説明

糖尿病の治療および予防のためのジペプチジルペプチダーゼ阻害薬としての3−アミノ−4−フェニルブタン酸誘導体

本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害薬(「DP−IV阻害薬」)であり、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患、例えば糖尿病および特に2型糖尿病の治療または予防において有用である3−アミノ−4−フェニルブタン酸誘導体に関する。本発明はさらに、前記化合物を含む医薬組成物ならびにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与するそのような疾患の予防または治療における前記化合物および組成物の使用に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
糖尿病とは、複数の原因因子に由来し、絶食状態でのまたは経口糖負荷試験時のグルコース投与後における高レベルの血漿グルコースあるいは高血糖を特徴とする疾患過程を指す。高血糖が持続的であったり未管理であると、増加した早期の罹患や死亡につながる。多くの場合、グルコース恒常性異常が、直接にも間接にも、脂質、リポ蛋白およびアポリポ蛋白の代謝の変化ならびに他の代謝および血行動態の疾患に関連している。従ってII型糖尿病患者は、冠状動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経症および網膜症などの巨大血管性および微小血管性の合併症の危険性が特に高い。従って、糖尿病の臨床的管理および治療においては、グルコース恒常性、脂質代謝および高血圧の治療的管理が非常に重要である。
【0002】
糖尿病の一般に認められている形には2種類がある。I型糖尿病すなわちインシュリン依存型糖尿病(IDDM)において患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインシュリンを全くあるいはほとんど産生しない。II型糖尿病、あるいはインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)では患者は多くの場合、非糖尿病者と比較して同等またはそれより高い血漿インシュリンレベルを有する。しかしながらその患者は、筋肉、肝臓および脂肪組織である主要なインシュリン感受性組織でのグルコースおよび脂質の代謝へのインシュリンの刺激効果に対して耐性を形成しており、血漿インシュリンレベルは高くはなるが、顕著なインシュリン耐性を克服するには不十分である。
【0003】
インシュリン耐性は、インシュリン受容体数の減少が主因であるのではなく、未だ未解明のインシュリン後受容体結合欠陥によるものである。このインシュリン応答性に対する耐性によって、筋肉でのグルコースの取り込み、酸化および貯蔵のインシュリン活性化不足;脂肪組織での脂肪分解のインシュリン抑制不足;肝臓でのグルコース産生および分泌のインシュリン抑制不足が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用可能なII型糖尿病治療は実質的に長年変わっておらず、限界のあることが認められている。身体運動と食事でのカロリー摂取低減によって糖尿病状態は大幅に改善されるが、すっかり習慣化した座ったままの生活様式および過剰な食品摂取、特に多量の飽和脂肪を含む食品の過剰摂取のため、その治療での遵守程度は非常に低い。膵臓β−細胞を刺激してインシュリン分泌を増加させるスルホニル尿素類(例:トルブタミドおよびグリピジド)またはメグリチニド(meglitinide)の投与、および/またはスルホニル尿素類やメグリチニドが効果がない場合にインシュリン注射によって、インシュリンの血漿レベルを上昇させると、非常にインシュリン耐性が高い組織を刺激するだけの高いインシュリン濃度となり得る。しかしながら、インシュリンまたはインシュリン分泌促進剤(スルホニル尿素類またはメグリチニド)の投与では、血漿グルコースが危険なレベルまで低下する可能性があり、かなり高い血漿インシュリンレベルのために、インシュリン耐性レベルが高くなる場合がある。ビグアニド類はインシュリン感受性を高めることで、高血糖を幾分改善する。しかしながら、フェンホルミンおよびメトホルミンという2種類のビグアニドは、乳酸アシドーシスおよび吐き気/下痢を誘発する場合がある。メトホルミンはフェンホルミンより副作用が少なく、2型糖尿病の治療に処方される場合が多い。
【0005】
グリタゾン類(glitazone;すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン類)は、2型糖尿病の多くの症状を改善する上で効果を有し得るさらに最近報告されている種類の化合物である。この薬剤は、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓および脂肪組織におけるインシュリン感受性をかなり高めることで、低血糖を起こさずに、グルコースの血漿レベル上昇を部分的または完全に改善する。現在市販されているグリタゾン類は、ペルオキソーム増加因子活性化受容体(PPAR)、主としてPPAR−γサブタイプの作働薬である。PPAR−γ作働は、グリタゾン類で認められるインシュリン感作の改善を起こすものと一般的に考えられている。II型糖尿病の治療に関して試験中のさらに新たなPPAR作働薬は、α、γもしくはδサブタイプまたはそれらの組み合わせの作働薬であり、多くの場合、グリタゾン類とは化学的に異なる(すなわち、それらはチアゾリジンジオン類ではない)。トログリタゾンなどの一部のグリタゾン類に、重篤な副作用(例えば、肝臓毒性)が生じている。
【0006】
疾患を治療するさらなる方法については、まだ検討中である。最近導入され、現在開発中である新たな生化学的手法には、α−グルコシダーゼ阻害薬(例:アカルボース)および蛋白チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害薬による治療などがある。
【0007】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(「DP−IV」または「DPP−IV」)酵素の阻害薬である化合物も、糖尿病、特に2型糖尿病の治療において有用となり得る薬剤として研究中である。例えば、WO97/40832、WO98/19998、米国特許第5939560号、Bioorg. Med. Chem. Lett., 6, 1163-1166 (1996)およびBioorg. Med. Chem. Lett., 6, 2745-2748 (1996)を参照する。2型糖尿病の治療におけるDP−IV阻害薬の有用性は、DP−IVがin vivoでグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)および胃抑制ペプチド(GIP)を容易に失活させることに基づいている。GLP−1およびGIPはインクレチン類(incretins)であり、食物が摂取されると産生される。インクレチン類はインシュリンの産生を刺激する。DP−IVを阻害することでインクレチン失活が減少することで、膵臓によるインシュリン産生の刺激におけるインクレチン類の有効性が高くなる。従って、DP−IV阻害によって血清インシュリンレベルが上昇する。有利な点として、インクレチン類は食物が摂取された場合にのみ身体によって産生されることから、DP−IV阻害は、過度に低い血糖(低血糖)を生じ得る食間などの不適切な時点でのインシュリンレベル上昇させるものではないと予想される。従ってDP−IVの阻害は、インシュリン分泌促進剤の使用に関連する危険な副作用である低血糖の危険性を高めることなく、インシュリンを増加させることが期待される。
【0008】
DP−IV阻害薬はまた、本明細書に記載のような他の治療上の用途をも有する。DP−IV阻害薬については、特に糖尿病以外の用途に関して、現在までのところあまり研究されてこなかった。糖尿病の治療ならびに可能なものとして他の疾患および状態の治療のため、改良されたDP−IV阻害薬を見い出せるようにするために、新たな化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害薬(「DP−IV阻害薬」)であり、糖尿病および特に2型糖尿病などのジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療または予防において有用な3−アミノ−4−フェニルブタン酸誘導体に関する。本発明はさらに、その化合物を含む医薬組成物ならびにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与するそのような疾患の予防または治療におけるその化合物および組成物の使用に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害薬として有用な3−アミノ−4−フェニルブタン酸誘導体に関するものである。本発明の化合物は、下記構造式Iによって記載されるかそれの製薬上許容される塩である。
【0011】
【化10】

【0012】
式中、
各nは独立に0、1または2であり;
Xは、NまたはCRであり;
Arは、1〜5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
およびRはそれぞれ独立に、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
1−10アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−10アルコキシ[アルコキシは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−10アルキルチオ[アルキルチオは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−10アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており;前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている];
(CH−NR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換もしくは1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
各Rは独立に、
水素、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキル、および
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルコキシ
からなる群から選択され;
は独立に、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);フェニルおよびシクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);Rにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択される1〜2個の基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
各Rは、水素またはRであり;
、RおよびR10はそれぞれ独立に、
水素、
シアノ、
カルボキシ、
1−6アルキルオキシカルボニル、
1−10アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、カルボキシ、C1−6アルキルオキシカルボニルおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており;前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換もしくは1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
ただし、XがNであり、R10、R11、R12およびR13が水素であり;
またはRが、
水素;
シアノ;
1−10アルキル[未置換であるか、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシ、
(3)フェニル(独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い)、
(4)ナフチル(独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い)、
(5)COH、
(6)CO1−6アルキル、
(7)CONR1112(R11およびR12は独立に、水素、テトラゾリル、フェニル、C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;アルキルは、独立にハロゲンおよびフェニルから選択される1〜6個の置換基で置換されていても良く;前記フェニルまたはC3−6シクロアルキルはR11またはR12であり;あるいはC1−6アルキル上の存在しても良いフェニル置換基は、独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、前記C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良く;
あるいはR11およびR12が一体となって、ピロリジン、ピペリジンおよびモルホリンから選択される環を形成していても良い)
から選択される1〜5個の置換基で置換されている];
フェニル[未置換であるか独立にC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い];
ナフチル[未置換であるか独立にC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い];
COH;
1−6アルキルオキシカルボニル;
CONR1112;または
3−6シクロアルキル[独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]であり;そして
XがCRであって、
が、
水素、
シアノ、
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−10アルキル、
(CH−フェニル[未置換であるか独立にハロゲン、シアノヒドロキシ、R13、OR13、NHSO13、SO13、COHおよびC1−6アルキルオキシカルボニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており、R13は未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルである];または
5員もしくは6員の複素環[飽和または不飽和であっても良く、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;前記複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
である場合;
いずれの場合もRは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−10アルキル、
(4)(CH−フェニル[未置換であるか独立にハロゲン、シアノヒドロキシ、R13、OR13、NHSO13、SO13、COHおよびC1−6アルキルオキシカルボニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており;R13は未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルである];および
(5)5員もしくは6員複素環[飽和または不飽和であっても良く、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;前記複素環は未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
ではなく;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素またはC1−6アルキルである。
【0013】
本発明の化合物の1実施形態において、*印を施した炭素原子は、下記式Iaに示したようにR配置を有する。
【0014】
【化11】

【0015】
式中、Ar、X、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は本明細書で定義の通りである。
【0016】
本発明の化合物の第2の実施形態において、Xは下記式Ibに示したようにNである。
【0017】
【化12】

【0018】
式中、Ar、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は本明細書で定義の通りである。
【0019】
この第2の実施形態の1群では、*印を施した炭素原子は、下記式Icに示したようにR配置を有する。
【0020】
【化13】

【0021】
式中、Ar、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は本明細書で定義の通りである。
【0022】
本発明の化合物のこの第2の実施形態の別の群では、R、R10、R11、R12およびR13は下記式Idに示したように水素である。
【0023】
【化14】

【0024】
式中、Ar、RおよびRは本明細書で定義の通りである。
【0025】
この群の1小群において、Rは水素である。
【0026】
本発明の化合物の第3の実施形態では、Xは下記式Ieに示したようにCRである。
【0027】
【化15】

【0028】
式中、Ar、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は本明細書で定義の通りである。
【0029】
この第3の実施形態の1群では、*印を施した炭素原子は、下記式Ifに示したようにR配置を有する。
【0030】
【化16】

【0031】
式中、Ar、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は本明細書で定義の通りである。
【0032】
本発明の化合物のこの第3の実施形態の別の群では、R、R10、R11、R12およびR13は下記式Igに示したように水素である。
【0033】
【化17】

【0034】
式中、Ar、R、RおよびRは本明細書で定義の通りである。
【0035】
この群の1小群では、Rは水素である。
【0036】
本発明の化合物の第4の実施形態において、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチルおよびメチルからなる群から選択される。この実施形態の1群では、Rは水素、フッ素および塩素からなる群から選択される。この群の1小群では、Rは水素またはフッ素である。
【0037】
本発明の化合物の第5の実施形態において、Rは、
水素、
ハロゲン、
1−6アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−6アルコキシ[アルコキシは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−6アルキルチオ[アルキルチオは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−6アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され、アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されており、フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
あるいはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており;前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−NR
(CH−NRCOR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、CN、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されている。
【0038】
本発明の化合物のこの実施形態の1群では、Rは、
水素、
メチル、
エチル、
トリフルオロメチル、
CHCF
CFCF
フェニル、
シクロプロピル、
フッ素、
塩素、
臭素、
ビニル、
アミノ、
イソプロピルアミノ、
アセチルアミノ、
2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ、
tert−ブチルアミノカルボニル、
エトキシカルボニル、
カルボキシ、
1−ヒドロキシエチル、
メトキシ、
イソプロポキシおよび
メチルチオ
からなる群から選択される。
【0039】
本発明の化合物の第6の実施形態では、Rは、
水素、
ハロゲン、
1−6アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−6アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立ハロゲンまたはヒドロキシにから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され、アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されており、フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となってアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており、前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−NR
(CH−NRCOR
(CH−COR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されている。
【0040】
本発明の化合物のこの実施形態の1群では、Rは、
水素、
トリフルオロメチル、
フェニル、
シクロプロピル、
カルボキシ、
エトキシカルボニル、
ジメチルアミノカルボニル、
アミノカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル、
tert−ブチルアミノカルボニル、
シクロプロピルカルボニル、
テトラゾール−5−イルアミノカルボニル、および
2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ
からなる群から選択される。
【0041】
本発明の化合物の第7の実施形態において、R、RおよびR10は独立に、
水素、
1−6アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−フェニル[フェニルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素またはメチルである。
【0042】
本発明の化合物のこの実施形態の1群において、R、RおよびR10はそれぞれ独立に、
水素、
1−3アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−フェニル[フェニルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]、
(CH−C3−6シクロプロピル
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素またはメチルである。
【0043】
この群の1小群では、R、RおよびR10はそれぞれ独立に、
水素、
CH
CHCH
CH−シクロプロピル、
CHF−シクロプロピル、
CH(OH)−シクロプロピル、
CHOCHPh、
CH(4−F−Ph)、
CH(4−CF−Ph)および
CH−[1,2,4]トリアゾール−4−イル
からなる群から選択され;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素またはメチルである。
【0044】
この群のさらなる小群では、R、R10、R12およびR13は水素である。この小群の1下位群では、RおよびR11は水素である。
【0045】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害薬として有用な本発明の化合物の例として、下記のものまたはこれらの製薬上許容される塩があるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
【化18】




