説明

細管用作業プローブとケーブルとの接続構造

【課題】プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブルを切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる細管用作業プローブとケーブルとの接続構造を提供すること。
【解決手段】細管5の中を圧送されるプローブ10とケース11を貫いて導出されるケーブル9との間を水密封止するプローブ10とケーブル9との接続構造であって、後ケース11bは、コネクタ33を配設する収納空間部13と貫通穴12とを備え、ケーブル9は、コネクタ部31を先端部に有し貫通穴12にOリング32を介して嵌入されると共にノズル穴8aの内径D1よりも小さい外径D2を有するケーブル係止体30を備える。カバー20は、ケーブル貫通穴23を含む面で二分割可能に構成され、後ケース11b及びケーブル9に対してOリング28,29、シール部材27,37等を介してねじ35によって着脱自在に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所等のタービン用復水器の伝熱細管や熱交換器の冷却細管(以下、これらを細管と称する)の清掃や探傷試験等の検査を行う作業ロボット(以下、ロボットと称する)が有する細管用作業プローブ(以下、プローブと称する)とケーブルとの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等に設置される復水器には、一方の水室から他方の水室に接続され、冷却水を流すための多数の細管(例えば、6万本)が配置されている。冷却水には、通常、海水が使用されるので、細管の腐食や海生物(例えば、イガイ類やフジツボ類等の貝類)の付着が、細管の閉塞や伝熱阻害を引き起こす要因となる。したがって、定期的に細管を清掃すると共に、腐食・亀裂等の損傷を検査する必要がある。
【0003】
このような細管の清掃や探傷検査(例えば、渦電流探傷検査)を行う作業ロボットが提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。図示例を省略するが、このロボットは、多数の細管が貫設開口された管板に沿って自走可能に構成されている。
【0004】
すなわち、ロボット本体の外周部には、管板に沿って外周側に出退自在な4本の兼用アームが設けられている。兼用アームの先端部には、それぞれ作業装置が設けられている。作業装置には、細管内に清掃具を挿入して移動させる清掃機構と、連結固定具を細管に挿入して兼用アームを細管に固定しロボット本体を位置決めすると共に、兼用アームを出退させてロボット本体を移動させる移動機構とが設けられている。
【0005】
また、ロボットは、上記管板側から細管内に、清掃具である清掃ブラシを挿入し、更に当該清掃ブラシの背後にプローブを挿入した状態で圧送流体(例えば、清掃水)を流すように構成されている。プローブには、ケーブルが電気的に接続されており、プローブの移動と共に細管内に引き込み可能に構成されている。
【0006】
清掃水が高圧供給されると、プローブ及び清掃ブラシは、清掃水の流力によって細管内を移動する。この清掃ブラシ及びプローブの移動によって、細管内が清掃されると共に細管の探傷検査が行われる。なお、圧送されたプローブは、返送機構によりケーブルを介してロボット側に引き戻される。
【0007】
このような従来のプローブとケーブルとの接続構造について図5を参照して説明する。図5は、従来のプローブとケーブルとの接続構造を示す断面図である。なお、図示例においては、説明の便宜上、管板に固定された細管の一部を示している。また、プローブを圧送する方向を矢印Fで示し、引き戻す方向を矢印Bで示してある。
【0008】
図5に示すように、復水器の管板6には、細管5が固定されている。なお、細管5は、アルミニウム黄銅管(BsTF)やチタン等によって形成され、内径は25mm程度である。
【0009】
保持ゴム7は、上記連結固定具(連結固定部材)の一部をなし、細管5に挿入されて上記兼用アームを細管5に固定しロボット本体を位置決めするためのものである。保持ゴム(連結固定部材)7は、所定の弾性力を有する硬質合成ゴム等からなり、上記兼用アームが備える機構を作動させることによって、細管5に対して挿抜自在となるように構成されている。
【0010】
保持ゴム7には、清掃水を圧送供給するためのインナーノズル8が挿入固定されている。ノズル穴8aには、ケーブル9が挿通されている。ケーブル9の先端には、プローブ110が電気的に接続されている。また、ケーブル9の後端には、制御装置(図示せず)と接続するコネクタ9bが設けられている。なお、ケーブル9の外径は、例えば約3.5mmであり、ケーブル9の長さは約20mである。
【0011】
