紙製容器の製造法
【課題】本発明は紙製容器の底板を収容部内にアーチ状又は球状に膨入する湾曲形態を適切に形成できる紙製容器の製造法を提供する。
【解決手段】底板6と底板6から起立する四側板にて上方へ開口せる収容部を形成し、底板6が該収容部内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成る紙製容器1A(1B)の製造法において、上記四側板の内面を規制する四側面を有する型12A(12B)を用い、上記紙製容器1A(1B)の展開ブランク板1A′(1B′)の四側板を上記型12A(12B)の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記型12A(12B)に組み込んだ吸盤32で上記底板6を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲する紙製容器の製造法。
【解決手段】底板6と底板6から起立する四側板にて上方へ開口せる収容部を形成し、底板6が該収容部内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成る紙製容器1A(1B)の製造法において、上記四側板の内面を規制する四側面を有する型12A(12B)を用い、上記紙製容器1A(1B)の展開ブランク板1A′(1B′)の四側板を上記型12A(12B)の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記型12A(12B)に組み込んだ吸盤32で上記底板6を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲する紙製容器の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は底板と底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口した収容部を有し、底板が該収容部内に向けアーチ状又は球状に湾曲した形態を呈する紙製容器の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製容器の底板を同容器の収容部内へ向け湾曲した形態にすることにより、容器を湾曲底板のコーナー部四点、又は対向する二辺において安定に設置でき、収容物の重量に対する底板強度を強化した紙製容器が既知である。
【0003】
特許文献1乃至4は底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口した収容部を形成し、底板が該収容部内にアーチ状又は球状に湾曲した形態を呈する紙製容器を開示しており、この特許文献1乃至4に示す底板をアーチ状又は球状に付形した紙製容器は下記のa乃至cの構成を有している。
【0004】
a.底板の四辺又は対向する二辺を外側方へ膨出する湾曲辺としている。
【0005】
b.上記底板四辺から立ち上げられた四側板を有し、底板と四側板にて上方へ開口せる収容部を画成している、
【0006】
c.少なくとも対向する二側板が外側方へ膨出する湾曲板から成り、底板が上記収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲板から成る。
【特許文献1】実開昭62−197517号公報
【特許文献2】実開平7−37975号公報
【特許文献3】特開平8−324542号公報
【特許文献4】特開2000−33934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の通り、上記紙製容器においては底板を収容部内に膨入する湾曲形態にすることにより、収容部内の収容物の重量が底板の二辺、又は底板の四コーナー部に集中して負荷され、底板を接地面に設置させることなく上記二辺又は四コーナー部で同紙製容器を安定に設置できる。
【0008】
又底板の架橋強度を向上し、持ち運び時に収容物の重量で底板が下方へ撓んでしまう問題を可及的に解消できる。
【0009】
然しながら、上記紙製容器の展開ブランク板から四側板を押し下げて同容器を形成する場合に、必然的に底板が収容部内へ膨入する湾曲形態が得られるわけではなく、手作業による底板の付形作業が必要とされている。
【0010】
上記底板を容器の収容部内へ確実に膨入する手段については、上記特許文献1乃至4等には全く示唆が無く、展開ブランク板の折り曲げ工程において底板を収容部内へ確実に膨入する湾曲状態に付形し、その目的を適切に実施できるようにする方法が求命題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記展開ブランク板における底板から四側板を折り曲げつつ、該底板の所定の湾曲形態を適切に得ることができる紙製容器の製造法を提供するものである。
【0012】
この紙製容器の製造法においては、上記紙製容器を構成する展開ブランク板の四側板を規制する四側面を有する型と該型に組み込まれた吸盤を用いる。
【0013】
要述すると、上記紙製容器の展開ブランク板の上記底板から四方へ張り出す四側板を上記型の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記四襠板を該起立状態にある対向する一対の側板の外表面に押し付け接着して上記収容部を形成する。
【0014】
上記収容部を形成する過程において上記型に組み込んだ吸盤で上記底板を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲する。
【0015】
上記底板の収容部内への湾曲状態を形成しつつ、これに伴い四側板又は対向する二側板を外側方へ膨出する湾曲状態に付形し、これを保持する。
【発明の効果】
【0016】
上記方法によって、上記紙製容器の底板を収容部内にアーチ状又は球状に膨入する湾曲形態を適切に形成でき、底板を湾曲状にして収容物の負荷を底板の二辺又は四コーナー部に集中させ、同紙製容器を安定に設置し、収容物の重量に対する底板の強度を増加する。
【0017】
又四側板又は二側板を外側方へ湾曲状態に膨出する形状にして、容器の上面開口部に嵌合する蓋体との緊密な嵌合が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態につき図1乃至図22に基づいて説明する。
【0019】