【0047】
本明細書で使用される場合、下記の定義が適用しうる。
【0048】
「アルキル」ならびにアルコキシおよびアルカノイルなどの接頭語「アルク」を有する他の基は、炭素鎖が別途定義されていない限りにおいて、直鎖または分岐およびそれらの組合せであることができる炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどがある。例えばC3−10のような所定数の炭素原子が許容される場合、アルキルという用語は、シクロアルキル基ならびにシクロアルキル構造と組み合わせた直鎖もしくは分岐アルキル鎖の組合せをも含む。炭素原子数に指定がない場合、C1−6が意図されている。
【0049】
「シクロアルキル」とは、アルキルの1小集合であり、指定数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがある。別段の断りがない限り、シクロアルキル基は通常は単環式である。別段の定義がない限り、シクロアルキル基は飽和である。
【0050】
「アルコキシ」という用語は、所定炭素原子数の(例:C1−10アルコキシ)あるいはこの範囲内のいずれかの数の炭素原子数の直鎖または分岐のアルコキシド鎖[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]を指す。
【0051】
「アルキルチオ」という用語は、所定炭素原子数の(例:C1−10アルキルチオ)あるいはこの範囲内のいずれかの数の炭素原子数の直鎖または分岐のアルキルスルフィド鎖[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]を指す。
【0052】
「アルキルアミノ」という用語は、所定炭素原子数の(例:C1−6アルキルアミノ)あるいはこの範囲内のいずれかの数の炭素原子数の直鎖または分岐アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]を指す。
【0053】
「アルキルスルホニルという用語は、所定炭素原子数の(例:C1−6アルキルスルホニル)あるいはこの範囲内のいずれかの数の炭素原子数の直鎖または分岐のアルキルスルホン鎖[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]を指す。
【0054】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、所定炭素原子数の(例:C1−6アルキルオキシカルボニル)あるいはこの範囲内のいずれかの数の炭素原子数の直鎖または分岐の本発明のカルボン酸誘導体エステル鎖[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニルまたはブチルオキシカルボニルなど]を指す。
【0055】
「アリール」は、炭素環原子を有する単環式または多環式の芳香環系を意味する。好ましいアリールは、単環式または二環式の6〜10員芳香環系である。
【0056】
フェニルおよびナフチルが好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0057】
「複素環」および「複素環式」とは、O、SおよびNさらに酸化型の硫黄、すなわちSOおよびSOを含めたものから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和の非芳香族環または環系を指す。複素環の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどがある。
【0058】
「ヘテロアリール」とは、O、SおよびNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する芳香族または部分芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールには、アリール、シクロアルキルおよび芳香族ではない複素環などの他の種類の環に縮合したヘテロアリールも含まれる。
【0059】
ヘテロアリール基の例には、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキザリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリニル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリルなどがある。複素環基およびヘテロアリール基の場合、3〜15個の原子を有する環および環系が含まれ、1〜3個の環を形成している。
【0060】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。通常は、塩素およびフッ素が好ましい。アルキル基またはアルコキシ基上でハロゲンが置換されている場合には、フッ素が最も好ましい(例:CFOおよびCFCHO)。
【0061】
本発明の化合物は1以上の不斉中心を有する場合があることから、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合がある。本発明の化合物は、式Iaで*印を施した炭素原子で1個の不斉中心を有する。分子上の各種置換基の性質に応じて、別の不斉中心が存在し得る。そのような各不斉中心は独立に、2個の光学異性体を生じ、全ての可能な光学異性体およびジアステレオマーの混合物ならびに純粋もしくは部分的に純粋な化合物が本発明の範囲に包含される。本発明は、これら化合物のそのような全ての異性体を包含するものである。
【0062】
本明細書に記載の化合物の一部はオレフィン性二重結合を有し、別段の断りがない限り、EおよびZの両方の幾何異性体を包含するものである。
【0063】
本明細書に記載の化合物の一部は、1以上の二重結合移動を伴う水素の異なる結合点を有する互変異体として存在し得る。例えば、ケトンおよびそれのエノール型はケト−エノール互変異体である。個々の互変異体ならびにそれらの混合物は、本発明の化合物に包含される。
【0064】
式Iには、好ましい立体化学を持たない種類の化合物の構造を示してある。式Iaには、その化合物が製造されるβ−アミノ酸のアミノ基が結合する炭素原子での好ましい立体化学を示してある。
【0065】
これらジアステレオマーの独立の合成またはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示の方法に適切な変更を加えることで、当業界で公知の方法に従って行うことができる。それらの絶対立体化学は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を有する試薬で誘導体化した結晶生成物または結晶中間体のX線結晶解析によって決定することができる。
【0066】
所望に応じて、前記化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。その分離は当業界で公知の方法によって行うことができ、それには例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、次に個々のジアステレオマーを分別結晶およびクロマトグラフィーなどの標準的な方法によって分離するというものがある。そのカップリング反応は多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いた塩の形成である。次に、ジアステレオマー誘導体を、付加したキラル残基の開裂によって純粋なエナンチオマーに変換することができる。この化合物のラセミ混合物は、当業界では公知の方法であるキラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。
【0067】
あるいは、化合物のいずれかのエナンチオマーを、当業界で公知の方法によって光学的に純粋な原料もしくは既知の立体配置を有する試薬を用いる立体選択的合成によって得ることができる。
【0068】
本明細書で使用される場合、構造式Iの化合物に言及する際は、製薬上許容される塩も含むものであり、遊離化合物もしくはそれの製薬上許容される塩への前駆体としてあるいは他の合成手順で用いられる場合に製薬上許容されるものではない塩をも含むことは明らかであろう。
【0069】
本発明の化合物は、製薬上許容される塩の形態で投与することができる。「製薬上許容される塩」という用語は、無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸などの製薬上許容される無毒性塩基または酸から製造される塩を指す。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩基性化合物の塩は、通常は遊離塩基を好適な有機もしくは無機酸と反応させることで製造される本発明の化合物の無毒性塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭素化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩素化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、2塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩(estolate)、エシル酸塩(esylate)、フマル酸塩、グルセプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ素化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロマイド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン・アンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/2リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、それの好適な製薬上許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの有機塩基から誘導される塩などがあるが、それらに限定されるものではない。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩等がある。
【0070】
さらに、カルボン酸基(−COOH)またはアルコール基が本発明の化合物に存在する場合、製薬上許容されるメチル、エチルまたはピバロイルオキシメチルなどのカルボン酸誘導体のエステルあるいは酢酸またはマレイン酸などのアルコールのアシル誘導体を用いることができる。徐放製剤またはプロドラッグ製剤として使用するべく溶解度および加水分解特性を変えるための当業界で公知のエステル基およびアシル基も含まれる。
【0071】
構造式Iの化合物の溶媒和物、特には水和物も本発明に含まれる。
【0072】
本発明の例として、実施例および本明細書に開示された化合物の使用がある。
【0073】
本発明の化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害を必要とする哺乳動物などの患者でのその酵素の阻害方法であって、有効量の当該化合物を投与することを含む方法において有用である。
【0074】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害薬としての、本明細書に開示の化合物の使用に関するものである。
【0075】
ヒトなどの霊長類に加えて、各種の他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットその他のウシ類、ヒツジ類、ウマ類、イヌ類、ネコ類、齧歯類またはマウス類など(これらに限定されるものではない)の哺乳動物を治療することができる。しかしながら当該方法は、トリ類(例:ニワトリ)などの他の種で行うこともできる。
【0076】
本発明はまた、ヒトおよび動物でのジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害するための医薬の製造方法であって、本発明の化合物と医薬として許容できる担体または希釈剤とを組み合わせることを含む方法に関するものでもある。
【0077】
本発明の方法で治療される患者は、一般的には、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害が望まれる哺乳動物、好ましくはヒト(男性または女性)である。「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医、医師その他の臨床関係者が求める組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する当該化合物の量を意味する。
【0078】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、所定の量で特定の成分を含む製造物、ならびに所定量で特定の成分を組み合わせることで直接または間接に得られる製造物を包含するものである。医薬組成物に関係するそのような用語は、有効成分および担体を構成する不活性成分を含む製造物、ならびに前記成分のいずれか2種類以上の組み合わせ、複合体形成または凝集、あるいは前記成分の1種類以上の解離、あるいは前記成分の1種類以上の他の種類の反応または相互作用によって直接または間接に得られる製造物を包含するものである。
【0079】
従って本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と製薬上許容される担体を混合することで得られる組成物を包含するものである。「製薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性であって、被投与者に対して有害性を持たないものでなければならないことを意味する。
【0080】
化合物の「投与」および/または化合物を「投与する」という用語は、治療を必要とする個体に対して、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを与えることを意味するものと理解すべきである。
【0081】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性阻害薬としての本発明による化合物の用途は、当業界で公知の方法によって示すことができる。阻害定数は、下記のように求める。DP−IVによって開裂して蛍光性AMC脱離基を放出する基質Gly−Pro−AMCを用いて、連続蛍光分析アッセイを行う。この反応を説明する速度論的パラメータは、K=50μM;kcat=75s−1;kcat/K=1.5×10−1−1である。代表的な反応では、総反応容量100μL中に約50pMの酵素、50μMのGly−Pro−AMCおよび緩衝液(100mM HEPES、pH7.5、0.1mg/mLBSA)が含まれる。励起波長360nmおよび発光波長460nmを用いる96ウェルプレート蛍光計で、AMCの放出を連続的にモニタリングする。これらの条件下で、約0.8μMのAMCが、25℃で30分間で産生される。これらの試験で使用される酵素は、バキュロウィルス発現系(Bac−To−Bac、Gibco BRL)で産生される可溶性(膜横断領域および細胞質拡張部を除く)ヒト蛋白とした。Gly−Pro−AMCおよびGLP−1の加水分解についての速度定数は、自然酵素についての文献値と一致していることが認められた。化合物の解離定数を測定するため、阻害薬のDMSO溶液を、酵素および基質を含む反応液に加えた(最終DMSO濃度は1%)。実験はいずれも、上記の標準的な反応条件を用いて室温で行った。解離定数(K)を求めるため、反応速度を競争的阻害に関するミカエリスーメンテン(Menton)式に対して非線形回帰によって適合させた。解離定数の再現における誤差は、代表的には2倍未満である。
【0082】
詳細には、下記の実施例の化合物は、上記アッセイにおいてジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害する上で活性を有しており、概して約1μM未満のIC50を有していた。そのような結果は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害薬として使用した場合にそれら化合物が固有の活性を有することを示すものである。
【0083】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素(DP−IV)は、非常に多様な生体機能において示唆されている細胞表面蛋白である。それは広い組織分布(小腸、腎臓、肝臓、膵臓、胎盤、胸腺、脾臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ球および骨髄球、血清)ならびに明瞭な組織および細胞型発現レベルを有している。DP−IVはT細胞活性マーカーCD26と同一であり、in vitroで多くの免疫調節ペプチド、内分泌ペプチドおよび神経ペプチドを開裂させることができる。それは、ヒトその他の動物での多様な疾患過程においてそのペプチダーゼが何らかの役割を果たす可能性を示唆するものであった。
【0084】
従って当該化合物は、下記の疾患、障害および状態の予防または治療方法において有用である。
【0085】
II型糖尿病および関連障害
インクレチンであるGLP−1およびGIPがDP−IVによってin vivoで急速に失活することが明らかになっている。DP−IV(−/−)−欠乏マウスを用いた試験および予備臨床試験から、DP−IV阻害によってGLP−1およびGIPの定常状態濃度が高くなり、その結果耐糖能が改善されることがわかる。GLP−1およびGIPと同様に、グルコース調節に関与する他のグルカゴンファミリーペプチドもDP−IVによって失活する可能性が高い(例:PACAP、グルカゴン)。これらペプチドのDP−IVによる失活も、グルコース恒常性において何らかの役割を果たし得る。
【0086】
従って本発明のDP−IV阻害薬は、II型糖尿病の治療ならびに代謝症候群X、反応性低血糖症および糖尿病性異常脂血症などのII型糖尿病を伴う場合が多い多くの状態の治療および予防において有用である。下記で説明する肥満は、本発明の化合物による治療に応答し得るII型糖尿病とともに認められる場合が多い別の状態である。
【0087】
下記の疾患、障害および状態が2型糖尿病に関係することから、本発明の化合物を用いた処置で、治療、管理または場合によって予防することができる。それには(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化およびそれの続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、(16)他の炎症状態、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満症、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経症、(23)症候群X、(24)卵巣アンドロゲン過多症(多嚢胞性卵巣症候群)ならびにインシュリン耐性が一つの要素である他の障害がある。
【0088】
肥満
DP−IV阻害薬は、肥満の治療において有用となり得る。それは、GLP−1およびGLP−2について認められた食物摂取および胃排出に対する阻害効果に基づいたものである。ヒトにおけるGLP−1の外性投与によって、有意に食物摂取が低下し、胃排出が遅くなる(Am. J. Physiol. 277, R910−R916 (1999))。ラットおよびマウスでのGLP−1のICV投与も、飼料摂取に対して大きい効果を有する(Nature Medicine 2, 1254−1258 (1996))。この摂食阻害はGLP−1R(−/−)マウスでは認められず、それはそれらの効果に脳GLP−1受容体が介在していることを示している。GLP−1と同様に、GLP−2もDP−IVによって調節されると考えられる。GLP−2のICV投与も、GLP−1で認められる効果と同様に、摂食を阻害する(Nature Medicine 6, 802−807 (2000))。さらに、DP−IV欠乏マウスを用いた試験で、この動物が飼料誘発肥満および関連する病気(例:高インシュリン血症)に対して抵抗性であることが示唆される。
【0089】
成長ホルモン欠乏症
下垂体前葉からの成長ホルモンの放出を促進するペプチドである成長ホルモン放出因子(GRF)がin vivoでDP−IV酵素によって開裂されるという仮説(WO 00/56297)によれば、DP−IV阻害は成長ホルモン欠乏症の治療において有用となり得る。下記のデータはGRFが内因性基質であることを示す証拠を提供するものである。(1)GRFはin vitroで効果的に開裂して、不活性な生成物GRF[3−44]を生じる(BBA 1122, 147−153 (1992))。(2)GRFは血漿中で急速に分解してGRF[3−44]となり、それはDP−IV阻害薬ジプロチン(diprotin)Aによって防止される。(3)GRF[3−44]はヒトGRFトランスジェニックブタの血漿において認められる(J. Clin. Invest. 83, 1533−1540 (1989))。そこでDP−IV阻害薬は、成長ホルモン分泌促進剤の場合に考慮されていたものと同じ適応症スペクトルで有用となり得る。
【0090】
腸障害
腸障害の治療でのDP−IV阻害薬使用の可能性が、DP−IVの内因性基質と考えられるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸上皮に対する栄養効果を示し得ることを示す試験の結果から示唆される(Regulatory Peptides 90, 27−32 (2000))。GLP−2を投与することで、齧歯類において小腸量が増加し、大腸炎および腸炎の齧歯類モデルにおける腸障害を弱くする。
【0091】
免疫抑制
T細胞活性化およびケモカイン処理におけるDP−IV酵素ならびに疾患のin vivoモデルでのDP−IV阻害薬の効力を示唆する試験によれば、DP−IV阻害は、免疫応答の調節において有用となり得る。DP−IVは、活性化免疫細胞における細胞表面マーカーであるCD26と同一であることが明らかになっている。CD26の発現は、免疫細胞の分化および活性化状況によって調節される。CD26がT細胞活性化のin vtiroモデルで共刺激分子として機能することが一般に認められている。多くのケモカイン類が末端から二番目の位置にプロリンを有することで、恐らくそれが非特異的アミノペプチダーゼによって分解されないように保護している。これらの多くが、DP−IVによってin vitroで処理されることが明らかになっている。いくつかの場合で(RANTES、LD78−β、MDC、エオタキシン(eotaxin)、SDF−1α)、開裂によって走化性および信号伝達アッセイにおいて活性に変化が生じる。一部の場合で、受容体選択性も調節されるように思われる(RANTES)。DP−IV加水分解の予想される生成物などの多くのケモカインの複数のN末端切断型が、in vitro細胞培養系で確認されている。
【0092】
移植および関節炎の動物モデルにおいて、DP−IV阻害薬が有効な免疫抑制剤であることが明らかになっている。DP−IVの不可逆的阻害薬であるプロジピン(Prodipine:Pro−Pro−ジフェニル−ホスホネート)が、ラットにおける心臓同種異型移植の生存を7日から14日と倍化することが明らかになった(Transplantation 63, 1495−1500 (1997))。DP−IV阻害薬についてラットにおけるコラーゲンおよびアルキルジアミン誘発関節炎で試験を行ったところ、このモデルでの後足腫脹において統計的に有意な減弱が示された(Int. J. Immunopharmacology 19, 15−24 (1997), Immunopharmacology 40, 21−26 (1998))。慢性関節リウマチ、多発性硬化症、グレーブス病および橋本甲状腺炎などの多くの自己免疫疾患において、DP−IVが上方制御される(Immunology Today 20, 367−375 (1999))。
【0093】
HIV感染
HIV細胞侵入を阻害する多くのケモカインがDP−IVの基質である可能性があることから、DP−IV阻害はHIV感染またはAIDSの治療または予防において有用となり得る(Immunology Today 20, 367−375 (1999))。SDF−1αの場合、開裂によって抗ウィルス活性が低下する(PNAS 95, 6331−6 (1998))。そこで、DP−IV阻害によるSDF−1αの安定化は、HIV感染性を低下させることが期待されるものと考えられる。
【0094】
造血
