説明

細胞の遊走を阻害するオリゴヌクレオチド

本発明は、細胞の遊走を阻害するオリゴヌクレオチドに関する。本発明はまた、原発腫瘍または侵襲もしくは転移性腫瘍の予防または治療用薬剤を製造するための、TSP1タンパク質の発現を阻害するか、またはTSP1の発現を制御するかもしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現阻害剤、あるいは、少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤であって、当該阻害剤は、TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性を阻害するか、またはTS1の発現を制御するかもしくはその活性を媒介するタンパク質を阻害する、阻害剤の使用に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の遊走、侵襲または転移を阻害するオリゴヌクレオチドに関する。
特に、本発明は、腫瘍のようなヒトの病態の予防または治療用薬剤を製造するための二本鎖オリゴヌクレオチドの使用に関する。
また特に、本発明は、その産生物が病理学的状態の発症または持続に関与する遺伝子の発現を阻害することを目的とする。
本発明はまた、その産生物が病理学的状態の発症または持続に関与する遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
トロンボスポンジン−1(TSP1)は、いくつかのインテグリンとスカベンジャー受容体CD36とを含む多数のリガンドおよび受容体に結合する、いくつかのドメイン(Carlsonら、2008)から構成される大きな450kDaの三量体カルシウム結合分子である。TSP1は、初めてその特性が明らかにされた抗血管新生分子であり(Goodら、1990)、内皮細胞のインビトロでの遊走を阻害し、そのアポトーシスを誘導する(Jimenezら、2000)。TSP1の発現は、原発性乳癌の腫瘍およびアンドロゲン依存性前立腺腫瘍を含む多くの腫瘍で阻害され(Renら、2006;ZhangおよびLawler、2007)、TSP1の発現と血管密度(MVD)との間に逆相関が存在する(Colombelら、2005;Fontanaら、2005b)。乳癌の転移(Fontanaら、2005a)およびホルモン除去に不応性となった侵襲性または転移性前立腺腫瘍の両者において、TSP1の発現が高く、減少したMVDとは関連がないことがこれまでに報告されてきた(Colombelら2005)。しかし、腫瘍の進展におけるTSP1の機能的関与は立証されていない。
【0003】
TSP1のタイプIIIの反復(repeats)に結合し、そのフォールディングおよび性質を変化させるカルシウム(Adams、2004;Carlsonら、2008)が癌細胞の増殖、分化およびアポトーシスを調節することは、今日では明確に立証されている(Abeeleら、2002; Lehen'Kyiら、2007;。Thebaultら、2006)。確かに、細胞遊走の間に観察された周期的な形態学的変化および接着性の変化は、原形質膜のチャネル上にあるチャネルを通るCa2+の流入に応じて、反復して起こる[Ca2+]iの変化を伴っている。遊走する細胞におけるこれらのチャネルの分子的性質は、転移性癌細胞に対してよりそうであるが、まだほとんど不明である。
【0004】
RNA干渉(RNAi)は、細胞内への二本鎖RNAの導入により、配列に依存する形で、遺伝子発現を阻害する転写後遺伝子抑制のメカニズムである。RNAiは、哺乳動物、ショウジョウバエ、線虫、菌類および植物などの多くの生物で観察され、RNAiは、特に合成siRNAの導入によって、哺乳動物細胞内で引き起こされ得る(CarthewおよびSontheimer、2009)。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の一つは、原発腫瘍の発生、または腫瘍侵襲もしくは転移を促進する分子の阻害剤を提供することである。
本発明の別の目的は、上記分子の活性を制御あるいは媒介する分子の阻害剤を提供することである。
本発明の別の目的は、前記阻害剤を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、原発腫瘍および侵襲性または転移性腫瘍の進行の両方を阻害するのに有効な医薬組成物を提供することである。
【0006】
本発明は、TSP1発現が低酸素環境からの腫瘍細胞の遊走を刺激するため、したがって、それを阻害することで抗腫瘍効果が得られるという予想外の実験結果に依拠している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
したがって、一般的な実施形態では、本発明は、原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療用薬剤を製造するための使用であって、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、
あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
の使用に関連する。
【0008】
腫瘍は、増殖するのに十分な血液の供給に依存する。したがって、当業者にとって血管新生の阻害は、腫瘍の進展を抑制する方法である。この目標を達成するために、多くの抗血管新生化合物が過去に開発されてきた。その反対に、TSP1のような血管新生の阻害剤を阻害することは、血管密度を増やすことになり、従って腫瘍の進展を促進すると予期される。これまで、腫瘍進展を阻害するためにTSP1タンパク質の発現または活性を阻害することは当業者にとって受け入れることが出来なかった。
【0009】
本発明者らは、本明細書において、腫瘍のTSP1の抑制が確かに血管密度を増大させるが、TSP1阻害の結果、強力な抗腫瘍効果が生じることを実証したのである。
【0010】
腫瘍が拡大するにつれて、腫瘍では低酸素領域がしばしば発生する。低酸素状態は、血管新生の強力なトリガーである血管内皮増殖因子(VEGF)のような血管新生因子の産生を刺激する。新しい血管は、腫瘍に灌注し、酸素を補給して低酸素状態を軽減する。低酸素状態が軽減するにつれて、VEGF産生はもはや刺激されず、フィードバック機構が働く。
【0011】
そのようなフィードバック機構は、腫瘍におけるTSP1産生を制御するように起こらない:本発明者らは、低酸素状態が、血管新生を阻害するTSP1を誘導し、従って低酸素状態を強めることを、ここに示した。
本発明者らはまたここで、TSP1は第二番目のメカニズムによって誘導され得、細胞質カルシウム濃度を増加させる樟脳またはタプシガルギンのような薬理学的分子がTSP1分泌および/または産生を誘導することを実証した。カルシウム濃度のこのような増加は、カルシウムチャネルの調節の緩和により引き起こされ得る。本発明者らは、一過性受容体電位(TRP)ファミリーのいくつかのカルシウムチャネルがTSP1発現を調節していることを実証している。注目すべきは、これらのチャネルのいくつかは、癌細胞においてアップレギュレートされることが示されたことである(Prevarskayaら、2007)。
【0012】
低酸素状態または細胞内カルシウム濃度の変化によるTSP1の誘導は、独立して発生しうる二つのプロセスである。しかし、TRPチャネルの少なくとも一つであるTRPV3が低酸素状態によってアップレギュレートされていることを本発明者らが示すように、これらのプロセスの間で幾らかのクロストークが発生し得る。さらに、本発明者らは、低酸素状態が細胞内カルシウム濃度の上昇を誘導することを示す。
【0013】
重要なことに、前立腺の腫瘍において、TSP1のサイレンシングが強く腫瘍の進展を阻害したので、TSP1が、インビトロでの細胞遊走およびインビボでの腫瘍進展の主要な刺激剤であることも、本発明者らは実証した。
【0014】
タンパク質発現の阻害剤とは、当該タンパク質をコードする遺伝子の転写あるいは当該タンパク質をコードする遺伝子のmRNAの翻訳を抑制する、オリゴヌクレオチドまたはペプチド、またはタンパク質、または他の任意の種類の有機もしくは無機分子などの生物学的分子を指す。
TSP1の発現を制御するタンパク質とは、TSP1遺伝子の転写またはTSP1遺伝子転写物の翻訳を制御するタンパク質を意味する。例えば、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8のような一過性受容体電位(TRP)ファミリーのいくつかの非電圧依存性のカチオンチャネルが本発明で考慮されている。
【0015】
TSP1の活性を媒介するタンパク質とは、TSP1タンパク質の生物学的活性を媒介することができるTSP1タンパク質の受容体などのタンパク質を指す。例えば、受容体であるCD36およびB3インテグリンが、本発明で考慮されている。
タンパク質活性の阻害剤とは、インビボまたはインビトロ試験で該タンパク質の生物学的活性を阻害する、オリゴヌクレオチド、またはペプチド、またはタンパク質、または他の任意の種類の有機もしくは無機分子などの生物学的分子を指す。
【0016】
細胞遊走の刺激とは、処置群における遊走している細胞の割合が対照群のそれに比べて、統計的に高い状態を指す。
細胞遊走能力は、改良ボイデンチャンバー(Boyden Chamber)を用いてインビトロで測定することができる。ボイデンチャンバーは、透過性膜で区切られた二つのコンパートメントで構成されている。細胞は上部チャンバーに、化学走化性因子は下部チャンバー内に配置する。膜を通過して遊走する細胞を計数する。
詳細な遊走アッセイは、実施例の部に記載されている。
【0017】
原発腫瘍とは、腫瘍の進行が開始し、癌塊を生ずるよう進行した解剖学的部位で増殖する腫瘍を指す。
侵襲性腫瘍とは、前立腺被膜などの初期の腫瘍の限界を限定する膜を突破した癌を指す。この癌は、それが最初に発生した組織の外に広がり、近辺の健常な組織中に増殖する。「侵襲性」は、前記癌がすでに前立腺外に広がっていることを意味するものではない。「侵襲」は浸潤と同じ意味を持つ。
転移性腫瘍とは、その元の部位から1つまたはそれ以上の他の身体部位に転移した癌を指す。
【0018】
別の実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8は、一過性受容体電位(TRP)ファミリーの非電圧依存性のカチオンチャネルに属している。これらのタンパク質はTSP1タンパク質の発現を制御する。
CD36およびB3インテグリンはTSP1の受容体である。TSP1は、多くの受容体と結合することが知られている(Roberts、2008)。これらの受容体はTSP1タンパク質の活性を媒介することができる。
【0019】