前記のように紙製容器1A,1Bは底板6と底板6の四辺2乃至5から起立した四側板7乃至10にて上方へ開口した収容部11を形成し、底板6が該収容部11内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成り、上記収容部11の四コーナー部において隣接する側板と連結され且つ対向する一対の側板7,9の外表面に折り重ね同表面に接着された四襠板16乃至19を有する。
【0020】
紙製容器1A,1Bの底板6を同容器1の収容部11内へ向け湾曲した形態にすることにより収容部11に対する底板強度を増加し、容器を湾曲底板6のコーナー部の四点P1、又は対向する二辺3,5において安定に設置することができる。又容器1の四側板7乃至10又は対向する二側板7,9を外側方へ膨出する湾曲状態にすることにより、四側板7乃至10の上端に嵌合される蓋体との緊密な嵌合が可能となる。
【0021】
詳述すると、底板6をアーチ状に膨入した第一の紙製容器1Aは下記a乃至fの構成を有する(図1,図3,図6参照)。
【0022】
a.対向する第一、第三辺2,4を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とし、他の対向する第二、第四辺3,5を互いに平行な直線辺とした、上下に弾力的に撓むことができる底板6を有する。
【0023】
b.上記底板6の第一乃至第四辺2乃至5から立ち上げられた互いに連結する第一乃至第四側板7乃至10を有し、底板6と第一乃至第四側板7乃至10にて上方へ開口せる収容部11を画成する。第一乃至第四側板7乃至10は内外へ弾力的に撓むことができる。
【0024】
c.上記第一乃至第四側板7乃至10の隣接部間に連成され、対向する第一、第三側板2,4の外表面に折り重ね同表面に接着された第一乃至第四襠板16乃至19を有する。
【0025】
d.上記四側板7乃至10は底板6の第一乃至第四辺2乃至5から上端に向け漸次拡大する逆台形形状を呈する。即ち折線21を斜辺とする逆台形形状にする。
【0026】
e.上記対向する二側板7,9を外側方へ膨出する湾曲板にする。
【0027】
上記湾曲辺から成る第一、第三辺2,4から立ち上がる第一、第三側板7,9はその略全高において外方へ膨出するように湾曲し、直線辺から成る第二,第四辺3,5から立ち上がる第二,第四側板8,10は略平板状である。
【0028】
f.上記底板6が直線辺である第二,第四辺3,5間において上記収容部11内へアーチ状に湾曲する。従って第一、第三辺2,4は上方へ膨入する湾曲形態を呈する。
【0029】
上記容器1Aは直線辺である第二,第四辺3,5によって置設面に支持され、第一,第三辺2,4及び底板6は置設面から浮き上がった状態に置かれる。
【0030】
図1に示すように、上記第一の紙製容器1Aにおける上記第一乃至第四側板7乃至10は底板6側において幅狭で上端縁へ向け漸次幅広となる逆台形を呈し、又上記隣接する側板7乃至10間に配された第一乃至第四襠板16乃至19はデルタ形を呈する。
【0031】
上記第一乃至第四襠板16乃至19は底板6のコーナー部P1において終端する中央折線20によって二つのデルタ片に分かれ、該両デルタ片を中央折線20から二つ折りして重ね合わせ、該二つ折り襠板の内側デルタ片を上記湾曲辺2,4から立ち上がる上記第一,第三側板7,9の外表面に接着する。この接着によって上記第一、第三側板7乃至9の外方へ膨出する湾曲形状と底板6のアーチ状湾曲状態が保形される。
【0032】
同様に各側板7乃至10と各襠板16乃至19間には底板6のコーナー部P1で終端する折線21が存在し、各側板7乃至10と底板6間に底板6の四辺2乃至5上に延びる折線22が存する。
【0033】
各側板7乃至10は折線22を介して底板6の四辺2乃至5から立ち上げ、各襠板16乃至19は折線21を介して側板7乃至10のコーナー部から外方へ折線22より二つ折りしつつ張り出し、上記第一,第三側板7,9の外表面への接着を図る。
【0034】
上記第一の紙製容器1Aは上記第一乃至第四襠板16乃至19を開くことにより図1に示す平板から成る展開ブランク板1A′が形成される。
【0035】
次に底板6を収容部11内へ球状に膨入した第二の紙製容器1Bは下記a乃至fの構成を有する(図2,図3,図7参照)。
【0036】
a.対向する第一、第三辺2,4を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とし、他の対向する第二、第四辺3,5を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とした、上下に弾力的に撓むことができる底板6を有する。
【0037】
b.上記底板6の上記第一乃至第四辺2乃至5から立ち上げられた互いに連結する第一乃至第四側板7乃至10を有し、底板6と第一乃至第四側板7乃至10にて上方へ開口せる収容部11を画成する。該第一乃至第四側板7乃至10は内外へ弾力的に撓むことができる。
【0038】
c.上記第一乃至第四側板7乃至10の隣接部間に連成され、対向する第一、第三側板2,4の外表面又は第二、第四側板8,10の外表面に折り重ね同表面に接着された第一乃至第四襠板16乃至19を有する。
【0039】
d.上記四側板7乃至10は底板6の第一乃至第四辺2乃至5から上端に向け漸次拡大する逆台形形状を呈する。即ち折線21を斜辺とする逆台形形状にする。
【0040】
e.上記第一乃至第四側板7乃至10が外側方へ膨出する湾曲板から成る。
【0041】
上記湾曲辺から成る第一乃至第四辺2乃至5から立ち上がる第一乃至第四側板7乃至10はその略全高において湾曲する。
【0042】
f.上記底板6が上記収容部11内へ球状に膨入する湾曲板から成る。従って第一乃至第四辺2乃至5は上方へ膨入する湾曲形態を呈する。
【0043】
上記容器1Bは底板の四コーナー部P1によって置設面に支持され、底板6の四辺2乃至5及び底板6は置設面から浮き上がった状態になる。
【0044】
図2に示すように、上記第二の紙製容器1Bにおける上記第一乃至第四側板7乃至10は底板6側において幅狭で上端縁へ向け漸次幅広となる逆台形を呈し、又上記隣接する側板7乃至10間に配された第一乃至第四襠板16乃至19はデルタ形を呈する。
【0045】