DP−IVは造血に関与し得ることから、DP−IV阻害が造血の治療または予防において有用となり得る。DP−IV阻害薬であるVal−Boro−Proは、シクロホスファミド誘発好中球減少のマウスモデルで造血を刺激した(WO 99/56753)。
【0095】
神経障害
各種の神経プロセスで示唆される多くのペプチドがDP−IVによって、in vitroにおいて開裂されることから、DP−IV阻害は各種の神経障害または精神障害の治療または予防において有用となり得る。そこでDP−IV阻害薬は、神経障害の治療において治療上有効であり得る。エンドモルフィン−2、β−カソモルフィンおよびサブスタンスPはいずれも、DP−IVに対するin vitro基質であることが明らかになっている。いずれの場合も、in vitro開裂が非常に効率的であり、kcat/Kが約10−1−1以上である。ラットにおける無痛症の電気ショック跳躍試験モデルで、DP−IV阻害薬は外因性エンドモルフィン−2の存在に依存しない有意な効果を示した(Brain Research 815, 278−286 (1999))。DP−IV阻害薬の神経保護効果および神経再生効果は、その阻害薬が興奮毒素性細胞死から運動ニューロンを保護する能力、同時にMPTPを投与した場合のドーパミン作動性ニューロンの線条体神経支配を保護する能力、そしてMTPT投与後に治療的に与えた場合の線条体神経支配密度の回復を促進する能力によっても明らかになっている(Yong−O, Wu, et al., ″Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl Peptidase−IV In Vitro and In Vivo,″ Int. Conf. On Dipeptidyl Aminopeptidases: Basic Science and Clinical Applications, September 26−29, 2002 (Berlin, Germany)参照)。
【0096】
腫瘍浸潤および転移
DP−IVを含むいくつかのエクトペプチダーゼ(ectopeptidase)の発現における増加または低下が正常細胞から悪性表現型への転換時に認められていることから(J. Exp. Med. 190, 301−305 (1999))、DP−IV阻害は腫瘍の浸潤および転移の治療または予防において有用となり得る。これら蛋白の上方制御または下方制御は、組織および細胞型特異的であるように思われる。例えばCD26/DP−IV発現の上昇が、T細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、細胞由来甲状腺癌、基底細胞癌および乳癌について認められている。そこでDP−IV阻害薬はそのような癌の治療において有用となり得る。
【0097】
良性前立腺肥大
BPH患者からの前立腺組織においてDP−IV活性上昇が認められたことから(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem 30, 333−338 (1992))、DP−IV阻害は良性前立腺肥大の治療において有用となり得る。
【0098】
精子運動能/男性避妊
精液において、精子運動能において重要な前立腺由来オルガネラであるプロスタトソーム(prostatosomes)が非常に高いレベルのDP−IV活性を有することから(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem 30, 333−338 (1992))、DP−IV阻害が精子運動能を変化させ、男性避妊を行う上で有用である可能性がある。
【0099】
歯肉炎
歯肉溝液においてDP−IV活性が認められ、一部の研究でそれが歯周病の重度と相関していたことから(Arch. Oral Biol. 37, 167−173 (1992))、DP−IV阻害は歯肉炎の治療において有用となり得る。
【0100】
骨粗鬆症
骨芽細胞にGIP受容体が存在することから、DP−IV阻害は骨粗鬆症の治療または予防において有用となり得る。
【0101】
本発明の化合物は、(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化およびそれの続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、(16)他の炎症状態、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満症、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経症、(23)症候群X、(24)卵巣アンドロゲン過多症(多嚢胞性卵巣症候群)、(25)II型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏症、(27)好中球減少症、(28)神経障害、(29)腫瘍転移、(30)良性前立腺肥大、(32)歯肉炎、(33)高血圧、(34)骨粗鬆症、その他DP−IVの阻害によって治療または予防が可能な状態などの1以上の状態または疾患の治療または予防において有用である。
【0102】
当該化合物はさらに、他薬剤との併用で、上記の疾患、障害および状態の予防または治療方法において有用である。
【0103】
本発明の化合物は、式Iの化合物または他の薬剤が有用となり得る疾患または状態の治療、予防、抑制または緩和において1以上の他薬剤と併用することができ、その場合に薬剤を併用した方がいずれかの薬剤単独の場合より安全または有効である。そのような他薬剤は、その薬剤について通常使用される経路および量で、式Iの化合物と同時または順次に投与することができる。式Iの化合物を1以上の他薬剤と同時に用いる場合、そのような他薬剤および式Iの化合物を含む単位製剤の形での医薬組成物が好ましい。しかしながら前記併用療法は、式Iの化合物と1以上の他薬剤を、重複する異なった投与計画で投与する療法も含むものである。1以上の他の有効成分と併用する場合、本発明の化合物および他の有効成分を、それぞれを単独で使用する場合より低い用量で使用可能であることも想到される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物以外に、1以上の他の有効成分を含むものが含まれる。
【0104】
式Iの化合物と併用投与可能であって、別個にあるいは同じ医薬組成物で投与される他の有効成分の例としては、
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害薬;
(b)(i)グリタゾン類(例:トログリタゾン(troglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、エングリタゾン(englitazone)、MCC−555、ロシグリタゾン(rosiglitazone)など)などのPPARγ作働薬ならびにKRP−297などのPPARα/γ二重作働薬およびフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベザフィブレート)などのPPARα作働薬などの他のPPARリガンド;(ii)メトホルミンおよびフェンホルミンなどのビグアニド類;および(iii)蛋白チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害薬などのインシュリン増感剤;
(c)インシュリンまたはインシュリン様薬;
(d)トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリドおよびレパグリニドなどのメグリチニド類などのスルホニル尿素類および他のインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬(アカルボースおよびミグリトールなど);
(f)WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088およびWO00/69810に開示のものなどのグルカゴン受容体拮抗薬;
(g)WO00/42026およびWO00/59887に開示のものなどのGLP−1、GLP−1様薬およびGLP−1受容体作働薬;
(h)WO00/58360に開示のものなどのGIPおよびGIP様薬、ならびにGIP受容体作働薬;
(i)PACAP、PACAP様薬、ならびにWO01/23420に開示のものなどのPACAP受容体作働薬;
(j)以下のようなコレステロール低下剤(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬(ロバスタチン、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、イタバスタチンおよびロスバスタチン(rosuvastatin)、ならびに他のスタチン類)、(ii)捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポールおよび架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベザフィブレート)などのPPARα作働薬、(v)KRP−297などのPPARα/γ二重作働薬、(vi)β−シトステロールおよびエゼチミベなどのコレステロール吸収阻害薬、(vii)アバシミベなどのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害薬ならびに(viii)プロブコールなどの抗酸化剤;
(k)WO97/28149に開示のものなどのPPARδ作働薬;
(l)フェンフルラミン、デキスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、フェンテラミン(phenteramine)、シブトラミン(sibutramine)、オルリスタット(orlistat)、神経ペプチドY5阻害薬、カンナビノイド−1(CB−1)受容体拮抗薬/逆作働薬、メラノコルチン−4受容体作働薬、およびβ3アドレナリン受容体作働薬などの抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸搬送体阻害薬;
(n)アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬、糖コルチコイド類、アズルフィジン(azulfidine)および選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬などの炎症状態用の薬剤;ならびに
(o)ACE阻害薬(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル(tandolapril))、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン)、β−遮断薬およびカルシウムチャンネル遮断薬などの抗高血圧薬;
などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
上記の併用には、1種類の他の活性化合物との併用だけでなく、2種類以上の他の活性化合物と本発明の化合物の併用が含まれる。例を挙げると、ビグアニド類、スルホニル尿素類、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、PPAR作働薬、PTP−1B阻害薬、他のDP−IV阻害薬および抗肥満化合物から選択される2種類以上の活性化合物と式Iの構造を有する化合物との併用などがあるが、それに限定されるものではない。
【0106】
同様に本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態の治療/予防/抑制もしくは緩和において使用される他の薬剤と併用することができる。そのような他薬剤は、本発明の化合物と同時または順次に、それが使用される通常の経路および量で投与することができる。本発明の化合物を1以上の他薬剤と同時に使用する場合、本発明の化合物に加え、そのような他薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って本発明の医薬組成物には、本発明の化合物以外に1以上の他の有効成分も含むものが含まれる。
【0107】
本発明の化合物の第2の有効成分に対する重量比は変動し得るものであり、各成分の有効用量によって決まる。一般に、それぞれの有効用量を用いる。そこで例えば、本発明の化合物を別の薬剤と組み合わせる場合、本発明の化合物の他薬剤に対する重量比は通常、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の有効成分の組み合わせも上記の範囲内であるが、各場合において、各有効成分の有効用量を用いるべきである。
【0108】
そのような併用において、本発明の化合物と他の活性薬剤は、別個にまたは一緒に投与することができる。さらに、一つの構成要素の投与を、他薬剤の投与の前、同時または後に行うことができる。
【0109】
本発明の化合物は、経口投与、非経口投与(例:筋肉投与、腹腔内投与、静脈投与、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または移植)、吸入噴霧投与、経鼻投与、膣投与、直腸投与、舌下投与もしくは局所投与することができ、単独または組み合わせて、各投与経路に適した従来の無毒性の製薬上許容される担体、補助剤および媒体を含む適する単位製剤に製剤化することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療以外に、本発明の化合物はヒトでの使用において有効である。
【0110】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は簡便には、単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知のいずれかの方法によって調製することができる。いずれの方法にも、1以上の補助成分を構成する担体と有効成分とを組み合わせる段階がある。医薬組成物は通常、有効成分を液体担体もしくは微粉砕固体担体またはその両方と均一かつ十分に混和し、必要に応じて、得られた物を所望の製剤に成形することで製造される。医薬組成物には、対象の活性化合物を、疾患のプロセスまたは状態に対して所望の効果を発揮するだけの量で含有させる。本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、所定量で所定の成分を含有する製品、ならびに直接もしくは間接に所定の成分を所定量で組み合わせることで得られる製品を含むものである。
【0111】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、水系もしくは油系の懸濁液、分散性粉体もしくは粒剤、乳濁液、硬もしくは軟カプセルまたはシロップもしくはエリキシル剤などの経口用に適した剤型とすることができる。経口投与用組成物は、医薬組成物の製造に関して当業界で公知のいずれかの方法に従って製造することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1以上の薬剤を含有させて、医薬的に見た目および風味が良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤製造に好適な無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含有する。これらの賦形剤には例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;コーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチンもしくはアカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤などがあり得る。錠剤は未コーティングとすることができ、あるいは公知の方法によってコーティングを施して、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的作用を提供するようにすることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。それにはさらに、米国特許第4256108号、同4166452号および同4265874号に記載の方法によってコーティングを施して、徐放用の浸透圧性治療用錠剤を製剤化することができる。
【0112】
経口投与用製剤は、有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混和した硬ゼラチンカプセルとして、あるいは有効成分を例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの水系もしくは油系媒体と混和した軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0113】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した形で活性材料を含む。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤がある。分散剤または湿展剤には、レシチンなどの天然ホスファチド、あるいは例えばポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物があり得る。水系懸濁液には、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエチルもしくはn−プロピルエステルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ショ糖もしくはサッカリンなどの1以上の甘味剤を含有させることもできる。
【0114】
油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油中に有効成分を懸濁させることで製剤化することができる。油系懸濁液には、蜜ロウ、硬パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のような甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0115】
水を加えることで水系懸濁液を調製する上で好適な分散性粉体および粒剤では、有効成分を、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤と混合する。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、前述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などのさらなる添加剤を存在させることもできる。
【0116】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳濁液の形とすることもできる。油相は、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油、あるいはそれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤には、アカシアガムもしくはトラガカントガムなどの天然ガム;例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド;ならびに、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと前記部分エステルとの縮合生成物があり得る。乳濁液にはさらに、甘味剤および香味剤を含有させることもできる。
【0117】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤化することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤ならびに香味剤および着色剤を含有させることもできる。
【0118】
医薬組成物は、無菌の注射用水系もしくは油系懸濁液の形とすることができる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って製剤化することができる。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁液とすることもできる。使用可能な許容される担体および溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液などがある。さらに、従来から溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。この目的に関しては、合成モノもしくはジグリセリドなどのいかなる種類の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の製剤に使用することができる。
【0119】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与用の坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸体温では液体となることで、直腸で融解して薬剤を放出する好適な無刺激性添加剤と該薬剤とを混和することで製剤化することができる。そのような材料には、カカオ脂およびポリエチレングリコール類がある。
【0120】
局所用には、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁液などを用いる(この投与法に関して、局所投与には含嗽液およびうがい剤が含まれる)。
【0121】
本発明の医薬組成物および方法にはさらに、上記の病的状態の治療に通常用いられる前述のような他の治療上活性な化合物を含ませることができる。
【0122】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害が必要な状態の治療または予防では、適切な用量レベルは通常、約0.01〜500mg/kg体重/日であり、それは単回または複数回で投与することができる。好ましくは、用量レベルは約0.1〜約250mg/kg/日であり、より好ましくは約0.5〜約100mg/kg/日である。好適な用量レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日、または約0.1〜50mg/kg/日とすることができる。この範囲内で、用量を0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kg/日とすることができる。経口投与の場合、好ましくは、有効成分を1.0〜1000mg含む錠剤、特には有効成分を1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0mg含む錠剤の形で組成物を提供して、治療を受ける患者への用量を症状に応じて調節する。その化合物は、1日当たり1〜4回、好ましくは1日当たり1回もしくは2回の投与法で投与することができる。
【0123】
糖尿病および/または高脂血症もしくは高トリグリセリド血症その他の本発明の化合物が適応である疾患を治療または予防する場合、本発明の化合物を約0.1mg〜約100mg/動物体重kgの1日用量で投与する場合に一般的に満足な結果が得られ、好ましくは1日1回投与または1日2〜6回の分割で投与するか、あるいは徐放剤として投与する。最も大型の哺乳動物では、総1日用量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。体重70kgの成人の場合、総1日用量は一般的に約7mg〜約350mgである。この投与法を調整して、至適な治療応答を得ることができる。
【0124】
しかしながら、特定の患者についての具体的な用量レベルおよび投与回数は変動し得るものであって、使用する具体的化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用期間の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の形態および時刻、排泄速度、併用薬剤、特定の状態の重度、治療を受けている宿主などの多様な要素によって決まることは明らかであろう。
【0125】
本発明の化合物を製造するための方法のいくつかを以下の図式と実施例において説明する。出発原料は、当業者に公知の手順に従い、あるいは本明細書で説明されるように作られる。
【0126】
本発明の化合物は、標準的なペプチドカップリング条件を用い、次に脱保護を行うことで、下記式IIのものなどのβ−アミノ酸中間体および下記式IIIのものなどの置換複素環中間体から製造することができる。これら中間体の製造について、下記の図式に記載している。
【0127】
【化19】

