説明

精神的免疫度の測定装置

【課題】 迅速に、かつ判断者の能力に依存することが少なく客観的に精神的免疫度を判定することのできる装置を提供する。
【手段】 生体情報計測器2は、対象者の生体情報を取得する。アトラクタ構成手段4は、取得した生体情報に基づいて、n次元カオスアトラクタを構成する。リアプノフ指数算出手段8は、構成されたnカオスアトラクタに基づいて、リアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出する。代表特性値算出手段10は、代表リアプノフ指数の時系列に基づいて、代表リアプノフ指数の特性値を算出する。判定手段12は、算出された特性値に基づいて対象者の精神的免疫度を判定する。このようにして、対象者の生体情報に基づいて、対象者の精神的免疫度を判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、取得した生体情報に対してカオス解析を行い、意思疎通や痴呆度などの精神的免疫度を測定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
痴呆症であるか否かを判定するため、医師が、予め用意した質問を患者に対して行い、患者の回答内容によって痴呆症の度合いを決定する方法が用いられている。このようなものとして、たとえば、長谷川式簡易知能評価スケールがよく知られている。
【0003】
また、特許文献1には、要介護認定を支援するためのコンピュータシステムが開示されている。質問に対する回答などを入力すれば、それをレーダーチャートなどに表すことのできるシステムである。
【0004】
【特許文献1】特開2001-142979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような質問に対する回答による判断では、判断を行う者の知識や経験によっては、客観性のある判断を行えないという問題があった。
【0006】
また、質問に対して回答するという形式であるため、判定までに時間を要するという問題もあった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解決して、迅速に、かつ判断者の能力に依存することが少なく客観的に精神的免疫度を判定することのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)(2)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、生体情報を計測する生体情報計測器と、生体情報計測器によって計測した生体情報を受けて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数の特性値を算出する特性値算出手段と、特性値算出手段によって算出された特性値に基づいて精神的免疫度を判定する判定手段とを備えている。
【0009】
生体情報からアトラクタを構成し、当該アトラクタのリアプノフ指数に基づいて知的機能を判定するようにしている。したがって、迅速にかつ客観的な判定を行うことができる。
【0010】
(3)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、特性値算出手段が、 アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、リアプノフ指数算出手段によって得られる代表リアプノフ指数の時系列に基づいて、代表リアプノフ指数の特性値を算出する代表特性値算出手段とを備えていることを特徴としている。
【0011】
したがって、時系列のリアプノフ指数の特性値に基づいて、より正確に判定を行うことができる。
【0012】
(4)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、リアプノフ指数算出手段が、各次元のリアプノフ指数のうち最も大きいリアプノフ指数を代表リアプノフ指数とすることを特徴としている。
【0013】
したがって、最大リアプノフ指数を用いることにより、精度の高い判定を行うことができる。
【0014】
(5)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、アトラクタ構成手段が、第2の所定時間ずらせながら、第1の所定時間分の生体情報について時系列にアトラクタを構成し、リアプノフ指数算出手段が、時系列に構成されたアトラクタに基づいて時系列の代表リアプノフ指数を算出することを特徴としている。
【0015】
リアプノフ指数を算出する基礎となる生体情報に重なりを持たせることにより、より正確な判定を可能としている。
【0016】
(6)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、代表特性値算出手段が、特性値として、時系列の代表リアプノフ指数の少なくとも平均値または標準偏差を算出することを特徴としている。
【0017】
精神的免疫度に関係する代表リアプノフ指数の少なくとも平均値またはリアプノフ指数の揺らぎを意味する標準偏差を用いることにより、より正確な判定を行うことができる。
【0018】
(7)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、判定手段が、リアプノフ指数の平均値または標準偏差が大きいほど知的機能が高いと判断することを特徴としている。
【0019】
(8)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、判定対象となる精神的免疫度が、意思疎通または痴呆度であることを特徴としている。
【0020】