上記第一乃至第四襠板16乃至19は底板6のコーナー部において終端する中央折線20によって二つのデルタ片に分かれ、該両デルタ片を中央折線20から二つ折りして重ね合わせ、該二つ折り襠板の内側デルタ片を上記第一,第三側板7,9、又は第二、第四側板8,10の外表面に接着する。この接着によって上記第一乃至第四側板7乃至10の湾曲形状と底板6の球状湾曲形状が保形される。
【0046】
同様に各側板7乃至10と各襠板16乃至19間には底板6のコーナー部P1で終端する折線21が存在し、各側板7乃至10と底板6間に底板6の四辺2乃至5上に延びる折線22が存する。
【0047】
各側板7乃至10は折線22を介して底板6の四辺2乃至5から立ち上げ、各襠板16乃至19は折線21を介して側板7乃至10のコーナー部P1から外方へ折線22より二つ折りしつつ張り出し、上記第一,第三側板7,9、又は第二、第四側板8,10の外表面への接着を図る。
【0048】
上記第二の紙製容器1Bは上記第一乃至第四襠板16乃至19を開くことにより図2に示す平板から成る展開ブランク板1B′が形成される。
【0049】
図8,図9,図17乃至図22に示すように、上記第一紙製容器1Aを付形する型12Aと、上記第二紙製容器1Bを付形する型12Bは、四側壁33乃至36と底壁37を有し、該四側壁33乃至36と底壁37にて上方で開放された室38を画成し、全体として箱形を呈する。
【0050】
上記型12A,12Bの四側壁33乃至36の四側面23,23′にて、上記四側板7乃至10を規制する。即ち紙製容器1A,1Bの収容部11の内周面を規制する四側壁33乃至36、即ち四側面23,23′を有する。
【0051】
上記紙製容器1Aの側板7,9に対応する型12Aの対向する二側壁33,35又は二側面23は外方へ膨出する湾曲形態にし、同側板8,10に対応する型12Aの他の対向する二側壁34,36又は二側面23′は平面にする。
【0052】
又容器1Aの底板6の直線辺(第二、第四辺)3,5に対応する型12Aの二側壁34,36の上端面14は直線面にし、底板6の湾曲辺(第一、第三辺)2,4に対応する型12Aの二側壁の33,35の上端面15は下方へ湾曲する湾曲面にし、四側板7乃至10の起立付形時に上記展開ブランク板1A′の底板6の直線辺(第二、第四辺)3,5を上記二側壁34,36の上端面14の直線面で支持する。
【0053】
他方上記紙製容器1Bの四側板7乃至10に対応する型12Aの四側壁33乃至36又は四側面23,23′は、外方へ膨出する湾曲形態にする。
【0054】
又容器1Bの底板6の四湾曲辺(第一乃至第四辺)2乃至5に対応する型12Bの四側壁33乃至36の上端面14,15は下方へ湾曲する湾曲面にし、四側板7乃至10の起立付形時に上記展開ブランク板1B′の四コーナー部P1にて四点支持する構成にする。
【0055】
図17乃至図22に示すように、上記型12A,12Bには吸盤32を組み込む。即ち上記室38内に吸盤32を組み込む。
【0056】
上記吸盤32はその周壁が蛇腹構造41を有して上下に収縮と伸長が可能であり、柔軟性を有する材質にて形成されている。
【0057】
上記吸盤32をその吸着面が上記室38の開口面から上方へ突出するように配置し、即ち型12A,12Bの上面から上方へ突出するように配置し、該型12A,12Bの底壁37を貫く吸引管39にて吸引力を与える。
【0058】
又型12A,12Bの底壁37の中心部を軸40にて支持し、該軸40を上下することにより上記型12A,12Bを吸盤32と一緒に上下できるようにする。
【0059】
図19,図20に示すように、上記吸盤32は室38内の中央部、即ち型12A,12Bの中央部に単数配設し、該吸盤32の上端面、即ち吸着面を室38の開口面、即ち四側壁33乃至36の上端面14,15から上方へ所定量突出した状態にする。
【0060】
又は図21,図22に示すように、複数の吸盤32を室38内に並設し、該各吸盤32の上端面、即ち吸着面を室38の開口面、即ち四側壁33乃至36の上端面14,15から上方へ所定量突出した状態にする。各吸盤32の室38の開口面からの突出量は略同寸法にする。
【0061】
次に図10乃至図16に基づき上記紙製容器1A,1Bの製造工程について説明する。
【0062】
図10A,B、図11、図12に示すように、上記展開ブランク板1A′,1B′の第一乃至第四襠板16乃至19を形成するデルタ片の一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する。
【0063】
例えば図10A,Bに示すように、接着材転着ローラー24にて接着材付けローラー25の周面から突出し離間して配した接着材塗布パッド26に接着材を転着する。この接着材塗布パッド26間の間隔を上記一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する間隔に設定する。
【0064】
よって上記展開ブランク板1A′,1B′を水平に搬送しつつ、各接着材付けローラー25の回転によって接着材塗布パッド26により上記第一乃至第四襠板16乃至19を形成するデルタ片の一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する。
【0065】
次に図14Aに示すように、上記型12A,12Bの吸盤32上に展開ブランク板1A′,1B′の底板6を載荷し、展開ブランク板1A′,1B′を水平に支持する。即ち展開ブランク板1A′,1B′を型12A,12Bの四側壁33乃至36の上端面14,15から、即ち型12A,12Bから上方へ離間した状態で吸盤32上に支持し、該吸盤32で底板6を吸着する。
【0066】
上記第一乃至第四側板7乃至10と第一乃至第四襠板16乃至19は吸盤32及び型12A,12Bの四側壁33乃至36の側方へ水平に張り出す。
【0067】
次に図14Bに示すように、上記吸盤32が底板6を吸着を進行するに伴って、その蛇腹構造41により下方へ収縮し、この収縮過程で底板6を型12A,12B上に支持する。
【0068】
即ち、展開ブランク板1A′の場合には、底板6の二直線辺(第二,第三辺)3,5を型12Aの二側壁34,36の上端面14上に支持する。
【0069】
又展開ブランク板1B′の場合には、底板6の四コーナー部P1を型12Bの四コーナー部P1′に支持する。
【0070】
図13,図14B,図15A,図16Aに示すように、上記型12A,12Bを上記展開ブランク板1A′,1B′の吸着支持状態において垂直に上昇し、固定設置され且つ型12A,12Bの上昇方向に垂直に設置し且つ対向して配置されている第一、第二ガイド柱27間に押し込み、上記第一、第三側板7,9又は第二、第四側板8,10を折線22を介して相対的に下方へ折り曲げ、型12A,12Bの対向する二側面23又は23′に押し付ける。