【0128】
式中、Ar、X、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は上記で定義の通りであり、Pはtert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよび9−フルオレニルメトキシカルボニルなどの好適な窒素保護基である。
【0129】
【化20】

【0130】
式IIの化合物は市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者が習熟している各種方法によって簡便に製造することができる。一つの一般的な経路を図式1に示してある。市販されているか、あるいは例えばジ−tert−ブチルジカーボネート(P=BOCの場合)、カルボベンジルオキシクロライド(P=Cbzの場合)またはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)コハク酸イミド(P=Fmocの場合)を用いた保護によって相当するアミノ酸から容易に製造可能な保護α−アミノ酸を、クロルギ酸イソブチルおよびトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)などの塩基で処理し、次にジアゾメタンで処理する。得られたジアゾケトンを、メタノールまたはジオキサン水溶液などの溶媒中にて安息香酸銀で処理して(セワルトらの報告(Sewald et al., Synthesis, 837 (1997))の手順に従って超音波処理することができる)、β−アミノ酸IIを得る。当業者には明らかなように、エナンチオマー的に純粋なβ−アミノ酸IIを製造するのに、エナンチオマー的に純粋なα−アミノ酸を用いることができる。保護β−アミノ酸中間体を得るための別経路が、総説に記載されている(E. Juaristi, Enantioselective Synthesis of β-Amino Acids, Ed., Wiley-VCH, New York: 1997;Juaristi et al., Aldrichchimica Acta, 27: 3 (1994)およびCole et al., Tetrahedron, 32: 9517 (1994))。
【0131】
【化21】

【0132】
化合物IIIは市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者が習熟している各種方法によって簡便に製造することができる。一つの一般的な経路を図式1に示してある。R11、R12およびR13が水素である化合物IIIaのある簡便な製造方法を図式2に示した。例えばメタノールまたはエタノールなどの溶媒中で水素ガスおよびパラジウム/炭素または酸化白金などの触媒によって処理することで、不飽和誘導体を還元して、化合物IIIaを得る。
【0133】
【化22】

【0134】
図式2からの中間体3は、それ自体市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者が習熟している各種方法によって簡便に製造することができる。XがCRであり、RおよびR10がHである場合のそのような方法の一つを図式3に示した。アミノピラジンをメタノールまたはエタノールなどの溶媒中にて2−ブロモケトンなどの2−ハロケトンで処理して、中間体を得る。あるいは、RがHである中間体の製造の場合、2−ブロモ−ジメチルアセタールおよび触媒量の塩酸などの酸を、中間体に代えて用いることができる。2段階で行うこともできる、最初に、および適切なブロマイドを、簡便にはジオキサンなどの溶媒中50℃で16時間加熱する。次に、溶媒を除去し、残留物をイソプロパノールで処理し、混合物を約2時間加熱還流する。文献(J. Org. Chem., 52: 3847 (1987))に詳細に記載の文献法に従って臭化銅の存在下にグリニャール試薬で処理することで、あるいはボロン酸とのパラジウム触媒スズキカップリングによって、中間体3aに変換する。
【0135】
【化23】

【0136】
XがCRであり、RおよびR10がHである中間体3bは、図式4に示したようにアミノピラジン8Aを原料として、図式3について前述の方法に従って製造することができる。
【0137】
【化24】

【0138】
XがCRであり、RおよびRがHである中間体3cは、図式4Aに記載のようにアミノピラジン8Bを原料として図式3について前述の方法に従って製造することができる。
【0139】
【化25】

【0140】
XがNであり、RおよびR10がHである化合物3dの製造における別経路を図式5に示した。ジクロロピラジン10をヒドラジンで処理して、ヒドラジノクロロピラジン11を得る。ポリリン酸(PPA)中高温で、化合物11をトリエチルオルトエステル12などのオルトエステルまたはカルボン酸13と縮合させて14を得ることができる。あるいは、ヒドラジン11を、例えばトリエチルアミンなどの塩基存在下に酸塩化物または酸無水物で処理することでアシル化し、得られたヒドラジドをポリリン酸中で加熱することで環化して14とすることができる。上記のようなグリニャール試薬を用いたハライドの置き換えまたはスズキカップリングによって3dを得る。
【0141】
【化26】

【0142】
XがNであり、RおよびR10がHである中間体3eは、図式6に示したようにジクロロピラジン15Aを原料として図式5について前述した方法に従って製造することができる。
【0143】
【化27】

【0144】
XがNであり、RおよびRがHである中間体3fは、図式6Aに示したように、ジクロロピラジン15Bを原料として図示5について前述した方法に従って製造することができる。
【0145】
【化28】

【0146】
XがNである中間体3gは、図式7に示した方法に従ってクロロピラジン18から製造することができる。市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者は習熟している各種方法によって簡便に製造することができるクロロピラジン18を、ヒドラジンで処理してヒドラジノピラジン19を得る。ポリリン酸中高温で、中間体19をトリエチルオルトエステル12などのオルトエステルまたはカルボン酸13と縮合させることで3gを得ることができる。あるいはヒドラジン19を、例えばトリエチルアミンなどの塩基存在下に酸塩化物または酸無水物で処理することでアシル化し、得られたヒドラジドをポリリン酸中で加熱することで環化させて3gとすることができる。
【0147】
【化29】

【0148】
XがCRである中間体3hは、図式8に示した方法に従っても製造することができる。市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者は習熟している各種方法によって簡便に製造することができるアミノピラジン20を、メタノールまたはエタノールなどの溶媒中で2−ブロモケトンなどの2−ハロケトンで処理して中間体3hを得る。あるいは、RがHである中間体3hを製造する場合、2−ブロモ−ジメチルアセタールおよび触媒量の塩酸などの酸を、中間体に代えて用いることができる。203hへの変換は、2段階でも行うことができる。最初に、アミノピラジン20および適切なブロマイドを、簡便にはジオキサンなどの溶媒中にて50℃で16時間加熱する。次に、溶媒を除去し、残留物をイソプロパノールで処理し、混合物を約2時間加熱還流して3hを得る。
【0149】
【化30】

【0150】
XがC−Rである中間体IIIbの別途製造方法を図式9に示した。市販されているか、文献で公知であるか、あるいは当業者は習熟している各種方法によって簡便に製造することができるエポキシド21を、DMF中塩化アンモニウムの存在下にアジド、簡便にはアジ化ナトリウムを用いて開環することで、アジドアルコール22を得る。そのアルコールを相当するトリフレートに変換し、N−ベンジルα−アミノ酸エステル(例:エチルエステル)で処理して、アミノエステル23を得る。アザ−ウィティッヒ反応によって、イミノエーテル24を得る。マフランドらの報告(Maffrand et al., Eur. J. Med. Chem., 10: 528 (1975))の手順に従って24を3−アミノプロピンで処理することで、RがMeであり、RがHであるテトラヒドロイミダゾピラジン25を得て、それをパラジウム触媒の存在下にギ酸アンモニウムを用いて脱保護することで、中間体IIIbを得ることができる。
【0151】
【化31】

【0152】
XがNである中間体IIIcの別途製造経路を図式10に示した。図式9からのイミノエーテル24を、例えばエタノール中60℃でヒドラジドで処理し、次にトルエン中にて加熱還流することで、トリアゾロピペラジン26を得る。例えばパラジウム触媒存在下でのギ酸アンモニウムを用いる脱保護によって、中間体IIIcを得る。
【0153】
【化32】

【0154】
化合物IIIは、図式11に示したようにRがHである中間体IIIdから製造することができる。中間体IIIdを、窒素保護基、例えばジ−tert−ブチルジカーボネートで処理することでBOC基で保護する。N−BOC誘導体27をTMEDAの存在下にn−ブチルリチウムなどの強塩基で脱プロトン化し、アルキルハライドなどのアルキル化剤で処理する。酸性条件下での脱保護によって、化合物IIIを得る。
【0155】
【化33】

【0156】
およびR11が水素である化合物IIIeは、図式12に示した方法に従って製造することができる。ジアミン28を、簡便には0℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基存在下にメタノールなどの溶媒中でオキサジアゾール29で処理する。メタノールを除去した後、中間体混合物をスーパーリン酸中で加熱して、所望の化合物IIIeを得ることができる。
【0157】
【化34】

【0158】
図式13に示した方法に従い、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)または塩化メチレンなどの溶媒中室温で3〜48時間にわたって、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートおよび1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HATU/HOAT)を用いる標準的なペプチドカップリング条件下で中間体IIおよびIIIをカップリングさせることで、中間体30を得る。場合により、中間体IIIは塩酸塩またはトリフルオロ酢酸塩などの塩であることができ、その場合にはカップリング反応に塩基(通常はN,N−ジイソプロピルエチルアミン)を加えると有利である。次に、例えばBocの場合にはトリフルオロ酢酸またはメタノール性塩化水素で保護基を脱離させて所望のアミンを得る。必要に応じて再結晶、磨砕、分取薄層クロマトグラフィー、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ(Biotage;登録商標)装置などを使用)またはHPLCによって、生成物を望ましくない副生成物から精製する。HPLCによって精製される化合物は、相当する塩として単離することができる。中間体の精製は、同様にして行われる。
【0159】
場合によって、図式13に記載の方法に従って製造した生成物Iを、例えばAr、R、R、R〜R13上の置換基を操作することでさらに修飾することができる。それらの操作には、当業者には一般に公知の還元反応、酸化反応、アルキル化反応、アシル化反応および加水分解反応などがあり得るが、これらに限定されるものではない。
【0160】
場合により、上記図式に記載の中間体を修飾してから、例えばAr、R、R、R〜R13上の置換基を操作することで手順を完了させることができる。それらの操作には、当業者には一般に公知の還元反応、酸化反応、アルキル化反応、アシル化反応および加水分解反応などがあり得るが、これらに限定されるものではない。
【0161】
場合により、前記反応図式を実施する順序を変えて、その反応を行いやすくしたり、望ましくない反応生成物を回避することができる。下記の実施例は、本発明についての理解をさらに深めることを目的として提供されるものである。これら実施例は専ら説明のためのものであって、いかなる形でも本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0162】
中間体1
【0163】
【化35】

【0164】
(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタン酸
段階A:(R,S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジフルオロフェニルアラニン
2,5−ジフルオロ−DL−フェニルアラニン0.5g(2.49mmol)のtert−ブタノール(5mL)溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液1.5mLおよびジ−tert−ブチルジカーボネート543mgをその順に加えた。反応液を室温で16時間攪拌し、酢酸エチルで希釈した。有機相を1N塩酸およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗取得物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、97:2:1塩化メチレン:メタノール:酢酸)によって精製して、標題化合物を得た。LC/MS302(M+1)。
【0165】
段階B:(R,S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−ジアゾ−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)ブタン−2−オン
(R,S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジフルオロフェニルアラニン2.23g(7.4mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に0℃で、トリエチルアミン1.37mL(8.1mmol)およびクロルギ酸イソブチル0.931mL(7.5mmol)をこの順序で加え、反応液をその温度で15分間攪拌した。冷却したジアゾメタンのエーテル溶液を黄色が消えなくなるまで加え、攪拌をさらに16時間続けた。過剰のジアゾメタンを酢酸滴下によって分解し、反応液を酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1ヘキサン:酢酸エチル)による精製によって、ジアゾケトンを得た。
【0166】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.03〜6.95(m、1H)、6.95〜6.88(m、2H)、5.43(bs、1H)、5.18(bs、1H)、4.45(bs、1H)、3.19〜3.12(m、1H)、2.97〜2.80(m、1H)、1.38(s、9H)。
【0167】
段階C:(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタン酸
メタノール100mLに溶かした(R,S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−1−ジアゾ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタン−2−オン2.14g(6.58mmol)の溶液に−30℃で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン3.3mL(19mmol)および安息香酸銀302mg(1.32mmol)をその順序で加えた。反応液を90分間攪拌してから、酢酸エチルで希釈し、2N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮し、エナンチオマーを分取キラルHPLC(キラルパック(Chiralpak)ADカラム、5%エタノール/ヘキサン)で分離して、所望の(R)−エナンチオマーを最初の溶離物として得た。この取得物をテトラヒドロフラン:メタノール:1N水酸化リチウム水溶液(3:1:1)の混合物50mLに溶かし、50℃で4時間攪拌した。反応液を冷却し、5%希塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して、標題化合物を白色泡状固体として得た。
【0168】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.21(m、1H)、6.98(m、2H)、6.10(bs、1H)、5.05(m、1H)、4.21(m、1H)、2.98(m、2H)、2.60(m、2H)、1.38(s、9H)。
【0169】
中間体2
【0170】
【化36】