(9)この発明に係る解析プログラムは、コンピュータを生体情報解析装置として機能させるための解析プログラムであって、生体情報計測器によって計測した生体情報を受けて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、リアプノフ指数算出手段によって得られる代表リアプノフ指数を出力する出力手段とをコンピュータによって実現するための解析プログラムである。
【0021】
生体情報からアトラクタを構成し、当該アトラクタのリアプノフ指数を出力するようにしている。したがって、迅速にかつ客観的な判定を行うための情報を提供することができる。
【0022】
(10)この発明に係る解析プログラムは、出力手段が、リアプノフ指数算出手段によって得られる時系列の代表リアプノフ指数につき、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルとして出力することを特徴としている。
【0023】
したがって、判定を視覚的に容易に行うことができる。
【0024】
(11)この発明に係る精神的免疫度判定装置は、生体情報計測器が、指尖脈波を計測する赤外線計測器であることを特徴としている。
【0025】
したがって、生体情報取得のため対象者に与える苦痛を少なくすることができる。
【0026】
(12)この発明に係る精神的免疫度データ表示システムは、
端末装置は、生体情報計測器からの生体情報をサーバ装置に送信する送信手段と、サーバ装置からの表示データを受信する受信手段と、受信した表示データを表示する表示部とを備え、
サーバ装置は、生体情報を受信する受信手段と、受信した生体情報に基づいて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、 アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、算出された代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データを生成する表示データ生成手段と、生成された表示データを送信する送信手段とを備えている。
【0027】
したがって、ユーザは端末装置において精神的免疫度を知ることができる。
【0028】
(13)この発明に係るサーバ装置は、端末装置からの生体情報を受信する受信手段と、受信した生体情報に基づいて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、算出された代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データを生成する表示データ生成手段と、生成された表示データを端末装置に送信する送信手段とを備えている。
【0029】
したがって、ユーザは端末装置において精神的免疫度を知ることができる。
【0030】
(14)この発明に係るシステムは、代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データは、リアプノフ指数算出手段によって得られる時系列の代表リアプノフ指数につき、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルを表示するための表示データであることを特徴としている。
【0031】
したがって、容易に精神的免疫度を判定することができる。
【0032】
(15)この発明に係る精神的免疫度判定のための星座グラフ表示物は、生体情報計測器によって計測した生体情報について、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成し、当該アトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出し、時系列に得られる代表リアプノフ指数を、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルとして表した星座グラフ表示物である。
【0033】
したがって、判定を視覚的に容易に行うことができる。
【0034】
この発明において「生体情報」とは、人間などの動物の生命活動を示す情報をいう。実施形態では、指尖脈派がこれに該当する。
【0035】
「精神的免疫度」とは、外部環境への適応力や知的機能などを含む概念である。
【0036】
「アトラクタ構成手段」は、実施形態おいては、図6のステップS9がこれに対応する。
【0037】
「リアプノフ指数算出手段」は、実施形態においては、図6のステップS10、S11がこれに対応する。
【0038】
「代表特性値算出手段」は、実施形態においては、図7のステップS16がこれに対応する。
【0039】
「判定手段」は、実施形態においては、図7のステップS17がこれに対応する。
【0040】
「表示データ生成手段」は、実施形態においては、星座グラフ生成手段50、図25のステップS89がこれに対応する。
【0041】
「代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データ」とは、平均値を間接的・直接的に示すことのできるデータであり、平均値そのものだけでなく、星座グラフを表示するためのデータ等を含む概念である。
【0042】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
1.第1の実施形態
図1に、この発明の一実施形態による精神的免疫度判定装置の機能ブロック図を示す。生体情報計測器2は、対象者の生体情報を取得する。アトラクタ構成手段4は、取得した生体情報に基づいて、n次元カオスアトラクタを構成する。リアプノフ指数算出手段8は、構成されたnカオスアトラクタに基づいて、リアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出する。代表特性値算出手段10は、代表リアプノフ指数の時系列に基づいて、代表リアプノフ指数の特性値を算出する。判定手段12は、算出された特性値に基づいて対象者の精神的免疫度を判定する。このようにして、対象者の生体情報に基づいて、対象者の精神的免疫度を判定することができる。なお、この実施形態では、リアプノフ指数算出手段8と代表特性値算出手段10によって、特性値算出手段6が構成されている。
