精密薄板材の搬送装置
【課題】本発明は、把持部材が精密薄板材のエッジ部を把持する際の衝突力を小さくし得る精密薄板材の搬送装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、精密薄板材(15)のエッジを把持する複数の把持部材(10A,10B,11A,11B,32A,32B,33)の移動速度を、前記精密薄板材(15)のエッジに接触する直前に減速させる減速手段7を設けたのである。
上記構成とすることで、把持部材の精密薄板材への接触直前の移動速度を遅くできるので、把持部材の精密薄板材に対する衝突力は小さくなり、その結果、衝突による精密薄板材からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【解決手段】本発明は、精密薄板材(15)のエッジを把持する複数の把持部材(10A,10B,11A,11B,32A,32B,33)の移動速度を、前記精密薄板材(15)のエッジに接触する直前に減速させる減速手段7を設けたのである。
上記構成とすることで、把持部材の精密薄板材への接触直前の移動速度を遅くできるので、把持部材の精密薄板材に対する衝突力は小さくなり、その結果、衝突による精密薄板材からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精密薄板材の搬送装置に係り、特に、塵埃の付着を嫌う半導体装置のウェハやフラットパネルディスプレイ装置のガラス基板等の精密薄板材の製造装置や検査装置に用いられる精密薄板材の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密薄板材に塵埃等が付着すると、精密薄板材上に加工される配線パターンが付着した塵埃によって途切れたり、短絡したりして不良品となる問題がある。そこで、塵埃の付着を嫌う精密薄板材の搬送装置として、例えば特許文献1に開示されているように、精密薄板材の板面に把持部材を接触させずに、精密薄板材のエッジを複数の把持部材で把持する搬送装置が、既に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−134586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、複数の把持部材で精密薄板材のエッジを把持する搬送装置は、精密薄板材の板面に把持部材を接触させていないことから、把持部材の精密薄板材の板面への接触による塵埃の付着を防止することができる。しかし、把持部材が精密薄板材のエッジに接触する際の衝突力によって、精密薄板材のエッジが僅かながら損傷し、精密薄板材のエッジから損傷粒子が飛散して精密薄板材の板面に付着する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、把持部材が精密薄板材のエッジ部を把持する際の衝突力を小さくし得る精密薄板材の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、精密薄板材のエッジを把持する複数の把持部材の移動速度を、前記精密薄板材のエッジに接触する直前に減速させる減速手段を設けたのである。
【0007】
上記構成とすることで、把持部材の精密薄板材への接触直前の移動速度が遅くなるので、把持部材の精密薄板材に対する衝突力は小さくなり、その結果、衝突による精密薄板材からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、把持部材が精密薄板材のエッジ部を把持する際の衝突力を小さくし得る精密薄板材の搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明による第1の実施の形態を、図1〜図4に基づいて説明する。ここで説明する精密薄板材は、半導体装置のウェハであり、精密薄板材の搬送装置は、ウェハを検査装置に搬送するためのウェハの搬送装置である。
【0010】
本発明によるウェハの搬送装置1は、大きくは、搬送機器(図示せず)に固定されるベース2と、このベース2に固定された、例えばエアシリンダや真空シリンダ等からなるアクチュエータ3と、前記ベース2に固定され前記アクチュエータ3の駆動力を2方向に分けて伝達する動力変換機構4と、この動力変換機構4に連結された第1ハンドフレーム5及び第2ハンドフレーム6と、前記ベース2に固定され前記アクチュエータ3の駆動力を減速する減速手段7とから構成されている。
【0011】
前記アクチュエータ3は、駆動軸8を一方向に進退するように突出しており、この駆動軸8には連結具9が設けられ、この連結具9を介して前記駆動軸8の進退動作を前記動力変換機構4に伝達している。前記動力変換機構4は、前記駆動軸8の一方向の進退動作を2つの逆方向の進退動作に変換するものであり、これら2つの逆方向の進退動作を前記第1ハンドフレーム5及び前記第2ハンドフレーム6に伝達することで、前記第1ハンドフレーム5及び前記第2ハンドフレーム6を、後述するウェハ15の板面に沿ってかつ互いに逆向きに進退駆動している。
【0012】
前記第1ハンドフレーム5は、U字状に形成されており、そのU字状の先端部に夫々円柱の中間部が括れた鼓状の把持爪10A,10Bを固定している。また、前記第2ハンドフレーム6は、前記第1ハンドフレーム5よりも短いC字状に形成されており、前記第1ハンドフレーム5の上方に僅かな隙間をもって前記第1ハンドフレーム5と平行に配置されている。そして、前記第2ハンドフレーム6も、C字状の先端部に夫々円柱の中間部が括れた鼓状の把持爪11A,11Bを固定している。尚、把持爪10A,10B,11A,11Bが本発明による把持部材となる。
【0013】
前記減速手段7は、図3に示すように、前記駆動軸8の延長端に支持された第1磁石12と、この第1磁石12と対向する位置に配置された第2磁石13と、この第2磁石13を前記ベース2に固定する調整ベース14とを備えている。前記第1磁石12及び第2磁石13は、例えば永久磁石からなり、ウェハ15を把持爪10A,10B,11A,11Bで把持する前は互いに離れた位置にあり(図3)、ウェハ15を把持するときには互いが接近する(図4)ような位置関係にある。そして、第1磁石12と第2磁石13とは、磁気反発力が作用するように同極が対向するように、例えばN極同士(又はS極同士)が離れたり接近したりするように配置している。さらに、前記調整ベース14は、第2磁石13の固定位置を前記ベース2に対して前記駆動軸8の進退方向に調整することで、第1磁石12との対向間隔を調整できるように構成されている。
【0014】
上記構成のウェハの搬送装置1において、検査装置に搬送するためにウェハ15の把持指令が発せられると、アクチュエータ3が作動し、駆動軸8を矢印A方向に駆動する。この駆動軸8の動きは、動力変換機構4を介して前記第1ハンドフレーム5を矢印B方向に、前記第2ハンドフレーム6を矢印C方向に、互いに向き合う方向に移動させる。これら第1ハンドフレーム5と第2ハンドフレーム6との矢印B方向及び矢印C方向の移動により、把持爪10A,10B及び把持爪11A,11Bは間隔を狭め、ウェハ15のエッジを把持する。反対に、ウェハ15の把持を解除する場合には、駆動軸8を矢印A方向とは逆方向に駆動することにより、各部品は逆方向に移動し、ウェハ15の把持を開放する。
【0015】
次に、以上のように構成されたウェハの搬送装置1によるウェハ15の一連の把持動作を図5に基づいて説明する。
【0016】
まず、図1及び図2の状態にあるウェハの搬送装置1は、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとの間隔がウェハ15の直径よりも大きくなるように広げて待機しており、別な運搬機器(図示せず)で搬送されてきたウェハ15を、図5(a)に示すように、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとの間に位置させる。この状態で、把持指令を出してアクチュエータ3を駆動すると、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとは間隔を狭める方向に駆動されて行き、図5(b)に示すように、ウェハ15のエッジに把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとが接する。
【0017】
