紙幣取扱装置
【課題】搬送路が簡素化し、一時保管庫の小型化ができ、低コストで操作性の優れた信頼性の高い紙幣取扱装置を提供すること。
【解決手段】一時保管庫4は紙幣を順次誘導テープ43により回転ドラム41に巻き付け保管する構成とし、制御部11にある記憶手段により搬送される入金紙幣の判別情報や位置情報を順次記憶し、かつ回転ドラム41は一時保管庫4に収納する紙幣の有無により起動・停止する制御を行う。これにより回転ドラム41上への紙幣の巻き取り密度を高める。入金取引成立後、上記回転ドラム41を逆方向に回転し、前記巻き付け時と逆の順に一時保管庫4から紙幣搬送路50に放出し、前記記憶手段の情報に基づき、1枚毎に、入金庫6あるいはリサクル庫8あるいはリジェクト庫9のいずれかを選択して収納する。2は入出金口、3は入金紙幣判別部、7は出金庫、301,302,303はエンコーダ。
【解決手段】一時保管庫4は紙幣を順次誘導テープ43により回転ドラム41に巻き付け保管する構成とし、制御部11にある記憶手段により搬送される入金紙幣の判別情報や位置情報を順次記憶し、かつ回転ドラム41は一時保管庫4に収納する紙幣の有無により起動・停止する制御を行う。これにより回転ドラム41上への紙幣の巻き取り密度を高める。入金取引成立後、上記回転ドラム41を逆方向に回転し、前記巻き付け時と逆の順に一時保管庫4から紙幣搬送路50に放出し、前記記憶手段の情報に基づき、1枚毎に、入金庫6あるいはリサクル庫8あるいはリジェクト庫9のいずれかを選択して収納する。2は入出金口、3は入金紙幣判別部、7は出金庫、301,302,303はエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の利用者がカードや通帳等を使用し、現金を直接入金することが可能な紙幣取扱装置(例えば、金融機関等で使用される現金自動取引装置(ATM)など)に関し、特に、異なるサイズの紙幣を取り扱うのに好適な、搬送路が簡素化され、誤動作が少なく小型化が可能な紙幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣取扱装置を使用し入金取引を行う場合、一般的には入金紙幣は利用者により入金口に投入される。投入された紙幣は1枚1枚分離された後、紙幣判別部で受け入れ可能かどうかを判定される。受け入れ可能と判定された紙幣は一旦一時保管庫に収納され、受け入れ不可と判別された紙幣は利用者に返却される。その後、利用者によって一時保管庫に収納された紙幣の金額が確認されると、一時保管庫に収納された紙幣は紙幣取扱装置内に設けられている各金種別の収納庫あるいはリジェクト庫に分別して収納される。
【0003】
上記のような入金取引において、紙幣判別部で受け入れ可能と判定された紙幣を一旦収納する一時保管庫の方式としては、例えば特開平6−9108号公報記載のように搬送されてくる紙幣を積層して収納し、利用者によって金額が確認されると再び1枚1枚分離し搬送路に送り出す方式が一般的であった。また特殊な例として特開昭60−167089号公報記載のように大型ドラムの周上に紙幣を巻き付けて収納するものもあった。
【0004】
【特許文献1】特開平6−9108号公報
【特許文献2】特開昭60−167089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATM等の普及に伴い、紙幣取扱装置は、従来の機能、性能を確保しながら、より小型、低コスト、使いやすさに対するニーズが高まっている。一方、取り扱う紙幣は、国内での外国紙幣の取り扱いの増加、国外での紙幣取扱装置のニーズの高まりに伴い、日本円紙幣だけでなく、外国紙幣も取り扱える装置が求められている。
上記従来の技術において、入金紙幣を積層して一旦収納するタイプの一時保管庫では、入金紙幣を一時保管庫に一旦収納する時と一時保管庫に収納された紙幣を各金種別の収納庫に収納する時の両方で紙幣鑑別部に紙幣を搬送する必要があったため、搬送路の構成が複雑になり紙幣取扱装置のコストも高くなっていた。また、搬送路の構成が複雑なため、搬送中に搬送路で滞留して詰まった紙幣の除去等を行う場合の操作性が悪かった。さらに、積層して収納するタイプの一時保管庫は容積当たりの収納効率は高いが、紙幣サイズや紙幣状態に幅がある外国紙幣を扱う場合、それらを1つの一時保管庫に入れるので、一時保管庫の紙幣集積および分離の構造が複雑になる。
一方、入金紙幣を大型ドラムの周上に紙幣を巻き付けて収納するタイプの一時保管庫では、ドラムの周上で金種別に巻き付ける位置をずらす必要があり、多金種に対応させることを考えるとドラムが大型になり一時保管庫が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、入金取引において、紙幣鑑別部を通すのは入金紙幣を一時保管庫に一旦収納する時のみとし、一時保管庫に収納された紙幣を各金種別の収納庫に収納する時には鑑別しないようにして、搬送路を簡素にして、操作性が優れ、かつ、低コストの紙幣取扱装置を実現することにある。
本発明の第2の目的は、種々のサイズ、状態の紙幣に対応でき、かつ装置として収納効率の良い紙幣取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明においては、複数の紙幣収納庫を紙幣を積層して収納する構成とし、紙幣判別部で判別された紙幣を搬送順に回転ドラムと該回転ドラムに巻き付く誘導体で順次巻き付けて収納する一時保管庫に一旦収納するとともに、紙幣判別部からの紙幣判別情報を一時保管庫に巻き付けて収納した順に記憶手段に記憶し、入金取引成立に応じて、回転ドラムを逆転して一時保管庫から巻き付け時と逆の順に紙幣を順次取り出し、かつ記憶手段から同様に逆の順に紙幣判別情報を読み出し、この読み出された紙幣判別情報に応じた紙幣収納庫の一つに収納するようにした。
これにより一時保管庫からの紙幣収納動作においては、紙幣判別部による紙幣の再判別が不要となるため、搬送路が簡素化でき低コストで操作性の優れた紙幣取扱装置が実現可能となる。
さらに、搬送される紙幣を前記誘導体と共に回転ドラムに巻き付ける際に、誘導体の巻き付け開始位置を起点とした紙幣の巻き付け位置を認識し、順次記憶される紙幣情報と共に記憶し、入金取引成立後、上記回転ドラムを逆方向に回転し、前記巻き付け時と逆の順に一時保管庫から紙幣搬送路に放出する際に、1枚毎に、放出時の紙幣の位置と記憶している紙幣の位置情報を比較することにより、放出された紙幣が記憶している紙幣かどうかをチェックする。
これにより収納動作において、回転ドラムより放出される紙幣と記憶手段の情報との整合性を高めることができ、収納動作の信頼性を高めることが可能となる。
また、上記第2の目的を達成するため、本発明においては、一時保管庫としては回転ドラム巻き付け方式とし、紙幣収納庫としては紙幣を積層して収納する方式にした。一時保管庫を回転ドラム巻き付け方式にしたことにより、種々のサイズの紙幣に対応でき、また、紙幣収納庫を紙幣を積層して収納する方式にしたことにより、高い収納効率を達成することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転ドラムに紙幣を巻き取る方式の一時保管庫を採用し、入金計数時一時保管庫に収納された紙幣の順序管理を行うことにより、再度紙幣を判別することなく入金収納を行うことが可能となり、搬送路を簡素にして、操作性が優れ、かつ、低コストの紙幣取扱装置の実現が可能となる。さらに、紙幣の状態検知や異常検知を行うことにより、入金収納時鑑別しないで収納する紙幣取扱装置であっても入金庫やリサイクル庫に異金種の紙幣を収納する誤動作を防止し、入金収納動作および出金動作の信頼性を向上できる。また、一時保管庫に紙幣を収納する場合のみ回転ドラムを起動し、一時保管庫に収納する紙幣が一定期間無い場合は回転ドラムを停止する回転ドラムの制御を行うことにより、一時保管庫に求められる収納容量を最小限の実装空間で実現し、装置の小型化、機能向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の紙幣取扱装置を実装した現金自動取引装置の外観を示す斜視図である。
現金自動取引装置の本体筐体101の上部には、該筐体101の上部正面板101bに設けられたカードスロット102aと連通し利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出するカード・明細票処理機構102と、通帳スロット103aと連通し利用者の通帳を処理する通帳処理機構103とを備えている。また、本体筐体101の下部には、紙幣を処理する紙幣取扱装置1を備えており、中間部には、取引の内容を表示したり入力したりする顧客操作部105が設けられている。106は現金自動取引装置全体の制御を司る本体制御部である。
【0010】
図2は、現金自動取引装置の制御関係を示すブロック図である。
前述のように、本体筐体101に納められたカード・明細票処理機構102,通帳処理機構103,紙幣取扱装置1,および顧客操作部105は、バス106aを介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106の制御の下に必要な動作を行う。本体制御部106は、上記制御の他に、インタフェース部106b、係員操作部106c、外部記憶装置106dともバス106aで接続されており、必要なデータのやりとりを行うが、本発明の特徴に対して直接的な関連がないので詳細な説明は省略する。なお、図2において、101dは上記各機構や構成部分に電力を供給するための電源部である。
【0011】
図3は、図1の現金自動取引装置の中で、本発明に関わる紙幣取扱装置1の構成を示す側面図である。
本紙幣取扱装置1は、利用者が紙幣の投入や取り出しを行う入出金口2と、入金した紙幣の判別を行う入金紙幣判別部3と、入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時保管庫4と、入金時取引が成立した紙幣を収納する1ヶの入金庫6と、出金用の紙幣を収納する2ヶの出金庫7と、入出金兼用の1ヶのリサイクル庫8と、入金庫6に収納しない入金紙幣や出金庫7から繰り出された紙幣の内出金しない紙幣を収納する2ヶのリジェクト庫9と、出金用の紙幣を判別する出金紙幣判別部10と、入金紙幣判別部3を通り、一時保管庫4,リサイクル庫8,出金庫7,入金庫6,出金紙幣判別部10,リジェクト庫9,入出金口2に対し順に紙幣を搬送する紙幣搬送路5と、制御部11から構成される。
【0012】
制御部11は、現金自動取引装置の本体制御部106からの指令および紙幣取扱装置1の状態検出に応じて紙幣取扱装置1の制御を行い、また必要に応じて、紙幣取扱装置1の状態を本体制御部106に送る制御を行う。また、紙幣搬送路5は、図では線で示されているが、搬送路5の分岐点には切替えゲートが設けられ、矢印方向の一方向に紙幣を搬送する。これらの搬送は、入金紙幣判別部3や出金紙幣判別部10からの判別結果に基づいて制御部11によって制御される。
【0013】
図4は一時保管庫の構成を示す斜視図、図5は入金庫の側面図、図6は出金庫の側面図、図7はリサイクル庫の側面図、図8はユニット搬送路の側面図、図9は紙幣取引装置の制御関係を示すブロック図である。
【0014】
次に、本実施例の上記各構成要素2〜11の具体的な構成とその動作を、図3〜図9を用いて詳細に説明する。
入出金口2は、シャッタ26を有し、シャッタ26をスライドさせて開閉し、利用者が出金時の紙幣を取り出し、入金時の紙幣を投入できるようにする。投入された紙幣を押板23でフィードローラ21の方向に押し付け、フィードローラ21の回転で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ22で2枚送りを防止する。こうして、入出金口2の紙幣は紙幣搬送路5へ繰り出され、装置内に取り込まれる。本装置では、フィードローラ21を1秒間に10回転することにより、10枚/秒の速度で紙幣が繰り出される。また、装置内から出金される紙幣や、入金時紙幣判別できない等の理由でリジェクトされる紙幣は、紙幣搬送路5を経由して、スタックローラ25とブラシローラ24の間に送り込まれ、連続して搬送される紙幣同士が干渉することなく収納し、利用者が取り出すことができる。本装置の入出金口2の収納空間は、紙幣100枚分を収納するため約25mmに設定してある。
【0015】
入金紙幣判別部3は、1対のローラからなり、ローラ間を紙幣が搬送されたときのローラの変位を検出して、2枚重なりかどうか検出する2枚検知部31と、イメージセンサ等で紙幣の印刷等を検出して紙幣の金種、真偽を判別する鑑別部32から構成され、各通過紙幣の判別結果を制御部11に報告する。
【0016】
一時保管庫4は、図4に示すように、ステンレスの薄板製の誘導テープ43と、誘導テープ43とともに搬送された紙幣を巻き取る回転ドラム41と、誘導テープ43のみを巻き取る巻き取り軸42と、回転ドラム41に紙幣の進入を案内する、誘導テープ43とともに回転する入口ローラ45と、対向するバックアップローラ44から構成される。誘導テープ43の両端を支持する回転ドラム41と巻き取り軸42は、それぞれ別個の図示せぬ駆動源に接続され、巻き取り軸42側には駆動源との間にトルクリミッターを介している。誘導テープ43の回転ドラムに巻き付く部分の長さは、少なくとも入出金口からの紙幣分離速度、紙幣の搬送速度、入出金口の投入限度枚数から求められる1回の入金計数動作に必要な長さ以上とする。例えば、本装置では、入金口の1回の投入限度枚数を100枚、分離速度約10枚/秒、搬送速度約1.6m/秒で搬送されるとすると、少なくとも、
6m/秒×100枚÷10枚/秒=16m
以上とする。通常、これにマージンを加えた長さとするのがよい。より具体的には、1取引で2回までの投入ができ計200枚の取扱が可能な装置構成とした場合、1回の入金口の投入限度枚数にマージンを加えて2.5倍を収容可能な長さとし、
6m/秒×250枚÷10枚/秒=40m
より、さらに5mのマージンを含めて45mとする。
【0017】
また、誘導テープ43の初期位置を検出するための図示せぬ初期位置センサと、誘導テープ43の終了近くを検出するための図示せぬニア満杯センサが取り付けてある。入口ローラ45には、誘導テープ43の初期位置を基準として、現在の誘導テープ43の巻取り量を検出するためのエンコーダB302が取り付けてある。また、入口ローラ45より回転ドラム41側の搬送上に一時保管庫通過センサ311が取り付けてある。なお、一時保管庫通過センサ311を誘導テープ43の両側に設けた2つのセンサ311a,bで構成すれば、後述するように紙幣の傾きを検出でき、還流できなくなる紙幣を判別してリジェクト庫に収納することが可能になる。入金取引前には、誘導テープ43は、初期位置まで巻き取り軸42側に巻き取られている。入金紙幣を一時保管庫4に取り込む場合には、回転ドラム41を誘導テープ43を巻き取る方向に、誘導テープ43の走行速度が紙幣の進入速度とほぼ同一になるよう回転し、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取る。一方、巻き取り軸42は、別の駆動源により誘導テープ43を巻き取る方向、すなわち、誘導テープ43に張力を架けるように、トルクリミッターを介して駆動されており、誘導テープ43はたるむことなく回転ドラム41に紙幣とともに巻き取られる。この時、回転ドラム41に巻き取られた紙幣は、前記入金紙幣判別部3で金種等が判別された紙幣であり、制御部11は、一時保管庫4への紙幣の進入を監視しながら、一枚ごとの金種情報を記憶している。一時保管庫4に収納された紙幣に対する入金取引が成立すると、回転ドラム41を逆に回転し、巻き取り軸42を巻き取り方向にトルクリミッターを介して誘導テープ43に張力を架けながら、巻き取られた紙幣は、収納時とは逆の順に紙幣搬送路5に送出される。
【0018】
入金庫6は、本実施例では、1ヶ実装しており、図5に示すように、金庫外の図示せぬ駆動源からギヤを介して駆動される回転するスタックローラ61と、スタックローラ61に対向するバックアップローラ62,63と、バックアップローラ63と同一軸上にあって弾性部材が放射状に配置したブラシローラ64、および、スタックガイド65によりスタック機構を構成している。矢印69の方向に搬送された紙幣は、スタックローラ61の回転により搬送され、ブラシローラ64の回転により、進入紙幣をスタックガイド65側に押し付けて進入するとともに、スタック済みの紙幣の下端をブラシローラ64が、スタックガイド65から遠ざける方向に押し込みながら、紙幣同士が干渉しないようにして、収納する。また、収納された紙幣は、底板68、押板66と、底板68より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト67と、スタックガイド65で囲まれた収納空間に収納されており、押板66と底面ベルト67は、一体となって、収納空間内を可動し、図示せぬ金庫外の駆動源により、収納紙幣の増加に伴い、進入紙幣と収納紙幣が干渉しないよう、収納紙幣をスタックガイド65から遠ざける方向に移動制御される。
【0019】
出金庫7は、本実施例では、2ヶ実装しており、図6に示すように、金庫外の図示せぬ駆動源からギヤを介して駆動される回転するフィードローラ71と、フィードローラ71に対向して回転するバックアップローラ72と、フィードローラ71に対向して繰り出し方向には回転しないゲートローラ73、および、分離ガイド75により分離機構を構成している。出金用の紙幣は、底板78、押板76と、底板78より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト77と、分離ガイド75で囲まれた収納空間に、係員により整列してセットされ、最前面の紙幣は、押板ばね70によりフィードローラ71に押し付けられている。押板76と底面ベルト77は、一体となって、収納空間内を可動し、押板ばね70により、収納紙幣の減少に伴い、繰り出し紙幣がフィードローラ71に所定の押圧力がかかるように収納紙幣を移動させる。フィードローラ71に押し付けられた紙幣は、回転するフィードローラ71で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ73で2枚送りを防止しながら矢印79の方向に一枚ずつ搬送される。
【0020】
リサイクル庫8は、本実施例では、1ケ実装しており、図7に構成を示す。リサイクル庫8は、前述の紙幣を連続して収納する入金庫6と紙幣を連続して分離繰り出す出金庫7の機能を併せ持って、収納と分離繰り出しのできる金庫であり、前述の出金庫7の分離機構と同一の形状のスタック・フィードローラ81と、回転するバックアップローラ82と、スタック方向に回転し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ83、ゲートローラ83と同一軸上にあって弾性部材が放射状に配置したブラシローラ84、および、分離時とスタック時で可動する分離・スタックガイド85によりスタック・分離機構を構成している。底板88、押板86と、底板88より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト87と、分離・スタックガイド85で囲まれた収納空間に、紙幣は収納される。
【0021】
分離動作時には、分離・スタックガイド85は、破線85aで示す位置に移動し、押板86と底面ベルト87は、一体となって、収納空間内を可動し、押板ばね80により、繰り出し紙幣がスタック・フィードローラ81に所定の押圧力がかかるように収納紙幣を移動させる。スタック・フィードローラ81に押し付けられた紙幣は、回転するスタック・フィードローラ81で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ83で2枚送りを防止しながら矢印89aの方向に一枚ずつ搬送される。スタック動作時には、分離・スタックガイド85は、実線85で示す位置に移動し、押板86と底面ベルト87は、一体となって、図示せぬ金庫外の駆動源により、収納空間内を可動し、収納紙幣の増加に伴い、矢印89の方向に搬送された進入紙幣と収納紙幣が干渉しないよう、収納紙幣を分離・スタックガイド85から遠ざける方向に移動制御される。
【0022】
リジェクト庫9は、入金庫6と同一の構成であり、本実施例では2ケ実装している。リジェクト庫9を2ケ実装することにより、片側のリジェクト庫が満杯等になり、リジェクト庫を抜き取っている状態になってももう一方のリジェクト庫があるため、運用を続けることが可能である。
【0023】
出金紙幣判別部10は、出金取引時、出金庫7およびリサイクル庫8から繰り出された紙幣の判別を行うが、本実施例では、後述のように、出金庫7、リサイクル庫8の紙幣は、金種毎に別れており、金種、真偽の判別は不要として、2枚重なりでないかのみを判定するため、前述の入金紙幣判別部3の2枚検知部31と同様の、1対のローラからなり、ローラ間を紙幣が搬送されたときのローラの変位を検出して、2枚重なりかどうか検出する。
【0024】
紙幣搬送路5は図3に示すように、入金紙幣判別部3、出金紙幣判別部10を通過して各ユニット近傍を環状に、一方向に搬送するメイン搬送路50と、メイン搬送路50の途中から分岐して、一時保管庫4、リサイクル庫8、出金庫7、入金庫6、リジェクト庫9、入出金口2との間で収納、あるいは繰り出すための、ユニット搬送路51〜59からなる。メイン搬送路50は、入出金口2から入金紙幣判別部3を通過して一時保管庫4の分岐点までの、図中に太点線で示す上流メイン搬送路50aと、一時保管庫4の分岐点から、出金紙幣判別部10を通過して入出金口2に戻る、図中に太実線で示す下流メイン搬送路50bに分割される。
【0025】
上流メイン搬送路50aと一時保管庫4のユニット搬送路51と入出金口2の分離部のユニット搬送路59は、図示せぬ第一の駆動モータを一方向に回転して駆動する。下流メイン搬送路50bと、リサイクル庫8、出金庫7、入金庫6、リジェクト庫9のユニット搬送路52〜57は、図示せぬ第二の駆動モータを一方向に回転して駆動する。
【0026】
上流メイン搬送路50a、下流メイン搬送路50bそれぞれにエンコーダA301,エンコーダC303が備え付けられており、紙幣の送り量を監視することが可能である。下流メイン搬送路50bの入口と出口にはそれぞれ、下流メイン搬送路入口センサ312と下流メイン搬送路出口センサ313が取り付けられている。ユニット搬送路58には、入出金口スタック入口センサ314が取り付けられている。また、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9には図示されないスタック入口センサがそれぞれ取り付けられている。入金取引時には通常第一の駆動モータのみ回転し一時保管庫4に一旦紙幣を収納するが、入金紙幣判別部3で判別できなかった紙幣や傾きや紙幣同士の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣は、一時保管庫4には取り込まず、第二の駆動モータを回転して下流メイン搬送路50bに搬送し、後続の紙幣が同様に入金リジェクトでなければ、第二の駆動モータを停止し入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に保留する。
【0027】
また、ユニット搬送路51〜57は図8に示すように共通の構成であり、2ケのプーリ506、507の間に図示せぬ搬送ベルトを懸架し実線矢印504、破線矢印504aの搬送路を形成し、メイン搬送路50からの分岐を切り替える収納ゲート501と、ユニットへの収納と繰り出しを切り替えるS・F切替ゲート502が、それぞれ図示せぬ電磁ソレノイドにより図の実線と破線(501と501a、502と502a)の位置に切替制御される。ユニットに収納時は、収納ゲート501、S・F切替ゲート502共実線の位置で、実線矢印505、504、503のように搬送される。ユニットからの繰り出し時は、収納ゲート501a、S・F切替ゲート502a共破線の位置で、破線矢印503a、504a、505aのように搬送される。