プローブ110のケース111は、細管5内をF方向又はB方向に移動可能な大きさに形成されている。ケース111は、前ケース111a及び後ケース111bからなる。前ケース111a及び後ケース111bは、開閉可能に構成され、かつ閉じたときに水密性を確保できるように構成されている。前ケース111aの前端部及び後ケース111bの後端部は、略半球状に形成されている。
【0012】
また、プローブ110の内部には、図示しない探傷センサユニット等を収納する収納空間部113が形成されている。後ケース111bの中心には、収納空間部113に連通する貫通穴112に設けられている。貫通穴112は、後部側の大径穴112aと前部側の小径穴112bとから構成されている。
【0013】
ケーブル9の先端部は、シール部材116,117を介して貫通穴112に挿通され、水密性が確保されている。また、ケーブル9は、上記探傷センサユニットに電気的に接続される信号線(図示せず)と、強度を補強するための補強繊維9aとを有している。なお、補強繊維9aは、例えば、引っ張りや曲げ等に強いケプラーアラミド繊維から形成されている。
【0014】
係止部材115は、後ケース111bに固定され、収納空間部113内に配置されている。ケーブル9の被覆を除去して露出させた補強繊維9aは、係止部材115に接続固定されている。具体的には、補強繊維9aが係止部材115に結び付けられ、その結び目等を瞬間接着剤等によって固定している。従来は、このようにしてプローブ110とケーブル9とが接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−300664号公報
【特許文献2】特開平11−300666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、保持ゴム7は、所定の弾性力を有する合成ゴム等からなるため、当該弾性力を維持するために、定期的に交換する必要がある。保持ゴム7を交換するには、保持ゴム7に挿通されているケーブル9をインナーノズル8から引き抜かなくてはならない。
【0017】
しかしながら、プローブ110とケーブル9とは、上記のように接着によって固定されている。また、プローブ110の外径は、細管5の内径よりも若干小さい程度であるので、プローブ110をノズル穴8aに挿通することはできない。
【0018】
したがって、保持ゴム7に挿通されているケーブル9をインナーノズル8から引き抜くためには、ケーブル9の先端部を切断し、プローブ110を切り離さなければならなかった。そして、この切断作業後に新規な保持ゴム7と交換し、再びプローブ110とケーブル9とを上記接着によって固定する必要があった。この接続作業には、熟練度を要し、作業が不十分な場合には、ケーブル9が切れてしまう等のトラブルが発生する可能性があった。
【0019】
以上のように、従来は、プローブ110とケーブル9の切り離しと再接続の作業に、多大な手間と時間を要していた。例えば、1つのプローブ110につきケーブル9の切断と保持ゴム7の交換、及びケーブル9の再接続作業を行うのに、熟練者でも少なくとも15分程を要していた。このため、この作業を4本の兼用アームについて行うため、最低でも60分の作業時間を要していた。特に、原子力発電所においては、作業区域によって作業時間の上限が規定されているので、上記保持ゴム7の交換作業時間の短縮が要請されていた。
【0020】
また、保持ゴム7の1回の交換に際してケーブル9の所定量(例えば、約5cm)を切断しなければならないので、ケーブル9の一部が無駄になっていた。
【0021】
このため、プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブルを切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる手段の提供が望まれていた。
【0022】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブルを切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる細管用作業プローブとケーブルとの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため、本発明は、以下のような細管用作業プローブとケーブルとの接続構造を提供する。
【0024】