【0071】
図13,図14C,図15B,図16Bに示すように、引き続き上記型12A,12Bを垂直に上昇し、時差を以って上記展開ブランク板1A′,1B′を第三、第四ガイド柱28間に押し込む。即ち固定設置し且つ型12A,12Bの上昇方向に垂直に設置している第三、第四ガイド柱28間に押し込み、上記第二、第四側板8,10又は第一、第三側板7,9を相対的に下方へ折り曲げ、型12A,12Bの他の対向する二側面23′又は23に押し付ける。この間上記第一、第二ガイド柱27による側板の規制を保持している。
【0072】
上記第一、第二ガイド柱27の下端は第三、第四ガイド柱28の下端より下方へ長くし、上記折り曲げ時差を設定する。
【0073】
次に図13,図14D,図15C,図16Cに示すように、上記側板7乃至10の折り曲げに伴い、第一乃至第四襠板16乃至19を各隣接する側板間のコーナー部から外方へ折線20,21を介して二つ折りしつつ張り出す。
【0074】
この張り出した第一乃至第四襠板16乃至19を、第三、第四ガイド柱28による上記側板の折り曲げと略同時に、型12A,12Bの上昇方向に垂直に且つ固定設置している第五、第六ガイド柱29間に押し込んで、各襠板16乃至19の一方のデルタ片を接着剤31を以って第一、第三側板7,9の外表面に接着する。
【0075】
上記第一乃至第四襠板16乃至19を接着する間、第一乃至第四ガイド柱27,28による第一乃至第四側板7乃至10の折り曲げ状態を保持し、この保持状態において上記襠板の接着を図る。
【0076】
上記襠板の接着を以って紙製容器1A,1Bの形状を保形し、且つ側板7乃至10中の二側板又は四側板の湾曲形態を保形する。
【0077】
上記第一乃至第四ガイド柱27,28は底板6の四辺2乃至5に対向して配され、第五、第六ガイド柱29は底板6の四コーナー部P1付近に対向して配置され、各ガイド柱が全体として平面視箱形に配置される。
【0078】
図14A乃至Eに示すように、吸盤32は展開ブランク板1A,1Bの底板6を吸着しつつ下方へ収縮し、図14Eに示すように収縮下限において容器1A,1Bの底板6を室38の開口を通して室38内へ、即ち下方へ膨入する如く湾曲し、完成した容器1A,1Bの底板6が収容部11内へアーチ状又は球状に膨入した湾曲状態にする。
【0079】
上記アーチ状又は球状の膨入形態は底板6が水平面をデットポイントとして収容部11内へ弾性的に膨入することにより弾力保持される。
【0080】
上記吸盤32は底板6をアーチ状又は球状に膨入した後、吸引を止め、容器1A,1Bを開放し、蛇腹構造41により伸長状態に復元する。
【0081】
上記紙製容器1A,1Bの底板6を収容部11内にアーチ状又は球状に膨入する湾曲形態を適切に形成でき、底板6を湾曲状にして収容物の負荷を底板6の二辺又は四コーナー部に集中させ、同紙製容器1A,1Bを安定に設置し、収容物の重量に対する底板6の強度を増加する紙製容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第一の紙製容器の展開ブランク板の平面図。
【図2】第二の紙製容器の展開ブランク板の平面図。
【図3】第一、第二の紙製容器の側面図。
【図4】第一の紙製容器の平面図。
【図5】第二の紙製容器の平面図。
【図6】第一の紙製容器の断面図。
【図7】第二の紙製容器の断面図。
【図8】第一の紙製容器をホールディングする型の斜視図。
【図9】第二の紙製容器をホールディングする型の斜視図。
【図10】A,Bは第一、第二の紙製容器に接着材を塗布する装置を工程順に示す側面図。
【図11】第一の紙製容器の展開ブランク板の接着材塗布位置と型による支持状態を示す平面図。
【図12】第二の紙製容器の展開ブランク板の接着材塗布位置と型による支持状態を示す平面図。
【図13】第一、第二の紙製容器の各展開ブランク板をホールディングする装置を示す側面図。
【図14】A乃至Eは型と吸盤とガイド柱による上記各展開ブランク板のホールディング工程と底板の撓曲工程を工程順に示す断面図。
【図15】A乃至Cは第一紙製容器の展開ブランク板のガイド柱によるホールディング工程と襠板の接着工程を工程順に示す平面図。
【図16】A乃至Cは第二紙製容器の展開ブランク板のガイド柱によるホールディング工程と襠板の接着工程を工程順に示す平面図。
【図17】第一紙製容器における底板を吸盤によりアーチ状に撓曲した状態を示す斜視図。
【図18】第二紙製容器における底板を吸盤により球状に撓曲した状態を示す斜視図。
【図19】吸盤を組み込んだ型の平面図。
【図20】吸盤を組み込んだ型の断面図。
【図21】吸盤を組み込んだ型の他例を示す平面図。
【図22】吸盤を組み込んだ型の他例を示す断面図。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B・・・・・紙製容器
1A′,1B′・・・展開ブランク板
2乃至5・・・・・・底板の第一乃至第四辺
6・・・・・・・・・底板
7乃至10・・・・・第一乃至第四側板
11・・・・・・・・収容部
12A,12B・・・型
14,15・・・・・型の四側壁の上端面
16乃至19・・・・第一乃至第四襠板
20乃至22・・・・折線
23,23′・・・・型の四側面
24・・・・・・・・接着材転着ローラー
25・・・・・・・・接着材付けローラー
26・・・・・・・・接着材塗布パッド
27・・・・・・・・第一、第二ガイド柱
28・・・・・・・・第三、第四ガイド柱
29・・・・・・・・第五、第六ガイド柱
31・・・・・・・・接着材
32・・・・・・・・吸盤
33乃至36・・・・型の四側壁
37・・・・・・・・型の底壁
38・・・・・・・・型の室
39・・・・・・・・吸引管
40・・・・・・・・軸
41・・・・・・・・蛇腹構造
P1・・・・・・・・底板のコーナー部
P1′・・・・・・・型のコーナー部
【技術分野】
【0001】
本発明は底板と底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口した収容部を有し、底板が該収容部内に向けアーチ状又は球状に湾曲した形態を呈する紙製容器の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製容器の底板を同容器の収容部内へ向け湾曲した形態にすることにより、容器を湾曲底板のコーナー部四点、又は対向する二辺において安定に設置でき、収容物の重量に対する底板強度を強化した紙製容器が既知である。