【0171】
(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−ブタン酸
段階A:(2R,5S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−(2′−フルオロ−4′−(トリフルオロメチル)ベンジル)−5−イソプロピルピラジン
市販の(2S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジン3.32g(18mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に−70℃で、1.6Mブチルリチウムのヘキサン溶液12mL(19mmol)を加えた。その温度で20分間攪拌後、2−フルオロ−4−トリフルオロメチルベンジルブロマイド5g(19.5mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を加え、攪拌を3時間続けてから、反応液を昇温させて室温とした。水で反応停止し、減圧下に濃縮し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0%から5%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、標題化合物を得た。
【0172】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.33〜7.25(m、3H)、4.35〜4.31(m、1H)、3.75(s、3H)、3.65(s、3H)、3.60(t、1H、J=3.4Hz)、3.33(dd、1H、J=4.6、13.5Hz)、3.03(dd、1H、J=7,13.5Hz)、2.25〜2.15(m、1H)、1.0(d、3H、J=7Hz)、0.66(d、3H、J=7Hz)。
【0173】
段階B:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニルアラニンメチルエステル
(2R,5S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−(2′−フルオロ−4′−(トリフルオロメチル)ベンジル)−5−イソプロピルピラジン5.5g(15mmol)のアセトニトリル:塩化メチレン混合物(10:1)(50mL)中溶液に、1Nトリフルオロ酢酸水溶液80mLを加えた。反応液を6時間攪拌し、有機溶媒を減圧下に除去した。溶液が塩基性(>pH8)となるまで炭酸ナトリウムを加え、反応液をテトラヒドロフラン100mLで希釈し、ジ−tert−ブチルジカーボネート10g(46mmol)を加えた。得られたスラリーを16時間攪拌し、減圧下に濃縮し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、標題化合物を得た。
【0174】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.38〜7.28(m、3H)、5.10(bd、1H)、4.65〜3.98(m、1H)、3.76(s、3H)、3.32〜3.25(m、1H)、3.13〜3.05(m、1H)、1.40(s、9H)。
【0175】
段階C:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニルアラニン
(R,S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニルアラニンメチルエステル5.1g(14mmol)のテトラヒドロフラン:メタノール:1N水酸化リチウム水溶液の混合物(3:1:1)(350mL)溶液を、50℃で4時間攪拌した。反応液を冷却し、5%塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。
【0176】
H NMR(500MHz、CDOD):δ7.45〜7.38(m、3H)、4.44〜4.40(m、1H)、3.38〜3.33(m、1H)、2.98(dd、1H、J=9.6、13.5Hz)、1.44(s、9H)。
【0177】
段階D:(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)−フェニル]−ブタン酸
段階Cからの生成物3.4g(9.7mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に0℃で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.3mL(13mmol)およびクロルギ酸イソブチル1.7mL(13mmol)をその順序で加え、反応液をその温度で30分間攪拌した。冷却したジアゾメタンのエーテル溶液を、黄色が消えなく成るまで加え、攪拌をさらに16時間続けた。過剰のジアゾメタンを酢酸の滴下によって分解し、反応液を酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、9:1ヘキサン:酢酸エチル)によって、ジアゾケトン0.5gを得た。前記ジアゾケトン0.5g(1.33mmol)をメタノール100mLに溶かした溶液に0℃で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.7mL(4mmol)および安息香酸銀32mg(0.13mmol)をその順序で加えた。反応液を2時間攪拌してから、酢酸エチルで希釈し、2N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮し、テトラヒドロフラン:メタノール:1N水酸化リチウム水溶液混合物(3:1:1)50mLに溶かし、50℃で3時間攪拌した。反応液を冷却し、5%塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して、標題化合物を白色泡状固体として得た。
【0178】
H NMR(500MHz、CDOD):δ7.47〜7.33(m、3H)、4.88(bs、1H)、4.26〜3.98(m、1H)、3.06〜3.01(m、1H)、2.83〜2.77(m、1H)、2.58〜2.50(m、2H)、1.29(s、9H)。
【0179】
中間体3
【0180】
【化37】

【0181】
(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸
段階A:(2S,5R)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピル−5−(2′,4′,5′−トリフルオロベンジル)−ピラジン
中間体2段階Aについて記載の手順を用いて、(2S)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジン3.42g(18.5mmol)および2,4,5−トリフルオロベンジルブロマイド5g(22.3mmol)から標題化合物(3.81g)を製造した。
【0182】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.01(m、1H)、6.85(m、1H)、4.22(m、1H)、3.78(m、3H)、3.64(m、3H)、3.61(m、1H)、3.20(m、1H)、2.98(m、1H)、2.20(m、1H)、0.99(d、3H、J=8Hz)、0.62(d、3H、J=8Hz)。
【0183】
段階B:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,4,5−トリフルオロフェニルアラニンメチルエステル
(2S,5R)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピル−5−(2′,4′,5′−トリフルオロベンジル)ピラジン3.81g(11.6mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、2N塩酸20mLを加えた。反応液を72時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を塩化メチレン30mLに溶かし、トリエチルアミン10mL(72mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート9.68g(44.8mmol)を加えた。反応液を16時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、1N塩酸およびブラインの順で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。
【0184】
H NMR(500MHz、CDCl):δ6.99(m、1H)、6.94(m、1H)、5.08(m、1H)、4.58(m、1H)、3.78(m、3H)、3.19(m、1H)、3.01(m、1H)、1.41(s、9H)。
【0185】
段階C:(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,4,5−トリフルオロフェニルアラニン
中間体2段階Cについて記載の手順を用い、標題化合物を(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,4,5−トリフルオロフェニルアラニンメチルエステル2.41g(7.5mmol)から製造した。
【0186】
LC−MS220.9(M+1−BOC)。
【0187】
段階D:(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−ブタン酸
(R)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−2,4,5−トリフルオロフェニルアラニン0.37g(1.16mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に−20℃で、トリエチルアミン0.193mL(1.3mmol)およびクロルギ酸イソブチル0.18mL(1.3mmol)をその順序で加え、反応液をその温度で15分間攪拌した。冷却したジアゾメタンのエーテル溶液を、黄色が消えなくなるまで加え、攪拌をさらに1時間続けた。過剰のジアゾメタンを酢酸の滴下によって分解し、反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、3:1ヘキサン:酢酸エチル)によって、ジアゾケトン0.36gを得た。そのジアゾケトン0.35g(1.15mmol)を1,4−ジオキサン:水(5:1)12mLに溶かした溶液に、安息香酸銀26mg(0.113mmol)を加えた。得られた溶液を2時間超音波処理してから、酢酸エチルで希釈し、1N塩酸およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、97:2:1塩化メチレン:メタノール:酢酸)によって、標題化合物を得た。
【0188】
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.06(m、1H)、6.95(m、1H)、5.06(bs、1H)、4.18(m、1H)、2.98(m、2H)、2.61(m、2H)、1.39(s、9H)。
【0189】
中間体4
【0190】
【化38】

【0191】
(3R)−4−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェニル)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−ブタン酸
2−ブロモ−4,5−ジフルオロ安息香酸[ブライシュらの報告(Braish et al., Syn. Comm., 3067-3074 (1992)の手順に従って製造]2.4g(10mmol)のテトラヒドロフラン(75mL)溶液に、1,1′−カルボニルジイミダゾール2.43g(15mmol)を加えた。溶液を3.5時間加熱還流し、冷却して室温とし、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)の水溶液(水15mL)を加えた。反応液を10分間攪拌し、酢酸エチルと10%重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を温水で2回とブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、4:1ヘキサン:酢酸エチル)によって、2−ブロモ−4,5−ジフルオロベンジルアルコール1.9gを得た。2−ブロモ−4,5−ジフルオロベンジルアルコール1.9g(8.4mmol)の塩化メチレン(30mL)溶液に0℃で、四臭化炭素3.4g(10mmol)およびトリフェニルホスフィン2.7g(10mmol)を加えた。反応液をその温度で2時間攪拌し、溶媒を減圧下に除去し、残留物をジエチルエーテル100mLとともに攪拌した。溶液を濾過し、減圧下に濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20:1ヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、四臭化炭素を不純物として含む2−ブロモ−4,5−ジフルオロベンジルブロマイド2.9gを得た。それをそれ以上精製せずに用いた。中間体1〜3の製造について説明した手順を用い、ベンジルブロマイド誘導体を標題化合物に変換した。
【0192】
LC/MS394および396(M+1)。
【0193】
中間体1〜4の製造について記載の手順にほぼ従って、表1における中間体を製造した。
【0194】
【表1】

【実施例1】
【0195】
【化39】

【0196】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
段階A:イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
2−アミノピラジン(1.0g、10.5mmol)のジオキサン(25mL)溶液に、3−ブロモ−2−ケトプロピオン酸エチル(2.0g、10.5mmol)を加えた。反応液を50℃で16時間攪拌した。混合物を濾過し、固体を酢酸エチルで2回洗浄した。固体を、イソプロパノール35mL中にて還流温度で4時間加熱した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。クロマトグラフィー(バイオテージシステム、シリカゲル、酢酸エチルと次に10%メタノール/酢酸エチル)による精製によって、標題化合物を固体として得た。
【0197】
段階B:5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(段階A)1.9gおよび10%パラジウム/炭素280mgの混合物を、水素雰囲気下に終夜攪拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮した。バイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン、酢酸エチル、10%メタノール/酢酸エチルおよび80:15:1クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニウムで溶離)によって、標題化合物を得た。
【0198】
段階C:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(段階B)150mg(0.768mmol)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタン酸(中間体1)242mg(0.768mmol)のDMF(65mL)溶液に、HOBT125mg(0.922mmol)およびEDC177mg(0.922mmol)を加えた。得られた混合物を室温で14時間攪拌し、酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。バイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン、酢酸エチル、および10%メタノール/酢酸エチルで溶離)によって、標題化合物を得た。
【0199】
段階D:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル28mgの塩化メチレン(0.5mL)溶液に、トリフルオロ酢酸0.5mLを加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。濃縮によって、標題化合物を固体として得た。LC/MS393(M+1)。
【実施例2】
【0200】
【化40】

【0201】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸・トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(実施例1、段階C)165mg(0.335mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)および水(2mL)溶液に、水酸化リチウム(24mg、1.01mmol)を加えた。反応混合物を室温で14時間攪拌した。それを濃縮し、酢酸エチルと2N塩酸水溶液との間で分配した。水相を酢酸エチルで3回洗浄した。水相を濃縮して標題化合物を得て、それをHPLC(YMCプロ(YMC Pro)−C18カラム、勾配溶離:0.1%TFA含有5%から95%アセトニトリル/水)によって精製して標題化合物を得た。LC/MS365(M+1)。
【実施例3】
【0202】
【化41】

【0203】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−N,N−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド・2塩酸塩
段階A:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(実施例1、段階C)295mg(0.6mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)および水(4mL)溶液に、水酸化リチウム57.7mg(2.4mmol)を加えた。混合物を室温で14時間攪拌した。それを濃縮して容量を約4mLとした。酢酸(0.173mL)を加え、混合物を酢酸エチルで3回順次抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮して、標題化合物を白色固体として得た。
【0204】
段階B:N,N−ジメチル−7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸(段階A)50mg(0.108mmol)および2Mジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液0.108mLのDMF(1mL)溶液に、HOBT17.5mg(0.13mmol)およびEDC24.9mg(0.13mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌し、濃縮した。クロマトグラフィー(バイオテージシステム、シリカゲル、酢酸エチル、10%メタノール/酢酸エチル、および10%メタノール/塩化メチレンの順で溶離)による精製によって、標題化合物を白色固体として得た。
【0205】
段階C:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−N,N−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド・2塩酸塩
N,N−ジメチル−7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド(段階B)22mgの飽和メタノール性塩化水素溶液を室温で1時間攪拌した。濃縮によって、標題化合物を白色固体として得た。LC/MS392(M+1)。
【実施例4】
【0206】
【化42】

【0207】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩
段階A:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(実施例1、段階C)100mgの濃水酸化アンモニウム(3.5mL)溶液を、封管中100℃で6時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、クロマトグラフィー(バイオテージシステム、シリカゲル、10%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。
【0208】
段階B:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボキサミド(段階A)26mgの塩化メチレン(0.4mL)溶液に、トリフルオロ酢酸0.4mLを加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮して、標題化合物を泡状固体として得た。
【実施例5】
【0209】
【化43】

【0210】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
段階A:4−メチル−N[(2E)−ピラジン−2(1H)−イリデン]ベンゼンスルホンアミド
2−アミノピラジン(5.00g、52.5mmol)のピリジン(40mL)溶液にp−トルエンスルホニルクロライド(11.0g、57.8mmol)を加えた。反応液を室温で80分間攪拌した。ピリジンを減圧下に留去した後、水0.5リットルを加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応液を濾過し、固体を水で1回およびジエチルエーテルで2回この順序で洗浄した。固体を真空乾燥して標題化合物を得て、それをそれ以上精製せずに次の段階でそのまま用いた。LC/MS250(M+1)。
【0211】
段階B:2−[(2E)−2−[[(4−メチルフェニル)スルホニル]イミノ]ピラジン−1(2H)−イル]アセトアミド
4−メチル−N−[(2E)−ピラジン−2(1H)−リデン]ベンゼンスルホンアミド(段階A)4.50g(18.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に、ジイソプロピルエチルアミン3.46mL(19.9mmol)およびヨードアセトアミド3.67g(19.9mmol)を加えた。反応液を室温で28時間攪拌した後、混合物を水20mLに投入し、100分間攪拌した。反応混合物を濾過し、固体を水200mLおよびジエチルエーテル100mLの順で洗浄して、標題化合物を固体として得た。
【0212】
段階C:2,2,2−トリフルオロ−N−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イルアセトアミド
2−[(2E)−2−[[(4−メチルフェニル)スルホニル]イミノ]ピラジン−1(2H)−イル]アセトアミド(段階B)1.0g(3.26mmol)の塩化メチレン(15mL)溶液に、無水トリフルオロ酢酸6mLを加えた。反応液を6時間還流した後、溶媒を留去し、酢酸エチル30mLを加えた。混合物を濾過し、固体を酢酸エチルで洗浄して、標題化合物を固体として得た。
【0213】
H NMR(500MHz、DMSO−d):δ9.13(s、1H)、8.62(d、1H)、8.38(s、1H)、8.08(d、1H)。
【0214】
段階D:2,2,2−トリフルオロ−N−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)アセトアミド
実施例1段階Bのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2,2,2−トリフルオロ−N−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イルアセトアミド(段階C)から製造した。
【0215】
段階E:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
実施例1段階Cのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2,2,2−トリフルオロ−N−(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)アセトアミド(段階D)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)から製造した。LC/MS550(M+1)。
【0216】
段階F:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
実施例1段階Dのものと同様の手順を用いて、標題化合物を7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階Eから)から製造した。LC/MS450(M+1)。
【実施例6】
【0217】
【化44】