【0028】
制御部11は、図9に示すように装置の本体制御部106とバス106aを介して接続され、本体制御部106からの指令および紙幣取扱装置1の状態検出に応じて紙幣取扱装置1の制御を行い、また、紙幣取扱装置1の状態を必要に応じて、本体制御部106に送る。紙幣取扱装置1の中では、各ユニット(入出金口2、入金紙幣判別部3、一時保管庫4、紙幣搬送路5、入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9、出金紙幣判別部10)の駆動モータや電磁ソレノイドやセンサと接続され、取引に応じてセンサで状態を監視しながらアクチュエータを駆動制御する。
【0029】
次に、入金および出金時の紙幣取扱装置1の動作の制御を図10の入金取引のフローチャートおよび図1,3を用いて説明する。
入金取引時には、ガイダンス表示(ステップS1)により顧客操作部105に入金限度枚数等を表示する。本実施例の場合では、入出金口2の容量100枚に対し一時保管庫4の容量は250枚あるので、余裕をみて入金限度枚数を200枚として100枚ずつ2回に分けて取り込むことが可能である。そこで、例えば”1回の入金で200枚まで取引可能です。100枚ずつ2回に分けてセットして下さい。”等のガイダンスを出してもよい。次に、シャッタ開処理(ステップS2)によりシャッタ26を開け、ステップS3で入出金口2に入金紙幣がセットされるのを待つ。入出金口2に紙幣が投入されると、シャッタ閉処理(ステップS4)によりシャッタ26を閉じ、入金紙幣を計数する入金計数処理(ステップS5)を行う。
【0030】
ステップS5において、入出金口2に投入された紙幣は、一枚ずつに分離して、上流メイン搬送路50aを通り入金紙幣判別部3へ搬送され、紙幣の金種、真偽等の判別を行い、入金紙幣判別部3で入金可能な紙幣と判別された紙幣については一時保管庫4に一旦収納する。入金紙幣判別部3で判別できなかった紙幣や、傾きや紙幣同士の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣については一時保管庫4には取り込まず、第二の駆動モータを駆動して下流メイン搬送路50bに搬送し、後続の紙幣が同様に入金リジェクトでなければ、第二の駆動モータを停止し入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に保留する。入金リジェクトの発生毎に下流メイン搬送路50bの駆動、停止を繰り返し、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に間隔をあけて並べて保留する。
【0031】
入金計数処理中に、下流メイン搬送路50b上に入金リジェクトが満杯になった場合や入金限度枚数オーバー等が発生した場合には入金計数処理は中断される。ステップS6で入金計数処理の中断が有りの場合には、ステップS17で入金リジェクトの発生が有りならば、入出金口2の押板23を移動して入出金口2のスタック準備後下流メイン搬送路50bを駆動し、搬送路上に保留した紙幣を入出金口2に収納する入金リジェクト返却処理(ステップS18)を行う。
その後、ステップS19で入金計数処理を中断したことを利用者に知らせるガイダンスを顧客操作部105に表示し、シャッタ開処理(ステップS20)を行い、ステップS21で紙幣が抜き取られることを確認しシャッタ閉処理(ステップS22)を行い利用者に入金リジェクト紙幣を返却する。
【0032】
入金リジェクト返却処理(ステップS18)後のガイダンスとしては、入出金口2に返却されたどの紙幣が取り込めなかったのかが利用者に分かるように、例えば”手前o枚、後ろXX枚が異常の紙幣です。”等のガイダンスを表示してもよい。また、紙幣を入出金口2にセットするときの状態が悪くて搬送状態が悪くなりリジェクトされた紙幣の場合は”セットし直して下さい。”とガイダンス表示を出したり、金種の取り扱えない紙幣等であった場合は”お取り扱いできない紙幣です。”等のガイダンス表示を出すことも可能である。入金リジェクト紙幣を返却した後は、ステップS23により再度入金計数処理を受け付ける場合はステップS1のガイダンス処理へ戻り、入金計数処理を受け付けない場合はステップS7のガイダンス処理へ進む。
【0033】
次に、ステップS6で入金計数処理が正常に終了した場合には、ステップS7で入金計数処理(ステップS5)で計数した紙幣の枚数等のガイダンスを顧客操作部105に表示する。この時、ガイダンスとして計数した紙幣枚数を表示すると共に、入金限度枚数まで入金されていない場合は、”あとXXX枚まで入金可能です。”等の残りの取引可能枚数を表示しても良い。ステップS8で利用者の確認があるとセンタ交信(ステップS9)を行い、入金取引が成立し入金収納処理(ステップS10)を行い入金取引を終了する。
【0034】
入金収納処理(ステップS10)では、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動し、一時保管庫4の回転ドラム41を入金計数時とは逆に回転すると、回転ドラム41に巻き取られた紙幣は一時保管庫に収納した時とは逆の順に下流メイン搬送路50bに送出され、一時保管庫4に収納時記憶した金種情報に従い、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9のいずれかに収納する処理を行う。ステップS8で利用者が確認を選択せず、ステップS11で入金の取消を選択した場合は、入出金口2の押板23を移動し一時保管庫4の回転ドラム41を逆に回転し、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動して回転ドラム41に巻き取られた紙幣を入出金口2に搬送する取消返却処理(ステップS12)を行う。
【0035】
その後、シャッタ開処理(ステップS13)を行い、ステップS14で紙幣が抜き取られることを確認しシャッタ閉処理(ステップS15)を行い利用者に入金紙幣を返却する。ステップS16で再投入を許可する場合はステップS1のガイダンス表示に戻り、再投入を許可しない場合は入金取引を終了する。また、フローチャートには記載していないが、本実施例では一時保管庫4の限度枚数が入出金口2の2倍の容量にしてあるので、入出金口2の限度枚数以上の紙幣を入金する場合は入金計数処理終了後再度入金計数処理を行うことにより、入金限度枚数を増やすことも可能である。
【0036】
出金時には、出金庫7、リサイクル庫8の各金種毎の金庫から所定の枚数づつ紙幣を繰り出し出金紙幣判別部10で紙幣の重送のみチェックし、出金可能と判別された紙幣は入出金口2に収納し利用者に支払われる。出金紙幣判別部10で出金不可と判別されたリジェクト紙幣はリジェクト庫9に収納され、出金枚数不足分の紙幣は追加して出金庫7、リサイクル庫8から繰り出される。
さらに、利用者が入出金口2の紙幣を取り忘れた場合には、そのまま入出金口2に残して装置異常として取引を中止することもできるが、後続の取引を続行するため、取り忘れ紙幣を入出金口2から分離して、入金紙幣判別部3で判別してリジェクト庫9に収納してもよい。
【0037】
次に、上記入金計数処理についてさらに詳細に説明する。
図11は入金計数処理(図10のステップS5)の詳細なフローチャートである。
まず、入金紙幣が一時保管庫4にあるかどうかを判断し、もし入金紙幣がなければ(ステップS31:N)、1回目の入金計数時とみなし誘導テープを初期位置まで巻き取り(ステップS32)、エンコーダB302のカウンタ値をリセットした後(ステップS33)、上流メイン搬送路50aを駆動する(ステップS34)。入金紙幣があれば(ステップS31:Y)、2回目の入金計数であるから直ちに上流メイン搬送路50aを駆動する(ステップS34)。
【0038】
上流メイン搬送路50aを駆動した場合、装置の各部位で、搬送されてくる紙幣に対して処理を行うために、入出金口分離処理(イ)(ステップS35),紙幣判別処理(ロ)(ステップS36),回転ドラム起動/停止処理(ハ)(ステップS37),一時保管庫登録処理(ニ)(ステップS38),下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)(ステップS39),ゲート制御(ヘ)(ステップS40)の各処理が並行して起動される。これらの各処理(イ)〜(ヘ)の詳細については後述する。
入出金口の全ての紙幣に対して入出金口分離処理が終了し(ステップS41:Y)、全ての紙幣が入金紙幣判別部3を通過したら(ステップS44)、上記各処理(ロ)〜(ヘ)に停止指令を出す。
【0039】
また、入出金口の全ての紙幣に対して入出金口分離処理が終了する前に(ステップS41:N)、紙幣判別処理や下流メイン搬送路起動/停止処理からリジェクト満杯の報告があった場合は(ステップS42:Y)、入出金口分離処理に停止指示を出して入出金口2の分離を停止し(ステップS43)、搬送路に残っている全ての紙幣が入金紙幣判別部3を通過したら(ステップS44:Y)、上記各処理(ロ)〜(ヘ)停止指示を出す。
各処理(ロ)〜(ヘ)では、該停止指示を受け付け、かつ搬送路に残っている全ての紙幣の処理が終了したら該各処理を終了し(ステップS45〜49)、その後上流メイン搬送路50aの駆動を停止する(ステップS50)。
【0040】
次に、入出金口分離処理(イ)(ステップS35)について詳細に説明する。
図12は、入出金口分離処理(イ)のフローチャートである。
フィードローラ21を駆動し(ステップS51)、入出金口2が空になったら(ステップS52:Y)フィードローラ21の駆動を停止する(ステップS53)。なお、入出金口2が空にならなくても図11のステップS43からの入出金口分離処理停止指示があったら(ステップS54:Y)、フィードローラ21の駆動を停止する(ステップS53)。
【0041】
次に、紙幣判別処理(ロ)(ステップS36)について詳細に説明する。
図13は、紙幣判別処理(ロ)のフローチャートである。
制御部11のメモリ内に、入金紙幣情報テーブル400、ゲート制御用テーブル(入金計数)600、ゲート制御用テーブル(入金収納)700、回転ドラム制御用テーブル800、下流メイン搬送路制御用テーブル900を用意しておく。
入金紙幣情報テーブル400は、図25に一例を示すように、入金紙幣番号(NO=TA)401,入金計数時に記憶する金種情報402(紙幣の種別),還流情報403(還流の可/不可),エンコーダBの値404(カウント値),紙幣の長さ(単位mm)405と,入金収納時に記憶するエンコーダBの値406(カウント値),紙幣の長さ(単位mm)407,補正NO408,行先情報409(行先収納庫など)からなる。
【0042】
ゲート制御用テーブル(入金計数)600は、一時保管庫4の入口のゲートのONまたはOFFを制御するためのテーブルで、図26に一例を示すように、テーブルアドレスTG601,ゲートONタイミング602,ゲートOFFタイミング603からなる。ゲート制御用テーブル(入金収納)700は、入金収納時、入金庫6の入口ゲート、リサイクル庫8の入口ゲートのON,OFFを制御するためのテーブルで、図27に一例を示すように、テーブルアドレスTA'701,入金庫用のゲートONタイミング702,ゲートOFFタイミング703、リサイクル庫用のゲートONタイミング704,ゲートOFFタイミング705からなる。回転ドラム制御用テーブル800は、図28に一例を示すように、紙幣番号(NO=TB)801,起動タイミング802からなる。下流メイン搬送路制御用テーブル900は、図29に一例を示すように、リジェクト紙幣番号(NO=NRJ)901,起動タイミング902からなる。
【0043】
図13を参照するに、まず、各テーブルのアドレスを指す初期値を設定する(ステップS55)。このステップでは、入金紙幣情報テーブルおよび回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO.TA=1,TB=1、ゲート制御用テーブルのテーブルアドレス、TG=1、下流メイン搬送路制御テーブルのリジェクト紙幣NO.NRJ=1に設定する。
紙幣判別停止指示(図11のステップS45からの)があるまで以下の処理を続ける(ステップS56)。
入金紙幣判別部3に紙幣が来るのをチェックし(ステップS57)、紙幣が来たら紙幣の判別を行う(ステップS58)。
【0044】
紙幣判別の結果、正券すなわち入金可能な紙幣と判別された場合は(ステップS59:Y)、それぞれのテーブルの紙幣の行(アドレス)に、これらの判別した情報をセットする。すなわち、ゲート制御用テーブル(入金計数用)600のテーブルアドレスTGが示すアドレスへTG601とゲートONタイミング602を登録し(ステップS60)、入金紙幣情報テーブル400の紙幣NO.TAが示すアドレスへTA401と入金紙幣判別部3で判別した金種情報402,還流情報403を登録し(ステップS61)、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO.TBが示すアドレスへTB801と起動タイミング802を登録する(ステップS62)。入金紙幣情報テーブル400の紙幣NO.TAと回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO.TBを各々+1して更新し(ステップS63)、ゲート制御用テーブルのテーブルアドレスTGを+1して更新して(ステップS64)、ステップS56に戻る。
【0045】
紙幣判別の結果正券でないすなわち入金リジェクト紙幣と判別された場合は(ステップS59:N)、それぞれのテーブルのその紙幣の行(アドレス)に、判別された情報をセットする。すなわち、ゲート制御用テーブル(入金計数)のテーブルアドレスTGが示すアドレスへTG601とゲートOFFタイミング603を登録し(ステップS65)、下流メイン搬送路制御用テーブル900のリジェクト紙幣NO=NRJが示すアドレスへNRJ901と起動タイミング902を登録する(ステップS66)。
リジェクト紙幣NO=NRJが予め設定されている入金リジェクト満杯枚数に達した場合は入金計数処理にリジェクト満杯報告を行った後(ステップS67〜68:図11のステップS42参照)、また、満杯でなければそのままNRJを+1して更新し(ステップS69)、ゲート制御用テーブル(入金計数)のテーブルアドレスTGを+1して更新して(ステップS64)、ステップS56に戻る。
こうして、各テーブルのテーブルアドレスを更新しながら、次々と各紙幣の搬送および収納するための制御情報を各テーブルに登録する。
また、ゲート制御用テーブル(入金収納)600のゲートON/OFFタイミングおよび回転ドラム制御用テーブル800に設定する起動タイミングについては、図23を参照して後述する。さらに、下流メイン搬送路制御用テーブル900に設定する起動タイミングについては、図24を参照して後述する。
【0046】
次に、回転ドラム起動/停止処理(ハ)(ステップS37)について詳細に説明する。
図14は、回転ドラム起動/停止処理(ハ)のフローチャートである。
まず、TCを1に初期設定する(ステップS71)。TCは、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO.TBと同じく、回転ドラム制御用テーブル800のアドレスを指示するテーブルアドレスである。
回転ドラム停止指示があり(図11のステップS46参照)、かつ回転ドラム制御用テーブル800に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS72:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS73以降の処理を続ける。
回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO=TCが指すアドレスに登録されている回転ドラム起動タイミング802に到達した時点から回転ドラム41の起動を開始し(ステップS73,S74)、誘導テープ43の走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取っていく。例えば、TC=1の場合、登録されている起動タイミングEN1+zになると、回転ドラム41の起動を開始する。
【0047】
紙幣NO=TCの紙幣の後端を一時保管庫通過センサ311で検出した後所定の時間が経ったら回転ドラムを停止し(ステップS75,S76)、紙幣NO=TCを更新した後(ステップS77)、ステップS72に戻る。紙幣NO=TCの紙幣の後端を一時保管庫通過センサ311で検出した後所定の時間が経つまでに(ステップS75:N)、回転ドラム制御用テーブル800に登録されている全ての紙幣の処理が終了かつ停止指示があったら(ステップS78:Y)、回転ドラム41の回転を停止する(ステップS81)。回転ドラム制御用テーブル800の全てが終了かつ停止指示でない場合は(ステップS78:N)、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO=TC+1の回転ドラム起動タイミングでなければ直ちに、また回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO=TC+1の回転ドラム起動タイミングであれば紙幣NO=TCを更新した後(ステップS80)、ステップS75に戻る。すわなち、紙幣NO=TCの紙幣の回転ドラム停止タイミングより先に紙幣NO=TC+1(次の紙幣)が回転ドラム起動タイミングに到達した場合は、そのまま回転ドラムを回転させたままとする。
【0048】
次に、一時保管庫登録処理(ニ)(ステップS38)について詳細に説明する。
図15は、一時保管庫登録処理(ニ)のフローチャートである。
TDを1に初期設定する(ステップS91)。TDはTAと同様、入金紙幣情報テーブル400のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
一時保管庫登録処理停止指示があり(図11のステップS47参照)、かつ入金紙幣情報テーブル400に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS92:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS93以降の処理を続ける。
一時保管庫通過センサ311に紙幣が到達したら(ステップS93)、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO401=TDの行にエンコーダB302のカウント値404、エンコーダB302で検出した紙幣の長さ405を登録し(ステップS94)、紙幣NO=TDを更新した後(ステップS95)、ステップS92に戻る。紙幣の長さは、センサ311を紙幣の先端と後端を通過した時のエンコーダB302の値の差から長さ(mm)を算出する。カウンタ値で代用してもよい。
【0049】
次に、下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)(ステップS39)について詳細に説明する。
図16は、下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)のフローチャートである。
NRJ'を1に初期設定する(ステップS101)。NRJ'はNRJと同様、下流メイン搬送路制御用テーブル900のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
下流メイン搬送路起動/停止処理の停止指示があり(図11のステップS48参照)、かつ下流メイン搬送路制御用テーブル900に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS102:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS103以降の処理を続ける。
NRJ'が指す下流メイン搬送路制御用テーブル900のアドレスの紙幣NOに登録された下流メイン搬送路起動タイミングに到達した時点から下流メイン搬送路50bの起動を開始し(ステップS103,S104)、下流メイン搬送路50bの走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金リジェクト紙幣を順次下流メイン搬送路50bに貯留していく。そして、この入金リジェクト紙幣の貯留により、下流メイン搬送路50bが貯留することができる入金リジェクト紙幣で満杯近くになると、一番先の入金リジェクト紙幣が入金リジェクト満杯センサ313'の位置に達する。そこで、入金リジェクトニア満杯センサ313'で紙幣を検出した場合はリジェクト満杯を報告する(ステップS105,S106;図11のステップS42参照)。
【0050】
入金リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の後端を下流メイン搬送路入口センサ312で検出した後所定の時間が経つと、そのリジェクト紙幣が一定量進んだことになるので、そのとき下流メイン搬送路50bを停止し(ステップS107,S108)、リジェクト紙幣NO=NRJ'を更新した後(ステップS109)、ステップS102に戻る。リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の後端を下流メイン搬送路入口センサで検出した後所定の時間が経つまでに(ステップS107:N)、下流メイン搬送路制御用テーブルの全てが終了かつ停止指示があったら(ステップS110:Y)、下流メイン搬送路を停止する(ステップS113)。下流メイン搬送路制御用テーブルの全てが終了かつ停止指示でない場合は(ステップS110:N)、下流メイン搬送路制御用テーブル900のリジェクト紙幣NO=NRJ'+1の下流メイン搬送路起動タイミングでなければ直ちに、また下流メイン搬送路制御用テーブルのリジェクト紙幣NO=NRJ'+1の下流メイン搬送路起動タイミングであればリジェクト紙幣NO=NRJ'を更新した後(ステップS112)、ステップS105に戻る。すわなち、リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の下流メイン搬送路停止タイミングより先にリジェクト紙幣NO=NRJ'+1(次のリジェクト紙幣)が下流メイン搬送路起動タイミングに到達した場合は、そのまま下流メイン搬送路を駆動させたままとする。このように、入金リジェクト紙幣が生じるごとに下流メイン搬送路50bの起動,停止を繰り返し、下流メイン搬送路50bに入金リジェクト紙幣を貯留する。
【0051】
次に、ゲート制御処理(ヘ)(ステップS40)について詳細に説明する。
図17は、ゲート制御処理(ヘ)のフローチャートである。
このゲート制御処理は、一時保管庫4の入口のゲート(図8のゲート501に相当)のON/OFFを制御する。ゲートをONすることにより、上流メイン搬送路50aを搬送されてくる紙幣を、一時保管庫4へ導く。すなわち、紙幣判別で正券(入金紙幣)のとき、ゲートをONする。ゲートをOFFすることにより、上流メイン搬送路50aを搬送されてくる紙幣を一時保管庫4へ導くことなく、そのまま下流メイン搬送路50bへ導く。すなわち、入金リジェクト紙幣と判別されたとき、ゲートをOFFする。
まず、TG'=1に初期設定する(ステップS121)。TG'はTGと同様、ゲート制御用テーブル(入金計数)600のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
ゲート制御停止指示があり(図11のステップS49参照)、かつゲート制御用テーブル(入金計数)600に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS122:Y)、ゲートをOFFして(ステップS123)この処理を終了し、それ以外の場合はステップS124以降の処理を続ける。