【0003】
特許文献1乃至4は底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口した収容部を形成し、底板が該収容部内にアーチ状又は球状に湾曲した形態を呈する紙製容器を開示しており、この特許文献1乃至4に示す底板をアーチ状又は球状に付形した紙製容器は下記のa乃至cの構成を有している。
【0004】
a.底板の四辺又は対向する二辺を外側方へ膨出する湾曲辺としている。
【0005】
b.上記底板四辺から立ち上げられた四側板を有し、底板と四側板にて上方へ開口せる収容部を画成している、
【0006】
c.少なくとも対向する二側板が外側方へ膨出する湾曲板から成り、底板が上記収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲板から成る。
【特許文献1】実開昭62−197517号公報
【特許文献2】実開平7−37975号公報
【特許文献3】特開平8−324542号公報
【特許文献4】特開2000−33934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の通り、上記紙製容器においては底板を収容部内に膨入する湾曲形態にすることにより、収容部内の収容物の重量が底板の二辺、又は底板の四コーナー部に集中して負荷され、底板を接地面に設置させることなく上記二辺又は四コーナー部で同紙製容器を安定に設置できる。
【0008】
又底板の架橋強度を向上し、持ち運び時に収容物の重量で底板が下方へ撓んでしまう問題を可及的に解消できる。
【0009】
然しながら、上記紙製容器の展開ブランク板から四側板を押し下げて同容器を形成する場合に、必然的に底板が収容部内へ膨入する湾曲形態が得られるわけではなく、手作業による底板の付形作業が必要とされている。
【0010】
上記底板を容器の収容部内へ確実に膨入する手段については、上記特許文献1乃至4等には全く示唆が無く、展開ブランク板の折り曲げ工程において底板を収容部内へ確実に膨入する湾曲状態に付形し、その目的を適切に実施できるようにする方法が求命題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記展開ブランク板における底板から四側板を折り曲げつつ、該底板の所定の湾曲形態を適切に得ることができる紙製容器の製造法を提供するものである。
【0012】
この紙製容器の製造法においては、上記紙製容器を構成する展開ブランク板の四側板を規制する四側面を有する型と該型に組み込まれた吸盤を用いる。
【0013】
要述すると、上記紙製容器の展開ブランク板の上記底板から四方へ張り出す四側板を上記型の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記四襠板を該起立状態にある対向する一対の側板の外表面に押し付け接着して上記収容部を形成する。
【0014】
上記収容部を形成する過程において上記型に組み込んだ吸盤で上記底板を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲する。
【0015】
上記底板の収容部内への湾曲状態を形成しつつ、これに伴い四側板又は対向する二側板を外側方へ膨出する湾曲状態に付形し、これを保持する。
【発明の効果】
【0016】
上記方法によって、上記紙製容器の底板を収容部内にアーチ状又は球状に膨入する湾曲形態を適切に形成でき、底板を湾曲状にして収容物の負荷を底板の二辺又は四コーナー部に集中させ、同紙製容器を安定に設置し、収容物の重量に対する底板の強度を増加する。
【0017】
又四側板又は二側板を外側方へ湾曲状態に膨出する形状にして、容器の上面開口部に嵌合する蓋体との緊密な嵌合が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態につき図1乃至図22に基づいて説明する。
【0019】
前記のように紙製容器1A,1Bは底板6と底板6の四辺2乃至5から起立した四側板7乃至10にて上方へ開口した収容部11を形成し、底板6が該収容部11内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成り、上記収容部11の四コーナー部において隣接する側板と連結され且つ対向する一対の側板7,9の外表面に折り重ね同表面に接着された四襠板16乃至19を有する。
【0020】
紙製容器1A,1Bの底板6を同容器1の収容部11内へ向け湾曲した形態にすることにより収容部11に対する底板強度を増加し、容器を湾曲底板6のコーナー部の四点P1、又は対向する二辺3,5において安定に設置することができる。又容器1の四側板7乃至10又は対向する二側板7,9を外側方へ膨出する湾曲状態にすることにより、四側板7乃至10の上端に嵌合される蓋体との緊密な嵌合が可能となる。
【0021】
詳述すると、底板6をアーチ状に膨入した第一の紙製容器1Aは下記a乃至fの構成を有する(図1,図3,図6参照)。
【0022】
a.対向する第一、第三辺2,4を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とし、他の対向する第二、第四辺3,5を互いに平行な直線辺とした、上下に弾力的に撓むことができる底板6を有する。
【0023】
b.上記底板6の第一乃至第四辺2乃至5から立ち上げられた互いに連結する第一乃至第四側板7乃至10を有し、底板6と第一乃至第四側板7乃至10にて上方へ開口せる収容部11を画成する。第一乃至第四側板7乃至10は内外へ弾力的に撓むことができる。
【0024】
c.上記第一乃至第四側板7乃至10の隣接部間に連成され、対向する第一、第三側板2,4の外表面に折り重ね同表面に接着された第一乃至第四襠板16乃至19を有する。
【0025】
d.上記四側板7乃至10は底板6の第一乃至第四辺2乃至5から上端に向け漸次拡大する逆台形形状を呈する。即ち折線21を斜辺とする逆台形形状にする。
【0026】
e.上記対向する二側板7,9を外側方へ膨出する湾曲板にする。
【0027】
上記湾曲辺から成る第一、第三辺2,4から立ち上がる第一、第三側板7,9はその略全高において外方へ膨出するように湾曲し、直線辺から成る第二,第四辺3,5から立ち上がる第二,第四側板8,10は略平板状である。