(1) 熱交換器の細管を検査するセンサユニットを筐体の中に水密封止して当該細管の中に挿入され、当該細管の開口端部に連結された連結固定部材のノズル穴から供給される圧送流体によって当該細管の中を圧送される細管用作業プローブと、前記細管用作業プローブの前記筐体を貫いて導出されるケーブルと、を備え、前記筐体と前記ケーブルの間を水密封止する細管用作業プローブとケーブルとの接続構造であって、前記筐体は、前記センサユニットに接続されたコネクタを配設する収納空間部と、当該収納空間部と当該筐体の外部とを連通する貫通穴とを備え、前記ケーブルは、前記コネクタと電気的に接続可能なコネクタ部を先端部に有し前記貫通穴にシール部材を介して嵌入されると共に前記ノズル穴の内径よりも小さい外径を有するケーブル係止体を備え、前記筐体は、前記ケーブルを外部に導出するケーブル貫通穴を有しシール部材を介して当該筐体及び当該ケーブルに対して着脱自在かつ水密封止可能に構成されたカバーを更に備え、前記コネクタと前記コネクタ部とは、前記ケーブル係止体が前記シール部材を介して前記貫通穴に嵌入されることによって接続され、前記カバーは、前記筐体及び前記ケーブルに対して前記シール部材を介して装着されることを特徴とする。
【0025】
(1)の発明によれば、ケーブル係止体を貫通穴に嵌入することによりコネクタとコネクタ部とを接続することができるので、プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続することができる。また、カバーを、筐体及びケーブルに対してシール部材を介して装着することにより水密を確保することができる。
【0026】
一方、プローブとケーブルとの接続を解除する場合には、筐体及びケーブルからカバーを取り外し、ケーブル係止体を貫通穴から引き抜くことによりコネクタとコネクタ部との接続を解除することができるので、プローブとケーブルとの接続を容易かつ迅速に解除することができる。
【0027】
したがって、プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブルを切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる。
【0028】
(2) (1)の発明においては、前記筐体は、前記貫通穴を含む係合凸部を有し、前記カバーは、前記ケーブル貫通穴を含む面で分割可能に形成されていると共に前記係合凸部に係合する係合凹部を有し、当該係合凸部に対してねじ止め固定されることが好ましい。
【0029】
(2)の発明によれば、筐体の係合凸部にカバーの係合凹部を係合させることによってカバーを容易に位置決めすることができると共に、ねじ止めによって容易に固定することができる。また、上記ねじを緩めることによって筐体とカバーとの固定を容易に解除することができる。したがって、熟練度を要することなく、筐体に対するカバーの装着及び取り外しができる。
【0030】
(3) (1)又は(2)に記載の発明においては、前記筐体の前記貫通穴は、前記ケーブル係止体の挿入位置を規制する段部を有することが好ましい。
【0031】
(3)の発明によれば、コネクタ側に向けてケーブル係止体に外力が加わっても、ケーブル係止体の当該コネクタ側への移動が段部によって規制されるので、コネクタ及びコネクタ部に外力が加わるのを抑制することができ、当該コネクタ等の破損を抑制することができる。
【0032】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の発明においては、前記貫通穴に嵌入された前記ケーブル係止体の後端部は、前記カバーの内面と当接することが好ましい。
【0033】
(4)の発明によれば、ケーブル係止体の後端部がカバーの内面と当接することにより、ケーブル係止体が筐体の貫通穴から抜けるのを簡易な構造にて容易に抑制することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、プローブとケーブルとを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブルを切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るプローブとケーブルとの接続構造を示す拡大断面図である。
【図2】カバーを示す斜視図である。
【図3】図1のA−A断面で切断した断面を示す断面図である。
【図4】プローブとケーブルとの接続構造を示す断面図である。
【図5】従来のプローブとケーブルとの接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0037】
図1は、本発明の実施形態に係るプローブとケーブルとの接続構造について図1〜図4を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係るプローブとケーブルとの接続構造を示す拡大断面図である。図2は、カバーを示す斜視図である。
【0038】