このとき、駆動軸8の動きを見ると、図3〜図4に示すように駆動される。即ち、図3の状態にある駆動軸8が駆動されると、駆動軸8の先端の第1磁石12は第2磁石13側に接近して行く。さらに、駆動軸8をそのまま駆動して行くと、第1磁石12は第2磁石13の磁界領域に接近し、第1磁石12と第2磁石13間に磁気反発力が生じる。継続して駆動軸8を駆動して第1磁石12と第2磁石13を接近させてゆくと、前記磁気反発力は次第に大きくなり、この磁気反発力が駆動軸8の移動、云い代えれば把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bの移動速度を減速させる力となる。その結果、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bの移動速度は、アクチュエータ3の駆動から把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15との接触位置に向かって当初は速いが、把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15との接触位置に近づくにつれて減速される。したがって、把持爪10A,10B,11A,11Bはウェハ15に静かに接触して把持できるので、把持爪10A,10B,11A,11Bが大きな力でウェハ15に衝突することを回避することができる。
【0018】
上記把持爪10A,10B,11A,11Bの動作とアクチュエータ3の動作を示したのが図6である。即ち、図6において「爪開位置」は図5(a)に相当し、アクチュエータ3を駆動すると、アクチュエータ3の駆動力が2点差線で示すように増加し、その後はほぼ一定の駆動力で駆動される。同時に、把持爪10A,10B,11A,11Bの移動速度も実線で示すように上昇して行く。その後、把持爪10A,10B,11A,11Bの移動速度は減速手段7によって減速されて低速度になり、ウェハ15に静かに接触し、図6の「爪とウェハの接触位置」に至る。この位置が図5(b)に相当する。そして、そのままアクチュエータ3を駆動しつづけると、第1磁石12と第2磁石13間に生じている磁気反発力が或る領域内に入ると弱まるので、アクチュエータ3による駆動力が磁気反発力の弱まった分各把持爪に作用する。その結果、図6の破線で示すように、把持爪10A,10B,11A,11Bにウェハ15を把持する把持力が発生するので、ウェハ15は脱落や把持位置が変位することなく把持される。
【0019】
尚、図6の「爪閉位置(ウェハ無しの場合)」は、図5(c)に相当し、ウェハ15を把持しない状態でアクチュエータ3を矢印A方向に駆動し続けた場合のストロークエンドを示す。図6の「爪とウェハの接触位置」から「爪閉位置(ウェハ無しの場合)」間では、減速手段7の機能は、各把持爪が速度制御から開放された状態にある。
【0020】
以上により本実施の形態においては、把持部材である把持爪10A,10B,11A,11Bをウェハ15のエッジに静かに接触させて把持できるので、把持爪10A,10B,11A,11Bとウェハ15のエッジとの衝突に起因するウェハ15からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【0021】
また、ウェハ15は、通常、ウェハの搬送装置1に対して、別な運搬機器で搬送されてくるときに、例えば周方向の位置を決められた状態で搬送されてくる。しかし、ウェハの搬送装置1に別な運搬機器からウェハ15を受け渡す際に、決められた位置が多少ずれることがある。このずれが規定された範囲内のずれの場合には、次の工程でウェハ15の周方向の位置を再度調整することができる。しかしながら、ウェハ15を複数の把持爪10A,10B,11A,11Bで把持することから、各把持爪が同時にウェハ15のエッジ部に当接することが少なく、時間差を持って接触する。そのため、ウェハ15の周方向の位置がずれてウェハの搬送装置1に搬送された場合で、各把持爪の移動速度が大きく、各把持爪のウェハ15への衝突力が大きいと、早く衝突した爪の衝突力によってウェハ15の微少なずれを大きくしてウェハ15を回転させてしまうことがある。ウェハ15の回転によって周方向の位置が規定された範囲外にずれた場合には、次の工程での周方向の再度の調整が行えなくなり、その結果、大きく周方向の位置がずれたウェハ15は、検査装置のラインから撤去されることになる。
【0022】
しかし、本実施の形態においては、把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15に対して、移動速度を減速して静かに接触するので、衝突力も小さくでき、その結果、各把持爪が時間差を持ってウェハ15に接触しても、再調整ができない程度までウェハ15を回転させてしまうことを回避できる。
【0023】
尚、ウェハ15に対して把持爪10A,10B,11A,11Bを静かに接触させるために、各把持爪の当初からの移動速度をウェハ15への接触時の移動速度に合わせることも一考である。しかし、各把持爪の全ての移動速度をウェハ15への接触時の移動速度に合わせた場合、ウェハ15の把持指令からウェハ15を把持し、さらにウェハ15を開放させるまでの時間が長くなり、ウェハの搬送時間を長引かせることになり、搬送作業効率を大きく低下させる問題がある。したがって、本実施の形態のように、各把持爪の移動速度をウェハ15に接触する直前に減速させることが望ましい。
【0024】
この外、アクチュエータ3として例えばサーボモータとスクリューとの組合せを利用して複数の把持爪を駆動することも考えられるが、装置が大掛かりになると共にサーボモータの回転数や回転方向を制御する制御装置が必要となり、ウェハの搬送装置1の製造価格を増大させるので、本実施の形態のように僅かな費用で簡単に付加できる減速手段7を用いることが望ましい。
【0025】
本実施の形態においては、第1磁石12と第2磁石13とを同極同士を対向させたものであるが、例えば図3及び図4の2点差線で示すように、第1磁石12を第2磁石13のN極に対して(S)極として磁気吸引力を発生させることで、各把持爪の移動速度を把持直前に減速させるようにしてもよい。即ち、駆動軸8の駆動当初は、図3に示すように、移動方向に磁気吸引力で引き付けられるようにし、各把持爪がウェハを把持する直前には、図4に示すように、移動方向とは反対向きに磁気吸引力が作用するようにすることで、各把持爪の移動速度は、当初は早く、把持直前に減速させることができる。
【0026】
本実施の形態において、減速手段7を構成する第1磁石12と第2磁石13とが、本発明の把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の把持方向の移動に伴って磁気力を増大させる手段となる。
【0027】
次に、本発明による第2の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。本実施の形態において第1の実施の形態と異なる構成は、減速手段7の構成であり、ウェハの搬送装置の基本構成は図1及び図2と同じである。したがって、図1〜図5と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施の形態による減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた球状突起16と、前記駆動軸8の進退によって前記球状突起16と接触するプランジャノーズ17と、このプランジャノーズ17を前記球状突起16側に押圧する圧縮ばね18と、この圧縮ばね18と前記プランジャノーズ17を収納し前記プランジャノーズ18を前記球状突起16側に案内するプランジャ本体19とを備えている。そして、プランジャ本体19を前記ベース2(図1及び図2参照)に調整可能に取り付けることで、前記球状突起16と前記プランジャノーズ18との位置関係を調整している。
