説明

素材結合によるシール部を備えた多成分の射出成形部品

少なくとも1つの熱可塑性の挿入部分と、該挿入部分に被さって固着するように射出成形された熱可塑性の複合エレメントとを有する射出成形部品が既に知られており、この場合、前記少なくとも1つの挿入部分の、複合エレメントに対する境界面は、溶融体流方向で相前後して配置された、溶融先端部として形成された複数の隆起部を有している。これらの隆起部は高さH1で複合エレメント内に突入していて、それぞれ複合エレメント内に高さH2を有する、狭隘された横断面を形成する。この射出成形部品は、挿入部分を射出成形型内に配置し、この挿入部分に複合エレメントを固着するように射出成形する射出成形法によって製造される。前記隆起部は複合エレメントの溶融体によって初期溶融されることが望ましい。これにより、素材結合による流体密な結合が達成される。しかしこの場合に不都合となるのは、前記隆起部が一般にシャープな稜角を持って境界面に垂直に構築されていて、部分的にしか溶融されないか、または全く溶融されないことである。なぜならば、前記隆起部には、しばしば前記隆起部を乗り越えて流過する溶融体から十分な溶融エネルギが提供されていないからである。前記隆起部は溶融体流のための狭隘部を形成しているが、しかしこの狭隘部は溶融体の良好な搬入および溶融体から隆起部への良好な熱伝達のためには十分に小さく形成されていない。高さH2対高さH1の比は通常、1.5よりも著しく大きく形成されている。前記隆起部が確実に溶融開始しないので、公知の射出成形部品は、結合部のガス密性を達成するために、溶融体流方向で相前後して配置された複数の隆起部を有している。しかし、このような手段は多くの構成スペースを必要とするが、このような多くの構成スペースはしばしば提供されていない。
本発明による射出成形部品では、溶融体から隆起部への熱伝達が改善され、これにより隆起部の信頼性良い溶融が達成される。
本発明の構成では、前記少なくとも1つの隆起部(8)が、溶融体流に正対したその上流側の面(11)に第1の斜面(12)を有しており、前記狭隘された横断面(10)の高さ(H2)対前記隆起部(8)の高さ(H1)の比が、0.6〜0.9の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の射出成形部品、すなわち少なくとも1つの熱可塑性の挿入部分と、該挿入部分に被さって固着するように射出成形された熱可塑性の複合エレメントとを有する射出成形部品であって、前記少なくとも1つの挿入部分の、複合エレメントに対する境界面が、挿入部分と複合エレメントとの間の素材結合によるシールのための少なくとも1つの隆起部を有しており、該隆起部が、高さH1を持って複合エレメント内に突入していて、複合エレメント内に高さH2を有する狭隘された横断面を形成している形式の射出成形部品に関する。
【0002】
少なくとも1つの熱可塑性の挿入部分(インサート)と、該挿入部分に被さって固着するように射出成形された熱可塑性の複合エレメントとを有する射出成形部品が既に知られている。この場合、前記少なくとも1つの挿入部分の、複合エレメントに対する境界面は、溶融体流方向で相前後して配置された、溶融先端部として形成された複数の隆起部を有している。これらの隆起部は高さH1で複合エレメント内に突入していて、それぞれ複合エレメント内に高さH2を有する、狭隘された横断面を形成する。この射出成形部品は、挿入部分を射出成形型内に配置し、この挿入部分に複合エレメントを固着するように射出成形する射出成形法によって製造される。前記隆起部は複合エレメントの溶融体によって初期溶融されることが望ましい。これにより、素材結合(stoffschluessig)による流体密な結合が達成される。しかしこの場合に不都合となるのは、前記隆起部が一般にシャープな稜角を持って境界面に垂直に構築されていて、部分的にしか溶融されないか、または全く溶融されないことである。なぜならば、前記隆起部には、しばしば前記隆起部を乗り越えて流過する溶融体から十分な溶融エネルギが提供されていないからである。前記隆起部は溶融体流のための狭隘部を形成しているが、しかしこの狭隘部は溶融体の良好な搬入および溶融体から隆起部への良好な熱伝達のためには十分に小さく形成されていない。高さH2対高さH1の比は通常、1.5よりも著しく大きく形成されている。前記隆起部が確実に溶融開始しないので、公知の射出成形部品は、結合部のガス密性を達成するために、溶融体流方向で相前後して配置された複数の隆起部を有している。しかし、このような手段は多くの構成スペースを必要とするが、このような多くの構成スペースはしばしば提供されていない。