【0028】
f.上記底板6が直線辺である第二,第四辺3,5間において上記収容部11内へアーチ状に湾曲する。従って第一、第三辺2,4は上方へ膨入する湾曲形態を呈する。
【0029】
上記容器1Aは直線辺である第二,第四辺3,5によって置設面に支持され、第一,第三辺2,4及び底板6は置設面から浮き上がった状態に置かれる。
【0030】
図1に示すように、上記第一の紙製容器1Aにおける上記第一乃至第四側板7乃至10は底板6側において幅狭で上端縁へ向け漸次幅広となる逆台形を呈し、又上記隣接する側板7乃至10間に配された第一乃至第四襠板16乃至19はデルタ形を呈する。
【0031】
上記第一乃至第四襠板16乃至19は底板6のコーナー部P1において終端する中央折線20によって二つのデルタ片に分かれ、該両デルタ片を中央折線20から二つ折りして重ね合わせ、該二つ折り襠板の内側デルタ片を上記湾曲辺2,4から立ち上がる上記第一,第三側板7,9の外表面に接着する。この接着によって上記第一、第三側板7乃至9の外方へ膨出する湾曲形状と底板6のアーチ状湾曲状態が保形される。
【0032】
同様に各側板7乃至10と各襠板16乃至19間には底板6のコーナー部P1で終端する折線21が存在し、各側板7乃至10と底板6間に底板6の四辺2乃至5上に延びる折線22が存する。
【0033】
各側板7乃至10は折線22を介して底板6の四辺2乃至5から立ち上げ、各襠板16乃至19は折線21を介して側板7乃至10のコーナー部から外方へ折線22より二つ折りしつつ張り出し、上記第一,第三側板7,9の外表面への接着を図る。
【0034】
上記第一の紙製容器1Aは上記第一乃至第四襠板16乃至19を開くことにより図1に示す平板から成る展開ブランク板1A′が形成される。
【0035】
次に底板6を収容部11内へ球状に膨入した第二の紙製容器1Bは下記a乃至fの構成を有する(図2,図3,図7参照)。
【0036】
a.対向する第一、第三辺2,4を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とし、他の対向する第二、第四辺3,5を外側方へ対称に膨出する湾曲辺とした、上下に弾力的に撓むことができる底板6を有する。
【0037】
b.上記底板6の上記第一乃至第四辺2乃至5から立ち上げられた互いに連結する第一乃至第四側板7乃至10を有し、底板6と第一乃至第四側板7乃至10にて上方へ開口せる収容部11を画成する。該第一乃至第四側板7乃至10は内外へ弾力的に撓むことができる。
【0038】
c.上記第一乃至第四側板7乃至10の隣接部間に連成され、対向する第一、第三側板2,4の外表面又は第二、第四側板8,10の外表面に折り重ね同表面に接着された第一乃至第四襠板16乃至19を有する。
【0039】
d.上記四側板7乃至10は底板6の第一乃至第四辺2乃至5から上端に向け漸次拡大する逆台形形状を呈する。即ち折線21を斜辺とする逆台形形状にする。
【0040】
e.上記第一乃至第四側板7乃至10が外側方へ膨出する湾曲板から成る。
【0041】
上記湾曲辺から成る第一乃至第四辺2乃至5から立ち上がる第一乃至第四側板7乃至10はその略全高において湾曲する。
【0042】
f.上記底板6が上記収容部11内へ球状に膨入する湾曲板から成る。従って第一乃至第四辺2乃至5は上方へ膨入する湾曲形態を呈する。
【0043】
上記容器1Bは底板の四コーナー部P1によって置設面に支持され、底板6の四辺2乃至5及び底板6は置設面から浮き上がった状態になる。
【0044】
図2に示すように、上記第二の紙製容器1Bにおける上記第一乃至第四側板7乃至10は底板6側において幅狭で上端縁へ向け漸次幅広となる逆台形を呈し、又上記隣接する側板7乃至10間に配された第一乃至第四襠板16乃至19はデルタ形を呈する。
【0045】
上記第一乃至第四襠板16乃至19は底板6のコーナー部において終端する中央折線20によって二つのデルタ片に分かれ、該両デルタ片を中央折線20から二つ折りして重ね合わせ、該二つ折り襠板の内側デルタ片を上記第一,第三側板7,9、又は第二、第四側板8,10の外表面に接着する。この接着によって上記第一乃至第四側板7乃至10の湾曲形状と底板6の球状湾曲形状が保形される。
【0046】
同様に各側板7乃至10と各襠板16乃至19間には底板6のコーナー部P1で終端する折線21が存在し、各側板7乃至10と底板6間に底板6の四辺2乃至5上に延びる折線22が存する。
【0047】
各側板7乃至10は折線22を介して底板6の四辺2乃至5から立ち上げ、各襠板16乃至19は折線21を介して側板7乃至10のコーナー部P1から外方へ折線22より二つ折りしつつ張り出し、上記第一,第三側板7,9、又は第二、第四側板8,10の外表面への接着を図る。
【0048】
上記第二の紙製容器1Bは上記第一乃至第四襠板16乃至19を開くことにより図2に示す平板から成る展開ブランク板1B′が形成される。
【0049】
図8,図9,図17乃至図22に示すように、上記第一紙製容器1Aを付形する型12Aと、上記第二紙製容器1Bを付形する型12Bは、四側壁33乃至36と底壁37を有し、該四側壁33乃至36と底壁37にて上方で開放された室38を画成し、全体として箱形を呈する。
【0050】
上記型12A,12Bの四側壁33乃至36の四側面23,23′にて、上記四側板7乃至10を規制する。即ち紙製容器1A,1Bの収容部11の内周面を規制する四側壁33乃至36、即ち四側面23,23′を有する。
【0051】
上記紙製容器1Aの側板7,9に対応する型12Aの対向する二側壁33,35又は二側面23は外方へ膨出する湾曲形態にし、同側板8,10に対応する型12Aの他の対向する二側壁34,36又は二側面23′は平面にする。
【0052】
又容器1Aの底板6の直線辺(第二、第四辺)3,5に対応する型12Aの二側壁34,36の上端面14は直線面にし、底板6の湾曲辺(第一、第三辺)2,4に対応する型12Aの二側壁の33,35の上端面15は下方へ湾曲する湾曲面にし、四側板7乃至10の起立付形時に上記展開ブランク板1A′の底板6の直線辺(第二、第四辺)3,5を上記二側壁34,36の上端面14の直線面で支持する。
【0053】
他方上記紙製容器1Bの四側板7乃至10に対応する型12Aの四側壁33乃至36又は四側面23,23′は、外方へ膨出する湾曲形態にする。