【0044】
図2に、図1の精神的免疫度判定装置をCPUを用いて実現した場合のハードウエア構成を示す。この実施形態では、精神的免疫度として意思疎通力、痴呆度を判定する場合について説明を行う。生体情報計測器である指尖脈波計測器16は、指に装着するためのカフ14を備えている。カフ14の構造を、図3に示す。発光素子36からは、赤外線が照射される。反射光は、受光素子38に入射する。この反射光の強度は、血流量を表している。したがって、受光素子38から出力される信号は、指尖容積脈波となる。指尖脈波計測器16は、受光素子38からの信号をディジタルデータにして出力する。指尖脈波計測器16からのデータは、I/Oポート18を介してCPU20に取り込めるようになっている。
【0045】
図4に、指尖脈波計測器16から出力される指尖脈波の例を示す。実際にはディジタルデータであるが、図においては波形として示している。
【0046】
CPU20には、メモリ22、プリンタ24、ディスプレイ26、ハードディスク28、キーボード/マウス34、CD−ROMドライブ40が接続されている。ハードディスク28には、オペレーティングシステム(マイクロソフト社のWINDOWS(商標)など)30、解析プログラム32、意思疎通力テーブル35、痴呆度テーブル37が記録されている。解析プログラム32は、オペレーティングシステム30と協働してその機能を発揮する。また、解析プログラム32は、CD−ROM42に記録されていたものが、CD−ROMドライブ40を介して、ハードディスク28にインストールされたものである。
【0047】
図5に、解析プログラム32のフローチャートを示す。CPU20は、ステップS1においてiを「0」とする。次に、iに「1」を加えて、iを「1」とする(ステップS2)。CPU20は、指尖脈波計測器16からの出力を取り込み、ハードディスク28に記録する(ステップS3)。この実施形態では、3分間のデータ(36000点のデータ)を記録するようにしている。なお、他の実施形態では、3分より長い時間のデータを記録してもよいし、3分より短い時間のデータを記録してもよい。
【0048】
3分間の指尖脈波データを記録すると、CPU20は、i=3であるか否かを判断する(ステップS4)。ここでは、i=1であるから、ステップS2以下を再び実行する。つまり、i=2として、3分間の指尖脈波データを記録する。
【0049】
このようにして、CPU20は、3回分の指尖脈波データをハードディスク28に記録する。図8A、図8B、図8Cに、記録された3回分の指尖脈波データを示す。図8Aが1番目の指尖脈波データ、図8Bが2番目の指尖脈波データ、図8Cが3番目の指尖脈波データである。
【0050】
3回分の記録を終えると(i=3になると)、CPU20は、i=0、j=0とする(ステップS5)。続いて、i=1、j=1に設定し(ステップS6、S
7)、第1番目の指尖脈波データにつき、第1番目のブロックを対象ブロックとする(ステップS8)。この実施形態では、図8Aに示すように、先頭から3500点のデータを第1番目のブロックB1としている。
【0051】
CPU20は、対象ブロックの指尖脈波データについて、Takensの埋め込み定理によって、埋め込み次元をnとし埋め込み遅延をτとして、カオスアトラクターを再構成する(ステップS9)。図9に、指尖脈波データからのカオスアトラクタ構成の手順を示す。時系列の指尖脈波データをw(t)とする(図9A)。この指尖脈波データに基づいて、CPU20は、ベクトルP(i)=w(i)、w(i+τ)、w(i+2τ)を生成する(図9A参照)。説明のため、3次元ベクトルとした。ここでτは埋め込み遅延である。
【0052】
このベクトルP(i)を、図9Bに示すように、3次元再構成相空間内に順次プロットする。この3次元再構成相空間の、座標軸は、Xi=w(i)、Yi=(i+τ)、Zi=(i+2τ)である。このようにして、図9Cに示すようなアトラクタを得ることができる。
【0053】
なお、この実施形態では、埋め込み次元nを4とし、埋め込み遅延τを10点(10サンプリング点)とした。なお、埋め込み次元n、埋め込み遅延τは他の値としてもよい。CPU20は、このようにして算出したアトラクタ(ベクトルP(i))を、ハードディスク28に記録する。
【0054】
次に、CPU20は、算出したアトラクタの各次元について、リアプノフ指数を算出する(ステップS10)。リアプノフ指数とは、xn+1=f(xn)という力学系について、近接した2点から出発した2つの軌道{xn}がどのくらいn→無限大のとき離れてゆくかを測る尺度である。CPU20は、下式によって各次元のリアプノフ指数を算出する。
【0055】
【数1】

【0056】
CPU20は、上式に基づいて算出した4つの次元のそれぞれのリアプノフ指数のうち、最も多いものを代表値として最大リアプノフ指数λ(i,j)とする(ステップS11)。このようにして、第1回目測定(i=1)の指尖脈波の第1ブロック(j=1)のデータについて、最大リアプノフ指数λ(1,1)が得られる。CPU20は、この最大リアプノフ指数λ(1,1)を、ハードディスク8に記録する。
【0057】
次に、CPU20は、第1回目測定の指尖脈波の全てのブロックについて、最大リアプノフ指数を算出したかどうかを判断する(ステップS12)。未処理のブロックがあれば、ステップS7に戻りjに「1」を加える。ここでは、j=2となる。したがって、第2番目のブロックを対象ブロックとし(ステップS8)、ステップS9以下の処理を繰り返す。
【0058】