【0003】
発明の利点
請求項1の特徴部に記載の特徴を有する本発明による射出成形部品、すなわち、前記少なくとも1つの隆起部が、溶融体流に正対したその上流側の面に第1の斜面を有しており、前記狭隘された横断面の高さ対前記隆起部の高さの比が、0.6〜0.9の範囲にあることを特徴とする射出成形部品には、従来のものに比べて次のような利点がある。すなわち、隆起部に対する熱搬入および隆起部に対する溶融体の直接的な熱伝達が改善され、かつこれによって隆起部の信頼性の良い溶融が達成される。このことは、前記少なくとも1つの隆起部が、溶融体流に正対したその上流側の面に第1の斜面を有しており、前記隆起部の高さに対する前記狭隘された横断面の高さの比が、0.6〜0.9の範囲にあることにより達成される。
【0004】
挿入部分の隆起部と射出成形型との間の、高さH2を有する狭隘部は、公知先行技術に比べて減じられているので、特に隆起部の先端部において改善された熱伝達が達成されている。本発明の構成により、溶融体流方向における隆起部のせき止め作用の連続的な増大および溶融体の、90゜とは異なる流れ到来方向におけるせき止め作用の補償が達成される。さらに、流れ死範囲、ひいてはガス封入物が回避される。さらに、隆起部の表面積は本発明によれば増大される。
【0005】
請求項2以下に記載の手段により、請求項1に記載の射出成形部品の有利な改良および改善が可能となる。
【0006】
本発明の第1の有利な構成では、前記少なくとも1つの隆起部の第1の斜面が、挿入部分の境界面に直交して位置する軸線に対して5〜45゜の角度を有している。
【0007】
本発明の第2の有利な構成では、前記少なくとも1つの隆起部の第1の斜面が、挿入部分の境界面に直交して位置する軸線に対して15〜35゜の角度を有している。なぜならば、隆起部のヘッドはこの構成ではあまり質量を有しておらず、これによって一層溶融し易くなるからである。
【0008】
前記少なくとも1つの隆起部が、溶融体流に関して下流側の面に第2の斜面を有していると極めて有利である。なぜならば、こうして流れ案内が改善され、ひいてはガス封入物が回避されるからである。
【0009】
第2の斜面が、第1の斜面よりもなだらかに延びていても有利である。
【0010】
本発明の別の有利な構成では、前記少なくとも1つの隆起部の第2の斜面が、挿入部分の境界面に直交して位置する軸線に対して50〜75゜の角度を有している。
【0011】
さらに、溶融体流方向で見て唯一つの隆起部しか設けられていないと有利である。特に挿入部分と複合エレメントとの間の形状結合による結合部がガス密であることが望まれる円筒形の射出成形部品においては、唯一つの環状の隆起部で十分となる。これにより、相前後して配置された複数の隆起部に比べて、構成スペースが節約される。こうして、複合構成部品を一層小さく形成することができる。さらに、複合構成部品のための製作コストも減じられる。
【0012】
さらに、挿入部分が第1のプラスチックから製造されており、複合エレメントが第2のプラスチックから製造されており、第1のプラスチックおよび/または第2のプラスチックが、少なくとも35%の結晶含量(結晶部分の占める割合)を有していると有利である。たとえば第1のプラスチックおよび/または第2のプラスチックはポリアミド、PPS、POMまたはPEEKである。
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】射出成形型内で射出成形過程中の本発明による射出成形部品を示す断面図である。
【図2】本発明による射出成形部品を射出成形過程後の状態で示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による射出成形部品を示す断面図である。
【図4】本発明によるプレート形の射出成形部品を示す三次元の概略図である。
【図5】本発明による円筒形の射出成形部品を示す三次元の概略図である。
【0015】
発明を実施するための形態の説明
図1には、射出成形過程の間に射出成形型内に位置する本発明による射出成形部品が断面図で示されている。
【0016】
複数の部分またはコンポーネントから成るプラスチック部品を製造する場合、たとえばオイルまたは燃料を案内する部分のためには、これらの部分をガス密にかつ/または液密に互いに結合することがますます重要となりつつある。従来の形状結合(係合に基づいた嵌合による結合)および摩擦結合による結合には、高い温度では、プリロード力もしくは予荷重力の減少によって結合部のシール性が保証されていないという欠点がある。高いシール性要求のためには、素材結合による結合が必要となる。素材結合による結合では、シール面が少なくとも1つのシールラインに沿って一貫して初期溶融にもたらされる。両複合パートナの素材の、相応して高い拡散抵抗において、ガスおよび/または液体の浸透に対する所要のバリヤ機能が得られる。
