説明

細胞などの対象物の標識フリー検出を可能にする多層凹状体組込み装置

【課題】 従来の多層凹状体組込み装置を使用した試験の場合、細胞を染色したり蛍光標識したりすることが必要とされ、実験に余分なステップ及び余分なコストを付加してしまうことであった。
【解決手段】 本発明は、広くは上部試験槽114、下部試験槽116、膜106、センサー120を含む多層凹状体組込み装置100aと、その使用方法に関する。前述のセンサー120は、上部試験槽114から膜106を通過して下部試験槽116へ進んだ対象物122(例えば、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチド、炭水化物)を、標識フリーの方法で検出するためのものであり、下部試験槽116の面112上に存在する前述の対象物122に起因する屈折率の変化を測定することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは上部試験槽、下部試験槽、膜、センサーを含む多層凹状体組込み装置と、その使用方法に関する。前述のセンサーは、上部試験槽から膜を介して下部試験槽へ達した対象物(例えば、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチド、炭水化物)を、標識フリーの方法で検出するためのものであり、下部試験槽の面上に存在する前述の対象物に起因する屈折率の変化を測定することにより行われる。
【背景技術】
【0002】
創薬開発を通じて、全ての新薬のおよそ39%が、吸着、分布、代謝、排せつ(ADMEパラメーター)の問題のために、臨床研究に失敗している。従って、研究者がこれらの研究を行い、前述のADMEパラメーターを効率的、便利且つ安価な方法において生体外で評価することを可能にする装置を所有することが望ましい。多層凹状体組込み装置は、比較的に扱いやすく且つ低コストであるという理由から、前述の研究を行うために頻繁に使用されている。従来の多層凹状体組込み装置は、膜によって下部試験槽と隔てられている上部試験槽を含んでいる。従来の多層凹状体組込み装置は、BD Biosciences社(BD Biosciences)からMultiwell Insert Platesというブランド名で、コーニング社(Corning,Inc.)からはTranswell(登録商標)Permeable Supportsというブランド名で販売されている。今日、上述の多層凹状体組込み装置は、主に二つの用途において研究者に使用されている。
【0003】
第1の用途は、細胞移動試験に関する。このような研究において、細胞は多層凹状体組込み装置の上部試験槽に入れられた後、膜を介して下部試験槽に移動することが可能になる。その後、細胞は試験に先立って行われる蛍光標識を使用して、または試験の終わりに細胞染色を行うことにより検出される。その後、定量化は染色細胞のカウントまたは下部試験槽中または膜上の蛍光を測定することによりなされる。例えば、BD Bioscience社は、上部試験槽中の標識された細胞からの干渉を受けること無く、下部試験槽中の蛍光標識された細胞の検出を可能にするBD BioCoatTM FluoroBlokTM Cell Culture Insertを設計している。従来の多層凹状体組込み装置を使用した細胞移動試験の実施に伴う主な不利な点は、細胞を染色したり蛍光標識したりすることが必要とされ、実験に余分なステップ及び余分なコストを付加してしまうことである。
【0004】
第2の用途は、薬剤吸着試験に関する。薬剤吸着試験は、生体膜または模型膜の向こう側への一つまたはそれ以上の薬剤の浸透性を測定するために行われるものである。または、薬剤吸着試験では、固体基板(例えば、膜または支持フィルター)上に成長させたCaco2またはMDCK細胞単層(または他の適当な細胞株)の向こう側への一つまたはそれ以上の薬剤の浸透性を測定することができ、密着結合で隔てられることができる。下部試験槽の薬剤定量化に使用される代表的な検出方法は、(1)質量分析法に続く液体クロマトグラフィー(LC/MS)、(2)紫外可視分光光度法、とを含む。上述の(LC/MS)方法は多重化し易いという利点を有しているが、処理量が低いという不利な点をも有している。紫外可視分光光度法の不利な点は、研究される各薬剤のために、全領域が記録される必要があるので処理量が低いということである。LC/MS方法と紫外可視分光光度法の他の不利な点は、両者ともに終点試験であるということである。
【0005】
従って、従来の多層凹状体組込み装置の前述の短所及び他の短所に対処できる新しいタイプの多層凹状体組込み装置が以前から必要とされていた。上述のニーズ及び他のニーズは、本発明の多層凹状体組込み装置により満たされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
<発明の簡単な説明>
本発明は、上部試験槽、下部試験槽、膜、センサーを含む多層凹状体組込み装置とその使用方法に関する。前述のセンサーは、上部試験槽から膜を通過して下部試験槽へ進んだ対象物(例えば、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチド、炭水化物)を、標識フリーの方法で検出するためのものであり、下部試験槽の面上にある前述の対象物に起因する屈折率の変化を測定することにより行われる。多層凹状体組込み装置は、例えば細胞移動試験や薬剤浸透性試験を含む多種多様な試験を行うために使用されることができる。更に、多層凹状体組込み装置はマイクロプレートの凹部を形成したり、マイクロプレートの凹部に組み込まれたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本出願は、米国特許出願第10/290,001(出願日:2002年11月7日)に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【0008】
