説明

素材小欠陥深さ測定器

【課題】素材表面等の穴欠陥深さ測定において、穴上面の位置を容易にかつ小形の道具で求める測定器を提供する。
【解決手段】穴周辺の健全な円筒面を利用し、欠陥部については穴がない場合に存在する部分的円筒面上にある任意の点を穴上点とし、当該点を通る円弧上にて、同点から等距離にある二点で円筒面に接する二個の磁石4と、二本のピン11を有する蝶番1とからなる機構を利用し、蝶番1中央下部に蝶番1から一定距離を尺3の先端で穴上点と決める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、鋳造品等の素材表面に点在する小形の穴欠陥(くぼみ)の深さを測る測定器である。
【背景技術】
【0002】
鋳造品等の素材では、測定の基準位置の決定が難しく、また、欠陥が小形で形状が不規則であるところから、その深さ測定は、困難か、時間がかかる。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穴欠陥の上部には、欠陥がない場合の健全な面(以降、これを健全面と呼ぶ)が存在しないので、通常の測り方が出来ない。そこで、本考案では蝶番や磁石等を組み合わせた機構を用いて健全面の位置を容易に決めようとするものである。

【課題を解決するための手段】
【0004】
被測定体の形状は、千差万別であるが、欠陥の近辺では一般に円筒面(半径を無限大にした平面を含む)が考えられる。そこで、欠陥の近くで、健全な円筒面で検討すると、その円筒面の中心軸の垂直面との交線は、円(または直線)となる。
【0005】
本案の構成要素は、図2のように、次のような特性を持っている。
磁石4と尺3の中心線は、一平面上にある。近くにあるピン11から磁石4又は尺3までの距離は、同一である。尺3は、蝶番1の板に垂直に動く。
長さa=長さb=長さc=長さd
【0006】
磁石は円柱状で、両端面は中心線に垂直とする。この端面を被測定体に置くと、その
磁力により端面の直径で被測定体の円筒面と接する。図3参照。
従って、磁石の中心線は、被測定体円筒面の中心軸線に交わる。
【0007】
もし、二個の磁石と尺の各軸を含む平面を、円筒面の中心線に垂直になるように配置して接触させると、磁石の下端面中心と尺の先端の三点は、同一円上に並ぶ。この時、蝶番から下の尺の長さは、磁石の高さと同じになる。図4と図6を参照のこと。
ここで、蝶番の板厚を0として説明する。各記号は次の点を指す。図5を参照。
O:円筒断面の作る円の中心
M:磁石の上端面中心
N:磁石の下端面中心(磁石と円筒面の接点)
P:蝶番のピンの中心
C:尺軸心の、蝶番の高さ位置
S:尺と円筒の接点
【0008】
設定条件から明らかなことは、次のことである。
長さON = 長さOS (半径)
角PMN = 角PCS (直角)
長さPM = 長さPC (0005)
ここで、三角形PMOと三角形PCOを対比すると、いずれも直角三角形であり、長
さPOは共通、長さPM=長さPCであるからピタゴラスの定理より、長さMO=長さCOとなる。また、長さON=長さOSであるから、長さMN=長さCSとなる。
即ち、被測定体面の曲率半径の値に係らず、蝶番から下の尺の長さは一定になる。
【0009】
本考案の測定器を鉄平面上に固定し、その時の、本体に対する尺の位置を基準点(深 さ0)として設定した測定器を、欠陥が有る鋳物等表面に、図6のように磁石を吸着させると、尺の下端は、その欠陥部の健全面(0003参照)の位置に相当する。
欠陥の深さは、尺の下端を欠陥の底に当てれば、深さに応じた尺の動きがあるので、その目盛を読めばよい。
【0010】
先ず、本考案によれば、一般的に、測定動作が次にように便利になる。
目盛の基準点を測定に度に補正する必要がない。
磁力の吸着により、測定器を押さえる必要がない。
測定のための動作が簡単である。
【0011】
鋳物等の欠陥深さの測定は、手早く行う道具が無いため、通常は人間による目視測定であり、不正確と言える。
製品の欠陥について、許容値を超えたものを出荷すれば、次工程で無駄を発生し、許容値以下のものを不合格とすれば、これも不経済となる。本考案の利用により、測定の精度が上がれば、無駄が防止出来る。

【発明を実施するための形態】
【0012】
本考案の使用対象は、鋳造品や鍛造品などの小欠陥深さであるから、測定範囲は、数ミリメ−トルとする。磁石と尺の間隔は、なるべく狭める。被測定体は、鉄系金属なので、尺の下端が磨耗する。従って、先端の針状部分は、硬い材料で、交換できる構造とする。
上記の針先が穴底に当たっていることを確認しやすくするために、磁石の高さを適度にとり、蝶番の幅(ピンの長さ方向)を縮めるとよい。

【実施例】
【0013】
以下の数値は、長さを示し、単位はミリメ−トル。
磁石 : 直径10、高さ6
磁石とピンの距離 : 8
測定範囲 : 5
測定例 円筒断面の半径 欠陥深さ
鋳物 35 0.6
鋳物 62 1.5
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】測定器の全体図である
【図2】蝶番の部品と付着品の位置関係を示す
【図3】磁石の接着状態を示す
【図4】測定器の三点接触状態図である
【図5】幾何学的説明図である
【図6】円筒面と測定器の接点の配置を示す
【符号の説明】
【0015】
1 蝶番
2 本体
3 尺
4 磁石
11 ピン
12 ビス
































【特許請求の範囲】
【請求項1】
二個のピン(11)を持つ蝶番(1)において、その中央上部に本体(2)を、また、両側下部に磁石(4)を取り付け、本体(2)、二個の磁石(4)と二個のピン(11)は、平面的に一直線上で等間隔に配置し、本体(2)の中央を貫通して、蝶番(1)に垂直に滑動する尺(3)を組み合わせたもので、鋳物等の表面の穴欠陥深さを、尺(3)の移動量で読み取る以上の構成からなる素材小欠陥深さ測定器













































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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