【0017】
本発明においては、素材結合による結合が多成分射出成形法により形成される。
【0018】
1回の射出成形過程において、任意の固形のインサートもしくは挿入部分1に適合された射出成形工具もしくは射出成形型2内に挿入されているこの挿入部分1に、複合エレメント3が固着射出成形される。射出成形後に、挿入部分1と、この挿入部分1に固着射出成形された複合エレメント3とから成る完成した射出成形部品は射出成形型2から取り出される。射出成形型2と挿入部分1との間には、固着射出成形のための予め規定された射出成形範囲において中空室4が設けられている。この中空室4内には、射出成形型2に設けられた少なくとも1つの射出開口5を介してプラスチックが射出される。この高温の溶融されたプラスチックは固着射出成形のための規定された射出成形範囲において挿入部分1を流過し、この場合、挿入部分1は局所的に初期溶融される。挿入部分1と、複合エレメント3を形成する、中空室4内に射出されて硬化する溶融体とを一緒に冷却することにより、両パートナの間には、流体密(たとえばガス密または燃料密)な固い結合が得られる。
【0019】
隆起部8の下流側の中空室4は、射出成形部品のために必要となる構成スペースを減少させるために、できるだけ小さく設計される。
【0020】
挿入部分1および/または複合エレメント3のために比較的高い結晶性のプラスチック、たとえばポリアミド、PPS、POMまたはPEEKが使用される場合には、両複合パートナの溶着のために溶着パートナ、つまり挿入部分1の、溶融温度への局所的な加熱が行われなければならないだけでなく、挿入部分1の、溶融させたい結晶性部分のための溶融熱も付与されなければならないという問題が生じる。溶融エンタルピは溶融させたいプラスチックの結晶部分の占める割合が増大するにつれて、溶融温度への純然たる物質加熱のために必要となる熱需要に比べて数倍のエネルギを必要とする。挿入部分1を複合エレメント3と溶着させるために必要となるエネルギは、溶融体によって、溶着させたい個所にまで搬入されなければならない。しかし、溶融体の温度は、この溶融体を熱的に破壊したり、あるいは損傷させたりしないようにするために、予め規定された温度を上回ってはならない。
【0021】
挿入部分1の溶融させたい面を、1つまたは複数の小さな範囲に限定するためには、挿入部分1が、固着射出成形範囲に少なくとも1つの隆起部8を有しており、この隆起部8はシール性のシールラインを形成する。前記少なくとも1つの隆起部8は、挿入部分1寄りのベース範囲8.1と、このベース範囲8.1とは反対の側のヘッド範囲8.2とを有している。ヘッド範囲8.2は溶融体流方向9で見てベース範囲8.1よりも小幅に形成されている。隆起部8はヘッド範囲8.2において最初に溶融を開始する。なぜならば、ヘッド範囲8.2にはあまり材料が存在しておらず、かつ常時新しい高温の溶融体が後供給されるからである。
【0022】
前記少なくとも1つの隆起部8は、挿入部分1の表面に対して直角に測定した高さH1を有していて、射出成形型2と挿入部分1との間にそれぞれ狭隘部もしくは狭められた横断面10を形成している。溶融体の流過のために残された狭隘部10は、高さH2を有する横断面を有している。
【0023】
前記少なくとも1つの隆起部8は、溶融体をさしあたりダムのようにせき止め、その後は、隆起部8ができるだけ同時にその全長にわたって流過され、しかもその全長にわたって溶融される。流過の間、隆起部8は部分的に溶融除去される。すなわち、材料の一部が除去されるので、隆起部8の最初の高さH1は減少する。隆起部8が局所的に1個所でのみ溶融体によって溶融されかつ貫通されることは回避されなければならない。なぜならば、隆起部8はその場合、事情によっては全長にわたって流過されなくなり、ひいては必ずしもあらゆる個所において溶融のために必要となる溶融熱が供給されるわけではなくなるからである。したがって、前記少なくとも1つの隆起部8は溶融体流方向で見て所定の最小肉厚さを有しなければならない。すなわち、隆起部8の先端部は過度に尖っていたり、シャープな稜角を有していたり、ヘッド範囲8.2において過度に細く形成されていたりしてはならない。
【0024】