図1から図11を参照すると、本発明に基づいて、多層凹状体組込み装置の幾つかの異なる実施例100a、100b、100c、及び多層凹状体組込み装置100a、100b、100cの使用方法1100が開示されている。多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、細胞移動試験及び薬剤浸透性試験を行うために使用されることが説明されているが、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cの使用は、前述の調査に限定されるものではないことが理解されるべきである。それどころか、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは薬剤溶解性調査、ウイルス検出調査、タンパク分泌物調査を含む多種多様な調査を行うために使用することができる。従って、多層凹状体組込み装置100a、100b、100c及び多層凹状体組込み装置100a、100b、100cの使用方法1100は限定された方法であると解釈されるべきではない。図1A〜図1Fは、本発明に基づく多層凹状体組込み装置100a、100b、100cの3つの異なる実施例の、3組の分解斜視図と断面側面図を含んでいる。各々の多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、保持部品104を分離して支持するハンガー102を有する。保持部品104は、膜106を分離して支持する。ハンガー102は、培養皿110中の凹部108の周縁からぶら下がり得るように構成され、配置される。
【0009】
図のように培養皿110は、1つだけの凹部108を有するのではなく、当然のことながら6個、12個、24個または他の数の凹部108を有することができる。(例えば、図10のマイクロプレート1000を参照。)同様に当然のことながら、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは多様なサイズ及び形状で構成されることができ、それでも尚、本発明の範囲内であると考えることができる。例えば、図1Aと図1Bに示されているように、ハンガー102は保持部品104と膜106を、培養皿110の面112から遠くに離して支持しても良い。または図1Cと図1Dに示されているように、ハンガー102は保持部品104と膜106を、培養皿110の面112と比較的に近接するように支持しても良い。または、図1Eと図1Fに示されているように、培養皿110は凹部108中に上方に伸びた柱118を有していても良く、この場合に柱118は膜106に比較的に近接していても良いし接触してさえいても良い。
【0010】
多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、更に対象物(例えば、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチド、炭水化物)を標識フリーの方法、または独立した方法で検出するセンサー120を含む。前述の対象物は、上部試験槽114中では溶液中で沈殿し、膜106を介して下部試験槽中に到達することが可能になる。特に、センサー120は下部試験槽の面112上、または面112近辺に配された対象物122を検出する。上部試験槽114は、ハンガー102の内側と膜106の上側の領域とによって定義される。また、下部試験槽116はハンガー102の外側と、膜106の下側ではあるが凹部108の内壁の内側の領域とによって定義される。
【0011】
センサー120は、面112上またはその近辺にある対象物122の存在に起因する屈折率変化を測定することにより、下部試験槽116中の対象物122の存在を標識フリーまたは独立した方法で検出する。例えば、センサー120は、対象物122が面112上に存在しないときに屈折率値を測定し、その後、対象物122が面112上に存在するときに、もう一つの屈折率値を測定する。上述の屈折率測定値の差異は、対象物122の面112上への存在を示すものである。更に、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、面112上にある対象物122の量または質量を測定するために使用されることができる。幾つかの異なるタイプのセンサー120が、図3〜図7を参照して以下に説明されている。
【0012】
図2を参照すると、細胞122aの移動容量を評価するために使用される多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。基本的に、多層凹状体組込み装置100aとその中に組み込まれるセンサー120は、細胞122aの移動容量を評価するために標識フリー検出技術を使用する。上述の評価を行う為に、センサー120は、細胞122aが上部試験槽114から膜106を通過して移動し下部試験槽116の面112上に集中するようになる前後の下部試験槽116の面112上の屈折率を測定する。屈折率変化は、細胞122aの存在を指し示すものである。上述の方法により細胞122aの移動容量を評価する多層凹状体組込み装置100aの機能は、従来の多層凹状体組込み装置を超えて顕著な改善をもたらす。その理由は、従来の多層凹状体組込み装置では、移動容量を評価する為に細胞は染色されたり蛍光標識されたりしなくてはいけなかったからである。
【0013】
上記のように、多層凹状体組込み装置100aは、ハンガー102と膜106の周囲または内側の領域で定義される上部試験槽114と下部試験槽116を含む。膜106は、0.1μmから12.0μmのような広範囲の細孔径を有する、ポリエステル、ポリカーボネートまたは他の多孔性物質から作られることができる。更に、膜106はCaco2細胞またはMDCK細胞202(当然の事ながら、不死化細胞株または一次細胞も使用され得る。)及び生化学層(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、増殖因子、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質)の一方または双方で被覆されてもよい。