TG'が指すゲート制御用テーブル(入金計数)600のアドレスの紙幣に対するエリア602に登録されているゲートONタイミングに到達したら(ステップS124)、ゲートをONして一時保管庫4へ導き(ステップS125)、紙幣NO=TG'を更新した後(ステップS126)、ステップS122に戻る。
【0052】
TG'が指すアドレスの紙幣がリジェクト紙幣の場合は、エリア602にONタイミングは登録されていないので、ステップS124からステップS127へ進み、エリア603に登録されているゲートOFFタイミングに到達するのを待ち、到達したら(ステップS127:Y)、ゲートをOFFして下流メイン搬送路に保留される入金リジェクト紙幣を通過させ(ステップS128)、ステップS126に進む。ゲートOFFタイミングでない場合(ステップS127:N)、ステップS122に戻る。
【0053】
次に、入金リジェクト返却処理について説明する。
図18は、入金計数処理のなかで、入金リジェクト紙幣が発生した場合に行われる入金リジェクト返却処理(図10のステップS18)のフローチャートである。
まず、下流メイン搬送路50bを起動し(ステップS131)、下流メイン搬送路50b上の紙幣を全て入出金口2に移動したことを確認したら(ステップS132:Y)、下流メイン搬送路50bを停止する(ステップS133)。全てを入出金口に移動したかどうかの確認は、いくつかの実現方法があるが、例えば、発生した入金リジェクト紙幣枚数はわかっているので、センサ313あるいは314を通過する枚数で確認できる。あるいは、一定時間下流メイン搬送路50bを駆動することでもよい。
【0054】
次に、入金収納処理について説明する。
図19は、入金計数処理を行い、受付可能な紙幣を収納する入金収納処理(図10のステップS10)のフローチャートである。
まず、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動する(ステップS141)。
装置の各部位で、搬送されてくる紙幣に対して処理を行うため、一時保管庫処理(ト)(ステップS142),入金庫ゲート制御(チ)(ステップS143),リサイクル庫ゲート制御(リ)(ステップS144)を並行に動作させる。これらの各処理(ト)(チ)(リ)の詳細については後述する。
【0055】
一時保管庫4に巻き取られている紙幣を全て放出し、一時保管庫処理(ト)を終了したら(ステップS145)、入金庫ゲート制御(チ)とリサイクル庫ゲート制御(リ)に停止指示を出す。この停止指示を受けた入金庫ゲート制御■とリサイクル庫ゲート制御(リ)では制御を停止する(ステップS146、S147)。その後、上流メイン搬送路50aおよび下流メイン搬送路50bの駆動を停止する(ステップS148)。
【0056】
次に、一時保管庫処理(ト)(ステップS142)について詳細に説明する。
図20は、一時保管庫処理(ト)のフローチャートである。
まず、補正NO.TA'=1,TA=nに初期設定する(ステップS151)。すなわち、入金収納時は、入金紙幣情報テーブル400の最後のデータから順に紙幣が放出されるので、TAの初期値としてテーブルの紙幣NOの最後の番号をセットする。
回転ドラム41を逆転駆動し、回転ドラム41に巻き付けられた紙幣を放出する(ステップS152)。
入金紙幣情報テーブルの最後になるまですなわち該テーブルの1枚目の紙幣終了になるまでステップS155以降の処理を繰り返し、最後になったら(ステップS153:Y)、回転ドラム41を停止し(ステップS154)、この処理を終了する。
入金紙幣情報テーブルの最後でない場合は(ステップ153:N)、一時保管庫通過センサ311に紙幣が来たら(ステップS155:Y)、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TA(最初の1枚目はn)のテーブルに入金収納のエンコーダBの一時保管庫通過センサ311到着時のカウント値406,紙幣の長さ407,補正NO=TA'(最初の1枚目は1)408を登録する(ステップS156)。
【0057】
次に、以下の(a)(b)(c)のいずれかの処理を行う(ステップS157)。
(a)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しく(404=406)かつ一時保管庫通過センサ311での紙幣の長さも等しい(405=407)場合> これは紙幣が入金計数時に巻き付けられた時と同じ状態,位置で巻戻されたことを示す。
・入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TAの還流情報403とエンコーダの値404の情報から行先情報409を登録する。
・入金紙幣情報テーブルの行先情報409によりTA'と入金庫6とリサイクル庫8のゲートのON/OFFのタイミングをゲート制御用テーブル(入金収納)700のエリア701〜705に登録する。
・次に、TA=TA−1,TA'=TA'+1に更新する。
【0058】
(b)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しくなく(404≠406)、TA+1とTAの紙幣の長さが等しい(405=407)場合> これは1枚の紙幣が、入金計数時に巻き付けられた位置からずれて巻戻されたことを示し、前または後の紙幣と全く重なっている場合、1枚湧きだした場合、1枚消失した場合などがあり、入金計数時に判別した順序、枚数が保証されない状態が生じている可能性がある。
・よって、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TA+1〜1までの全ての行先情報409にリジェクト庫と登録する。
・この紙幣はリジェクト庫9へ収納されるので、入金庫とリサイクル庫のゲートOFFのタイミングとTA'をゲート制御用テーブル(入金収納)700のエリア701〜705に登録する。
・次に、TA=TA−1,TA'=TA'+1に更新する。
・以降の紙幣の行先情報409を全てリジェクト庫に指定する。
【0059】
(c)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しくなく(404≠406)、TA+1とTAの紙幣の長さが等しくない(405≠407)場合> これは、入金計数時に巻き付けられた位置からずれて巻戻され、後の紙幣と一部が重なったことを示す。
・長く検出された紙幣側にずれた紙幣がくっついたものとして、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO.TAとTA+1とで長く検出された紙幣がある方の行先情報をリジェクト庫に指定する。
・この紙幣はリジェクト庫9へ収納されるので、入金庫,リサイクル庫のゲートOFFタイミングとテーブルアドレスTA'を登録する。
・TA=TA−2,TA'=TA'+1に更新する。
こうして、一時保管庫4に保留された全ての紙幣が入金収納のために一時保管庫4から送り出され、行先情報で指定された入金庫、リサイクル庫、あるいはリジェクト庫へ次に述べる処理で収納される。
【0060】
次に、入金庫ゲート制御(チ)(ステップS143)について詳細に説明する。
図21は、入金庫制御(チ)のフローチャートである。
入金庫ゲートは、ゲートをONすると、紙幣の行先を入金庫に収納する方向に切り替え、ゲートをOFFすると、紙幣の行先を入金庫に収納しない方向に切り替えるものである。
【0061】
まず、TA''=1に初期設定する(ステップS161)。
ゲート制御用テーブル(入金収納)700に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了しかつ当該制御の停止指示がある場合にのみ(ステップS162:Y)、入金庫ゲートをOFFにして(ステップS163)、処理を終了する。それ以外の場合は(ステップ162:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''の入金庫ゲートがONのタイミングの場合(ステップS164:Y)、入金庫ゲートをONにし(ステップS165)、T''を更新した後(ステップS166)、ステップS162に戻る。
【0062】
ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''が指す紙幣が入金庫7へ収納するものでない時は、入金庫ゲートがONのタイミングは設定されていないので(ステップS164:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''の入金庫ゲートを703のOFFのタイミングでOFFにし(ステップS168)、上記ステップ166に進む。ステップ167で入金庫ゲートOFFのタイミングでなければ、ステップS162に戻る。
図27では入金庫が1つの場合を示しているが、複数設けられている場合、それぞれの入金庫を区別してそれぞれのON/OFFタイミングを登録するよう構成する。
【0063】
次に、リサイクル庫ゲート制御(リ)(ステップS144)について詳細に説明する。
図22は、リサイクル庫制御(リ)のフローチャートである。
リサイクル庫ゲートは、ゲートをONすると、紙幣の行先をリサイクル庫に収納する方向に切り替え、ゲートをOFFすると、紙幣の行先をリサイクル庫に収納しない方向に切り替えるものである。
【0064】
まず、TA'''=1に初期設定する(ステップS171)。
ゲート制御用テーブル(入金収納)700に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了しかつ当該制御の停止指示がある場合にのみ(ステップS172:Y)、リサイクル庫ゲートをOFFにして(ステップS173)、処理を終了する。それ以外の場合は(ステップ172:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''の入金庫ゲートがONのタイミングの場合(ステップS174:Y)、リサイクル庫ゲートをONにし(ステップS175)、T'''を+1して更新した後(ステップS176)、ステップS172に戻る。
【0065】
ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''が指す紙幣がリサイクル庫8へ収納するものでない時は、リサイクル庫ゲートがONのタイミングは設定されておらず(ステップS174:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''の705のOFFのタイミングでリサイクル庫ゲートをOFFにしリサイクル庫8に収納されないように通過させ(ステップS178)、上記ステップS176に進む。ステップS177でリサイクル庫ゲートOFFのタイミングでなければ、ステップS172に戻る。
【0066】
次に、本実施例の特徴をなす紙幣取扱装置1の入金取引時の制御について詳細に説明する。
最初に、入金処理時の一時保管庫4の制御について説明する。
一時保管庫4は回転ドラム41に誘導テープ43で紙幣を巻き付けて収納する機構なので、誘導テープ43の長さを入金取引枚数と入金計数時に入出金口2で発生する紙幣のノンピックの時間を考慮して十分長くしておけば、入金計数中回転ドラム41を回転し続ければよいが、そのような設計では一時保管庫4が通常必要な容量よりもずいぶん大きなものになってしまう。そこで、一時保管庫4へ効率よく紙幣を収納するために、前述の図14の制御で説明した如く、一時保管庫4に収納する紙幣が搬送されてきたときだけ回転ドラム41を回転し、一時保管庫4に収納する紙幣がない場合は回転ドラム41を停止する制御を行う。
【0067】
図23は、回転ドラム41の具体的な起動・停止制御を説明するための図である。
入金計数時のメイン搬送路の搬送速度をvmm/ms、回転ドラム41が上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる時間をt1ms、エンコーダA301の1カウント当たりの搬送路の移動量eamm/カウント、入金紙幣判別部3から一時保管庫4の誘導テープ43の入口までの搬送路長をL1mmとする。回転ドラム41が上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる間に一時保管庫4に収納する紙幣が移動する距離は(v×t1)mmであるので、誘導テープ43の入口からマージンとしてaを加えた(v×t1+α)mm分手前に一時保管庫4に収納する紙幣が到達したら回転ドラム41を起動するようにすれば、紙幣が誘導テープ43に到達したときには回転ドラム41は上流メイン搬送路50aと同じ速度に到達している。
【0068】
この位置を回転ドラム起動タイミング351と設定する。この回転ドラム起動タイミングが図28の回転ドラム制御用テーブル800に起動タイミング802として登録される。入金紙幣判別部3から回転ドラム起動タイミング351までの距離は(L1−(v×t1+α))mmである。よって、一時保管庫4に搬送される紙幣の先端が入金紙幣判別部3を通過した時点からエンコーダA301のカウントを開始し、エンコーダA301のカウント値が((L1−(v×t1+α))/ea)カウントになり紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達した時点から回転ドラム41の起動を開始し(図23(a))、誘導テープ43の走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取っていく。その後、一時保管庫4に収納される紙幣の後端が一時保管庫通過センサ311を通過したら回転ドラム41を停止する(図23(b))。
【0069】
また、回転ドラム41の停止途中に一時保管庫4に収納する次の後続の紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達した場合は、回転ドラム41の停止をやめ、すぐに回転ドラム41を起動して誘導テープ43の速度を上流メイン搬送路50aと同じ程度まで上げる(図23(c))。
以上のように、紙幣を一時保管庫4に収納する場合のみ回転ドラム41を起動し、一時保管庫4に収納する紙幣が一定期間ない場合は回転ドラム41を停止するように回転ドラム41を制御することにより、一時保管庫4の誘導テープ43の長さを必要かつ最小限に設計することが可能であり、一時保管庫4の収納容量を必要かつ最小限の実装空間で実施し、装置の小型化を図ることが可能である。
【0070】
次に、一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理について詳細に説明する。
本発明の紙幣取扱装置1は、入金収納時紙幣判別部を通さず直接入金庫6やリサイクル庫8に収納する構成になっているので、入金計数時に図25に示す一時保管庫4の紙幣の収納順序と紙幣の情報を制御部11のメモリに記憶し、入金収納時にはメモリに記憶した情報に従って入金庫6やリサイクル庫8に紙幣を振り分けて収納する制御を行う。
【0071】
まず、前述の図11で説明した如く、一時保管庫4の誘導テープ43は入金計数前に初期位置まで巻き取り軸42に巻き取っておき、誘導テープ43の初期位置でエンコーダB302の値をリセットする。入金計数が始まると、入金計数紙幣が入金紙幣判別部3に搬送され、紙幣の金種、真偽等が判別される。ここで正常と判定された紙幣は、紙幣の通過順序を表す紙幣NO.401と、金種情報402と、還流可能な紙幣か区別するための還流情報403が図25に一例を示す入金紙幣情報テーブルに登録され、さらに、ゲート制御用テーブル(入金計数)600および回転ドラム制御用テーブル800にも前述の各種タイミングが登録され、一時保管庫4に搬送される。
【0072】
一時保管庫4に搬送される正券(入金紙幣)と判定された紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達したら回転ドラム41のモータを駆動する。回転ドラム41が回転し始めたらエンコーダB302のカウントを開始する。入金紙幣判別部3で一時保管庫4に搬送されるように判定された紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過すると、一時保管庫通過センサ311を通過した時刻のエンコーダB302のカウント値404と、一時保管庫通過センサ311で検出した紙幣長さ405を図25の入金紙幣情報テーブル400に登録する。
【0073】
以上のように入金計数時に記憶した図25の入金紙幣情報に従って入金収納を行う。入金収納時は入金計数時に一時保管庫4に収納した順序とは逆に最後に収納した紙幣から搬送路5に送出される。上流メイン搬送路50a、下流メイン搬送路50bが立ち上がった後、一時保管庫4の回転ドラム41と巻き取り軸42を入金計数時とは逆向きに回転する。回転ドラム41が回転を始めるとエンコーダB302のカウント値は入金計数時とは逆に減算していく。回転ドラム41に巻き付けられた紙幣は誘導テープ43が巻き取り軸42に巻き取られていくのに従って一時保管庫通過センサ311を通過し搬送路5へ送出される。
【0074】
この時、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過した時点のエンコーダB302のカウント値406と紙幣の長さ407を図25に記憶しておく。一時保管庫通過センサ311に紙幣が到達する時のエンコーダB302のカウント値406は入金計数時に記憶したエンコーダB302のカウント値404と一致しているので、エンコーダB302のカウント値404、406をチェックしながら、入金計数時に記憶した紙幣の順序401と逆の順に、記憶した図25の金種情報402、還流情報403とゲート制御用テーブル(入金収納)700のタイミングに従って紙幣を入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9に紙幣を振り分け、入金収納処理を行う。
【0075】
なお、紙幣取扱装置1の構成を入金庫のみで、さらに金種を区別することなく1つの入金庫に全ての入金紙幣を収納する構成にすることも可能であり、この場合は上記で述べたような入金紙幣の順序管理をする必要は無く、入金収納時は入金庫のゲートを入金庫側に固定して全て入金庫へ収納するように制御すればよい。
【0076】
次に、入金収納時の一時保管庫通過センサ311での紙幣状態検知について説明する。
まず、一時保管庫通過センサ311で一時保管庫4から送出される紙幣の傾きをチェックして、リサイクル庫8へスタックするとリサイクル庫8でのスタックの状態が悪くなり、還流できなくなる可能性のある紙幣はリジェクト庫9へ収納し、ほとんど傾いていない紙幣のみリサイクル庫8や入金庫6へスタックするようにする。紙幣の傾きは、一時保管庫通過センサ311を誘導テープ43の両側に取り付けられた2つのセンサ(311a,b)で構成し、この2つのセンサにより一時保管庫4から送出される紙幣を監視し、いずれか一方のセンサがダークとなり紙幣を検出した時点からエンコーダB302のカウントを開始し、もう一方のセンサがダークになった時点でカウントをやめる。このカウント値数が所定の値を越えている場合には傾きが大きすぎるとチェックできる。また、前述の図20の制御で説明した如く、入金収納時の一時保管庫通過センサ311で紙幣の長さ407とエンコーダB302のカウント値406をチェックし、入金計数時に記憶した一時保管庫通過センサ311での紙幣の長さ405とエンコーダB302のカウント値404から以下のような紙幣の位置ずれのチェックを行う。
【0077】
入金計数時に記憶したエンコーダB302のカウント値404と入金収納時のエンコーダB302のカウント値406を比較してカウント値がずれている場合は、カウント値がずれた紙幣とその紙幣の前後にある紙幣の長さ405、407をチェックして、入金収納時の紙幣の長さ407が入金計数時記憶した紙幣の長さ405と同じならば、位置のずれた紙幣は前後の紙幣に完全に重なってしまったのか無くなってしまったのか分からないので異常とし、入金収納動作を中止し、紙幣の順序管理も正常に行うことができないのでカウント値のずれた紙幣の前の紙幣以降の紙幣を全てリジェクト庫9へ収納する(上述した図20のステップS157の(b)参照)。前後の紙幣が入金計数時記憶した長さよりも長く検出した場合は、長く検出した紙幣側にずれた紙幣がくっついたものとして長く検出した紙幣をリジェクトし、以降の紙幣の順序記憶を1枚補正する(上述した図20のステップS157の(c)参照)。
【0078】
また、入金収納時紙幣がずれた後は、リジェクトや異常とせずに入出金口2に一時保管庫4の紙幣を一旦収納し、再度入出金口2から分離して入金紙幣判別部3で判定して入金庫6またはリサイクル庫8にスタックすることも可能である。
【0079】
次に、入金計数時と入金収納時の一時保管庫4の紙幣の異常検知方法について説明する。
まず、入金計数時の入金紙幣判別部3から一時保管庫4までの紙幣滞留チェックについて説明する。入金計数時、紙幣が入金紙幣判別部3と一時保管庫通過センサ311を通過した時のエンコーダA301のカウント値を監視する。入金紙幣判別部3と一時保管庫通過センサ311までの距離から入金紙幣判別部3を通過した紙幣が一時保管庫通過センサ311に到達するときのエンコーダA301の値は推定できるので、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過する時のエンコーダA301のカウント値が推定したカウント値とほぼ同じカウント値の場合は正常とし、推定したカウント値になっても紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過しない場合は入金紙幣判別部3以降の位置で紙幣が滞留しているものとし、直ちに上流メイン搬送路50aを停止し、入金計数処理を中断する。
【0080】
次に、入金収納時の一時保管庫4から入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9までの紙幣滞留チェックについて説明する。
まず、回転ドラム41から一時保管庫通過センサ311までについては、入金収納時紙幣が一時保管庫通過センサ311に到達するときのエンコーダB302のカウント値が、入金計数時一時保管庫4に搬送したときに記憶したエンコーダB302のカウント値とほぼ同じカウント値になるので、入金収納時、カウント値が予定の値になっても紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過しない場合に紙幣の滞留を検知する。
【0081】
次に、一時保管庫通過センサ311から入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9については、一時保管庫通過センサ311と各スタック入口センサを紙幣が通過したときのエンコーダC303のカウント値を監視し、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過したときのエンコーダC303の値を基準として、各スタック入口センサまでの距離から各スタック入口センサを通過するときのエンコーダC303のカウント値を推定し、推定したカウント値になっても紙幣が到達しない場合は紙幣の滞留を検出する。以上のように紙幣の滞留を検出した場合は、直ちに入金収納処理を停止する。
【0082】
次に、入金収納時の紙幣の湧きだしチェックについて説明する。