本発明の構成では、前記少なくとも1つの隆起部8が、溶融体流に正対する上流側の面11において第1の斜面12を有している。こうして、溶融体はベース範囲8.1からヘッド範囲8.2へ案内される。良好な流れ案内により、溶融体流に正対する上流側の面11には死水域が生じないので、上流側の面11の上流側におけるガス封入物は回避される。
【0025】
前記少なくとも1つの隆起部8の第1の斜面12は、挿入部分1の境界面に対して直角に位置する軸線15に対して5〜45゜、有利には15〜35゜の角度αを有している。第1の斜面12は、たとえばベース範囲8.1を起点としてヘッド範囲8.2にまで延びている。図1に示した隆起部8は、第1の斜面12と、第2の斜面17とによって、たとえば横断面三角形またはギザ歯形に形成されている。隆起部8の、溶融体にさらされた先端部は、所定の曲率半径を有していてよい。第1の斜面12および/または第2の斜面17は、平坦に、または湾曲させられて形成されていてよい。
【0026】
必要な溶融エネルギを溶融体から隆起部8のヘッド範囲8.2へ搬送するためには、予め規定された狭隘部10が必要となる。この狭隘部10は一般に狭隘部10の幅もしくは高さH2対隆起部8の高さH1の比によって規定される。本発明によれば、H2対H1の比は0.6〜0.9の範囲にある。
【0027】
前記少なくとも1つの隆起部自由噴流(Freistrahl)もしくはガス封入物を有する流れ陰(Fliessschatten)が回避される。第2の斜面17は、隆起部8の下流側において自由噴流形成を回避するために、第1の斜面12よりもなだらかに延びている。1実施形態では、前記少なくとも1つの隆起部8の第2の斜面17が、軸線15に対して50〜75゜の角度βを有している。
【0028】
挿入部分1は第1のプラスチックから製造されており、複合エレメント3は第2のプラスチックから製造されている。この場合、第1のプラスチックおよび/または第2のプラスチックは、少なくとも35%の結晶含量(結晶部分の占める割合)を有している。
【0029】
図2には、図1に示した本発明による射出成形部品が、射出成形型から取り出された後の状態の断面図が示されている。
【0030】
図2に示した射出成形部品において、図1に示した射出成形部品に比べて不変の部分または同一作用を有する部分は同じ符号によって示されている。
【0031】
図3には、本発明の第2の実施形態による射出成形部品の断面図が示されている。
【0032】
図3に示した射出成形部品において、図1および図2に示した射出成形部品に比べて不変の部分または同一作用を有する部分は同じ符号によって示されている。
【0033】
第2実施形態は、溶融体流に正対した上流側の面11がベース範囲8.1においてはほぼ軸線15に平行な方向に延びていて、引き続き軸線15の方向で見てベース範囲8.1とヘッド範囲8.2との間に第1の斜面12が形成されている点で、図1および図2に示した第1実施形態とは異なっている。
【0034】
図4には、本発明によるプレート形の射出成形部品の三次元の概略図が示されている。
【0035】
図4に示した射出成形部品において、図1〜図3に示した射出成形部品に比べて不変の部分または同一作用を有する部分は同じ符号によって示されている。
【0036】
少なくとも所定の区分にわたりプレート形またはディスク形に形成された挿入部分1には、1つまたは複数の隆起部8が設けられていてよい。隆起部8は線形、波形、メアンダ形またはジグザグ形に形成されているか、または配置されている。複数の隆起部8を溶融体流方向9で相前後して配置することも考えられる。しかし、挿入部分1と複合エレメント3との間の流体密な結合を達成するためには、唯一つの隆起部8で十分となる。
【0037】
素材結合による結合に対して付加的に、挿入部分1と複合エレメント3との形状結合による結合、つまり係合に基づいた嵌合による結合が設けられていてよい。この場合、たとえば複合エレメント3が挿入部分1に背後からクランプ形またはC字形に係合する。このことは破線で図示したクランプ区分3.1によって示されている。当然ながら、複合エレメント3は図示の形式とは異なる形式で挿入部分1とアンカ固定されていてもよい。付加的な形状結合により、射出成形部品には、純然たる素材結合による結合の場合よりも強力なプリロードもしくは予荷重をかけることができるので、極めて高い機械的および/または熱的な負荷においてもシール性が保証されている。
【0038】
図5には、本発明による円筒形の射出成形部品の三次元の概略図が示されている。
【0039】
図5に示した射出成形部品において、図1〜図4に示した射出成形部品に比べて不変の部分または同一作用を有する部分は同じ符号によって示されている。
【0040】