【0014】
細胞移動試験を行う為に、研究者は液剤とともに細胞122aを上部試験槽114に配することにより、細胞122aが細胞単分子層202及び(もしあれば)生化学/タンパク質コーティング203の一方または双方と膜106を介して、下部試験槽116中に移動することを可能にする。細胞単分子層202及び(もしあれば)生化学/タンパク質コーティング203の一方または双方と膜106を通過して移動後、細胞122aは重力によって下部試験槽116の面112上に落下する。面112は、細胞122aの捕獲と集中を助けるように、特定の界面化学コーティング204で被覆してもよい。例えば、界面化学コーティング204は疎水性、親水性または帯電した界面化学を含むことができ、多様な試験を可能にし、異なる表面抗原を有する細胞122aの検出をも可能にする抗体または抗体の混合物のような捕獲試薬であることもできる。その後、細胞122aの存在に起因する屈折率の変化を検出するセンサー120を使用することにより、細胞122aは下部試験槽116の面112上で検出される。多層凹状体組込み装置100aで使用され得る幾つかの異なるタイプのセンサーが、図3〜図7を参照して以下により詳細に説明されている。
【0015】
図3を参照すると、グレーティング型平面導波路センサー120aを中に組み込んでいる多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。基本的に、グレーティング型平面導波路センサー120aは光学バイオセンサーであり、下部試験槽116の面112上の細胞122aの存在を検出するために、光の屈折特性と結合特性を利用する。
【0016】
図のように、グレーティング型平面導波路センサー120aは、界面化学コーティング204が無い場合には細胞122aが接触する面112を形成する導波路302を含む。導波路302は、Ta、TiO、TiO-SiO、HfO、ZrO、Al、Si、HfON,SiON、酸化スカンジウムまたはその混合物のような金属酸化物型物質から作られることが望ましい。導波路302より小さい屈折率を有する基板304は、導波路302と隣接し且つ導波路302の下方に配されている。基板304はガラスまたはポリカーボネートのようなプラスチックから作られることが望ましい。屈折グレーティング306は、プラスチックにエンボス加工したり、プラスチックにマイクロレプリカ加工したり、ガラスにエッチング加工したり、または他の最先端の方法で基板304内部に作られ、その後導波路302で覆われる。特に、屈折グレーティング306は、光源309により基板304上に照射された光308を内部連結し、その後、光310を検出器312に外部連結させるように位置決めされる。面112上の細胞122aの存在に起因する導波路302の屈折率変化は、検出器312で外部連結された光310の変化をみることにより検出できる。グレーティング型平面導波路センサー120aは、例えば、角度探測法(angular interrogation approach)やスペクトル探測法(spectral interrogation approach)を含む幾つかの異なる方法を用いて機能させることができ、両者ともに図4と図5に対して以下に説明されている。
【0017】
図4を参照すると、移動した細胞122aを検出するために、角度探測法を利用しているグレーティング型平面導波路センサー120a’が中に組み込まれている多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。この方法では、屈折グレーティング306’は一つの個別の内部連結グレーティング402と二つの不連続な外部連結グレーティング404aと404bを含む。屈折グレーティング306’は、面112の全部または(図のように)面112の一部のみを覆うことができる。屈折グレーティング306’、特に内部連結グレーティング402は、基板304と連携し光源309により基板上に照射される光308aを内部連結するように位置決めされる。外部連結グレーティング404aと404bは、その後、各々が検出器312aと312bによりモニターされる光310aと310bを外部連結する。面112上の細胞122aの存在に起因する導波路302の屈折率変化は、検出器312aと312bで外部連結した光310aと310bの変化をみることにより検出される。また注目すべきは、角度探測は内部連結機能と外部連結機能の両方をただ一つのグレーティングで行わせることもできることである。更に他の方法では、角度探測は一つの内部連結グレーティングと一つのみの外部連結グレーティングで行うことができる。図5を参照すると、移動した細胞122aを検出するために、スペクトル探測法を利用しているグレーティング型平面導波路センサー120a’’が中に組み込まれている多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。この方法では、屈折グレーティング306’’は面112の全てまたは(図のように)面112の一部分のみを覆うことができる。屈折グレーティング306’’は基板304と連携し、基板304上に照射される光504を内部連結するように位置決めされる。例えば、光504は広帯域源508(wideband source)(例えば、多チャンネル広帯域源508)に接続されたファイバー506から放射されることができる。屈折グレーティング306’’は、その後ファイバー514を経由して分光計516に接続している検出器512(例えば、多チャンネル読み取りヘッド512)に光510を外部連結する。面112上の細胞122aの存在に起因する導波路302の屈折率変化は、検出器512で外部連結した光510の波長変化をみることにより検出することができる。特に、分光計516は、移動した細胞122aが存在する前の測定波長518と、移動した細胞122aの存在後の測定波長520に差異がある時、面112上の細胞122aの存在を検出することができる。この波長518と520との差異はグラフ522に示されている。当然のことながら、スペクトル探測法は画像化やアレイ上の不連続スポットの検出に敏感に反応する。