【0218】
3−アミノ−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
段階A:2−シクロプロピル−N−(1−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン
2−アミノピラジン(1.13g、11.9mmol)のメタノール(12mL)および塩化メチレン(12mL)溶液に、1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド(2.50mL、14.3mmol)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド(1.00g、14.3mmol)およびトリフ酸スカンジウム(292mg、0.595mmol)を加えた。反応液を室温で24時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、100%塩化メチレンと次に10%メタノール/塩化メチレン)によって精製して、標題化合物を固体として得た。LC/MS287(M+1)。
【0219】
段階B:2−シクロプロピル−N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン
実施例1段階Bのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2−シクロプロピル−N(1−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン(段階A)から製造した。LC/MS291(M+1)。
【0220】
段階C:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
実施例1段階Cのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2−シクロプロピル−N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン(段階B)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)から製造した。LC/MS606(M+1)。
【0221】
段階D:3−アミノ−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階C)35.0mgの塩化メチレン(1mL)溶液に、トリフルオロ酢酸1mLを加えた。反応液を室温で1時間攪拌した。混合物を濃縮し、逆相HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から30%アセトニトリル/水)によって精製して、標題化合物を固体として得た。LC/MS394(M+1)。
【実施例7】
【0222】
【化45】

【0223】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
段階A:2−シクロプロピルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン
2−シクロプロピル−N(1−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン(実施例6、段階A)1.50g(8.06mmol)の塩化メチレン(4mL)溶液に、トリフルオロ酢酸4mLを加え、反応液を室温で1時間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮して、標題化合物を粘稠油状物として得た。LC/MS175(M+1)。
【0224】
段階B:N−(2−シクロプロピルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
2−シクロプロピルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−アミン(段階A)350mg(1.22mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液に0℃で、ピリジン(0.628mL、7.29mmol)およびトリフルオロ無水酢酸(0.513mL、3.65mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間攪拌した。混合物を減圧下に0℃で濃縮した後、氷冷水1mLを加えた。反応混合物を逆相HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)によって精製して、標題化合物を固体として得た。LC/MS271(M+1)。
【0225】
段階C:N−(2−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
実施例1段階Bのものと同様の手順を用いて、標題化合物をN−(2−シクロプロピルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(段階B)から製造した。
【0226】
段階D:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
実施例1段階Cのものと同様の手順を用いて、標題化合物をN−(2−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(段階C)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)から製造した。LC/MS590(M+1)。
【0227】
段階E:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
実施例1段階Dのものと同様の手順を用いて、標題化合物を7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−2−シクロプロピル−3−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階Dから)から製造した。LC/MS490(M+1)。
【実施例8】
【0228】
【化46】

【0229】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩
段階A:オキソ(2−ピラジン−2−イルヒドラジノ)酢酸エチル
2−ヒドラジノピラジン2.38g(21.6mmol)およびトリエチルアミン2.41g(3.32mL、23.8mmol)のアセトニトリル(50mL)中混合物に、クロロ(オキソ)酢酸エチル3.25g(2.66mL、23.8mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌し、重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮して標題化合物を得た。LC/MS211(M+1)。
【0230】
段階B:[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル
段階Aからのオキソ(2−ピラジン−2−イルヒドラジノ)酢酸エチル521mg(2.48mmol)のトルエン(10mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸20mgを加えた。混合物を18時間加熱還流した。反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水相を、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮して標題化合物を得た。LC/MS192.9(M+1)。
【0231】
段階C:5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル
段階Bからの[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル380mgおよび10%パラジウム/炭素50mgの酢酸エチル(10mL)およびエタノール(10mL)中混合物を、水素雰囲気下に18時間攪拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を固体として得た。LC/MS169(M+1)。
【0232】
段階D:7−[(3R)−3−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル
段階Cからの5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチルのうち264mg(1.35mmol)分を、実質的に実施例1段階Cに記載の手順に従って(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)にカップリングさせた。バイオテージシステムでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、5%メタノール/塩化メチレンで溶離)によって標題化合物を得た。LC/MS456(M+1−tBu)。
【0233】
段階E:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル塩酸塩
段階Dからの7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル10mg分を、実質的に実施例3段階Cに従って脱保護して標題化合物を得た。LC/MS412(M+1)。
【実施例9】
【0234】
【化47】

【0235】
N−(tert−ブチル)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド塩酸塩
段階A:N−(tert−ブチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド
実施例8段階Bからの[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボン酸エチル170mgおよびtert−ブチルアミン3mLの混合物を、封管中8時間にわたって加熱還流した。濃縮とそれに続くフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、100%酢酸エチルおよび10%メタノール/塩化メチレンの順で溶離)によって、標題化合物を粘稠油状物として得た。LC/MS219.9(M+1)。
【0236】
段階B:N−(tert−ブチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド
段階AからのN−(tert−ブチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド167mgおよび10%パラジウム/炭素20mgのエタノール(3mL)中混合物を、水素雰囲気下に18時間攪拌した。混合物をセライト層で濾過し、濾液を濃縮して、標題化合物を固体として得た。H NMR(CDCl):δ7.22(1H、s)、4.43(2H、t、J=5.5Hz)、4.32(2H、s)、3.27(2H、t、J=5.5Hz)、2.05(1H、br)、1.48(9H、s)。
【0237】
段階C:N−(tert−ブチル)−7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド
段階BからのN−(tert−ブチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4、3−a]ピラジン−3−カルボキサミド32mg(0.14mmol)分を、実質的に実施例1段階Cに記載の手順に従って(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)にカップリングさせた。分取TLC(シリカゲル、10%メタノール/塩化メチレン)による精製によって標題化合物を得た。LC/MS483.1(M+1−tBu)。
【0238】
段階D:N−(tert−ブチル)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド塩酸塩
段階CからのN−(tert−ブチル)−7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−3−カルボキサミド63mg分を、実質的に実施例3段階Cに記載の手順に従って脱保護して、標題化合物を得た。LC/MS439(M+1)。
【実施例10】
【0239】
【化48】

【0240】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
段階A:7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(実施例1段階B、23.8g、122mmol)の塩化メチレン(400mL)溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(29.3g、134mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、勾配溶離、70%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチルそして次に10%メタノール/酢酸エチル)によって、標題化合物を得た。
【0241】
段階B:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
段階Aからの7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(4.28g、14.5mmol)の四塩化炭素(100mL)溶液に、N−クロロコハク酸イミド(2.325g、17.4mmol)および過酸化ベンゾイル(50mg、0.2mmol)をその順序で加えた。反応液を1時間還流攪拌した。反応混合物を冷却して0℃とし、濾過し、固体を塩化メチレン25mLずつで2回洗浄した。溶媒を減圧下に濃縮した。バイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、勾配、50%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル)によって、標題化合物を得た。
【0242】
段階C:3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
段階Bからの7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル180mgの塩化メチレン(5mL)溶液に、トリフルオロ酢酸5mLを加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。濃縮によって標題化合物を得た。
【0243】
段階D:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩(185mg、0.54mmol)と(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(95mg、0.30mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.188mL、1.1mmol)の塩化メチレン(8mL)溶液に、HOAT(41mg、0.30mmol)およびHATU(113mg、0.30mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物をPSA樹脂層(200mg;Varian MEGA BOND ELUT, PSA)で濾過し、樹脂を10%メタノール/塩化メチレン溶液10mLで洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。逆相HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)による精製によって、標題化合物を白色泡状物として得た。
【0244】
段階E:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシルカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(67mg、0.012mmol)の塩化メチレン(1mL)溶液に、トリフルオロ酢酸1mLを加えた。反応混合物を室温で0.5時間攪拌し、減圧下に濃縮した。HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)による精製によって、標題化合物を白色泡状物として得た。MS445.2(M+1)。
【実施例11】
【0245】
【化49】

【0246】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(RまたはS)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩および7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(SまたはR)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
段階A:3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン2−カルボン酸エチル
実施例10段階Aからの7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(18.4g、94mmol)のクロロホルム(250mL)溶液に、臭素(45g、281mmol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。重亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、生成物を塩化メチレン100mLずつで2回抽出した。合わせた有機抽出液を重炭酸ナトリウムおよびブラインの順で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗取得物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶離、50%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。
【0247】
段階B:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(1−エトキシビニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
段階Aからのブロマイド(8.0g、21mmol)、トリブチル(1−エトキシビニル)スズ(8.7mL、26mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.98g、1.1mmol)およびトリ−2−フリルホスフィン(0.99g、4.3mmol)を、ジオキサン(200mL)中にて窒素下に110℃で6時間攪拌した。冷却して室温とした後、フッ化カリウム(3.0g)の水溶液200mLを加え、得られた混合物を酢酸エチル200mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出液を水およびブラインの順で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。粗取得物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。
【0248】
段階C:3−アセチル−7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン2−カルボン酸エチル
段階Bからのエノールエーテル(5.78g、15.8mmol)の(200mL)THF/水10:1混合物中溶液に、パラ−トルエンスルホン酸(300mg)を加えた。反応混合物を50℃で2時間加熱した。反応混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮し、酢酸エチル400mLで処理した。有機溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液400mLずつで2回、ブライン400mLで1回その順序で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0249】
段階D:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(1−ヒドロキシエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル
段階Cからのケトン(5.6g、17mmol)をメタノール200mLに溶かし、溶液を冷却して0℃とした。水素化ホウ素ナトリウム(6.3g、166mmol)を少量ずつ加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチル400mLで処理し、ブライン(400mL)で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。バイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、勾配溶離、70%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル)によって、標題化合物をラセミ混合物として得た。そのラセミ混合物をキラルHPLC(キラルセルOD(4.6×250mm)10ミクロンカラム、15%エタノール/ヘキサン)によって分割して、2種類のエナンチオマーを得た。
【0250】
段階E:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(RまたはS)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸
段階Dからの先に溶出したエナンチオマー(エナンチオマーA)(223mg、0.65mmol)の(15mL)テトラヒドロフラン:メタノール:1N水酸化リチウム水溶液3:1:1混合物中溶液を室温で4時間攪拌した。THFを減圧下に留去した。反応混合物を5%塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出した(30mLで3回)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%〜90%アセトニトリル/水)による精製によって、標題化合物を得た。
【0251】
同じ手順を用いて、段階Dからの多く溶出したエナンチオマー(エナンチオマーB)の酸を得た。
【0252】
段階F:6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロフロ[3′,4′:4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3(1H)−オン・トリフルオロ酢酸塩
段階EからのエナンチオマーA(173mg、0.56mmol)のトリエチルアミン(0.6mL、4mmol)含有アセトニトリル(2mL)溶液を、N−メチルクロロピリジニウムヨージド(568mg、2.22mmol)の還流アセトニトリル(8mL)溶液に5分間かけて滴下した。反応混合物を冷却して室温とし、塩化メチレン50mLを加え、有機溶液を水50mLおよびブライン50mLの順で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)による精製によって、標題化合物を得た。
【0253】
同じ手順を用いて、エナンチオマーBのラクトンを得た。
【0254】
段階G:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(RまたはS)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸
段階FからのエナンチオマーAを4N塩化水素のジオキサン溶液8mLで処理した。得られた混合物を室温で2時間攪拌し、減圧下に濃縮して粗HCl塩を得た。異性体AのHCl塩(72.5mg、0.25mmol)、(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(85mg、0.25mmol、中間体3)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.09mL、0.50mmol)の塩化メチレン(3mL)溶液に、HOAT(34mg、0.25mmol)およびHATU(95mg、0.25mmol)を加えた。得られた混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物をPSA樹脂(樹脂200mg;Varian MEGA BOND ELUT PSA)層で濾過し、樹脂を10%メタノール/塩化メチレン溶液7mLで洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)による精製によって、標題化合物を得た。
【0255】
同じ手順を用いて、段階FのエナンチオマーBから7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(SまたはR)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸(ジアステレオ異性体B)を得た。
【0256】
段階H:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(RまたはS)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル)−3−[(RまたはS)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸(68mg、0.13mmol)の塩化メチレン(1mL)溶液に、トリフルオロ酢酸1mLを加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、減圧下に濃縮した。による精製HPLC(YMCプロ−C18カラム、勾配溶離、0.1%TFA含有10%から90%アセトニトリル/水)によって、標題化合物を白色泡状物として得た。MS427.1(M+1)。
【0257】
同じ手順を用いて、段階Gのジアステレオ異性体Bから7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−[(SまたはR)−1−ヒドロキシエチル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩を得た。
【実施例12】
【0258】
【化50】

【0259】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−フルオロ−2−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・2塩酸塩
段階A:3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン
2−アミノピラジン1.00g(10.5mmol)のトルエン(20mL)溶液に−78℃で、活性化モレキュラーシーブス200mgを加えた。混合物にヘキサフルオロアセトンガスを3分間吹き込み、密閉し、昇温させて室温として16時間経過させた。反応溶液を開け、窒素を3分間吹き込んだ。得られた溶液を濾過し、室温で減圧下に濃縮した。残留物をキシレン40mLに溶かし、塩化スズ(II)1.99g(10.5mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液で処理し、120℃で33時間加熱した。混合物を冷却して室温とし、減圧下に濃縮して最小容量とした。得られたスラリーをエタノール30mLに懸濁させ、その混合物にフッ化カリウム3.00g(52.0mmol)の溶液を加えた。室温で30分後、混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、室温で減圧下に濃縮して総容量を5mLとした。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、40%から65%の勾配ジエチルエーテル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。LC/MS206(M+1)。
【0260】
段階B:3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン92.4mg(0.451mmol)のDMF(2mL)溶液に、水素化ホウ素シアノナトリウム142mg(2.25mmol)および酢酸0.20mLを加えた。混合物を加熱して70℃として1時間経過させ、冷却して室温とした。溶液を1N塩酸水溶液50mLで希釈し、酢酸エチルで抽出した。水層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH8.5とし、固体塩化ナトリウムで飽和するまで処理した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS210.0(M+1)。
【0261】
段階C:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−フルオロ−2−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
3−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン54.7mg(0.262mmol)のDMF(2.0mL)溶液に(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)95.9mg(0.288mmol)を加え、次にN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.233mL(1.31mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)39.2mg(0.288mmol)およびHATU試薬109mg(0.288mmol)を加えた。室温で1時間後、反応液を0.5M重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、40%から55%酢酸エチル/ヘキサン)によって、標題化合物を得た。LC/MS547(M+Na)。
【0262】
段階D:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−フルオロ−2−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン・2塩酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−フルオロ−2−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン82.0mg(0.156mmol)の塩化メチレン(1.8mL)溶液に、トリフルオロ酢酸0.2mLを加えた。室温で2時間後、反応液を減圧下に濃縮した。残留物をジエチルエーテル10mLに懸濁させ、1N塩化水素/ジエチルエーテル溶液0.5mLで処理した。得られた懸濁液を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。LC/MS425(M+1)。
【実施例13】
【0263】
【化51】