また、図3は、図1のA−A断面で切断した断面を示す断面図であり、後ケースの係合凸部とカバーとの固定状態を示している。図4は、プローブとケーブルとの接続構造を示す断面図である。なお、以下の説明において、既に説明した部材と同一若しくは相当する部材には、同一の符号を付して重複説明を省略又は簡略化する。
【0039】
図4に示すように、プローブ(細管用作業プローブ)10のケース11は、細管5内をF方向又はB方向に移動可能な大きさに形成されている。ケース11は、図1に示すように、前ケース11aと、後ケース11bと、カバー20とからなる。前ケース11a及び後ケース11bは、開閉可能に構成され、閉じたときに水密性を確保できるように構成されている。
【0040】
例えば、前ケース11a及び後ケース11bは、一方の端部が他方の端部にねじ込まれ、かつ、互いの当接部分にシール部材(図示せず)を介して組み付けられる。前ケース11aの前端部及びカバー20は、略半球状に形成されている。
【0041】
また、図1に示すように、プローブ10の内部には、図示しない探傷センサユニット等を収納する収納空間部13が形成されている。この探傷センサユニットには、コネクタ33が設けられている。
【0042】
ケーブル9の先端部には、円柱状のケーブル係止体30が設けられている。ケーブル係止体30の軸方向の長さは、後述する大径穴12aの深さよりも若干小さく形成されている。なお、ケーブル9とケーブル係止体30とは、接着剤等によって強固に固定されている。
【0043】
ケーブル係止体30の外周には、2つの溝部が離間して設けられ、当該溝部にそれぞれOリング(シール部材)32が装着されている。これらのOリング32を含んだケーブル係止体30の最大外径である外径D2は、図4に示すように、ノズル穴8aの内径D1よりも小さく形成されている。すなわち、ケーブル係止体30は、ノズル穴8a内を挿通可能な大きさに形成されている。
【0044】
ケーブル係止体30の先端には、ケーブル係止体30の外径よりも小径のコネクタ部31が設けられている。コネクタ部31には、ケーブル9の信号線等(図示せず)が接続されている。コネクタ部31は、複数の電極ピンを有し、コネクタ33に電気的に接続される。
【0045】
図1に示すように、後ケース11bは、前ケース11a側に開口を有し、有底円筒状に形成されている。当該円筒の底部側には、後方に向けて円柱状の係合凸部14が同軸に突設されている。係合凸部14は、カバー20の係合凹部21と係合可能に構成され、かつ、水密を確保可能に構成されている。
【0046】
すなわち、後ケース11bは、カバー20の当接面21a,21b,21cと当接する当接面14a,14b,14cを有している。そして、当接面14a,14cには、Oリング(シール部材)28,29を装着するための溝部15a,15bが設けられている。更に、溝部15a,15bと対向する当接面21a,21cには、Oリング28,29を装着するための溝部22a,22bが設けられている。
【0047】
また、係合凸部14の中心には、貫通穴12が設けられている。貫通穴12は、大径穴12aと小径穴12bとから構成されている。大径穴12aと小径穴12bとの境界には、段部12cが形成されている。
【0048】
大径穴12aには、ケーブル係止体30が嵌入される。小径穴12bには、ケーブル係止体30の先端部に設けられているコネクタ部31が挿通される。段部12cは、ケーブル係止体30の先端部と当接し、前方への移動を規制する。これにより、コネクタ部31とコネクタ33の接続部に不要な外力が付加されるのを抑制することができる。
【0049】
また、係合凸部14には、図3に示すように、後述するねじ35,35を挿通するためのねじ挿通穴16,16が設けられている。
【0050】
また、図1〜図3に示すように、カバー20は、全体形状を略半球状に形成され、上カバー20a及び下カバー20bとから構成されている。すなわち、カバー20は、中心軸に対して二分割できるように構成されている。カバー20は、後ケース11bの係合凸部14と係合可能な係合凹部21を有する。
【0051】
カバー20は、係合凸部14の当接面14a,14b,14cと当接する当接面21a,21b,21cを有している。当接面21a,21cには、上述したOリング28,29を装着するための溝部22a,22bが設けられている。
【0052】
また、カバー20の中心には、ケーブル9を挿通するためのケーブル貫通穴23が設けられている。ケーブル貫通穴23の内径は、ケーブル9の外径よりも大きく、かつ、ケーブル係止体30の外径よりも小さく形成されている。
【0053】
すなわち、カバー20を後ケース11bに組み付けたときに、大径穴12aとケーブル貫通穴23との境界には、段部(カバーの内面)23aが形成されている。段部23aは、ケーブル係止体30の後端部と当接し、後方への移動を規制する。これにより、ケーブル係止体30がプローブ10から抜けるのを抑制することができる。
【0054】