【0029】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図7の状態にあり、この状態でアクチュエータ3が動作して駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の球状突起16がプランジャノーズ17に接近し、ついには球状突起16がプランジャノーズ17に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図8に示すように、駆動軸8の先端の球状突起16はプランジャノーズ17を圧縮ばね18に逆らってプランジャ本体19内に押し込む。この動作、即ち、球状突起16が圧縮ばね18に逆らってプランジャ本体19内にプランジャノーズ17を押し込むことにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、球状突起16がプランジャ本体19を最大量押し込む時点、云い代えれば圧縮ばね18の弾性力が最も低下して反発力が最大となり変形量が最小となるときを、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、球状突起16がプランジャノーズ17を乗り越えることで、アクチュエータ3の駆動力が把持爪に伝達されてウェハを把持するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0030】
本実施の形態において、前記球状突起16とプランジャノーズ17とは、夫々固定された物体であり、そのために両者の接触抵抗が大きくなる。このような両者の接触抵抗を軽減するために、球状突起16とプランジャノーズ17のいずれか一方あるいは両方を回転体に代えることも可能である。また、圧縮ばね18と前記プランジャ本体19を含む前記プランジャノーズ17を駆動軸8側に取り付け、球状突起16をベース2に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第1の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0032】
本実施の形態において、球状突起16、プランジャノーズ17、圧縮ばね18、プランジャ本体19が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0033】
次に、本発明による第3の実施の形態を図9及び図10に基づいて説明する。本実施の形態において前記各実施の形態と異なる構成は、減速手段7の構成であり、ウェハの搬送装置の基本構成は図1及び図2と同じである。したがって、図1〜図5と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態における減速手段7は、駆動軸8の先端部にゴム等の弾性体20を設けた点と、弾性体20と対向する位置に球状突起21を設けた点である。そして球状突起21を前記ベース2(図1及び図2参照)に調整可能に取り付けることで、弾性体20と球状突起21との位置関係を調整している。
【0035】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は図9の状態にあり、この状態でアクチュエータ3により駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の弾性体20が球状突起21に接近し、ついには弾性体20が球状突起21に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図10に示すように、弾性体20は球状突起21に押付けられ、弾性変形する。この動作、即ち、球状突起21によって弾性体20が弾性変形させる動作により、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、弾性体20が最大量弾性変形する時点を、各把持爪がウェハに接触する時点に一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、弾性体20が球状突起21を乗り越えることで、把持爪の減速は解除され、ウェハの把持力を発生するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0036】
本実施の形態において、ゴム等から構成された弾性体20は、球状突起21との間の摩擦力が大きくなる。大きな摩擦力を嫌う場合には、弾性体20と接触する球状突起21を回転体に代えることも可能である。また、球状突起21を駆動軸8側に取り付け、弾性体20をベース2に取り付けるようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態によっても、把持爪の移動速度を、ウェハを把持する直前に減速できることから、第1及び第2の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0038】
本実施の形態において、弾性体20と球状突起21が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0039】
図11及び図12は、図7及び図8の変形例を示す本発明による第4の実施の形態であり、図7及び図8と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施の形態による減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた球状突起16と、前記駆動軸8の進退によって前記球状突起16と接触するローラ22と、このローラ22を一端に回転自在に支持し他端をベース2(図1参照)に支持した支軸23に回転自在に連結したレバー24と、このレバー24と前記ベース2間に設置した圧縮ばね25とを備えている。そして、支軸23を前記ベース2に調整可能に取り付けることで、前記球状突起16と前記ローラ22との位置関係を調整している。
【0041】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図11の状態にあり、この状態で駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の球状突起16がローラ22に接近し、ついには球状突起16がローラ22に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図12に示すように、駆動軸8の先端の球状突起16は圧縮ばね25を圧縮してローラ22を下方に変位させる。この動作、即ち、球状突起16が圧縮ばね25に逆らってローラ22を変位させることにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、球状突起16がローラ22を最大量変位させる点を、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、球状突起16がローラ22を乗り越えることで、アクチュエータ3の駆動力が把持爪に伝達されてウェハを把持するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0042】
本実施の形態において、前記球状突起16が駆動軸8に設けられ、ローラ22がレバー24に設けられているが、球状突起16をレバー24に設け、ローラ22を駆動軸8に設けてもよく、さらに、球状突起16を回転体に代えることも可能である。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第4の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0044】
本実施の形態において、球状突起16、ローラ22、支軸23、レバー24、圧縮ばね25が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0045】
次に、本発明による第5の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。尚、図1〜図5,図7〜図14と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態における減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた押圧体26と、前記駆動軸8の進退によって前記押圧体26と接触する弾性体27と、この弾性体27をベース2(図1参照)の定位置に保持する保持部材(図示せず)とを備えている。そして、弾性体27を前記ベース2に調整可能に取り付けることで、前記押圧体6と前記弾性体27との位置関係を調整している。