【0018】
図6を参照すると、移動した細胞122aを検出するために使用されるグレーティング型表面プラズモン共鳴(SPR)センサー120bが中に組み込まれている多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。基本的に、グレーティング型SPRセンサー120bは、下部試験槽116の面112上の細胞122aの存在を検出するために、表面プラズモン共鳴現象と光の屈折特性利用するバイオセンサーである。
【0019】
図のようなグレーティング型SPRセンサー120bは、金のような貴金属で被覆された支持層302(例えば導波路302)を含む。面112を形成する(もしあれば)界面化学コーティング204は、貴金属602と支持層302の上方に配置される。貴金属602と屈折グレーティング306は、面112の全部または面112の一部のみを覆うことができる。屈折グレーティング306は、光源606から屈折グレーティング306上に照射された光604を内部結合するように位置決めされる。外部結合した光608は、その後検出器610(例えばCCDカメラ610)でモニターされる。面での屈折率変化と面112上の細胞122aの存在に起因した貴金属602により発生されるプラズモンが、検出器610で外部結合した光608での変化をみることにより検出される。当然のことながら、この検出方法はスペクトル探測法であり、画像化やアレイ上の不連続スポットの検出に敏感に反応する。
【0020】
図7を参照すると、移動した細胞122aを検出するために使用されるプリズム型表面プラズモン共鳴(SPR)センサー120cが中に組み込まれている多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。グレーティング型SPRセンサー120bのように、プリズム型SPRセンサー120cは、下部試験槽116の面112上の細胞122aの存在を検出するために、エバネッセント波現象と光の屈折特性を利用する光学バイオセンサーである。しかし、プリズム型SPRセンサー120cは、グレーティング型SPRセンサー120bの時に使用する屈折グレーティング306の代わりに、プリズム702を使用する。
【0021】
図のように、プリズム型SPRセンサー120cは、金のような貴金属602で被覆された支持層302を含む。面112を形成する(もしあれば)界面化学コーティング204は、貴金属602と支持層302の上方に配置される。光源704は、基板304の底部に接触しているプリズム702に、光706を内部結合するように位置決めされる。外部連結した光708、その後検出器710によってモニターされる。面112の最上部の極めて近辺部の屈折率変化と、面112上の細胞122aに起因する貴金属602内で発生したプラズモンが、検出器710で外部連結光708の変化をみることにより検出される。特に、面112から反射され面112上の細胞の量または質量に依存する角度である反射光708に鋭い影がある時、検出器710は面112上の細胞122aの存在を検出する。グラフ714に示されているように、細胞122aが面112に移動し、面112上の質量が変化する時に、角度がIからIIにシフトする。このような共鳴角度での変化が、グラフ716に示されているように(質量変化に比例した)共鳴信号対時間のプロットとして、非破壊的且つリアルタイムでモニターされる。
【0022】
図8を参照すると、薬剤800(例えば化合物800)の吸着または浸透性を評価するために使用される多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。基本的に、多層凹状体組込み装置100aと、その中に組み込まれたセンサー120は、薬剤800の吸着を評価するために標識フリー検出技術を使用し、これは膜106上に配される生体コーティング203の有り無し両方の場合において、生体膜/模型膜(図示せず)または細胞単分子層202を通過する薬剤800の浸透性を測定することにより行われる。上記を行うために、薬剤800が上部試験槽114から膜106を通過して移動し、面112上に集結するようになる前後において、センサー120は下部試験槽116の面112上の屈折率を測定する。上述のように、面112(例えば疎水性、親水性または帯電した面112)での薬剤800の捕獲及び集結を助ける捕獲試薬を有する、または有していない界面化学コーティング204で、面112は被覆されることができる。例えば、界面化学コーティング204は、タンパク質との結合(重要なADME特性)が同時に評価できるように、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質であることができる。他の例では、界面化学コーティング204は、薬剤800の潜在毒性または薬物間相互作用を評価するために使用されるCYP450酵素のようなタンパク質であることができる。他の界面化学コーティング204は抗体、アプタマー、血漿タンパク及び他のタンパク質コーティングまたは、例えば細胞、タンパク質、核酸、炭水化物のような捕獲試薬を含む。更に、薬剤吸着作用調査は、薬剤800の細胞202及び生体コーティング203及び膜106の一方または双方との結合を測定することにより行われ、その場合にセンサー120は、通常図1Fで示されているように膜106の近くに配置される。繰り返しを避ける為、薬剤800の吸着作用を評価するために使用される多層凹状体組込み装置100aと他の色々なセンサー120との構成は、図3〜図7を参照して既に上述されている為、この項での詳細な説明はしないものとする。
【0023】