たとえば円筒形の挿入部分1では、隆起部8が全周にわたって環状に延びて形成されている。
【0041】
素材結合による結合に対して付加的に、挿入部分1と複合エレメント3との形状結合による結合、つまり係合に基づいた嵌合による結合が設けられていてよい。この場合、たとえば複合エレメント3が挿入部分1に背後からクランプ形、C字形またはアンカ形に係合する。このことは破線で図示したクランプ区分3.1によって示されている。当然ながら、複合エレメント3は図示の形式とは異なる形式で挿入部分1とアンカ固定されていてもよい。
【0042】
挿入部分1と複合エレメント3との間の流体密な結合を達成するためには、唯一つの環状の隆起部8で十分となるので、素材結合を達成するためには、極めて僅かな構成スペースしか必要とされない。しかし当然ながら、複数の隆起部8が溶融体流方向で相前後して配置されていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性の挿入部分と、該挿入部分に被さって固着するように射出成形された熱可塑性の複合エレメントとを有する射出成形部品であって、前記少なくとも1つの挿入部分の、複合エレメントに対する境界面が、挿入部分と複合エレメントとの間の素材結合によるシールのための少なくとも1つの隆起部を有しており、該隆起部が、高さH1を持って複合エレメント内に突入していて、複合エレメント内に高さH2を有する狭隘された横断面を形成している形式のものにおいて、前記少なくとも1つの隆起部(8)が、溶融体流に正対したその上流側の面(11)に第1の斜面(12)を有しており、前記狭隘された横断面(10)の高さ(H2)対前記隆起部(8)の高さ(H1)の比が、0.6〜0.9の範囲にあることを特徴とする射出成形部品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの隆起部(8)の第1の斜面(12)が、挿入部分(1)の境界面に直交して位置する軸線(15)に対して5〜45゜の角度を有している、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項3】
前記少なくとも1つの隆起部(8)の第1の斜面(12)が、挿入部分(1)の境界面に直交して位置する軸線(15)に対して15〜35゜の角度を有している、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項4】
前記少なくとも1つの隆起部(8)が、溶融体流に関して下流側の面(16)に第2の斜面(17)を有している、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項5】
第2の斜面(17)が、第1の斜面(12)よりもなだらかに延びている、請求項4記載の射出成形部品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの隆起部(8)の第2の斜面(17)が、挿入部分(1)の境界面に直交して位置する軸線(15)に対して50〜75゜の角度を有している、請求項5記載の射出成形部品。
【請求項7】
溶融体流方向(9)で見て唯一つの隆起部(8)しか設けられていない、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項8】
複数の隆起部(8)が、溶融体流方向(9)で相前後して配置されている、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項9】
挿入部分(1)が第1のプラスチックから製造されており、複合エレメント(3)が第2のプラスチックから製造されており、第1のプラスチックおよび/または第2のプラスチックが、少なくとも35%の結晶含量を有している、請求項1記載の射出成形部品。
【請求項10】
複合エレメント(3)が、クランプ区分(3.1)を介して挿入部分(1)に形状結合により結合されている、請求項1記載の射出成形部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−506135(P2011−506135A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537351(P2010−537351)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065302
【国際公開番号】WO2009/077269
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】