【0047】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図13の状態にあり、この状態で駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の押圧体26が弾性体27に接近し、ついには押圧体26が弾性体27に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図14に示すように、押圧体26は弾性体27を圧縮して変形させる。この動作、即ち、押圧体26が弾性体27を変形させることにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、押圧体26が弾性体27を最大量変位させる点を、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。
【0048】
尚、前記弾性体27は、ゴム製の中実ボールでも、環状のばねでもよく、さらに、ゴム製の中空ボールに圧縮空気を封入したものでもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第4の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0050】
本実施の形態において、押圧体26と弾性体27が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0051】
この外、図示はしないが、例えば油やゲル状、あるいはゼリー状の流動物質を、前記駆動軸8の移動に伴って駆動軸8の先端部で流動させ、その流動物質を流路の中間に設けた小断面流路を通過させることで、駆動軸8の移動速度、云い代えれば把持部材の移動速度を減速させるようにしてもよい。
【0052】
この実施の形態の場合、流動物質と、小断面流路を有する流動物質の流路とが、本発明による減速手段、把持部材の移動を抑制する抵抗部材となる。
【0053】
次に、各形態における把持爪の移動時間を図15に基づいて説明する。図15に示した実線Aは本実施形態によるもの、破線Bは従来によるもの、点線Cは従来において移動速度を遅くしたもの、2点差線Dは本実施の形態で移動速度を早くしたものを示す。
【0054】
図15に示すように、本実施の形態による搬送装置(実線A)によれば、ウェハの把持指令から把持までに要する把持爪の移動時間T0は、従来の搬送装置(破線B)と同じである。しかし、前述のようにウェハ把持までの把持爪の移動速度を早くし、把持直前で減速することで、把持爪のウェハへの衝突力を小さくできるので、ウェハからの損傷粒子の飛散を少なくすることができる。
【0055】
また、従来において、移動速度を遅くすると点線Cに示すように、ウェハ把持までの把持爪の移動速度T2が長くなり、搬送効率を低下させることになる。しかし、本実施の形態において、ウェハ把持までの把持爪の移動速度をさらに早くすることで、2点鎖線Dで示すように、移動時間T2は短縮されて搬送効率を高めることができる。
【0056】
以上説明したように本発明によれば、把持爪によるウェハの把持時に、把持爪の移動速度を減速することで、ウェハへの把持爪の衝突力を低減できるので、把持爪の衝突力二よりウェハから飛散する損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【0057】
ところで上述のウェハの搬送装置1は、互いに逆方向に駆動される第1ハンドフレーム5及び第2ハンドフレーム6と、これらに設けられた中間部が括れた鼓状の把持爪10A,10B,11A,11Bとでウェハを把持しているが、図16及び図17に示すウェハの搬送装置30にも本発明を適用することができる。
【0058】
即ち、図16及び図17に示すウェハの搬送装置30は、搬送機器(図示せず)に固定されるベース2と、このベース2に固定された、例えばエアシリンダや真空シリンダ等からなるアクチュエータ3と、このアクチュエータ3から突出し一方向に進退する駆動軸8と、前記ベース2に固定されU字状に形成された固定ハンドフレーム31と、この固定ハンドフレーム31のU字状の先端部に夫々固定された円柱の中間部が括れた鼓状の固定把持爪32A,32Bと、前記駆動軸8に連結され前記固定把持爪32A,32Bとほぼ同形状をなし固定把持爪32A,32Bとの間隔を拡縮する可動把持爪33と、この可動把持爪33に連結された速度制御棒34と、この速度制御棒34の移動速度を減速する減速手段7とから構成されている。
【0059】
上記構成のウェハの搬送装置30は、ウェハ15を把持するときには、可動把持爪33のみ矢印A方向に移動させて固定把持爪32A,32Bとの間でウェハ15のエッジを把持する。そして、前記減速手段7は、既述の各減速手段と同じ構成とする。しかし、前記ウェハの搬送装置1の各減速手段7は、駆動軸8が減速手段7内に入り込む動作時に機能するように構成されているので、駆動軸8と連動する制御棒34が把持動作時に減速手段7から突出するウェハの搬送装置30では、制御棒34が減速手段7から突出するときに、機能するように構成することが必要である。
【0060】
また、上記説明は、ウェハの検査装置に用いられる搬送装置を例に説明したが、これらに限定されるものではなく、フラットパネルディスプレイ装置のガラス基板等の精密薄板材の製造装置や検査装置に用いられる精密薄板材の搬送装置にも適用できるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による精密薄板材の搬送装置の第1の実施の形態を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿う縦断側面図。
【図3】図1に用いた減速手段の待機状態を示す概略側面図。
【図4】図1に用いた減速手段の把持状態を示す概略側面図。
【図5】(a)〜(c)は、図1の精密薄板材の搬送装置の各時点の把持爪の位置を示す平面図。
【図6】図1の精密薄板材の搬送装置の把持爪の位置と力及び移動速度を示す線図。
【図7】本発明による精密薄板材の搬送装置の第2の実施の形態を示す側面図。
【図8】図7の把持位置を示す側面図。
【図9】本発明による精密薄板材の搬送装置の第3の実施の形態を示す側面図。
【図10】図9の把持位置を示す側面図。
【図11】本発明による精密薄板材の搬送装置の第4の実施の形態を示す側面図。
【図12】図11の把持位置を示す側面図。
【図13】本発明による精密薄板材の搬送装置の第5の実施の形態を示す側面図。
【図14】図13の把持位置を示す側面図。
【図15】把持爪の移動時間と速度との関係を示す比較線図。
【図16】本発明による精密薄板材の搬送装置の別な構成を示す平面図。
【図17】図16のB−B線に沿う縦断側面図。
【符号の説明】
【0062】
1,30…ウェハの搬送装置、3…アクチュエータ、5…第1ハンドフレーム、6…第2ハンドフレーム、7…減速手段、8…駆動軸、10A,10B11A,11B…把持爪、12…第1磁石、13…第2磁石、16,21…球状突起、17…プランジャノーズ、18,25…圧縮ばね、20,27…弾性体、22…ローラ、31…固定ハンドフレーム、32A,32B…固定把持爪、33…可動把持爪、34…速度制御棒。
【技術分野】
【0001】
本発明は精密薄板材の搬送装置に係り、特に、塵埃の付着を嫌う半導体装置のウェハやフラットパネルディスプレイ装置のガラス基板等の精密薄板材の製造装置や検査装置に用いられる精密薄板材の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密薄板材に塵埃等が付着すると、精密薄板材上に加工される配線パターンが付着した塵埃によって途切れたり、短絡したりして不良品となる問題がある。そこで、塵埃の付着を嫌う精密薄板材の搬送装置として、例えば特許文献1に開示されているように、精密薄板材の板面に把持部材を接触させずに、精密薄板材のエッジを複数の把持部材で把持する搬送装置が、既に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−134586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、複数の把持部材で精密薄板材のエッジを把持する搬送装置は、精密薄板材の板面に把持部材を接触させていないことから、把持部材の精密薄板材の板面への接触による塵埃の付着を防止することができる。しかし、把持部材が精密薄板材のエッジに接触する際の衝突力によって、精密薄板材のエッジが僅かながら損傷し、精密薄板材のエッジから損傷粒子が飛散して精密薄板材の板面に付着する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、把持部材が精密薄板材のエッジ部を把持する際の衝突力を小さくし得る精密薄板材の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、精密薄板材のエッジを把持する複数の把持部材の移動速度を、前記精密薄板材のエッジに接触する直前に減速させる減速手段を設けたのである。