図9を参照すると、多様な構成で多様な薬剤900a、900b、900c(例えば化合物900a、900b、900c)の吸着または浸透性を評価するために使用される多層凹状体組込み装置100aの断面側面図である。この実施例の多層凹状体組込み装置100aは、図8に関する前述の多層凹状体組込み装置100aと同構造及び同タイプのセンサー120を有する。しかし、この実施例の多層凹状体組込み装置100aは、多様な試験で使用することができる。その理由は、面112が抗体902(または、他の捕獲試薬または界面化学)の配列を有する界面化学コーティング204で被覆されている為、明確に薬剤900a、900b、900cまたは薬剤900a、900b、900cの混合物を検出することができるからである。通常は、配列中に配置される抗体902または他の対象物(例えば、捕獲試薬、界面化学、タンパク質、核酸)はおよそ直径150μmでおよそ220μmピッチを有する水玉模様を有する。(面112の拡大上面図を参照)
図10Aと10Bを参照すると、図1Aと図1Bに示された多層凹状体組込み装置100aを多数組み込んだマクロプレート1000の斜視図と断面側面図である。マイクロプレート1000は、各々が多層凹状体組込み装置100aの形状を有する凹部1002の配列を含む。凹部1002は、広くは、相互に垂直な横列と縦列のマトリクスで配置される。例えば、マイクロプレート1000は4x6(24個の凹部)、8x12(96個の凹部)、16x24(384個の凹部)の寸法を有する凹部1002のマトリクスを含むことができる。図に示されたマイクロプレート1000は、96個の凹部1002を含んでいる。
【0024】
図11を参照すると、多層凹状体組込み装置100aを使用する為のより好ましい方法1100のステップを図示したフローチャートである。多層凹状体組込み装置100aが細胞移動試験、薬剤浸透性試験を行うために使用されることがここに説明されているが、多層凹状体組込み装置の使用は上述の調査に限定されるものではないことが理解されるべきである。その代わりに、多層凹状体組込み装置100aは、薬剤溶解性調査、ウイルス検出調査、タンパク分泌物調査を含む多種多様の調査を行うために使用されることができる。
【0025】
ステップ1102で始まり、多層凹状体組込み装置100aは対象物122(例えば細胞122a、分子、タンパク質、薬剤800、薬剤900a、900b、900c、化合物)を上部試験槽114中に液剤とともに配することにより準備される。もちろん、例えば細胞202及び生体コーティング203の一方または双方を含む膜106が、ステップ1102を行う前に既に準備されていると仮定する。ステップ1104で、対象物122は上部試験槽114から、(もしあれば)生化学コーティング202と膜106を通り下部試験槽116に移動することが可能になる。前述のように、膜106は0.1μmから12.0μmのような広範囲の細孔サイズを有する、ポリエステル、ポリカーボネートまたは他の多孔性物質であることができる。ステップ1106では、重力または遠心分離、吸引、電場、磁場などの助力を受けて面112上に落下した対象物122が、面112上に存在する対象物122に起因する屈折率変化を測定するセンサー120によって、標識フリーの方法で検出される。前述のように、センサー120は、対象物122が面112上にない時の屈折率値と、対象物122が面112上にあるときの屈折率値とを測定することにより、面112上の対象物122の存在を検出する。上述の測定屈折率値の差異が、対象物122が面112上に存在することを指し示すものである。更には、多層凹状体組込み装置100aを、面112上の対象物122の量または質量を測定することにも使用することができる。幾つかの異なるタイプの代表的なセンサー120が、図3〜図7を参照して説明されている。
【0026】
図2〜図11は多層凹状体組込み装置100aを示しているが、当然のことながら、例えば前述の多層凹状体組込み装置100b、100cを含む異なる構成を有する多層凹状体組込み装置が、ここで使用されることができる。更に、本発明で使用される異なるタイプのセンサー120についてのより詳細な議論として、引例が「薬剤発見における光学バイオセンサー」(Optical Biosensors in Drug Discovery)という表題でM.A.CooperによってNature Reviews Drug Discovery(Vol.1,pp.515-28,July,2002)に発表されている。
【0027】
下記の事項は、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cの利点と用途である。
【0028】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、例えば癌の腫瘍浸潤、アンジオネシス(angionesis)の内皮細胞移動、炎症の化学誘引を含む広範囲の試験を調査するために使用することができる。
【0029】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、高処理能力スクリーニング用途で、鉛(lead)化合物のADMEパラメーターの生体外評価を可能にする。
【0030】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、薬剤発見の鉛(lead)最適化段階の間の高処理能力方法を使用した対象物122の溶解性評価を可能にする。
【0031】
●細胞移動試験で使用される多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、蛍光染料で細胞を標識する必要性を省略し、細胞移動のリアルタイム測定を提供する。
【0032】
●薬剤浸透性試験で使用される多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、処理能力の向上につながり、薬剤浸透性のリアルタイム測定を提供する。