別の実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3、CD36またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現をインビトロおよびインビボで阻害する。
インビボ試験はヒト、マウスおよびラットを含む生きている動物に関する。本発明においては、タンパク質発現のインビボ阻害は、ヌードマウスに異種移植された腫瘍組織の増殖および体積で測定することができる。タンパク質発現の阻害剤またはタンパク質活性の阻害剤の注射後の腫瘍組織の体積の減少は、当該タンパク質発現のインビボでの阻害を意味する。
インビトロ試験とは、タンパク質発現の阻害を測定するために、例えば培養下にある細胞の使用、またはリアルタイムRT−PCT等を指す。
【0020】
別の実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3を含む群から選択されるタンパク質のインビボ発現を阻害する。
別の実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、二本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0021】
「オリゴヌクレオチド」という言葉は、2〜100、特に、5〜50、および好ましくは13〜25ヌクレオチドのポリヌクレオチド、特に19、20、21オリゴヌクレオチドであって、リボヌクレオチド型、デオキシリボヌクレオチド型またはそれらの混合物を意味する。
二本鎖オリゴヌクレオチドは、siRNAを指すことがある。一本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を阻害するために使用されるマイクロRNAまたは任意のアンチセンス一本鎖のオリゴヌクレオチドを指すことがある。
二本鎖オリゴヌクレオチドはその標的mRNAを繰り返し切断するので、二本鎖オリゴヌクレオチドの使用は、リボザイムまたは一本鎖アンチセンスデオキシヌクレオチドのような他の従前のアンチRNAの方策よりも効率的である。
さらに、二本鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドよりも安定している。
【0022】
別の実施形態において、該タンパク質発現の阻害剤は、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
【0023】
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であることが好ましいが、オリゴヌクレオチド配列(b)について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
【0024】
別の実施形態において、該タンパク質発現の阻害剤は、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
【0025】
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であることが好ましいが、オリゴヌクレオチド配列(b)について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列と1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
【0026】
有利な実施形態では、標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列は、15〜25ヌクレオチドを含む。
標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列はアンチセンス鎖であり、前記第一配列に相補的な第二オリゴヌクレオチド配列はセンス鎖である。
本発明のオリゴヌクレオチド配列に含まれるヌクレオチドの種類は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはその両者である。
【0027】
本発明のオリゴヌクレオチド配列に含まれるヌクレオチドは、天然ヌクレオチド(A、T、G、C、U)、または化学的に修飾されたヌクレオチド、またはそれらの混合物であって、特に反応性基、または連結剤を含む化学的に修飾されたヌクレオチドであって、5−メチルシチジン、キサントシン(xanthinosine)、プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、イノシン、リボチミジン、7−メチルグアノシン、またはロックド核酸(LNA)などである。
好ましくは、また、アンチセンス鎖で設計された標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列は、天然のリボヌクレオチドおよびセンス鎖を実質的に含み、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはそれらの両方を含むことができる。
【0028】
上記の定義は、更に説明する医薬組成物およびオリゴヌクレオチドの配列にも適用する。
【0029】
有利な実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つの前記オリゴヌクレオチド配列のそれぞれの3'末端において、ハイブリッドを越えて延長する1〜5個のヌクレオチド、好ましくは2〜3個のヌクレオチドを含む。
さらに有利な実施形態では、ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである。
【0030】
特定の実施形態において、配列番号41(TSP1)で表される標的配列の発現は、本発明に記載の二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
別の特定の実施形態では、配列番号42(TRPV3)で表される標的配列の発現は、本発明に記載の二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
別の特定の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の構成の対のいずれかから選択される:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8)、(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号 26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)。
【0031】
表1は、本発明で用いられる二本鎖オリゴヌクレオチド配列のリストを示す。それぞれの対応する二本鎖オリゴヌクレオチド配列によってヒトにおいて標的とした遺伝子は、表の最初の欄に記載されている。 TSP1、TRPV3、TRPM8に対しては4つの異なる対が示され、CD36、インテグリンB3、TRPV2、TRPV6に対しては2つが示されている。
【0032】
【表1】

【0033】
オリゴヌクレオチド配列番号1〜20は、それぞれ2つの前記オリゴヌクレオチド配列の3'末端にて、ハイブリッドを越えて延長する2つのデオキシチミジンを含む。本発明の有利な実施形態によれば、表1において、オリゴヌクレオチド配列番号 21〜40は、ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドを含まず、第一オリゴヌクレオチド配列(アンチセンス鎖)および第二オリゴヌクレオチド配列(センス鎖)は長さが同一である。
【0034】
ヒトでのTSP1発現は、TSP1 mRNAを標的とする以下の4つの異なった二本鎖オリゴヌクレオチドのいずれか1つを使用して阻害できる。
− 表1でTSP1aと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号1および配列番号2からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1aと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号21および配列番号22からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1bと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号3および配列番号4からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTSP1bと記された、TSP1 mRNA部分を標的とする、配列番号23および配列番号24からなる二本鎖オリゴヌクレオチド。
【0035】
表1でTSP1aと記された配列は、数種の哺乳動物の間で、特にヒトとマウスとの間で完全に保存されているので、配列番号1および配列番号2からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、または配列番号21および配列番号22からなる二本鎖オリゴヌクレオチドは、ヒトだけでなく他の哺乳動物におけるTSP1発現を阻害するために使用することができる。
【0036】
ヒトでのTRPV3発現は、TRPV3 mRNAを標的とする以下の4つの異なった二本鎖オリゴヌクレオチドのいずれか1つを使用して阻害できる。
− 表1でTRPV3aと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号5および配列番号6からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3aと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号25および配列番号26からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3bと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号7および配列番号8からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、
− または、表1でTRPV3bと記された、TRPV3 mRNA部分を標的とする、配列番号27および配列番号28からなる二本鎖オリゴヌクレオチド。
【0037】
表1でTRPV3bと記された配列は、数種の哺乳動物の間で、特にヒトとマウスとの間で完全に保存されているので、配列番号7および配列番号8からなる二本鎖オリゴヌクレオチド、または配列番号27および配列番号28からなる二本鎖オリゴヌクレオチドは、ヒトだけでなく他の哺乳動物におけるTRPV3発現を阻害するために使用することができる。
【0038】