なお、この実施形態では、図8Aに示すように、第2番目のブロックB2は、第1番目のブロックB1と同じ点数(3500サンプル点数)であり、200サンプル点ずれた位置としている。CPU20は、この第2番目のブロックB2についても、最大リアプノフ指数λ(1,2)を算出し、ハードディスク28に記録する。
【0059】
上記の処理を繰り返し、第1回目の指尖脈波における全てのブロックについて最大リアプノフ指数を算出すると(ステップS12)、i=3であるか(つまり3回の測定脈波全てについて処理を終えたか)否かを判断する(ステップS13)。ここでは、i=1であるから、ステップS6に戻りi=2とし、第2回目の指尖脈波(図8B)について、ステップS7以下を繰り返し実行する。これにより、第2回目の指尖脈波について、各ブロックの最大リアプノフ指数λ(2,1)・・・λ(2,k)を算出し、記録することができる。
【0060】
同様にして第3回目の指尖脈波について各ブロックの最大リアプノフ指数λ(3,1)・・・λ(3,k)を記録すると、CPU20は、ステップS13からステップS14に進む。
【0061】
ステップS14においては、まず、第1回目〜第3回目の指尖脈波の第1ブロックの最大リアプノフ指数λ(1,1)、λ(2,1)、λ(3,1)を、ハードディスク28から読み出し、オフセット重み付けによる平均Weightedλ(1)を算出する。
【0062】
この実施形態では、以下のようにしてWeightedλ(1)を算出している。まず、CPU20は、第1ブロックの最大リアプノフ指数λ(1,1)、λ(2,1)、λ(3,1)のうちの最大値と最小値の差DEFを算出する。また、第1ブロックの最大リアプノフ指数λ(1,1)、λ(2,1)、λ(3,1)の平均値Mを算出する。差DEFが平均値Mよりも小さい場合には、当該平均値MをWeightedλ(1)として用いる。一方、差DEFが平均値Mよりも小さくない場合には、最大リアプノフ指数λ(1,1)、λ(2,1)、λ(3,1)の中央値をWeightedλ(1)として用いる。
【0063】
次に、第2ブロックの最大リアプノフ指数λ(1,2)、λ(2,2)、λ(3,2)を、ハードディスク28から読み出し、そのWeightedλ(2)を算出する。CPU20は、これを繰り返し、全てのブロックのWeightedλを算出する。
【0064】
次に、CPU20は、ハードディスク28に記録している指尖脈波、最大リアプノフ指数、アトラクタなどをディスプレイ26に表示する(ステップS15)。その表示例を、図10、図11に示す。図10は、第1回目の指尖脈波、時系列に並べた最大リアプノフ指数λ(1,1)〜λ(k,1)、アトラクタなどを示している。なお、この実施形態では、縦・横・高さおよび色によって、4次元アトラクタを表示している。
【0065】
図11は、第2回目の指尖脈波、時系列に並べた最大リアプノフ指数λ(1,2)〜λ(k,2)、アトラクタなどを示している。図示は略しているが、第3回目の指尖脈波、時系列に並べた最大リアプノフ指数λ(1,3)〜λ(k,3)、アトラクタなども表示される。
【0066】
次に、CPU20は、リアプノフ指数のWeightedλ(1)〜Weightedλ(k)の標準偏差を算出する(ステップS16)。さらに、CPU20は、ハードディスク28の意思疎通力テーブル35、痴呆度テーブル37を参照して、算出した標準偏差に基づいて、意思疎通力、痴呆度を判定する(ステップS17)。
【0067】
図12に、意思疎通力テーブル35の例を示す。ランクは、意思疎通力の程度を示しており、ランクaは「完全に通じる」、ランクbは「ある程度通じる」、ランクcは「ほとんど通じない」である。標準偏差が1.198を超えていればランクa、1.198〜1.05であればランクb、1.05未満であればランクcであると判定する。
【0068】
図13に、痴呆度テーブル37の例を示す。ランクは、痴呆度を示し、数値が大きいほど痴呆が進んでいることを示す。ランク0は「痴呆なし」、ランク1は「軽度」、ランク2は「中度」、ランク3は重度、ランク4は「最重度」である。標準偏差が1.254を超えていればランク0、1.254〜1.157であればランク1、1.157〜1.12であればランク2、1.12.〜0.964であればランク3、0.964未満であればランク4であると判定する。
【0069】
CPU20は、この判定結果をディスプレイ26に表示する(ステップS18)。このようにして、迅速かつ客観的に意思疎通力、痴呆度を判定することができる。
【0070】
上記の意思疎通力テーブル35、痴呆度テーブル37は、発明者が行った実験・調査により、意思疎通力・痴呆度とリアプノフ指数の加重平均Weightedλの標準偏差との間に関連があることが見いだされたことに基づいて得られたものである。
【0071】
図14および図16に、発明者の行った意思疎通力と標準偏差の調査結果を示す。この実験・調査結果から、リアプノフ指数のWeightedλの標準偏差に基づいて意思疎通力を判断できることがわかる。
【0072】
なお、図12の意思疎通力テーブル35では、実験調査によって得られたランクaの人の標準偏差の平均と、ランクbの人の標準偏差の平均との中間値を第1の値(図12では1.198)とし、ランクbの人の標準偏差の平均と、ランクcの人の標準偏差の平均との中間値を第2の値(図12では1.05)とし、標準偏差が第1の値より大きければランクa、標準偏差が第1の値と第2の値の間にあればランクb、標準偏差が第2の値より小さければランクcとした。この実施形態では、中間値を第1の値・第2の値としたが、中間値以外の値を採用してもよい。
【0073】
図17および図19に、発明者の行った痴呆度と標準偏差の調査結果を示す。この実験・調査結果から、リアプノフ指数のWeightedλの標準偏差に基づいて痴呆度を判断できることがわかる。
【0074】