【0033】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは薬剤溶解性調査に使用されることができる。この用途では、多層凹状体組込み装置100a、100b、100cはハンガー102と膜106が有無に関わらず使用されることができる。例えば、対象物122(例えば化合物)は異なる濃度及びpHでの溶液中に薄められ、その溶解度は面112での屈折率変化または面112の近辺部での屈折率変化がリアルタイムで評価される。
【0034】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、対象物122の標識フリー検出を可能にする、例えば光学的方法、温度または電気化学検出のようなSPR、SPRイメージング、屈折グレーティング結合または他の直接的方法を使用することができる。
【0035】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、下部試験槽116の面112の面全部または面112の一部分のみを覆うような屈折グレーティングを組み込むことができる。
【0036】
●多層凹状体組込み装置100a、100b、100cは、以下のような他の調査でも使用されることができる。
【0037】
○薬剤溶解性調査
○滴定、移動またはウイルス生産モニタリングに限定されないウイルス調査
○バクテリアまたは他の細菌の為の細菌学調査
○タンパク分泌物検出調査
○生体外受精研究における一次細胞移動と分化
○ADME−Tox、遺伝子治療、タンパク質産生、調合薬QC、診断学、食品安全テスト、環境、細菌戦争の病原体のような高処理能力調査
本発明の幾つかの実施例が添付図で図示され、前述のより詳細な説明で説明されているが、本発明は開示された実施例に限定されるものではなく、本発明の精神から外れることの無い多くの再構成、修正、置換が可能であり、請求項で定義されていることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第1の実施例の分解斜視図である。
【図1B】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第1の実施例の断面側面図である。
【図1C】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第2の実施例の分解斜視図である。
【図1D】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第2の実施例の断面側面図である。
【図1E】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第3の実施例の分解斜視図である。
【図1F】本発明に基づく多層凹状体組込み装置の第3の実施例の断面側面図である。
【図2】細胞の移動容量を評価する為に使用される図1A及び図1Bに示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図3】移動した細胞を検出する為に使用されるグレーティング型平面導波路センサーを更に詳細に図示した、図2に示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図4】移動した細胞を検出する為に角度探測法を利用するグレーティング型平面導波路センサーを更に詳細に図示した、図2に示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図5】移動した細胞を検出する為にスペクトル探測法を利用するグレーティング型平面導波路センサーを更に詳細に図示した、図2に示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図6】移動した細胞を検出する為に使用されるグレーティング型表面プラズモン共鳴(SPR)センサーを更に詳細に図示した、図2に示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図7】移動した細胞を検出する為に使用されるプリズム型表面プラズモン共鳴(SPR)センサーを更に詳細に図示した、図2に示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図8】薬剤の吸着または浸透性を評価する為に使用される図1A及び図1Bに示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図9】多様な薬剤の吸着または浸透性を、多重構成で評価する為に使用される図1A及び図1Bに示された多層凹状体組込み装置の断面側面図である。
【図10A】図1Aと図1Bに示された多層凹状体組込み装置を多数組み込んだマイクロプレートの斜視図である。
【図10B】図1Aと図1Bに示された多層凹状体組込み装置を多数組み込んだマイクロプレートの断面側面図である。
【図11】本発明に基づく多層凹状体組込み装置を使用するより好ましい方法のステップを図示したフローチャートである。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層凹状体組込み装置であって、
上部試験槽と、
下部試験槽と、
前記上部試験槽と前記下部試験槽との間に配置された膜と、
前記下部試験槽の面上に存在する対象物に起因する屈折率変化を測定することで前記上部試験槽から前記膜を通して前記下部試験槽に達した対象物を検出するセンサーと、
を含むことを特徴とする多層凹状体組込み装置。
【請求項2】
前記対象物は、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチドまたは炭水化物であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項3】
前記センサーは、前記膜を通過した対象物の移動容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項4】
前記センサーは、前記膜上にある対象物の付着容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項5】
