説明

粘着材上の異物の採取方法

【課題】 粘着材上に付着した異物を容易にかつ確実に採取することのできる粘着材上の異物の採取方法を提供すること。
【解決手段】 採取する異物14の近傍に、鋭角な先端を有する刃15を配置し、刃15の先端を前記異物14の下方の粘着材12に潜り込むよう前進させ、先細の針状部材16により前記異物14を前記刃15上に押し上げる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着材上に付着した異物を採取し、FT−IR等の計測器により異物の計測を行なうための粘着材上の異物の採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、液晶表示パネルの製造において、製造過程中にパネルの表面に微細な異物が付着した際、この異物を除去あるいは採取してFT−IR等の計測器によってその異物の材質の計測を行なっていた。
【0003】
このような従来の液晶表示パネルにおける異物の除去方法の一例として液晶表示パネルクリーニング装置があった。この液晶表示パネルクリーニング装置は、定位置に固定された液晶表示パネルに対して上下動および液晶表示パネルの表面と平行な面内を移動できるモータと、このモータの回転軸に取付けられた刃付のヘッド部とを備えている。
【0004】
前記ヘッド部は、液晶表示パネルの表面に対して平行な対向面を有し、この対向面に刃が固定されており、この刃は平板状をなし、液晶表示パネルの表面に対して傾斜配置され、その先端部が液晶表示パネルの表面に当接されるようになっている。
【0005】
また、前記刃の先端部は、楔状の刃先部とされいるとともに、平坦部が形成されており、この刃の斜角度は液晶表示パネル側に20°、液晶表示パネルの反対側の面に10°とされている。このような構成からなる前記刃は、前記ヘッド部に対してその回転軸を通過する仮想線上にこの回転軸を間にして2個取付けられている。
【0006】
そして、前記モータは、前記ヘッド部を回転させながら、液晶表示パネルの全表面に対して蛇行状に移動するようになっている。
【0007】
このような構成から、刃自体の強度が増大し、液晶表示パネルの表面の異物に触れた際、その衝撃により液晶表示パネルが破損することを防止するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−244115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液晶表示パネルの表面に付着した異物を除去する方法とは別に、異物の発生源を掴み、異物発生の根本対策を行うという試みも行う必要がある。この異物の発生源を掴むためには異物がどのような物質であるかを計測する必要があり、前述したように異物を採取し、採取した異物を計測する。異物が液晶表示パネルの基板等の硬質部材の上に付着した異物を採取する場合は簡単であるが、粘着材上に付着した異物を採取しようとした場合、異物が粘着材中に押し込まれてしまったり、粘着材の粘着力により粘着材上を移動するだけで採取が難しいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、粘着材上に付着した異物を容易にかつ確実に採取することのできる粘着材上の異物の採取方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため本発明の粘着材上の異物の採取方法の特徴は、粘着材上の異物を採取する異物の採取方法において、採取する異物の近傍に、鋭角な先端を有する刃を配置し、刃の先端を前記異物の下方の粘着材に潜り込むよう前進させ、先細の針状部材により前記異物を前記刃上に押し上げる点にある。
【0012】
このような構成を採用したことにより、針状部材により異物の近傍に先端が潜り込まされた刃上に異物を押し上げることができ、容易に異物を採取することができる。
【0013】
また、前記刃の表面が平滑な面であることが好ましい。このような構成を採用したことにより、刃の上での異物の移動が容易となり、さらに刃から計測器への異物の採取が簡便となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着材上の異物の採取方法によれば、粘着材上に付着した異物を容易に採取することができ、異物の除去、あるいはFT−IR等の計測器による異物の計測を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の粘着材上の異物の採取方法の実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、液晶表示パネルの製造過程における粘着材上に異物が付着した場合を例に説明する。
【0016】
図1は一般的な液晶表示パネルの概略図、図2および図3は図1の一部拡大図であり、本発明の粘着材上の異物の採取方法の実施形態を示す概略図である。
【0017】
まず、本実施形態において液晶表示パネル1は、図1に示すように、一対の透明電極基板2,3がシール材10を介して接着されており、前記シール材10内に液晶11が封入されて構成されている。
【0018】
前記各透明電極基板2,3は、ガラスあるいはプラスチック等からなる透明基板4,5の対向面にそれぞれITOからなる透明電極層6,7が形成され、さらにその上に配向膜8,9が形成されることにより構成される。
【0019】
そして、前記液晶表示パネル1の各表面には、それぞれ粘着材12,13が形成された偏光板20,21が配設される。このとき、各粘着層12,13に異物が付着すると液晶表示パネル1に表示むらが生じるため、付着した異物の採取を行なう必要がある。
【0020】
つぎに、本発明の粘着材上の異物の採取方法の実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態の粘着材上の異物の採取方法は、図2に示すように、液晶表示パネル1の偏光板20に配設された粘着層12上に付着した異物14の近傍に、先端を鋭角に形成された刃15を配置し、刃15の先端を前記異物14の下方の前記粘着層12に潜り込ませるように前進させる。前記刃15の先端の角度は約15°とされており、粘着層12側の刃15の側面が粘着層12の表面に対し約18°の角度をなすように配置されている。
【0022】
つぎに、図3に示すように、先細に形成された針状部材16により前記異物14を前記刃15方向に押し上げる。
【0023】
そして、前記刃15上に載せられた前記異物14は、前記粘着層12の粘着材により前記刃15に付着し、前記刃15を前記粘着層12から引き揚げることにより前記異物14を採取することができる。
【0024】
以上説明したように、本発明の粘着材上の異物の採取方法によれば、異物14を粘着層12に潜り込ませることなく、異物14を刃15に確実に付着させて採取することができ、異物14の除去、あるいはFT−IR等の計測器(図示せず)による異物14の計測を容易に行なうことができる。
【0025】
また、刃15の表面は平滑な面であることが好ましい。刃15の表面を平滑にすることで粘着材12から針状部材16で異物を押し上げるときにスムーズで、異物14の移動が簡単にできる。また、刃15から計測器への移動も容易にできる。そして、刃15の表面が鏡面であればさらに好ましい。異物14を刃15の表面に採取した後、FT−IRの計測を行う場合、鏡面を反射面として計測が可能な場合があり、刃15から計測器への異物の採取(移動)をしなくてもよい。このように異物の採取の簡便化とともに計測の簡便化も行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。また、本実施形態においては、一例として液晶表示パネルに異物が付着した場合を挙げているが、これに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一般的な液晶表示パネルの概略図
【図2】図1の一部拡大図であり、本発明の粘着材上の異物の採取方法の実施形態を示す概略図
【図3】図1の一部拡大図であり、本発明の粘着材上の異物の採取方法の実施形態を示す概略図
【符号の説明】
【0028】
1 液晶表示パネル
2,3 透明電極基板
4,5 透明基板
6,7 透明電極層
8,9 配向膜
10 シール材
11 液晶
12,13 粘着層
14 異物
15 刃
16 針状部材
20,21 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着材上の異物を採取する異物の採取方法において、
採取する異物の近傍に、鋭角な先端を有する刃を配置し、刃の先端を前記異物の下方の粘着材に潜り込むよう前進させ、先細の針状部材により前記異物を前記刃上に押し上げることを特徴とする粘着材上の異物の採取方法。
【請求項2】
前記刃の表面が平滑な面であることを特徴とする請求項1に記載の粘着材上の異物の採取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−33301(P2007−33301A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218667(P2005−218667)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】