なお、図13の痴呆度テーブル37では、実験調査によって得られたランク0の人の標準偏差の平均と、ランク1の人の標準偏差の平均との中間値を第1の値(図13では1.254)とし、ランク1の人の標準偏差の平均と、ランク2の人の標準偏差の平均との中間値を第2の値(図13では1.157)とし、以下同様にして第4の値まで算出し、標準偏差が第1の値より大きければランク0、標準偏差が第1の値と第2の値の間にあればランク1、標準偏差が第2の値と第3の値の間にあればランク2、標準偏差が第3の値と第4の値の間にあればランク3、標準偏差が第4の値より小さければランク4とした。この実施形態では、中間値を第1の値・第2の値としたが、中間値以外の値を採用してもよい。
【0075】
上記実施形態では、リアプノフ指数のWeightedλの標準偏差を用いて、意思疎通力、痴呆度を判定している。しかし、発明者の実験・調査によれば、図15、図16に示すように、リアプノフ指数のWeightedλの平均値と意思疎通力との間に関係が見いだされている。同様に、図18、図19に示すように、リアプノフ指数のWeightedλの平均値と痴呆度との間に関係が見いだされている。したがって、上記の標準偏差と同じように意思疎通力テーブル、痴呆度テーブルを生成し、リアプノフ指数のWeightedλの平均値に基づいて、意思疎通力、痴呆度を判定することができる。
【0076】
なお、発明者の実験によれば、リアプノフ指数の平均値が高くても標準偏差(揺らぎ)が小さい状態が長く続くと、対象者の高度の緊張状態が続いていることを示していることが判明している。多くの場合、その後、リアプノフ指数の平均値が小さく、標準偏差が小さい状態になることも判明している。したがって、リアプノフ指数の平均値と標準偏差(揺らぎ)の双方に基づいて、CPU20に対象者の精神的免疫度を判定させることができる。
【0077】
上記実施形態では、標準偏差や平均値に基づいて意思疎通力や痴呆度を判定して出力するようにしているが、標準偏差や平均値を出力するようにしてもよい。また、アトラクタの図形を出力し、これに基づいて操作者が判断するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ディスプレイに表示することによって判定結果などを出力するようにしているが、プリンタなどで印刷して出力するようにしてもよい。あるいは、記録媒体などに判定結果などをデータとして出力するようにしてもよい。
【0079】
なお、リアプノフ指数のWeightedλ(1)〜Weightedλ(k)の値を角度に変換し、k個のベクトルの軌跡を星座グラフとして出力するようにしてもよい。CPU20は、リアプノフ指数のWeightedλ(1)〜Weightedλ(k)の値に対応する角度ξ1〜ξkを算出する。この実施形態では、Weightedλが大きいほど角度ξを大きくするようにしている。次に、CPU20は、図20に示すように、原点Oを基点とし、Weightedλ(1)の値に対応する角度ξ1によってベクトルを描く。さらに、このベクトルの先端を基点とし、Weightedλ(2)の値に対応する角度ξ2によってベクトルを描く。これを繰り返して、Weightedλ(k)の値に対応する角度ξkまでベクトルを描く。なお、各ベクトルの長さは、Weightedλの値にかかわらず同じにする。
【0080】
図21に、このようにして描かれた星座グラフを示す。図中aの符号を付した軌跡が意思疎通力aの人、図中bの符号を付した軌跡が意思疎通力bの人、図中cの符号を付した軌跡が意思疎通力cの人であり、明確に区別ができている。したがって、予め、軌跡の到達する領域によって意思疎通力のランク付けをしておけば、操作者はこの星座グラフを見て容易に意思疎通力を判断することができる。
【0081】
図22に、同じ星座グラフについて、痴呆度との関係を示す。意思疎通力と同じように、痴呆度についても、明確に区別ができている。したがって、予め、軌跡の到達する領域によって痴呆度のランク付けをしておけば、操作者はこの星座グラフを見て容易に痴呆度を判断することができる。このように、星座グラフを用いると、リアプノフ指数の平均値と揺らぎ(標準偏差に対応)とを同時に表示することができる。
【0082】
なお、上記実施形態では、予め、Weightedλの値と角度との対応関係を定めておき、これにしたがって各ベクトルの角度を決定するようにしている。しかし、複数人の対象者を比較する場合には、各対象者のWeightedλ(1)〜(k)のうち最大の値を有するものを180度、最小の値を有するものを0度とし、最大の値を有するWeightedλ、最小の値を有するWeightedλとの比率によって角度を決定するようにしてもよい。つまり、下式によって各ベクトルの角度ξijを決定してもよい。
【0083】
ξij =180 * (λij − λmin) / (λmax − λmin)
なお、iはブロックの番号であり1〜k、jは対象者を示し1〜mである(m人の場合)。λijは、対象者jのブロックiのWeightedλである。λmaxはすべての対象者のすべてのブロックのうちの最大値、λminはすべての対象者のすべてのブロックのうちの最小値である。
【0084】
複数人の比較を行う際には、上記のように角度を決定すれば、有効に星座グラフ領域を使用することができる。
【0085】
上記実施形態では、生体情報として指先における血流を計測するようにしている。しかし、耳たぶ等他の部位から血流を計測するようにしてもよい。また、生体情報として、指尖脈派などの血流量だけでなく、心電波形、呼吸量などを用いてもよい。また、圧電センサー等を用いて身体から出る振動を測定した情報を用いてもよい。
【0086】
上記実施形態では、各次元の最大のリアプノフ指数を代表リアプノフ指数としている。しかし、いずれか一つの次元のリアプノフ指数を代表リアプノフ指数としてもよい。また、各次元のリアプノフ指数の平均を代表リアプノフ指数としてもよい。