今日まで公知のいかなる哺乳動物のmRNAも認識しない二本鎖オリゴヌクレオチドを、いくつかのインビトロおよびインビボの実験でコントロールとして使用する。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の配列の対からなる。
鎖1:5'−GAUAGCAAUGACGAAUGCGUAdTdT−3'
鎖2:5'−UACGCAUUCGUCAUUGCUAUCdTdT−3'
【0039】
留意すべき点は、他のコントロールを置換することができ、ビヒクル(PBS)のインビボ注射もコントロールとして使用される。
【0040】
有利な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の構成の対から選択される:(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38)。
【0041】
さらに有利な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の構成の対から選択される:(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号37および配列番号38)。
【0042】
ヒトの所定のmRNAを阻害する治療薬としてオリゴヌクレオチドを開発するには、二本鎖オリゴヌクレオチドが、ヒトとマウスとの間で完全に保存された配列を標的とすることが特に有利である。この性質によって、ヒトへの投与以前の前臨床モデルにおけるオリゴヌクレオチドの有効性および毒性の評価が可能になる。特に有利な実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、以下の構成の対から選択される:(配列番号1および配列番号2);(配列番号7および配列番号8);(配列番号21および配列番号22);(配列番号27および配列番号28)。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用に関する。
【0046】
有利な実施形態において、前記薬剤は、放射線療法または化学療法などの抗腫瘍治療と組み合わせられる。
【0047】
有利な実施形態において、抗血管新生阻害剤は、シレンジタイド、バンデタニブ、レナリドマイド、サリドマイド、三酸化ヒ素、ベバシズマブ、抗VEGFR−1、抗VEGFR−2、抗PDGFR、抗FMS−FLT−3、および抗TK1を含む群から選択される。
有利な実施形態において、抗腫瘍剤は、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジン(Decarbazine)のようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン(Cytaraine)、メルカプトプリンまたはチオグアニン(Thiguanine)のような代謝拮抗剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体から選択される。
【0048】
別の有利な実施形態では、原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍は、固形腫瘍またはリンパ増殖性腫瘍である。
さらに有利な実施形態では、固形腫瘍は、前立腺腫瘍、肝腫瘍、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、神経膠腫などの脳腫瘍、乳癌、腎腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胸膜肺芽腫、カルチノイド腫瘍などの肺腫瘍、骨腫、骨軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、および線維性異形成などの骨の腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、胃癌、大腸腫瘍、小腸腫瘍、食道腫瘍、膵臓腫瘍、肉腫、子宮頸癌、胆嚢腫瘍、メラノーマである。
別のより有利な実施形態では、リンパ球増殖性腫瘍は、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫である。
【0049】
本発明に準拠して、タンパク質活性の阻害剤は、TSP1タンパク質に対する抗体、あるいはTSP1の発現を制御するか、または活性を媒介するタンパク質であり得る。例えば、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、B3インテグリンなどである。
【0050】
別の態様において、本発明は、医薬組成物に関する。
一般的な実施形態において、該医薬組成物は、活性物質として、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
を、薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて含む。
【0051】
有利な実施形態において、前記タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
さらに有利な実施形態において、前記タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
特に有利な実施形態において、タンパク質発現の阻害剤は、TSP1、TRPV2、TRPV3を含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する。
【0052】
別の有利な実施形態において、タンパク質発現阻害剤は、二本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0053】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物におけるタンパク質発現の阻害剤は、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
【0054】
当該オリゴヌクレオチド配列(a)は、オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であることが好ましいが、オリゴヌクレオチド配列(b)について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
【0055】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物におけるタンパク質発現の阻害剤は、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である。
【0056】
当該オリゴヌクレオチド配列(a)は、オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であることが好ましいが、オリゴヌクレオチド配列(b)について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。
該オリゴヌクレオチド配列(a)は、標的配列と相補的であることが好ましいが、標的配列について1〜8個のミスマッチ、特に5個、より詳しくは3個のミスマッチ、さらにより詳しくは1個のミスマッチを含むことができる。この適用は、標的配列の長さが21ヌクレオチドの場合に特有である。
【0057】
本発明の医薬組成物においては、標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列は、15〜25ヌクレオチドを含む。
有利な実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つの前記オリゴヌクレオチド配列のそれぞれの3'末端において、ハイブリッドを越えて延長する1〜5個のヌクレオチド、好ましくは2〜3個のヌクレオチドを含む。
ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドは、標的配列に相補的であるか、またはそうでなくてもよい。
ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドは、いかなる天然ヌクレオチドであってもよい。
さらに有利な実施形態では、ハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである。
【0058】
特定の実施形態において、配列番号41(TSP1)で表される標的配列の発現は、本発明に記載されている二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
別の特定の実施形態では、配列番号43(TRPV3)で表される標的配列の発現は本発明に記載されて二本鎖オリゴヌクレオチドによって阻害される。
【0059】
別の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、活性物質として、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドを含む:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号 :32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号:39および配列番号40)。
【0060】
有利な実施形態において;本発明の医薬組成物は、活性物質として、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドを含む:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号13および配列番号14); (配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36;(配列番号37および配列番号38)。
【0061】
さらに有利な実施形態において、本発明の医薬組成物は、活性物質として、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドを含む:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号37および配列番号38)。
【0062】
特に有利な実施形態において、本発明の医薬組成物は、活性物質として、以下の構成の対から選ばれる二本鎖オリゴヌクレオチドを含む:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号7および配列番号8);(配列番号21および配列番号22);(配列番号27および配列番号28)。
【0063】