まず、入金収納では、リジェクト庫ゲートをリジェクト庫9側に切り替えておくことにより、誤って入金収納紙幣が入出金口2に搬送されてしまうことを防止する。リジェクト庫ゲートの下流にある下流メイン搬送路出口センサ313を使用して入金収納紙幣の湧きだしを検知する。入金収納紙幣が誤って搬送されてきたのを下流メイン搬送路出口センサ313で検出した場合は、直ちに上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを停止し、入金収納処理を中断する。
【0083】
次に、入金収納時の紙幣の枚数チェックについて説明する。
入金計数時、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数をカウントしておく。入金収納時は、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9の各スタック入口センサを通過した紙幣の枚数をカウントする。このとき、先述した紙幣の位置ずれによる補正を行った場合は、一時保管庫通過センサ311とリジェクト庫9のスタック入口センサの通過枚数は補正しておく。以上の通過枚数を使用して、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9の各スタック入口センサ通過枚数の合計枚数が一致するかチェックする。また、入金計数時一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と入金収納時一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数が一致するかチェックする。どちらのチェックでも枚数が一致していれば正常であるが、枚数が一致していなければ紙幣が正常に各ボックスにスタックされていないものとして異常終了とする。
【0084】
また、上述したように紙幣の滞留チェックや枚数チェックを行う際に、チェックに使用するセンサの搬送方向に対して垂直方向の取り付け位置や取り付け個数が一致していないと紙幣の枚数を誤検知して異常を誤検出する可能性があるので、搬送方向に対して垂直方向の取り付け位置と取り付け個数は一致させて取り付けるほうがよい。
【0085】
このように、紙幣を一旦重ねてスタックして保管する方式ではなく、回転ドラム41と誘導テープ43に巻き取る方式の一時保管庫4にし、さらに一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理を行うことにより、再度紙幣を判別することなく入金収納を行うことが可能となり、搬送路が簡略化でき低コストの紙幣取扱装置1の実現が可能となる。さらに、紙幣の状態検知や異常検知を行うことにより、入金収納時紙幣を鑑別しないで収納する紙幣取扱装置1において収納時に異金種を入金庫6やリサイクル庫8に収納する誤動作を防止し、さらには出金時金種判別しない紙幣取扱装置1における出金時の信頼性を向上させることが可能である。
さらに一時保管庫4の紙幣の別の収納方法としては、以上述べた一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理を行わないで、一時保管庫4の紙幣を一旦入出金口2に収納し、再度入金紙幣判別部3で紙幣を判別して入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9に紙幣を振り分けて収納する方法も可能である。
【0086】
次に、前述の図13および図16の制御で説明した入金計数処理時の下流メイン搬送路50bの制御について説明する。
入金計数時、入金リジェクト紙幣は一枚毎に下流メイン搬送路50bを起動し、下流メイン搬送路50b上に保留する。下流メイン搬送路50bに保留した入金リジェクト紙幣を返却時に入出金口2にスタックする際、紙幣と紙幣の間隔が十分開いていないと、先にスタックした紙幣に後続の紙幣がぶつかりスタック性能が悪くなる。このため、下流メイン搬送路50bに保留する入金リジェクト紙幣の間隔は入出金口2のスタックに最適な間隔を保持していることが好ましい。また、装置の小型化を図るためには、下流メイン搬送路50bの長さを長くすることはできないので、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bになるべくたくさん保留するために、入金リジェクト紙幣が搬送されてきたときだけ下流メイン搬送路50bを回転し、入金リジェクト紙幣がない場合は下流メイン搬送路50bを停止する制御を行う。
【0087】
図24は、下流メイン搬送路50bの具体的な起動・停止制御を説明するための図である。
入金計数時のメイン搬送路の搬送速度をvmm/ms、下流メイン搬送路50bが上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる時間をt3ms、エンコーダA(301)の1カウント当たりの搬送路の移動量eamm/カウント、入金紙幣判別部3から下流メイン搬送路50bの入口までの搬送路長をL2mmとする。下流メイン搬送路50bが上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる間に入金リジェクト紙幣が移動する距離は(v×t3)mmであるので、下流メイン搬送路50bの入口からマージンとしてαを加えた(v×t3+α)mm分手前に入金リジェクト紙幣が到達したら下流メイン搬送路50bを起動するようにすれば、紙幣が下流メイン搬送路50bに到達したときには下流メイン搬送路50bは上流メイン搬送路50aと同じ速度に到達している。この位置を下流メイン搬送路起動タイミング352と設定する。この起動タイミングが図29の下流メイン搬送路制御用テーブル900に起動タイミング902として登録される。
【0088】
入金紙幣判別部3から下流メイン搬送路起動タイミング352までの距離は(L2−(v×t3+α))mmである。よって、下流メイン搬送路50bに搬送される紙幣の先端が入金紙幣判別部3を通過した時点からエンコーダA301のカウントを開始し、エンコーダA301のカウント値が((L2−(v×t3+α))/ea)カウントになり紙幣が下流メイン搬送路起動タイミング352に到達した時点から下流メイン搬送路50bの起動を開始し(図24(a))、下流メイン搬送路50bの走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金リジェクト紙幣を順次下流メイン搬送路50bに保留していく。入金リジェクト紙幣の後端が下流メイン搬送路入口センサ312を通過した後、一定量進んだ所で下流メイン搬送路50bを停止する(図24(b))。また、下流メイン搬送路50bの停止途中にさらに次の入金リジェクト紙幣が下流メイン搬送路起動タイミング352に到達した場合は、下流メイン搬送路50bの停止をやめ、すぐに下流メイン搬送路50bを起動して下流メイン搬送路50bの速度を上流メイン搬送路50aと同じ程度まで上げる(図24(c))。
【0089】
このように入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bに受け渡す場合のみ下流メイン搬送路50bを起動し、入金リジェクト紙幣がこない場合は下流メイン搬送路50bに搬送した紙幣の後端をセンサで検出してから下流メイン搬送路50bを停止するように制御することにより、どのようなサイズの紙幣にも対応して、下流メイン搬送路50bにほぼ等間隔に最大限の入金リジェクト紙幣をためておくことが可能である。
【0090】
次に、入金計数処理中の下流メイン搬送路50bに保留されたリジェクト券の異常検知方法について説明する。
まず、入金リジェクト紙幣の満杯検知について説明する。入金リジェクト紙幣の満杯検知は、枚数によって行う方法と物理的な満杯検知によって行う方法がある。
枚数によって満杯検知を行う方法では、入金リジェクト満杯検知枚数を設定しておき、入金紙幣判別部3で判定した入金リジェクト枚数が入金リジェクト検知枚数になった場合に入金リジェクト紙幣の満杯を検知し、入金計数処理を中断する(図13のステップS67の処理)。
【0091】
物理的に満杯検知を行う方法では、下流メイン搬送路50bの終端より手前に入金リジェクトニア満杯センサ313'を取り付けておき、一番最初に下流メイン搬送路50bに保留された入金リジェクト紙幣が入金リジェクトニア満杯センサ313'に到達した場合に満杯を検知し、入金計数処理を中断する。このようにして、入金リジェクト紙幣の満杯を検知する。なお、この場合の入金リジェクトニア満杯センサ313'は下流メイン搬送路出口センサ313と兼用するようにしても下流メイン搬送路出口センサ313の手前に別個に設けるようにしてもよい(図16のステップS105の処理)。
【0092】
次に、入金リジェクト紙幣のジャムチェックについて説明する。下流メイン搬送路50bに備え付けられたエンコーダC303のカウント値を使用して、入金計数中に下流メイン搬送路50bを間欠駆動する間も保留されている紙幣の位置を管理する。エンコーダC303は、下流メイン搬送路50bが駆動している間はカウントを行い、下流メイン搬送路50bが停止するとカウントを停止する。下流メイン搬送路50bに搬送された紙幣は、下流メイン搬送路50bの入口部に備え付けた下流メイン搬送路入口センサ312により紙幣の通過を検知する。下流メイン搬送路入口センサ312で紙幣の先端を検出した時刻のエンコーダC303のカウント値を制御部11のメモリに記憶する。
【0093】
下流メイン搬送路入口センサ312より入金リジェクトニア満杯センサ313'までの距離から、入金リジェクト紙幣が下流メイン搬送路入口センサ312を通過してから入金リジェクトニア満杯センサ313'に到達するまでのエンコーダC303のカウント値が算出できるので、入金リジェクトニア満杯センサ313'通過予定のエンコーダC303のカウント値になっても入金リジェクト紙幣が検出できない場合は、下流メイン搬送路50b内で滞留しているものとして異常を検出し、直ちに入金計数処理を中断する。
【0094】
次に、入金リジェクト紙幣の湧きだしチェックについて説明する。
まず、入金計数時は入出金口2のスタック入口の手前にある出金口ゲートを入出金口2側を閉じる向きに切り替えておくことにより、誤って入金リジェクト紙幣が入出金口2に搬送されてしまうことを防止する。出金口ゲートの下流にある搬送路には入金リジェクト紙幣の湧きだしを検知するための湧きだしチェックセンサ315を取り付けておく。また、入出金口2側の搬送路の湧きだしチェックは入出金口スタック入口センサ314を使用してチェックする。入金リジェクト紙幣が誤って搬送されてきたのを湧きだしチェックセンサ315、入出金口スタック入口センサ314で検出した場合は、直ちに上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路を停止し、入金計数処理を中断する。
このように、入金計数処理中に下流メイン搬送路のリジェクト券の異常検知を行うことにより、装置の信頼性を向上させることが可能である。
【0095】
以上のように入金計数時下流メイン搬送路50bに保留された入金リジェクト紙幣は、入金リジェクト返却処理時に入出金口2に搬送され利用者に返却される。入金リジェクト返却処理では、入出金口2の押板23を移動して入出金口2のスタック準備後、下流メイン搬送路50bを駆動し、下流メイン搬送路50b上に保留した紙幣を入出金口2に収納する動作を行う。このとき、下流メイン搬送路出口センサ313で紙幣の間隔を検出し、間隔が十分あいていない紙幣を検出した場合は、その紙幣が入出金口2にスタックされる前に下流メイン搬送路50bの速度を落とし、先にスタックされた紙幣との間隔時間を広げる制御を行うことも可能である。さらに、入金計数時に入金リジェクト紙幣のリジェクト要因をリジェクトされた順に記憶しておき、入金リジェクト返却時に入金リジェクト紙幣の内、搬送状態が悪くてリジェクトされた紙幣は入出金口2に返却し、紙幣の鑑別がうまくできなかった紙幣については直接入出金口2に搬送せず一旦上流メイン搬送路50a側に搬送し、再度入金紙幣判別部3で紙幣を判定する入金リジェクト紙幣の再鑑を行うことも可能である。
【0096】
次に、入金リジェクト返却処理中の異常検知について説明する。
まず、入金リジェクト紙幣のジャムチェックについて説明する。下流メイン搬送路50bに保留されている各紙幣について、入金計数時にメモリに記憶した下流メイン搬送路入口センサ312通過時のエンコーダC303のカウント値から、入金リジェクト返却時に下流メイン搬送路出口センサ313を通過するエンコーダC303の値を予測し、予定のカウント値になっても紙幣が下流メイン搬送路出口センサ313に到達しない場合は、下流メイン搬送路50b内で紙幣が滞留しているものとして異常を検出し、直ちに下流メイン搬送路50bを停止し、入金リジェクト返却処理を中断する。
【0097】
次の、入金リジェクト紙幣の枚数チェックについて説明する。
入金計数時、下流メイン搬送路入口センサ312を通過した入金リジェクト紙幣の枚数と入金リジェクト返却時に入出金口スタック入口センサ314を通過した入金リジェクト紙幣の枚数を比較して、一致していればジャム等はなく正しく入出金口2にリジェクト紙幣がスタックされたものとし、一致していなければどこかに紙幣が滞留している可能性があるので異常とし、入金リジェクト返却処理を中断する。
以上のように、入金リジェクト返却処理中の異常検知を行うことにより、装置の信頼性を向上させることが可能である。
さらに入金リジェクト返却処理時のスタック性能を向上させるために、下流メイン搬送路駆動モータを通常の搬送よりも遅い速度で駆動し、下流メイン搬送路50bに保留した紙幣を入出金口2に移動するようにもしている。
【0098】
以上のように入金リジェクト紙幣の管理を行うことにより、入金リジェクト紙幣を搬送路上に一時保留して直接入出金口2に集積する装置の信頼性を向上させることが可能となる。これにより、一時保留する空間を必要としない簡素で低コストの装置を実現できる。
また、上記の紙幣取扱装置1では入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bに一時保留するするようにしているが、入金リジェクト紙幣を一時保留せずに直接入出金口2に入出金2の分離しつつある入金紙幣の後ろ側にスタックして返却してもよいし、入金リジェクト紙幣をスタックする別のスタッカを設け、そこに入金リジェクト紙幣を一旦スタックした後、入出金口2に入金リジェクト紙幣を移動させて返却してもよい。
【0099】
最後に異常検知後の紙幣取扱装置1の復旧処理について説明する。
異常検知後、紙幣取扱装置1を復旧するための動作としては、一時集積部4、入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9のユニット搬送路51〜57にあるゲートはすべて閉じておき、入出金口2のユニット搬送路58にあるゲートは入出金口2側に向けておく。入出金口2をスタック状態に準備しておき、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを同時に駆動する。この時、一時保管庫4のユニット搬送路51に残留紙幣がある場合は、同時に一時保管庫4の回転ドラム41も入金計数時と同じ方向に駆動する。一時保管庫4のユニット搬送路51に紙幣が残留している場合、一時保管庫4に搬送される側に紙幣が残留していれば一時保管庫4側に残留紙幣が搬送されるので回転ドラム41に巻き付けておく。下流メイン搬送路50bに送出する側に紙幣が残留していれば下流メイン搬送路50bに送出されるので、入出金口2に収納される。
【0100】
このように、一時保管庫4の回転ドラム41は異常時の復旧処理時に受渡し搬送路の紙幣を巻き取る必要があるので、入金計数時に一時保管庫4の満杯を検出した後でも復旧動作が可能なように、誘導テープ43のニア満杯検知は真の満杯位置から復旧動作でユニット搬送路51の残留紙幣を巻き取り可能なだけ手前に設定しておく必要がある。また、誘導テープ43の真の満杯位置を検出している状態で、まだ一時保管庫4のユニット搬送路51に残留紙幣がある場合は、残留紙幣を取り除くまで復旧動作させないようにする。このように動作させることにより、搬送路5の残留紙幣は入出金口2に搬送され、一時保管庫4に収納される側のユニット搬送路51の残留紙幣は一時保管庫4に搬送される。
【0101】
この動作が終了した後、一時保管庫4に紙幣が無い場合は、一時保管庫4の誘導テープ43は初期位置に戻しておく。また、前記動作終了後、一時保管庫4に紙幣がある場合は、異常後の処理で係員が一時保管庫4の紙幣を触る可能性があり、一時保管庫4に巻き付けている紙幣の順序が不正になるので入金庫6やリサイクル庫8には収納せず、必ず一時保管庫4の全ての紙幣を入出金口2に搬送して返却する。以上のように復旧動作を行えば、復旧動作後は常に残留紙幣は入出金口2に収納されていて、一時保管庫4は初期状態にすることが可能である。
【0102】
また、上記の紙幣取扱装置1の収納庫の構成は入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9となっているが、入金庫6のみで入金専用の装置とすることも可能である。
【0103】
なお、上記実施例では、一時保管庫に収納した紙幣を紙幣判別部での判別に応じた収納庫に収納するための搬送路と入金リジェクト紙幣を貯留するための搬送路を同一の下流メイン搬送路で兼用しているが、図16を用いて説明した如きタイミング制御が行われる下流メイン搬送路を入金紙幣収納のための搬送路と別個に設けることも可能である。
また、上記実施例では、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路上に貯留したが、これに限定されず、入金リジェクト庫を設けてこれに一旦貯留するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置を実装した現金自動取引装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る装置の制御関係を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例に係る一時保管庫の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る入金庫の側面図である。
【図6】本発明の実施例に係る出金庫の側面図である。
【図7】本発明の実施例に係るリサイクル庫の側面図である。
【図8】本発明の実施例に係るユニット搬送路の側面図である。
【図9】本発明の実施例に係る紙幣取引装置の制御関係を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例に係る入金取引を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施例に係る入金計数処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施例に係る入金計数処理における入出金口分離処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の実施例に係る入金計数処理における紙幣判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の実施例に係る入金計数処理における回転ドラム起動/停止処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施例に係る入金計数処理における一時保管庫登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の実施例に係る入金計数処理における下流メイン搬送路起動/停止処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の実施例に係る入金計数処理におけるゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の実施例に係る入金リジェクト返却処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の実施例に係る入金収納処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の実施例に係る入金収納処理における一時保管庫処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の実施例に係る入金収納処理における入金庫ゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の実施例に係る入金収納処理におけるリサイクル庫ゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】一時保管庫の回転ドラムの起動・停止制御の説明図である。
【図24】下流メイン搬送路の起動・停止制御の説明図である。
【図25】制御部のメモリに格納された入金紙幣情報テーブルの一例を示す図である。
【図26】制御部のメモリに格納された入金計数のためのゲート制御用テーブル(入金計数)の一例を示す図である。
【図27】制御部のメモリに格納された入金収納のためのゲート制御用テーブル(入金収納)の一例を示す図である。
【図28】制御部のメモリに格納された回転ドラム制御用テーブルの一例を示す図である。
【図29】制御部のメモリに格納された下流メイン搬送路制御用テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1:紙幣取扱装置、
2:入出金口、21:フィードローラ、22:ゲートローラ、23:押板、24:ブラシローラ、25:スタックローラ、26:シャッタ、
3:入金紙幣判別部、31:2枚検知部、32:鑑別部、301:エンコーダA、302:エンコーダB、303:エンコーダC、311:一時保管庫通過センサ、312:下流メイン搬送路入口センサ、313:下流メイン搬送路出口センサ、313':入金リジェクト満杯センサ、314:入出金口スタック入口センサ、315:湧き出しチェックセンサ、
4:一時保管庫、41:回転ドラム、42:巻き取り軸、43:誘導テープ、44:バックアップローラ、45:入口ローラ、
5:紙幣搬送路、50:メイン搬送路、50a:上流メイン搬送路、50b:下流メイン搬送路、51〜58:ユニット搬送路、
6:入金庫、
7:出金庫、
8:リサイクル庫、
9:リジェクト庫、
10:出金紙幣判別部、
11:制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の利用者がカードや通帳等を使用し、現金を直接入金することが可能な紙幣取扱装置(例えば、金融機関等で使用される現金自動取引装置(ATM)など)に関し、特に、異なるサイズの紙幣を取り扱うのに好適な、搬送路が簡素化され、誤動作が少なく小型化が可能な紙幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣取扱装置を使用し入金取引を行う場合、一般的には入金紙幣は利用者により入金口に投入される。投入された紙幣は1枚1枚分離された後、紙幣判別部で受け入れ可能かどうかを判定される。受け入れ可能と判定された紙幣は一旦一時保管庫に収納され、受け入れ不可と判別された紙幣は利用者に返却される。その後、利用者によって一時保管庫に収納された紙幣の金額が確認されると、一時保管庫に収納された紙幣は紙幣取扱装置内に設けられている各金種別の収納庫あるいはリジェクト庫に分別して収納される。
【0003】
上記のような入金取引において、紙幣判別部で受け入れ可能と判定された紙幣を一旦収納する一時保管庫の方式としては、例えば特開平6−9108号公報記載のように搬送されてくる紙幣を積層して収納し、利用者によって金額が確認されると再び1枚1枚分離し搬送路に送り出す方式が一般的であった。また特殊な例として特開昭60−167089号公報記載のように大型ドラムの周上に紙幣を巻き付けて収納するものもあった。
【0004】
【特許文献1】特開平6−9108号公報