【0087】
上記実施形態では、4次元のアトラクタに基づいてリアプノフ指数を算出するようにしている。しかし、3次元以下、5次元以上のアトラクタに基づいてリアプノフ指数を算出するようにしてもよい。
【0088】
上記実施形態では、リアプノフ指数の特性値として、標準偏差や平均を用いているが、最大値、最小値など他の特性値を用いるようにしてもよい。
【0089】
上記実施形態では、指尖脈派を3回測定しているが、1回の測定を行うだけでも良い。この場合には、Weightedλを算出する必要はなく、最大リアプノフ指数をそのまま用いることができる。また、指尖脈波を、2回以下、4回以上測定するようにしてもよい。
【0090】
なお、上記では、オフセット重み付けをしたWeightedλを用いているが、単純平均など、他の平均値を用いるようにしてもよい。
【0091】
上記実施形態では、1台のコンピュータによって装置を実現しているが、生体情報を取得して記録するコンピュータ、判定処理を行うコンピュータなど複数台のコンピュータによって装置を実現するようにしてもよい。この場合、コンピュータ間のデータ交換は、インターネット、LAN等によるオンライン通信だけでなく、記録媒体によるデータ交換を用いることもできる。
【0092】
なお、第1の実施形態及びその変形例は、下記に示す第2の実施形態にも適用することができる。
【0093】
2.第2の実施形態
図23に、この発明の他の実施形態による精神的免疫度判定システムの機能ブロック図を示す。この例では、生体情報計測器2、携帯電話58および携帯電話58と通信可能なサーバ装置60とを備えてシステムが構成されている。生体情報計測器2によって計測された生体情報は、携帯電話58の送信手段3によって、サーバ装置60に送信される。なお、生体情報計測器2と携帯電話58とは、オンラインにて接続されていてもよいし、記録媒体を介して生体情報データを伝送するようにされていてもよい。
【0094】
サーバ装置60の受信手段5は、携帯電話58からの生体情報を受信する。アトラクタ構成手段4は、この生体情報に基づいて時系列のアトラクタを構成する。リアプノフ指数算出手段8は、アトラクタに基づいて、時系列のリアプノフ指数を算出する。星座グラフ生成手段50は、時系列のリアプノフ指数を角度に変換して、星座グラフを生成する。送信手段52は、生成された星座グラフのデータを、携帯電話58に送信する。
【0095】
携帯電話58の受信手段54は、星座グラフのデータを受信する。表示部56は、受信した星座グラフのデータに基づいて、星座グラフを表示する。
【0096】
図24にこのシステムの概略構成を示す。第1の実施形態と同じように、生体情報計測器である指尖脈波計測器16は、指に装着するためのカフ14を備えている。なお、指尖脈波計測器16の機能を、携帯電話58に内蔵するようにしてもよい。携帯電話58とサーバ装置60とは、インターネット62を介して通信可能となっている。
【0097】
図25は、携帯電話58のハードウエア構成である。図においては、通話に必要な機能部分は省略している。CPU80には、I/Oポート18を介して、指尖脈波計測器16、ディスプレイ86、メモリ82、テンキー35、通信回路37が接続されている。通信回路37は、インターネット62に接続するための回路である。テンキー35は、ユーザが入力を行うためのものである。メモリ82には、サーバ装置60と接続し、サーバ装置60からの情報を表示するためのブラウザプログラムや処理プログラムが記録されている。ディスプレイ86は、表示を行うためのものである。
【0098】
図26に、サーバ装置60のハードウエア構成を示す。CPU20には、メモリ22、通信回路25、ディスプレイ26、ハードディスク28、キーボード/マウス34、CD−ROMドライブ40が接続されている。ハードディスク28には、オペレーティングシステム(マイクロソフト社のWINDOWS(商標)など)30、解析プログラム30が記録されている。解析プログラム32は、オペレーティングシステム30と協働してその機能を発揮する。また、解析プログラム32は、CD−ROM42に記録されていたものが、CD−ROMドライブ40を介して、ハードディスク28にインストールされたものである。通信回路25は、インターネットに接続するための回路である。
【0099】
図27および図28に、携帯電話58のブラウザプログラム・処理プログラムのフローチャートと、サーバ装置60の解析プログラム32のフローチャートを示す。ユーザが指尖脈波計測器16によって指尖脈波の計測を行うと、CPU80は、指尖脈波データを取り込み、メモリ82に記録する(ステップS51)。続いて、CPU80は、脈波データを通信回路37を介して、サーバ装置60に送信する(ステップS52)。
【0100】
サーバ装置60のCPU20は、通信回路25を介して受信した脈波データを、ハードディスク28に記録する(ステップS81)。CPU20は、記録した脈波データにつき、ステップS82〜S88を実行して、時系列の最大リアプノフ指数を算出する。ステップS82〜S88の処理は、第1の実施形態のステップS6〜S12と同様である。ただし、図27の実施形態においては、1回分の指尖脈波だけを対象として、最大リアプノフ指数を算出している点が異なっている。したがって、第1の実施形態のようにオフセット重み付けをしたWeightedλを算出せず、最大リアプノフ指数をそのまま用いて以後の処理を行う。
【0101】
ステップS89において、CPU20は、算出した時系列の最大リアプノフ指数λ(j)に基づいて、星座グラフを生成する。
【0102】