有利な実施形態では、薬学的に許容されるビヒクルは、生理食塩水である。
別の有利な実施形態において、本発明の医薬組成物に使用される二本鎖オリゴヌクレオチドは、コレステロール、または前記二本鎖オリゴヌクレオチドを細胞内に浸透可能にする物質と結合される。
別のさらに有利な実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドを細胞内に浸透可能にする物質は、例えば、リポソーム、脂質ベース薬剤、ナノ粒子、磁性球体、ポリエチレンイミン誘導体である。
【0064】
有利な実施形態において、前記活性物質は、0.05〜50mg/kg、特に0.1〜20 mg/kgの範囲の用量で投与するように処方される。
二本鎖オリゴヌクレオチドを含む活性物質は、適用方法または活性物質の形態に応じて、変更しても十分な用量で投与用に処方され得る。
有利な実施形態において、活性物質は、以下の投与法の一つのために処方される:静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内点滴注入、舌下、直腸内、腫瘍に直接注射、局所または経口。
本発明のオリゴヌクレオチドは、細胞にトランスフェクションし、該細胞を次いで組織に注入するか、または、例えば、局所、全身、エアロゾル経路で直接組織に注入することができる。
【0065】
有利な実施形態において、医薬組成物は、
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
【0066】
有利な実施形態において、医薬組成物は、
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
【0067】
有利な実施形態において、医薬組成物は、
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
− 少なくとも、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
− 少なくとも抗血管新生剤と、
− 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品を活性物質として含む。
【0068】
本発明の医薬組成物の前記抗血管新生阻害剤は,シレンジタイド、バンデタニブ、レナリドマイド、サリドマイド、三酸化ヒ素、ベバシズマブ、抗VEGFR−1、抗VEGFR−2、抗PDGFR、抗FMS−FLT−3、および抗TK1を含む群から選択できる。
本発明の医薬組成物の前記抗腫瘍剤は、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジン(Decarbazine)のようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン(Cytaraine)、メルカプトプリンまたはチオグアニン(Thiguanine)のような抗代謝剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体を含む群から選択できる。
【0069】
別の実施形態において、本発明は、以下の配列から選択されるオリゴヌクレオチド配列に関する:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14 、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40。
【0070】
これらの配列はすべて、それ自体新規である。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドに関する:(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10); (配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号 :32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号 :39および配列番号40)。
【0072】
有利な実施形態において;本発明は、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドに関する:(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号13および配列番号14); (配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38)。
【0073】
有利な実施形態において;本発明は、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドに関する:(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号17および配列番号18);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号37および配列番号38)。
【0074】
特に有利な実施形態において、本発明は、以下の構成の対から選択される二本鎖オリゴヌクレオチドに関する:(配列番号1および配列番号2);(配列番号7および配列番号8);(配列番号21および配列番号22);(配列番号27および配列番号28)。
【0075】
これらの二本鎖オリゴヌクレオチドはすべて、それ自体新規である。
【0076】
本発明は、以下の図および実施例によって説明されるが、これらは決して本発明の範囲の限界ではない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1−1】図1Aは、アンドロゲン依存性(LNCaP)、去勢抵抗性(C4−2および22RV1)、またはアンドロゲン非依存性(PC3)の前立腺腫瘍細胞におけるTSP1 mRNAレベルを表す。結果(平均±SEM、n> 3)はシクロフィリンAのmRNAレベルに正規化し、任意の単位(LNCaPを1に設定)で表す。 図1Bは、アンドロゲン依存性(LNCaP)、去勢抵抗性(C4−2および22RV1)、またはアンドロゲン非依存性(PC3)の前立腺腫瘍細胞における、対応するTSP1タンパク質レベルを表す。ローディングコントロールとしてチューブリンを使用した。 図1Cは、TSP1 mRNAを標的にした二つの異なるsiRNAをトランスフェクションして48時間後のC4−2細胞におけるTSP1 mRNAレベルを表す。同じ細胞におけるシクロフィリンAのmRNAのレベルに正規化した結果は、3回の独立した実験の平均±SEMであって、任意の単位で表される。 図1Dは、TSP1a−またはTSP1b−siRNAをトランスフェクションして48時間後のC4−2細胞における、間接免疫蛍光法により可視化したTSP1発現を表す。 図1Eは、TSP1a−またはTSP1−siRNAのトランスフェクション後のC4−2細胞の代謝活性を表す。 図1Fは、TSP1a−またはTSP1b−siRNAをC4−2細胞にトランスフェクションして48時間後に測定したカスパーゼ3および7の酵素活性を表す。結果は、コントロールまたはTSP1−siRNAをトランスフェクションした細胞との間に統計的に違いはない。 図1Gは、表示したsiRNAでトランスフェクションしたC4−2(黒バー)またはPC3細胞(灰色のバー)の新鮮な培養培地への遊走能力を表す。トランスフェクションの2日後、細胞を、ボイデンチャンバーの上部に播種し、新鮮培地に向かって遊走した細胞数を、18時間後に計数した。結果は、コントロール条件で遊走する細胞と比較した、細胞の遊走の割合として表す(平均±SEM、n=3)。実験を3回繰り返し、同様の結果を得た。 図1Hは、LNCaP細胞またはC4−2細胞からの条件培地に向うLNCaP細胞の遊走能力を表す。LNCaP細胞(黒色バー)またはC4−2細胞(灰色のバー)を、ボイデンチャンバーの下部にて培養(plate)した。2日後、LNCaP細胞を上室に播種し、遊走細胞の数を18時間後に計数した。結果は、Gのように表す。 図1Iは、ドキシサイクリンの存在下(dox +)または不在下(dox −)で2日間培養したJT8細胞の細胞ホモジネートおよび条件培地における、ウエスタンブロット法で測定したTSP1の発現を表す。JT8細胞は、TSP1をコードするtet抑制性プラスミドで安定にトランスフェクションされた線維肉腫細胞である。
【図1−2】図1Jは、TSP1発現を抑制するようドキシサイクリンの存在下で培養したか、またはTSP1発現を誘導するようドキシサイクリンの非存在下で培養したTSP1誘導可能JT8細胞によって条件付けした培地に向かうC4−2細胞の遊走を表す。結果は、Gのように表す。 図1Kは、表示したsiRNAでトランスフェクションしたC4−2細胞の遊走能力を表す。トランスフェクションの2日後、細胞を、ボイデンチャンバーの上部にて培養し、新鮮培地に向かって遊走した細胞数を2日後に計数した。結果は図1Cのように表す。 図1Lは、CD36に対するTSP1の結合を阻害する抗体の非存在下または存在下のC4−2で条件付けした培地に向けたC4−2の遊走能力を表す。C4−2細胞は、ボイデンチャンバーの下部にて培養した。2日後、C4−2細胞を、コントロール培地またはTSP1−抗体Ab1(Neomarkers,ThermoScientific、米国カリフォルニア州フリーモントからのCloneA4.1)を1μg/ml含有する培地中で、上室にて培養した。TSP1−Ab1の抗体を上室に添加した場合には、それを下室にも同じ濃度で添加した。18時間培養後、遊走細胞を計数した。
【図2】図2Aは、ビヒクル(左)またはタプシガルギン(1μM)(右)で2時間処理したC4−2細胞におけるTSP1発現を表す。TSP1発現は、間接免疫蛍光法で可視化されている。 図2Bは、ビヒクル(左)またはタプシガルギン(1μM)(右)で2時間処理したC4−2細胞による細胞培養培地中のTSP1分泌を表す。分泌されたTSP1は、細胞培養培地中でウエスタンブロッティングによって測定する。 図2Cは、表示した用量の樟脳で2時間処理したC4−2細胞におけるTSP1発現を表す。TSP1発現は、間接免疫蛍光法で可視化されている。 図2Dは、表示した用量のビヒクルまたは樟脳で2時間処理したC4−2細胞による細胞培養培地中のTSP1分泌を表す。分泌されたTSP1は、細胞培養培地中でウエスタンブロッティングによって測定する。 図2Eは、表示した用量の樟脳による処理の6時間後のC4−2細胞におけるTSP1 mRNAレベル(平均±SEM、n = 3)を表す。mRNAレベルは、シクロフィリンAに正規化されている。 図2Fは、表示した前立腺腫瘍細胞株において測定されたTRPV3(黒色バー)およびTRPM8(灰色のバー)mRNAレベルを示す。結果(平均±SEM、n> 3)をシクロフィリンAのmRNAレベルに正規化し、任意の単位で表す。 図2Gは、表示した前立腺細胞株におけるTRPV3タンパク質のウエスタンブロットによる検出を表す。ローディングコントロールとしてチューブリンを使用した。 図2Hは、TRPV3a siRNAのトランスフェクションの48時間後のC4−2細胞におけるTSP1およびTRPV3の発現を表す。 図2Iは、表示したsiRNAによってトランスフェクションされたC4−2細胞のTSP1 mRNAレベルを表す。シクロフィリンAのmRNAレベルに正規化した結果は、トランスフェクションの2日後に測定されている(平均±SEM、n> 3)。 図2Jは、表示したsiRNAでトランスフェクションしたC4−2の、新鮮培養培地へ向けた遊走能力を表す。トランスフェクションの2日後、細胞を上室に播種し、遊走した細胞数を18時間後に計数した。結果は、コントロール条件で遊走する細胞と比較した、細胞の遊走の割合として表す(平均±SEM、n = 3)。実験を3回繰り返し、同様の結果を得た。