【0007】
上記構成とすることで、把持部材の精密薄板材への接触直前の移動速度が遅くなるので、把持部材の精密薄板材に対する衝突力は小さくなり、その結果、衝突による精密薄板材からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、把持部材が精密薄板材のエッジ部を把持する際の衝突力を小さくし得る精密薄板材の搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明による第1の実施の形態を、図1〜図4に基づいて説明する。ここで説明する精密薄板材は、半導体装置のウェハであり、精密薄板材の搬送装置は、ウェハを検査装置に搬送するためのウェハの搬送装置である。
【0010】
本発明によるウェハの搬送装置1は、大きくは、搬送機器(図示せず)に固定されるベース2と、このベース2に固定された、例えばエアシリンダや真空シリンダ等からなるアクチュエータ3と、前記ベース2に固定され前記アクチュエータ3の駆動力を2方向に分けて伝達する動力変換機構4と、この動力変換機構4に連結された第1ハンドフレーム5及び第2ハンドフレーム6と、前記ベース2に固定され前記アクチュエータ3の駆動力を減速する減速手段7とから構成されている。
【0011】
前記アクチュエータ3は、駆動軸8を一方向に進退するように突出しており、この駆動軸8には連結具9が設けられ、この連結具9を介して前記駆動軸8の進退動作を前記動力変換機構4に伝達している。前記動力変換機構4は、前記駆動軸8の一方向の進退動作を2つの逆方向の進退動作に変換するものであり、これら2つの逆方向の進退動作を前記第1ハンドフレーム5及び前記第2ハンドフレーム6に伝達することで、前記第1ハンドフレーム5及び前記第2ハンドフレーム6を、後述するウェハ15の板面に沿ってかつ互いに逆向きに進退駆動している。
【0012】
前記第1ハンドフレーム5は、U字状に形成されており、そのU字状の先端部に夫々円柱の中間部が括れた鼓状の把持爪10A,10Bを固定している。また、前記第2ハンドフレーム6は、前記第1ハンドフレーム5よりも短いC字状に形成されており、前記第1ハンドフレーム5の上方に僅かな隙間をもって前記第1ハンドフレーム5と平行に配置されている。そして、前記第2ハンドフレーム6も、C字状の先端部に夫々円柱の中間部が括れた鼓状の把持爪11A,11Bを固定している。尚、把持爪10A,10B,11A,11Bが本発明による把持部材となる。
【0013】
前記減速手段7は、図3に示すように、前記駆動軸8の延長端に支持された第1磁石12と、この第1磁石12と対向する位置に配置された第2磁石13と、この第2磁石13を前記ベース2に固定する調整ベース14とを備えている。前記第1磁石12及び第2磁石13は、例えば永久磁石からなり、ウェハ15を把持爪10A,10B,11A,11Bで把持する前は互いに離れた位置にあり(図3)、ウェハ15を把持するときには互いが接近する(図4)ような位置関係にある。そして、第1磁石12と第2磁石13とは、磁気反発力が作用するように同極が対向するように、例えばN極同士(又はS極同士)が離れたり接近したりするように配置している。さらに、前記調整ベース14は、第2磁石13の固定位置を前記ベース2に対して前記駆動軸8の進退方向に調整することで、第1磁石12との対向間隔を調整できるように構成されている。
【0014】
上記構成のウェハの搬送装置1において、検査装置に搬送するためにウェハ15の把持指令が発せられると、アクチュエータ3が作動し、駆動軸8を矢印A方向に駆動する。この駆動軸8の動きは、動力変換機構4を介して前記第1ハンドフレーム5を矢印B方向に、前記第2ハンドフレーム6を矢印C方向に、互いに向き合う方向に移動させる。これら第1ハンドフレーム5と第2ハンドフレーム6との矢印B方向及び矢印C方向の移動により、把持爪10A,10B及び把持爪11A,11Bは間隔を狭め、ウェハ15のエッジを把持する。反対に、ウェハ15の把持を解除する場合には、駆動軸8を矢印A方向とは逆方向に駆動することにより、各部品は逆方向に移動し、ウェハ15の把持を開放する。
【0015】
次に、以上のように構成されたウェハの搬送装置1によるウェハ15の一連の把持動作を図5に基づいて説明する。
【0016】
まず、図1及び図2の状態にあるウェハの搬送装置1は、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとの間隔がウェハ15の直径よりも大きくなるように広げて待機しており、別な運搬機器(図示せず)で搬送されてきたウェハ15を、図5(a)に示すように、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとの間に位置させる。この状態で、把持指令を出してアクチュエータ3を駆動すると、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとは間隔を狭める方向に駆動されて行き、図5(b)に示すように、ウェハ15のエッジに把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bとが接する。
【0017】
このとき、駆動軸8の動きを見ると、図3〜図4に示すように駆動される。即ち、図3の状態にある駆動軸8が駆動されると、駆動軸8の先端の第1磁石12は第2磁石13側に接近して行く。さらに、駆動軸8をそのまま駆動して行くと、第1磁石12は第2磁石13の磁界領域に接近し、第1磁石12と第2磁石13間に磁気反発力が生じる。継続して駆動軸8を駆動して第1磁石12と第2磁石13を接近させてゆくと、前記磁気反発力は次第に大きくなり、この磁気反発力が駆動軸8の移動、云い代えれば把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bの移動速度を減速させる力となる。その結果、把持爪10A,10Bと把持爪11A,11Bの移動速度は、アクチュエータ3の駆動から把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15との接触位置に向かって当初は速いが、把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15との接触位置に近づくにつれて減速される。したがって、把持爪10A,10B,11A,11Bはウェハ15に静かに接触して把持できるので、把持爪10A,10B,11A,11Bが大きな力でウェハ15に衝突することを回避することができる。
【0018】
上記把持爪10A,10B,11A,11Bの動作とアクチュエータ3の動作を示したのが図6である。即ち、図6において「爪開位置」は図5(a)に相当し、アクチュエータ3を駆動すると、アクチュエータ3の駆動力が2点差線で示すように増加し、その後はほぼ一定の駆動力で駆動される。同時に、把持爪10A,10B,11A,11Bの移動速度も実線で示すように上昇して行く。その後、把持爪10A,10B,11A,11Bの移動速度は減速手段7によって減速されて低速度になり、ウェハ15に静かに接触し、図6の「爪とウェハの接触位置」に至る。この位置が図5(b)に相当する。そして、そのままアクチュエータ3を駆動しつづけると、第1磁石12と第2磁石13間に生じている磁気反発力が或る領域内に入ると弱まるので、アクチュエータ3による駆動力が磁気反発力の弱まった分各把持爪に作用する。その結果、図6の破線で示すように、把持爪10A,10B,11A,11Bにウェハ15を把持する把持力が発生するので、ウェハ15は脱落や把持位置が変位することなく把持される。
【0019】
尚、図6の「爪閉位置(ウェハ無しの場合)」は、図5(c)に相当し、ウェハ15を把持しない状態でアクチュエータ3を矢印A方向に駆動し続けた場合のストロークエンドを示す。図6の「爪とウェハの接触位置」から「爪閉位置(ウェハ無しの場合)」間では、減速手段7の機能は、各把持爪が速度制御から開放された状態にある。
【0020】