【特許文献2】特開昭60−167089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATM等の普及に伴い、紙幣取扱装置は、従来の機能、性能を確保しながら、より小型、低コスト、使いやすさに対するニーズが高まっている。一方、取り扱う紙幣は、国内での外国紙幣の取り扱いの増加、国外での紙幣取扱装置のニーズの高まりに伴い、日本円紙幣だけでなく、外国紙幣も取り扱える装置が求められている。
上記従来の技術において、入金紙幣を積層して一旦収納するタイプの一時保管庫では、入金紙幣を一時保管庫に一旦収納する時と一時保管庫に収納された紙幣を各金種別の収納庫に収納する時の両方で紙幣鑑別部に紙幣を搬送する必要があったため、搬送路の構成が複雑になり紙幣取扱装置のコストも高くなっていた。また、搬送路の構成が複雑なため、搬送中に搬送路で滞留して詰まった紙幣の除去等を行う場合の操作性が悪かった。さらに、積層して収納するタイプの一時保管庫は容積当たりの収納効率は高いが、紙幣サイズや紙幣状態に幅がある外国紙幣を扱う場合、それらを1つの一時保管庫に入れるので、一時保管庫の紙幣集積および分離の構造が複雑になる。
一方、入金紙幣を大型ドラムの周上に紙幣を巻き付けて収納するタイプの一時保管庫では、ドラムの周上で金種別に巻き付ける位置をずらす必要があり、多金種に対応させることを考えるとドラムが大型になり一時保管庫が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、入金取引において、紙幣鑑別部を通すのは入金紙幣を一時保管庫に一旦収納する時のみとし、一時保管庫に収納された紙幣を各金種別の収納庫に収納する時には鑑別しないようにして、搬送路を簡素にして、操作性が優れ、かつ、低コストの紙幣取扱装置を実現することにある。
本発明の第2の目的は、種々のサイズ、状態の紙幣に対応でき、かつ装置として収納効率の良い紙幣取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明においては、複数の紙幣収納庫を紙幣を積層して収納する構成とし、紙幣判別部で判別された紙幣を搬送順に回転ドラムと該回転ドラムに巻き付く誘導体で順次巻き付けて収納する一時保管庫に一旦収納するとともに、紙幣判別部からの紙幣判別情報を一時保管庫に巻き付けて収納した順に記憶手段に記憶し、入金取引成立に応じて、回転ドラムを逆転して一時保管庫から巻き付け時と逆の順に紙幣を順次取り出し、かつ記憶手段から同様に逆の順に紙幣判別情報を読み出し、この読み出された紙幣判別情報に応じた紙幣収納庫の一つに収納するようにした。
これにより一時保管庫からの紙幣収納動作においては、紙幣判別部による紙幣の再判別が不要となるため、搬送路が簡素化でき低コストで操作性の優れた紙幣取扱装置が実現可能となる。
さらに、搬送される紙幣を前記誘導体と共に回転ドラムに巻き付ける際に、誘導体の巻き付け開始位置を起点とした紙幣の巻き付け位置を認識し、順次記憶される紙幣情報と共に記憶し、入金取引成立後、上記回転ドラムを逆方向に回転し、前記巻き付け時と逆の順に一時保管庫から紙幣搬送路に放出する際に、1枚毎に、放出時の紙幣の位置と記憶している紙幣の位置情報を比較することにより、放出された紙幣が記憶している紙幣かどうかをチェックする。
これにより収納動作において、回転ドラムより放出される紙幣と記憶手段の情報との整合性を高めることができ、収納動作の信頼性を高めることが可能となる。
また、上記第2の目的を達成するため、本発明においては、一時保管庫としては回転ドラム巻き付け方式とし、紙幣収納庫としては紙幣を積層して収納する方式にした。一時保管庫を回転ドラム巻き付け方式にしたことにより、種々のサイズの紙幣に対応でき、また、紙幣収納庫を紙幣を積層して収納する方式にしたことにより、高い収納効率を達成することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転ドラムに紙幣を巻き取る方式の一時保管庫を採用し、入金計数時一時保管庫に収納された紙幣の順序管理を行うことにより、再度紙幣を判別することなく入金収納を行うことが可能となり、搬送路を簡素にして、操作性が優れ、かつ、低コストの紙幣取扱装置の実現が可能となる。さらに、紙幣の状態検知や異常検知を行うことにより、入金収納時鑑別しないで収納する紙幣取扱装置であっても入金庫やリサイクル庫に異金種の紙幣を収納する誤動作を防止し、入金収納動作および出金動作の信頼性を向上できる。また、一時保管庫に紙幣を収納する場合のみ回転ドラムを起動し、一時保管庫に収納する紙幣が一定期間無い場合は回転ドラムを停止する回転ドラムの制御を行うことにより、一時保管庫に求められる収納容量を最小限の実装空間で実現し、装置の小型化、機能向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の紙幣取扱装置を実装した現金自動取引装置の外観を示す斜視図である。
現金自動取引装置の本体筐体101の上部には、該筐体101の上部正面板101bに設けられたカードスロット102aと連通し利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出するカード・明細票処理機構102と、通帳スロット103aと連通し利用者の通帳を処理する通帳処理機構103とを備えている。また、本体筐体101の下部には、紙幣を処理する紙幣取扱装置1を備えており、中間部には、取引の内容を表示したり入力したりする顧客操作部105が設けられている。106は現金自動取引装置全体の制御を司る本体制御部である。
【0010】
図2は、現金自動取引装置の制御関係を示すブロック図である。
前述のように、本体筐体101に納められたカード・明細票処理機構102,通帳処理機構103,紙幣取扱装置1,および顧客操作部105は、バス106aを介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106の制御の下に必要な動作を行う。本体制御部106は、上記制御の他に、インタフェース部106b、係員操作部106c、外部記憶装置106dともバス106aで接続されており、必要なデータのやりとりを行うが、本発明の特徴に対して直接的な関連がないので詳細な説明は省略する。なお、図2において、101dは上記各機構や構成部分に電力を供給するための電源部である。
【0011】
図3は、図1の現金自動取引装置の中で、本発明に関わる紙幣取扱装置1の構成を示す側面図である。
本紙幣取扱装置1は、利用者が紙幣の投入や取り出しを行う入出金口2と、入金した紙幣の判別を行う入金紙幣判別部3と、入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時保管庫4と、入金時取引が成立した紙幣を収納する1ヶの入金庫6と、出金用の紙幣を収納する2ヶの出金庫7と、入出金兼用の1ヶのリサイクル庫8と、入金庫6に収納しない入金紙幣や出金庫7から繰り出された紙幣の内出金しない紙幣を収納する2ヶのリジェクト庫9と、出金用の紙幣を判別する出金紙幣判別部10と、入金紙幣判別部3を通り、一時保管庫4,リサイクル庫8,出金庫7,入金庫6,出金紙幣判別部10,リジェクト庫9,入出金口2に対し順に紙幣を搬送する紙幣搬送路5と、制御部11から構成される。
【0012】
制御部11は、現金自動取引装置の本体制御部106からの指令および紙幣取扱装置1の状態検出に応じて紙幣取扱装置1の制御を行い、また必要に応じて、紙幣取扱装置1の状態を本体制御部106に送る制御を行う。また、紙幣搬送路5は、図では線で示されているが、搬送路5の分岐点には切替えゲートが設けられ、矢印方向の一方向に紙幣を搬送する。これらの搬送は、入金紙幣判別部3や出金紙幣判別部10からの判別結果に基づいて制御部11によって制御される。
【0013】
図4は一時保管庫の構成を示す斜視図、図5は入金庫の側面図、図6は出金庫の側面図、図7はリサイクル庫の側面図、図8はユニット搬送路の側面図、図9は紙幣取引装置の制御関係を示すブロック図である。
【0014】
次に、本実施例の上記各構成要素2〜11の具体的な構成とその動作を、図3〜図9を用いて詳細に説明する。
入出金口2は、シャッタ26を有し、シャッタ26をスライドさせて開閉し、利用者が出金時の紙幣を取り出し、入金時の紙幣を投入できるようにする。投入された紙幣を押板23でフィードローラ21の方向に押し付け、フィードローラ21の回転で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ22で2枚送りを防止する。こうして、入出金口2の紙幣は紙幣搬送路5へ繰り出され、装置内に取り込まれる。本装置では、フィードローラ21を1秒間に10回転することにより、10枚/秒の速度で紙幣が繰り出される。また、装置内から出金される紙幣や、入金時紙幣判別できない等の理由でリジェクトされる紙幣は、紙幣搬送路5を経由して、スタックローラ25とブラシローラ24の間に送り込まれ、連続して搬送される紙幣同士が干渉することなく収納し、利用者が取り出すことができる。本装置の入出金口2の収納空間は、紙幣100枚分を収納するため約25mmに設定してある。
【0015】
入金紙幣判別部3は、1対のローラからなり、ローラ間を紙幣が搬送されたときのローラの変位を検出して、2枚重なりかどうか検出する2枚検知部31と、イメージセンサ等で紙幣の印刷等を検出して紙幣の金種、真偽を判別する鑑別部32から構成され、各通過紙幣の判別結果を制御部11に報告する。
【0016】
一時保管庫4は、図4に示すように、ステンレスの薄板製の誘導テープ43と、誘導テープ43とともに搬送された紙幣を巻き取る回転ドラム41と、誘導テープ43のみを巻き取る巻き取り軸42と、回転ドラム41に紙幣の進入を案内する、誘導テープ43とともに回転する入口ローラ45と、対向するバックアップローラ44から構成される。誘導テープ43の両端を支持する回転ドラム41と巻き取り軸42は、それぞれ別個の図示せぬ駆動源に接続され、巻き取り軸42側には駆動源との間にトルクリミッターを介している。誘導テープ43の回転ドラムに巻き付く部分の長さは、少なくとも入出金口からの紙幣分離速度、紙幣の搬送速度、入出金口の投入限度枚数から求められる1回の入金計数動作に必要な長さ以上とする。例えば、本装置では、入金口の1回の投入限度枚数を100枚、分離速度約10枚/秒、搬送速度約1.6m/秒で搬送されるとすると、少なくとも、
6m/秒×100枚÷10枚/秒=16m
以上とする。通常、これにマージンを加えた長さとするのがよい。より具体的には、1取引で2回までの投入ができ計200枚の取扱が可能な装置構成とした場合、1回の入金口の投入限度枚数にマージンを加えて2.5倍を収容可能な長さとし、
6m/秒×250枚÷10枚/秒=40m
より、さらに5mのマージンを含めて45mとする。
【0017】
また、誘導テープ43の初期位置を検出するための図示せぬ初期位置センサと、誘導テープ43の終了近くを検出するための図示せぬニア満杯センサが取り付けてある。入口ローラ45には、誘導テープ43の初期位置を基準として、現在の誘導テープ43の巻取り量を検出するためのエンコーダB302が取り付けてある。また、入口ローラ45より回転ドラム41側の搬送上に一時保管庫通過センサ311が取り付けてある。なお、一時保管庫通過センサ311を誘導テープ43の両側に設けた2つのセンサ311a,bで構成すれば、後述するように紙幣の傾きを検出でき、還流できなくなる紙幣を判別してリジェクト庫に収納することが可能になる。入金取引前には、誘導テープ43は、初期位置まで巻き取り軸42側に巻き取られている。入金紙幣を一時保管庫4に取り込む場合には、回転ドラム41を誘導テープ43を巻き取る方向に、誘導テープ43の走行速度が紙幣の進入速度とほぼ同一になるよう回転し、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取る。一方、巻き取り軸42は、別の駆動源により誘導テープ43を巻き取る方向、すなわち、誘導テープ43に張力を架けるように、トルクリミッターを介して駆動されており、誘導テープ43はたるむことなく回転ドラム41に紙幣とともに巻き取られる。この時、回転ドラム41に巻き取られた紙幣は、前記入金紙幣判別部3で金種等が判別された紙幣であり、制御部11は、一時保管庫4への紙幣の進入を監視しながら、一枚ごとの金種情報を記憶している。一時保管庫4に収納された紙幣に対する入金取引が成立すると、回転ドラム41を逆に回転し、巻き取り軸42を巻き取り方向にトルクリミッターを介して誘導テープ43に張力を架けながら、巻き取られた紙幣は、収納時とは逆の順に紙幣搬送路5に送出される。
【0018】
入金庫6は、本実施例では、1ヶ実装しており、図5に示すように、金庫外の図示せぬ駆動源からギヤを介して駆動される回転するスタックローラ61と、スタックローラ61に対向するバックアップローラ62,63と、バックアップローラ63と同一軸上にあって弾性部材が放射状に配置したブラシローラ64、および、スタックガイド65によりスタック機構を構成している。矢印69の方向に搬送された紙幣は、スタックローラ61の回転により搬送され、ブラシローラ64の回転により、進入紙幣をスタックガイド65側に押し付けて進入するとともに、スタック済みの紙幣の下端をブラシローラ64が、スタックガイド65から遠ざける方向に押し込みながら、紙幣同士が干渉しないようにして、収納する。また、収納された紙幣は、底板68、押板66と、底板68より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト67と、スタックガイド65で囲まれた収納空間に収納されており、押板66と底面ベルト67は、一体となって、収納空間内を可動し、図示せぬ金庫外の駆動源により、収納紙幣の増加に伴い、進入紙幣と収納紙幣が干渉しないよう、収納紙幣をスタックガイド65から遠ざける方向に移動制御される。
【0019】
出金庫7は、本実施例では、2ヶ実装しており、図6に示すように、金庫外の図示せぬ駆動源からギヤを介して駆動される回転するフィードローラ71と、フィードローラ71に対向して回転するバックアップローラ72と、フィードローラ71に対向して繰り出し方向には回転しないゲートローラ73、および、分離ガイド75により分離機構を構成している。出金用の紙幣は、底板78、押板76と、底板78より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト77と、分離ガイド75で囲まれた収納空間に、係員により整列してセットされ、最前面の紙幣は、押板ばね70によりフィードローラ71に押し付けられている。押板76と底面ベルト77は、一体となって、収納空間内を可動し、押板ばね70により、収納紙幣の減少に伴い、繰り出し紙幣がフィードローラ71に所定の押圧力がかかるように収納紙幣を移動させる。フィードローラ71に押し付けられた紙幣は、回転するフィードローラ71で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ73で2枚送りを防止しながら矢印79の方向に一枚ずつ搬送される。
【0020】
リサイクル庫8は、本実施例では、1ケ実装しており、図7に構成を示す。リサイクル庫8は、前述の紙幣を連続して収納する入金庫6と紙幣を連続して分離繰り出す出金庫7の機能を併せ持って、収納と分離繰り出しのできる金庫であり、前述の出金庫7の分離機構と同一の形状のスタック・フィードローラ81と、回転するバックアップローラ82と、スタック方向に回転し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ83、ゲートローラ83と同一軸上にあって弾性部材が放射状に配置したブラシローラ84、および、分離時とスタック時で可動する分離・スタックガイド85によりスタック・分離機構を構成している。底板88、押板86と、底板88より上面で紙幣下面を支持するように懸架された底面ベルト87と、分離・スタックガイド85で囲まれた収納空間に、紙幣は収納される。
【0021】
分離動作時には、分離・スタックガイド85は、破線85aで示す位置に移動し、押板86と底面ベルト87は、一体となって、収納空間内を可動し、押板ばね80により、繰り出し紙幣がスタック・フィードローラ81に所定の押圧力がかかるように収納紙幣を移動させる。スタック・フィードローラ81に押し付けられた紙幣は、回転するスタック・フィードローラ81で送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ83で2枚送りを防止しながら矢印89aの方向に一枚ずつ搬送される。スタック動作時には、分離・スタックガイド85は、実線85で示す位置に移動し、押板86と底面ベルト87は、一体となって、図示せぬ金庫外の駆動源により、収納空間内を可動し、収納紙幣の増加に伴い、矢印89の方向に搬送された進入紙幣と収納紙幣が干渉しないよう、収納紙幣を分離・スタックガイド85から遠ざける方向に移動制御される。
【0022】
リジェクト庫9は、入金庫6と同一の構成であり、本実施例では2ケ実装している。リジェクト庫9を2ケ実装することにより、片側のリジェクト庫が満杯等になり、リジェクト庫を抜き取っている状態になってももう一方のリジェクト庫があるため、運用を続けることが可能である。
【0023】
出金紙幣判別部10は、出金取引時、出金庫7およびリサイクル庫8から繰り出された紙幣の判別を行うが、本実施例では、後述のように、出金庫7、リサイクル庫8の紙幣は、金種毎に別れており、金種、真偽の判別は不要として、2枚重なりでないかのみを判定するため、前述の入金紙幣判別部3の2枚検知部31と同様の、1対のローラからなり、ローラ間を紙幣が搬送されたときのローラの変位を検出して、2枚重なりかどうか検出する。
【0024】
紙幣搬送路5は図3に示すように、入金紙幣判別部3、出金紙幣判別部10を通過して各ユニット近傍を環状に、一方向に搬送するメイン搬送路50と、メイン搬送路50の途中から分岐して、一時保管庫4、リサイクル庫8、出金庫7、入金庫6、リジェクト庫9、入出金口2との間で収納、あるいは繰り出すための、ユニット搬送路51〜59からなる。メイン搬送路50は、入出金口2から入金紙幣判別部3を通過して一時保管庫4の分岐点までの、図中に太点線で示す上流メイン搬送路50aと、一時保管庫4の分岐点から、出金紙幣判別部10を通過して入出金口2に戻る、図中に太実線で示す下流メイン搬送路50bに分割される。
【0025】
上流メイン搬送路50aと一時保管庫4のユニット搬送路51と入出金口2の分離部のユニット搬送路59は、図示せぬ第一の駆動モータを一方向に回転して駆動する。下流メイン搬送路50bと、リサイクル庫8、出金庫7、入金庫6、リジェクト庫9のユニット搬送路52〜57は、図示せぬ第二の駆動モータを一方向に回転して駆動する。
【0026】
上流メイン搬送路50a、下流メイン搬送路50bそれぞれにエンコーダA301,エンコーダC303が備え付けられており、紙幣の送り量を監視することが可能である。下流メイン搬送路50bの入口と出口にはそれぞれ、下流メイン搬送路入口センサ312と下流メイン搬送路出口センサ313が取り付けられている。ユニット搬送路58には、入出金口スタック入口センサ314が取り付けられている。また、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9には図示されないスタック入口センサがそれぞれ取り付けられている。入金取引時には通常第一の駆動モータのみ回転し一時保管庫4に一旦紙幣を収納するが、入金紙幣判別部3で判別できなかった紙幣や傾きや紙幣同士の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣は、一時保管庫4には取り込まず、第二の駆動モータを回転して下流メイン搬送路50bに搬送し、後続の紙幣が同様に入金リジェクトでなければ、第二の駆動モータを停止し入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に保留する。
【0027】
また、ユニット搬送路51〜57は図8に示すように共通の構成であり、2ケのプーリ506、507の間に図示せぬ搬送ベルトを懸架し実線矢印504、破線矢印504aの搬送路を形成し、メイン搬送路50からの分岐を切り替える収納ゲート501と、ユニットへの収納と繰り出しを切り替えるS・F切替ゲート502が、それぞれ図示せぬ電磁ソレノイドにより図の実線と破線(501と501a、502と502a)の位置に切替制御される。ユニットに収納時は、収納ゲート501、S・F切替ゲート502共実線の位置で、実線矢印505、504、503のように搬送される。ユニットからの繰り出し時は、収納ゲート501a、S・F切替ゲート502a共破線の位置で、破線矢印503a、504a、505aのように搬送される。
【0028】
制御部11は、図9に示すように装置の本体制御部106とバス106aを介して接続され、本体制御部106からの指令および紙幣取扱装置1の状態検出に応じて紙幣取扱装置1の制御を行い、また、紙幣取扱装置1の状態を必要に応じて、本体制御部106に送る。紙幣取扱装置1の中では、各ユニット(入出金口2、入金紙幣判別部3、一時保管庫4、紙幣搬送路5、入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9、出金紙幣判別部10)の駆動モータや電磁ソレノイドやセンサと接続され、取引に応じてセンサで状態を監視しながらアクチュエータを駆動制御する。
【0029】
次に、入金および出金時の紙幣取扱装置1の動作の制御を図10の入金取引のフローチャートおよび図1,3を用いて説明する。
入金取引時には、ガイダンス表示(ステップS1)により顧客操作部105に入金限度枚数等を表示する。本実施例の場合では、入出金口2の容量100枚に対し一時保管庫4の容量は250枚あるので、余裕をみて入金限度枚数を200枚として100枚ずつ2回に分けて取り込むことが可能である。そこで、例えば”1回の入金で200枚まで取引可能です。100枚ずつ2回に分けてセットして下さい。”等のガイダンスを出してもよい。次に、シャッタ開処理(ステップS2)によりシャッタ26を開け、ステップS3で入出金口2に入金紙幣がセットされるのを待つ。入出金口2に紙幣が投入されると、シャッタ閉処理(ステップS4)によりシャッタ26を閉じ、入金紙幣を計数する入金計数処理(ステップS5)を行う。
【0030】
ステップS5において、入出金口2に投入された紙幣は、一枚ずつに分離して、上流メイン搬送路50aを通り入金紙幣判別部3へ搬送され、紙幣の金種、真偽等の判別を行い、入金紙幣判別部3で入金可能な紙幣と判別された紙幣については一時保管庫4に一旦収納する。入金紙幣判別部3で判別できなかった紙幣や、傾きや紙幣同士の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣については一時保管庫4には取り込まず、第二の駆動モータを駆動して下流メイン搬送路50bに搬送し、後続の紙幣が同様に入金リジェクトでなければ、第二の駆動モータを停止し入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に保留する。入金リジェクトの発生毎に下流メイン搬送路50bの駆動、停止を繰り返し、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50b上に間隔をあけて並べて保留する。
【0031】
入金計数処理中に、下流メイン搬送路50b上に入金リジェクトが満杯になった場合や入金限度枚数オーバー等が発生した場合には入金計数処理は中断される。ステップS6で入金計数処理の中断が有りの場合には、ステップS17で入金リジェクトの発生が有りならば、入出金口2の押板23を移動して入出金口2のスタック準備後下流メイン搬送路50bを駆動し、搬送路上に保留した紙幣を入出金口2に収納する入金リジェクト返却処理(ステップS18)を行う。