【図3】図3Aは、C4−2細胞の増殖に対するTRPM8およびTRPV3のサイレンシングの効果を表す。C4−2細胞は、表示したsiRNAでトランスフェクションした。それらの細胞の増殖は、代謝アッセイで測定する(平均±SEM、n = 3、3回の別個の実験の代表値)。 図3Bは、C4−2(黒色バー)またはPC3細胞(灰色バー)の遊走に対するTRPV3サイレンシングの効果を表す。細胞をコントロール、または2つの異なるTRPV3 siRNAによりトランスフェクションし、図1Gのように遊走アッセイを行った。 図3Cは、CONT−、TRPC4−、またはTRPC6-siRNAで2日前にトランスフェクションしたC4−2細胞の遊走能力を表す。 図3Dは、CONT−またはTSP1-siRNAでトランスフェクションし、トランスフェクションの48時間後のC4−2細胞の培養液中のTSP1のウエスタンブロット検出を表す。 図3Eは、C4−2細胞の遊走能力に対するTSP1の影響を表す。ボイデンチャンバーの下部にて培養したC4−2細胞を、コントロール−(Cと明記)またはTSP1−siRNA(TSP)のいずれかでトランスフェクションした。同じ日に、別の細胞バッチをコントロール−、TSP1−、またはTRPV3−siRNA(TRP)でトランスフェクションした。三日後、これらの後者の細胞をトリプシン処理し、表示したようにボイデンチャンバーの上部に播種した。遊走を18時間後に定量し、結果を、コントロール−条件で遊走する細胞(上部および下部にてコントロール−siRNAをトランスフェクションした細胞)との割合で表した(平均±SEM、n = 3)。
【図4−1】図4Aは、酸素正常状態で、または、低酸素状態を模倣するための塩化コバルト300μMの存在下で培養したC4−2細胞において測定したTRPV3(薄灰色バー)およびTSP1 mRNAレベル(濃灰色バー)を表す。mRNAレベルを定量し、シクロフィリンAに正規化している。結果を、1に設定した酸素正常状態のmRNAレベルに対する、低酸素状態下のmRNAレベルの比として表現する。2つの別個の実験からの結果を表示する。 図4Bは、コントロール条件(cont)または300μM CoCl2の存在下で30分または48時間培養したC4−2細胞の細胞内カルシウム濃度(平均±SEM、条件ごとにn> 120個の細胞)を表す。 図4Cは、20%(酸素正常状態)または1%酸素(低酸素状態)中で、72時間まで培養したC4−2細胞におけるVEGFおよびTSP1 mRNAレベルを表す。薄灰色バーは、酸素正常状態でのVEGFを表し、濃灰色バーは、低酸素状態でのVEGFを表し、白色バーは、酸素正常状態でのTSP1を表し、黒色バーは、低酸素状態でのTSP1を表す。結果を、シクロフィリンAのmRNAレベルに正規化し、T0を1に設定して任意の単位で表す。 図4Dは、ELISAで測定し、総タンパク質含有量に正規化した、C4−2細胞ホモジネートにおけるVEGFおよびTSP1のタンパク質含有量を表す。薄灰色バーは、酸素正常状態でのVEGFを表し、濃灰色のバーは、Cのような色彩コードを表す。 図4Eは、ELISAで測定し、細胞ホモジネート中の全タンパク質量に正規化した、C4−2細胞の培養培地中のVEGFおよびTSP1タンパク質含有量を表す。 色彩コードはCに同じ。 図4Fは、酸素正常状態(N)または低酸素状態(H)で表示された期間培養した細胞のC4−2細胞ホモジネート中のTSP1、Hif1アルファおよびTRPV3タンパク質含有量を表す。ローディングコントロールとしてチューブリンを使用した。
【図4−2】図4Gは、塩化コバルト中で表示された期間培養したPC3細胞におけるシクロフィリンAレベルに正規化した、VEGF(灰色)およびTSP1(黒)mRNAレベルの誘導を、同一時点でのコントロール培地でのそれぞれのmRNAレベルと比較して、表す。 図4Hは、コントロール条件下(N)または低酸素状態を模倣するための300μM CoCl2の存在下(H)で48時間増殖したPC3細胞におけるTSP1の免疫検出を表す。
【図5−1】図5Aは、指数関数的に増殖しているC4−2腫瘍を有するマウスの腫瘍体積を表す。マウスは、毎日、PBS(三角形)、コントロール−(黒色四角)、TRPV3−(薄灰色菱形)またはTSP1−siRNA(濃灰色菱形)のi.p.注射による処理をされた。すべてのsiRNAはPBSで(120μg/kg)希釈した。腫瘍体積はcm3で表す(平均±SEM、1群あたりマウス6匹)。 図5Bは、指数関数的に増殖しているPC3腫瘍を有するマウスの腫瘍体積を表す。マウスは、毎日、コントロール−(黒色四角)、TRPV3−(薄灰色菱形)またはTSP1−siRNA(濃灰色菱形)のi.p.注射による処理をされた。すべてのsiRNAはPBSで(120μg/kg)希釈した。腫瘍体積はcm3で表す(平均±SEM、1群あたりマウス6匹)。 図5Cは、シクロフィリンAに正規化し、任意の単位で表した、図5Bに示した実験の終了時に採取したPC3腫瘍におけるTRPV3およびTSP1 mRNAレベルを表す。TSP1 mRNAレベルは、コントロール−siRNA(黒色四角)、TRPV3−siRNA(灰色菱形)またはTSP1−siRNA(白丸)で処理したマウスからの同一腫瘍におけるTRPV3 mRNAレベルに対してプロットした。 図5Dは、シクロフィリンA mRNAレベルに正規化した、図5A(C4−2、菱形)および5B(PC3、三角)に示した実験の終了時に採取した腫瘍におけるTSP1 mRNAレベルを表す。腫瘍は、コントロール−siRNA(黒記号)、またはTRPV3−siRNA(薄灰色記号)もしくはTSP1−siRNA(濃灰色記号)で処理した。 図5Eは、シクロフィリンA mRNAレベルに正規化した、図4A(C4−2、菱形)および4B(PC3、三角)に示した実験の終了時に採取した腫瘍におけるTRPV3 mRNAレベルを表す。腫瘍は、コントロール−siRNA(黒記号)、またはTRPV3−siRNAを(薄灰色記号)もしくはTSP1−siRNA(濃灰色記号)で処理した。
【図5−2】図5Fは、図5Aおよび図5Bに記載した実験の終了時に採取したC4−2(灰色バー)またはPC3(黒色バー)腫瘍からの血管新生のホットスポットにおける微小血管密度(MVD)の定量化を表す。 図5Gは、シクロフィリンA mRNAレベルに正規化した、図4A(C4−2、菱形)および4B(PC3、三角)に示した実験の終了時に採取した腫瘍におけるVEGF mRNAレベルを表す。腫瘍は、コントロール−siRNA(黒記号)、またはTRPV3−siRNA(薄灰色記号)もしくはTSP1−siRNA(濃灰色記号)で処理した。 図5Hは、PBS(黒色バー)、あるいは、すべてPBSで希釈した、TLR3の既知のリガンド(濃灰色バー)である4000μg/kgのポリ(I:C)、またはTRPV3b−siRNA(薄灰色バー)もしくはTSP1a-siRNAの(白色バー)のいずれかのi.p.注射の5時間後に犠牲にしたヌードマウスにおける、表示した遺伝子のmRNAレベルを表す。シクロフィリンAに正規化した、表示された遺伝子のmRNAレベルは、脾臓におけるリアルタイムRT−PCRにより測定した。結果(平均値±SEM、n = 4)は任意の単位で表し、PBSコントロールの値を1に設定して正規化する。
【図6】図6Aは、他のすべての処置以前に取得した、種々の臨床段階の凍結した根治的前立腺全摘除術のサンプル(PT2、pT3a、pT3b/pT4)からの腫瘍周囲組織(N)および腫瘍組織(T)における、アクチンmRNAに正規化した、TSP1 mRNAレベルを表す。各ボックスプロットは、25、50(中央値)および75パーセンタイルを示す、3本の水平線で構成されている。最高値および最低値は、エラーバーを使用して表示される。有意の場合にP値が表示されている。 図6Bは、手術後少なくとも30ヶ月の間に腫瘍再発の証拠を示さなかった(n = 8)または手術後にPSAの再発(n = 11)を経験した患者からのサンプルにおける、アクチンmRNAに正規化した、TSP1 mRNAレベルの比較を表す。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、後述の実験手順に従って行われた。
【0079】
試薬およびsiRNA
樟脳およびタプシガルギンはシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich)(Saint−Quentin Fallavier,France)から購入した。TSP1抗体(Ab1、Ab−4,Ab−11)は、Neomarkers(Thermo Scientific, Fremont, Ca, USA )から、TRPV3抗体は、TEBU(Le Perray en Yvelines, France)から、チューブリン(Tubulin)は、Sigma−Aldrich(Saint−Quentin Fallavier, France)から購入した。Alexa−Fluorヤギ抗ウサギ488およびAlexa−Fluorヤギ抗マウス568は、Molecular probesから購入した。siRNAは、シグマアルドリッチ( Sigma−Aldrich)(Saint−Quentin Fallavier, France)から購入した。使用した配列は補足表1に示す。
【0080】
細胞株
細胞株LNCaPは、ヒトアンドロゲン依存性前立腺細胞株である。これは、アンドロゲン受容体を発現し、その増殖はアンドロゲンに依存する。
細胞株C4−2および22RV1は、ヒト去勢抵抗性前立腺腫瘍細胞株である。これらは、アンドロゲン受容体を発現するが、これらの増殖はもはやアンドロゲンに依存しない。
細胞株PC3は、ヒトアンドロゲン非依存性前立腺細胞株である。PC3細胞はもはやアンドロゲン受容体を発現しない。
【0081】
細胞培養およびトランスフェクトション