CPU20は、最大リアプノフ指数λ(1)〜λ(k)の値に対応する角度ξ1〜ξkを算出する。この実施形態では、λが大きいほど角度ξを大きくするようにしている。次に、CPU20は、図20に示すように、原点Oを基点とし、λ(1)の値に対応する角度ξ1によってベクトルを描く。さらに、このベクトルの先端を基点とし、λ(2)の値に対応する角度ξ2によってベクトルを描く。これを繰り返して、λ(k)の値に対応する角度ξkまでベクトルを描く。なお、各ベクトルの長さは、λの値にかかわらず同じにする。
【0103】
このようにして生成された星座グラフチャートを図29に示す。グラフの描画領域は、たとえば、3つの領域A、B、Cに色分けして示されており、その上に星座グラフ105が表示される。領域A、B、Cの順に精神的免疫度が高い。CPU20は、この星座グラフチャートのデータを、通信回路25を介して携帯電話58に送信する。
【0104】
携帯電話58のCPU80は、通信回路37を介してこれを受信し(ステップS53)、ディスプレイ86に表示する(ステップS54)。これにより、ユーザは、図29に示すような星座グラフチャートを見ることができる。どの領域に星座グラフ105が位置するかによって、精神的免疫度を判定することができる。また、星座グラフ105の揺れ具合によって、揺らぎの大きさを知ることができる。また、揺らぎが小さいと星座グラフが直線的になり、星座グラフが外側の半径線300まで届くことになり、揺らぎが大きいと星座グラフのジグザグが大きくなり、半径線300まで届かないことになる。したがって、半径線300にどの程度まで近づいたかということも、指標の一つとすることができる。
【0105】
上記実施形態では、携帯電話28を端末装置としているが、PDAやパソコンなど、イン太ネットに接続できる機器であれば端末装置として使用することができる。
【0106】
また、サーバ装置の側に、ユーザごとに生体データ取得日と対応付けて星座グラフを記録しておき、図30に示すように、現在の星座グラフ105aだけでなく、過去の星座グラフ105bを履歴として示すようにしてもよい。この際、図に示すように、各星座グラフの近傍に、測定年月日を表示することが好ましい。このように履歴を示すことによって、ユーザは、精神的免疫度の変化を知ることができる。
【0107】
この実施形態では、1回だけの測定を行っているが、第1の実施形態のように複数回の測定を行い、Weightedλを算出して処理を行うようにしてもよい。
【0108】
また、この実施形態では、星座グラフを携帯電話28に送信して表示するようにしているが、星座グラフに代えて(あるいは加えて)第1の実施形態において算出した精神的免疫度などを送信して表示するようにしてもよい。
【0109】
上記第1・第2の実施形態では、意思疎通力や痴呆度についての判定を行っているが、移動、食事、排泄、入浴、着替え、整容などの他の精神的免疫力等の心理学的データについても同様に判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】この発明の一実施形態による精神的免疫度判定装置の機能ブロック図である。
【図2】図1の精神的免疫度判定装置をCPUを用いて実現した場合のハードウエア構成である。
【図3】指尖脈派計測器16のセンサ部分を示す図である。
【図4】指尖脈派計測器16によって計測した指尖脈派の例である。
【図5】解析プログラムのフローチャートである。
【図6】解析プログラムのフローチャートである。
【図7】解析プログラムのフローチャートである。
【図8】第1回測定から第3回測定までの指尖脈派の例である。
【図9】アトラクタの構成処理を示す図である。
【図10】指尖脈派、時系列のリアプノフ指数、アトラクタなどの表示画面である。
【図11】指尖脈派、時系列のリアプノフ指数、アトラクタなどの表示画面である。
【図12】意志疎通力テーブルの例を示す図である。
【図13】痴呆度テーブルの例を示す図である。
【図14】リアプノフ指数の標準偏差と意思疎通力との関係を実験調査した結果である。
【図15】リアプノフ指数の標準偏差と意思疎通力との関係を実験調査した結果である。
【図16】図14、図15のデータをまとめたものである。
【図17】リアプノフ指数の平均と意思疎通力との関係を実験調査した結果である。
【図18】リアプノフ指数の平均と意思疎通力との関係を実験調査した結果である。
【図19】図17、図18のデータをまとめたものである。
【図20】星座グラフを描く処理を説明する図である。
【図21】星座グラフの例である。
【図22】星座グラフの例である。
【図23】第2の実施形態によるシステムの機能ブロック図である。
【図24】図23のシステムの構成例である。
【図25】携帯電話28のハードウエア構成である。
【図26】サーバ装置60のハードウエア構成である。
【図27】携帯電話28およびサーバ装置60の処理を示すフローチャートである。
【図28】携帯電話28およびサーバ装置60の処理を示すフローチャートである。
【図29】星座グラフの例である。
【図30】星座グラフの例である。
【符号の説明】
【0111】
2・・・生体情報計測器
4・・・アトラクタ構成手段
8・・・リアプノフ指数算出手段
10・・・代表特性値算出手段
12・・・判定手段12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を計測する生体情報計測器と、
生体情報計測器によって計測した生体情報を受けて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数の特性値を算出する特性値算出手段と、
特性値算出手段によって算出された特性値に基づいて精神的免疫度を判定する判定手段と、
を備えた精神的免疫度判定装置。
【請求項2】
コンピュータを精神的免疫度判定装置として機能させるための解析プログラムであって、
生体情報計測器によって計測した生体情報を受けて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数の特性値を算出する特性値算出手段と、