その後、ステップS19で入金計数処理を中断したことを利用者に知らせるガイダンスを顧客操作部105に表示し、シャッタ開処理(ステップS20)を行い、ステップS21で紙幣が抜き取られることを確認しシャッタ閉処理(ステップS22)を行い利用者に入金リジェクト紙幣を返却する。
【0032】
入金リジェクト返却処理(ステップS18)後のガイダンスとしては、入出金口2に返却されたどの紙幣が取り込めなかったのかが利用者に分かるように、例えば”手前o枚、後ろXX枚が異常の紙幣です。”等のガイダンスを表示してもよい。また、紙幣を入出金口2にセットするときの状態が悪くて搬送状態が悪くなりリジェクトされた紙幣の場合は”セットし直して下さい。”とガイダンス表示を出したり、金種の取り扱えない紙幣等であった場合は”お取り扱いできない紙幣です。”等のガイダンス表示を出すことも可能である。入金リジェクト紙幣を返却した後は、ステップS23により再度入金計数処理を受け付ける場合はステップS1のガイダンス処理へ戻り、入金計数処理を受け付けない場合はステップS7のガイダンス処理へ進む。
【0033】
次に、ステップS6で入金計数処理が正常に終了した場合には、ステップS7で入金計数処理(ステップS5)で計数した紙幣の枚数等のガイダンスを顧客操作部105に表示する。この時、ガイダンスとして計数した紙幣枚数を表示すると共に、入金限度枚数まで入金されていない場合は、”あとXXX枚まで入金可能です。”等の残りの取引可能枚数を表示しても良い。ステップS8で利用者の確認があるとセンタ交信(ステップS9)を行い、入金取引が成立し入金収納処理(ステップS10)を行い入金取引を終了する。
【0034】
入金収納処理(ステップS10)では、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動し、一時保管庫4の回転ドラム41を入金計数時とは逆に回転すると、回転ドラム41に巻き取られた紙幣は一時保管庫に収納した時とは逆の順に下流メイン搬送路50bに送出され、一時保管庫4に収納時記憶した金種情報に従い、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9のいずれかに収納する処理を行う。ステップS8で利用者が確認を選択せず、ステップS11で入金の取消を選択した場合は、入出金口2の押板23を移動し一時保管庫4の回転ドラム41を逆に回転し、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動して回転ドラム41に巻き取られた紙幣を入出金口2に搬送する取消返却処理(ステップS12)を行う。
【0035】
その後、シャッタ開処理(ステップS13)を行い、ステップS14で紙幣が抜き取られることを確認しシャッタ閉処理(ステップS15)を行い利用者に入金紙幣を返却する。ステップS16で再投入を許可する場合はステップS1のガイダンス表示に戻り、再投入を許可しない場合は入金取引を終了する。また、フローチャートには記載していないが、本実施例では一時保管庫4の限度枚数が入出金口2の2倍の容量にしてあるので、入出金口2の限度枚数以上の紙幣を入金する場合は入金計数処理終了後再度入金計数処理を行うことにより、入金限度枚数を増やすことも可能である。
【0036】
出金時には、出金庫7、リサイクル庫8の各金種毎の金庫から所定の枚数づつ紙幣を繰り出し出金紙幣判別部10で紙幣の重送のみチェックし、出金可能と判別された紙幣は入出金口2に収納し利用者に支払われる。出金紙幣判別部10で出金不可と判別されたリジェクト紙幣はリジェクト庫9に収納され、出金枚数不足分の紙幣は追加して出金庫7、リサイクル庫8から繰り出される。
さらに、利用者が入出金口2の紙幣を取り忘れた場合には、そのまま入出金口2に残して装置異常として取引を中止することもできるが、後続の取引を続行するため、取り忘れ紙幣を入出金口2から分離して、入金紙幣判別部3で判別してリジェクト庫9に収納してもよい。
【0037】
次に、上記入金計数処理についてさらに詳細に説明する。
図11は入金計数処理(図10のステップS5)の詳細なフローチャートである。
まず、入金紙幣が一時保管庫4にあるかどうかを判断し、もし入金紙幣がなければ(ステップS31:N)、1回目の入金計数時とみなし誘導テープを初期位置まで巻き取り(ステップS32)、エンコーダB302のカウンタ値をリセットした後(ステップS33)、上流メイン搬送路50aを駆動する(ステップS34)。入金紙幣があれば(ステップS31:Y)、2回目の入金計数であるから直ちに上流メイン搬送路50aを駆動する(ステップS34)。
【0038】
上流メイン搬送路50aを駆動した場合、装置の各部位で、搬送されてくる紙幣に対して処理を行うために、入出金口分離処理(イ)(ステップS35),紙幣判別処理(ロ)(ステップS36),回転ドラム起動/停止処理(ハ)(ステップS37),一時保管庫登録処理(ニ)(ステップS38),下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)(ステップS39),ゲート制御(ヘ)(ステップS40)の各処理が並行して起動される。これらの各処理(イ)〜(ヘ)の詳細については後述する。
入出金口の全ての紙幣に対して入出金口分離処理が終了し(ステップS41:Y)、全ての紙幣が入金紙幣判別部3を通過したら(ステップS44)、上記各処理(ロ)〜(ヘ)に停止指令を出す。
【0039】
また、入出金口の全ての紙幣に対して入出金口分離処理が終了する前に(ステップS41:N)、紙幣判別処理や下流メイン搬送路起動/停止処理からリジェクト満杯の報告があった場合は(ステップS42:Y)、入出金口分離処理に停止指示を出して入出金口2の分離を停止し(ステップS43)、搬送路に残っている全ての紙幣が入金紙幣判別部3を通過したら(ステップS44:Y)、上記各処理(ロ)〜(ヘ)停止指示を出す。
各処理(ロ)〜(ヘ)では、該停止指示を受け付け、かつ搬送路に残っている全ての紙幣の処理が終了したら該各処理を終了し(ステップS45〜49)、その後上流メイン搬送路50aの駆動を停止する(ステップS50)。
【0040】
次に、入出金口分離処理(イ)(ステップS35)について詳細に説明する。
図12は、入出金口分離処理(イ)のフローチャートである。
フィードローラ21を駆動し(ステップS51)、入出金口2が空になったら(ステップS52:Y)フィードローラ21の駆動を停止する(ステップS53)。なお、入出金口2が空にならなくても図11のステップS43からの入出金口分離処理停止指示があったら(ステップS54:Y)、フィードローラ21の駆動を停止する(ステップS53)。
【0041】
次に、紙幣判別処理(ロ)(ステップS36)について詳細に説明する。
図13は、紙幣判別処理(ロ)のフローチャートである。
制御部11のメモリ内に、入金紙幣情報テーブル400、ゲート制御用テーブル(入金計数)600、ゲート制御用テーブル(入金収納)700、回転ドラム制御用テーブル800、下流メイン搬送路制御用テーブル900を用意しておく。
入金紙幣情報テーブル400は、図25に一例を示すように、入金紙幣番号(NO=TA)401,入金計数時に記憶する金種情報402(紙幣の種別),還流情報403(還流の可/不可),エンコーダBの値404(カウント値),紙幣の長さ(単位mm)405と,入金収納時に記憶するエンコーダBの値406(カウント値),紙幣の長さ(単位mm)407,補正NO408,行先情報409(行先収納庫など)からなる。
【0042】
ゲート制御用テーブル(入金計数)600は、一時保管庫4の入口のゲートのONまたはOFFを制御するためのテーブルで、図26に一例を示すように、テーブルアドレスTG601,ゲートONタイミング602,ゲートOFFタイミング603からなる。ゲート制御用テーブル(入金収納)700は、入金収納時、入金庫6の入口ゲート、リサイクル庫8の入口ゲートのON,OFFを制御するためのテーブルで、図27に一例を示すように、テーブルアドレスTA'701,入金庫用のゲートONタイミング702,ゲートOFFタイミング703、リサイクル庫用のゲートONタイミング704,ゲートOFFタイミング705からなる。回転ドラム制御用テーブル800は、図28に一例を示すように、紙幣番号(NO=TB)801,起動タイミング802からなる。下流メイン搬送路制御用テーブル900は、図29に一例を示すように、リジェクト紙幣番号(NO=NRJ)901,起動タイミング902からなる。
【0043】
図13を参照するに、まず、各テーブルのアドレスを指す初期値を設定する(ステップS55)。このステップでは、入金紙幣情報テーブルおよび回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO.TA=1,TB=1、ゲート制御用テーブルのテーブルアドレス、TG=1、下流メイン搬送路制御テーブルのリジェクト紙幣NO.NRJ=1に設定する。
紙幣判別停止指示(図11のステップS45からの)があるまで以下の処理を続ける(ステップS56)。
入金紙幣判別部3に紙幣が来るのをチェックし(ステップS57)、紙幣が来たら紙幣の判別を行う(ステップS58)。
【0044】
紙幣判別の結果、正券すなわち入金可能な紙幣と判別された場合は(ステップS59:Y)、それぞれのテーブルの紙幣の行(アドレス)に、これらの判別した情報をセットする。すなわち、ゲート制御用テーブル(入金計数用)600のテーブルアドレスTGが示すアドレスへTG601とゲートONタイミング602を登録し(ステップS60)、入金紙幣情報テーブル400の紙幣NO.TAが示すアドレスへTA401と入金紙幣判別部3で判別した金種情報402,還流情報403を登録し(ステップS61)、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO.TBが示すアドレスへTB801と起動タイミング802を登録する(ステップS62)。入金紙幣情報テーブル400の紙幣NO.TAと回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO.TBを各々+1して更新し(ステップS63)、ゲート制御用テーブルのテーブルアドレスTGを+1して更新して(ステップS64)、ステップS56に戻る。
【0045】
紙幣判別の結果正券でないすなわち入金リジェクト紙幣と判別された場合は(ステップS59:N)、それぞれのテーブルのその紙幣の行(アドレス)に、判別された情報をセットする。すなわち、ゲート制御用テーブル(入金計数)のテーブルアドレスTGが示すアドレスへTG601とゲートOFFタイミング603を登録し(ステップS65)、下流メイン搬送路制御用テーブル900のリジェクト紙幣NO=NRJが示すアドレスへNRJ901と起動タイミング902を登録する(ステップS66)。
リジェクト紙幣NO=NRJが予め設定されている入金リジェクト満杯枚数に達した場合は入金計数処理にリジェクト満杯報告を行った後(ステップS67〜68:図11のステップS42参照)、また、満杯でなければそのままNRJを+1して更新し(ステップS69)、ゲート制御用テーブル(入金計数)のテーブルアドレスTGを+1して更新して(ステップS64)、ステップS56に戻る。
こうして、各テーブルのテーブルアドレスを更新しながら、次々と各紙幣の搬送および収納するための制御情報を各テーブルに登録する。
また、ゲート制御用テーブル(入金収納)600のゲートON/OFFタイミングおよび回転ドラム制御用テーブル800に設定する起動タイミングについては、図23を参照して後述する。さらに、下流メイン搬送路制御用テーブル900に設定する起動タイミングについては、図24を参照して後述する。
【0046】
次に、回転ドラム起動/停止処理(ハ)(ステップS37)について詳細に説明する。
図14は、回転ドラム起動/停止処理(ハ)のフローチャートである。
まず、TCを1に初期設定する(ステップS71)。TCは、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO.TBと同じく、回転ドラム制御用テーブル800のアドレスを指示するテーブルアドレスである。
回転ドラム停止指示があり(図11のステップS46参照)、かつ回転ドラム制御用テーブル800に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS72:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS73以降の処理を続ける。
回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO=TCが指すアドレスに登録されている回転ドラム起動タイミング802に到達した時点から回転ドラム41の起動を開始し(ステップS73,S74)、誘導テープ43の走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取っていく。例えば、TC=1の場合、登録されている起動タイミングEN1+zになると、回転ドラム41の起動を開始する。
【0047】
紙幣NO=TCの紙幣の後端を一時保管庫通過センサ311で検出した後所定の時間が経ったら回転ドラムを停止し(ステップS75,S76)、紙幣NO=TCを更新した後(ステップS77)、ステップS72に戻る。紙幣NO=TCの紙幣の後端を一時保管庫通過センサ311で検出した後所定の時間が経つまでに(ステップS75:N)、回転ドラム制御用テーブル800に登録されている全ての紙幣の処理が終了かつ停止指示があったら(ステップS78:Y)、回転ドラム41の回転を停止する(ステップS81)。回転ドラム制御用テーブル800の全てが終了かつ停止指示でない場合は(ステップS78:N)、回転ドラム制御用テーブル800の紙幣NO=TC+1の回転ドラム起動タイミングでなければ直ちに、また回転ドラム制御用テーブルの紙幣NO=TC+1の回転ドラム起動タイミングであれば紙幣NO=TCを更新した後(ステップS80)、ステップS75に戻る。すわなち、紙幣NO=TCの紙幣の回転ドラム停止タイミングより先に紙幣NO=TC+1(次の紙幣)が回転ドラム起動タイミングに到達した場合は、そのまま回転ドラムを回転させたままとする。
【0048】
次に、一時保管庫登録処理(ニ)(ステップS38)について詳細に説明する。
図15は、一時保管庫登録処理(ニ)のフローチャートである。
TDを1に初期設定する(ステップS91)。TDはTAと同様、入金紙幣情報テーブル400のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
一時保管庫登録処理停止指示があり(図11のステップS47参照)、かつ入金紙幣情報テーブル400に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS92:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS93以降の処理を続ける。
一時保管庫通過センサ311に紙幣が到達したら(ステップS93)、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO401=TDの行にエンコーダB302のカウント値404、エンコーダB302で検出した紙幣の長さ405を登録し(ステップS94)、紙幣NO=TDを更新した後(ステップS95)、ステップS92に戻る。紙幣の長さは、センサ311を紙幣の先端と後端を通過した時のエンコーダB302の値の差から長さ(mm)を算出する。カウンタ値で代用してもよい。
【0049】
次に、下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)(ステップS39)について詳細に説明する。
図16は、下流メイン搬送路起動/停止処理(ホ)のフローチャートである。
NRJ'を1に初期設定する(ステップS101)。NRJ'はNRJと同様、下流メイン搬送路制御用テーブル900のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
下流メイン搬送路起動/停止処理の停止指示があり(図11のステップS48参照)、かつ下流メイン搬送路制御用テーブル900に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS102:Y)、この処理を終了し、それ以外の場合はステップS103以降の処理を続ける。
NRJ'が指す下流メイン搬送路制御用テーブル900のアドレスの紙幣NOに登録された下流メイン搬送路起動タイミングに到達した時点から下流メイン搬送路50bの起動を開始し(ステップS103,S104)、下流メイン搬送路50bの走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金リジェクト紙幣を順次下流メイン搬送路50bに貯留していく。そして、この入金リジェクト紙幣の貯留により、下流メイン搬送路50bが貯留することができる入金リジェクト紙幣で満杯近くになると、一番先の入金リジェクト紙幣が入金リジェクト満杯センサ313'の位置に達する。そこで、入金リジェクトニア満杯センサ313'で紙幣を検出した場合はリジェクト満杯を報告する(ステップS105,S106;図11のステップS42参照)。
【0050】
入金リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の後端を下流メイン搬送路入口センサ312で検出した後所定の時間が経つと、そのリジェクト紙幣が一定量進んだことになるので、そのとき下流メイン搬送路50bを停止し(ステップS107,S108)、リジェクト紙幣NO=NRJ'を更新した後(ステップS109)、ステップS102に戻る。リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の後端を下流メイン搬送路入口センサで検出した後所定の時間が経つまでに(ステップS107:N)、下流メイン搬送路制御用テーブルの全てが終了かつ停止指示があったら(ステップS110:Y)、下流メイン搬送路を停止する(ステップS113)。下流メイン搬送路制御用テーブルの全てが終了かつ停止指示でない場合は(ステップS110:N)、下流メイン搬送路制御用テーブル900のリジェクト紙幣NO=NRJ'+1の下流メイン搬送路起動タイミングでなければ直ちに、また下流メイン搬送路制御用テーブルのリジェクト紙幣NO=NRJ'+1の下流メイン搬送路起動タイミングであればリジェクト紙幣NO=NRJ'を更新した後(ステップS112)、ステップS105に戻る。すわなち、リジェクト紙幣NO=NRJ'の紙幣の下流メイン搬送路停止タイミングより先にリジェクト紙幣NO=NRJ'+1(次のリジェクト紙幣)が下流メイン搬送路起動タイミングに到達した場合は、そのまま下流メイン搬送路を駆動させたままとする。このように、入金リジェクト紙幣が生じるごとに下流メイン搬送路50bの起動,停止を繰り返し、下流メイン搬送路50bに入金リジェクト紙幣を貯留する。
【0051】
次に、ゲート制御処理(ヘ)(ステップS40)について詳細に説明する。
図17は、ゲート制御処理(ヘ)のフローチャートである。
このゲート制御処理は、一時保管庫4の入口のゲート(図8のゲート501に相当)のON/OFFを制御する。ゲートをONすることにより、上流メイン搬送路50aを搬送されてくる紙幣を、一時保管庫4へ導く。すなわち、紙幣判別で正券(入金紙幣)のとき、ゲートをONする。ゲートをOFFすることにより、上流メイン搬送路50aを搬送されてくる紙幣を一時保管庫4へ導くことなく、そのまま下流メイン搬送路50bへ導く。すなわち、入金リジェクト紙幣と判別されたとき、ゲートをOFFする。
まず、TG'=1に初期設定する(ステップS121)。TG'はTGと同様、ゲート制御用テーブル(入金計数)600のアドレス(行)を指すテーブルアドレスである。
ゲート制御停止指示があり(図11のステップS49参照)、かつゲート制御用テーブル(入金計数)600に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了した場合(ステップS122:Y)、ゲートをOFFして(ステップS123)この処理を終了し、それ以外の場合はステップS124以降の処理を続ける。
TG'が指すゲート制御用テーブル(入金計数)600のアドレスの紙幣に対するエリア602に登録されているゲートONタイミングに到達したら(ステップS124)、ゲートをONして一時保管庫4へ導き(ステップS125)、紙幣NO=TG'を更新した後(ステップS126)、ステップS122に戻る。
【0052】
TG'が指すアドレスの紙幣がリジェクト紙幣の場合は、エリア602にONタイミングは登録されていないので、ステップS124からステップS127へ進み、エリア603に登録されているゲートOFFタイミングに到達するのを待ち、到達したら(ステップS127:Y)、ゲートをOFFして下流メイン搬送路に保留される入金リジェクト紙幣を通過させ(ステップS128)、ステップS126に進む。ゲートOFFタイミングでない場合(ステップS127:N)、ステップS122に戻る。
【0053】
次に、入金リジェクト返却処理について説明する。
図18は、入金計数処理のなかで、入金リジェクト紙幣が発生した場合に行われる入金リジェクト返却処理(図10のステップS18)のフローチャートである。
まず、下流メイン搬送路50bを起動し(ステップS131)、下流メイン搬送路50b上の紙幣を全て入出金口2に移動したことを確認したら(ステップS132:Y)、下流メイン搬送路50bを停止する(ステップS133)。全てを入出金口に移動したかどうかの確認は、いくつかの実現方法があるが、例えば、発生した入金リジェクト紙幣枚数はわかっているので、センサ313あるいは314を通過する枚数で確認できる。あるいは、一定時間下流メイン搬送路50bを駆動することでもよい。
【0054】
次に、入金収納処理について説明する。
図19は、入金計数処理を行い、受付可能な紙幣を収納する入金収納処理(図10のステップS10)のフローチャートである。
まず、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを駆動する(ステップS141)。
装置の各部位で、搬送されてくる紙幣に対して処理を行うため、一時保管庫処理(ト)(ステップS142),入金庫ゲート制御(チ)(ステップS143),リサイクル庫ゲート制御(リ)(ステップS144)を並行に動作させる。これらの各処理(ト)(チ)(リ)の詳細については後述する。
【0055】
一時保管庫4に巻き取られている紙幣を全て放出し、一時保管庫処理(ト)を終了したら(ステップS145)、入金庫ゲート制御(チ)とリサイクル庫ゲート制御(リ)に停止指示を出す。この停止指示を受けた入金庫ゲート制御■とリサイクル庫ゲート制御(リ)では制御を停止する(ステップS146、S147)。その後、上流メイン搬送路50aおよび下流メイン搬送路50bの駆動を停止する(ステップS148)。
【0056】
次に、一時保管庫処理(ト)(ステップS142)について詳細に説明する。
図20は、一時保管庫処理(ト)のフローチャートである。
まず、補正NO.TA'=1,TA=nに初期設定する(ステップS151)。すなわち、入金収納時は、入金紙幣情報テーブル400の最後のデータから順に紙幣が放出されるので、TAの初期値としてテーブルの紙幣NOの最後の番号をセットする。
回転ドラム41を逆転駆動し、回転ドラム41に巻き付けられた紙幣を放出する(ステップS152)。
入金紙幣情報テーブルの最後になるまですなわち該テーブルの1枚目の紙幣終了になるまでステップS155以降の処理を繰り返し、最後になったら(ステップS153:Y)、回転ドラム41を停止し(ステップS154)、この処理を終了する。