【0054】
又容器1Bの底板6の四湾曲辺(第一乃至第四辺)2乃至5に対応する型12Bの四側壁33乃至36の上端面14,15は下方へ湾曲する湾曲面にし、四側板7乃至10の起立付形時に上記展開ブランク板1B′の四コーナー部P1にて四点支持する構成にする。
【0055】
図17乃至図22に示すように、上記型12A,12Bには吸盤32を組み込む。即ち上記室38内に吸盤32を組み込む。
【0056】
上記吸盤32はその周壁が蛇腹構造41を有して上下に収縮と伸長が可能であり、柔軟性を有する材質にて形成されている。
【0057】
上記吸盤32をその吸着面が上記室38の開口面から上方へ突出するように配置し、即ち型12A,12Bの上面から上方へ突出するように配置し、該型12A,12Bの底壁37を貫く吸引管39にて吸引力を与える。
【0058】
又型12A,12Bの底壁37の中心部を軸40にて支持し、該軸40を上下することにより上記型12A,12Bを吸盤32と一緒に上下できるようにする。
【0059】
図19,図20に示すように、上記吸盤32は室38内の中央部、即ち型12A,12Bの中央部に単数配設し、該吸盤32の上端面、即ち吸着面を室38の開口面、即ち四側壁33乃至36の上端面14,15から上方へ所定量突出した状態にする。
【0060】
又は図21,図22に示すように、複数の吸盤32を室38内に並設し、該各吸盤32の上端面、即ち吸着面を室38の開口面、即ち四側壁33乃至36の上端面14,15から上方へ所定量突出した状態にする。各吸盤32の室38の開口面からの突出量は略同寸法にする。
【0061】
次に図10乃至図16に基づき上記紙製容器1A,1Bの製造工程について説明する。
【0062】
図10A,B、図11、図12に示すように、上記展開ブランク板1A′,1B′の第一乃至第四襠板16乃至19を形成するデルタ片の一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する。
【0063】
例えば図10A,Bに示すように、接着材転着ローラー24にて接着材付けローラー25の周面から突出し離間して配した接着材塗布パッド26に接着材を転着する。この接着材塗布パッド26間の間隔を上記一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する間隔に設定する。
【0064】
よって上記展開ブランク板1A′,1B′を水平に搬送しつつ、各接着材付けローラー25の回転によって接着材塗布パッド26により上記第一乃至第四襠板16乃至19を形成するデルタ片の一方のデルタ片の外表面に接着材31を塗布する。
【0065】
次に図14Aに示すように、上記型12A,12Bの吸盤32上に展開ブランク板1A′,1B′の底板6を載荷し、展開ブランク板1A′,1B′を水平に支持する。即ち展開ブランク板1A′,1B′を型12A,12Bの四側壁33乃至36の上端面14,15から、即ち型12A,12Bから上方へ離間した状態で吸盤32上に支持し、該吸盤32で底板6を吸着する。
【0066】
上記第一乃至第四側板7乃至10と第一乃至第四襠板16乃至19は吸盤32及び型12A,12Bの四側壁33乃至36の側方へ水平に張り出す。
【0067】
次に図14Bに示すように、上記吸盤32が底板6を吸着を進行するに伴って、その蛇腹構造41により下方へ収縮し、この収縮過程で底板6を型12A,12B上に支持する。
【0068】
即ち、展開ブランク板1A′の場合には、底板6の二直線辺(第二,第三辺)3,5を型12Aの二側壁34,36の上端面14上に支持する。
【0069】
又展開ブランク板1B′の場合には、底板6の四コーナー部P1を型12Bの四コーナー部P1′に支持する。
【0070】
図13,図14B,図15A,図16Aに示すように、上記型12A,12Bを上記展開ブランク板1A′,1B′の吸着支持状態において垂直に上昇し、固定設置され且つ型12A,12Bの上昇方向に垂直に設置し且つ対向して配置されている第一、第二ガイド柱27間に押し込み、上記第一、第三側板7,9又は第二、第四側板8,10を折線22を介して相対的に下方へ折り曲げ、型12A,12Bの対向する二側面23又は23′に押し付ける。
【0071】
図13,図14C,図15B,図16Bに示すように、引き続き上記型12A,12Bを垂直に上昇し、時差を以って上記展開ブランク板1A′,1B′を第三、第四ガイド柱28間に押し込む。即ち固定設置し且つ型12A,12Bの上昇方向に垂直に設置している第三、第四ガイド柱28間に押し込み、上記第二、第四側板8,10又は第一、第三側板7,9を相対的に下方へ折り曲げ、型12A,12Bの他の対向する二側面23′又は23に押し付ける。この間上記第一、第二ガイド柱27による側板の規制を保持している。
【0072】
上記第一、第二ガイド柱27の下端は第三、第四ガイド柱28の下端より下方へ長くし、上記折り曲げ時差を設定する。
【0073】
次に図13,図14D,図15C,図16Cに示すように、上記側板7乃至10の折り曲げに伴い、第一乃至第四襠板16乃至19を各隣接する側板間のコーナー部から外方へ折線20,21を介して二つ折りしつつ張り出す。
【0074】
この張り出した第一乃至第四襠板16乃至19を、第三、第四ガイド柱28による上記側板の折り曲げと略同時に、型12A,12Bの上昇方向に垂直に且つ固定設置している第五、第六ガイド柱29間に押し込んで、各襠板16乃至19の一方のデルタ片を接着剤31を以って第一、第三側板7,9の外表面に接着する。
【0075】
上記第一乃至第四襠板16乃至19を接着する間、第一乃至第四ガイド柱27,28による第一乃至第四側板7乃至10の折り曲げ状態を保持し、この保持状態において上記襠板の接着を図る。
【0076】
上記襠板の接着を以って紙製容器1A,1Bの形状を保形し、且つ側板7乃至10中の二側板又は四側板の湾曲形態を保形する。
【0077】
上記第一乃至第四ガイド柱27,28は底板6の四辺2乃至5に対向して配され、第五、第六ガイド柱29は底板6の四コーナー部P1付近に対向して配置され、各ガイド柱が全体として平面視箱形に配置される。
【0078】
図14A乃至Eに示すように、吸盤32は展開ブランク板1A,1Bの底板6を吸着しつつ下方へ収縮し、図14Eに示すように収縮下限において容器1A,1Bの底板6を室38の開口を通して室38内へ、即ち下方へ膨入する如く湾曲し、完成した容器1A,1Bの底板6が収容部11内へアーチ状又は球状に膨入した湾曲状態にする。