以上により本実施の形態においては、把持部材である把持爪10A,10B,11A,11Bをウェハ15のエッジに静かに接触させて把持できるので、把持爪10A,10B,11A,11Bとウェハ15のエッジとの衝突に起因するウェハ15からの損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【0021】
また、ウェハ15は、通常、ウェハの搬送装置1に対して、別な運搬機器で搬送されてくるときに、例えば周方向の位置を決められた状態で搬送されてくる。しかし、ウェハの搬送装置1に別な運搬機器からウェハ15を受け渡す際に、決められた位置が多少ずれることがある。このずれが規定された範囲内のずれの場合には、次の工程でウェハ15の周方向の位置を再度調整することができる。しかしながら、ウェハ15を複数の把持爪10A,10B,11A,11Bで把持することから、各把持爪が同時にウェハ15のエッジ部に当接することが少なく、時間差を持って接触する。そのため、ウェハ15の周方向の位置がずれてウェハの搬送装置1に搬送された場合で、各把持爪の移動速度が大きく、各把持爪のウェハ15への衝突力が大きいと、早く衝突した爪の衝突力によってウェハ15の微少なずれを大きくしてウェハ15を回転させてしまうことがある。ウェハ15の回転によって周方向の位置が規定された範囲外にずれた場合には、次の工程での周方向の再度の調整が行えなくなり、その結果、大きく周方向の位置がずれたウェハ15は、検査装置のラインから撤去されることになる。
【0022】
しかし、本実施の形態においては、把持爪10A,10B,11A,11Bがウェハ15に対して、移動速度を減速して静かに接触するので、衝突力も小さくでき、その結果、各把持爪が時間差を持ってウェハ15に接触しても、再調整ができない程度までウェハ15を回転させてしまうことを回避できる。
【0023】
尚、ウェハ15に対して把持爪10A,10B,11A,11Bを静かに接触させるために、各把持爪の当初からの移動速度をウェハ15への接触時の移動速度に合わせることも一考である。しかし、各把持爪の全ての移動速度をウェハ15への接触時の移動速度に合わせた場合、ウェハ15の把持指令からウェハ15を把持し、さらにウェハ15を開放させるまでの時間が長くなり、ウェハの搬送時間を長引かせることになり、搬送作業効率を大きく低下させる問題がある。したがって、本実施の形態のように、各把持爪の移動速度をウェハ15に接触する直前に減速させることが望ましい。
【0024】
この外、アクチュエータ3として例えばサーボモータとスクリューとの組合せを利用して複数の把持爪を駆動することも考えられるが、装置が大掛かりになると共にサーボモータの回転数や回転方向を制御する制御装置が必要となり、ウェハの搬送装置1の製造価格を増大させるので、本実施の形態のように僅かな費用で簡単に付加できる減速手段7を用いることが望ましい。
【0025】
本実施の形態においては、第1磁石12と第2磁石13とを同極同士を対向させたものであるが、例えば図3及び図4の2点差線で示すように、第1磁石12を第2磁石13のN極に対して(S)極として磁気吸引力を発生させることで、各把持爪の移動速度を把持直前に減速させるようにしてもよい。即ち、駆動軸8の駆動当初は、図3に示すように、移動方向に磁気吸引力で引き付けられるようにし、各把持爪がウェハを把持する直前には、図4に示すように、移動方向とは反対向きに磁気吸引力が作用するようにすることで、各把持爪の移動速度は、当初は早く、把持直前に減速させることができる。
【0026】
本実施の形態において、減速手段7を構成する第1磁石12と第2磁石13とが、本発明の把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の把持方向の移動に伴って磁気力を増大させる手段となる。
【0027】
次に、本発明による第2の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。本実施の形態において第1の実施の形態と異なる構成は、減速手段7の構成であり、ウェハの搬送装置の基本構成は図1及び図2と同じである。したがって、図1〜図5と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施の形態による減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた球状突起16と、前記駆動軸8の進退によって前記球状突起16と接触するプランジャノーズ17と、このプランジャノーズ17を前記球状突起16側に押圧する圧縮ばね18と、この圧縮ばね18と前記プランジャノーズ17を収納し前記プランジャノーズ18を前記球状突起16側に案内するプランジャ本体19とを備えている。そして、プランジャ本体19を前記ベース2(図1及び図2参照)に調整可能に取り付けることで、前記球状突起16と前記プランジャノーズ18との位置関係を調整している。
【0029】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図7の状態にあり、この状態でアクチュエータ3が動作して駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の球状突起16がプランジャノーズ17に接近し、ついには球状突起16がプランジャノーズ17に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図8に示すように、駆動軸8の先端の球状突起16はプランジャノーズ17を圧縮ばね18に逆らってプランジャ本体19内に押し込む。この動作、即ち、球状突起16が圧縮ばね18に逆らってプランジャ本体19内にプランジャノーズ17を押し込むことにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、球状突起16がプランジャ本体19を最大量押し込む時点、云い代えれば圧縮ばね18の弾性力が最も低下して反発力が最大となり変形量が最小となるときを、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、球状突起16がプランジャノーズ17を乗り越えることで、アクチュエータ3の駆動力が把持爪に伝達されてウェハを把持するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0030】
本実施の形態において、前記球状突起16とプランジャノーズ17とは、夫々固定された物体であり、そのために両者の接触抵抗が大きくなる。このような両者の接触抵抗を軽減するために、球状突起16とプランジャノーズ17のいずれか一方あるいは両方を回転体に代えることも可能である。また、圧縮ばね18と前記プランジャ本体19を含む前記プランジャノーズ17を駆動軸8側に取り付け、球状突起16をベース2に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第1の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0032】
本実施の形態において、球状突起16、プランジャノーズ17、圧縮ばね18、プランジャ本体19が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0033】
次に、本発明による第3の実施の形態を図9及び図10に基づいて説明する。本実施の形態において前記各実施の形態と異なる構成は、減速手段7の構成であり、ウェハの搬送装置の基本構成は図1及び図2と同じである。したがって、図1〜図5と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態における減速手段7は、駆動軸8の先端部にゴム等の弾性体20を設けた点と、弾性体20と対向する位置に球状突起21を設けた点である。そして球状突起21を前記ベース2(図1及び図2参照)に調整可能に取り付けることで、弾性体20と球状突起21との位置関係を調整している。