入金紙幣情報テーブルの最後でない場合は(ステップ153:N)、一時保管庫通過センサ311に紙幣が来たら(ステップS155:Y)、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TA(最初の1枚目はn)のテーブルに入金収納のエンコーダBの一時保管庫通過センサ311到着時のカウント値406,紙幣の長さ407,補正NO=TA'(最初の1枚目は1)408を登録する(ステップS156)。
【0057】
次に、以下の(a)(b)(c)のいずれかの処理を行う(ステップS157)。
(a)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しく(404=406)かつ一時保管庫通過センサ311での紙幣の長さも等しい(405=407)場合> これは紙幣が入金計数時に巻き付けられた時と同じ状態,位置で巻戻されたことを示す。
・入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TAの還流情報403とエンコーダの値404の情報から行先情報409を登録する。
・入金紙幣情報テーブルの行先情報409によりTA'と入金庫6とリサイクル庫8のゲートのON/OFFのタイミングをゲート制御用テーブル(入金収納)700のエリア701〜705に登録する。
・次に、TA=TA−1,TA'=TA'+1に更新する。
【0058】
(b)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しくなく(404≠406)、TA+1とTAの紙幣の長さが等しい(405=407)場合> これは1枚の紙幣が、入金計数時に巻き付けられた位置からずれて巻戻されたことを示し、前または後の紙幣と全く重なっている場合、1枚湧きだした場合、1枚消失した場合などがあり、入金計数時に判別した順序、枚数が保証されない状態が生じている可能性がある。
・よって、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO=TA+1〜1までの全ての行先情報409にリジェクト庫と登録する。
・この紙幣はリジェクト庫9へ収納されるので、入金庫とリサイクル庫のゲートOFFのタイミングとTA'をゲート制御用テーブル(入金収納)700のエリア701〜705に登録する。
・次に、TA=TA−1,TA'=TA'+1に更新する。
・以降の紙幣の行先情報409を全てリジェクト庫に指定する。
【0059】
(c)<入金計数時と入金収納時におけるエンコーダB302のカウント値が等しくなく(404≠406)、TA+1とTAの紙幣の長さが等しくない(405≠407)場合> これは、入金計数時に巻き付けられた位置からずれて巻戻され、後の紙幣と一部が重なったことを示す。
・長く検出された紙幣側にずれた紙幣がくっついたものとして、入金紙幣情報テーブルの紙幣NO.TAとTA+1とで長く検出された紙幣がある方の行先情報をリジェクト庫に指定する。
・この紙幣はリジェクト庫9へ収納されるので、入金庫,リサイクル庫のゲートOFFタイミングとテーブルアドレスTA'を登録する。
・TA=TA−2,TA'=TA'+1に更新する。
こうして、一時保管庫4に保留された全ての紙幣が入金収納のために一時保管庫4から送り出され、行先情報で指定された入金庫、リサイクル庫、あるいはリジェクト庫へ次に述べる処理で収納される。
【0060】
次に、入金庫ゲート制御(チ)(ステップS143)について詳細に説明する。
図21は、入金庫制御(チ)のフローチャートである。
入金庫ゲートは、ゲートをONすると、紙幣の行先を入金庫に収納する方向に切り替え、ゲートをOFFすると、紙幣の行先を入金庫に収納しない方向に切り替えるものである。
【0061】
まず、TA''=1に初期設定する(ステップS161)。
ゲート制御用テーブル(入金収納)700に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了しかつ当該制御の停止指示がある場合にのみ(ステップS162:Y)、入金庫ゲートをOFFにして(ステップS163)、処理を終了する。それ以外の場合は(ステップ162:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''の入金庫ゲートがONのタイミングの場合(ステップS164:Y)、入金庫ゲートをONにし(ステップS165)、T''を更新した後(ステップS166)、ステップS162に戻る。
【0062】
ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''が指す紙幣が入金庫7へ収納するものでない時は、入金庫ゲートがONのタイミングは設定されていないので(ステップS164:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA''の入金庫ゲートを703のOFFのタイミングでOFFにし(ステップS168)、上記ステップ166に進む。ステップ167で入金庫ゲートOFFのタイミングでなければ、ステップS162に戻る。
図27では入金庫が1つの場合を示しているが、複数設けられている場合、それぞれの入金庫を区別してそれぞれのON/OFFタイミングを登録するよう構成する。
【0063】
次に、リサイクル庫ゲート制御(リ)(ステップS144)について詳細に説明する。
図22は、リサイクル庫制御(リ)のフローチャートである。
リサイクル庫ゲートは、ゲートをONすると、紙幣の行先をリサイクル庫に収納する方向に切り替え、ゲートをOFFすると、紙幣の行先をリサイクル庫に収納しない方向に切り替えるものである。
【0064】
まず、TA'''=1に初期設定する(ステップS171)。
ゲート制御用テーブル(入金収納)700に登録されている全ての紙幣に対する処理が終了しかつ当該制御の停止指示がある場合にのみ(ステップS172:Y)、リサイクル庫ゲートをOFFにして(ステップS173)、処理を終了する。それ以外の場合は(ステップ172:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''の入金庫ゲートがONのタイミングの場合(ステップS174:Y)、リサイクル庫ゲートをONにし(ステップS175)、T'''を+1して更新した後(ステップS176)、ステップS172に戻る。
【0065】
ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''が指す紙幣がリサイクル庫8へ収納するものでない時は、リサイクル庫ゲートがONのタイミングは設定されておらず(ステップS174:N)、ゲート制御用テーブル(入金収納)のテーブルアドレス=TA'''の705のOFFのタイミングでリサイクル庫ゲートをOFFにしリサイクル庫8に収納されないように通過させ(ステップS178)、上記ステップS176に進む。ステップS177でリサイクル庫ゲートOFFのタイミングでなければ、ステップS172に戻る。
【0066】
次に、本実施例の特徴をなす紙幣取扱装置1の入金取引時の制御について詳細に説明する。
最初に、入金処理時の一時保管庫4の制御について説明する。
一時保管庫4は回転ドラム41に誘導テープ43で紙幣を巻き付けて収納する機構なので、誘導テープ43の長さを入金取引枚数と入金計数時に入出金口2で発生する紙幣のノンピックの時間を考慮して十分長くしておけば、入金計数中回転ドラム41を回転し続ければよいが、そのような設計では一時保管庫4が通常必要な容量よりもずいぶん大きなものになってしまう。そこで、一時保管庫4へ効率よく紙幣を収納するために、前述の図14の制御で説明した如く、一時保管庫4に収納する紙幣が搬送されてきたときだけ回転ドラム41を回転し、一時保管庫4に収納する紙幣がない場合は回転ドラム41を停止する制御を行う。
【0067】
図23は、回転ドラム41の具体的な起動・停止制御を説明するための図である。
入金計数時のメイン搬送路の搬送速度をvmm/ms、回転ドラム41が上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる時間をt1ms、エンコーダA301の1カウント当たりの搬送路の移動量eamm/カウント、入金紙幣判別部3から一時保管庫4の誘導テープ43の入口までの搬送路長をL1mmとする。回転ドラム41が上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる間に一時保管庫4に収納する紙幣が移動する距離は(v×t1)mmであるので、誘導テープ43の入口からマージンとしてaを加えた(v×t1+α)mm分手前に一時保管庫4に収納する紙幣が到達したら回転ドラム41を起動するようにすれば、紙幣が誘導テープ43に到達したときには回転ドラム41は上流メイン搬送路50aと同じ速度に到達している。
【0068】
この位置を回転ドラム起動タイミング351と設定する。この回転ドラム起動タイミングが図28の回転ドラム制御用テーブル800に起動タイミング802として登録される。入金紙幣判別部3から回転ドラム起動タイミング351までの距離は(L1−(v×t1+α))mmである。よって、一時保管庫4に搬送される紙幣の先端が入金紙幣判別部3を通過した時点からエンコーダA301のカウントを開始し、エンコーダA301のカウント値が((L1−(v×t1+α))/ea)カウントになり紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達した時点から回転ドラム41の起動を開始し(図23(a))、誘導テープ43の走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金紙幣を順次回転ドラム41に巻き取っていく。その後、一時保管庫4に収納される紙幣の後端が一時保管庫通過センサ311を通過したら回転ドラム41を停止する(図23(b))。
【0069】
また、回転ドラム41の停止途中に一時保管庫4に収納する次の後続の紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達した場合は、回転ドラム41の停止をやめ、すぐに回転ドラム41を起動して誘導テープ43の速度を上流メイン搬送路50aと同じ程度まで上げる(図23(c))。
以上のように、紙幣を一時保管庫4に収納する場合のみ回転ドラム41を起動し、一時保管庫4に収納する紙幣が一定期間ない場合は回転ドラム41を停止するように回転ドラム41を制御することにより、一時保管庫4の誘導テープ43の長さを必要かつ最小限に設計することが可能であり、一時保管庫4の収納容量を必要かつ最小限の実装空間で実施し、装置の小型化を図ることが可能である。
【0070】
次に、一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理について詳細に説明する。
本発明の紙幣取扱装置1は、入金収納時紙幣判別部を通さず直接入金庫6やリサイクル庫8に収納する構成になっているので、入金計数時に図25に示す一時保管庫4の紙幣の収納順序と紙幣の情報を制御部11のメモリに記憶し、入金収納時にはメモリに記憶した情報に従って入金庫6やリサイクル庫8に紙幣を振り分けて収納する制御を行う。
【0071】
まず、前述の図11で説明した如く、一時保管庫4の誘導テープ43は入金計数前に初期位置まで巻き取り軸42に巻き取っておき、誘導テープ43の初期位置でエンコーダB302の値をリセットする。入金計数が始まると、入金計数紙幣が入金紙幣判別部3に搬送され、紙幣の金種、真偽等が判別される。ここで正常と判定された紙幣は、紙幣の通過順序を表す紙幣NO.401と、金種情報402と、還流可能な紙幣か区別するための還流情報403が図25に一例を示す入金紙幣情報テーブルに登録され、さらに、ゲート制御用テーブル(入金計数)600および回転ドラム制御用テーブル800にも前述の各種タイミングが登録され、一時保管庫4に搬送される。
【0072】
一時保管庫4に搬送される正券(入金紙幣)と判定された紙幣が回転ドラム起動タイミング351に到達したら回転ドラム41のモータを駆動する。回転ドラム41が回転し始めたらエンコーダB302のカウントを開始する。入金紙幣判別部3で一時保管庫4に搬送されるように判定された紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過すると、一時保管庫通過センサ311を通過した時刻のエンコーダB302のカウント値404と、一時保管庫通過センサ311で検出した紙幣長さ405を図25の入金紙幣情報テーブル400に登録する。
【0073】
以上のように入金計数時に記憶した図25の入金紙幣情報に従って入金収納を行う。入金収納時は入金計数時に一時保管庫4に収納した順序とは逆に最後に収納した紙幣から搬送路5に送出される。上流メイン搬送路50a、下流メイン搬送路50bが立ち上がった後、一時保管庫4の回転ドラム41と巻き取り軸42を入金計数時とは逆向きに回転する。回転ドラム41が回転を始めるとエンコーダB302のカウント値は入金計数時とは逆に減算していく。回転ドラム41に巻き付けられた紙幣は誘導テープ43が巻き取り軸42に巻き取られていくのに従って一時保管庫通過センサ311を通過し搬送路5へ送出される。
【0074】
この時、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過した時点のエンコーダB302のカウント値406と紙幣の長さ407を図25に記憶しておく。一時保管庫通過センサ311に紙幣が到達する時のエンコーダB302のカウント値406は入金計数時に記憶したエンコーダB302のカウント値404と一致しているので、エンコーダB302のカウント値404、406をチェックしながら、入金計数時に記憶した紙幣の順序401と逆の順に、記憶した図25の金種情報402、還流情報403とゲート制御用テーブル(入金収納)700のタイミングに従って紙幣を入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9に紙幣を振り分け、入金収納処理を行う。
【0075】
なお、紙幣取扱装置1の構成を入金庫のみで、さらに金種を区別することなく1つの入金庫に全ての入金紙幣を収納する構成にすることも可能であり、この場合は上記で述べたような入金紙幣の順序管理をする必要は無く、入金収納時は入金庫のゲートを入金庫側に固定して全て入金庫へ収納するように制御すればよい。
【0076】
次に、入金収納時の一時保管庫通過センサ311での紙幣状態検知について説明する。
まず、一時保管庫通過センサ311で一時保管庫4から送出される紙幣の傾きをチェックして、リサイクル庫8へスタックするとリサイクル庫8でのスタックの状態が悪くなり、還流できなくなる可能性のある紙幣はリジェクト庫9へ収納し、ほとんど傾いていない紙幣のみリサイクル庫8や入金庫6へスタックするようにする。紙幣の傾きは、一時保管庫通過センサ311を誘導テープ43の両側に取り付けられた2つのセンサ(311a,b)で構成し、この2つのセンサにより一時保管庫4から送出される紙幣を監視し、いずれか一方のセンサがダークとなり紙幣を検出した時点からエンコーダB302のカウントを開始し、もう一方のセンサがダークになった時点でカウントをやめる。このカウント値数が所定の値を越えている場合には傾きが大きすぎるとチェックできる。また、前述の図20の制御で説明した如く、入金収納時の一時保管庫通過センサ311で紙幣の長さ407とエンコーダB302のカウント値406をチェックし、入金計数時に記憶した一時保管庫通過センサ311での紙幣の長さ405とエンコーダB302のカウント値404から以下のような紙幣の位置ずれのチェックを行う。
【0077】
入金計数時に記憶したエンコーダB302のカウント値404と入金収納時のエンコーダB302のカウント値406を比較してカウント値がずれている場合は、カウント値がずれた紙幣とその紙幣の前後にある紙幣の長さ405、407をチェックして、入金収納時の紙幣の長さ407が入金計数時記憶した紙幣の長さ405と同じならば、位置のずれた紙幣は前後の紙幣に完全に重なってしまったのか無くなってしまったのか分からないので異常とし、入金収納動作を中止し、紙幣の順序管理も正常に行うことができないのでカウント値のずれた紙幣の前の紙幣以降の紙幣を全てリジェクト庫9へ収納する(上述した図20のステップS157の(b)参照)。前後の紙幣が入金計数時記憶した長さよりも長く検出した場合は、長く検出した紙幣側にずれた紙幣がくっついたものとして長く検出した紙幣をリジェクトし、以降の紙幣の順序記憶を1枚補正する(上述した図20のステップS157の(c)参照)。
【0078】
また、入金収納時紙幣がずれた後は、リジェクトや異常とせずに入出金口2に一時保管庫4の紙幣を一旦収納し、再度入出金口2から分離して入金紙幣判別部3で判定して入金庫6またはリサイクル庫8にスタックすることも可能である。
【0079】
次に、入金計数時と入金収納時の一時保管庫4の紙幣の異常検知方法について説明する。
まず、入金計数時の入金紙幣判別部3から一時保管庫4までの紙幣滞留チェックについて説明する。入金計数時、紙幣が入金紙幣判別部3と一時保管庫通過センサ311を通過した時のエンコーダA301のカウント値を監視する。入金紙幣判別部3と一時保管庫通過センサ311までの距離から入金紙幣判別部3を通過した紙幣が一時保管庫通過センサ311に到達するときのエンコーダA301の値は推定できるので、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過する時のエンコーダA301のカウント値が推定したカウント値とほぼ同じカウント値の場合は正常とし、推定したカウント値になっても紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過しない場合は入金紙幣判別部3以降の位置で紙幣が滞留しているものとし、直ちに上流メイン搬送路50aを停止し、入金計数処理を中断する。
【0080】
次に、入金収納時の一時保管庫4から入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9までの紙幣滞留チェックについて説明する。
まず、回転ドラム41から一時保管庫通過センサ311までについては、入金収納時紙幣が一時保管庫通過センサ311に到達するときのエンコーダB302のカウント値が、入金計数時一時保管庫4に搬送したときに記憶したエンコーダB302のカウント値とほぼ同じカウント値になるので、入金収納時、カウント値が予定の値になっても紙幣が一時保管庫通過センサ311を通過しない場合に紙幣の滞留を検知する。
【0081】
次に、一時保管庫通過センサ311から入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9については、一時保管庫通過センサ311と各スタック入口センサを紙幣が通過したときのエンコーダC303のカウント値を監視し、一時保管庫通過センサ311を紙幣が通過したときのエンコーダC303の値を基準として、各スタック入口センサまでの距離から各スタック入口センサを通過するときのエンコーダC303のカウント値を推定し、推定したカウント値になっても紙幣が到達しない場合は紙幣の滞留を検出する。以上のように紙幣の滞留を検出した場合は、直ちに入金収納処理を停止する。
【0082】
次に、入金収納時の紙幣の湧きだしチェックについて説明する。
まず、入金収納では、リジェクト庫ゲートをリジェクト庫9側に切り替えておくことにより、誤って入金収納紙幣が入出金口2に搬送されてしまうことを防止する。リジェクト庫ゲートの下流にある下流メイン搬送路出口センサ313を使用して入金収納紙幣の湧きだしを検知する。入金収納紙幣が誤って搬送されてきたのを下流メイン搬送路出口センサ313で検出した場合は、直ちに上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを停止し、入金収納処理を中断する。
【0083】
次に、入金収納時の紙幣の枚数チェックについて説明する。
入金計数時、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数をカウントしておく。入金収納時は、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と、入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9の各スタック入口センサを通過した紙幣の枚数をカウントする。このとき、先述した紙幣の位置ずれによる補正を行った場合は、一時保管庫通過センサ311とリジェクト庫9のスタック入口センサの通過枚数は補正しておく。以上の通過枚数を使用して、一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9の各スタック入口センサ通過枚数の合計枚数が一致するかチェックする。また、入金計数時一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数と入金収納時一時保管庫通過センサ311を通過した紙幣の枚数が一致するかチェックする。どちらのチェックでも枚数が一致していれば正常であるが、枚数が一致していなければ紙幣が正常に各ボックスにスタックされていないものとして異常終了とする。
【0084】
また、上述したように紙幣の滞留チェックや枚数チェックを行う際に、チェックに使用するセンサの搬送方向に対して垂直方向の取り付け位置や取り付け個数が一致していないと紙幣の枚数を誤検知して異常を誤検出する可能性があるので、搬送方向に対して垂直方向の取り付け位置と取り付け個数は一致させて取り付けるほうがよい。
【0085】
このように、紙幣を一旦重ねてスタックして保管する方式ではなく、回転ドラム41と誘導テープ43に巻き取る方式の一時保管庫4にし、さらに一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理を行うことにより、再度紙幣を判別することなく入金収納を行うことが可能となり、搬送路が簡略化でき低コストの紙幣取扱装置1の実現が可能となる。さらに、紙幣の状態検知や異常検知を行うことにより、入金収納時紙幣を鑑別しないで収納する紙幣取扱装置1において収納時に異金種を入金庫6やリサイクル庫8に収納する誤動作を防止し、さらには出金時金種判別しない紙幣取扱装置1における出金時の信頼性を向上させることが可能である。
さらに一時保管庫4の紙幣の別の収納方法としては、以上述べた一時保管庫4に保管される紙幣の順序管理を行わないで、一時保管庫4の紙幣を一旦入出金口2に収納し、再度入金紙幣判別部3で紙幣を判別して入金庫6、リサイクル庫8、リジェクト庫9に紙幣を振り分けて収納する方法も可能である。
【0086】
次に、前述の図13および図16の制御で説明した入金計数処理時の下流メイン搬送路50bの制御について説明する。
入金計数時、入金リジェクト紙幣は一枚毎に下流メイン搬送路50bを起動し、下流メイン搬送路50b上に保留する。下流メイン搬送路50bに保留した入金リジェクト紙幣を返却時に入出金口2にスタックする際、紙幣と紙幣の間隔が十分開いていないと、先にスタックした紙幣に後続の紙幣がぶつかりスタック性能が悪くなる。このため、下流メイン搬送路50bに保留する入金リジェクト紙幣の間隔は入出金口2のスタックに最適な間隔を保持していることが好ましい。また、装置の小型化を図るためには、下流メイン搬送路50bの長さを長くすることはできないので、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bになるべくたくさん保留するために、入金リジェクト紙幣が搬送されてきたときだけ下流メイン搬送路50bを回転し、入金リジェクト紙幣がない場合は下流メイン搬送路50bを停止する制御を行う。