【0264】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン塩酸塩
段階A:2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[12−a]ピラジン
実施例1段階AおよびBのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2−アミノピラジンから製造した。
【0265】
段階B:7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階A)1.0g(5.23mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液に0℃で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.910mL、5.23mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(1.14g、5.24mmol)を加えた。反応液を0℃で5分間攪拌した後、反応液を昇温させて室温とし、攪拌を4時間続けた。反応混合物を酢酸エチルと0.5N塩酸との間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をバイオテージ(登録商標)システムを用いるフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を固体として得た。LC/MS236(M+1−56)。
【0266】
段階C:3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階B)1.65g(5.67mmol)のクロロホルム(100mL)溶液に0℃で、無希釈の臭素をゆっくり加え、反応液を0℃で0.5時間攪拌した。反応液を昇温させて室温とし、1時間攪拌した後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で反応停止した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をバイオテージシステム(登録商標)でのフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10%酢酸エチル/ヘキサンから20%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を固体として得た。
【0267】
段階D:7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階C)400mg(1.08mmol)およびトリブチル(ビニル)スズ686mg(2.16mmol)のトルエン(25mL)溶液に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)20mgを加えた。反応液を還流温度で2時間加熱した後、混合物を冷却して室温とし、塩化メチレンと水との間で分配した。水相を塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物を分取TLC(シリカゲル、25%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を固体として得た。
【0268】
段階E:2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階D)40.0mgに、飽和メタノール性塩化水素1mLを加えた。反応液を室温で1時間攪拌し、濃縮して、標題化合物23.0mgを粘稠油状物として得た。
【0269】
段階F:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
実施例1段階Cのものと同様の手順を用いて、標題化合物を2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階E)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタン酸(中間体1)から製造した。LC/MS515(M+1)。
【0270】
段階G:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン塩酸塩
7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]−2−(トリフルオロメチル)−3−ビニル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階F)13.0mg(0.0253mmol)に、飽和メタノール性塩化水素1mLを加えた。反応液を室温で1時間攪拌し、濃縮して、標題化合物を固体として得た。LC/MS415(M+1)。
【実施例14】
【0271】
【化52】

【0272】
[7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル](シクロプロピル)メタノン・ビス−トリフルオロ酢酸塩
段階A:7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−[[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボン酸エチル(実施例10、段階1)3.40g(11.5mmol)の塩化メチレン(60mL)溶液に、2Nメトキシ(メチル)アミン8.64mL(17.3mmol)を加え、次にトリメチルアルミニウム1.35g(13.8mmol)を15分間かけて加えた。反応液を室温で14時間攪拌した。水でゆっくり反応停止し、混合物を塩化メチレンで3回抽出し、合わせた有機層を1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をバイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、100%酢酸エチルと次に10%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を固体として得た。
【0273】
段階B:7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(シクロプロピルカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン
7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−[[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階A)131g(0.42mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(6mL)溶液に−40℃で、0.79MシクロプロピルマグネシウムブロマイドのTHF溶液1.6mLを滴下した。反応液を−40℃で40分間攪拌した後、反応混合物を冷0.5N塩酸1.5mLで反応停止した。混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。水相を、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(シリカゲル、10%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を粘稠油状物として得た。LC/MS292(M+1)。
【0274】
段階C:シクロプロピル(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノン
実施例13段階Eのものと同様の手順を用いて、標題化合物を7−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(シクロプロピルカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン(段階B)から製造した。
【0275】
段階D:[7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル](シクロプロピル)メタノン
実施例1段階Cのものと同様の手順を用いて、標題化合物をシクロプロピル(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メタノン(段階C)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)から製造した。LC/MS507(M+1)。
【0276】
段階E:[7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル](シクロプロピル)メタノン・ビス−トリフルオロ酢酸塩
実施例1段階Dのものと同様の手順を用いて、標題化合物を[7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル](シクロプロピル)メタノン(段階D)から製造した。LC/MS407(M+1)。
【実施例15】
【0277】
【化53】

【0278】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階A:[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
2−ヒドラジノピラジン15.0g(136mmol)のオルトギ酸トリメチル(100mL)溶液を100℃で1.5時間加熱還流した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲル層に乗せ、15:85メタノール:酢酸エチルで溶離した。得られた溶液を減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS121.0(M+1)。
【0279】
段階B:5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン9.15g(76.2mmol)の入ったフラスコに、10%パラジウム/炭素1.80gを加え、系を十分に脱気した。それにメタノール400mLを加え、系を排気し、水素(1気圧)で3回パージし、陽圧水素雰囲気下に室温で1日間攪拌した。粗反応混合物をセライト層で濾過し、濾液を減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS125.0(M+1)。
【0280】
段階C:7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン9.70g(76.2mmol)の塩化メチレン(250mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン11.8g(91.4mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート18.3g(83.8mmol)をこの順序で加えた。反応液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物をヘキサンと共沸させ、得られた固体をヘキサン/酢酸エチル混合液(95:5)で磨砕して、標題化合物を得た。LC/MS225.1(M+1)。
【0281】
段階D:3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン9.01g(40.0mmol)のクロロホルム(150mL)溶液に、重炭酸ナトリウム6.72g(80.0mmol)を加えた。系を冷却して0℃とし、N−ブロモコハク酸イミド7.11g(40.0mmol)を加えた。反応液を0℃で15分間、室温で16時間攪拌した。反応液を塩化メチレンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をバイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。LC/MS303.0および305.0(M+1)。
【0282】
段階E:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン0.173g(0.571mmol)のメタノール(6mL)溶液に、25重量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.39mLを加えた。反応液を65℃で1日間加熱した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をバイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。LC/MS255.1(M+1)。
【0283】
段階F:3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩
1:9 TFA/塩化メチレン溶液を7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン0.069g(0.271mmol)に0℃で加え、反応液を0℃で60分間攪拌し、次に室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS155.0(M+1)。
【0284】
段階G:7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン・トリフルオロ酢酸塩0.0727g(0.271mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、反応混合物のpHが9となるまでN,N−ジイソプロピルエチルアミンを加えた。その後、3(R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)0.0902g(0.271mmol)、HOAT0.0370g(0.271mmol)およびHATU0.100g(0.271mmol)をこの順序で加え、反応液を室温で16時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、0.5N重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をバイオテージ(登録商標)システムでのフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、15%メタノール/酢酸エチル)によって精製して、標題化合物を得た。LC/MS470.1(M+1)。
【0285】
段階H:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
1:9TFA/塩化メチレン(3mL)を、7−[(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン0.0640g(0.136mmol)に0℃で加えた。反応液を0℃で15分間攪拌し、室温で2.5時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS370.1(M+1)。
【実施例16】
【0286】
【化54】

【0287】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階A:7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
3−ブロモ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン(実施例15、段階D)0.090g(0.297mmol)のジオキサン(3mL)溶液に、ナトリウムチオメトキシド0.0630g(0.899mmol)を加え、反応混合物を100℃で1日間加熱した。反応液を塩化メチレンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインの順で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。LC/MS271.1(M+1)。
【0288】
段階B:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−3−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Aからの7−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(メチルチオ)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジンを用い、実質的に実施例15段階E〜Hに記載の手順に従って標題化合物を製造した。LC/MS386.3(M+1)。
【実施例17】
【0289】
【化55】

【0290】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階A:2−ヒドラジノ−6−メチルピラジン
ヒドラジン水和物15mLに室温で、2−クロロ−6−メチルピラジン2.9gを滴下した。得られた混合物を予め加熱した約50℃の油浴に入れ、30分間かけて100℃まで加熱した。混合物を放冷して室温とし、冷蔵庫中で1時間冷却した。少量のヒドラジン水和物を固化した混合物に加え、固体を濾過によって回収した。濾液を冷蔵庫で2時間冷却し、第2の生成物塊を回収した。それら取得物を合わせ、それ以上精製せずに用いた。MS124.9(M+1)。
【0291】
段階B:5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Aからの生成物2.32g(18.7mmol)に、冷却して0℃としておいた無水トリフルオロ酢酸50mLを加えた。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、減圧下に濃縮した。得られた粘稠取得物に、ポリリン酸約50mLを加え、得られた混合物を120℃で18時間加熱した。混合物を水酸化アンモニウムで塩基性とし、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%および100%酢酸エチル/ヘキサンの順で溶離)によって精製して標題化合物を得た。MS203(M+1)。
【0292】
段階C:5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Bからの生成物720mg(3.56mmol)のエタノール(10mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、10%パラジウム/活性炭60mgを加え、混合物を1気圧の水素下に室温で18時間攪拌した。溶液をセライトで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をバイオテージ(登録商標)フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルおよび10%メタノール/塩化メチレンの順で溶離)によって精製して、標題化合物を無色粘稠油状物として得た。MS207(M+1)。
【0293】
段階D:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階Cからの生成物281mg(1.36mmol)および(3R)−3−[(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸454mg(1.36mmol)のジメチルホルムアミド(2.5mL)溶液に、EDC314mg(1.64mmol)を加えた。室温で18時間攪拌後、混合物を酢酸エチルと重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50%および100%酢酸エチル/ヘキサンの順で溶離)によって精製して、N−BOC−保護化合物をジアステレオマーの混合物として得た。キラルHPLC分離(キラルセルODカラム、10%エタノール/ヘキサン)によって個々のジアステレオマーを得て、そのそれぞれを室温で1時間にわたりメタノール性塩化水素で処理した。濃縮によって、標題化合物の個々のジアステレオマーを得た。先に溶出するジアステレオマー:MS422(M+1);遅く溶出するジアステレオマー:MS422(M+1)。
【実施例18】
【0294】
【化56】

【0295】
(5S,8S)−および(5R,8R)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階A:(5S,8S)−および(5R,8R)−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
実質的に実施例17段階A、BおよびCに記載の手順に従って、2−クロロ−3,6−ジメチルピラジンから標題化合物をシスジアステレオマーの混合物として製造した。MS221(M+1)。
【0296】
段階B:(5S,8S)−および(5R,8R)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Aからの生成物1.0g(4.6mmol)、(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)1.6g(4.8mmol)、HOAT740mg(5.5mmol)およびHATU試薬2.1g(5.5mmol)のDMF(20mL)溶液を室温で72時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、0%から10%メタノール/塩化メチレンの勾配溶離)によって純度の低い生成物を得た。それについて再度フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%から50%酢酸エチル/ヘキサンの勾配溶離)を行って、N−BOC化合物をジアステレオマー混合物として得た。キラルHPLC分離(キラルセルODカラム、10%エタノール/ヘキサン)によって個々のジアステレオマーを得て、そのそれぞれを室温で30分間にわたりメタノール性塩化水素で処理した。濃縮によって、標題化合物の個々のジアステレオマーを得た。先に溶出するジアステレオマー:MS436(M+1);遅く溶出するジアステレオマー:MS436(M+1)。
【実施例19】
【0297】
【化57】

【0298】
(5S,8R)−および(5R,8S)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階A:7−(tert−ブトキシカルボニル)−5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
実施例17段階Cからの5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン1.03g(5.0mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート1.09g(5.0mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン)によって、標題化合物を白色固体として得た。MS307(M+1)。
【0299】
段階B:7−(tert−ブトキシカルボニル)−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Aからの化合物1.0g(3.3mmol)のトルエン(14mL)溶液に−78℃で、テトラメチルエチレンジアミン0.55mL(3.6mmol)と次にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)2.5mL(4.0mmol)を加えた。得られた褐色溶液を−78℃で10分間攪拌し、ヨウ化メチル0.23mL(3.6mmol)を滴下した。混合物を−78℃で10分間攪拌し、冷却浴を外した。混合物を室温で2時間攪拌し、塩化アンモニウム水溶液を加えることで反応停止した。混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。分取TLC(シリカゲル、50%酢酸エチル)による精製によって標題化合物をジアステレオマー混合物として得た。MS321(M+1)。
【0300】
段階C:5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階Bからの生成物のメタノール(1mL)溶液に、飽和メタノール性塩化水素溶液1mLを加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。濃縮によって標題化合物を得た。MS220.9(M+1)。
【0301】
段階D:(5S,8R)−および(5R,8S)−7−[(3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Cからの生成物35mg(0.14mmol)および(3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸(中間体3)45mg(0.14mmol)のDMF(1mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.028mL(0.16mmol)、HOAT22mg(0.16mmol)およびHATU試薬62mg(0.16mmol)を加えた。室温で18時間後、反応混合物を濃縮した。残留物を重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。分取TLC(シリカゲル、酢酸エチル)による精製によって、標題化合物を4種類のジアステレオマーの混合物として得た。キラルHPLC分離(キラルセルODカラム、7%エタノール/ヘキサン)によって個々のジアステレオマーを得て、そのうち最も先に溶出するものおよび最も遅く溶出するものが所望のトランス異性体であった。最も先に溶出したジアステレオマー:MS536(M+1);最も遅く溶出したジアステレオマー:MS536(M+1)。
【0302】
段階E:(5S,8R)−および(5R,8S)−7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階Dからの個々のジアステレオマーを別個に、室温で1時間にわたりメタノール性塩化水素で処理した。濃縮によって標題化合物を得た。最も先に溶出したジアステレオマーから:MS436(M+1);最も遅く溶出したジアステレオマーから:MS436(M+1)。
【実施例20】
【0303】
【化58】