【0035】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は図9の状態にあり、この状態でアクチュエータ3により駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の弾性体20が球状突起21に接近し、ついには弾性体20が球状突起21に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図10に示すように、弾性体20は球状突起21に押付けられ、弾性変形する。この動作、即ち、球状突起21によって弾性体20が弾性変形させる動作により、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、弾性体20が最大量弾性変形する時点を、各把持爪がウェハに接触する時点に一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、弾性体20が球状突起21を乗り越えることで、把持爪の減速は解除され、ウェハの把持力を発生するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0036】
本実施の形態において、ゴム等から構成された弾性体20は、球状突起21との間の摩擦力が大きくなる。大きな摩擦力を嫌う場合には、弾性体20と接触する球状突起21を回転体に代えることも可能である。また、球状突起21を駆動軸8側に取り付け、弾性体20をベース2に取り付けるようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態によっても、把持爪の移動速度を、ウェハを把持する直前に減速できることから、第1及び第2の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0038】
本実施の形態において、弾性体20と球状突起21が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0039】
図11及び図12は、図7及び図8の変形例を示す本発明による第4の実施の形態であり、図7及び図8と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施の形態による減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた球状突起16と、前記駆動軸8の進退によって前記球状突起16と接触するローラ22と、このローラ22を一端に回転自在に支持し他端をベース2(図1参照)に支持した支軸23に回転自在に連結したレバー24と、このレバー24と前記ベース2間に設置した圧縮ばね25とを備えている。そして、支軸23を前記ベース2に調整可能に取り付けることで、前記球状突起16と前記ローラ22との位置関係を調整している。
【0041】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図11の状態にあり、この状態で駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の球状突起16がローラ22に接近し、ついには球状突起16がローラ22に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図12に示すように、駆動軸8の先端の球状突起16は圧縮ばね25を圧縮してローラ22を下方に変位させる。この動作、即ち、球状突起16が圧縮ばね25に逆らってローラ22を変位させることにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、球状突起16がローラ22を最大量変位させる点を、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。そして、球状突起16がローラ22を乗り越えることで、アクチュエータ3の駆動力が把持爪に伝達されてウェハを把持するので、ウェハを十分に把持することができる。
【0042】
本実施の形態において、前記球状突起16が駆動軸8に設けられ、ローラ22がレバー24に設けられているが、球状突起16をレバー24に設け、ローラ22を駆動軸8に設けてもよく、さらに、球状突起16を回転体に代えることも可能である。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第4の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0044】
本実施の形態において、球状突起16、ローラ22、支軸23、レバー24、圧縮ばね25が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0045】
次に、本発明による第5の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。尚、図1〜図5,図7〜図14と同一符号は同一部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態における減速手段7は、駆動軸8の先端部に設けた押圧体26と、前記駆動軸8の進退によって前記押圧体26と接触する弾性体27と、この弾性体27をベース2(図1参照)の定位置に保持する保持部材(図示せず)とを備えている。そして、弾性体27を前記ベース2に調整可能に取り付けることで、前記押圧体6と前記弾性体27との位置関係を調整している。
【0047】
本実施の形態において、各把持爪がウェハを把持する前は、図13の状態にあり、この状態で駆動軸8が矢印A方向に駆動されると、その先端の押圧体26が弾性体27に接近し、ついには押圧体26が弾性体27に接触する。さらに、駆動軸8の駆動を続けると、図14に示すように、押圧体26は弾性体27を圧縮して変形させる。この動作、即ち、押圧体26が弾性体27を変形させることにより、駆動軸8の移動速度、云い代えれば各把持爪の移動速度を減速させ、把持爪のウェハへの接触を低速度で行うことができる。尚、押圧体26が弾性体27を最大量変位させる点を、各把持爪がウェハに接触するときに一致させることで、ウェハに接触する時点での把持爪の移動速度を最も遅くすることができる。
【0048】
尚、前記弾性体27は、ゴム製の中実ボールでも、環状のばねでもよく、さらに、ゴム製の中空ボールに圧縮空気を封入したものでもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態においても、各把持爪の移動速度をウェハに接触直前に、減速することができるので、第4の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0050】
本実施の形態において、押圧体26と弾性体27が、本発明による把持部材の移動を抑制する抵抗部材、把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段、弾性体の反発力を増大させる手段、弾性体の変軽量を小さくさせる手段となる。
【0051】
この外、図示はしないが、例えば油やゲル状、あるいはゼリー状の流動物質を、前記駆動軸8の移動に伴って駆動軸8の先端部で流動させ、その流動物質を流路の中間に設けた小断面流路を通過させることで、駆動軸8の移動速度、云い代えれば把持部材の移動速度を減速させるようにしてもよい。
【0052】
この実施の形態の場合、流動物質と、小断面流路を有する流動物質の流路とが、本発明による減速手段、把持部材の移動を抑制する抵抗部材となる。
【0053】
次に、各形態における把持爪の移動時間を図15に基づいて説明する。図15に示した実線Aは本実施形態によるもの、破線Bは従来によるもの、点線Cは従来において移動速度を遅くしたもの、2点差線Dは本実施の形態で移動速度を早くしたものを示す。
【0054】
図15に示すように、本実施の形態による搬送装置(実線A)によれば、ウェハの把持指令から把持までに要する把持爪の移動時間T0は、従来の搬送装置(破線B)と同じである。しかし、前述のようにウェハ把持までの把持爪の移動速度を早くし、把持直前で減速することで、把持爪のウェハへの衝突力を小さくできるので、ウェハからの損傷粒子の飛散を少なくすることができる。
【0055】
また、従来において、移動速度を遅くすると点線Cに示すように、ウェハ把持までの把持爪の移動速度T2が長くなり、搬送効率を低下させることになる。しかし、本実施の形態において、ウェハ把持までの把持爪の移動速度をさらに早くすることで、2点鎖線Dで示すように、移動時間T2は短縮されて搬送効率を高めることができる。
【0056】
以上説明したように本発明によれば、把持爪によるウェハの把持時に、把持爪の移動速度を減速することで、ウェハへの把持爪の衝突力を低減できるので、把持爪の衝突力二よりウェハから飛散する損傷粒子の発生を少なくすることができる。