また、図2及び図3に示すように、上カバー20aには、ねじ35を挿通するためのザグリ穴24及びねじ挿通穴25が一対設けられている。ねじ35は、上カバー20aと下カバー20bとを後ケース11bに固定するためのものである。
【0055】
ザグリ穴24及びねじ挿通穴25は、係合凸部14のねじ挿通穴16と同軸となる位置に設けられている。ザグリ穴24は、頭部35aが上カバー20aの外周面から突出しない深さに形成されている。また、下カバー20bには、ねじ35の雄ねじ部35bが螺合するねじ穴26が設けられている。
【0056】
なお、ねじ35をザグリ穴24及びねじ挿通穴25に設ける際には、ねじ35の頭部35a下面とザグリ穴24の底部との間に所定のシール材(例えば、パッキン材)を介在させたり、ねじ35とねじ挿通穴25の隙間に所定のグリース等を介在させることが好ましい。
【0057】
また、図2及び図3に示すように、上カバー20aと下カバー20bとの当接面には、例えば、ゴム製薄板等の弾性部材からなるシール部材37を介在させてあり、このシール部材37によって当該当接面の水密性が確保されるようになっている。
【0058】
また、図1に示すように、シール部材27は、例えば、ゴム等の弾性部材によって円筒状に形成され、後端部に鍔部27aを有する。シール部材27は、ケーブル貫通穴23とケーブル9との間に形成される隙間を埋め、水密性を確保するためのものである。
【0059】
なお、シール部材27は、ケーブル9とケーブル係止体30を接続する前に予めケーブル9を挿通し、ケーブル9と接着剤等によって固定されていることが好ましい。シール部材27とケーブル9との水密性は、上記接着剤等によって確保される。
【0060】
次に、プローブ10とケーブル9との接続手順及び接続解除手順について図1〜図4を参照して説明する。なお、シール部材27は、ケーブル9とケーブル係止体30を固定する前に、ケーブル9に接着固定されているものとする。また、プローブ10は、細管5の外部に出ているものとする。
【0061】
プローブ10の後ケース11bにカバー20が装着されていない状態において、ケーブル係止体30を後ケース11bの大径穴12aに嵌入する。そして、ケーブル係止体30の先端に設けられているコネクタ部31を、小径穴12bから収納空間部13側に突出させ、コネクタ33に接続する。
【0062】
次に、上カバー20a及び下カバー20bにより、係合凸部14及びシール部材27を上下方向から挟み込むことによって、カバー20を後ケース11bに組み付ける。このとき、上カバー20aと下カバー20bとの当接面には、シール部材37を介在させる。
【0063】
そして、図2及び図3に示すように、ねじ35をカバー20のザグリ穴24から挿入し、雄ねじ部35bをカバー20のねじ穴26に螺合させることによって、上カバー20a及び下カバー20bを後ケース11bに固定する。
【0064】
このように、プローブ10とケーブル9との接続は、ケーブル係止体30のコネクタ部31をコネクタ33に係合させた後、上カバー20a及び下カバー20bをねじ35によって締結するだけでよいので、従来のような熟練した技術は不要であり、熟練者でなくても容易かつ迅速に接続することができる。
【0065】
また、このとき、プローブ10の各部の水密性は、Oリング28,29,32及びシール部材27,37等によって確保される。
【0066】
ケーブル9との接続が完了したプローブ10は、予めプローブ10の前方に配置された清掃ブラシと共に、ノズル穴8a(図4参照)から高圧供給される清掃水によってF方向に圧送される。この清掃ブラシ及びプローブが圧送されることによって、細管5内が清掃されると共に、細管5の探傷検査が行われる。圧送されたプローブ10は、図示しないロボットの返送機構によってケーブル9を介して上記ロボット側(図4中のB側)に引き戻される。
【0067】
一方、保持ゴム7を交換する際に行うプローブ10とケーブル9の接続解除は、上記接続手順と逆の手順をとればよい。すなわち、プローブ10とケーブル9の接続解除は、保持ゴム7及びインナーノズル8が細管5から外され、プローブ10が細管5の外部に出ている状態で行われる。
【0068】
先ず、ねじ35(図2及び図3参照)による螺合を緩めてカバー20からねじ35を外し、上カバー20a及び下カバー20bを後ケース11bから取り外す。すると、ケーブル9の先端のケーブル係止体30(図1参照)は、カバー20の段部23aによる規制を解かれるので、ケーブル9を後方(図4に示すB方向)に引き抜くことができ、これにより、コネクタ部31がコネクタ33から容易に外れる。すなわち、プローブ10とケーブル9とが分離される。
【0069】