特性値算出手段によって算出された特性値に基づいて精神的免疫度を判定する判定手段と、
をコンピュータによって実現するための解析プログラム。
【請求項3】
請求項1または2の装置またはプログラムにおいて、
前記特性値算出手段は、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、
リアプノフ指数算出手段によって得られる代表リアプノフ指数の時系列に基づいて、代表リアプノフ指数の特性値を算出する代表特性値算出手段と、
を備えていることを特徴とするもの。
【請求項4】
請求項3の装置またはプログラムにおいて、
前記リアプノフ指数算出手段は、各次元のリアプノフ指数のうち最も大きいリアプノフ指数を代表リアプノフ指数とすることを特徴とするもの。
【請求項5】
請求項3または4の装置またはプログラムにおいて、
前記アトラクタ構成手段は、第2の所定時間ずらせながら、第1の所定時間分の生体情報について時系列にアトラクタを構成し、
前記リアプノフ指数算出手段は、時系列に構成されたアトラクタに基づいて時系列の代表リアプノフ指数を算出することを特徴とするもの。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記代表特性値算出手段は、特性値として、時系列の代表リアプノフ指数の少なくとも平均値または標準偏差を算出することを特徴とするもの。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記判定手段は、リアプノフ指数の平均値または標準偏差が大きいほど精神的免疫度が高いと判断することを特徴とするもの。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記判定対象となる精神的免疫度は、意思疎通または痴呆度であることを特徴とするもの。
【請求項9】
コンピュータを生体情報解析装置として機能させるための解析プログラムであって、
生体情報計測器によって計測した生体情報を受けて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、
リアプノフ指数算出手段によって得られる代表リアプノフ指数を出力する出力手段と、
をコンピュータによって実現するための解析プログラム。
【請求項10】
請求項9の解析プログラムにおいて、
前記出力手段は、リアプノフ指数算出手段によって得られる時系列の代表リアプノフ指数につき、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルとして出力することを特徴とするもの。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記生体情報計測器は、指尖脈波を計測する赤外線計測器であることを特徴とするもの。
【請求項12】
端末装置と当該端末装置と通信可能なサーバ装置とを備えた精神的免疫度データ表示システムであって、
端末装置は、
生体情報計測器からの生体情報をサーバ装置に送信する送信手段と、
サーバ装置からの表示データを受信する受信手段と、
受信した表示データを表示する表示部と
を備え、
サーバ装置は、
生体情報を受信する受信手段と、
受信した生体情報に基づいて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、
算出された代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データを生成する表示データ生成手段と、
生成された表示データを送信する送信手段と、
を備えた精神的免疫度データ表示システム。
【請求項13】
該端末装置と通信可能なサーバ装置であって、
端末装置からの生体情報を受信する受信手段と、
受信した生体情報に基づいて、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成するアトラクタ構成手段と、
アトラクタ構成手段によって構成したアトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出するリアプノフ指数算出手段と、
算出された代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データを生成する表示データ生成手段と、
生成された表示データを端末装置に送信する送信手段と、
を備えたサーバ装置。
【請求項14】
請求項12または13のシステムまたは装置において、
前記代表リアプノフ指数の少なくとも平均値を明確に表示するための表示データは、リアプノフ指数算出手段によって得られる時系列の代表リアプノフ指数につき、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルを表示するための表示データであることを特徴とするもの。
【請求項15】
精神的免疫度判定のための星座グラフ表示物であって、
生体情報計測器によって計測した生体情報について、時間遅れτ、次元nとして、アトラクタを構成し、当該アトラクタに基づいて、各次元のリアプノフ指数を算出し、算出した各次元のリアプノフ指数を代表する代表リアプノフ指数を算出し、時系列に得られる代表リアプノフ指数を、各代表リアプノフ指数の値を角度に置き換え、時系列順に連続するベクトルとして表した星座グラフ表示物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−204502(P2006−204502A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19818(P2005−19818)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503092180)学校法人関西学院 (71)
【Fターム(参考)】