LNCaPおよびC4−2細胞は、10%ウシ胎児血清を含むRMPI中で、PC−3細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEM中で増殖させた。 HiPerfect試薬(Qiagen、Courtaboeuf、France)を、この製造元の推奨に従って使用し、24ウェルプレートの細胞を表示のsiRNA(10nM)でトランスフェクションした。代謝活性アッセイ(WST1, Roche Diagnostics, Meylan France)を使用して、細胞増殖を測定した。低酸素状態を模倣するために、300μM塩化コバルトの存在下で細胞を48時間培養した。低酸素状態の条件では、細胞は、低酸素インキュベーター(Binder GmbH, Tuttligen, France)内で、37℃で、5%CO2、94%N2、および1%O2で培養した。
【0082】
遊走アッセイ
遊走能力を、改良ボイデンチャンバーを用いて測定した。細胞(40,000)を、8μmのPET膜(BD Biosciences, Le Pont de Claix, France)により下室から分離されている細胞培養チャンバー−インサートシステムの上部におけるRPMI 1%FBS中に播種した。RPMI 10%FBSまたは条件培地を下部コンパートメントに加えた。18時間後、上部コンパートメントの非遊走細胞を綿棒を使ってこそげ取った。膜の下側の細胞を、−20℃にてメタノールで固定し、ヘキスト33258(Sigma−Aldrich, Saint−Quentin Fallavier, France)で染色した。その後、膜を摘出し、Glycergel(DAKO)でガラス面に取り付けて、細胞を計数した。
【0083】
リアルタイムRT-PCR、siRNAおよびmRNAの解析
全RNAは、TRIzol試薬(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)を用いて単離した。RNAを、高容量cDNA逆転写キット(High capacity cDNA Reverse Transcription Kit)(Applied Biosystems, Courtaboeuf, France)を使用して逆転写した。cDNAを、Power SYBR(登録商標)Green PCR Master Mix(Applied Biosystems, Courtaboeuf, France)を用いてリアルタイムPCRにより定量した。ヒトシクロフィリンAを内部対照として使用した。PCRプライマーの配列を補足表2に示す。
【0084】
ELISA
細胞ホモジネートおよび上清中のTSP1およびVEGFタンパク質の含有量を、ELISA (Quantikine, R&D, Lille, France)で測定した。
【0085】
カルシウムイメージング
蛍光イメージングは、142mM NaCl、5.6mM KCl、1 mM MgCl2、2mM CaCl2、0.34mM Na2HPO4、0.44mM KH2PO4、10mM HEPES、および5.6mM グルコースを含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)中にて実施した。細胞質カルシウム濃度は、前述した通り(Mariotら、2002)、Fura−2を添加した細胞(2μM)を用いて測定した。細胞内カルシウム濃度は、励起波長のそれぞれの蛍光強度の比(F340/F380)およびGrynkiewiczの方程式(Grynkiewiczら、1985)から導いた。
【0086】
動物、siRNAの注入、および腫瘍形成アッセイ
動物を用いる研究は、ハウジングおよび世話、安楽死の方法、ならびに実験プロトコルを含めて、Institut Andre Lwoff in Villejuif, France内地元の動物倫理委員会に準拠して実施した。腫瘍細胞(2×106細胞/マウス)を、50%(v:v)マトリゲル(matrigel)(BD Biosciences Le Pont de Claix、France)で6−8週齢の雄ヌードマウスに皮下注射し、毎日測定した。腫瘍が指数関数的に増殖した時、PBSで希釈したsiRNAを、毎日i.p.注入した(120μg/kg)。腫瘍体積は、次式を用いて概算した:長さ×幅2×0.5。
【0087】
被験者
前立腺組織サンプルは、Centre Hospitalier Lyon Sud (Lyon, France)で根治的前立腺全摘除術を施行した14人の患者およびCochin Hospital (Paris, France)の12人から得た。各患者からは書面による同意を得た。前立腺の除去直後に、組織の小片は病理医により肉眼解剖され、瞬間凍結され、分析まで液体窒素中でthe Centre hospitalier Lyon Sud および the groupe hospitalier Cochin−Saint Vincent de Paulの腫瘍バンクに保存した。凍結切片の組織学的解析は、RNA抽出前に、同一病理学者により各サンプルに対して実施された。完全に癌腺から構成されたフラグメントを選択して「腫瘍」サンプルと命名し、癌組織が含まれていないものを選択して「腫瘍周辺組織」と命名した。
【0088】
実施例1:TSP1の発現は、ホルモン不応性癌の前立腺細胞で増加している
TSP1プロモーターは, アンドロゲン依存性前立腺細胞株LNCaPにおいてメチル化され(Liら、1999)、従って、TSP1 mRNAおよびタンパク質レベルは、これらの細胞で非常に低い(図1Aおよび図1B)。興味深いことに、持続的なTSP1発現は、去勢後のマウス に再発するLNCaP腫瘍から樹立されたC4−2細胞において見出された(Thalmannら,1994)。TSP1は、去勢抵抗性前立腺腫瘍細胞株R22RV1(Sramkoski ら,1999)およびアンドロゲン非依存性細胞株PC3における、mRNA(図1A)およびタンパク質(図1B)レベルでの発現も認められた。前立腺癌細胞におけるTSP1の機能を研究するために、最初のsiRNAは、マウスとヒトとの配列に完全に保存された配列を標的とするように設計され(TSP1a−siRNA)、二番目のsiRNAは、特定的にヒトのmRNAを標的にするよう設計された(TSP1b−siRNA)。C4−2細胞では、この2種類のsiRNAは、細胞増殖(図1E)またはアポトーシス(図1F)に影響せずに、mRNA発現(図1C)およびタンパク質レベル(図1D)で70%以上TSP1発現をサイレンスした。
【0089】
実施例2:TSP1は、前立腺腫瘍細胞の遊走を刺激する。
ボイデンチャンバーを使用して、前立腺腫瘍細胞の遊走に対するTSP1の可能性のある役割を研究した。TSP1サイレンシングは、C4−2細胞の遊走を強く阻害した(図1G)。この効果は、PC3細胞の遊走もTSP1サイレンシング(図1G)によって強く影響されたため、アンドロゲン受容体の発現に依存しなかった。逆に、TSP1を発現しないLNCaP細胞の遊走が、細胞がC4−2細胞条件培地(図1H)に向かって遊走したときに、刺激された。前立腺腫瘍細胞の遊走についてのTSP1の役割をさらに立証するために、TSP1の産生がテトラサイクリン抑制性プロモーターの制御下にある細胞株である、JT8を用いた(Filleurら、2001)。JT8細胞の条件培地を、TSP1発現を阻害するためにドキシサイクリンの存在下で、またはTSP1発現を誘導するためにその不存在下で調製した(図1I)。そして、これら二つの培地に向かうC4−2細胞の遊走を測定した。TSP1の存在は、細胞が遊走する能力を強く増大させた(図1J)。
【0090】
TSP1の活性は、いくつかの種類の受容体、特にサブユニットβ1またはβ3を含むインテグリン、およびCD36レセプターによって媒介される。TSP1のCD36との結合が、TSP1の抗血管新生作用を媒介することが示されている。本発明においては、特定のsiRNAはそれぞれCD36、β1およびβ3インテグリンを標的にするよう設計された。β1のサイレンシングは、C4−2細胞の遊走特性に影響を与えなかった(図1K)。対照的に、CD36またはβ3をサイレンシングすると、ボイデンアッセイにおけるC4−2の遊走を強く減少させた(図1K)。さらに、TSP1のCD36受容体との結合を阻害するTSP1抗体(TSP1 Ab1、クローンA4.1)はC4−2細胞の遊走を妨げ(図1L)、TSP1のCD36との結合が、TSP1の抗血管新生効果および遊走を誘導する能力を媒介することを実証している。
上記の結果は、TSP1が、およびPC3細胞において、LNCaP細胞におけるよりも、はるかに高いレベル(mRNAおよびタンパク質)で発現されていることを示す。10nMのTSP1a−siRNAまたはTSP1b-siRNAによるC4−2細胞のトランスフェクションは、細胞増殖に影響を与えずに(図1E)、TSP1 mRNAレベル(図1C)およびタンパク質レベル(図1D)を著しく減少させる。
【0091】
実施例3:TSP1の発現および分泌は前立腺腫瘍細胞内のカルシウムによって調節されている。
TSP1はカルシウム結合ドメインを含み、またカルシウムはTSP1のフォールディングに影響を及ぼす(Adams,2004)。問題は、前立腺腫瘍細胞の細胞質内カルシウム濃度の増加が、TSP1の発現および/または分泌を調節することができるかどうかである。この目的のために、SERCAポンプの阻害剤であって、細胞内カルシウム濃度(Ca+ + i)を増加させるタプシガルギンでC4−2細胞を処理した。タプシガルギンによる2時間の処理で、細胞質ゾルからTSP1が急速に消失し(図2A)、培地中に分泌する結果になった(図2B)。カルシウムチャネルであるTRPV2(Monetら、2010)、TRPV6(Fixemerら、2003)、TRPM8(図2J)、およびTRPV3(図2Fおよび2G)は、前立腺腫瘍細胞において発現されている。樟脳は、既知のTRPV3チャネルのアゴニストであり(Moqrichら、2005;Vogt−Eiseleら、2007)、同様にTSP1分泌を刺激した(図2Cおよび2D)。さらに、樟脳による6時間の処理は、用量に依存してTSP1 mRNAレベルの増加を誘導した(図2E)。これらの結果から、カルシウムが前立腺腫瘍細胞におけるTSP1のmRNAレベルおよび分泌の両方を調節することが立証される。
【0092】
実施例4:前立腺腫瘍細胞におけるTRPチャネルの発現およびTSP1の調節。