前記膜が、ポリエステル膜またはポリカーボネート膜であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項6】
前記膜が、0.1μmから12μmの範囲の細孔を有する微孔性膜であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項7】
前記膜が、生物学的要素、タンパク質、生体膜または細胞で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項8】
前記下部試験槽の前記面が、当該面で前記対象物の捕獲及び集結を助ける少なくとも一つの物質で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項9】
前記下部試験槽の前記面が、抗体または他の結合タンパク質を含む捕獲試薬で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項10】
前記下部試験槽の前記面が、疎水性、親水性または帯電した界面化学を含む捕獲試薬で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項11】
前記センサーが、グレーティング型平面導波路センサーであることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項12】
前記グレーティング型平面導波路センサーが、対象物を検出するために角度探測法を利用していることを特徴とする請求項11に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項13】
前記グレーティング型平面導波路センサーが、対象物を検出するためにスペクトル探測法を利用していることを特徴とする請求項11に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項14】
前記センサーが、グレーティング型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項15】
前記センサーが、プリズム型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項16】
複数個の前記多層凹状体組込み装置がマイクロプレートの複数個の凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項17】
前記下部試験槽が、前記上部試験槽と比較して浅いことを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項18】
前記センサーが、前記膜に接触していることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状体組込み装置。
【請求項19】
多層凹状体組込み装置の使用方法であって、
前記多層凹状体組込み装置の上部試験槽中に対象物を配するステップと、
前記対象物を前記上部試験槽から前記多層凹状体組込み装置の膜を介して下部試験槽に移動させるステップと、
前記下部試験槽の面上に存在する前記対象物に起因する屈折率変化を測定するセンサーを使用して前記下部試験槽の面上にある前記対象物を検出するステップと、
を備えていることを特徴とする多層凹状体組込み装置を使用する方法。
【請求項20】
前記対象物が、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチドまたは炭水化物であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記センサーが、前記膜を通過した対象物の移動容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記センサーが、前記膜上の対象物の付着容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記膜が、ポリエステル膜またはポリカーボネート膜であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記膜が、0.1μmから12μmの範囲の細孔を有する微孔性膜であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記膜が、生物学的要素、タンパク質、生体膜または細胞で被覆されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記下部試験槽の前記面が、下部試験槽の面で前記対象物の捕獲及び集結を助ける少なくとも一つの物質で被覆されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記下部試験槽の前記面が、抗体または他の結合タンパク質を含む捕獲試薬で被覆されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記下部試験槽の前記面が、疎水性、親水性または帯電した界面化学を含む捕獲試薬で被覆されていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記センサーが、グレーティング型平面導波路センサーであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記グレーティング型平面導波路センサーが、対象物を検出するために角度探測法を利用していることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記グレーティング型平面導波路センサーが、対象物を検出するためにスペクトル探測法を利用していることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記センサーが、グレーティング型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記センサーが、プリズム型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項34】