【0087】
図24は、下流メイン搬送路50bの具体的な起動・停止制御を説明するための図である。
入金計数時のメイン搬送路の搬送速度をvmm/ms、下流メイン搬送路50bが上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる時間をt3ms、エンコーダA(301)の1カウント当たりの搬送路の移動量eamm/カウント、入金紙幣判別部3から下流メイン搬送路50bの入口までの搬送路長をL2mmとする。下流メイン搬送路50bが上流メイン搬送路50aと同じ速度まで立ち上がる間に入金リジェクト紙幣が移動する距離は(v×t3)mmであるので、下流メイン搬送路50bの入口からマージンとしてαを加えた(v×t3+α)mm分手前に入金リジェクト紙幣が到達したら下流メイン搬送路50bを起動するようにすれば、紙幣が下流メイン搬送路50bに到達したときには下流メイン搬送路50bは上流メイン搬送路50aと同じ速度に到達している。この位置を下流メイン搬送路起動タイミング352と設定する。この起動タイミングが図29の下流メイン搬送路制御用テーブル900に起動タイミング902として登録される。
【0088】
入金紙幣判別部3から下流メイン搬送路起動タイミング352までの距離は(L2−(v×t3+α))mmである。よって、下流メイン搬送路50bに搬送される紙幣の先端が入金紙幣判別部3を通過した時点からエンコーダA301のカウントを開始し、エンコーダA301のカウント値が((L2−(v×t3+α))/ea)カウントになり紙幣が下流メイン搬送路起動タイミング352に到達した時点から下流メイン搬送路50bの起動を開始し(図24(a))、下流メイン搬送路50bの走行速度を上流メイン搬送路50aとほぼ同じ程度の速度まで回転させ、入金リジェクト紙幣を順次下流メイン搬送路50bに保留していく。入金リジェクト紙幣の後端が下流メイン搬送路入口センサ312を通過した後、一定量進んだ所で下流メイン搬送路50bを停止する(図24(b))。また、下流メイン搬送路50bの停止途中にさらに次の入金リジェクト紙幣が下流メイン搬送路起動タイミング352に到達した場合は、下流メイン搬送路50bの停止をやめ、すぐに下流メイン搬送路50bを起動して下流メイン搬送路50bの速度を上流メイン搬送路50aと同じ程度まで上げる(図24(c))。
【0089】
このように入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bに受け渡す場合のみ下流メイン搬送路50bを起動し、入金リジェクト紙幣がこない場合は下流メイン搬送路50bに搬送した紙幣の後端をセンサで検出してから下流メイン搬送路50bを停止するように制御することにより、どのようなサイズの紙幣にも対応して、下流メイン搬送路50bにほぼ等間隔に最大限の入金リジェクト紙幣をためておくことが可能である。
【0090】
次に、入金計数処理中の下流メイン搬送路50bに保留されたリジェクト券の異常検知方法について説明する。
まず、入金リジェクト紙幣の満杯検知について説明する。入金リジェクト紙幣の満杯検知は、枚数によって行う方法と物理的な満杯検知によって行う方法がある。
枚数によって満杯検知を行う方法では、入金リジェクト満杯検知枚数を設定しておき、入金紙幣判別部3で判定した入金リジェクト枚数が入金リジェクト検知枚数になった場合に入金リジェクト紙幣の満杯を検知し、入金計数処理を中断する(図13のステップS67の処理)。
【0091】
物理的に満杯検知を行う方法では、下流メイン搬送路50bの終端より手前に入金リジェクトニア満杯センサ313'を取り付けておき、一番最初に下流メイン搬送路50bに保留された入金リジェクト紙幣が入金リジェクトニア満杯センサ313'に到達した場合に満杯を検知し、入金計数処理を中断する。このようにして、入金リジェクト紙幣の満杯を検知する。なお、この場合の入金リジェクトニア満杯センサ313'は下流メイン搬送路出口センサ313と兼用するようにしても下流メイン搬送路出口センサ313の手前に別個に設けるようにしてもよい(図16のステップS105の処理)。
【0092】
次に、入金リジェクト紙幣のジャムチェックについて説明する。下流メイン搬送路50bに備え付けられたエンコーダC303のカウント値を使用して、入金計数中に下流メイン搬送路50bを間欠駆動する間も保留されている紙幣の位置を管理する。エンコーダC303は、下流メイン搬送路50bが駆動している間はカウントを行い、下流メイン搬送路50bが停止するとカウントを停止する。下流メイン搬送路50bに搬送された紙幣は、下流メイン搬送路50bの入口部に備え付けた下流メイン搬送路入口センサ312により紙幣の通過を検知する。下流メイン搬送路入口センサ312で紙幣の先端を検出した時刻のエンコーダC303のカウント値を制御部11のメモリに記憶する。
【0093】
下流メイン搬送路入口センサ312より入金リジェクトニア満杯センサ313'までの距離から、入金リジェクト紙幣が下流メイン搬送路入口センサ312を通過してから入金リジェクトニア満杯センサ313'に到達するまでのエンコーダC303のカウント値が算出できるので、入金リジェクトニア満杯センサ313'通過予定のエンコーダC303のカウント値になっても入金リジェクト紙幣が検出できない場合は、下流メイン搬送路50b内で滞留しているものとして異常を検出し、直ちに入金計数処理を中断する。
【0094】
次に、入金リジェクト紙幣の湧きだしチェックについて説明する。
まず、入金計数時は入出金口2のスタック入口の手前にある出金口ゲートを入出金口2側を閉じる向きに切り替えておくことにより、誤って入金リジェクト紙幣が入出金口2に搬送されてしまうことを防止する。出金口ゲートの下流にある搬送路には入金リジェクト紙幣の湧きだしを検知するための湧きだしチェックセンサ315を取り付けておく。また、入出金口2側の搬送路の湧きだしチェックは入出金口スタック入口センサ314を使用してチェックする。入金リジェクト紙幣が誤って搬送されてきたのを湧きだしチェックセンサ315、入出金口スタック入口センサ314で検出した場合は、直ちに上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路を停止し、入金計数処理を中断する。
このように、入金計数処理中に下流メイン搬送路のリジェクト券の異常検知を行うことにより、装置の信頼性を向上させることが可能である。
【0095】
以上のように入金計数時下流メイン搬送路50bに保留された入金リジェクト紙幣は、入金リジェクト返却処理時に入出金口2に搬送され利用者に返却される。入金リジェクト返却処理では、入出金口2の押板23を移動して入出金口2のスタック準備後、下流メイン搬送路50bを駆動し、下流メイン搬送路50b上に保留した紙幣を入出金口2に収納する動作を行う。このとき、下流メイン搬送路出口センサ313で紙幣の間隔を検出し、間隔が十分あいていない紙幣を検出した場合は、その紙幣が入出金口2にスタックされる前に下流メイン搬送路50bの速度を落とし、先にスタックされた紙幣との間隔時間を広げる制御を行うことも可能である。さらに、入金計数時に入金リジェクト紙幣のリジェクト要因をリジェクトされた順に記憶しておき、入金リジェクト返却時に入金リジェクト紙幣の内、搬送状態が悪くてリジェクトされた紙幣は入出金口2に返却し、紙幣の鑑別がうまくできなかった紙幣については直接入出金口2に搬送せず一旦上流メイン搬送路50a側に搬送し、再度入金紙幣判別部3で紙幣を判定する入金リジェクト紙幣の再鑑を行うことも可能である。
【0096】
次に、入金リジェクト返却処理中の異常検知について説明する。
まず、入金リジェクト紙幣のジャムチェックについて説明する。下流メイン搬送路50bに保留されている各紙幣について、入金計数時にメモリに記憶した下流メイン搬送路入口センサ312通過時のエンコーダC303のカウント値から、入金リジェクト返却時に下流メイン搬送路出口センサ313を通過するエンコーダC303の値を予測し、予定のカウント値になっても紙幣が下流メイン搬送路出口センサ313に到達しない場合は、下流メイン搬送路50b内で紙幣が滞留しているものとして異常を検出し、直ちに下流メイン搬送路50bを停止し、入金リジェクト返却処理を中断する。
【0097】
次の、入金リジェクト紙幣の枚数チェックについて説明する。
入金計数時、下流メイン搬送路入口センサ312を通過した入金リジェクト紙幣の枚数と入金リジェクト返却時に入出金口スタック入口センサ314を通過した入金リジェクト紙幣の枚数を比較して、一致していればジャム等はなく正しく入出金口2にリジェクト紙幣がスタックされたものとし、一致していなければどこかに紙幣が滞留している可能性があるので異常とし、入金リジェクト返却処理を中断する。
以上のように、入金リジェクト返却処理中の異常検知を行うことにより、装置の信頼性を向上させることが可能である。
さらに入金リジェクト返却処理時のスタック性能を向上させるために、下流メイン搬送路駆動モータを通常の搬送よりも遅い速度で駆動し、下流メイン搬送路50bに保留した紙幣を入出金口2に移動するようにもしている。
【0098】
以上のように入金リジェクト紙幣の管理を行うことにより、入金リジェクト紙幣を搬送路上に一時保留して直接入出金口2に集積する装置の信頼性を向上させることが可能となる。これにより、一時保留する空間を必要としない簡素で低コストの装置を実現できる。
また、上記の紙幣取扱装置1では入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路50bに一時保留するするようにしているが、入金リジェクト紙幣を一時保留せずに直接入出金口2に入出金2の分離しつつある入金紙幣の後ろ側にスタックして返却してもよいし、入金リジェクト紙幣をスタックする別のスタッカを設け、そこに入金リジェクト紙幣を一旦スタックした後、入出金口2に入金リジェクト紙幣を移動させて返却してもよい。
【0099】
最後に異常検知後の紙幣取扱装置1の復旧処理について説明する。
異常検知後、紙幣取扱装置1を復旧するための動作としては、一時集積部4、入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9のユニット搬送路51〜57にあるゲートはすべて閉じておき、入出金口2のユニット搬送路58にあるゲートは入出金口2側に向けておく。入出金口2をスタック状態に準備しておき、上流メイン搬送路50aと下流メイン搬送路50bを同時に駆動する。この時、一時保管庫4のユニット搬送路51に残留紙幣がある場合は、同時に一時保管庫4の回転ドラム41も入金計数時と同じ方向に駆動する。一時保管庫4のユニット搬送路51に紙幣が残留している場合、一時保管庫4に搬送される側に紙幣が残留していれば一時保管庫4側に残留紙幣が搬送されるので回転ドラム41に巻き付けておく。下流メイン搬送路50bに送出する側に紙幣が残留していれば下流メイン搬送路50bに送出されるので、入出金口2に収納される。
【0100】
このように、一時保管庫4の回転ドラム41は異常時の復旧処理時に受渡し搬送路の紙幣を巻き取る必要があるので、入金計数時に一時保管庫4の満杯を検出した後でも復旧動作が可能なように、誘導テープ43のニア満杯検知は真の満杯位置から復旧動作でユニット搬送路51の残留紙幣を巻き取り可能なだけ手前に設定しておく必要がある。また、誘導テープ43の真の満杯位置を検出している状態で、まだ一時保管庫4のユニット搬送路51に残留紙幣がある場合は、残留紙幣を取り除くまで復旧動作させないようにする。このように動作させることにより、搬送路5の残留紙幣は入出金口2に搬送され、一時保管庫4に収納される側のユニット搬送路51の残留紙幣は一時保管庫4に搬送される。
【0101】
この動作が終了した後、一時保管庫4に紙幣が無い場合は、一時保管庫4の誘導テープ43は初期位置に戻しておく。また、前記動作終了後、一時保管庫4に紙幣がある場合は、異常後の処理で係員が一時保管庫4の紙幣を触る可能性があり、一時保管庫4に巻き付けている紙幣の順序が不正になるので入金庫6やリサイクル庫8には収納せず、必ず一時保管庫4の全ての紙幣を入出金口2に搬送して返却する。以上のように復旧動作を行えば、復旧動作後は常に残留紙幣は入出金口2に収納されていて、一時保管庫4は初期状態にすることが可能である。
【0102】
また、上記の紙幣取扱装置1の収納庫の構成は入金庫6、出金庫7、リサイクル庫8、リジェクト庫9となっているが、入金庫6のみで入金専用の装置とすることも可能である。
【0103】
なお、上記実施例では、一時保管庫に収納した紙幣を紙幣判別部での判別に応じた収納庫に収納するための搬送路と入金リジェクト紙幣を貯留するための搬送路を同一の下流メイン搬送路で兼用しているが、図16を用いて説明した如きタイミング制御が行われる下流メイン搬送路を入金紙幣収納のための搬送路と別個に設けることも可能である。
また、上記実施例では、入金リジェクト紙幣を下流メイン搬送路上に貯留したが、これに限定されず、入金リジェクト庫を設けてこれに一旦貯留するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置を実装した現金自動取引装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る装置の制御関係を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の実施例に係る一時保管庫の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る入金庫の側面図である。
【図6】本発明の実施例に係る出金庫の側面図である。
【図7】本発明の実施例に係るリサイクル庫の側面図である。
【図8】本発明の実施例に係るユニット搬送路の側面図である。
【図9】本発明の実施例に係る紙幣取引装置の制御関係を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例に係る入金取引を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施例に係る入金計数処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施例に係る入金計数処理における入出金口分離処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の実施例に係る入金計数処理における紙幣判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の実施例に係る入金計数処理における回転ドラム起動/停止処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施例に係る入金計数処理における一時保管庫登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の実施例に係る入金計数処理における下流メイン搬送路起動/停止処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の実施例に係る入金計数処理におけるゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の実施例に係る入金リジェクト返却処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明の実施例に係る入金収納処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の実施例に係る入金収納処理における一時保管庫処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の実施例に係る入金収納処理における入金庫ゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の実施例に係る入金収納処理におけるリサイクル庫ゲート制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】一時保管庫の回転ドラムの起動・停止制御の説明図である。
【図24】下流メイン搬送路の起動・停止制御の説明図である。
【図25】制御部のメモリに格納された入金紙幣情報テーブルの一例を示す図である。
【図26】制御部のメモリに格納された入金計数のためのゲート制御用テーブル(入金計数)の一例を示す図である。
【図27】制御部のメモリに格納された入金収納のためのゲート制御用テーブル(入金収納)の一例を示す図である。
【図28】制御部のメモリに格納された回転ドラム制御用テーブルの一例を示す図である。
【図29】制御部のメモリに格納された下流メイン搬送路制御用テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1:紙幣取扱装置、
2:入出金口、21:フィードローラ、22:ゲートローラ、23:押板、24:ブラシローラ、25:スタックローラ、26:シャッタ、
3:入金紙幣判別部、31:2枚検知部、32:鑑別部、301:エンコーダA、302:エンコーダB、303:エンコーダC、311:一時保管庫通過センサ、312:下流メイン搬送路入口センサ、313:下流メイン搬送路出口センサ、313':入金リジェクト満杯センサ、314:入出金口スタック入口センサ、315:湧き出しチェックセンサ、
4:一時保管庫、41:回転ドラム、42:巻き取り軸、43:誘導テープ、44:バックアップローラ、45:入口ローラ、
5:紙幣搬送路、50:メイン搬送路、50a:上流メイン搬送路、50b:下流メイン搬送路、51〜58:ユニット搬送路、
6:入金庫、
7:出金庫、
8:リサイクル庫、
9:リジェクト庫、
10:出金紙幣判別部、
11:制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を紙幣判別部で判別し、判別結果に応じて複数の紙幣収納庫に収納する紙幣取扱装置において、
前記紙幣判別部で判別された紙幣を回転ドラムと誘導体とで順次巻き付けて一旦収納する一時保管庫と、
前記紙幣判別部での紙幣の判別または一時保管庫への搬送のタイミングに応答して、前記一時保管庫の起動および停止を制御する制御手段とを有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項2】
紙幣を紙幣判別部で判別し、判別結果に応じて複数の紙幣収納庫に収納する紙幣取扱装置において、
紙幣を搬送する搬送路と、紙幣を回転ドラムに巻き付けて一時収納する一時保管庫と、
紙幣が前記判別部を通過した後で且つ前記一時保管庫に到着する前に前記回転ドラムを起動する制御手段とを有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項3】
請求項2記載の紙幣取扱装置において、
前記搬送路の搬送速度をvとし、前記回転ドラムが前記搬送速度vと略同じ速度まで立ち上がる時間をt1としたとき、前記制御手段は、前記一時保管庫の入り口から(v×t1)以上離れた前記搬送路上に紙幣があるときに前記回転ドラムを起動することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項4】
入金された紙幣を繰り出す入金口と、前記入金口から繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によつて搬送された紙幣を一時保管する一時保管庫とを有する紙幣取扱装置において、
前記一時保管庫は、紙幣を順次巻きつけて保管する回転ドラムと誘導体とを含み、前記入金口の限度枚数以上の紙幣を保管可能なことを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項5】
請求項4記載の紙幣取扱装置において、
前記搬送部の搬送速度をvとし、前記入金口の限度枚数をxとし、前記前記入金口が紙幣を分離する分離速度をyとしたとき、前記誘導体は、少なくとも[v×x/y]以上の長さがあることを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項1】
紙幣を紙幣判別部で判別し、判別結果に応じて複数の紙幣収納庫に収納する紙幣取扱装置において、
前記紙幣判別部で判別された紙幣を回転ドラムと誘導体とで順次巻き付けて一旦収納する一時保管庫と、
前記紙幣判別部での紙幣の判別または一時保管庫への搬送のタイミングに応答して、前記一時保管庫の起動および停止を制御する制御手段とを有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項2】
紙幣を紙幣判別部で判別し、判別結果に応じて複数の紙幣収納庫に収納する紙幣取扱装置において、
紙幣を搬送する搬送路と、紙幣を回転ドラムに巻き付けて一時収納する一時保管庫と、
紙幣が前記判別部を通過した後で且つ前記一時保管庫に到着する前に前記回転ドラムを起動する制御手段とを有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項3】
請求項2記載の紙幣取扱装置において、
前記搬送路の搬送速度をvとし、前記回転ドラムが前記搬送速度vと略同じ速度まで立ち上がる時間をt1としたとき、前記制御手段は、前記一時保管庫の入り口から(v×t1)以上離れた前記搬送路上に紙幣があるときに前記回転ドラムを起動することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項4】
入金された紙幣を繰り出す入金口と、前記入金口から繰り出された紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によつて搬送された紙幣を一時保管する一時保管庫とを有する紙幣取扱装置において、
前記一時保管庫は、紙幣を順次巻きつけて保管する回転ドラムと誘導体とを含み、前記入金口の限度枚数以上の紙幣を保管可能なことを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項5】
請求項4記載の紙幣取扱装置において、
前記搬送部の搬送速度をvとし、前記入金口の限度枚数をxとし、前記前記入金口が紙幣を分離する分離速度をyとしたとき、前記誘導体は、少なくとも[v×x/y]以上の長さがあることを特徴とする紙幣取扱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−309785(P2006−309785A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169923(P2006−169923)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【分割の表示】特願平10−25368の分割
【原出願日】平成10年2月6日(1998.2.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【復代理人】
【識別番号】100102587
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 昌幸
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【分割の表示】特願平10−25368の分割
【原出願日】平成10年2月6日(1998.2.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【復代理人】
【識別番号】100102587
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 昌幸
【Fターム(参考)】
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