2つのTRPチャネルである、TRPM8およびTRPV3の発現を前立腺細胞株において分析した。TRPM8はLNCaPおよびC4−2細胞では発現したが、22RV1では検出不能であり、PC3細胞においてのみ非常に低いレベルで発現した(図2F)。対照的に、TRPV3は、アンドロゲン非依存性PC3細胞を含む、これらの4つの前立腺細胞株のすべてにおいて発現した(図2F)。TRPV3 mRNAは、その親のアンドロゲン依存性細胞株LNCaPに比べて、去勢抵抗性細胞株C4−2においてアップレギュレートされた。しかし、発明の結果は、タンパク質レベルでは、TRPV3がLNCaP細胞で強く発現されることを明確に示す(図2G)。そして、TRPチャネルの発現がTSP1発現を調節できるかどうかを分析した。TRPV3をサイレンスすると、TSP1タンパク質発現が減少した(図2H)。TRPファミリーの少なくとも4種のチャンネル、TRPV2、TRPV3、TRPV6、およびTRPM8は、これらのサイレンシングがTSP1 mRNAレベルを減少させたので、TSP1を刺激する(図2I)。対照的に、TRPC4およびTRPC6はTSP1を抑制し、それらのサイレンシングは、C4−2細胞(図2I、2J)におけるそのmRNAレベルを増加させた。TRPC1、TRPC3、またはORAIはTSP1発現に有意な影響を与えなかった(図2I)。
【0093】
実施例5:TRPV3チャネルは前立腺癌細胞の遊走の制御に関与している
遊走についてのTRPカルシウムチャネルの可能性のある役割を探求するため、TRPV3が前立腺癌細胞でよく発現することから、このチャネルに注目したが、チャネルのアンドロゲンへの依存度がどうあっても、また、TRPM8とは対照的に、TRPV3のサイレンシングが細胞増殖に影響を与えないためであって(図3A)、これは、遊走アッセイの解釈を偏らせ得る表現型である。TRPV3のサイレンシングは、C4−2およびPC3細胞における細胞遊走で大規模な阻害を引き起こした(図3B)。対照的に、TRPC4またはTRPC6を標的にしたsiRNAは、C4−2細胞の遊走を刺激した(図3C)。すべて纏めると、これらの結果は、遊走に関するTRPチャネルの影響がTSP1によって媒介される可能性を示唆する。
【0094】
実施例6:TRPV3の細胞遊走への影響はTSP1によって媒介される
細胞遊走におけるTSP1およびTRPV3のそれぞれの役割をさらに調べるために、ボイデンチャンバーの下部にて培養したC4−2細胞を、コントロール−またはTSP1−siRNAのいずれかでトランスフェクションした。三日後、TSP1−siRNAをトランスフェクションした細胞の条件培地中のTSP1濃度が著しく減少した(図3D)。我々は、その後、3日前にコントロール−、TSP1−、またはTRPV3-siRNAをトランスフェクションしたC4−2細胞をチャンバーの上部に加えた。コントロール条件(上部および下部チャンバー内においてコントロールsiRNAをトランスフェクトした細胞)に比して、2つのコンパートメントで同時にTSP1をサイレンシングすると、遊走を70%減少させた(図3E)。興味深いことに、TSP1を、上部または下部のいずれか一つのコンパートメントでサイレンシングさせると、遊走能力は部分的に減少しただけであって、遊走効果は分泌タンパク質によって媒介されていることを実証している(図3E)。
上部コンパートメントでTRPV3をサイレンシングさせることで、TSP1が枯渇した培地に向かって遊走するC4−2細胞の遊走は、大幅に抑制された。 しかし重要なのは、この阻害は、TSP1がボイデンチャンバーの下部に存在していた時には、完全に失われたことである(図3E)。この結果は、細胞遊走のTRPV3による刺激が分泌したTSP1によって媒介されていることを実証する。
【0095】
実施例7:低酸素状態は、TRPV3およびTSP1の発現を誘導し、[Ca+ +]iを増加させる
低酸素条件に対する抵抗は、進行腫瘍の一般的な特徴である。TSP1およびTRPV3 mRNAレベル、ならびに細胞内カルシウム濃度を、低酸素条件下のC4−2細胞で分析した。Hif1aおよびHif2aタンパク質の安定化を誘導し(Yuanら、2003)、また低酸素状態の効果を模倣する300μM 塩化コバルトによる48時間処理は、TRPV3およびTSP1の mRNAレベルを強く誘導した(図4A)。
細胞内カルシウム濃度は、コントロール条件または塩化コバルトの存在下で増殖させたC4−2細胞において測定した。30分後に変化のなかった静止レベルは、塩化コバルトの存在下で48時間培養した細胞では2倍以上増加した(図4B)。
【0096】
TSP1は、ヒト線維芽細胞および血管平滑筋細胞において低酸素状態によって誘導される(Distlerら, 2007; Favierら, 2005; Mayuko Osada−Oka, 2008)。これは前立腺腫瘍細胞でもそうであるかどうかを分析するために、C4−2細胞を1%または20%酸素中で増殖させ、VEGFおよびTSP1の発現を、最大72時間まで異なる時点で比較した。VEGFおよびTSP1のmRNAの両方の時間依存的な増加が、低酸素状態下で、mRNA(図4C)およびタンパク質レベル(図4D)で観察された。低酸素状態への曝露の2時間後、直ちに、TSP1タンパク質の分泌が誘導された(図4E)。TRPV3およびHif1アルファタンパク質もまた、時間依存的に低酸素状態により誘導された(図4F)。同様に、低酸素状態の効果を模倣するCoCl2へPC3細胞を暴露させると、mRNA(図4G)とタンパク質レベル(図4H)でのTSP1発現が誘導された。
【0097】
実施例8:TRPV3またはTSP1のインビボでのサイレンシングにより、去勢抵抗性またはアンドロゲン非依存性前立腺腫瘍の増殖が阻害される。
本発明のインビトロのデータは、細胞の増殖または生存に影響を与えることなく、C4−2またはPC3細胞の遊走が、TRPV3またはTSPの1サイレンシングによって強く損なわれることを立証するものである。インビボでのTSP1およびTRPV3の役割を探求するために、C4−2細胞をヌードマウスに異種移植した。腫瘍が指数関数的に増殖しはじめた時に、マウスは、処置用に無作為化され、毎日、PBSのi.p.注射、あるいはPBSで希釈した120μg/kgのコントロール−または、TSP1−、もしくはTRPV3−siRNAのいずれかのi.p.注射を受けた。TSP1−またはTRPV3−siRNAで処理したマウスの腫瘍の増殖は著しく阻害された(図5A)。同様に、TRPV3およびTSP1−siRNAは両方とも、異種移植したPC3腫瘍の増殖を抑制した(図5B)。
【0098】
図5Bに示した実験の終了時に採取したコントロールのPC3腫瘍では、TRPV3とTSP1とのmRNAレベルの間で高い相関性(r2=0.83)が見られた(図5C)。コントロールと比較して、TSP1−siRNAによる処理は、PC3腫瘍におけるTSP1 mRNAレベルを有意に減少させた(図5C)。注目すべきは、TRPV3をサイレンシングすると、TRPV3 mRNAレベルの減少のみならずTSP1 mRNAレベルを減少させた(図5C)。これらのデータは、インビトロのようにインビボでは、TRPV3はTSP1発現を調節することを確認している。
C4−2腫瘍では、TRPV3−またはTSP1−siRNAによる処理によって、対応する標的mRNAレベルが、コントロールと比較して、有意に減少された(図5D、5E)。
【0099】
実施例9:TSP1は去勢抵抗性腫瘍において抗血管新生特性をなお発揮している
TSP1−またはTRPV3−iRNAで処置したC4−2およびPC3腫瘍は、より小さくなり高度に壊死していたが(図5F)、非壊死領域でのそれらの微小血管の血液の密度(MVD)はコントロールよりも有意に高かったので、TSP1は、CRCaPおよびAICaP腫瘍において血管新生をなお抑制したことを示している。MVDの増加は、TSP1−siRNAで処理した腫瘍におけるVEGFの発現低下と並行しており(図5G)、低酸素状態の低下を示している。この結果で、TSP1は、C4−2およびPC3腫瘍において抗血管新生特性をなお発揮していることが立証される。
【0100】
実施例10:インターフェロンまたは炎症性サイトカインの発現誘導の欠如。
インビボで観察された抗腫瘍効果は非特異的免疫応答に関連していなかったことを確認するために、マウスに、腹腔内経路で一回注射によりTSP1a−siRNAもしくはTRPV3b−siRNA、または、ポジティブコントロールとして使用した、TLR3の既知リガンドであるポリ(I:C)を投与した。すべての注射は、PBSで希釈したsiRNAを4mg/kgの用量で実施した。注射から5時間後、自然免疫応反応または炎症に関与するいくつかの遺伝子をコードするmRNAを、定量的リアルタイムRT−PCTで定量した。ポリ(I:C)による処置のみが、TLR3、TLR7、IL6、IL12b、IFNβ、IFNγ、およびIP10の有意な増加を誘導するが、TSP1−siRNAもTRPV3−siRNAも同一量の、腫瘍実験で使用されているより33倍高い用量で、これらのTLRおよびサイトカインを誘導しなかった(図5H)。これらの結果は、インビボでのTSP1−siRNAまたはTRPV3−siRNAの注射によって観察された抗腫瘍効果は、自然免疫の刺激によって起こり得るものではないことを立証している。
【0101】
実施例11:TSP1発現は病理学的ステージおよび根治的前立腺切除後の癌の再発に関連する。
TSP1 mRNA発現は、手術前に放射線療法および/またはホルモン除去の治療を受けていない、臨床的に限局性前立腺癌の患者からの26個の冷凍された根治的前立腺全摘除術標本で検討した。腫瘍および腫瘍周辺組織を対として18検体で分析した。平均TSP1 mRNAレベルは、腫瘍に比べて腫瘍周辺組織で有意に高かったので(表1)、TSP1の発現は未治療のアンドロゲン依存性腫瘍において抑制されていることを確認した。
腫瘍または腫瘍周囲のTSP1 mRNAレベルと、患者の年齢、グリーソン(Gleason)スコアまたは手術前の血清PSAレベルとの間に有意な関連はなかった(表1)。腫瘍組織では、TSP1のmRNAレベルは、局所進行前立腺癌(pT3)患者に比べて、限局性疾患(pT2)患者で有意に低かった(表1および図6A)。腫瘍周辺組織においては、その差は統計的に有意ではなかったが、より高いステージの疾患の患者では、TSP1のmRNAレベルがより高くなる傾向がある。
【0102】
この研究に含まれた26人の患者のうち、11人はPSA再発を経験したが、8人は、手術後少なくとも30ヶ月間追跡調査したが、腫瘍の再発の証拠を示さなかった。根治的前立腺全摘除術時に腫瘍および腫瘍周辺組織で測定したTSP1 mRNAレベルは、有意にPSA再発と関連していた(表1および図6B)。
【0103】
【表2】

【0104】
【表3−1】

【0105】
【表3−2】

【0106】
【表3−3】

【0107】
【表3−4】

【0108】
【表3−5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療用薬剤を製造するための使用であって、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、
あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
の使用。
【請求項2】
タンパク質発現の阻害剤が、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
