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、厚さ120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0035】
[比較例4]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を3重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を17重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、厚さ120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0036】
[比較例5]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を65重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックスFT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を25重量%、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0037】
[比較例6]
日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)3520を87重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を3重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0038】
[比較例7]
比較例1と同条件にて、均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ、L/D30の単軸押出機に原料として投入した。さらに、押出機先端に、直径4mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は35SEC―1、流路の滞留時間は、4.6秒であった。この流路を通過させた後、溶融樹脂を200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたフィルムを、内部を通水したキャストロールと接触させて冷却した。この方法にて得られた120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0039】
[比較例8]
比較例1と同条件にて均一混合物を得た。これを、粉砕し、押出口径20mmφ、L/D30の単軸押出機に原料として投入した。さらに、押出機先端に、直径4mmφ、長さ80mmの円柱状の流路を設けた。この流路の通過速度は13cc/分、流路壁面の剪断速度は1.3SEC―1、この流路の滞留時間は41秒であった。この流路を通過させた後、溶融樹脂を200mm幅のTダイに導いた。このTダイから大気中に押出されたフィルムを、内部を通水したキャストロールと接触させて冷却した。この方法にて得られた120μmのフィルムについて、室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0040】
[比較例9]
BASFジャパン株式会社製ポリイソブチレン、OPPANOL(登録商標)B8080重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT11510重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、厚さ120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0041】
[比較例10]
クラレ株式会社製水添スチレン・イソプレンブロック共重合体、ハイブラー(登録商標)7125を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0042】
[比較例11]
旭化成ケミカルズ株式会社製水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体、タフテック(登録商標)H1221を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して、均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0043】
[比較例12]
クラレ株式会社製水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体、セプトン(登録商標)8076を80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0044】
[比較例13]
JSR株式会社製水添スチレン・ブタジエンラバー、DYNARON(登録商標)1320Pを80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0045】
[比較例14]
JSR株式会社製スチレン・エチレンブチレン・オレフィン共重合体、DYNARON(登録商標)4600Pを80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0046】
[比較例15]
JSR株式会社製オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶共重合体、DYNARON(登録商標)6200Pを80重量%、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を10重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。これを、実施例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0047】
[比較例16]
日本ゼオン株式会社製クインタック(登録商標)3520を80重量%、クラリアントジャパン株式会社製ポリエチレンワックス、LICOWAX(登録商標)PE520を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を25重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
【0048】
[比較例17]
日本ゼオン株式会社製、クインタック(登録商標)3520を80重量%、日本精鑞株式会社製パラフィンワックス、パラフィンワックスHNP−3を10重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920を25重量%を、東洋精機製バンバリー型ミキサー、プラストミル(登録商標)にて200℃5分間で溶融混合して均一混合物を得た。比較例1と同条件にて、120μmのフィルムを得た。このフィルムの室温にてフィルムを手で伸ばす特性、耐熱性、粘着性の評価を実施した。
上記の結果を表1〜4に示す。
【0049】
本明細書で使用される略号
Q3520は、日本ゼオン株式会社製スチレン・イソプレンブロック共重合体、クインタック(登録商標)である。FT−WAXは、日本精鑞株式会社製フィッシャートロプシュワックス、FT115である。LDPEは、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧重合法低密度ポリエチレン、サンテック(登録商標)LDF1920である。OPPANOL(登録商標)B80は、BASFジャパン株式会社製ポリイソブチレンである。HYBRAR(登録商標)7125は、クラレ株式会社製水添スチレン・イソプレンブロック共重合体である。TAFTEC(登録商標)1221は、旭化成ケミカルズ株式会社製水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体である。SEPTON(登録商標)8076は、クラレ株式会社製水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体である。DYNARON(登録商標)1320Pは、JSR株式会社製水添スチレン・ブタジエンラバーである。DYNARON(登録商標)4600Pは、JSR株式会社製水添スチレン・ブタジエンラバーである。DYNARON(登録商標)6200Pは、JSR株式会社製水添スチレン・ブタジエンラバーである。LICOWAX(登録商標)PE520は、クラリアントジャパン株式会社製ポリエチレンワックスである。Paraffin waxHNP−3は、日本精鑞株式会社製パラフィンワックスである。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、使用者がフィルムを手で伸ばす前は、粘着性がなく、フィルムを手で伸ばすことにより高い粘着性を発揮する使い勝手に富み、かつ耐熱性に優れるため、合紙を使うことなくロール状での保管が可能となり、100℃以下に加熱される可能性のある被包装物を包装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のフィルムの断面の模式図。
【図2】本発明のフィルムの他の例の断面の模式図。
【図3】本発明に用いられる流路の模式斜視図。
【図4】本発明に用いられる流路の他の例の模式斜視図。
【図5】本発明の範囲外の流路の模式斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン含量が20重量%以下のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体60重量%以上90重量%以下、融点が90℃以上120℃以下のフィッシャートロプシュワックス5重量%以上20重量%以下、及びポリエチレン5重量%以上20重量%以下からなり、50μm以上300μm以下の厚みを有し、かつフィッシャートロプシュワックスがフィルム表面に存在する粘着フィルム。
【請求項2】
フィッシャートロプシュワックスの融点が110℃以上である請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体60重量%以上90重量%以下、フィッシャートロプシュワックス5重量%以上20重量%以下、及びポリエチレン5重量%以上20重量%以下からなる組成物を押出機にて溶融混錬した後、流路壁面の剪断速度が、1SEC-1から20SEC-1の範囲にて、剪断速度を一定に保つか、連続的に変化させながら、樹脂温度160℃から250℃、滞留時間5秒から20秒の条件で流路を通過させて、フィッシャートロプシュワックスをフィルム表面に存在させることからなる請求項1に記載の粘着フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−270006(P2007−270006A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98269(P2006−98269)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】