複数個の前記多層凹状体組込み装置がマイクロプレートの複数個の凹部を形成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記下部試験槽が、前記上部試験槽と比較して浅いことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記センサーが、前記膜に接触していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項37】
複数個の凹部を含む構造と、前記凹部の各々が多層凹状体組込み装置の形状であるマイクロプレートであって、前記多層凹状体組込み装置は、
上部試験槽と、
下部試験槽と、
前記上部試験槽と前記下部試験槽の間に配置された膜と、
前記下部試験槽の面上に存在する対象物に起因する屈折率変化を測定することにより前記上部試験槽から前記膜を通過して前記下部試験槽に到達した対象物を検出するセンサーと、
を含むことを特徴とする多層凹状体組込み装置を含むマイクロプレート。
【請求項38】
前記対象物が、細胞、分子、薬剤、化合物、核酸、ペプチドまたは炭水化物であることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項39】
前記センサーが、前記膜を通過した対象物の移動容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項40】
前記センサーが、前記膜上の対象物の付着容量を評価するために使用されることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項41】
前記センサーが、多様な試験を行うために使用されることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項42】
前記センサーが、グレーティング型平面導波路センサーであることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項43】
前記センサーが、グレーティング型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【請求項44】
前記センサーが、プリズム型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項37に記載のマイクロプレート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層凹状部材組込み装置であって、
上部試験槽と、
下部試験槽と、
前記上部試験槽と前記下部試験槽との間に配置された膜と、
前記下部試験槽の面上に存在する対象物に起因する屈折率変化を測定することで前記上部試験槽から前記膜を通して前記下部試験槽に達した対象物を検出するセンサーと、
を含むことを特徴とする多層凹状部材組込み装置。
【請求項2】
前記対象物は、細胞、分子、タンパク質、薬剤、化合物、核酸、ペプチドまたは炭水化物であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項3】
前記膜が、ポリエステル膜またはポリカーボネート膜であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項4】
前記膜が、0.1μmから12μmの範囲の細孔を有する微孔性膜であることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項5】
前記膜が、生物学的要素、タンパク質、生体膜または細胞で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項6】
前記下部試験槽の前記面が、当該面で前記対象物の捕獲及び集結を助ける少なくとも一つの物質で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項7】
前記センサーが、グレーティング型平面導波路センサーであることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項8】
前記センサーが、グレーティング型表面プラズモン共鳴センサーであることを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項9】
前記下部試験槽が、前記上部試験槽と比較して浅いことを特徴とする請求項1に記載の多層凹状部材組込み装置。
【請求項10】
多層凹状部材組込み装置の使用方法であって、
前記多層凹状部材組込み装置の上部試験槽中に対象物を配するステップと、
前記対象物を前記上部試験槽から前記多層凹状部材組込み装置の膜を介して下部試験槽に移動させるステップと、
前記下部試験槽の面上に存在する前記対象物に起因する屈折率変化を測定するセンサーを使用して前記下部試験槽の面上にある前記対象物を検出するステップと、
を備えていることを特徴とする多層凹状部材組込み装置を使用する方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2006−505278(P2006−505278A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551689(P2004−551689)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/035005
【国際公開番号】WO2004/044120
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(501246857)コーニング・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】