そして、図4に示すように、ケーブル係止体30の外径D2は、ノズル穴8aの内径D1よりも小さいので、ノズル穴8aにケーブル係止体30を挿通することができ、インナーノズル8の外部に取り出すことができる。すなわち、ケーブル9を切断することなく、保持ゴム7とケーブル9とを容易かつ迅速に分離することができる。
【0070】
以上のように、この実施形態によれば、プローブ10とケーブル9とを容易かつ迅速に接続できると共に、ケーブル9を切断することなく、容易かつ迅速に当該接続を解除することができる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、コネクタ部31が3つのコネクタピンを有するものとして説明したが、これに限定されず、2つ以下又は4つ以上のコネクタピンを有していてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、後ケース11bとカバー20は、係合凸部14及び係合凹部21によって係合するものとして説明したが、これに限定されず、容易に係合可能な形状であれば、その他の形状であってもよい。この場合も上記実施形態と同様の効果を期待できる。
【0073】
また、上記実施形態においては、本発明を復水器に適用するものとして説明したが、これに限定されず、復水器以外の熱交換器の細管に適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
D1 内径
D2 外径
5 細管
7 保持ゴム(連結固定部材)
8 インナーノズル(連結固定部材)
8a ノズル穴
9 ケーブル
10 プローブ(細管用作業プローブ)
11 ケース(筐体)
11a 前ケース
11b 後ケース
12 貫通穴
12a 大径穴
12b 小径穴
12c 段部
13 収納空間部
14 係合凸部
16 ねじ挿通穴
20 カバー
20a 上カバー
20b 下カバー
21 係合凹部
23 ケーブル貫通穴
23a 段部(カバーの内面)
24 ザグリ穴
25 ねじ挿通穴
26 ねじ穴
27 シール部材
28,29 Oリング(シール部材)
30 ケーブル係止体
31 コネクタ部
32 Oリング(シール部材)
33 コネクタ
35 ねじ
37 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の細管を検査するセンサユニットを筐体の中に水密封止して当該細管の中に挿入され、当該細管の開口端部に連結された連結固定部材のノズル穴から供給される圧送流体によって当該細管の中を圧送される細管用作業プローブと、
前記細管用作業プローブの前記筐体を貫いて導出されるケーブルと、
を備え、
前記筐体と前記ケーブルの間を水密封止する細管用作業プローブとケーブルとの接続構造であって、
前記筐体は、前記センサユニットに接続されたコネクタを配設する収納空間部と、当該収納空間部と当該筐体の外部とを連通する貫通穴とを備え、
前記ケーブルは、前記コネクタと電気的に接続可能なコネクタ部を先端部に有し前記貫通穴にシール部材を介して嵌入されると共に前記ノズル穴の内径よりも小さい外径を有するケーブル係止体を備え、
前記筐体は、前記ケーブルを外部に導出するケーブル貫通穴を有しシール部材を介して当該筐体及び当該ケーブルに対して着脱自在かつ水密封止可能に構成されたカバーを更に備え、
前記コネクタと前記コネクタ部とは、前記ケーブル係止体が前記シール部材を介して前記貫通穴に嵌入されることによって接続され、
前記カバーは、前記筐体及び前記ケーブルに対して前記シール部材を介して装着されることを特徴とする細管用作業プローブとケーブルとの接続構造。
【請求項2】
前記筐体は、前記貫通穴を含む係合凸部を有し、
前記カバーは、前記ケーブル貫通穴を含む面で分割可能に形成されていると共に前記係合凸部に係合する係合凹部を有し、当該係合凸部に対してねじ止め固定されることを特徴とする請求項1に記載の細管用作業プローブとケーブルとの接続構造。
【請求項3】
前記筐体の前記貫通穴は、前記ケーブル係止体の挿入位置を規制する段部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の細管用作業プローブとケーブルとの接続構造。
【請求項4】
前記貫通穴に嵌入された前記ケーブル係止体の後端部は、前記カバーの内面と当接することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の細管用作業プローブとケーブルとの接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−198703(P2011−198703A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66805(P2010−66805)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】