【0079】
上記アーチ状又は球状の膨入形態は底板6が水平面をデットポイントとして収容部11内へ弾性的に膨入することにより弾力保持される。
【0080】
上記吸盤32は底板6をアーチ状又は球状に膨入した後、吸引を止め、容器1A,1Bを開放し、蛇腹構造41により伸長状態に復元する。
【0081】
上記紙製容器1A,1Bの底板6を収容部11内にアーチ状又は球状に膨入する湾曲形態を適切に形成でき、底板6を湾曲状にして収容物の負荷を底板6の二辺又は四コーナー部に集中させ、同紙製容器1A,1Bを安定に設置し、収容物の重量に対する底板6の強度を増加する紙製容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第一の紙製容器の展開ブランク板の平面図。
【図2】第二の紙製容器の展開ブランク板の平面図。
【図3】第一、第二の紙製容器の側面図。
【図4】第一の紙製容器の平面図。
【図5】第二の紙製容器の平面図。
【図6】第一の紙製容器の断面図。
【図7】第二の紙製容器の断面図。
【図8】第一の紙製容器をホールディングする型の斜視図。
【図9】第二の紙製容器をホールディングする型の斜視図。
【図10】A,Bは第一、第二の紙製容器に接着材を塗布する装置を工程順に示す側面図。
【図11】第一の紙製容器の展開ブランク板の接着材塗布位置と型による支持状態を示す平面図。
【図12】第二の紙製容器の展開ブランク板の接着材塗布位置と型による支持状態を示す平面図。
【図13】第一、第二の紙製容器の各展開ブランク板をホールディングする装置を示す側面図。
【図14】A乃至Eは型と吸盤とガイド柱による上記各展開ブランク板のホールディング工程と底板の撓曲工程を工程順に示す断面図。
【図15】A乃至Cは第一紙製容器の展開ブランク板のガイド柱によるホールディング工程と襠板の接着工程を工程順に示す平面図。
【図16】A乃至Cは第二紙製容器の展開ブランク板のガイド柱によるホールディング工程と襠板の接着工程を工程順に示す平面図。
【図17】第一紙製容器における底板を吸盤によりアーチ状に撓曲した状態を示す斜視図。
【図18】第二紙製容器における底板を吸盤により球状に撓曲した状態を示す斜視図。
【図19】吸盤を組み込んだ型の平面図。
【図20】吸盤を組み込んだ型の断面図。
【図21】吸盤を組み込んだ型の他例を示す平面図。
【図22】吸盤を組み込んだ型の他例を示す断面図。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B・・・・・紙製容器
1A′,1B′・・・展開ブランク板
2乃至5・・・・・・底板の第一乃至第四辺
6・・・・・・・・・底板
7乃至10・・・・・第一乃至第四側板
11・・・・・・・・収容部
12A,12B・・・型
14,15・・・・・型の四側壁の上端面
16乃至19・・・・第一乃至第四襠板
20乃至22・・・・折線
23,23′・・・・型の四側面
24・・・・・・・・接着材転着ローラー
25・・・・・・・・接着材付けローラー
26・・・・・・・・接着材塗布パッド
27・・・・・・・・第一、第二ガイド柱
28・・・・・・・・第三、第四ガイド柱
29・・・・・・・・第五、第六ガイド柱
31・・・・・・・・接着材
32・・・・・・・・吸盤
33乃至36・・・・型の四側壁
37・・・・・・・・型の底壁
38・・・・・・・・型の室
39・・・・・・・・吸引管
40・・・・・・・・軸
41・・・・・・・・蛇腹構造
P1・・・・・・・・底板のコーナー部
P1′・・・・・・・型のコーナー部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口せる収容部を形成し、底板が該収容部内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成り、上記収容部の四コーナー部において隣接する側板と連結され且つ対向する一対の側板の外表面に折り重ね同表面に接着された四襠板を有する紙製容器の製造法において、上記四側板の内面を規制する四側面を有する型を用い、上記紙製容器の展開ブランク板の上記底板から四方へ張り出す四側板を上記型の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記四襠板を該起立状態にある対向する一対の側板の外表面に押し付け接着して上記収容部を形成し、該収容部を形成する過程において上記型に組み込んだ吸盤で上記底板を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲することを特徴とする紙製容器の製造法。
【請求項1】
底板と底板の四辺から起立した四側板にて上方へ開口せる収容部を形成し、底板が該収容部内にアーチ状又は球状に膨入した湾曲板から成り、上記収容部の四コーナー部において隣接する側板と連結され且つ対向する一対の側板の外表面に折り重ね同表面に接着された四襠板を有する紙製容器の製造法において、上記四側板の内面を規制する四側面を有する型を用い、上記紙製容器の展開ブランク板の上記底板から四方へ張り出す四側板を上記型の四側面に押し付けるように下方へ折り曲げて上記起立状態を形成すると共に、上記四襠板を該起立状態にある対向する一対の側板の外表面に押し付け接着して上記収容部を形成し、該収容部を形成する過程において上記型に組み込んだ吸盤で上記底板を下方へ吸引することにより収容部内へアーチ状又は球状に膨入する湾曲状態に撓曲することを特徴とする紙製容器の製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−334936(P2006−334936A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162652(P2005−162652)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390008165)京王紙研工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390008165)京王紙研工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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