【0304】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−8,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階A:3−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
粗生成物を10%メタノール/塩化メチレンに抽出し、濾過し、濾液を濃縮し、100%酢酸エチルと次に10%メタノール/塩化メチレンで溶離を行うシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した以外は、文献(P. J. Nelson and K. T. Potts, J. Org. Chem., 1962, 27, 3243)に記載の手順と同様にして2−クロロピラジンおよびヒドラジンから製造した2−ヒドラジノピラジン(820mg、7.45mmol)、TFA(2.55g、22.4mmol)およびポリリン酸(10mL)の混合物を、140℃で加熱しながら18時間攪拌した。溶液を氷に加え、水酸化アンモニウムを加えることで中和した。水溶液を酢酸エチルで抽出し(3回)、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した。濃縮とそれに続くフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1ヘキサン:酢酸エチル、次に100%酢酸エチル)によって、標題化合物を固体として得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.17〜8.20(m、2H)、9.54(s、1H)。LC/MS(M+1)189。
【0305】
段階B:3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
エタノール(10mL)中触媒として10%Pd/C(200mg)を用い、室温で18時間にわたり大気圧の水素下に、3−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン(540mg、2.87mmol、段階Aから)を水素化した。セライト濾過とそれに続く濃縮によって、暗色油状物を得た。塩化メチレンをその油状物に加え、不溶黒色沈殿を濾去した。濾液を濃縮することで、標題化合物を油状物として得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ2.21(br、1H)、3.29(t、2H、J=5.5Hz)、4.09(t、2H、J=5.5Hz)、4.24(s、2H)。MS(M+1)193。
【0306】
段階C:7−tert−ブトキシカルボニル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
実質的に実施例19段階Aに記載の手順に従って、段階Bからの生成物を標題化合物に変換した。
【0307】
段階D:7−tert−ブトキシカルボニル−8−メチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
実質的に実施例19段階Bに記載の手順に従って、段階Cからの生成物をヨウ化メチルでアルキル化した。フラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル、20%および50%酢酸エチル/ヘキサンの順で溶離)によって標題化合物を得た。MS307(M+1)。
【0308】
段階E:7−tert−ブトキシカルボニル−8,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
実質的に実施例19段階Bに記載の手順に従って、段階Dからの生成物を再度ヨウ化メチルでアルキル化した。バイオテージ(登録商標)フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって標題化合物を得た。MS321(M+1)。
【0309】
段階F:8,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
段階Eからの生成物224mgのメタノール(2mL)溶液に、飽和メタノール性塩化水素溶液2mLを加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮した。分取TLC(シリカゲル、80:15:1塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム)による精製によって標題化合物を得た。MS220.9(M+1)。
【0310】
段階G:7−[(3R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−8,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
反応混合物を18時間攪拌してから後処理をして、実質的に実施例18段階Bに記載の手順に従って、標題化合物を製造した。分取TLC(シリカゲル、酢酸エチル)による精製によって、標題化合物を得た。MS480(M+1−tBu)、536(M+1)。
【0311】
段階H:7−[(3R)−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−8,8−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階Gからの生成物10mgのメタノール(0.5mL)および飽和メタノール性塩化水素(0.5mL)溶液を室温で1時間攪拌した。濃縮によって標題化合物を得た。MS436(M+1)。
【実施例21】
【0312】
【化59】

【0313】
7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,5−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
段階A:5,5−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピラジン
2−(クロロメチル)−5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−オキサジアゾール2.17g(11.7mmol)のメタノール(10mL)溶液に0℃で、2−メチルプロパン−1,2−ジアミン1.23mL(11.7mmol)と次にN,N−ジイソプロピルエチルアミン2.04mL(11.7mmol)を加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、室温で2時間攪拌した。白色沈殿が生成した。混合物を濾過した。濾液を濃縮して粘稠油状物を得た。それをスーパーリン酸に溶かし、110℃で18時間加熱した。冷却して室温とした後、反応混合物を氷に投入し、水酸化アンモニウムを加えることで塩基性とした。混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。バイオテージ(登録商標)フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノール/塩化メチレンおよび80:15:1塩化メチレン:メタノール:水酸化アンモニウムの順で溶離)による精製によって、標題化合物を半固体として得た。MS220.9(M+1)。
【0314】
段階B:7−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−5,5−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン塩酸塩
実質的に実施例17段階Dに記載の手順に従って、段階Aからの生成物を(3R)−3−[(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アミノ]−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタン酸にカップリングさせた。分取TLC(シリカゲル、酢酸エチル)によるN−BOC中間体の精製とそれに続くメタノール性塩化水素による脱保護によって、標題化合物を得た。MS436(M+1)。
【0315】
実質的に実施例1〜21について記載の手順に従って、表2に挙げた化合物を製造した。
【0316】
【表2】


【0317】
医薬製剤の例
経口医薬組成物の具体的な実施形態として、100mg効力の錠剤を、本発明のいずれかの化合物100mg、微結晶セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mgおよびステアリン酸マグネシウム4mgから構成する。最初に、有効成分、微結晶セルロースおよびクロスカルメロースを混合する。混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑し、圧縮して錠剤とする。
【0318】
以上、本発明について、そのある種の特定の実施形態を参照しながら説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、手順および手法についての各種の調整、変更、修正、置き換え、削除または追加を行い得ることは明らかであろう。例えば、上記で示した本発明の化合物によっていずれかの適応症について治療を受ける哺乳動物の応答性における変動の結果として、上記で記載したような特定の用量以外の有効な用量を適用できる場合がある。観察される具体的な薬理的応答は、選択される特定の活性化合物または医薬用担体の有無、ならびに製剤の種類および用いる投与形態に応じて変動し得るものであり、結果におけるそのような予想される変動もしくは差は、本発明の目的および実務に従って想到されるものである。従って、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されるものであり、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
各nは独立に0、1または2であり;
Xは、NまたはCRであり;
Arは、1〜5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
およびRはそれぞれ独立に、
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
1−10アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−10アルコキシ[アルコキシは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−10アルキルチオ[アルキルチオは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−10アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立ハロゲンまたはヒドロキシにから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている)、フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており、前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている];
(CH−NR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換もしくは1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
各Rは独立に、
水素、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキル、および
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルコキシ
からなる群から選択され;
は独立に、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);フェニルおよびシクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);Rにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択される1〜2個の基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
各Rは、水素またはRであり;
、RおよびR10はそれぞれ独立に、
水素、
シアノ、
カルボキシ、
1−6アルキルオキシカルボニル、
1−10アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、カルボキシ、C1−6アルキルオキシカルボニルおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され(アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており;前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており;アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換もしくは1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
ただし、XがNであり、R10、R11、R12およびR13が水素であり;
またはRが、
水素;
シアノ;
1−10アルキル[未置換であるか、
(1)ハロゲン、
(2)ヒドロキシ、
(3)フェニル(独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い)、
(4)ナフチル(独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い)、
(5)COH、
(6)CO1−6アルキル、
(7)CONR1112(R11およびR12は独立に、水素、テトラゾリル、フェニル、C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され;アルキルは、独立にハロゲンおよびフェニルから選択される1〜6個の置換基で置換されていても良く;前記フェニルまたはC3−6シクロアルキルはR11またはR12であり;あるいはC1−6アルキル上の存在しても良いフェニル置換基は、独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、前記C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良く;
あるいはR11およびR12が一体となって、ピロリジン、ピペリジンおよびモルホリンから選択される環を形成していても良い)
から選択される1〜5個の置換基で置換されている];
フェニル[未置換であるか独立にC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い];
ナフチル[未置換であるか独立にC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い];
COH;
1−6アルキルオキシカルボニル;
CONR1112;または
3−6シクロアルキル[独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]であり;そして
XがCRであって、
が、
水素、
シアノ、
未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−10アルキル、
(CH−フェニル[未置換であるか独立にハロゲン、シアノヒドロキシ、R13、OR13、NHSO13、SO13、COHおよびC1−6アルキルオキシカルボニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており、R13は未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルである];または
5員もしくは6員の複素環[飽和または不飽和であっても良く、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;前記複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
である場合;
いずれの場合もRは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−10アルキル、
(4)(CH−フェニル[未置換であるか独立にハロゲン、シアノヒドロキシ、R13、OR13、NHSO13、SO13、COHおよびC1−6アルキルオキシカルボニルから選択される1〜5個の置換基で置換されており;R13は未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−6アルキルである];および
(5)5員もしくは6員複素環[飽和または不飽和であっても良く、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し;前記複素環は未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
ではなく;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素またはC1−6アルキルである。]
【請求項2】
*印を施した炭素原子がS配置を有する下記構造式Iaの請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
下記構造式Ibの請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項4】
*印を施した炭素原子がR配置を有する下記構造式Icの請求項3に記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
下記構造式Idの請求項3に記載の化合物。
【化5】

【請求項6】
が水素である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
下記構造式Ieの請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項8】
*印を施した炭素原子がR配置を有する下記構造式Ifの請求項7に記載の化合物。
【化7】

【請求項9】
下記構造式Igの請求項7に記載の化合物。
【化8】

【請求項10】
が水素である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が水素、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチルおよびメチルからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が水素、フッ素および塩素からなる群から選択される請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、
水素、
ハロゲン、
1−6アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−6アルコキシ[アルコキシは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
1−6アルキルチオ[アルキルチオは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−6アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され、アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されており、フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
あるいはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており;前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−NR
(CH−NRCOR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは、未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、CN、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、
水素、
メチル、
エチル、
トリフルオロメチル、
CHCF
CFCF
フェニル、
シクロプロピル、
フッ素、
塩素、
臭素、
ビニル、
アミノ、
イソプロピルアミノ、
アセチルアミノ、
2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ、
tert−ブチルアミノカルボニル、
エトキシカルボニル、
カルボキシ、
1−ヒドロキシエチル、
メトキシ、
イソプロポキシおよび
メチルチオ
からなる群から選択される請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、
水素、
ハロゲン、
1−6アルキル[アルキルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
2−6アルケニル[アルケニルは、未置換であるか独立にハロゲンまたはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている]、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[RおよびRは独立に、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキルおよびC1−6アルキルからなる群から選択され、アルキルは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されており、フェニルおよびシクロアルキルは未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており(アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている);
またはRおよびRがそれらが結合している窒素原子と一体となってアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンから選択される複素環を形成しており、前記複素環は未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−NR
(CH−NRCOR
(CH−COR
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−アリール[アリールは、未置換であるか独立にハロゲン、CN、ヒドロキシ、NRSO、SO、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]
からなる群から選択され;
またはRにおけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されている請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が、
水素、
トリフルオロメチル、
フェニル、
シクロプロピル、
カルボキシ、
エトキシカルボニル、
ジメチルアミノカルボニル、
アミノカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル、
tert−ブチルアミノカルボニル、
シクロプロピルカルボニル、
テトラゾール−5−イルアミノカルボニル、および
2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ
からなる群から選択される請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
、RおよびR10がそれぞれ独立に、
水素、
1−6アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−フェニル[フェニルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、および
(CH−C3−6シクロアルキル[シクロアルキルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素またはメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
、RおよびR10がそれぞれ独立に、
水素、
1−3アルキル[未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルコキシおよびフェニル−C1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−フェニル[フェニルは、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜5個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されている]、
(CH−ヘテロアリール[ヘテロアリールは、未置換であるか独立にヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]および
(CH−複素環[複素環は、未置換であるか独立にオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、アルキルおよびアルコキシは1〜5個のハロゲンで置換されていても良い]、
(CH−C3−6シクロプロピル
からなる群から選択され;
、RまたはR10におけるいずれのメチレン(CH)炭素原子も、未置換であるか独立にハロゲン、ヒドロキシおよび未置換であるか1〜5個のハロゲンで置換されたC1−4アルキルから選択される1〜2個の基で置換されており;
11、R12およびR13がそれぞれ独立に、水素またはメチルである請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
、RおよびR10がそれぞれ独立に、
水素、
CH
CHCH
CH−シクロプロピル、
CHF−シクロプロピル、
CH(OH)−シクロプロピル、
CHOCHPh、
CH(4−F−Ph)、
CH(4−CF−Ph)および
CH−[1,2,4]トリアゾール−4−イル
からなる群から選択され;
11、R12およびR13はそれぞれ独立に水素またはメチルである請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
、R10、R12およびR13が水素である請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
およびR11が水素である請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
下記のものから選択される請求項21に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化9】







【請求項23】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項24】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害する必要がある哺乳動物でのジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害方法において、該哺乳動物に対して有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項25】
糖尿病の治療を必要とする哺乳動物での糖尿病の治療方法において、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項26】
インシュリン非伝存型(2型)糖尿病の治療を必要とする哺乳動物でのインシュリン非依存型(II型)糖尿病の治療方法において、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項27】
高血糖の治療を必要とする哺乳動物での高血糖の治療方法において、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項28】
肥満の治療を必要とする哺乳動物での肥満の治療方法において、該哺乳動物に対して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項29】
異常脂血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLおよび高LDLからなる群から選択される1以上の脂質障害の治療方法において、そのような治療又は予防を必要とする哺乳動物において治療上有効量の請求項1に記載の化合物を哺乳類に対して投与することを含む方法。
【請求項30】
(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化およびそれの続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、(16)他の炎症状態、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満症、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経症、(23)症候群X、(24)卵巣アンドロゲン過多症(多嚢胞性卵巣症候群)ならびにインシュリン耐性が一つの要素である他の障害からなる群から選択される1以上の状態の治療方法において、そのような治療を必要とする哺乳動物において治療上有効量の請求項1に記載の化合物を哺乳類に対して投与することを含む方法。
【請求項31】
(a)第2のジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬;
(b)PPARγ作働薬、PPARα/γ二重作働薬、PPARα作働薬、ビグアニドおよびタンパク質チロシンホスファターゼ−1B阻害薬からなる群から選択されるインシュリン増感剤;
(c)インシュリンまたはインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素類その他のインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害薬;
(f)グルカゴン受容体拮抗薬;
(g)GLP−1、GLP−1模倣薬またはGLP−1受容体作働薬;
(h)GIP、GIP模倣薬またはGIP受容体作働薬;
(i)PACAP、PACAP模倣薬またはPACAP受容体作働薬;
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、(ii)捕捉剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、(iv)PPARα作働薬、(v)PPARα/γ二重作働薬、(vi)コレステロール吸収阻害薬、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害薬ならびに(viii)抗酸化剤などのコレステロール低下剤;
(k)PPARδ作働薬;
(l)抗肥満化合物;
(m)回腸胆汁酸搬送体阻害薬;
(n)抗炎症薬;および
(o)抗高血圧薬
からなる群から選択される1以上のさらなる有効成分をさらに含む請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記PPARα/γ二重作働薬がKRP−297である請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
糖尿病の治療を必要とする哺乳動物での糖尿病の治療方法において、該哺乳動物に対して、前記PPARα/γ二重作働薬であるKRP−297と併用して治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−513265(P2006−513265A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509979(P2005−509979)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040114
【国際公開番号】WO2004/058266
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】