タンパク質発現の阻害剤が、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)であるか、あるいは、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である、
請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用、
あるいは、
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用、
あるいは、
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍の予防または治療の目的で、同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品の製造のための、
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品の使用。
【請求項5】
前記薬剤が、放射線療法または化学療法などの抗腫瘍治療と組み合わせられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
原発腫瘍または侵襲性もしくは転移性腫瘍が、固形腫瘍またはリンパ増殖性腫瘍であり、前記固形腫瘍は、前立腺腫瘍、肝腫瘍、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、神経膠腫などの脳腫瘍、乳癌、腎腫瘍、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胸膜肺芽腫、カルチノイド腫瘍などの肺腫瘍、骨腫、骨軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、および線維性異形成などの骨腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、胃癌、大腸腫瘍、小腸腫瘍、食道腫瘍、膵臓腫瘍、肉腫、子宮頸癌、胆嚢腫瘍、メラノーマであり、前記リンパ球増殖性腫瘍は、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
活性物質として、
- TSP1タンパク質の発現、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはTSP1の活性を媒介するタンパク質の発現
を阻害する少なくとも1種のタンパク質発現の阻害剤、あるいは、
- TSP1タンパク質の活性、特に細胞遊走の刺激の原因となる活性、または
- TSP1の発現を制御するか、もしくはその活性を媒介するタンパク質の活性
を阻害する少なくとも1種のタンパク質活性の阻害剤
を、薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項8】
タンパク質発現の阻害剤が、TSP1、TRPV2、TRPV3、TRPV6、TRPM8、CD36、またはB3インテグリンを含む群から選択されるタンパク質の発現を阻害する請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
タンパク質発現の阻害剤が、二本鎖オリゴヌクレオチドまたは一本鎖オリゴヌクレオチドである請求項7または8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
タンパク質発現の阻害剤が、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は
- 前記オリゴヌクレオチド配列(b)と相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列との40%未満のミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)であるか、あるいは、
- 2つのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)を含み、ハイブリッドを形成する二本鎖オリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチド配列はその3'または5'末端のいずれかにおいて、ハイブリッドを越えて延長する一本鎖末端を形成する1〜5個の不対ヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチド配列(a)のハイブリッドの内側部は、
- オリゴヌクレオチド配列(b)に相補的であるか、
- または、前記オリゴヌクレオチド配列(b)と40%未満のミスマッチを示すかのいずれかであり、且つ、
前記オリゴヌクレオチド配列(a)は、
- 上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列に相補的であるか、
- または、上記で定義した、発現を阻害すべきタンパク質の1つをコードするRNAもしくはDNA分子に属する標的配列と40%未満ミスマッチを示すかのいずれかである、
二本鎖オリゴヌクレオチドであるか、
- あるいは、上記で定義したそれぞれのオリゴヌクレオチド配列(a)および(b)の2つの相補的フラグメントを含む、上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチド(a)および(b)のフラグメント(但し、当該フラグメントは、上記で定義したタンパク質の1つの発現を阻害する性質を保持している)である、
請求項7〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列が、15〜25個のヌクレオチドを含む請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記二本鎖オリゴヌクレオチドが、2つの前記オリゴヌクレオチド配列のそれぞれの3'末端において、ハイブリッドを越えて延長する1〜5個のヌクレオチド、好ましくは2〜3個のヌクレオチドを含み、特にハイブリッドを越えて延長するヌクレオチドはデオキシチミジンである請求項7〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記標的配列が、配列番号41(TSP1)または配列番号42(TRPV3)で表される請求項7〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記二本鎖オリゴヌクレオチドが、以下の構成の対:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)(配列表参照)
から選択される請求項7〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記活性物質が、0.05〜50mg/kg、特に0.1〜20mg/kgの範囲の用量で投与用に処方される請求項7〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と
を含むか、またはこれらからなる製品、
あるいは
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品、
あるいは
同時に、別個に、または経時的に使用する組み合わせ製品としての
- 少なくとも、請求項1〜3において上記で定義した二本鎖オリゴヌクレオチドと、
- 少なくとも抗血管新生剤と、
- 少なくとも抗腫瘍剤と
を含むか、またはこれらからなる製品
を活性物質として含む医薬組成物。
【請求項17】
前記抗血管新生剤が、シレンジタイド、バンデタニブ、レナリドマイド、サリドマイド、三酸化ヒ素、ベバシズマブ、抗VEGFR−1、抗VEGFR−2、抗PDGFR、抗FMS−FLT−3、抗TK1を含む群から選択される請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記抗腫瘍剤が、ベンダムスチン、テモゾロミド、メクロレタミン、シクロホスファミド、カルムスチン、シスプラチン、ブスルファン、チオテパ、またはダカルバジンのようなアルキル化剤;ペントスタチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリンまたはチオグアニンのような代謝拮抗剤;ルビテカン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン塩酸、またはオキサリプラチンのような細胞障害性抗生物質;ビノレルビン、BMS 184476、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン、ドセタキセルタキソールのような植物誘導体を含む群から選択される請求項16または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
以下の配列:
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40
から選択されるオリゴヌクレオチド配列。
【請求項20】
以下の構成の対:
(配列番号1および配列番号2);(配列番号3および配列番号4);(配列番号5および配列番号6);(配列番号7および配列番号8);(配列番号9および配列番号10);(配列番号11および配列番号12);(配列番号13および配列番号14);(配列番号15および配列番号16);(配列番号17および配列番号18);(配列番号19および配列番号20);(配列番号21および配列番号22);(配列番号23および配列番号24);(配列番号25および配列番号26);(配列番号27および配列番号28);(配列番号29および配列番号30);(配列番号31および配列番号32);(配列番号33および配列番号34);(配列番号35および配列番号36);(配列番号37および配列番号38);(配列番号39および配列番号40)
から選択される二本鎖オリゴヌクレオチド。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500709(P2013−500709A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522187(P2012−522187)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061156
【国際公開番号】WO2011/012716
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(502205846)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク (154)
【Fターム(参考)】