【0057】
ところで上述のウェハの搬送装置1は、互いに逆方向に駆動される第1ハンドフレーム5及び第2ハンドフレーム6と、これらに設けられた中間部が括れた鼓状の把持爪10A,10B,11A,11Bとでウェハを把持しているが、図16及び図17に示すウェハの搬送装置30にも本発明を適用することができる。
【0058】
即ち、図16及び図17に示すウェハの搬送装置30は、搬送機器(図示せず)に固定されるベース2と、このベース2に固定された、例えばエアシリンダや真空シリンダ等からなるアクチュエータ3と、このアクチュエータ3から突出し一方向に進退する駆動軸8と、前記ベース2に固定されU字状に形成された固定ハンドフレーム31と、この固定ハンドフレーム31のU字状の先端部に夫々固定された円柱の中間部が括れた鼓状の固定把持爪32A,32Bと、前記駆動軸8に連結され前記固定把持爪32A,32Bとほぼ同形状をなし固定把持爪32A,32Bとの間隔を拡縮する可動把持爪33と、この可動把持爪33に連結された速度制御棒34と、この速度制御棒34の移動速度を減速する減速手段7とから構成されている。
【0059】
上記構成のウェハの搬送装置30は、ウェハ15を把持するときには、可動把持爪33のみ矢印A方向に移動させて固定把持爪32A,32Bとの間でウェハ15のエッジを把持する。そして、前記減速手段7は、既述の各減速手段と同じ構成とする。しかし、前記ウェハの搬送装置1の各減速手段7は、駆動軸8が減速手段7内に入り込む動作時に機能するように構成されているので、駆動軸8と連動する制御棒34が把持動作時に減速手段7から突出するウェハの搬送装置30では、制御棒34が減速手段7から突出するときに、機能するように構成することが必要である。
【0060】
また、上記説明は、ウェハの検査装置に用いられる搬送装置を例に説明したが、これらに限定されるものではなく、フラットパネルディスプレイ装置のガラス基板等の精密薄板材の製造装置や検査装置に用いられる精密薄板材の搬送装置にも適用できるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による精密薄板材の搬送装置の第1の実施の形態を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿う縦断側面図。
【図3】図1に用いた減速手段の待機状態を示す概略側面図。
【図4】図1に用いた減速手段の把持状態を示す概略側面図。
【図5】(a)〜(c)は、図1の精密薄板材の搬送装置の各時点の把持爪の位置を示す平面図。
【図6】図1の精密薄板材の搬送装置の把持爪の位置と力及び移動速度を示す線図。
【図7】本発明による精密薄板材の搬送装置の第2の実施の形態を示す側面図。
【図8】図7の把持位置を示す側面図。
【図9】本発明による精密薄板材の搬送装置の第3の実施の形態を示す側面図。
【図10】図9の把持位置を示す側面図。
【図11】本発明による精密薄板材の搬送装置の第4の実施の形態を示す側面図。
【図12】図11の把持位置を示す側面図。
【図13】本発明による精密薄板材の搬送装置の第5の実施の形態を示す側面図。
【図14】図13の把持位置を示す側面図。
【図15】把持爪の移動時間と速度との関係を示す比較線図。
【図16】本発明による精密薄板材の搬送装置の別な構成を示す平面図。
【図17】図16のB−B線に沿う縦断側面図。
【符号の説明】
【0062】
1,30…ウェハの搬送装置、3…アクチュエータ、5…第1ハンドフレーム、6…第2ハンドフレーム、7…減速手段、8…駆動軸、10A,10B11A,11B…把持爪、12…第1磁石、13…第2磁石、16,21…球状突起、17…プランジャノーズ、18,25…圧縮ばね、20,27…弾性体、22…ローラ、31…固定ハンドフレーム、32A,32B…固定把持爪、33…可動把持爪、34…速度制御棒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密薄板材の板面に沿って移動させて前記精密薄板材のエッジを把持する複数の把持部材を備えた精密薄板材の搬送装置において、前記把持部材の移動速度を前記精密薄板材のエッジに接触する直前に減速させる減速手段を設けたことを特徴とする精密薄板材の搬送装置。
【請求項2】
前記減速手段は、前記把持部材の移動を抑制する抵抗部材であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項3】
前記抵抗部材は、前記把持部材の移動に伴って流動する流動物質と、その流動物質の流路に設けた小断面流路で構成されていることを特徴とする請求項2記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項4】
前記減速手段は、前記把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項5】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って磁気力を増大させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項6】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って弾性体の反発力を増大させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項7】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って弾性体の変形量を小さくさせる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項1】
精密薄板材の板面に沿って移動させて前記精密薄板材のエッジを把持する複数の把持部材を備えた精密薄板材の搬送装置において、前記把持部材の移動速度を前記精密薄板材のエッジに接触する直前に減速させる減速手段を設けたことを特徴とする精密薄板材の搬送装置。
【請求項2】
前記減速手段は、前記把持部材の移動を抑制する抵抗部材であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項3】
前記抵抗部材は、前記把持部材の移動に伴って流動する流動物質と、その流動物質の流路に設けた小断面流路で構成されていることを特徴とする請求項2記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項4】
前記減速手段は、前記把持部材の移動に伴って弾性力を低下させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項5】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って磁気力を増大させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項6】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って弾性体の反発力を増大させる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【請求項7】
前記減速手段は、前記把持部材の把持方向の移動に伴って弾性体の変形量を小さくさせる手段であることを特徴とする請求項1記載の精密薄板材の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−41423(P2006−41423A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223020(P2004−223020)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000233549)日立那珂エレクトロニクス株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000233549)日立那珂エレクトロニクス株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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